トライアングル14話あらすじ&日本語訳vol.2
ジェジュン、イ・ボムス、イム・シワン、ペク‥チニ出演「トライアングル」14話の後半に進みます。
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ジャンスとジェリーはジュノを連れて私設カジノへやって来た。
#だからぁー、「ジ」ばっかりはやめてくれって
ジャンス「どうだ?」
ジュノ「僕、こういうところに来ちゃダメなんですけど」
ジャンス「こいつ!ビビることねぇって。お前が俺たちの手を取った瞬間から、俺たち仲間じゃないか。違うか?ジェリー」
ジェリー「そうともさ!これからは一緒に遊ぼうぜ」
ジャンス「俺たちの情報屋をやってくれたお礼だ。ゲームやってみろよ。元手は出してやるから」
ジュノ「じゃあ儲けは僕が貰っていいんですね?」
ジャンス「(ニヤリ)」
ジェリー「トーゼンだろ!」
「とりあえず飲もうぜ」ジェリーはジュノをバーカウンターに誘った。
そこへ奥からマンガンがやって来て、ジャンスたちに声を掛ける。
マンガン「ヨンダルはどこだ?」
ジェリー「ヨンダル兄貴がどうしたんです?」
マンガン「お客さんがヨンダルを探してるんだ」
ジャンス「誰がヨンダルを探してるって?」
小馬鹿にして尋ねたジャンスは、「あっちだ」とマンガンが指した方を見て、一瞬で凍りついた。
ジャンス「!!!」
ジェリー「!!!」
彼らの視線の先には、ホールデムのテーブルでゲームをしているマンボンがいた。
#マンガンとかマンボンとかチャンボンとかこっちもまた名前がややこしいわ!見た目も被っとる!
彼らは縮み上がり、隅へと逃げる。
マンガン「お前ら何だよ?」
ジャンスたちは慌てて「シー!」と人差し指を立てた。
ジャンス「どうなってんだ?まだまだ出て来られないって言ってたろ?」
ジェリー「俺だって知らねーよ!」
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ヨンダルは部屋にいた。
#いきなりスポーツ選手みたいなタンクトップでビックリするやん
そこへジャンスたちが大慌てで転がり込んでくる。
ジャンス「ヨンダル、大変だ!」
ヨンダル「今度は何事だよ?」
ジェリー「ホントに大変なんだって!」
ジャンス「マンボンが出所したんだ」
ヨンダル「!」
ジャンス「私設カジノでお前を探してる」
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強面の子分を後ろに従え、のんびりゲームを楽しむマンボンを、チャンマダムとマンガンは並んで眺めていた。
チャンマダム「ホ・ヨンダルを探してるって、一体何者?」
「どうみてもコレじゃないか」マンガンは拳を握って見せた。
マンガン「ジャンスとジェリーが震え上がってた」
マダム「ホ・ヨンダルを追っ払ってくれるといいけど」
そこへヨンダルがやって来る。
彼の後ろに隠れ、ジャンスは「あそこだ」と囁いた。
ヨンダル「…。」
意を決して奥のテーブルへと向かうヨンダルを、マダムたちが注意深く見守る。
「兄貴」ヨンダルはマンボンのそばへ来ると、頭を下げた。
マンボン「おぉ!ヨンダル!」
マンボンがもっと近くに寄れとヨンダルを呼び寄せ、彼の手を取った。
#触るなー
マンボン「顔色が良くなったな。元気だったか?」
ヨンダル「えぇ。ところで、どうなってるんですか?」
マンボンはニヤリと笑う。
マンボン「なぜこんなに早く出てきたのかって?ヨンダルとゲームしろって天が助けてくださったんだ」
なんとも言えない沈黙が場を包んだ。
マンボンは手下に酒の瓶を取らせると、手元のグラスに注ぐ。
「命を賭ける準備は出来たか?」彼はヨンダルにそのグラスを差し出した。
ヨンダル「…はい」
「よし」ヨンダルが受け取ったグラスに、酒瓶をカチンと合わせると、マンボンは瓶ごと酒を煽る。
ヨンダルもグラスの酒を飲み干すと、マンボンは彼を見上げ、満足気に笑った。
#ヨンダルはハゲオヤジにモテモテだよね
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コ・ボクテの側近、スチャンが舎北から戻っていた。
コ・ボクテ「チャン・ドンスとホ・ヨンダルの関係、分かったか?」
スチャン「はい。ホ・ヨンダルが会長に出会う前、しばらくチャン・ドンスの情報屋をやっていたようです。気になさる必要はないでしょう」
コ・ボクテ「そうか。今は些細なことに気を取られている場合じゃない」
スチャン「…。」
コ・ボクテ「チャン・ドンスのヤツ、長引かせてないで早く処理しろ!」
スチャン「はい」
#ええー 気になさる必要はないって、それでいいの? 今も二人で会ってるのに?
