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マンホール-不思議の国のピル7話あらすじ&日本語訳vol.2

   

ジェジュン(JYJ)、ユイ、チョン・ヘソン、バロ(B1A4)出演のKBSドラマ『マンホール 不思議の国のピル』7話レビュー、後半です。

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雨に濡れた肩にタオルを被り、チンスクはぼんやり車の前で雨を眺めた。
何も言葉が掛けられず、ソクテはただチンスクの隣に寄り添う。

チンスク「雨でも雪でも軍隊じゃ訓練はあるよね」
ソクテ「…。」
チンスク「夏は汗疹が出来て、冬には凍傷にかかって。食べたいときに食べられなくて、寝たいときに眠れなくて。ピルは辛いだろうね」
ソクテ「心配ないよ。ピルはどんなに基礎体力がしっかりしてるか」
チンスク「瞬発力があるけど、持久力はないよ。それで長距離から短距離に変わったでしょ」
ソクテ「お前、ピルのことホントに詳しいよな」

「だよね」チンスクは一瞬ドキリとした後、ふっと笑った。「あんな役立たずのこと、なんでこんなによく知ってるんだろ」

#韓ドラあるあるの一つ。雨がうるさすぎてセリフが聞こえない。

しばらくすると雨がスッと止んだ。

チンスク「あ… にわか雨だったみたい」
ソクテ「チンスク、今のお前の心も、にわか雨みたいなものだ。ピルが入隊すれば、当分の間は会わずに済むし、会わずにいれば気持ちの整理もつくよ。眼中にないだけで、お前の後ろにピルよりいい男がどれだけ…」

「にわか雨なんかじゃないわ」チンスクが遮った。「もう長いの。とってもね…」

チンスクは高校時代のことを思い浮かべた。

~~~~学校からの帰り道~~~~

廃品を集めている老婆に気づき、チンスクは立ち止まった。

チンスク(心の声)「お婆ちゃん」

と、後ろから来た生徒の声に、彼女は言葉を飲み込む。

生徒「また来てるわ」
生徒「あのおばあさん、乞食なのかな。紙だったら何でもくれってさ」
生徒「そのうちお金もくれって言い出すんじゃない?」
生徒「ちょっと!財布隠しときなよ」

「…。」チンスクはそこを動くこともできず、遠巻きに祖母の背中を見つめた。
そこへ、走ってきたのがピルだ。「お婆さん!」

彼は両手に古紙を抱えて来るとリアカーに乗せた。「僕が来るまで待ってればいいのに、一人じゃ大変じゃないか」

お婆さん「あんたが来ないかと思って、帰ろうとしてたんだよ」
ピル「焼却場で古紙を集めてたんだ。ごめんな。次はちゃんと時間守るからさ」

ピルは親しくお婆さんと話しながら、リアカーいっぱいに積んだ古紙にベルトを掛ける。
彼が人目も気にせず手伝う姿を、チンスクは黙って見守った。

#ここのピル最高❤こんな姿見たらそりゃホロッとくるよ。お婆ちゃんにタメ語なのもイイ^^

~~~~~~~~

「そんなこと、何で俺に話すんだ?」聞き終わったソクテは、戸惑った様子で尋ねた。

チンスク「自分を見てもくれない人を好きになるのが、どんなに辛いかわかるから。あんたにはそうなってほしくなくてね」
ソクテ「…。」

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雨を避け、ピルとスジンは施設の休憩所へ入った。
スジンが温かいコーヒーを差し出す。
「ありがとう」ピルは一口飲み、そのぬくもりに唸った。「あぁ」

ピル「ポカポカしたものが体に入ったら、やっと生きた心地がしたよ」
スジン「バカね。レインコートを用意するなら二つでしょ。どうして私のものだけ?」
ピル「スーパーに買いに行ったら一つしか残ってなくてさ」

「俺は大丈…」そう言いかけて、ピルは大きなくしゃみをした。

#憑依されたかと思った(笑)

