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マンホール-不思議の国のピル最終話あらすじ&日本語訳vol.2

   

ジェジュン、ユイ、チョン・ヘソン、バロ出演のKBSドラマ『マンホール 不思議の国のピル』16話(最終回)レビュー、後半です。

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”花嫁”の手を引き、ピルがやって来たのは、思い出の公園だ。
町が見下ろせる高台にあるそこは、幼い頃にピルが彼女にプレゼントした、とっておきの場所だった。

ピル「あぁ、いい気分だ!スジン、大丈夫?」
スジン「うん。ピル、刺されたところは大丈夫よね?」
ピル「あぁ。リセットされたから何ともない。心配するなよ」
スジン「そこは時間旅行のいいところだね。あんたが死んじゃうんじゃないかって…すごく心配したの」
ピル「俺はさ、お前がまた覚えてなかったらどうしようって、それが心配だったんだ」

「…。」スジンは彼に近づくと、そっと抱きしめた。「ピル、もう絶対離れないでいようね」
ニッコリと微笑み、ピルも彼女をしっかりと抱きしめる。「あぁ」

#このピンクのジャケット最高♥映えるね~

ピル「どこにいようと、どの時空にいようと… いつだってそばにいるから。心配するな」

彼女の肩に手を添えて体を起こすと、ピルは優しい眼差しで彼女を見つめた。

その大きな手を彼女の首に回し… そっと口づける。

川の向こう側に、もうじき日が沈もうとしていた。
ミルク色の柔らかい日差しが、二人を優しく包みこんだ。

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1ヶ月が経った。

夜の12時が近づくたびに、二人は毎日戦々恐々としてその時を迎えた。
いつまたマンホールに吸い込まれるか、離ればなれになるか、それが怖かったのだ。

今夜もまた、バルコニー越しに赤い糸で互いを結び、12時に備える。
「スジン」どうにも落ち着かず、ピルが声を掛けた。「大丈夫か?」

スジン「うん、大丈夫。まだ送還されてないよ」
ピル「不安でどうしようもないんだ。そっちに行くよ」
スジン「どこに?私の部屋?」

「あぁ」ピルは立ちどころに手首の糸をはずし、手すりを乗り越え、彼女の部屋へ転がり込んだ。

スジン「ちょっと!おばさんたちが起きたらどうするのよ」
ピル「平気だってば」

ピルは大喜びでスジンのベッドに潜り込む。

スジン「あんたどうするつもりよ!」
ピル「送還されるなら一緒じゃないと」

「早く来いよ」ピルは彼女の手を掴み、布団の中に引っ張り込んだ。
「ほら、手を」指をしっかり絡め、固く手を握り合う。
戸惑っている彼女を見て、ピルはニッコリと微笑んだ。

スジン「12時過ぎたら帰ってよね」
ピル「分かったってば。ところで… これ何の音?」
スジン「何?」
ピル「心臓の音みたいだけど」
スジン「違うもん。あんたの心臓の音だよ」

「そうかな」ピルが愉しげに笑った。「こうしてるとホント幸せだな」
「知らない!」スジンが照れて、彼から目をそらす。「何時か確かめて」
ピルが携帯を出してみると、ちょうど11時59分を回っていた。

