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マンホール-不思議の国のピル12話あらすじ&日本語訳vol.1

      2017/09/22

キム・ジェジュン(JYJ)、ユイ、チョン・ヘソン、バロ(B1A4)出演のKBSドラマ『マンホール 不思議の国のピル』12話のあらすじを、細かいセリフの翻訳を混じえて紹介します。

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忽然と消えてしまったマンホール跡の前に、ピルは崩れ落ちた。「マンホールはどこ行ったんだ?」

ピル「どうなってんだよ?誰がやったんだ?どこ行ったんだよ、マンホール!」

時刻は午前0時3分になっていた。

ピル「送還時間は過ぎてる…。もうマンホールは使えないってことか?」

12話『愛は計り知れぬもの』

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「このお嬢さんに決めたわ」ピルの母は嫁候補の写真の中から一枚、夫に差し出した。

ピル父「やはり君とは嫁を選ぶ目が同じだな。僕もこのお嬢さんが一番気に入ったんだ」
ピル母「あなたも気に入ったなら良かったわ。とても人相がいいし、銀行員だっていうから堅い職業だし、ご両親は教育者らしいから家庭教育もしっかり受けてるはず。何より早く子どもがほしいっていうのが一番気に入ったの。私たちも孫が見たい年齢でしょう?」
父「そうだな。うちのピルだってヨソに見劣りする男じゃないんだから、たいそう立派な孫が生まれそうだ」
母「このお嬢さんだって並大抵じゃないし、どんなに可愛い子が生まれるかしら。あぁ、今から楽しみだわ」

そこへピラが帰ってきて、またしても両親の前を一瞬で素通りした。

母「ねぇピル、この写真見てよ」
ピル「見ない!」

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急いで2階の自室へ駆け上がると、ピルはノートPCを開いた。「えーと…」

『消えたマンホール』ひとまず、そう検索窓に打ち込んでみる。
検索結果は0件だ。

次に『マンホール交換』と入れてみる。
いくつか検索結果が表示された。
”銀河区役所、不良マンホールの整備事業を推進”
”銀河区、不良マンホール整備事業推進 交換および撤去
”小、中、高 マンホール一斉整備、安心して登校してください”
”銀河区に890余りの不良マンホール-事故の危険”

※銀河区とはピルが住んでいる地域です。(婚姻届の住所欄で確認済)

ピル「はぁ、何も出てないじゃないか。なくなった理由がわからないと、何の対処のしようもない」

彼は何とか気を落ち着かせる。「マンホールってどこで管理してるんだ?」

ピル「そうだ、区役所。ソクテが区役所で働いてるって言ってたな」

ピルはソクテに電話を掛けた。

ソクテ(電話)「こんな夜中にどうしたんだ?」
ピル(電話)「実はさソクテ、うちの町のマンホールのことで訊きたいんだ。ちょっと話していいか?」
ソクテ「なぁ、公務員の退勤時間は6時だぞ。業務の話なら明日にしろよ」

ソクテはそのまま電話を切った。
「明日まで待てって?」ピルはガックリと椅子に身を沈めた。

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翌朝。

公園をジョギングしていたジェヒョンは、後ろに気配を感じ、振り返った。

ジェヒョン「…。」

誰かいることはわかっていた。
それが誰かも。

しばらく見ていると、木陰から人が恐る恐る顔をだす。
ヨンジュだ。

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ジェヒョンは公園のベンチでヨンジュと並んでいた。

ジェヒョン「病院に行ったんだって?」
ヨンジュ「うん。おまわりさんに聞いたの?」
ジェヒョン「あぁ」

「ジェヒョンさん」ヨンジュが彼の手を握った。「最近ジェヒョンさんのせいですごく辛いの」

ヨンジュ「ご飯も食べられないし、眠れないわ。このままじゃホントに死んで…」

「だから?」ジェヒョンが冷たく手を振り払う。「いつまでも俺をつけ回して困らせるつもりか?」

ヨンジュ「ジェヒョンさん!」
ジェヒョン「ヨンジュ、俺には家庭があるんだ。頼むからもうやめてくれ」
ヨンジュ「あの人のこと、私より愛してるの?違うじゃない。私たちにはいい思い出がたくさんあるわ。私が何か悪いことしちゃったのよね?その腹いせであの人と結婚したのよね?そうなんでしょう?」
ジェヒョン「いや。俺は妻を本当に愛してる。お前が想像も出来ないほどに」
ヨンジュ「そんな…」
ジェヒョン「俺をつけ回す時間があるなら、ちゃんと治療を受けろよ」

