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マンホール-不思議の国のピル14話あらすじ&日本語訳vol.1

   

キム・ジェジュン(JYJ)、ユイ、チョン・ヘソン、バロ(B1A4)出演のKBSドラマ『マンホール 不思議の国のピル』14話のあらすじを、細かいセリフの翻訳を混じえて紹介します。

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「スジン」後ろから聞こえた声に、スジンは慌てて”手に持ったモノ”を戻した。

ジェヒョン「どうしたんだ?」
スジン「ジェ、ジェヒョンさん… このバッグ、何?」

「これ?」何でもないようにバッグを掴むと、ジェヒョンはファスナーを閉じる。「運動するときに使ってるんだ」

スジン「…ジェヒョンさん」
ジェヒョン「何?」
スジン「…。」
ジェヒョン「言いかけたのに、どうしてやめるんだ?」
スジン「う、ううん、別に…」

いつもの穏やかな表情で、ジェヒョンは彼女が震えているのを観察する。「急にどうした?」

スジン「ホントに何でもないの」
ジェヒョン「そんな堅い顔して、何を考えてたんだ?」

ジェヒョンがスジンの手を取ろうとしたのを、彼女は思わずビクリと後ずさりする。

スジン「あ… ご、ごめん。どうしちゃったんだろ」

「家に戻ろう」ジェヒョンはキャリーバッグを掴み、もう片方の手でスジンの腕を引いた。

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リビングで夫がキャリーバッグに荷物を詰めるのを、スジンはそばに立ったまま黙って見つめた。「…。」

夫の左手首に、クギルが描いたものと全く同じ傷がある。
昼間、ピルが夫を殴ったのは、事件現場で見つかった装身具の欠片が、夫のキーホルダーと同じだったことが発端だ。
さらに、ニュースで報じられていた黒い帽子と黒いマスクが、夫の車のトランクから見つかった。
全ての状況が、一点を指し示していた。

ふいにジェヒョンが顔を上げ、彼女に微笑みかける。
「あ、私、キッチンで何かやることがあったんだけど」我に返ったスジンは、誤魔化すようにキッチンへ向かった。「何だっけ?」

立ち上がり、ジェヒョンはゆっくりとスジンに近づく。「イギリスへ行ったら、前にデートしたところへ行ってみようよ」

ジェヒョン「ハイドパークを散歩して、ポートベローマーケットに行くんだ」
スジン「そうね、行きましょ」

ダイニングテーブルの脇を抜け、逃げ場のないキッチンの奥へたどり着く。
そこまで追い込んだところで、ジェヒョンは彼女を後ろから抱きしめた。「間違いなく楽しい時間になるはずだよ」

「!」スジンはさっと彼の腕の中をすり抜ける。「出発は何時だった?」

スジン「出発の前に食事をしなきゃ。何を食べようかな?こんなことなら買い物に行っておけばよかった」

「今から行ってくるわ」突破しようとしたスジンの前に、ジェヒョンがすかさず立ち塞がる。「途中で買えばいいよ。気にすることないさ」

スジン「…そうかな。そうよね」

スジンはシンクを振り返った。
「洗い物しなきゃ」夢中でシンクの洗い物を手に取ると、ジェヒョンが隣に並ぶ。「手伝おうか?」

スジン「いいの!ジェヒョンさん、私が…」

ジェヒョンがまな板の上の洗い物をシンクへと移し始める。
そこに置いてあった果物ナイフに、スジンは凍りついた。
ジェヒョンがナイフを手に取り、ニヤリとして彼女を振り返る。「…。」

「私がやるから」彼の指先からナイフをそっと抜き取り、シンクへ置いた。

スジン「ジェヒョンさんはシャワーにして」
ジェヒョン「…。」
スジン「シャワーしに入ったのに、どうしてそのまま出てきたの?」
ジェヒョン「二人でやればすぐ終わると思うけど」
スジン「シャワーから出る時に、イギリスで着る服と下着を持って出てきて」
ジェヒョン「…。」
スジン「イギリスはここより涼しいよね?長袖やカーディガンも用意してね」

「…あぁ」ジェヒョンはようやく彼女から離れ、洗面所へ向かった。

スジン「…。」

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シャワーを終え、髪を乾かして出て来てくると、ジェヒョンはすぐ異変に気づいた。
スジンがいない!