スジン「はっ!」
ピル「10,9,8,7…」
スジン「どうしよう…」

二人はギュッと目を閉じた。

数秒後…

「おい」ピルがスジンのおでこをチョンとつつく。「送還されなかった」

スジン「はぁ、今日も無事過ぎたわ」
ピル「スジン」
スジン「ん?」
ピル「このまま泊まっていこうかな」
スジン「…え?」

そのときだ。
「スジン!」ドアの向こうで、スジンの母親の呼ぶ声が響く。
「!!!」ピルは大慌てでベッドの反対側へ転がり落ちた。

スジン「(母親を迎え)お母さん」
スジン母「まだ起きてるの?誰と話してたのよ?」
スジン「チンスクと電話してたの」

ベッドの向こうで布団をすっぽり被り、ピルはニヤリと笑う。

スジン母「寒いのに窓なんか開けて」
スジン「自分で閉めるから!おやすみなさい」

「おやすみ」スジンの母はピルに気づくことなく、部屋を出た。
「なぁ」ピルが興奮した顔で布団から顔をだす。「これ、スリル満点だな」

スジン「あんたのせいで生きた心地がしないわ!」
ピル「スジン、明日もやろうよ」
スジン「もう!」

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朝。

スジンの母はソファに横になったまま、物憂げな声を上げた。「はぁ」

スジン父「いつまでそうしてるつもりなんだ?」
スジン母「引っ越さなきゃ。家を出りゃ会う人会う人”どうして破談にしたのか”って訊くのよ。恥ずかしくて顔を上げて歩けないわ」
スジン父「縁がなかったんだ。スジンが嫌だっていうんだから、仕方ないだろ」
スジン母「はぁ、恨めしいわ」

そこへ、スジンが出かける用意をして2階から下りてきた。「スタジオに行ってきます」
「あんた!」ここぞとばかりに母親が立ち上がる。「こんな状況で仕事になるわけ?」

スジン「お母さん、やめてよ」
母「まだピルとつき合うつもりなの?」
スジン「ピルの何がいけないのよ?!」
母「言わなくてもわかるでしょ。無職だし何の取り柄もない子と、何であんたが?」

そのときだ。
「わぁ!やった!俺、合格したのか?!」叫び声が聞こえてくる。

スジン父「何だ?ピルの声じゃないか?」

「きゃぁ!」スジンが嬉しそうに叫んだ。

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ピルが2階の自室から駆け下りてきた。「父さん、母さん、合格したよ!」
「?」両親は顔を見合わせる。

ピル母「あなた、ひょっとしてピルが…」
ピル父「!」
ピル母「ピル?」

「あっ!」両親にクルリと背を向け、ピルは玄関を躍り出た。

ピル母「どこ行くのかしら」
ピル父「ははは、スジンのところへ行くんだろう」

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「スジン!」ピルがスジンの家に飛び込んでくる。「警察官に合格したぞ!」
「やったね、ピル!」ピルが大喜びで抱きついた。

ピル「全部お前のお陰だよ!」

「我々もいるんだが」スジンの父が気まずそうに唸る。

スジン母「何て破廉恥な」
ピル「(ペコリ)おはようございます、お父さん、お母さん」

「僕、合格しました!」そう言って、ピルは印籠でも見せるように携帯の画面を突き出した。

『果てしなく長い関門を通過し、警察採用試験に最終合格なさったことを心からお祝いします。
新人研修課程を終え、国民と共に歩む温かく信頼のおける警察官となられますよう』

スジン母「(納得)一寸の虫にも五分の魂って言うけれど… とにかくおめでとう」
ピル「ありがとうございます!」

ピルの両親が息子を追って駆けつける。「本当?!」
「本当だよ」そこでようやくピルは両親にも合格通知を披露し、親子3人、人目もはばからず抱き合った。

ピル母「10年の胸のつかえが一気に下りたみたい!これで胸を張って歩けるわ」
スジン父「おめでとうございます!」
ピル父「えぇ、ありがとうございます!」
スジン母「おめでとうございます。誠意を尽くせば天に通じるって言うけれど、ついに合格しましたわね」
ピル母「ピルはもともとデキる子だったけど、スジンのお母さんが気づかなかったのよ」
スジン母「…。」
ピル母「ピル、食べたいものがあったら全部言いなさい。美味しいもの作ってあげるから」
ピル「はい!(スジンに)スジン、仕事に行かなきゃいけないよな。送って行くよ」

「行ってきます!」大人たちに頭を下げると、二人は風のように出掛けていった。

スジン母「あら、こうして見たら、すごくお似合いのような気もするわねぇ。そうじゃありません?」
ピル両親「…。」
スジン父「そうだな!」
スジン母「でしょ?」

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ソクテは長く過ごした自習室で荷物をまとめていた。

『勉強すれば美人とつき合える!』目の前にぶら下がる張り紙をはがし、見つめる。「…。」

そこへ勉強仲間がやってきた。「合格するなり引き払うのか?」

仲間「寂しいな」

「おめでとう」皆がソクテを取り囲む。

ソクテ「ありがとう。みんなにもすぐ良い知らせがあるよ」
仲間「とにかくおめでとうな。早く給料もらって奢ってくれよ」
ソクテ「あぁ。飲みたい時は連絡しろよ。奢るからさ」
仲間たち「オーケー!約束だぞ」