ジェヒョンは足早にそこを去った。

ヨンジュ「ジェヒョンさん!」

ふと見ると、ベンチの上に携帯電話が残されている。

ヨンジュ「!」

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キッチンで朝食を作りながら、スジンの表情は冴えなかった。
昨夜、マンションの前で目撃した夫の姿が、頭から離れなかったのだ。

スジン「…。」

考え耽っているうちに、帰ってきた夫が後ろから覗き込んだ。「何を朝からそんなに考えてるの?」

スジン「しっかり運動してきた?早かったわね」

「座りましょ。朝ごはんよ」迷いを振り払うように、スジンはダイニングへ向かった。

テーブルの上は朝からご馳走の皿でいっぱいだ。

ジェヒョン「朝からこんなにたくさん用意しなくても。大変だろ。簡単でいいよ」
スジン「でも、朝からしっかり食べないと。ジェヒョンさんの好きなイカスープを作ったの。食べてみて」

一口すすって、ジェヒョンは明るく微笑んだ。「美味しい」
いつもと変わらず優しいジェヒョンを、スジンはじっと見つめる。

ジェヒョン「なんでそんなに見るんだ?」
スジン「え?ううん、美味しそうに食べてる姿が素敵だったから」
ジェヒョン「(微笑)君も食べなよ」

ジェヒョンは何気なくポケットに手を入れた。「あれ?携帯がない」

スジン「部屋に置いて行ったんじゃない?」
ジェヒョン「いや、持って行ったよ。ポケットに入れてたのに。ジョギング中に落としたみたいだ」

スジンの電話から掛けてみるも、応答はなかった。

ジェヒョン「いいよ。後で電話してみるから。先に食べよう」

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スジンは夫を見送りに、マンションの下まで出て来た。
「気をつけて行ってきて」そう言って抱き合う二人を、ヨンジュが物陰から見つめていることに気づくことはない。

ジェヒョンが出かけたのを見届けると、ヨンジュは拾ったジェヒョンの携帯から電話を掛けた。
鳴ったのはスジンの携帯だ。「あれ?ジェヒョンさんの電話番号だけど」

スジン(電話)「もしもし」
ヨンジュ(電話)「もしもし、この電話を拾ったんですけど、最新の通話履歴がそちらだったのでお電話しました」
スジン「夫の電話なんです。ありがとうございます!私が今から受け取りに行きます。どちらにいらっしゃいます?」

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公園で待ち受けていると、スジンはすぐに走ってきた。

ヨンジュ「ひょっとして、携帯を落とされた方?」
スジン「えぇ、そうです」

ヨンジュはバッグから携帯を差し出した。「どうぞ」

ヨンジュ「公園のベンチに置いてありました」
スジン「本当にありがとうございます!お礼をさせていただきたいんですけど…」
ヨンジュ「お礼だなんて。私もこの辺に住んでるんです。ご近所同士助け合わないと」
スジン「あぁ、そうなんですね。その代わり、今度お会いしたらぜひご飯でもご馳走しますね」
ヨンジュ「えぇ、ぜひ」
スジン「それでは失礼しますね。本当にありがとうございました」

スジンを見送り、ヨンジュは溜息とともに顔を歪ませた。「…。」

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ピルが制服姿で走っているところへ、携帯が鳴った。
ちょうど区役所の前だ。
「ポン巡査、どこだ?」先輩警察官からだった。

ピル(電話)「あぁ、ええっと…パトロール中に道端で喧嘩を見つけまして、止めているところなんです」

「ちょっとおじさん!落ち着いて話さないと!」ピルは架空のおじさんを叱りつける。

先輩(電話)「あぁわかった、ケリをつけて早く来いよ」
ピル「早く収拾して向かいます」

ピルは大急ぎで区役所へと走った。

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中へ入ると、ピルはちょうど通りかかった職員に声をかける。「チョ・ソクテさんという職員は?」

職員「チョ・ソクテ?えぇ、土木課下水管理班の職員だと思いますが」
ピル「土木課下水管理班はどちらですか?」
職員「あちらへいらしてください」

言われた方へ向かってみると、程なくしてデスクに向かっているソクテが見つかった。「ソクテ?」

ソクテ「おぉ!」
ピル「ソクテ、お前、土木課下水管理班なのか?」
ソクテ「?」

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外で待っていると、ソクテが飲み物を手にやって来た。「ほら、飲みな」