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家を脱出したスジンは、タクシーに乗っていた。
電話が鳴る。
ジェヒョンからだ。「!!!」

「スジン、こいつを信じちゃダメだ!ホントに危険なヤツなんだ」必死で訴えるピルの顔が思い浮かぶ。
ピルの言うとおりだったのだ…。

スジンは素早く電話の拒否ボタンを押した。
連絡先を開き、ピルの名前を選ぶ。

スジン「…。」

発信ボタンを押そうとして躊躇った末、どうしても押せずにそのまま画面を閉じた。
ピルを信じようとせず、二度と会わないなんてヒドイことを言ってしまったのだ。
それなのに都合よく電話できるほど、図々しくはなかった。

スジン「どうしよう… どうすればいいの?」

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チンスクの焼き鳥屋は今夜も賑わっていた。
そこへスジンがフラフラと入ってくる。

チンスク「スジン、どうしたの?」
スジン「チ、チンスク…。ちょっと話せない?」

「あんた、何かあったの?」ただごとではない様子のスジンに、チンスクは目を丸くする。
スジンが何か言おうとしたのを、客の声が遮った。「こっちにお酒一つ追加ね」

チンスク「スジン、急いでお客様のところへ行ってくるから、ちょっとだけここにいて。ちょっとだけよ」

チンスクが急いで客に注文の品を出し、戻ってみると、スジンはもうそこにはいなかった。

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実家へ戻ってくると、スジンは門柱のインターホンを押した。「おかあさん、私よ」
スピーカーから明るい母の声がする。「あぁ、スジン?パク君、スジンが来たわよ!」

スジン「!!!」

「えぇ、お義母さん」インターホンのマイクが、後ろにいるジェヒョンの声を拾った。

スジンは逃げ出した。
玄関から飛び出してきたジェヒョンは、曲がり角を消えていくスジンを確かめてから、車に乗り込む。

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ピルは為す術なくスジンのマンションを見上げていた。「スジン…」
そこへ、電話が鳴る。
発信者は『My Precious』
「!」ピルは急いで電話を取った。「もしもそ、スジン!」

スジン(電話)「ピル!助けて。すごく怖いの…」
ピル(電話)「今、どこ?」

+-+-+-+

スジンの乗ったタクシーの真後ろを、ジェヒョンの車が追いかけていた。
ジェヒョンの車の前で、信号が赤になる。
前のタクシーが遠ざかっていくのを、ジェヒョンはじっと見つめた。「…。」

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しばらく行ったところで、スジンはタクシーを降りた。
そこでピルと落ち合うことにしたのだ。

少しすると一台の車が、スジンの来た方向から近づいてくる。
ジェヒョンだ。
前方に立っているスジンを、ジェヒョンは確認した。

#ちょっとー!後ろから追ってきてるのわかってるのに!何やってんだよースジナ~

反対側の車線に、もう一台、別の車が停まった。
降りてきたピルが、キョロキョロとスジンを探す。

スジン「ピル!」
ピル「スジン!」

ピルが道路を渡ろうとして、通行車両にはばまれるのを、ジェヒョンは車の中から窺った。「またあいつか!」

ピルが道路を渡り始めると同時に、ジェヒョンがアクセルを踏みこむ。
「?!」一直線に突っ込んでくる車に気づいたスジンが、ピルを庇おうとした瞬間、二人はもつれ合うように車に弾き飛ばされた。

起き上がったピルが、倒れているスジンに駆け寄る。「スジン!しっかりしろ、スジン!」

何てことだ…
スジンを轢いたのか…?!
後ろを確かめたジェヒョンは、無我夢中で車を発進させた。

+-+-+-+

スジンはただちに病院へ運ばれた。

ピル「スジン!俺が絶対死なせないからな!何が何でも助けてやるから!スジン、死んじゃダメだぞ!」

ピルの前で、スジンを運ぶストレッチャーが手術室へと消える。
「保護者の方はこちらで」ピルの前で扉が閉ざされた。

祈るしかなかった。

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程なくスジンの両親が駆けつける。

スジン母「スジンは?スジンはどうなったの?」
ピル「たった今手術室に入りました」
スジン父「ひどい怪我なのか?」
ピル「…意識がないんです」

そこへジェヒョンがやってくる。「スジンが事故にあったんですって?どういうことなんですか?!」

#わぁーホント驚きだわー(棒読み

スジン母「パク君、スジンがひき逃げに遭ったらしいの」
ジェヒョン「…。」
母「さっき家に来てたでしょ?それなのに、家に入らず(ピルを指差し)こいつに会って、事故に遭ったのよ!」