#新喜劇ばりにコケそうになったんですけど。
#そして、ヨンダルがドンスの情報屋をやってたのも、一体どうやって調べがついたのか…。
+-+-+-+
祖母が豆もやしの下ごしらえをする隣で、ピョンスはスマホのゲームに夢中だ。
#おっ、ピョンスくん。テストで5番以内になったのか!
祖母「ピョンスお前、勉強もしないで一日中携帯ばかり見てりゃ、ご飯が出てくるのかい?」
ピョンス「お祖母ちゃん、全然知らないんだね。これ観てるとご飯が出てくるんだよ」
祖母「どうやって出てくるんだい?」
ピョンス「お祖母ちゃん、僕の夢はプロのゲーマーになることなんだ。そうしたら超稼げるから、お祖母ちゃんに贅沢させてあげるよ」
そこへジョンヒが仕事から帰ってくる。
彼女は、ゲームに熱中する弟を見ると、思い切り頭をはたいた。
ジョンヒ「ちょっと!あんたゲームしてるんならスマホは没収よ!」
+-+-+-+
部屋へ戻ったジョンヒはぼんやりと頬杖をついた。
ヤンハの言葉が思い出される。
「これ以上オ・ジョンヒさんのそばで二の足を踏むようなことはしません」
「ホ・ヨンダルに向かっているジョンヒさんの心、必ず僕が手に入れます。どんな手を使っても」
ジョンヒ「…。」
+-+-+-+
ジャンスはさっきから一向に落ち着かず、事務所の中を歩き回っていた。
ヤン社長「おい!糞我慢してる犬コロか?気に障る!座ってろ!」
ジャンス「親父、息子に向かってその言い草は何だよ。糞我慢の犬コロって!」
ヤン社長「へへへっ、酷いこと言ってすみませんねぇ、息子さん。”子犬”に変えて差し上げましょうか?」
ジャンス「全く!今、冗談言ってる気分じゃないんだ。金の計算でも続けてください」
ヤン社長「お前、また何かやらかしたんだろ」
ジャンス「やらかしたんじゃなくて、これからやらかすんですよ」
ジャンスは目を閉じ、大きな溜息をついた。
ジャンス「それも超デカイことをね」
そこへジェリーが入ってくる。
ジャンス「分かったか?」
ジェリー「(頷く)ミン社長やヒョンタク兄貴もよく知ってるってさ」
ジャンス「OK、行こう」
ジェリー「兄貴、ヨンダル兄貴に言わなくていいのか?」
ジャンス「おい、この程度のことは俺たちで処理するんだ」
「俺を信じるだろ」「信じるさ」ジャンスが差し出した手を、ジェリーが固く握る。
二人は急いで扉を開けた。
ヤン社長「どこ行くんだ?!」
ジャンス「訊かないでください」
ヤン社長は事情もわからないまま、一人残された。
ヤン社長「はぁ、また何を企んでるのか、気が気じゃないな、全く!」
+-+-+-+
静かなカフェで、ジャンスとジェリーはジュースをすすりながら、そっと後ろを窺った。
窓際の席で、飲み物を片手に外を眺めている男が一人。
マンボンだ。
彼は誰かの姿を見るなり、急いで立ち上がった。
「久しぶりね、マンボンさん」ミン社長だ。
マンボンは気をつけの姿勢で、ミン社長に頭を下げた。
「久しぶりですね、兄貴」一緒にやって来たヒョンタクも彼と握手を交わす。
マンボン「姐さん、どうしてこちらへ?」
ミン社長「マンボンさんに会いに来たのよ。ちょっと座っていいわよね?」
そのやり取りを遠巻きに見物し、ジャンスたちは笑いをこらえていた。
ジャンス「ミン社長、超強いな。マンボン兄貴がビクビクしてる」
ジェリー「ムショにいるミン社長の旦那、あっちの業界じゃコレだろ?」
ジェリーは親指を突き立てた。
彼らの背後で、ミン社長たちは座って話し始める。
ヒョンタク「兄貴、顔色が良くなられましたね」
