韓国ドラマから美しい言葉を学ぼう

韓国ドラマのあらすじや詳細日本語訳を紹介!プロデューサー/SPY/夜警日誌/トライアングル/主君の太陽など

プロデューサー7話あらすじ&日本語訳 vo.1

   

チャ・テヒョン、コン・ヒョジン、キム・スヒョン、IU出演、KBS韓国ドラマ「プロデューサ」7話、パート1です。

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「ちょっと… ペク・スンチャン」腕の中でイェジンが言った。

イェジン「あんた何してるの?」
スンチャン「…。」
イェジン「どうしていいかわからないわ」
スンチャン「あ… 気持ちよく泣いてもらいたくて。泣いてるのを人に見られたら恥ずかしいかなぁって」

イェジンがチラリと目だけ動かす。「いや…」

イェジン「あんたがこうしてるほうが、よっぽど人に見られると思わない?」
スンチャン「?」

ちょうど後ろを散歩中の老人が通りかかった。「最近の若いもんは、どこでも…。チッ」

イェジン「どうなの?まだ続ける?」

「あ、いえ…」スンチャンは思わず彼女から離れ、隣に腰を下ろした。

イェジン「あんたのおかげで涙ひいちゃったよ」

そう言って彼女は軽くハンカチで目を押さえる。

イェジン「いつも思うけど、あんたってホント突拍子もないよね」
スンチャン「…。」

「悪くないよ」彼女はくしゃくしゃとスンチャンの頭を撫でる。「可愛い」
スンチャンは嬉しくて、唇を噛み締めた。

イェジン「ありがとね。帰れって言っても、そばにいてくれて」
スンチャン「…。」
イェジン「帰っちゃってたら、私ホントに寂しかったと思う」
スンチャン「先輩が一人で泣いてるなんて、似合いません!怒ったり怒鳴ったり、勇ましい姿のほうが素敵です」

「うん」イェジンが頷く。

イェジン「ところであんたさ、何で突然”先輩”って? 敬称はどこ行ったの?」

※前回のコメント欄でもご質問をいただき、そこでも触れたんですが、以前は原語で「先輩」に「様」をつけて呼んでいました。
ただ、日本語に忠実に訳すと不自然なので、ただ「先輩」と訳していたんです。
今は、原語でも「様」が取れています。

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スンチャンは自然に「先輩」と敬称なしで呼ぶ練習をさんざん重ねていた。
「先輩」「先輩」「先輩」「先輩~、何言ってるんですかぁ」「一発殴られそうだな」

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イェジン「どうした?答えられないの?突然何で敬称がなくなっちゃったのよ?」
スンチャン「同期のチャンシクも敬称なしで呼んでるし、僕と1歳しか違わないイ・スンギさんだって何度も ”姉さん”って呼んでましたけど」

#一生懸命なスンチャンの話を、イェジンがうんうんと頷いて聞いてやってるのが好感♪

スンチャン「言葉遣いだってタメ口で… 丁寧語も混じってたけど」

「…。」スンチャンの背後に手を回し、イェジンは微妙に彼の方へ向き直る。「それで?」

イェジン「自分も気楽に喋ろうって?」
スンチャン「はい」
イェジン「…。」
スンチャン「僕も…敬称は外します!」

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「これからずっと」思い切ってそう言い、スンチャンは黙っているイェジンの反応を窺う。
イェジンは彼の肩にドンと手を置いた。

イェジン「…ならそうすれば?」

かすかに微笑み、彼女は立ち上がる。
歩き出した彼女に続いて、スンチャンは嬉しそうに立ち上がった。「はい、先輩!」

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ジュンモは真っ暗な自宅に帰ってきた。
電話を掛けてみるが、応答はない。
深い溜息が漏れた。

ジュンモ「…。」

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じっとしていられず、ジュンモは家の前まで下りてくると、時間を気にしながら辺りを見回した。

