韓国ドラマから美しい言葉を学ぼう

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ネイルもカンタービレ(のだめカンタービレ韓国版)あらすじ&日本語訳 14話vol.1

   

シム・ウンギョン、チュウォン主演、「ネイルもカンタービレ/明日もカンタービレ」(韓国版のだめカンタービレ)14話前半です。

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「何でここにいるんだ?」会場に到着したユジンは、控室を飛び出してきたネイルにロビーで出くわした。

ネイル「!!!」
ユジン「そろそろ出番じゃないのか?」

何も言葉が出ず、ネイルはただ狼狽え、呼吸さえロクに出来ずに肩を震わせる。
ユジンは慌てることなく、彼女の肩にそっと手を置いた。

ユジン:
그래.
그만하자.
そうだな。
もうやめよう。

ユジンの口から出たのは、意外な言葉だった。

#あかん。あまりの優しさに今溶けそうになった。完全に油断してた

ネイル:

ユジン:
여기까지 힘들게 온 건 아쉽지만
네가 하기 싫면 그만하자.
苦労してここまで来たけど、
お前がやりたくないなら… やめにしよう。

「…。」ネイルの目に涙が滲む。
ユジンは彼女の手をとった。

ユジン:
거자, 집에.
帰ろう、家に。

ユジンに手を引かれるまま、ネイルは歩き出した。
何も言わない彼の背中を、ネイルはぼんやりと見つめる。
「チャ・ユジンはもっと上までのぼるでしょう」シュトレーゼマンの言葉が甦る。

シュトレーゼマン(声)「遠くへ飛んで行ってしまいますよ。ベイビ、ユジンと一緒にいたいなら、音楽に正面から向き合わなければいけません」

「!」ネイルの足が止まった。
ユジンも足を止め、彼女を黙って振り返る。

#こういうところですぐ「どうした?」とか言わないで黙ってる先輩が好きデス

ネイル:
선배, 나 갈게요. 연주해야 될 것 같애요.
先輩…。私、戻ります。弾かなきゃ。

ユジン:
괜찮아.무리 안해도 돼.
너한테 아무도 뭐라고 안 그래.
大丈夫。無理しなくてもいいんだ。
誰もお前にどうこう言ったりしないから。

ユジンが腕に添えた手を、ネイルは自ら外した。「いいえ」

ネイル:
저 할게요.
연주할 수 있어요.
私、やります。
弾けますから。

ユジン:
…。

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ネイルはクルリと背を向けると、控室を飛び出してきたときより勢いよく駈け出した。

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「審査員にそう伝えてください。次の演奏者をステージに向かわせます」係が他のスタッフに電話で伝えているところへ、ネイルが戻ってきた。

ネイル「待ってください!7番!7番まだ弾きますから!!!」

係がすぐに電話の向こうに伝える。「たった今7番の演奏者が戻ってきたんですが」

「頑張ります!弾かせてください!お願いです!!!」ネイルは必死で叫んだ。
電話はそのまま切れる。

ステージへ向かおうとするネイルを係が止めた。

係「もう報告してしまったので、許可が下りなければいけないんです」

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なかなか次の演奏者が現れず、会場がざわめき始めた。

ミニ「どうして出て来ないのかな?」
ソニョン「そうね。何かあったんじゃないわよね?」

ト教授「ソル・ネイル、逃げたんじゃないか?」
アン教授「まさか。やっとここまで来たのに、そんなはずありませんよ」

「ソル・ネイル、相変わらずね」かつてのピアノ教師が納得した様子で呟く。

そのとき…

ステージ袖の扉が開き、ネイルが姿をようやく見せる。
彼女が何とかステージの中央まで辿り着き、頭を下げると、一番後ろでユジンが大きく息をついた。

心臓が止まるほどの緊張の中、ネイルは両手を鍵盤の上に起き、目を閉じる。

シュトレーゼマン(声)「ベイビの怒りと感情のカケラを演奏に全て注ぎこむんです!」

演奏が始まった。

「それがベイビだけの演奏を創り出してくれマス」

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ほどなく、皆はネイルだけの世界に引き込まれていた。
「ラ・カンパネッラをあんなふうに弾くなんて…。すごくいいわね」ソニョンが思わず呟く。