ピル「ありがとう」

ポケットに手を突っ込み、ソクテはコップを口に運ぶ。

ピル「それにしても、お前がマンホールの担当者だなんて鬼に金棒だよ。天が俺を助けてくれてるに違いない」
ソクテ「俺に頼みって何だ?」
ピル「あぁ、トンネルの近くのマンホールなんだけどさ、なんで急になくなったのか気になって」
ソクテ「あそこのマンホールか。区民から要望がたくさん入ってさ。妙な声が聴こえてくるとか、幽霊を見たって人もいて。それで塞いだんだ」
ピル「おい!今どき幽霊を見たなんて、そんなのアリかよ?それに、その程度の要望で問題のないマンホールまで塞いじまうのか?」
ソクテ「どうしたんだ?いつから警察がマンホールの心配するようになったんだよ?」

「…。」このままでは埒が明かない。「なぁ、ソクテ」
ピルは真剣な目でソクテに向き直った。「これから話すこと、よく聞けよ」

ピル「本当に嘘じゃない。真剣なんだ。お前だけでも信じてくれ」
ソクテ「?」

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「信じられないだろ」トンネル前のマンホール跡を、ピルはソクテと並んで見下ろしていた。

ピル「あぁ、俺がお前でも信じられないと思う」
ソクテ「…。」
ピル「けどなソクテ、この信じられない出来事が今俺に起きてるんだ」
ソクテ「ここにあったマンホールを通って、お前が時間旅行に出てるって?」
ピル「過去、現在、未来を行ったり来たりしてるんだ」
ソクテ「…。」
ピル「とにかく、このマンホールがないと時間旅行できない。頼むから復旧させてくれよ」
ソクテ「なぁ、正直に言えよ。お前、クギル兄と賭けたんだろ」
ピル「…。」
ソクテ「お前の話を俺が信じるか信じないか。そうだろ!」
ピル「何言ってんだよ!真剣な話なんだって」
ソクテ「俺は昔のチョ・ソクテじゃない。バカにすんなよ。たださえ午前は仕事が山積みなのに、何夢みたいなこと言ってんだよ?」

「行くぞ」追いすがるピルを振り払い、ソクテは立ち去った。

ピル「ソクテ!信じてくれよ!」

ピルは頭を抱えた。「確かに、いきなり時間旅行だなんて言われて、信じられるわけないよな。どうやって説得すりゃいいんだ?」

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トンネルの中を一人で歩いていた男性に、”黒づくめの男”が襲いかかった。
襲われた男性の叫び声が、マンホールの前にいたピルの耳にも届く。「!!!」
ピルは直ちに”黒づくめの男”を追った。

「待て!!!」スタート以外は超一流のはずのピルの足でも、長身の男になかなか追いつけない。
通りを駆け抜け、横道をすり抜け、階段を飛び降り…
いよいよ男に飛びかかったものの、その手は惜しいところで空を切る。
その弾みで地面に倒れ込んだピルは、すぐ起き上がれずに男を見失った。「!!!」

ピル(電話)「チェ警査、暴行事件発生です」

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ピルはもう一度トンネルまで戻った。
すでに救急隊員と警察官が到着し、被害者を囲んでいる。
先輩のチェ警査の姿もあった。

ピル「取り逃しました。被害者は?」
先輩「ここでいきなり殴りかかられたそうだ。このトンネルはよく事件が起きるな。人相は見たか?」
ピル「見えなかったんです。ずっと後ろを追いかけていたので」
先輩「ひとまず派出所へ戻ろう」

歩き出したそのとき、ピルはふと地面に目を留めた。「ここに何かありますが」
二人は揃って”何か”を覗き込む。

先輩「装身具の一部分のようだが。ひょっとしたら証拠物品になるかもしれないから、持ち帰って分析に出そう」

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開店準備をしているチンスクの店に、スジンが顔を出した。「お~い、ユン社長!」