ジュンモ(インタビュー)「僕がこの世で一番容易いと思ってるのは、怒ってるイェジンの機嫌を取ることなんですよ。けど、帰って来なきゃどうしようもない。全く…女が、夜遅くまで」

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並んで歩いていたイェジンが突然立ち止まった。

スンチャン「どうしたんです?」
イェジン「無理よ。この状況でラ・ジュンモの家に帰れる?帰れないわ」

「あんたは帰りな」イェジンがクルリと踵を返すのを、スンチャンは慌てて捕まえた。「どこ行かれるんです?」

イェジン「会社で寝るわ」

#いや、だいたいあなた、今日だって、前日の焼き肉のにおいが残ってるんじゃないかって、一日気が気じゃなかったんですから

スンチャン「え?」
イェジン「宿直室で寝たっていいし、デスクで寝たっていいんだから」

行こうとしたイェジンの腕を、それでもスンチャンは強く掴む。

スンチャン「あ、それでも… それはちょっとどうかと」
イェジン「だって、会議してて会社に泊まることだってよくあるんだし」
スンチャン「だけど… どうしてもっていうなら僕だってついて行きます」
イェジン「?!」

そこへイェジンの電話の着信音が鳴った。「ななな何なの、これ?!」
「?」スンチャンも一緒に彼女の携帯を覗く。

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#携帯覗いてるだけで美しすぎやろ

送られてきたのは、イェジンのバッグの柄にハサミを入れようとしているジュンモの悪人顔だ。

イェジン「あいつ頭おかしいわ。何しようとしてんのよ」

さらにメッセージが入る。

ジュンモ(LINE)「このバッグの無事を願うなら、30分以内に家に帰って来い。もし時間内に帰らなかったら、こいつに何をするか俺もわからんからな」

携帯を持つイェジンの手がワナワナと震える。「どうしよう!」

イェジン「一番高いの選んでる!スンチャン、どうしよう!卑怯なヤツ!」

「ラ・ジュンモのヤツ、ぶっ殺してやる!」イェジンはあっという間に駆け出して行った。

スンチャン「…。」

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玄関の暗証番号を押す音が聞こえると、ジュンモは努めて平然と振り返った。
怖い顔で近づいてくるイェジンの前で、彼は腕時計を見る。「24分」

イェジン「私のバッグはどこよ?」

ジュンモは反対側の手でバッグを差し出すと、取り上げようとしたイェジンをさっとかわす。

ジュンモ「さっきは俺が悪かった」
イェジン「いいから。バッグ返しなさいよ、早く!」
ジュンモ「ごめんって」
イェジン「返して!」
ジュンモ「さっきも悪かったし、この前嘘ついたのも謝る」
イェジン「…。」

ジュンモはバッグの中からリンゴを出した。

ジュンモ「ほら。謝罪(=”リンゴ”と同音語)してるだろ」
イェジン「あんたガキなの?幼稚すぎて笑えもしないよ」
ジュンモ「とにかくだ。出て行くなんて言わずに、アパートの入居日までここにいろよ」

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「…。」しばらくジュンモを睨み、彼女はさっとバッグを取り上げた。
「あんた次第だから」そうぶっきらぼうに言い捨て、部屋へ戻る。
ドアがバタンと閉まるのを見届け、ジュンモはホッと安堵の息をついた。

#すばらしい仲直り^^

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自宅へと向かう廊下で、スンチャンはふと足を止めた。
向こう側の棟を見つめると、彼も静かに溜息をつく。

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朝。

シンディはすでに退院準備をしていた。
「シンディ」窓辺の椅子に優雅に腰掛け、ピョン代表が口を開く。

ピョン代表「今朝、ゴシップ誌が出回ってるって誰かが知らせてくれたんだけど、あなたがPDと喧嘩して怪我したとか、足が折れたとか、とんでもない話が取り沙汰されているらしいわ」
シンディ「とんでもない話なら気にすることないでしょう?」