スジン「このままじゃ風邪引くわ。タオル貰ってくるから」

「待ってて」スジンが席を立った。

急に一人になり、ピルは告白のことを思い出した。
どうしよう…
困った彼の目に入ったのは、テーブルの上に置いてあるスジンのカメラだ。

彼はレンズを自分に向け、録画ボタンを押した。

『すごく緊張するな。
スジン、顔を見て言えない気がして、ビデオで手紙を残すよ。
明日入隊したら2年間お前に会えなくなるのに…
これ以上は先延ばしにできないな。
えーと…
スジン、不思議とお前の前じゃ寒くても寒くないふり、痛くても痛くないふり、辛くても辛くないふりをするようになってた。
20年以上そうやって過ごしてきたから、正直になる方法を忘れちゃったみたいだ。
だけど、23年ぶりにお前に正直になろうかと思って。
… 俺、お前が好きだ』

『お前にまともな告白一つできない俺だけど、これだけは覚えていてくれ。
日記にも写真にも収められない、大切な思い出…
お前の過去と俺の未来は繋がってるってこと。
今は難しくても、お前と共にする未来のために俺は今日を走ることができるってこと』


『いつもそばでお前を見守って、感謝してる。
お前を守りながら、永遠にそばに留まる俺を覚えていてくれ』

『お前が同じように思ってるかはわからないけど、
俺は2年後も今と変わらないはずだ。
お前が… すごく好きだ。
いや… 愛してる』

「ピル!」スジンの声に、ピルは急いで停止ボタンを押した。
彼はスジンの持ってきてくれたタオルで、濡れた体を拭う。

スジン「大丈夫?」
ピル「ああ、大丈夫」
スジン「チンスクのフードトラック、うまく行ってるかな。手伝えなくて悪いことしちゃったわ」
ピル「心配すんな。俺からチンスクに謝るから」
スジン「あんたこそ手伝わないと」

「…。」ピルは苦笑いを浮かべた。「あ、スジン」

ピル「カメラ大事に持って帰れよ。いいな?」
スジン「カメラ?」

ピルは緊張した面持ちで頷く。

スジン「急にどうしたの?(カメラを手に取り)壊れたのかな」
ピル「あ… 俺、このカメラに…」
スジン「?」
ピル「いや、あとで話すよ。今言ったら面白くないからさ」
スジン「何よ、つまらんない」

「壮行会に遅れるわ。行きましょ」スジンが立ち上がった。

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スジンはカメラやコーヒーを両手に持ち、ロビーをトコトコと走った。
「ゆっくり行けよ」後ろから追いかけたピルは、入れ替わりに入ってきた人物にハッと振り返る。

ジェヒョンだ。

ピル「あいつ、薬剤師じゃないか?見間違いかな」

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ボンボンホップでピルの壮行会が始まっていた。
”もともとの記憶”とは違い、今度はスジンも一緒だ。

流れてきたBGMにピルが眉を潜めた。「この曲、誰がリクエストしたんだ?」

♪ 不似合いな短髪を見せたくなかった
手を振る人々の中に君を残して行きたくない~♪
『入営列車の中で』by キム・ミヌ

チョンエ「私~!あんたへの最後のプレゼントよ」
ピル「…。」
チョンエ「どう?気に入った?」
ピル「今すぐ止めてもらって来いよ。イントロだけでも涙が出るから」

先輩たちが温かく笑う。

チョンエ「そうだと思って、あんたの涙を止めるためのサプライズプレゼントも用意したの」

「ほら」チョンエが差し出したのは、自分の写真だ。

チョンエ「この写真を棚に貼っておけば、あんたの軍生活2年間は安泰よ。きっと先輩たちにも可愛がってもらえるわ」

ピルが素っ気なく投げ返した写真を、クギルがすかさず懐へ入れる。
「私も写真を用意したの」スジンがアルバムを差し出した。「私たちの思い出のつまった写真よ」

ピル「!」
スジン「向こうで憂鬱だったり寂しくなったら見て。楽しい写真がすごくたくさんあるわ」

思いがけないプレゼントに、ピルは思わず声をつまらせた。「ありがとう。大事にするよ」
感激しているピルに、チンスクが乱暴に紙袋を投げ渡す。「100%コットンのパンツ」

チンスク「それ履いてれば汗疹にならないってさ」
ピル「お、お前、何で俺のサイズがわかるんだよ?」
皆「(ニヤニヤ)」
チンスク「一目見りゃわかるでしょ」
ピル「ありがとな」

「これはやらないつもりだったけど」クギルは自分の着ていたジャンパーを脱いで寄越した。

クギル「軍生活を共にした防寒着だ。夜勤のとき着ろよ。冬は寒いからな」
ピル「兄貴が持ってろよ」
クギル「高いもんじゃないから受け取れ。俺の気持ちだ」
ピル「…。」