チンスク「おぉ~どうしたの?」

チンスクの視線は肩から下げたカメラバッグへ向かった。「カメラぶら下げてるの、久しぶりに見たわ」

スジン「忙しい?」
チンスク「ううん、まだオープン前だから。何?」
スジン「それなら久しぶりに外でランチでもどう?」
チンスク「うん、行こう」

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二人の前に美味しそうな昼食が運ばれてきた。

スジン「ここのククス美味しいの。たくさん食べて。奢るからさ」

「おぉ~」チンスクが一口すすって唸る。「美味しい!」

チンスク「今日はジェヒョンさんのお弁当作らなかったのね」
スジン「今日はランチの約束があるみたいでさ」

#ちゃんと朝から予定組んでやってるのか、彼は…。

チンスク「あんたたち本当に幸せそうね。私も結婚したらあんたたちみたいになりたいわ」
スジン「(微笑)」
チンスク「ところで、今日はどうしてカメラを持って来てるの?」

「ふぅ」スジンは小さく息をつく。「ちょっと気持ちが落ち込んでて。写真撮って気分転換しようと思ってさ」

チンスク「どうして落ち込んでるの?あんたみたいにいつも幸せな子が」
スジン「…ねぇ、たいしたことじゃないんだけどさ」

チンスクは緊張で身構える。

スジン「ジェヒョンさんがね、昨日駐車場でどこかのおじさんと言い争いになってたの。そのおじさん、かなり年配の方だったんだけど、ジェヒョンさんが突然タメ口で怒鳴ったのよ。その感じが何となく…」
チンスク「ジェヒョンさんが?意外ね」
スジン「そうでしょ?私もすごくビックリしたの。私の知ってるジェヒョンさんじゃないみたいだった。突然別人みたいに感じて」
チンスク「ねぇ、男の人はカッとなればそういうこともあるよ。ソクテだっておとなしそうに見えるけど、怒ったらすごく怖いもん」
スジン「そう?」
チンスク「ジェヒョンさんはそんな人じゃないし、きっとその人が先に言い掛かりをつけたのよ。それに、怒る時はちゃんと怒らなきゃ。じゃないと甘く見られるわ」

「そうかな」スジンの顔が安心したように明るくなる。

チンスク「何かよっぽどのことがあったのかと思ったわ。心配しないでククス食べなよ」
スジン「そうだね」

近くのテレビからニュースが流れてきた。

ニュース「怒りを調節できずに起きる事件事故が社会的問題になっています。昨日、ソウル中心部で面識もない相手を対象に通り魔暴行事件が発生し、47歳の某キムさんが怪我を負い、病院で治療を受けています」

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ニュース「警察では、無防備な状態で道を歩いていたキムさんに理由なく暴行を加えた加害者が、防犯カメラのない…」

「世も末だよ」派出所で同じニュースを見ながら、シン巡査がぼやいた。「なんでうちの管轄で起きるんだ?鬱陶しい」
そこへチェ警視がピルと共に戻ってくる。

先輩「そこのトンネルでまた事件だ」
シン巡査「またですか?」
先輩「うちの管轄で事件が続いてる。完全に犯罪多発地域だ」

ピルの歩き方に、先輩がふと目を留める。「怪我したのか?」

ピル「あ…はい」
先輩「やれやれ、ポン巡査も苦労ばかりだな。もう帰りな、あとはこっちで処理しておくから」

#ホント気のいい先輩だよね。海の家の叔父さんもそうだったけど、こういう人たちが優しいととても見やすい^^

ピル「はい。必要な時はご連絡ください」
先輩「OK、OK.お疲れさん」

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ジューストラックの前にチョコンと座り、チョンエは道行く人々を眺めていた。

少し離れたところに、車が一台停まっている。
後部座席でタルスが溜息をついた。

秘書「理事、3時からの会議に出席なさいませんと」

チョンエを見つめているうちに、タルスはハタと思いついた。「キム秘書、頼みがあるんです」

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「チョンエ!」クギルが大張り切りで駆けてくる。
「PRチラシを作ったんだ」クギルは手に持っていたチラシの束を得意げに差し出した。

『ホン・ジュース 新鮮なフルーツジュースをたっぷり積んで皆様をお訪ねします』

チョンエ「チラシまで作っちゃって」
クギル「文言、なかなかいいだろ?これを撒けば大当たりだぞ。交差点にでも行って配ってくるよ」

「こんにちは」にこやかに声を掛けたのは、タルスの秘書だ。

チョンエ「いらっしゃいませ。何を差し上げましょう?」
キム秘書「配達もできますか?」
チョンエ「もちろん。何杯でしょう?」
キム秘書「40杯お願いいたします」
チョンエ「40杯?!どちらに配達いたしましょう?」

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チョンエを助手席に座らせ、クギルはジューストラックのハンドルを握った。