「今日から活動を再開すればサッと消えるはずです」キム室長がすかさず口を挟む。

ピョン代表「そうよ。だから日本へ行かせるの」
シンディ「…。」
ピョン代表「まだ足も痛いのに遠くへやるお母さんも辛いわ」

しらじらしいとばかりに、シンディは視線を逸らす。

ピョン代表「シンディ、あなたは寂しく思うかもしれないけど、噂は芽が出始めたときにすぐ切ってしまわなきゃ。事実じゃないからいいって、そのままにしていたら、既成事実になってしまうわ。後で摘み取ろうとしても無理よ。広がりすぎて」

シンディはニッコリ微笑んでみせる。「私は心配してません。代表がうまく”マスコミプレイ”してくれるから」

※マスコミプレイ=7話のキーワードにもなっているようなので、いじらずに直訳しました。マスコミを巧みに利用し、味方につけて宣伝する、そう言ったことです。

ピョン代表「シンディ、すっかり大きくなったわね。練習室の隅っこで”お母さんに会いたい、家に帰りたい”って泣いてた子が」
シンディ「そうですね」

「もう会いたいお母さんもいないし、帰りたい家もないし」シンディはわざと微笑んだ。「私、すごく変わったみたい」

ピョン代表「金浦から行くでしょ?」

「お母さんの車で行きましょ」ピョン代表が立ち上がる。

シンディ「いえ。今マネージャーさんが向かってますから」

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会社へと車を走らせていると、スンチャンはふとバス停に目を留めた。「?」
バスを待つ人々の中に、イェジンの姿が見える。
「あっ」スンチャンは思わず顔をほころばせた。

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#いちいち可愛すぎやろ

バス停の前に車を寄せ、窓を開けて顔を覗かせる。「先輩!」
「あっ!ペク・スンチャン!」彼に気づくと、イェジンは嬉しそうに答えた。

スンチャン「会社ですか?」
イェジン「ううん、病院に。抜糸するのよ」
スンチャン「乗ってください。僕、会議が昼からだから、ゆっくりでいいんです」
イェジン「そう?じゃ、そうしようかな?」

スンチャンが手早く助手席の荷物を片付ける。

イェジン「綺麗なのに、そんなに片付けなくても」

イェジンは助手席に乗り込むと、サッと車の中を見渡した。「私の車よりずっと片付いてるよ」

スンチャン「シートベルトを」
イェジン「うん」

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病院へやって来ると、何やらざわざわと騒がしく記者たちが動いていた。
「芸能人じゃないの?」イェジンが人の流れの先を覗く。
突然記者が目の前を駆け抜け、スンチャンは咄嗟に彼女の肩を庇った。

イェジン「ねぇ、みんな走ってるし、有名人みたい。知ってる人かな?」

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シンディは怪我した足を引きずって、マネージャーの車に乗り込んだ。
何気なく外へ視線を移すと、彼女はハッとする。

スンチャンとイェジンが一緒に歩いてきて、隣に停めてあった車に乗り込んだのだ。
反対側を振り返ると、マネージャーが外で背を向けて電話をしている。

マネ(電話)「はい、連絡先いただきました。空港に着いたらすぐご連絡さしあげます」

「…。」素早く考えを巡らせると、シンディはそっと車のドアを開く。
外へ出ると、彼女はそのまま隣の車の後部座席に乗り込んだ。

イェジン「?」
スンチャン「?」
シンディ「(ニコニコ)」

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電話を切ったマネージャーは運転席に乗り込み、シンディがいないのにも気づかず、車を発進させた。

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「いい気はしないよな」信号で車を停めると、シンディのマネージャーは言った。