ニコヤカに場を和ませるヒョンタクの隣で、ミン社長は厳しい顔で口を開いた。
ミン社長「マンボンさん、今ヨンダルを待ってるんでしょう?」
マンボン「姐さん、ヨンダルをご存知で?」
「もちろん」ミン社長は自信を持ってそう答えた。
ミン社長「今ヨンダルは大きなゲームを控えてるから、邪魔をしないで」
マンボン「俺ともデカいゲームをしなきゃならないんだけどな。あいつ、命を賭けたんですから」
ヒョンタク「兄貴のゲームとは比べ物にならないデカいゲームですよ」
マンボン「…。」
ミン社長「私が責任を取るわ。だから、ヨンダルをそっとしておきなさい」
「…。」マンボンは困ったように腕組みをする。
#完全に惚れた。もうあなたがヒロインでいいです
+-+-+-+
「ホ・ヨンダル」いつもの待ち合わせ場所にドンスがやって来ると、待っていたヨンダルが振り返る。
二人は顔を合わせると、にこやかに笑いあった。
ヨンダル「日取りが決まりました」
ドンス「そうか。いつなんだ?」
ヨンダル「来週の月曜日です」
ドンス「向こうは来るのが俺だと知ってるのか?」
「知りませんよ」ヨンダルがニヤリと笑う。
ヨンダル「班長さんの顔を見てビックリするユン・ヤンハを想像したら…シビれますね」
ドンスは呆れたように笑う。
ドンス「シビれるだけか?」
ヨンダル「?」
ドンス「俺は復讐のためにやってるが、お前は何故だ?ユン・ヤンハがお前をムショ送りにしたからか?」
ヨンダルは少し考えるように目を細める。
ドンス「ユン・ヤンハとお前、一体どういう関係なんだ?」
ヨンダル「…。」
ドンス「せっかく掴んだ切り札を使うほど、この戦いはお前にとって大事なのか?」
しばらく沈黙すると、ヨンダルは困ったように頭を抱える。
ヨンダル「そう言われると、漠然としてて、どう答えていいのか…」
ドンスはヨンダルをまっすぐに見つめる。
ドンス「お前、夢は何だ?」
ヨンダル「フラフラしてるせいか、よく変わるんです。昔はホールデムの世界チャンピオンが夢だったけど、えーと、今は…。今はただ、ある女性と結婚して幸せに暮らすこと」
ドンス「…。」
「それから、別れた兄と弟を探すこと…」ヨンダルはそっと目を閉じる。
ヨンダル「まぁ、そんなところです」
ドンス「…。ヨンダル、そんな純粋な夢を持ってるのなら、お前が相手にしてるヤツらはあまりに汚く醜い。自分のためにもう一度よく考えるんだ」
ヨンダル「無理ですよ。デカいゲームを前に血が騒ぐんです。俺、ギャンブラーですから」
+-+-+-+
キム専務とペ主任がヤンハの部屋を訪れていた。
専務「アン・チャンボン氏側から来週の月曜日に人を送るそうです」
ヤンハ「誰なのか把握出来ていないんですか?」
専務「はい。明らかにしないところを見ると、何か意図があるのではないかと疑念が湧きます」
ヤンハ「何か意図があったらどうだと言うんです?ご心配なく」
「ホ・ヨンダルは?特に何もないですか?」ヤンハは質問をペ主任に向けた。
主任「はい。昨日クク刑事という、ホ・ヨンダルの担当刑事にあったんですが、最近おとなしくて怪しいと言っていました」
ヤンハ「…。」
主任「何か企んでるかもしれないと」
ヤンハ「…。」
#なぜ刑事がカジノの一社員にそれを話すのか分からん。というか、もはやそれをいちいち突っ込むレベルじゃないが(笑
ヤンハは小さく鼻で笑う。
ヤンハ「何か企んでいて欲しいですね。あいつと戦う理由が出来るから」
ペ主任「???」
+-+-+-+
ある高級レストランにファランとジョンヒが来ていた。