ユジン(心の声)「ソル・ネイルらしい演奏だ。まるでオーケストラのようなピアノ。それがお前のピアノなんだ」

ネイルの演奏は次第に激しさを増していく。
彼女の中に渦巻く負の感情が止めどなく流れ込み、それは巨大な渦となって聴く者を飲み込んだ。

ピアノ教師「!」

演奏が終わった。
全てを注ぎ込んだネイルは、抜け殻のように茫然と肩で息をする。
次の瞬間、会場を大きな拍手が包んだ。

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審査会議が始まっていた。

ユン教授「7番の評価は差が大きすぎますね」
審査員2「仕方ないでしょう。あまりに型破りな演奏でしたから」
審査員1「そうですよ。ここはコンクールであってリサイタルじゃないんですから」
ユン教授「…。」
審査員1「コンクールにはルールがあるってことを、決して忘れてはいけません」

予選の時にネイルを推した審査員2が、悔しそうに首を傾げる。

審査員4「私も演奏は気に入ったんですが、正直心配ですね。ああいうスタイルを入賞させたら、学生たちが真似をしますから。楽譜を無視してもいいと思ってしまうでしょうね」
ユン教授「皆さんずいぶん慎重なんですね。悪い演奏、下手な演奏を落とすのは簡単です。けれど、良い演奏、上手い演奏、特に非凡な演奏者を評価し、順位を決めるのは、とても難しいことでしょう?」
審査員2「(頷く)」
ユン教授「それでも、私たちはそれをやらなければならないんですよ」
審査員1「それでも、途中でつっかえたり、ミスをした部分もありました。コンクールでは絶対にそういう部分を見過ごすわけにはいきません」

「それなら、こうしましょう」ユン教授が切り出した。

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ネイルは控室のソファに体をうずめ、完全に放心していた。
そこへ、3番の札をつけた他の演奏者が現れる。「君の演奏、すごく良かったよ」

男性演奏者「あんなラ・カンパネッラ、初めて聴いた」
ネイル「…。」

彼はネイルのそばに腰を下ろす。

男性演奏者「ひょっとしてあの変奏曲、楽譜持ってる?」
ネイル「楽譜…。楽譜?!私の演奏、楽譜と違ってたんですか?!」
男性演奏者「…。」

「これから入賞者の発表を行います」会場からマイクの声が聞こえた。「!」

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ステージ上に主催者が現れる。

ト教授「コンクールで震えるのは初めてだ」
アン教授「僕もですよ。生徒を一度もコンクールに送ったことありませんからね」

ネイルの演奏を見届けたシュトレーゼマンは、発表を待たずに外へ出た。
彼はそこにユン・イソン教授の姿を見つける。
シュトレーゼマンに気づくと、ユン教授は笑顔を見せた。

ユン教授「音楽祭に連れていらしたのは、そういうワケだったんですね、マエストロ」
シュトレーゼマン「才能を見抜く目だけはとんでもなく自信があるんですよ」

ユン教授が思わず笑う。

ユン教授「才能だけじゃいけませんわ。情熱のない学生には結局限界が来ます」
シュトレーゼマン「(微笑)」
ユン教授「けれど、幸いあの子は情熱を備えているようですわね」
シュトレーゼマン「Oh、私も年を取りました。若者たちが成長するのを見るのが、自分のことよりも嬉しいですよ」

「本当に?」気の合わなかった二人は、こうして笑い合った。

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「名前を呼ばれた演奏者はステージに上ってください」司会者はそう言って、3位から発表を始めた。