チョンエ「クギルさん、自分の店があるのに」
クギル「いいんだ。一人で40杯もどうやって運ぶんだよ」

「一人より二人の方がいいじゃないか」そう言うクギルの顔からは喜びが溢れている。「俺が手伝ってやるよ」

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チョンエとクギルはドリンクのたっぷり乗ったカートを押し、指定されたとおりブルームーン商事の中へ入った。

チョンエ「うわぁ、超立派な会社だよね。OLさんたちも超オシャレでキレイだし。(すれ違うOLを見て)あの靴すごく高いのよ」
クギル「チョンエ、お前の方がずっとキレイだって」
チョンエ「それにしても、どうしてうちのジュースを注文してくれたのかな?」
クギル「俺がチラシを作った途端に注文が入ったんだぞ」
チョンエ「配ってもないのに」
クギル「(ニコニコ)」
チョンエ「とにかく、どんなに辛くてもチャンスは来るものね」
クギル「(うんうん)」
チョンエ「上手やらなきゃ」

「会議室だったよね?」二人は意気揚々と歩き出した。

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チョンエたちはまだ人のいない会議室へ案内された。

キム秘書「各席に一つずつ置いていただければ助かります」
クギル「ご心配なく!」
チョンエ「うちのジュースを注文してくださって、本当にありがとうございます。これからも会議のたびにご連絡さえいただければ、40杯でも100杯でも配達いたしますので」
キム秘書「それが… 私からの注文ではなく、理事の指示でして。私は言われたとおりにしただけなんです」
チョンエ「理事さんですか?」

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タルスのいる理事室のドアがノックされた。
「あのぉ、理事はいらっしゃいますか?」扉を開き、恐る恐る顔を覗かせたのは…チョンエだ!
タルスは大慌てで椅子に座り、デスクのネームプレートを抱えて背を向けた。

チョンエ「?」

窓の方を向いた椅子の背もたれ越しに、頭のてっぺんが見える。
チョンエはクギルと共に中へ入った。

チョンエ「はじめまして、理事。ホン・ジュースから参りました。特別に私たちのジュースを注文してくださと聞いて、ご挨拶に来たんです」

「あ…」タルスは背もたれ越しに声色を変える。「どういたしまして」

クギル「お顔を拝見してご挨拶したいんですが」
タルス「(声色を変え)すみません、初対面の人と話すのがイヤなんです」

「気難しいお客さんだな」クギルが小声でぼやく。

チョンエ「あはっ、そうなんですね。とにかく、ありがとうございます」
クギル「それではまたのご利用をお願いいたします」
チョンエ「チラシを一枚置いて行きますね。人を来させなくても、こちらにご連絡いただければ」

「それでは失礼します」チョンエの声に、タルスは後ろ手に手を振った。

部屋を出ようとして、クギルはふと足を止める。
脇の棚の上には、コミック本と、食べ終わったカップラーメンの容器。
「?」クギルは不思議そうに奥の”理事”を振り返った。

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柔らかい日差しの下、家々の庭先は美しい花と緑にあふれている。
スジンはのんびり歩きながら、意の向くままにシャッターを切った。

スジンの様子を、物陰からそっと見つめていたのは…ヨンジュだ。

タイミングを見計らって、彼女はカメラの前に飛び出した。

スジン「!」

急にファインダーに入ってきたヨンジュに、スジンは驚いて顔を上げた。「あれ?!」

スジン「こんにちは!またお会いしましたね」
ヨンジュ「そうですよね。近所に住んでるから」
スジン「縁があるんだわ。こうしてまた会ったってことは」
ヨンジュ「そうみたい」

「ふふふ」二人は笑いあった。

ヨンジュ「写真をなさるんですか?」
スジン「あぁ、今は趣味で」
ヨンジュ「私も写真が趣味なんです。嬉しいわ」
スジン「ホントですか!専攻なさってたんですか?」
ヨンジュ「いえ、個人的に撮ってるだけで」
スジン「あぁ(頷く)」
ヨンジュン「せっかくこうして会ったんですから、今度一緒に撮りに出掛けましょうよ」
スジン「もちろんイイですよ!一人で撮り歩くのは寂しいですから」

ヨンジュはニッコリ微笑んだ。「さっき、旦那さんの携帯だっておっしゃってましたよね」

スジン「えぇ」
ヨンジュ「まだお若いですし、結婚してそんなに経っていないんでしょう?」

「まだ新婚なんです」スジンは照れくさそうに頭を掻いた。

ヨンジュ「幸せそうだわ」
スジン「あ、そう言えば私、お名前も伺っていませんでしたね」
ヨンジュ「パク・ヨンジュっていいます」
スジン「えぇ、パク・ヨンジュさん…。私、カン・スジンっていいます」
ヨンジュ「えぇ」
スジン「写真撮ったんですけど、ご覧になります?」