ジョンヒ「誰に会うんですか?」
ファラン「あぁ…。本社の秘書室長さん」
「私がどうして?」ジョンヒが目を丸くする。
ファラン「私も知らないのよ。あなたをぜひ連れて来てくれって言われたの」
ジョンヒ「…。」
そこへ優雅な足取りでピルサンが現れる。
「オ・ジョンヒです」ジョンヒは立ち上がって頭を下げた。
ピルサン「お時間をいただいてありがとうございます」
「お座りください」ピルサンは柔らかい物腰でジョンヒに接する。
3人が腰を下ろすと、ピルサンが口を開いた。
ピルサン「ディーラーになって間もないのに、VIPルームを担当していると聞きました。この間はディーラーカジノ大会で優勝までしたと」
ジョンヒ「…。」
ファラン「ディーラーたちの中で一番有能なんです」
ジョンヒ「どんなご用件で私に会おうとおっしゃったのか、気になります」
ピルサン「私は会長をお世話する秘書室長です。ですから、会長のご子息である本部長も含め、全てを管理しなければなりません」
「…。」ジョンヒの視線が忙しく動く。
ピルサン「オ・ジョンヒさんとユン・ヤンハ本部長は特別な関係だと聞きましたが」
ジョンヒ「誤解なさっているようですね。私は本部長と何の関係もありません」
ピルサン「…。」
ジョンヒ「私が呼ばれたのがそのためなら、これ以上ここにいる理由はなさそうです」
「お先に失礼します」ジョンヒはあくまで穏やかに会釈し、立ち上がる。
ファラン「ジョンヒ!」
「すみません」ジョンヒはファランに頭を下げ、ピルサンにもう一度頭を下げると、店を後にした。
ピルサン「いい弱点を掴んだと思ったが、役に立たんな」
「ユン・ヤンハ…。片想いしてるってわけか?」ピルサンはふっと笑った。
+-+-+-+
ロッカールームで帰り支度をしているヒョンミの元へ、ジョンヒがやって来る。
ジョンヒ「ソウルのラッキーカジノの支配人、まだ連絡取れるよね?」
ヒョンミ「もちろん。あんた、移ろうと思ってるの?」
ジョンヒ「一度会ってみるわ」
ヒョンミ「よく決めたわね。あんたがそのつもりなら、私も一緒に行こうと思ってたの」
ジョンヒ「…。」
+-+-+-+
祖母「ソウル?!」
ジョンヒはソウル行きの話を祖母に切り出した。
祖母「ソウルに引っ越そうって言うのかい?」
ジョンヒ「私たちに引っ越しなんて無理よ。この家を売ったところで、ソウルで部屋を手に入れるのも難しいだろうし…とりあえず私が先に行くわ。住む場所を用意できたら、その時弟たちを連れて来て」
祖母「私は…行かないよ。先も短いのに、何で今更ソウルに?行きたいなら、あんたがビョンテとピョンスを連れて行きなさい」
「お祖母ちゃんだけ置いて行けるわけないでしょ?」ジョンヒは思わず祖母の手を握る。
祖母「私のことは気にしなくていいよ。ここが気楽でいいんだ」
祖母は静かにお茶をすすった。
+-+-+-+
部屋で、ヨンダルは珍しく本を開いていた。
#ヨンダルが読んでいるのが카네기처세술(カーネギーの処世術)。
日本でもよく知られているデール・カーネギー著で、「人間関係論」「自己管理論」「幸福論」の3テーマについて、彼のスピーチをまとめたもののようです。
慣れない本に慣れない内容。
彼は一生懸命目を凝らす。
しばらくそうやってにらめっこを続けた末に、彼は思わず本を放り出す。
ヨンダル「何でたったの1フレーズも分からないんだ?」
「ヨンダル、無学なのがバレないように本を読もうぜ」何とか自分に言い聞かせ、机の上に放り出した本を見つめる。
そこへ携帯にメールが入った。
ジョンヒからだ。