頭に血が上った母親が、ピルを責める。「スジンのこと追い回して、しまいには事故に遭わせるなんて!スジンを助けてよ!!!」

スジン父「(ピルに)スジンはなぜ君に会おうとしたんだ?」
ピル「スジンから電話が掛かってきたんです。でも、会うなり目の前で…」
スジン父「ひき逃げした奴は捕まえたのか?」
ピル「…いいえ」
スジン父「なんてヒドイ奴なんだ!人を轢いて逃げるなんて!

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焼き鳥屋に会いに来てすぐにいなくなったスジンが気にかかり、チンスクは何度も電話を掛けていた。
応答はなく、呼び出し音が流れるばかりだ。

チンスク「何で出ないのかな?さっき話があるみたいだったのに」

そこへソクテが血相を変えて飛び込んでくる。「スジンがひき逃げに遭ったって!」

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手術が終わり、スジンは病室へ運ばれていた。

医師「外傷は治療しましたが、問題は意識が戻らないことです。ひとまず経過を見ましょう」

医師たちが部屋を後にした。

スジン母「あなた… どうしたらいいの?!」
スジン父「気がつくさ。悲観せず肯定的に考えよう」

ジェヒョンは義理の両親の後ろで、何も言わずベッドの妻を見つめた。
スジン… 僕を疑ったりするからだよ。僕が否定したんだから、信じるべきだったんだ。

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どうにもいたたまれず、ピルは病室を出て来た。
そこへファミリーたちが駆けつける。「ピル!」

チンスク「スジンはどうなの?手術は終わったんだって?」
ピル「まだ意識が戻らない」
皆「…。」
ソクテ「なんてことなんだ…。ところでお前、なんでスジンに会いに行ったんだ?」
ピル「助けてくれって、スジンから電話があったんだ」
ソクテ「どうして?何を助けてくれって?」
ピル「それはわからないけど、差し迫ってる感じだった」
チンスク「スジンがさっき会いに来たんだけど、そのときすごく顔色が悪かったの。あのとき話を聞いてあげなきゃいけなかったのに。私があのとき引き留めてれば、こんな事故は起きなかったわ」

「私のせいよ」悲しむチンスクを、ソクテが慰める。「君のせいじゃないよ。そんなふうに考えるなって」
そこへ、病室からジェヒョンが出て来た。「皆さん、いらっしゃったんですね」

ソクテ「ジェヒョンさん、驚かれたでしょう」
ジェヒョン「まだ信じられません。明日一緒にイギリスへ行くことになってたのに、どうしてこんなことに…」
ピル「…。」
ソクテ「すぐ目を覚ましますよ。良い方向に考えましょう」
ジェヒョン「えぇ、そうですね。スジンは今絶対安静ですので、少ししてから入ってみてください」

「…。」じっと黙っていたピルが、突然外へと駆け出した。

ソクテ「おいピル、どこ行くんだよ!」
チンスク「どうしたんだろう」
クギル「みんな、あいつを止めないと何かやらかしそうだ。俺たちも行こう」

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ピルはハンマーを手にマンホール跡へと戻ってきた。
今度こそ掘らなければ!
彼は夢中でハンマーを振り下ろした。