そこへソクテの電話が鳴った。「父さん?」

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ソクテは父に言われ、洒落たカフェへやって来た。
一人でテーブルについていた美女が立ち上がる。「チョ・ソクテさん?」

ソクテ「え?僕?どなたです?」

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ソクテは美女とぎこちなく向き合っていた。

美女「公務員試験に合格なさったんですって?」
ソクテ「えぇ」
美女「私も少し前に銀行に就職したんです」
ソクテ「あぁ、そうなんですか」
美女「お互い安定した職場で良かったわ。そうじゃありません?」
ソクテ「(苦笑)父にどうお聞きになったかわからないけど、僕、実は好きな人が…」

奥のソファー席にいた客が立ち上がる。
手前で背を向けていた女性の顔を見て、ソクテは目を見開いた。「!」
チンスクだ。
「おめでとうございます」「ありがとうございます」商談が成立したのだろか、チンスクと握手をかわすと、相手の男性は先に店を出ていった。

「ふぅ」と息をつくと、チンスクは気まずそうに顔を背けていたソクテに気づいた。「あれ?ソクテ、何してるの?」

ソクテ「チンスク!あ、いや、その…」
美女「ソクテさんのお友だちですか?」

「はい」チンスクがブンと頷く。「どちら様?」

美女「お見合いをしていたところなんです」
ソクテ「!」
チンスク「あ~、お見合い?」
ソクテ「いや、チンスク、そうじゃなくて…」
チンスク「お見合いとは気づかなかったわ」

チンスクは美女にペコリと頭を下げる。「失礼しました」
「ちょっと!上手くやんなよ」チンスクはソクテをポンとつつき、さっさと店を後にした。

ソクテ「(美女に)あの…すみませんけど、僕、好きな人がいて」
美女「えっ?」

「すみません」そう繰り返し、ソクテはチンスクの後を追うように飛び出した。

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屋上部屋へ帰ってくると、チンスクはふっと溜息をついた。「一生私だけとか言っといて、男なんてみんな一緒ね」
縁台に座り、いつもの景色を眺める。「あぁ、いい天気」

そこへソクテが駆け込んで来た。「チンスク!」

チンスク「何よ?お見合いの途中だったんでしょ?」
ソクテ「したくてしてたんじゃない。父さんが相談もなしに決めたんだ。誤解するなよ」
チンスク「チッ、言い訳しちゃて。あんたがお見合いしようがしまいが、構いやしないわよ」
ソクテ「そんな言い方するなよ。俺が別の人とつき合っても関係ないって言うのか?」
チンスク「うん、全然!」
ソクテ「…。」
チンスク「どうせつき合うなら超美人にしなよ」
ソクテ「なんで平気なんだ?俺はお前が別の男といるだけで腹が立つのに」

「…。」チンスクの視線が彼に向かう。

チンスク「知らない!帰るわ」

背を向けようとした彼女の腕を、ソクテが掴む。「待って」

ソクテ「今ハッキリ言えよ。お前にとって俺はただの友だちか?俺を男として見たことないのか?」
チンスク「…。何よ、離して」
ソクテ「イヤだ。今日こそ返事を聞くからな。今言えよ。俺は男としてYesか?Noか?」
チンスク「…。」

チンスクが口を開くのを、ソクテはじっと待った。
「YesかNo」そう言って、チンスクは目をそらす。

ソクテ「何だよそれ?どっちも違うって?」
チンスク「可能性はあるってことよ、このバカ」

「離してってば」チンスクはソクテの手を振り払い、家へ入った。

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客のいないレンタルDVD店のソファで、タルスはギターを爪弾いていた。「♪ 僕の愛した君は~」
そのとき、チョンエが嬉しそうに店へ飛び込んくる。「タルスさん!」

タルス「♪~チョンエ」

タルスは咄嗟にそう曲を締めくくった。

※1988年、イ・ムンセ『街路樹の下に立ってみれば』(이문세/가로수 그늘 아래 서면)の最後の部分。実際の歌詞は「僕の愛した 君は 知っているだろうか」となっています。