「ピル、俺はな」今度はタルスだ。

タルス「体をえぐるような寒さよりもっと寂しいのは、お前が感性を失ってしまうことだと思うんだ」

「ほら」彼が差し出したのは一冊の詩集だった「しっかり読めよ」
「OK」ピルが半ばあきれて言う。「俺がいない間、俺の大切さを感じてくれることを願うよ」

ピルはふくれっ面のチンスクをチラリと窺った。「飲もう、チンスク」

チンスク「一日中顔も見せないで、どこ行ってたの?」
ピル「あ、あ、あぁ、えっと、俺、腹の具合が悪くて、1日トイレにこもってたんだ。入隊前のストレスかな」
チンスク「…。」

ソクテがそっとチンスクの横顔を見る。
短い沈黙が流れた。

チンスク「スジンは?写真は撮れた?」
スジン「え?あ、うん」
タルス「写真、見せてくれよ。公募展に入賞できるかどうか、見てやるから。俺は芸術にも強いからさ」
チョンエ「うん、私も見たいわ。写真見せてよ、スジン」

無邪気な彼らの言葉に、スジンは絶句した。「あっ、それは…」

ピル「おい、みんな写真を見たからってわかるのか?公募展に入賞してから見せてもらえよ」
チンスク「…。」
スジン「そうね。うまく撮れたのだけ選んで見せるわ」

「なぁ、ところで」クギルが話題を変えた。「このタイミングで”真実ゲーム”でもやろうか」

チョンエ「そうね!やりましょ。面白そう」
皆「…。」
チョンエ「だってぇ、みんなそれぞれお互い好きなのに、言えずにいる可能性だってあるじゃない?」

ピルとスジンが一瞬視線を合わせ、チンスクが二人の様子を窺う。
気まずい沈黙が場を包んだ。

ピル「おい、何が真実ゲームだよ。むやみにそんなことして誰かの人生終わっちまったらどーすんだよ。友情も何もかも一発で吹っ飛んじまう。ダメだ。やめろ」

「飲もう」なんとか阻止しようとするピルを、チンスクは静かに見つめた。「…。」

~~~~それは昨夜、皆で飲んだときのこと~~~~

風にあたって黄昏れているピルの隣に、チンスクは腰を下ろした。「軍隊に行くのは国であんた一人?」

チンスク「あんたも変わったキャラだから苦労するわね」
ピル「俺、このまま軍隊には行けないよ。まだ出来てないことが残ってるから」
チンスク「そもそもあんたはね、出来たことより出来てないことのほうが多いから。未練捨てて行きなさいよ」
ピル「なぁ、チンスク、スジンに2年だけ待ってくれって言ったら、頭がおかしいと思われるよな」
チンスク「…。」
ピル「俺、まだスジンに告白も出来てないのに… 軍隊に行く前に言わなきゃいけないのに…。”お前が好きだ” 何でそのたった6文字が出てこないんだ?」
チンスク「…。」

そうだね…。
チンスクは心の中で頷いた。
私もその6文字が出てこない。
あんたの前では…

~~~~~~~~

店を出て、スジンは一人で帰り道を歩いていた。

スジン「1日が終わっちゃうのに、ピルは一体いつ話すつもりなのかな」

#スジンもたいがい辛抱強いよね^^;;;