ジョンヒ(メール)「私がもしソウルの職場に移ったら、ホ・ヨンダルさんはどうしますか?」
ヨンダル(メール)「突然どういうことですか?ジョンヒさんがどうしてソウルに?」
ジョンヒ「ソウルのラッキーカジノからスカウトの話があったんです。ここよりお給料もボーナスも遥かに良くて」
「ホ・ヨンダルさんは舎北に飽き飽きしませんか?」メールの中に、ジョンヒの本音がにじみ出ていた。
ヨンダル「俺、ここでやることがあるんです。メールしてないで、今から会いましょう」
ジョンヒ「いいえ。今日は一人で考えますね。おやすみなさい」
+-+-+-+
シネが待っているカフェにヨンダルが顔を出した。
ヨンダル「こんにちは」
シネ「忙しいところを呼んでしまったんじゃないかしら?」
「大丈夫ですよ」ヨンダルは向かいの席に腰を下ろした。
シネ「コーヒーにします?」
ヨンダル「いいですね」
シネが振り返り、店員を探した。
+-+-+-+
飲み物が揃うと、シネが本題に入る。
シネ「ヨンダルさんが記憶を取り戻して家族を探すのに、少しでも力になりたいけど、今はまだ漠然としているわ。もう少し鮮明に思い出せるといいんだけど」
ヨンダル「…。」
シネ「兄弟といたのがどこなのか、兄弟の名前は思い出せないか…」
黙ったまま、ヨンダルは上目遣いにシネを見つめた。
シネ「一度浮かんできた記憶は、また思い出すことが出来るんです。辛いだろうけど、もう一度やってみませんか?」
「えぇ」ヨンダルは頷いた。
シネが見ているその場で、彼は目を閉じ、集中する。
瞼の裏に、幼い兄弟たちが浮かんできた。
兄が弟に哺乳瓶でミルクを与えているそばで、自分は菓子パンを頬張り、牛乳を飲んでいる。
去っていく兄。弟を背負っている自分。いろいろな瞬間が混じってフラッシュバックした。
「お兄ちゃん」
「泣くなよ。ドンチョル、お前がドンウを守らなきゃ」
「兄ちゃん、ちょっと行ってくるからな。ドンチョル、お前がドンウを守るんだ。出来るよな?」
ドンチョルと呼ばれた子どもは黙って頷いた。
兄はドンチョルの背中の赤ちゃん、ドンウの頬を撫でる。
「すぐ帰ってくるから。ドンウを守るんだぞ」
「お兄ちゃん…」
「泣くなよ」
ヨンダル「…。」
ヨンダルは落ち着いて目を開けた。
ヨンダル「ドンウ…。弟の名前はドンウみたいです」
シネ「ヨンダルさんの名前は?」
「ドンチョル、お前がドンウを守らなきゃ」頭の中で兄の言葉を反芻する。
ヨンダル「ドンチョルだって…そう言ってました」
シネ「!」
「間違いありませんか?」シネの声が俄に強みを帯びた。
ヨンダル「そうみたいです」
シネ「!」
ドンスはカウンセリングにやって来た時、生い立ちについてシネに語ったことがあった。
「故郷は舎北だ。親父は鉱夫で、弟が二人いた。チャン・ドンチョル、チャン・ドンウ…。俺が12歳だったから、ドンチョルが7歳。ドンウはまだ赤ん坊だった」
シネはドンスの話を細かく思い出し、瞬時に全てを照合する。
シネ「お兄さんの名前は思い出せませんか?」
「えぇ」ヨンダルが小さく溜息をつく。
「ヨンダルさん」シネはじっとしていられずバッグに手を伸ばした。
シネ「私と行きましょう」
ヨンダル「どこに?」
シネ「向かいながら話しますから」
シネはさっと立ち上がり出口へ向かう。
ヨンダルも黙って彼女に続いた。
+-+-+-+
ヨンダルを乗せたシネの車が目的の場所に着く頃には、辺りは暗くなっていた。
車を停めると、二人は外へ出る。
+-+-+-+
ドンスは賑やかな繁華街にいた。