マネ「代表はあんまりだって俺も正直思うよ。ギブスしてる子にイベントなんて。けど仕方ない。とにかく行って、帰ったら休もう。俺もしっかりアピールしてみるから」

「なぁ、シンディ」青信号に変わり、アクセルを踏んだ瞬間、マネージャーはバックミラーを見て急ブレーキを踏んだ。

マネ「!!!!!」

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「何なの?このシチュエーション」目を丸くするイェジンに、シンディは愛らしく微笑んだ。

シンディ「何って。雲隠れしたことないですか?」
スンチャン「僕はしたことないですけど」
イェジン「ちょっと、今、雲隠れしてるってこと?!退院して?」

シンディがコクリと頷く。

イェジン「何でこの車に?」
シンディ「…。」
イェジン「ねぇちょっと、シンディさん!私たちそんな仲じゃないと思うけど。雲隠れするってとき、逃げ道を確保してくれるとか、潜伏先を提供してくれるとか」

「とにかく出発します」スンチャンがハンドルを握った。

イェジン「(スンチャンに)ちょっと!どこ行くってのよ!まだ状況が整理できてないのに」
スンチャン「駐車料金を前払いしてあって、10分以内に出なきゃいけないんです。もう8分経ったから…」

イェジンが高らかに笑う。「頭おかしくなりそう」

シンディ「出発しましょ。ペク・スンチャンPDは延滞料金に敏感な方なんですから」

「!」スンチャンがハッとして後ろを振り返ると、シンディはニヤリとして唇を噛んだ。

イェジン「あぁそうね、とりあえず出ましょ。出て話そうよ」

人数を一人増やし、車が出発した。

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「とりあえず良しとするわよ」走る車の中で、イェジンが言う。

イェジン「一応知り合いなんだし、切羽詰まって車に乗ることだってあり得るわ」
シンディ「…。」
イェジン「けど、シンディが勝手に乗り込んできたんだから、私たちには何の責任もないわよ。そこまではいいわね?」

「ウェットティッシュあります?」窓をみつめ、シンディが言う。
イェジンが呆れながらウェットティッシュを差し出してやると、シンディは窓ガラスの汚れを静かに拭き始めた。

イェジン「あのねぇ、シンディさん。私、見た目は気が強そうに見えるでしょ。だからって、シンディさんのところの代表が怖くないわけじゃないわ。怖いものは怖いわよ」
シンディ「…。」
イェジン「あの日、病室でワァワァ食って掛かったのは確かだけど、私だってあのとき怖かったんだから」

「ねぇ、スンチャン」何も反応がなく、イェジンは運転席のスンチャンに助けを求める。

イェジン「あんたも見たでしょ、ピョン代表がマネージャーの頬を引っぱたくとこ」
スンチャン「はい。前に僕が”3枚目”だって言ったとき、僕、代表が口から火を噴くかと思いました」

シンディが小さく微笑んだ。

イェジン「でしょ?!ちょっとあんた、ピョン代表に”3枚目”なんて言ったの?」
スンチャン「…はい」
イェジン「わぁ、あんたやるわね。やり返されなかったの?」
スンチャン「ちょうどその時、ジュンモ先輩がいらっしゃったから」
イェジン「ジュンモが?あいつ出しゃばっちゃって」

そう言っておいて、イェジンは身を乗り出す。「それで?ジュンモは何て?」

イェジン「教えてよ」
スンチャン「…。」

「タクシー乗り場でおろしてください」そこへシンディが言った。

イェジン「降りるって?」

スンチャンが心配そうにバックミラーを覗く。

イェジン「タクシーでどこ行くつもり?」
シンディ「何とかしますよ。お金ないけど」
イェジン「お金もないなんて!どうしようもないわ」
シンディ「…。」
イェジン「家はどこ?シンディ。送って行くわ」
シンディ「家には帰れませんよ。雲隠れ中なのに、家にいちゃ変でしょ」
イェジン「それじゃあ、今住んでるところじゃなくて、ご両親のいらっしゃるところとか、そういうところは?」