司会者「3位。3番、ユ・ソンミンさん」

ネイルにさっき話しかけた、あの男性だ。

司会者「次は2位。2位は…」

ひときわ大きな緊張が会場を覆う。

司会者「参加番号…6番。キム・ガラムさん」

「…。」ユジンが無言で手を叩く。
優勝候補と言われたキム・ガラムは、2位に終わった。

ソニョン「キム・ガラムが2位なら、1位はネイルかも!」
ミニ「そうですよ!ネイルしかいませんって!」

司会者「それでは最後です。今年のペクコンスピアノコンクールの優勝者は…」

「…いません」司会者は静かにそう締めくくった。

司会者「今年は1位のいない2位が最高位です。皆さん、お疲れ様でした」

何ともスッキリしない結果に、会場が唖然となる。

ト教授「ペクコンスコンクールは、1位の座を空けたことなどなかったのに」

ピアノ教師「どうしてうちのカラムが1位なしの2位なのよ?」

「…。」隣に座っているト教授が彼女をチラリと見る。

ピアノ教師「なぜ1位をくれないのよ?」
ト教授「1位に値する学生が他にいたからですよ」

#ハリセン( ;∀;) 

ピアノ教師「…。」
ト教授「そういうことじゃないですか?」

「そうでしょうとも」アン教授が横から加勢する。

+-+-+-+

ユジンがネイルの控室へやってくると、そこに彼女の姿はなかった。
ステージ衣装がテーブルの上にキチンと畳んで置いてある。

ユジン「?」

衣装の上に、メモが一枚残されていた。

『ありがとうございます。社長…
ありがとう、ミニミニ』

#あ、そうか。衣装提供者&お世話係か。思わず「へ?」ってなっちゃったよ。

そこへ遅れてミニも駆け込んできた。

ユジン「この建物の中にソル・ネイルが行きそうな場所ってあるか?」
ミニ「…。探してみます」

ミニが再び控室を出て行く。

#何で建物の中のどこかに行くと思ったんだろうか

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辺りはすっかり暗くなっていた。
ネイルは夜道を一人、トボトボと歩く。「もしもし」彼女は誰かに電話を掛け、幸せそうに微笑んだ。

ネイル(電話)「うん、お母さん。ホントに一生懸命やったんだけどね。お母さん… いくら頑張っても駄目なときはどうしたらいいのかな?」

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ぼんやりと部屋の前まで帰ってきたネイルは、そこでギョッとして立ち止まる。
玄関の前にいたのはユジンだ。

ユジン「…。」
ネイル「…先輩。寒いのに、どうしてこんなところに?」
ユジン「お前こそ寒いのにどこほっつき歩いてたんだよ?!」
ネイル「…。」
ユジン「メシは?」
ネイル「…。」
ユジン「食べたのか?」

ネイルは黙って首を横に振る。
「…。」ユジンは黙ってネイルの腕を引いた。

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本日の新郎ユジンはクリーム色のエプロン姿で手早くネイルの食事を整えた。

ユジン「マグロのキムチチゲだ。寒いから汁物から食べろ」

ネイルが黙って食事に手を伸ばすのを、ユジンはじっと見守る。

357

#もぉー なんちゅー顔すんねん 先輩よ

ユジン「オレは…」
ネイル「…?」
ユジン「お前が最後まで逃げ出さなかっただけで嬉しい」
ネイル「…。」
ユジン「誰よりも立派な演奏だった。コンクールなんていくらでもあるんだから、また今度出ればいいんだ」

350

「だけど…」ネイルはか細い声で言った。「賞で留学させてくれるコンクールは、今年はもうありません」

ユジンは頷いた。「ちょうどいい」

ネイル「?」
ユジン「お前も行けなくて… オレも行けないんだから」

ユジンは立ち上がり、キッチンへ戻った。

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部屋に帰ったネイルは、ゆらゆらと揺れる懐中時計を見つめていた。