ピル「お願いだ!頼むから俺を連れてってくれ!スジンを助けなきゃいけないんだ!スジンが事故に遭う前まで連れてってくれ!」

頭の上の街灯がチカチカと点滅し、やがて、それも止む。
時間は12時01分を指していた。

ピル「なんで上手く行かないんだ…。頼むから動いてくれよ!!!」

諦めきれず、ピルは再びハンマーを振るった。
そこへソクテたちがピルを追って駆けつける。
「何やってんだ!」ソクテがすぐさまハンマーを取り上げた。「やめろよ!」

チンスク「あんた何やってんの?!」
ピル「スジンがあんなことになってるのに、俺にはしてやれることが何もない。スジンは死の淵を彷徨ってるのに、俺は何の役に立てないんだ」
チンスク「私たちだってみんな一緒なのよ。もどかしいのはあんただけじゃないわ!」
ソクテ「そうだよ。こんなことしてる暇があったらひき逃げ犯を捕まえろよ」
ピル「捕まえてどうなる?だからってスジンが目覚めるわけでもないのに」
ソクテ「…。」
ピル「ソクテ、俺、スジンに何かあったら生きていけない!だから、どうかマンホールを掘らせてくれ」

「ソクテ」ソクテの腕を掴み、ピルはその場にひざまずいた。「スジンを助けられるようにしてくれよ」

ピル「お願いだよ…ソクテ!お願いだから!」
クギル「なぁ、待ってくれよ。マンホールでスジンを助けるって?どういうことだよ?」

「お願いだよ」ピルはソクテの足にすがり、涙を流した。「スジンを助けなきゃいけないんだ!」

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朝になって、ジェヒョンは派出所を訪れた。「ひき逃げ犯のことで何かわかりましたか?」

チェ警査「現場がかなりひっそりした場所で、防犯カメラがあまりありません。別の場所にある防犯カメラを調べてはいるんですが、そちらは車が多すぎて、ひき逃げ車両を特定するのが難しいんです」

「そうですか」ジェヒョンが残念そうに目を伏せる。

チェ警査「事件の捜査が警察署へ移りましたので、そちらの捜査状況を待ってみないといけません。我々も目撃者を探していますので、見つかったらすぐご連絡差し上げましょう。あまり心配なさらないでください」
ジェヒョン「…。」
チェ警査「ところで、奥さんはいかがですか?」
ジェヒョン「まだ…」

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スジンの病室の扉が開き、ピルが入ってきた。
他には誰もいない。

ピル「…。」

ベッド脇の椅子に腰を下ろし、ピルは眠っているスジンを見つめた。
そのか細い手を、ピルは大きな手で包み込む。

ピル「お前は何ともないって… お前にそう言ったくせに。俺が轢かれなきゃいけなかったのに。俺が助けなきゃいけなかったのに…。スジン、俺のこと怒ってもいいから… 俺を友だちだと思わなくたっていいから…いや、二度と会わないと言われたっていい。だから、目を覚ましてくれ。お願いだよ」

そこへ入ってきたジェヒョンは、ベッド脇に座っているピルを見て声を荒げた。「何をしているんです?!」

ピル「スジンの容態を見に来ました」

「もう来ないでほしいですね」立ち上がったピルの代わりに、ジェヒョンが椅子に腰を下ろす。「スジンのそばには僕がいますから」

ピル「昨日、スジンが僕に電話をしてきて、助けてくれと言ったんです」
ジェヒョン「…。」
ピル「何か知りませんか?」
ジェヒョン「僕にわかるわけないでしょう。あなたに電話したのに」
ピル「スジンが僕に助けを求めるくらいなら、夫は状況を知っていて当然では?」
ジェヒョン「僕が夫の役目を果たしていないと?」
ピル「そんな差し迫った状況で、スジンは夫ではなく僕に助けを求めたんです。それが妙だと思いまして」
ジェヒョン「僕も気になりますね。ポン・ピルさんに電話して、どんな助けを求めようとしたのか」
ピル「…。」
ジェヒョン「スジンが目覚めたら本人に訊いてください」

ピルが出ていくと、ジェヒョンは重い溜息をついた。「…。」

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仕事中もソクテはしきりに手を止め、物思いに耽った。
ひとりでに溜息が口をついて出る。
昨日、涙を流してすがったピルの姿が、頭から離れなかった。