チョンエ「え?」
タルス「何でもないよ」
チョンエ「ピルが警察に合格したんだって」
タルス「本当か?あいつ、とうとうやり遂げたんだな」
チョンエ「ソクテもこの間合格したばかりなのに、ピルまで。公務員の友だちが二人になって、すごく心強いよね」
タルス「そうだな。スジンが一番嬉しいんじゃないか。ピルが無職だからって、今までおばさんに認めてもらえなかっただろう?」
チョンエ「合格したって聞いて、態度が180度変わったって」
タルス「はぁ、やっぱり男は成功してこそかな」
チョンエ「心配ないわ。私はタルスさんが成功しなくたって好きだから」

「ふふん」ニッコリするチョンエを眺め、タルスは微笑んだ。

「これ何?」テーブルに置かれたカードをチョンエが指差す。

タルス「中学の同級生が結婚するって、招待状送ってきたんだ」
チョンエ「友だちは皆結婚するのに、タルスさんはしないの?」

「チョンエ」タルスは軽く身を乗り出した。「君は結婚が愛の最終目標だと思う?」

チョンエ「違うの?愛してるから一緒にいたいし、一緒にいたいから結婚するんじゃない?」
タルス「結婚しなくても、愛があれば一緒にいられるよ。俺たちみたいに」
チョンエ「正直、ちょっと怖いの。そのうちタルスさんが心変わりして、いなくなっちゃったらどうしようって」
タルス「結婚しても、別れる人は別れるようになってるんだ。結婚は制度であって、愛を長続きさせる魔法じゃない」
チョンエ「まぁそれはそうだけど」

「チョンエ、こっちを向いて」俯いてしまったチョンエの顔を、タルスが覗き込む。
チョンエが大きな瞳で彼を見た。

タルス「君の気持ちが変わらない限り、俺は絶対に別れたりしないから」

チョンエが素直に微笑む。

タルス「俺を信じて。いいね?」
チョンエ「わかった」

ギターを脇へ置くと、タルスは両手を大きく広げた。「おいで」
彼にしがみつき、チョンエは耳元で囁く。「ところで、さっきどうして私の名前を?」

タルス「!… 歌だよ」

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パク・ジェヒョンは鬱々とした表情で医師の前に座っていた。
精神科医の相談室だ。

医師「薬は飲んでおられますよね?」
ジェヒョン「はい」
医師「どうです?今も感情の起伏は激しいですか?」
ジェヒョン「前より良くなった気はするんですが、まだときどき…」

「ひとまず処方を変えてみましょう」医師がカルテに視線をおとす。

医師「今みたいにコツコツ治療を受けていれば間違いなく良くなりますから、途切れないようになさってください」
ジェヒョン「…はい」

そこへ扉が開き、誰かが入ってきた。
パク・ヨンジュだ。

医師「何かご用ですか?カウンセリング中なんですが」

「保護者です」ヨンジュは余裕ありげに微笑む。
「!」ジェヒョンが驚いて彼女を振り返った。

ヨンジュ「行きましょ、ジェヒョンさん」

彼女はそう言って、手を差し出した。

#この後、ジェヒョンがどうなったのか、この場面からは想像がつきません。カウンセリングを受けていることで、連続通り魔暴行は起こさずに済んだのかもしれませんが、ヨンジュが迎えに来たことで、あまりいい予感はしないですね。

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今日も夜中の12時が近づいていた。
ピルとスジンは手をつなぎ、マンホールの前へやってくる。
11時59分。
二人は両手をぎゅっと握り合わせ、目を閉じた。

そして、数秒後…
そっと目を開けてみて、二人は安堵の息をつく。

スジン「今日も無事だったわ」
ピル「俺、ハラハラしてこのままじゃ我慢できない」
スジン「マンホール塞いじゃおうか?」
ピル「いや、もっといい方法がある」
スジン「え?」

キョトンとして目を見開くスジンを見つめたまま、ピルは腰のポケットを探った。
足元に跪くと、小さな箱を開いてみせる。
中に指輪が輝いていた。

スジン「!」
ピル「スジン。今後いつどこにいても、お前のそばにいられるように… 受け入れてくれよ」
スジン「ちょっと…」
ピル「二度とマンホールで離れ離れにならないように… 死ぬまでお前を守れるようにしてくれ」