「ちょっと!」後ろから走ってきたチンスクが追いついた。

スジン「先に帰ったんじゃなかったの?いなかったから一人で出てきたんだけど」
チンスク「ちょっとトイレ行ってたからさ」

二人は並んで歩き出した。

チンスク「今日は解散早かったね」
スジン「そうだね」
チンスク「ねぇ、久々に二人でカフェ行かない?」

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二人は小さなカフェの前に置かれたベンチに座っていた。

スジン「久しぶりだな。あんたと外でこうしてコーヒー飲むの。いつもファミリーで大騒ぎだからさ。デートできて嬉しいよ」
チンスク「だよね、嬉しい。風も気持ちいいし」

「今日はどんな写真を撮って来たの?」チンスクがさり気なく言った。

#やめてー さり気なく言えば言うほどイヤな子になっちゃう(涙)
辛くても友だち試すようなのは似合わないよね。

スジン「え?あぁ、ただあちこち…うん」

言葉を濁し俯いたスジンを、チンスクはそっと見つめた。

チンスク「ピルは明日いよいよ行っちゃうね」
スジン「…。」
チンスク「あいつが行っちゃったら、町が静かになるだろうな」
スジン「そうだね。騒がしいヤツだから」

「スジン」チンスクは何か言いかけて、下を向いた。「ううん」

スジン「何?言いたいことがあるみたいだったけど。雰囲気作っといて何よ?」
チンスク「そんなのないよ。ただ見ただけ。親友の顔を」
スジン「そんなんじゃなかったけどな。何か話があるみたいだったけど。何なの?」
チンスク「綺麗ね」
スジン「チッ」

そこへスジンの電話が鳴った。
帰りの遅い娘に、母親が大変な剣幕だ。
「お母さん、もう家の前よ」スジンは慌てて電話を切った。

スジン「大変!帰らなきゃ。お母さん大騒ぎよ。帰ろう」
チンスク「先に帰って。私もう少しゆっくりして帰るから」
スジン「(周りをキョロキョロ)大丈夫?」

「じゃあ先に帰るね。電話して」スジンは駆け出した。
ベンチに大切なカメラを置き忘れたまま…。

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部屋へ帰ると、スジンは溜息をついた。
ピルのヤツ、最後まで言わずに行くつもりかな…。

#スジンの部屋でやっと時間確認。壁の時計は22時半ですね。

そこへ電話が鳴った。
ピルからだ!

ピル(電話)「灯りがついてるってことは家に着いたんだな。何で一人で帰っちまったんだ?店の前で探したんだぞ」
スジン(電話)「あぁ、疲れて先に帰ったの」
ピル「今日、お前に言いたかったこと、カメラに残しておいたんだ。見てみろよ」
スジン「カメラ?うん、わかった」

電話を切り、スジンはそこで茫然と立ち尽くした。「どうしよう!カメラ置いてきちゃたみたい」

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スジンは大慌てでボンボンホップへ戻った。
しかし、そこにカメラの忘れ物はなかったようだ。

スジン「ここだと思ったんだけど…」

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一人公園へ向かったチンスクは、ベンチに腰を下ろした。
思い詰めた表情で見つめているのは… スジンが置き忘れたカメラだ。

保存された写真を一枚ずつめくっていく。
楽しそうに二人の時間を過ごすピルとスジンの姿が、彼女の心に容赦なく突き刺さった。

「あれ?何だろう?」最後に出てきたのは、写真ではなく動画だった。

『すごく緊張するな…。』ピルが話し始める。

チンスク「!」

『お前のこと好きだ。いや、愛してる』小さな液晶画面の中で、確かにこちらを見て話しているピルの言葉は、それでも彼女に向けたそれではなかった。

「!!!」頭に血が上り、削除メニューを出したものの…
躊躇った彼女の指は削除と取消の間を… 嫉妬と良心の間を行き来した。

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ピルはさっきから落ち着かずに部屋の中を歩き回っていた。「そろそろ動画を見終わってる頃なのに、何で返事がないんだ?」

ピル「ひょっとして断られたのかな…?そんなのダメだ、23年で初めての告白なのに水の泡には出来ない」

バルコニー越しにスジンの部屋を窺う。「スジン!カン・スジン!いるのか?」
灯りはついているものの、彼女の姿は見当たらない。「いないのかな?時間がないのに」

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ピルはたまらず家の前へ出て来た。「あいつ、こんな夜遅くにどこ行ったんだ?」
そこへ角を曲がってきたのは… チンスクだ。

ピル「あぁ、チンスク」
チンスク「!」
ピル「お前、いくら”顔が武器”でも、夜むやみに出歩いちゃダメだぞ。物騒な世の中なのに」

※顔が武器っていうのは、日本で言う場合と反対の意味ですね。”顔で武装してるから襲われない”という…。面白い、かつキツイ!と思ったので、そのまま訳しました。

チンスク「そういうあんたはなんで外に?」
ピル「あぁ、スジンと話そうと思ったんだけど、家にいなくて。あいつ、こんな時間に一人でどこ行ったんだか」
チンスク「…。」
ピル「お前もスジンに会いに来たのか?」
チンスク「ううん」