「遠いんです」シンディが窓の外を眺めながらポツリと言う。

イェジン「もうホントに!じゃあどうしようって言うのよ!友だちの家とか、そういうのは?」

「あ、シンディさんは友だちがいな…」スンチャンの言葉をシンディが遮る。「いますってば!」

シンディ「いるけど、みんな忙しいだけなんだって」

「あぁーホントどうにかなりそう」イェジンが頭を抱える。

イェジン「お金はないし、友だちはいるけど忙しいし、足はそんなだし!」
シンディ「…ですね。タクPDさんがわざとなさったわけじゃないのはわかってますけど、足さえ怪我してなかったら状況はずっとマシなのに。なかなか良くならなくて、動くたびに…」

そう言って足を動かそうとし、シンディは声を上げる。「あっ!」

イェジン「…。」
スンチャン「…。」

前で顔を見合わせる二人を、シンディはそっと窺った。

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「なんですって?!」ピョン代表が目を見開いた。

ピョン代表「もう一度言ってみなさい!」
キム室長「その… 間違いなく車に乗せて出発したのに、途中で振り返ってみたら消えていたそうです」
ピョン代表「何バカなこと言ってるのよ!!!」

#車が出るまで見守らなかったのはあなたたちでしょーが(ニヤリ

ピョン代表「パク君はどこなの?」

「その…」キム室長は恐る恐る携帯を差し出す。

マネ(LINE)「シンディがいなくなったって代表にお話するくらいなら、いっそのこと猛獣の巣窟に入ります。僕のこと、探さないでください」

「こいつも雲隠れを…」キム室長が言う。「代表が怖いって」

キム室長「シンディは携帯も切ってます。どうしましょうか?」
ピョン代表「どうするも何もないわよ!スケジュールがいくつも飛んでしまうのに!今すぐ探すのよ!心当たりは全部探しなさい!」

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「私も事情があるの」駐車場に車を停め、イェジンが言った。

イェジン「誰かを家に連れて行けるような、そんな立場じゃないのよ」
スンチャン「僕の家は両親と、今、別居中の兄が来てるんです。それに、中学生の妹が…」
イェジン「他は大丈夫だけど、中学生の妹がいるんじゃダメね。すぐ言いふらすわ」
スンチャン「えぇ、十分あり得ます」

「あのさ、シンディ」イェジンが後ろを振り返る。

イェジン「何とか私たちでお金を工面してあげるから、高級ホテルみたいなところに行くのはどう?」
シンディ「…。」
イェジン「漢江がパーッと一望できるところで何日か休んで、気分出したら?ね?」

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時を同じくして、ピョン代表の鋭い指示が飛んでいた。「まずはソウル市内の高級ホテルを探すのよ!」

ピョン代表(電話)「あの子、潔癖症だから、そうどこへでも行けないわ。ソウルにいなかったら、釜山や済州島のホテルも全部よ!」

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「ピョン代表は私のことよ~く知ってるから」シンディが呟く。

シンディ「ホテルを真っ先に探してるはずだわ」
イェジン「それじゃどうしようって?!」
シンディ「3日だけお願いします」
二人「?」
シンディ「練習生になってから10年、私、1日も休んだことないんです」
二人「…。」
シンディ「きっかり3日だけ休みたくて」

目を伏せるシンディに、二人は言葉を失う。
スンチャンが何か言いたそうに、じっとイェジンの顔を見た。

イェジン「何?何でそんなに見るのよ?何よ?」
スンチャン「…。」

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「シンディの事務所は次のロケには支障ないとか言ってきたけど、俺が見るにそりゃムリだ」食堂で昼食をとりながらのミーティングで、ジュンモが言った。

ジュンモ「だから、その回だけゲストを入れるなり、代案を考えよう」
ジヨン「シンディはイベントがあるとかで、日本に行くって言ってましたけど?それならいくらか動けるってことじゃないんですか?」
ハンナ「それ、キャンセルになったって噂ですよ」
ジュンモ「そうなのか?」