「…。」ピルは彼女の答えを待ち、まっすぐに見上げた。
「ポン・ピル」スジンは彼の手を取り、立たせる。

ピル「?」
スジン「もっと確実に、もっとハッキリわかりやすく言ってよ。だって、5文字で済むじゃない。それも長いなら4文字」

「愛してる」スジンが言い終わると同時に、ピルが言った。

※原語では「4文字で済むじゃない、それも長いなら3文字」と言っています。4文字として考えられるのは결혼하자,사랑한다 3文字なら결혼해, 사랑해あたりかと。

スジン「!」
ピル「愛してる、スジン」

スジンは言葉もなく、目を大きく見開いて彼を見つめた。

ピル「スジン、結婚しよう」

スジンは目を潤ませ、左手を差し出す。「気が変わらないうちに、早く指輪を嵌めて」
28年分の愛のこもった指輪が、スジンの細長い指にするりと嵌まった。

口づけを交わす二人の頭上で、街灯が祝福するかのようにチカチカと点滅した。

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2年の月日が経った。

ぐずっている赤ん坊を膝に抱いているのは、ピルだ。
カメラの向こうで、スジンやファミリーたちが赤ん坊を笑わせようと悪戦苦闘していた。

スジン「ピルは赤ちゃんをあやすのも上手ね」
チョンエ「そうよね。ピルにこんな才能があったなんて」
タルス「感心するよ」
ピル「理想の花婿No.1だって前から言ってたろ」

「ウリ~」ソクテとチンスクが入ってくる。
チンスクがピルの膝から赤ん坊を抱き上げた。

ソクテ「(赤ん坊に)ウリ、パパに会いたかったろ。遅くなってゴメンな」
ピル「おいソクテ、父親のくせに、赤ん坊預けてこんなに遅くなるなんて」
チンスク「仕方なかったのよ。お弁当屋さんが大混雑だったんだから」

仲の良いピルとスジンを、クギルが眺める。「お前らに子どもが出来たら、ピルが面倒みなきゃな。あやすのが上手だ」

ピル「もちろん。スジン、お前は産むだけでいいからさ。育児は俺が責任持つ」
スジン「うん」
クギル「(呆れ)あ…」
タルス「おいおい、わかったから、また赤ん坊が泣かないうちに写真撮ろう」

皆は仲睦まじくカメラの前に並んだ。

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彼らの様子を、ひっそり観察している謎の集団があった。
理解し得ない言葉で、何やら話し合っている。

「アノ人間カ?ワレワレノ ワームホールヲ 利用シタノハ」
「ハイ 不可能ナミッション二挑戦シタソウデス」
「不可能ナミッション?ソレハ何ダ?」
「愛ヲ成就サセヨウトシタヨウデス 28年カナワナカッタ愛ヲ」
「愛?ソレハ人間ニトッテ ソレホド重要ナノカ」
「ソレデ ミッションハ成功シタノカ?」
「御覧ノトオリ」
「興味ブカイ 記録シテオケ」
「ワームホールハ撤収シマスカ?」
「イヤ ソノママニシテオケ 人間タチノ愛ヲ モット研究シナケレバ」
「適合者ハ イルノカ?」

彼らの焦点が… クギルへ向かった。

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ビリヤード台を念入りに拭きながら、クギルはふと壁の時計を見上げた。12時少し前だ。「チョンエは店じまいしたかな?」
彼は電話を取り出す。

クギル(電話)「あぁ、チョンエ、あはっ。店は閉めたか?」

チョンエは夜道を歩いているところだ。「うん。買い物して家に帰るところよ」

チョンエ(電話)「何か用?」
クギル(電話)「いや、ただ… 何となく。あはっ。なぁチョンエ、腹減ってないか?交差点の屋台で待ち合わせる?うどん奢るよ」
チョンエ「何でクギルさんとうどん食べなきゃいけないの?タルスさんとラーメン食べることにしたんだから」

「切るわよ」チョンエはさっさと電話を切る。「変な人だわ、全く」
クギルは深く溜息をつき、それでもすっかり慣れっこのように呟いた。「だよな。こんな時間にうどんなんて、太るだけだ」

クギル「帰って寝るか」

時計が12時を指す。
扉へ向かううち、クギルの姿がすぅっと消えた。

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「時が経つのは早いよな」二人で公園をのんびり歩きながら、ピルが言う。