ネイル「…。」

戸棚の上に置いてある催眠術の本を、彼女は見やった。

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翌日。

人気のない食堂で、ネイルはノートPCに向かっていた。
そこへそっと現れたユヌは、PCの画面を覗きこむ。

ユヌ「?」

彼女が熱心に見ていたのは、催眠術に関する記事だ。

ユヌ「催眠術の勉強してるの?」
ネイル「!」

ネイルは驚いてノートPCをバタンと閉じた。

ユヌ「どうして隠すんだよ?」
ネイル「大したことじゃないですよ。先輩のせいでビックリしたんですから!」

ユヌはニッコリ微笑むと彼女の向かい側に腰を下ろす。

ユヌ「催眠術に興味あるの?」
ネイル「違いますよ。退屈だったから」
ユヌ「”旦那”がいても退屈なんだね。一緒に遊んでもらえばいいのにさ」

ネイルが膨れる。「ユジン先輩は忙しいんですからー」

ユヌ「ちょうど良かった。オレは暇なんだよね♪」
ネイル「…。先輩、私に接近禁止!」

ユヌは頬杖をつき、彼女を睨む。「ガードが堅いな」

ユヌ「ガードが堅い女の子が好きなんだよね」

「…。」ネイルは困って口ごもる。

ユヌ「コンクールのことで辛いだろ」
ネイル「もう忘れちゃいました。コンクールはまたあるし」
ユヌ「うん。来年入賞すればいい」
ネイル「けど、1位は取れないだろうな。あんなに練習しても駄目だったんだから」
ユヌ「…。」
ネイル「私のピアノはコンクールで認めてもらえるような演奏じゃないみたい」
ユヌ「ネイル」
ネイル「…。とにかく、先輩は接近禁止ですからね!」

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「接近はしないから」ユヌの口調はどこまでも静かだ。

ユヌ「… オレにもうちょっと頼れよ」
ネイル「…。」
ユヌ「今どんなに悔しいか、オレだってすごく分かるのに」

「先輩!」ネイルはそれでも元気に振り払った。「私、大丈夫ですってば」

ネイル「来年また出ればいいんデス」
ユヌ「…。」

ユヌの前で、ネイルはニッコリ笑って見せた。

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「フランツ!お久しぶり!」カフェに顔を出したシュトレーゼマンの姿に、ソニョンは息子を押しのけて座ろうとする。

ユジン「母さん、大事な話してるところなんだ」

ソニョンは持ってきたドリンクを置き、残念そうに席を外した。

シュトレーゼマン「留学の手続きは進めていますよ」
ユジン「師匠」
シュトレーゼマン「前にも言ったでしょう?もう待てまセン」
ユジン「まだ留学するつもりはないと言ったじゃないですか」
シュトレーゼマン「ふむ。一緒に行けないのは残念ですが、ベイビは来年に来ればいいんですヨ」
ユジン「…。」
シュトレーゼマン「今回の大学オーケストラフェスが終わったら、出国なさい。これは師匠としての命令です」

「…。」ユジンは溜息をつき、俯いた。

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「チャ・ユジンが留学?そんなの聞いてないけど」シウォンが言う。

ジェヨン「教授が言ってた。シュトレーゼマン教授に付いて行くって」
ソンジェ「当然なコースじゃないか?」
ジェヨン「そうなったらR☆Sオケの指揮は誰がやるんだ?」

彼らが通り過ぎると、観葉植物の後ろに隠れていたクラリネット君が顔を出す。「R☆Sが…」

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「R☆Sオケはどうなるんです?」ユジンはまだ本当のことを言えずにいた。