しばらく悩んだ末に、ソクテは恐る恐る上司に声を掛けた。「あの…係長」

ソクテ「お話があるんですが」
係長「何だ?」
ソクテ「3ヶ月前に塞いだ憩い公園のマンホールなんですが、再検査をしてはどうかと…」
係長「いきなりそりゃどういうことだ?」
ソクテ「それが… マンホールを掘って欲しいと要望が入りまして、もう一度検査をしてはと」
係長「変な声がするから塞ぐべきだと言っておいて、今度はまた掘ってくれって?」
ソクテ「…。」
係長「全く…」
ソクテ「…ですよね」

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昼休みに、ソクテは会いに来たチンスクと落ち合った。

チンスク「それで、係長さんはダメだって?」
ソクテ「あぁ。どうしてやりゃいいんだ…?スジンを助けるにはマンホールを使うしかないって、ピルは思ってるのに」
チンスク「こんなあり得ないことを悩んでること自体バカらしいけど、それでも、ピルが本当にマンホールを通ってスジンを助けられるなら、私だって掘りたいわ」

ソクテは溜息を一つつき、小さく頷く。「そうだな」

ソクテ「死人の願いだって聞いてやるくらいなのに、生きてる友だちの願いを聞いてやれないわけがない」
チンスク「?」
ソクテ「チンスク、俺たちでマンホールを掘ろう」
チンスク「えっ?」
ソクテ「バカな話だけど、どうせ俺たちスジンにしてやれることは何もないだろ」
チンスク「…。」
ソクテ「ほら、切実な願い事があるときは、お百度参りをしたり、教会で祈祷したりするだろ?俺たちもバカになった振りして、やってみよう」

「…。」チンスクの目にも力が宿った。

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病院の前に黒い車が停まる。
後部席から降りてきたタルスが中へ入ろうとしたところで、やって来たクギルと出くわした。「!」

タルス「…。」
クギル「…。」

二人は近くのベンチに並んで腰を下ろす。

タルス「こんなことになってるとも知らず…。連絡くれればよかったのに」
クギル「お前はもうファミリーに興味もないと思ってたからな」
タルス「そんなわけあるか。俺だってファミリーだ」
クギル「…。」
タルス「お前も事件に遭ったんだって?大丈夫なのか?」
クギル「見りゃわかるだろ。とっくに大丈夫だ」

タルスがふぅっと息をつく。「みんな幸せに暮らさないと」

タルス「なんでやたらとこんなことが起きるんだろうな」
クギル「おい、お前がチョンエのジュース買ってやったらしいな」
タルス「…あぁ」
クギル「たかがジュースを何杯か買ったくらいで、チョンエにしたことを許してもらえると思ってんのか?」
タルス「許してもらいたくてやったわけじゃない。ジュースを買うくらいのことで…」

だんだんと感情が高ぶり、クギルはタルスに向き直った。「もう一つ訊こう」

クギル「なんでチョンエを捨てたんだ?」
タルス「俺といたら不幸になると思って。俺にあの母親がいる以上、親子の縁を断てない以上、チョンエを幸せにしてやれないと思った」
クギル「そんなの言い訳だろ。チョンエへの気持ちがそこまでだったってことだ。お前は単に怖くなって逃げたんだ」

溜息をつき、タルスは頷いた。「あぁ。お前の言うとおりかもしれないな」

クギル「…。」
タルス「お前が俺だったら、最後までチョンエを守っただろうな」
クギル「?」
タルス「前から感じてた。俺よりお前のほうが、ずっとチョンエのこと愛してるって。お前のそばにいたほうが、チョンエは幸せになれる」
クギル「!」
タルス「俺、今世はチョンエを幸せにする見込みがないや。俺の代わりに、お前がチョンエを幸せにしてやってくれ」

驚いてみつめるクギルを見て、タウスはぎゅっと唇を噛み締めた。

彼らの後ろの植木の向こうに、じっと立っている人影があった。
チョンエだ。

長年一途に想ってきたものの、タルスの本心に触れることはほとんどなかった。
幸せにしてくれるのはクギルかもしれない。
それは自分でも半ばわかっていたことだ。
だけど…
タルスの心から染み出したようなその告白は、チョンエの心に静かに…しかし、どっしりと深く突き刺さった。

チョンエ「…。」

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ここで区切ります。

 - マンホール-不思議な国のピル ,