「あんたに会いに来たの」チンスクはまっすぐにピルを見た。

ピル「おっ、チンスク!お前、俺が軍隊に行くと思ったら心がザワザワして、顔を見たくなったんだな」
チンスク「…。」
ピル「大丈夫だってば。俺はな、絶対無事に終えることになってるから」
チンスク「ピル」
ピル「?」
チンスク「あんたにとって、私は何?」

「おい」ピルは思わず笑みを見せた。「えらく深い質問だな」
「お前は俺にとって」ピルは彼女の肩に手を回す。「友だちだろ」

チンスク「!」
ピル「マジで気楽な友だち」

チンスクが彼の体を押し戻す。

ピル「?」
チンスク「私はあんたに楽だと思われるはイヤ」
ピル「!」
チンスク「気まずいと思ってほしいの」
ピル「いきなり… ホントに気まずくなるじゃないか」
チンスク「…。」
ピル「何だ?一体どうしたんだよ?」
チンスク「ピル、私、あんたが…」

と、そのとき、ピルの電話が鳴った。「待って」
スジンからの電話だった。

ピル(電話)「スジン、どこにいるんだよ?あぁ、そうか。そこで動かずに待ってろよ」
チンスク「…。」

電話を切ると、ピルの頭の中はもうスジンのことでいっぱいだ。「ごめん、チンスク、また今度話そうな」
チンスクの反応も待たずに、ピルは曲がり角の向こうへ消えていった。

チンスク「…。」

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通りに設置されたベンチに、スジンは座っていた。
その暗い表情に、ピルは急に不安に襲われる。「俺の告白動画、観たのかな?何であんな表情してんだ?」

とにかく、何でもないように、自然に…

ピルはふうっと息をつき、スジンに近づいた。「スジン?こんな時間にどこ行ってたんだ?」
隣に腰を下ろしたピルの顔を見られず、スジンは頑なに前を向く。「あ…さっきの店」

ピル「どうして?」
スジン「実は… カメラをあそこに忘れたと思ったんだけど」

スジンはようやく顔を上げた。「行ってみたら… なかった」

ピル「ってことは、俺が残した動画、見てないのか?」
スジン「…うん。ごめん」
ピル「あ、いや、そんなのいいけど、あれには大事な写真が入ってるのに。公募展の写真、バックアップも出来てないだろ」
スジン「今は写真よりあんたが私に残した動画のほうが大事」
ピル「!… えっ?」

スジンの大きな目に吸い込まれたかのように、ピルは驚いて固まった。「…。」

スジン「私に残した動画の中で、何て言ったの?」

「あ…」ピルは考えをすばやく切り替える。「そうだな。直接話すよ」
スジンは頷き、緊張で息をのんだ。

ピル「スジン、俺…」
スジン「…。」
ピル「俺…」
スジン「…。」

その続きが言い出せず、ピルは頭を抱えた。「待って」

#さぁみなさん、そろそろ声を揃えて!「ピル、時間は?!」

ピル「スジン」
スジン「…。」
ピル「俺…」
スジン「…。」
ピル「俺さ…」
スジン「私、あんたが好きよ、ピル」
ピル「…えっ」
スジン「…。」
ピル「スジン…」
スジン「あんたはどう?あんたは私のことどう思ってるの?」

ピルは穏やかな瞳でスジンを見つめ返した。

ピル(心の声)「あぁ、やっと言える。いや、言わなきゃ」

「うん」ピルは頷いた。「スジン、俺もお前がスキ…」

突然ピルの体が薄れた。
あっ!ピルは必死でベンチにしがみつく。まだ全部言えてないんだ!
1秒だけ!頼むから1秒だけ!

はぁ… 諦めの深い溜め息とともに、ピルの姿は忽然と消えた。

次の瞬間。

スジン「わっ?!」

ピルがいない。
スジンは驚いて飛び上がった。「ピル?ピル?」

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公園のベンチに、カメラがポツンと置き去りにされていた。
そこへぶらりと通りかかった男が、カメラに気づいて足を止める。「?」
彼は何気なくそれを手に取り、中の写真を開いてみた。

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屋上部屋の縁台で、チンスクはじっと写真を見つめていた。
高校時代のキラキラ輝く瞬間を切り取ったその写真は、今でも色褪せることなく、眩しく映った。