皆が話すのを黙って聞きながら、スンチャンは細かく視線を泳がせた。

ハンナ「シンディ、飛行機に乗らなかったんですって。空港ファッションを撮りに行ってた記者たち、みんな待ちぼうけだったみたいですよ」

ヒョングン「まだ病院にいるんじゃないんですか?」
ミンジョン「シンディが退院するところは写真が載ってましたよ、ネットに」
イリョン「雲隠れしたんじゃないか?」

ゴクゴクと飲んでいた水を、スンチャンがいきなり噴き出す。

ジュンモ「何やってんだ?」
スンチャン「すみません」
ジュンモ「(皆に)そんなわけないだろ。ピョン代表がどんな女だか。シンディだってピョン代表の手のひらから出られないんだ。あの子は雲隠れしても行く宛てなんかない」

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「はぁ、結局やっちゃったわよ」イェジンがリビングをウロウロするそばで、シンディはソファに腰掛け、家の中を見渡した。

イェジン「シンディの逃走を手伝って、潜伏場所まで提供しちゃってさ」
シンディ「つまりジュンモPDさんと、ここで同棲なさってるってことですか?」

「違うってば!」イェジンが声を上げる。

イェジン「さっき100回説明したときは、わかったって言ったくせに、また何言ってんだか」
シンディ「わかってますよ。だから、同棲じゃなくて…」
イェジン「住所共有関係よ!」
シンディ「…。」
イェジン「一時的のね」

イェジンの勢いに押され、シンディがうんうんと頷く。

イェジン「あっちが弟の部屋よ。弟の部屋、見せてあげようか?」
シンディ「いえいえ、いいんです」
イェジン「…。」
シンディ「ホントに理解しましたから」
イェジン「さっきも理解したって言ったわよ」
シンディ「つまりね、タクPDさんと私、今似たような状況だってことじゃないですか」
イェジン「似てる?!どこが?!」
シンディ「行く宛てがなくて一時的に居候してるってこと、この家に」
イェジン「(絶句)」
シンディ「正確に理解しましたから」
イェジン「…。」

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昼食後のドリンクを飲みながら、ミンジョンが言った。「イベントまでキャンセルしたってことは、雲隠れしたんじゃないかな」
女性ばかり数人で歩いている中には、ミューバン班のタジョンもいる。

タジョン「雲隠れしたってことは、男がいるのかな」

「そうよ、男よ!」他のメンバーが大喜びで声を揃える。

ミンジョン「男ができて、代表の言うことを聞かずに雲隠れしちゃったのよ!相手は芸能人かな?アイドル?」
タジョン「アイドルの誰が誰とつきあってるか全部知ってるけど」
ミンジョン「?」
タジョン「…シンディは違うはず」
女性1「それじゃ財閥2世とか?」
女性2「そうかも!」
ミンジョン「だよね!財閥とつき合ってるから、違約金なんか怖くない、だからすっぽかしたのよ!」
女性2「財閥2世とパリかどこかの高級ホテルにいるんじゃない?」

彼女たちが通り過ぎると、街路樹の向こうからそっとスンチャンが顔を覗かせた。「何が財閥2世だよ。よく知りもしないで」

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イェジンはシンディを自分の部屋へ連れて来る。
彼女はまるで赤ちゃんを抱くようにピンクの枕を抱いてみせた。

イェジン「この枕、お母さんが私に送ってくれたんだけど、特別に使わせてあげるわ」

イェジンが枕を差し出す。「貴重なものなんだからね、ホントに」

シンディ「PDさん、ピンクがお好きなんですね」
イェジン「何で?」
シンディ「壁紙までピンクだとは思いませんでした。そんなふうに見えなくて」
イェジン「それじゃ何?私の部屋はヒョウ柄の壁紙でも貼ってありそう?」
シンディ「そういうわけじゃなくって」