探していた店が見つかると、彼は中へ入っていく。
その様子をそっと窺っていた男が一人。
鋭い目をしたその男は、一度スチャンがコ・ボクテに紹介した、あの殺し屋だった。
+-+-+-+
店の中も若い客たちでとても賑わっていた。
ドンスはその中にタク刑事の姿を見つけ、声を掛ける。
ドンス「おう!タク刑事」
タク刑事「あぁ、班長!」
ドンス「元気だったか?」
タク刑事「もちろんですよ」
タク刑事はさっそくドンスに酒をつぐ。
ドンス「イ刑事とミン刑事は?」
タク刑事「はははっ。出がけに隊長に捕まって仕事してますよ」
ドンス「そうか。ついてないヤツらだ」
二人はグラスを合わせ、グイッと飲み干す。
タク刑事「何かいいことでもあったんですか?顔がパッと輝いてますよ」
「誰かに会う度にそう言われる」ドンスは笑った。
ドンス「俺、ギャンブラーには向いてないな。ポーカーフェイスが出来ないんだから」
タク刑事「ホントにいいことがあったんですか?」
ドンス「来週の月曜日からテジョンカジノに入る」
タク刑事「!ちょっと… またあそこに?!」
ドンスは楽しげに笑う。
ドンス「驚くことはないさ。今度は全く違う理由で入るんだ」
そう言いながら、ドンスは二つの開いたグラスをさっと満たす。
「ほら」強引にグラスをカチンと合わせると、ドンスはまたグイッと酒を流し込んだ。
+-+-+-+
夜道を歩いてくると、ヨンダルは坂道の上に出た。
ヨンダル「…。」
彼は坂の上に立ち、じっとその風景を見つめる。
去っていく兄と、弟を背負って見送る自分。弟を乗せた黒い車を追って、泣きながら坂を駆けていく自分。
記憶の中でぼんやりしていた幼い自分たちの姿が、次々と鮮やかに色づいた。
ヨンダル「…。」
静かに見守っていたシネが彼に近づくと、彼の横顔に向き直る。
シネ「思い出しましたか?」
「僕がいた場所に間違いありません」坂を見つめたまま、ヨンダルが小さく頷いた。
シネ「!」
ヨンダル「だけど、ここがどうして分かったんですか?」
シネは逸る心を抑え、言葉を選ぶ。
シネ「ヨンダルさん、いいえ、ドンチョルさん。あなたのお兄さんの名前は…チャン・ドンスです」
ヨンダル「…?チャン班長のことですか?」
彼の声は小刻みに震えていた。
シネ「えぇ」
ヨンダル「…。」
シネ「ドンスさんが… ドンチョルさんのお兄さんなんです」
ヨンダル「…!」
ヨンダルの目がみるみるうちに潤み、瞬く間に大粒の涙がこぼれ落ちた。
+-+-+-+
ドンスは益々酒が進んでいた。
タク刑事「また嵌められたらどうするんですか?」
ドンス「おい、俺はカモか?」
タク刑事「ははっ、班長はカモじゃないですか。毎日やられてばかりでしょ」
ドンス「こいつ、偉くなりやがって」
タク刑事「こりゃ失礼いたしました!」
ドンスは上機嫌でタク刑事に酒をつぐ。
テーブルの隅で、ドンスの携帯がシネからの着信を告げていた。
+-+-+-+
車のところまで戻ってきたシネは、辛抱強くドンスが電話に出るのを待った。
ヨンダル「僕が一度掛けてみます」
シネが電話を切ると、入れ替わりにヨンダルが電話を取り出した。
+-+-+-+
「今度はトドメをさしてやる」あっという間に増えた空瓶を前に、ドンスは闘志を燃やしていた。
ドンス「見てろよ!無念に死んでいった親父の恨みを、俺が絶対に晴らしてやる」
タク刑事「兄貴!僕もお助けします!」
二人は今日何度目かの乾杯を交わす。
そこへ、ようやく彼は電話が鳴っているのに気づいた。
ドンス(電話)「あぁ、ヨンダル」