ピル「結婚してもうすぐ1年だ」
スジン「うん。それにしても、全く送還されないってことは、もうマンホールは動いてないみたいだね」
ピル「そうだな」

「ふぅ」ピルが深く息をつく。

ピル「マンホールがなきゃ俺たち一緒になることもなかったろうな。考えてみたら、すごくありがたいマンホールだ」
スジン「うん」

二人は見つめ合い、幸せを噛みしめる。
そのとき!
「おぉい!!!」すさまじい雄叫びと共に誰かが駆けて来た。
クギルだ。「おい!頼むからちょっと聞いてくれよ!」

ピル「どうしたんだよ、兄貴?」
クギル「みんなにこの話をしたら、頭がおかしいって」
二人「?」
クギル「けど、お前らは信じてくれるよな?」
スジン「何?」

クギルがふいに声をおとす。「夜の12時に妙なことが起きるんだ」

ピル「!」
スジン「!」
クギル「高校生になったり、幼稚園児になったり、過去と現在を行ったり来たりしてな」

話を聞くうち、二人の顔に笑みが滲む。

クギル「おい、軍隊にもまた行ったんだぞ!」

そこまで聞いて、二人は同時に吹き出し、顔を見合わせた。

クギル「今、俺に起きてることなんだから!リアルだぞ、リアル!」
ピル「はははっ」
クギル「なんで笑うんだよ?」

二人はクギルを指差し、声を揃えた。「マンホール?!」

~~~~ 完 ~~~~

全16話の翻訳はこれにて終了です。

タイムスリップという題材をどう料理するか、それが最大の見所でした。
最後まで訳してみて、まさにそのタイムスリップの扱いが、一番むずかしいところだったと思います。

まずは、最後のスジンを除き、いつもピル一人でタイムスリップしていたこと。
事情を知っているのはピルと視聴者だけ。
何も知らない周囲の登場人物は、当然物語に深く踏み込んでこられません。
それどころか悪戯にピルを責めることも多く、見ていてストレスを感じることの方が多かったです。
昏睡状態ver.で出て来たクギルのお父さんは、ものすごく心強かったですよね。バック・トゥ・ザ・フューチャーで主人公マーティに頼もしい相棒ドクがいたように、ピルを支えてくれる誰かの存在が必要だったと思います。

次に、タイムスリップを繰り返すと、以前のことは全てリセットされてしまうこと。
ストーリー面でも感情面でも繋がりがなく、ピルを好きだったチンスクが、次は何事もなかったようにソクテと付き合っていたり、後半へ行くほど戸惑うばかりでした。
途中から「どうせリセットされるんだから」と思いながら見るようになりましたし、ピル自身もそう思っている節がありましたよね(※チンスクと結婚する流れになっていた回)
ピルが諦め半分なのに、見ている人の心に響くわけがありません。
最後の方はリセットルールがウヤムヤになっていましたが、毎回何か一つ、リセットされずに引き継がれる要素があっても面白かったかもしれないと思いました。

また、辻褄が合わず、釈然としないまま話が進むことも多かったです。
たとえば、スジンがピルに宛てた高校時代からの手紙を、ソクテが横取りしていたこと。一番言いたいのは”このエピソード自体いらない”ってことなんですが(笑)、それにしても妙です。兵役時代、ピルから手紙の返事が来なかったことを怒っていたスジン。返事が来ないのは高校時代からなのに、それについては全く気にしている様子はありません。そういうところを見過ごせない私は、いつもどこか気持ちが悪~いまま翻訳を続けている状態でした^^;

気がつけば文句ばかり長くなってしまいましたが… ひたすらスジンを思って走るピュアなピルの姿は見ていてとても清々しく、何とか上手く行ってほしいと応援できる主人公でした。
ジェジュンさんの主演作を訳すのはこれで3本めですが、彼自身元々そういう人柄なんでしょう、愛情深くて優しい演技が私はとても好きです。
ユイさんの演技は『美男ですね』以来でしたが、そのときとはまた違う、スカッと気持ちのいい一面を観られて、すごく新鮮でした。
これからもキャストの皆さんの活躍を見守りたいと思います^^

あ、最後にクギル兄がワープする終わり方、これは好き!続きの会話がもう少し観たかったですね^^

ではでは、ここまでお付き合いいただきました皆様、本当にありがとうございました。
心から御礼申し上げます。
またいつか^^

yujina

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