「意外だなぁって」シンディはまっすぐイェジンを見上げた。
イェジンが思わず苦笑する。

シンディ「PDさん、私、水が…」
イェジン「?」

ふとそう言ってから、シンディはギブスの足を見下ろした。
イェジンは仕方なく枕をベッドの上に置く。「熱いの?冷たいの?」

シンディ「冷たいのを」
イェジン「常温のにしときなさいよ。体もよくないのに冷たい水なんか」

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グラスの水を受け取って、シンディは困ったようにイェジンを見上げた。「すみませんけど…」

シンディ「私、常温の水はあんまり好きじゃなくて。ライムか何か浮かべてもらえません?」
イェジン「何を浮かべるって?」
シンディ「家にライムないんですか?」
イェジン「…。」
シンディ「それならレモンとか」

イェジンが呆れて笑う。「ミカンしかないわよ」

シンディは諦めて水を口にした。

イェジン「…。」

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「遊園地側から連絡が来たんですけど」ハンナがジュンモに言う。
スンチャンは少し離れたところから彼らの様子をじっと窺った。

ハンナ「スタッフの宿泊所は別に契約しなきゃいけないって。キャンプを張れるポイントは直接見て欲しいって言われてたんですけど、この間はあのまま帰っちゃったから」
ジュンモ「明日しかないな。会議が終わってから行ったら…5時ごろ出発したとして6時到着か。遅すぎないか?」
ハンナ「どのみち夜間撮影もあるんですから、夜の感じを見ておくのも悪くないと思いますよ」

~~~~

先だって行われたイェジンとスンチャンの作戦会議はこうだ。

イェジン「あんたはとりあえず会社に戻って。どうせ有給とってるんだし、私が家にいるわ。ジュンモに言っちゃダメよ」
スンチャン「どうして?」
イェジン「ジュンモがこんな話知ったら、人前で顔に出しちゃうんだから」

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#なんかこのシーン綺麗ですよね♪

イェジンがスンチャンをジロリと見る。「あんたは大丈夫?」

イェジン「あんたもダメっぽいけど?」
スンチャン「いいえ、僕はポーカーフェイスでいられます!」

…と懸命にポーカーフェイスを作るスンチャンを、イェジンはじーっと見た。(あかん、笑ける

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イェジン「とにかく、あんたも気をつけて。ね?」

「それで…」イェジンの話は続く。「ジュンモには家に帰る前にそっと耳に入れるといいわ」

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「あぁ、ペク・スンチャン」不意にジュンモに声を掛けられ、スンチャンはドギマギして振り返った。

ジュンモ「お前も明日一緒に行こうな。写真も撮らなきゃいけないから」
スンチャン「…はい」

「お疲れ」帰り支度をしたジュンモが廊下を歩いて行くと、スンチャンがすかさず後を追いかける。

ジュンモ「何だよ、何か話でもあんのか?」
スンチャン「はい、折り入ってお話が」
ジュンモ「何だ?」

「実は家に…」そう言いかけた時、彼らはホンスンに出くわした。

ホンスン「ジュンモ、テホ兄貴が一杯やろうって。行くか?」
ジュンモ「いいけど」
ホンスン「イェジンは?」

「イェジン先輩はダメです」スンチャンが光の速さで答える。

ジュンモ&ホンスン「?!」
スンチャン「!…… 今日は出勤なさってないみたいですから」
ジュンモ「あぁ、そうだった。あいつ今日病院行くって有給取ったんだ」
ホンスン「それなら俺たちだけで行くか」

ジュンモがスンチャンを振り返る。「お前も行くか?」

スンチャン「いえ、大丈夫です(ポーカーフェイス」
ジュンモ「話があるんだろ?」
スンチャン「いいんです(ポーカーフェイス」

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ここで一旦区切りますねー。
なんだかいつもよりずっと聞き取りが楽だったし、みんなイキイキしてて楽しい~♪

 - プロデューサー