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ピルは足を引きずったまま歩いていた。「なんてこった。マンホールも掘れなかったし」
ふと前を見ると… そこにいたのはスジンだ。
まだ彼に気づかないまま、カメラのファインダーを覗いている。

ピル「…。」

昨日のスジンの言葉が蘇る。
過去はキレイサッパリ忘れて、友だちとして再スタートしようと言わればばかりだ。
声を掛けることができず、彼はそこに立ち尽くした。

しばらくすると、ようやく彼女がピルに気づき、笑顔を見せた。「ピル、仕事中?」
「あぁ」歩き出したピルの足に、スジンが目を留める。「足、どうしたの?」

ピル「ええっと… 転んだんだ」
スジン「え?」

「見せて」スジンはピルのズボンの裾をめくり、ハッと息をのんだ。「ちょっと!あんた大丈夫?!」

ピル「…。」
スジン「大変!血が出てるわ。病院には行ったの?」
ピル「…。」

「病院行ったのかって訊いてるのよ!」スジンは苛立った様子で語気を強めた。

ピル「この程度で病院なんか。放っておけば治るさ」
スジン「何てこと言うのよ。応急処置くらいしなきゃ」
ピル「大したことないよ。ホントに大丈夫だから」
スジン「大丈夫なわけないでしょ」

「これじゃダメだわ」スジンはピルの腕を掴んだ。「ついて来て」

スジン「早く早く!」
ピル「なぁ、スジン…」

+-+-+-+

ジェヒョンは薬局のドアを開けようと鍵を差し込んだ。

#これでしょ!さっき現場に落ちてた遺留品。

「ジェヒョンさん」そこへ現れたスジンは、ピルの腕を引いていた。

スジン「昼休みから帰ったところ?」
ジェヒョン「あぁ、だけど、どうして一緒に?」
スジン「ピルが足を怪我したんだけど、死んでも病院に行こうとしなくて。それで連れて来たの」

ピルは下を向いたまま、顔をあげようとしない。

スジン「ジェヒョンさん、治療してあげて」
ジェヒョン「そうか」
ピル「俺は大丈夫だから。もう行くよ」
スジン「ちょっと!その足でどこ行くのよ?言うこと聞かないんだから」

ピルを叱りつける妻を、ジェヒョンは静かに見つめる。「…。」

ジェヒョン「とりあえず入ってください。私が見ます」

+-+-+-+

赤く擦り剥けたピルの足に、ジェヒョンが薬を塗り、上から患部用シートで覆う。

スジン「どう?酷いでしょ」
ジェヒョン「…。」

「もう!」さらに怒りがつのり、スジンはピルをバンと叩いた。「だから病院に行こうって言ったのよ」
「病院に行く必要まではありません」ジェヒョンが淡々と言う。

ジェヒョン「(薬を渡し)抗生軟膏をしっかり塗ってください。何日かすれば治りますから、あまりご心配なさらずに」
スジン「(ピルに)聞いたでしょ。面倒くさがらないでキッチリ塗りなさいよ」
ピル「(薬を指し)いくらですか」
スジン「ねぇ(夫をチラリ)お金なんて。私が連れて来たんだから」

「そうでしょ?ジェヒョンさん」スジンに言われ、ジェヒョンは小さく微笑んだ。

ピル「(溜息)」
スジン「ちょっとあんた、塗ってもよくならなかったら病院行きなさいよ」
ピル「あぁ、わかった」

立ち上がり、ジェヒョンを一瞥すると、小さく頭を下げ、ピルは薬局を出た。

ジェヒョン「…。」
スジン「何よ… あの子、ありがとうも言わずに出ていくなんて…。ありがとう、ジェヒョンさん」
ジェヒョン「うん(微笑)」
スジン「あ、そうだ!ジェヒョンさんの携帯、見つかったわ」

「ほら」スジンが彼の携帯を差し出す。

ジェヒョン「どこにあったんだ?」
スジン「公園にあったんだって。近所に住んでいる女の人が見つけてくださったの」

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ここで区切ります。

スジンは旦那さんを無邪気に刺激しちゃいましたねぇ。

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