ヨンダル(電話)「班長さん、今どこですか?」
隣にいたシネが振り返り、期待のこもった目で成り行きを見守る。
ドンス(電話)「もしもし?おい!もしもし?大きな声で話してくれ」
「ちょっと待って」騒がしい店内で何も聞こえず、ドンスは立ち上がった。
「切るなよ」ドンスは店の外へと歩き出す。
ドンスの後ろ姿をチラリと見ると、タク刑事は店員に焼酎をもう一本注文した。
+-+-+-+
「ちょっと待ってな。切るなよ」そう言いながらドンスは店の扉を開け、外を覗く。
扉を閉め、彼は通りの真ん中へ出た。
ドンス(電話)「話していいぞ。何だ?」
ヨンダル(電話)「今どこにいらっしゃるんですか?」
ドンス「(笑)こいつ!俺はな、いい気分で飲んでるところだ。お前、どこだ?ヨンダル、お前も来るか?一緒に飲もう」
そのとき…
ドンスの正面から突然男が視界に入り、彼にぶつかった。
鈍い音がして、ドンスは顔を歪める。
男は念を押すようにドンスの腹に手を押し込む。刃物だ!
「あぁっ」ドンスが小さく呻き声を上げ、その場に崩れ落ちると、男はさっと刃物を抜き、足早に立ち去った。
すぐそばを通りかかった女性たちが悲鳴を上げる。
その後ろを歩いてきた男性たちが、立ち去る犯人を見て指を差した。
ヨンダル(電話)「班長さん?班長さん、どうしたんですか?班長さん!班長さん!」
ドンスは携帯を握りしめたまま、地面で震えていた。
携帯から漏れ聞こえるヨンダルの声は、彼には届かない。
ヨンダル「班長さん!!!!!!」
得体のしれない真っ黒な不安が、ヨンダルを襲った。
+-+-+-+
ここでエンディングです。
もー、キリがないほどいろいろ言いたいことがありながら、最後の事件で吹っ飛んだ感も否めませんが…。
うまく構成できないから、箇条書きにしますよ。
1.ヨンダルの記憶の取り戻し方、そりゃあんまりでしょう!
一度目の催眠療法はまだいいですよ。2度目、カフェで話したついでに目をつぶって「はい、思い出した」でいいんですか?
思い出す瞬間も大事だけど、私はそれまでに「何で気づかないの?」「ほら、それは兄弟だからだよ!」と何度もヤキモキしたいんです。
冬ソナでミニョンさんが弾けないはずのピアノを弾いたときのように、ユジンに好きな季節を尋ねて「憶えておきたくて」と添えたときのように。「ほら!!!」って身を乗り出したいんです。
想像してみてください。
ヨンダルが何となく「黒い傷のブルース」を歌っているのを、ドンスが耳にしたら?
「お前、何でそんな歌知ってるんだ?」「え?なんでか分かんないけど、昔から好きなんです」「へぇ~」
そんなやり取りに、「それは君たちのお父さんがいつも歌ってたからだってば!」って、教えてあげたくなりませんか?
彼らが兄弟だと分かるまで、ヨンダルが記憶を取り戻すまで、私はそうやってヤキモキしたかったんです。
それに、シネからドンスが兄だと説明されるのもそれほど悪くなかったけど、それはジェジュンの静かな演技がものすごく良かったからかと。
失っていた記憶を取り戻すスイッチ、離れていた何かを結びつける糸になるアイテムがあって、それに呼び起こされる形でこのラストに辿り着ければ良かったのに…。
本当に本当に残念です。
記憶喪失にはうるさいだけに(笑)
2.安易に何でもホイホイ出しすぎ。そしてすぐに引っ込めすぎ
5年は刑務所暮らしだと言っていたマンボンを、5年辛抱出来ずにすぐ出しちゃう。
1年後には金を返すとヨンダルは言ったんだから、せめて出すのは1年待とうよ。それとも、もう1年経った?