いつかは言えるよね。
あんたのことどんなに好きか…。

+-+-+-+

スジンは家を出て静かな通りを歩き始めた。
ふと立ち止まり、ピルの部屋を見上げる。

私は結局ピルの告白を聞けなかった。
ピルの告白を聞きたかったのは、ピルの心を疑ってるからじゃない。
確信が欲しかったから…。
2年後に帰って来たら、ピルはずいぶん変わっているだろうな。
もしかしたら、私の方がもっと変わっているかもしれない。
そのとき私たちは、どんな姿で会い、どんな話をするんだろう…。

向こうから歩いてきた男性が、スジンとすれ違ったところでハッと立ち止まった。
ジェヒョンだ。「あの…」
「ひょっとして」彼は肩にぶら下げたカメラを見せる。「このカメラの持ち主では?」
「あっ!」驚いて素っ頓狂な声を上げるスジンに、ジェヒョンは爽やかに微笑んだ。

*-*-*-* エピローグ *-*-*-*

高校時代のこと。
廊下で担任がチンスクを説得していた。「他の人は行きたくても行けない名門大、お前は何で行かないんだ?」
「それは…」チンスクが何も言えず、暗い顔でうつむくのを、向こうでピルがそっと見ていた。

+-+-+-+

チンスクはグラウンドの階段で目を真っ赤にしていた。
ポロポロと流れ落ちる涙を、止めることもできない。

そこへやって来たピルが、彼女の横にポンと分厚い封筒を置いた。

チンスク「何これ?」

「俺さ」ピルはチンスクの顔を覗き、ニヤリとする。「宝くじに当たったんだ」

チンスク「…。」
ピル「こういう金は早く使わなきゃって言うけど、使いみちがなくてさ」
チンスク「いらない。持っていって」
ピル「名門大を出た友だちがいるって、肩で風切って歩きたいんだ」
チンスク「…。」
ピル「奨学金貰ったと思えよ」

黙っているチンスクを見つめ、ピルは駄々っ子をみるように小さく溜息をつくと、立ち上がった。「タダでやるんじゃないぞ」

ピル「将来もし俺が無一文になったら、1万ウォンずつでも小遣いくれよ。俺、今世はうまくいく見込みないからさ」

自虐的なピルの言いっぷりに、チンスクの顔がわずかに晴れた。

ピル「だからってな、俺がホントに無一文になったらシカトすんなよ」

「許さねーから」ピルが拳を握ってみせる。
大きな手のひらでポンと彼女の頭を撫で、ピルはクルリと背を向けた。

#あーもうこのピル最高Part2❤ これで好きにならなかったらおかしいよ。

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その後…
ピルは陸上部の顧問の説教を延々と聞かされていた。

顧問「高3のヤツがこの大事な時期に大学生だって嘘ついてバイトするとは!引越センターに使う力でグラウンドを回ってれば、もうボルトの頬をかすめてるぞ」
ピル「…。」
顧問「おい、ポン・ピル、正直に言ってみろ。稼いでどうするつもりだったんだ?」
ピル「ちょっと必要だったんです」
顧問「あぁ、ナイスの運動靴やらフェイスオフのジャンパーやら、そういういいのをお召しになろうって?」
ピル「違います」
顧問「何が違うんだ?顔にそう書いてあるのに。ホントに違うのか?」
ピル「本当に違います」
顧問「ひょっとしてお父さんが失職なさったのか?」
ピル「先生… そんなに気になりますか」
顧問「あぁ、気になるさ。正直に言ってみろ、男らしく。誰にも言わないから、俺だけに言ってみろよ」
ピル「それは…」

「秘密」ピルは顧問の耳元で囁いた。

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ここで終わりです♪

最後のエピローグのかっこよさに完全に持っていかれちゃったけど…
ピルよ、大失態にも程がある!
前回あれだけ時間を気にして用意周到だったのに、もう何回もタイムスリップしたからって、今回ちょっと油断しすぎじゃない?
あーもう呆れちゃうわー

それより、今回の時間切れの瞬間、今までと違いましたね。
これまでの『過去→現在』と合わせるならば、12時で意識は戻されても、体はその場に残ってないといけないはず。
体ごとごっそり消えたんなら、もともと過去に存在したピルはどこに?ってことになっちゃうし。
前回は体が残っているからこそ、お腹の出血で病院へ運ばれて現在へ繋がりました。今回そこに矛盾を感じて悶々としてます。
まぁ「ケンチャナ~」で済ませなきゃいけない案件なのは分かってますが^^;;;

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