そして、出したと思ったら、ミン社長に叱られて、尻すぼみ。
「人生で大事な勝負の時、切り札になってやる」と言ったチャンボン氏。
「そのときになったら訪ねておいで」と言われたら、さっそくすぐに訪ねて行っちゃう。
”切り札”のネームバリュー真っ逆さま。
「ドンスとヨンダルが怪しい!」とコ・ボクテ側に気付かせ、私たちを「ヤバイ!」と焦らせておいて、
「過去の情報屋だったから、やっぱ大丈夫♪」とすぐにスルー決定しちゃう。
ヤンハがディーラーと恋愛中だと聞いて、早速ジョンヒを呼び出して尋ねるも、
「私は関係ない」と言われて、ピルサンは弱点を掴み損ねる。
こうやって出しては引っ込め…を繰り返されると、エンジンを何度もふかしてるだけで、進んでないのに疲れる…そんな感じ。
こっちもついていこうと構えてるんですから、ダッシュした途端、急に引き返さないでください。お願い。
3.大事な部分で何か誤魔化されてる気分
チャンボンさんがヨンダルのために金を出そうと思ったのは「顔相」。
マンボンが早く釈放された理由が「天が助けてくれた」。
チャンボンさんがヨンダルを助けるのは「命の恩人だから」でいいし、
マンボンの釈放理由が特定できないなら、「なぜ早く出てきたのかって?」ってマンボンにわざわざ強調させなくてもいいのに。
なんてイチイチ文句タラタラ(笑)
そうやってぼやかされるから、モヤモヤしたものが蓄積されていきます。
+-+-+-+
さてさて、「訳し終わったら書くんだー」と思ってたことを、いざ書くときになって思い出す大変さ^^;
忘れないだろうと思っていても、私は訳すそばからどんどん内容を忘れるタイプなのを忘れてました。
また思い出したら、飽きもせずにどこかで吠えますね。
ここまで書いたことは、今後の展開の都合でそう描かれているのかもしれません。
あくまでも、「今の時点で感じたこと」だということで、ご了承くださいね。
また、「おまい、そんなに文句言うなら自分で書け!」というツッコミも、謹んでお受けします。すみません!
最後、コ・ボクテが断った殺し屋がドンスを刺したのは、「コ・ボクテもまとめて片付ける」と言っていたユン会長の差し金でしょうか。
よくもこれだけヤバイ顔の人を連れて来たものです(笑)
ドンスがどうなってしまうのか…
あれだけ念入りに刺されれば、主役でなければ死ぬところですが…どうでしょうね。
私は「何とか一命を取りとめるけど、今度はドンスが記憶をなくしてしまい、ヨンダルが兄のために奮闘」にチップ20枚!
#主役かと思っていた人が結構早くに死んでしまったドラマを考えていて、kinki kidsの出てた「人間失格」を思い出しました^^
宜しければ皆さんの予想も聞かせてくださいね。
今回もいつもに増しての長文、そして乱文。お付き合いいただきましてありがとうございました。
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ジェジュン、イ・ボムス、イム・シワン、ペク‥チニ出演「トライアングル」12話の後 …
Comment
毎回読ませていただいています。
本当に素晴らしい方がいるんですね。尊敬します。
これからもよろしくお願いします。
ツッコミも大好きです。ガンガン突っ込んでください。
エンディング後の書き込みに爆笑~~~!!!
ナイス!です。
私も何度・・・・はぁ?を繰り返したことか・・・・
重要ポイント!!と、留めた事柄が軽くスルーされたり・・・・
回想の多さ・・・(記憶の呼び起こしには 役立ちますが・・・)
ストーリー展開をセリフで誤魔化されちゃっても~~~(笑)
ヤンハは完全に【M男】にしか見えません・・・拒絶されたから好きになって・・・痛烈な態度と言葉しか浴びせられていないのに なぜドンドン好きになるのか?????
冒頭の”黒い傷のブルース”すっごい重要アイテムだと思ったのに・・あれ?この鍵は・・・ヤンハに使われるのかしら?
ユジナさんのお蔭で数段ドラマ視聴が楽しみです。・・・ってもう最終話が迫って来ていますけれど・・・ありがとうございます❤