ユジン「やっと承認されたのに、指揮者なしでどうやって続けるんですか?」

#素直に言えばいいのに。男の子ってややこしい

シュトレーゼマン「指揮者はこの世にオマエ一人しかいないんですか?」
ユジン「…。」
シュトレーゼマン「ようやく承認されたのは確かですけど、なぜ君が責任を取ろうとするんです?君以外にも指揮者は大勢います。明日にでも副指揮者を呼びましょう」
ユジン「副指揮者?」
シュトレーゼマン「彼もなかなかいいデスよ。しっかり教えてやりなさい」
ユジン「誰のことですか?」

+-+-+-+

さっそくR☆Sオケの面々の前に現れたのは… ユヌだ。
「前に会ったメンバーもいるようだね」マンボのときの懐かしさに、Sオケ出身のメンバーたちは嬉しそうに手を振る。

そこへユジンが入ってくると、彼らはユヌに振っていた手を慌てて下ろした。
指揮台に上がっているユヌに、ユジンは無言で近づく。「…。」

ユヌ「たった今みんなに話したから」
ユジン「副指揮者ってお前だったのか?」
ユヌ「うん。嬉しいだろ」

「さぁ。大して喜ぶような仲でもないだろ」皆の前でもユジンは刺々しい。
「気難しいヤツ」ユヌは溜息をついて、寂しそうに俯いてみせる。「ちょっとぐらい喜んでくれよ。傷つくだろ」
「?」ユジンがオケのメンバーを見渡すと、そこは巨大な気まずい空気に覆われていた。

ユジン「指揮科にはいつ編入するんだ?」
ユヌ「編入手続きは来年やるつもりだけど、とりあえずシュトレーゼマン教授の推薦で入った。知らなかったのか」
ユジン「練習始めるけど」

ユヌが指揮台を降りると、ユジンはすかさずそこへ上がった。

+-+-+-+

さっそく練習が始まった。
彼らの演奏、そして指揮するユジンを、ユヌは後ろで注意深く見つめた。

352

ユヌ「…。」

+-+-+-+

練習を終えて外に出たユジンを、ユヌが追ってきた。「大学オーケストラフェスに出るんだろ?」

ユヌ「一緒に出るのはセヒョン大って言ったっけ?相当うまいらしいな。今の実力で大丈夫なのか?」
ユジン「自分の心配してろ。師匠が決めたから受け入れはしたが、今のお前じゃ副指揮者の資格はない」

ユジンはユヌの左手をチラリと見る。

ユヌ「心配症だな。シュトラウスは左手をズボンのポケットに入れたままだったらしいけど。それに治療はちゃんと受けてる」
ユジン「ちゃんと勉強したいなら、まずは左手を使う訓練をしろ」
ユヌ「オレの心配してる時じゃないだろ。どうするつもりなんだ?」

「…。」ユジンが立ち止まる。

ユヌ「完全にオケが割れてる」
ユジン「…。」
ユヌ「なるほどな… それでみんなが会いに来たのか」
ユジン「?」
ユヌ「お前が留学した後のこと、心配してた」
ユジン「…。」

~~~~

「お前はよく知らないだろうけどさ」ユヌに訴えたのは、クラリネットの彼だ。

クラリネット君「あいつら、オレたちのこと落ちこぼれだってどんなに馬鹿にしてるか」
ユヌ「…。」
タニャ「そうよ。今だってそうなのに、チャ・ユジンが留学したら、私たちみんな追い出されるわ」
オーボエ君「(ユヌの手を握り)お前が入ってくれれば、オレたちも安心なんだ」

~~~~

「どうするんだよ?」押し黙ったまま歩き始めたユジンに、ユヌが続ける。

ユヌ「オレたちがいなくなったら、大喧嘩になりそうだ」
ユジン「子どもか?自分たちでどうにかするだろ」
ユヌ「確かに。あんな雰囲気なら、R☆Sオケはすぐ潰れるだろうな。何もしなくても」
ユジン「…。」

ユジンがイライラして再び立ち止まる。

353

ユジン「指揮を勉強するために副指揮者になったんじゃないのか?」
ユヌ「…。お前、言ったよな。友だちがいなかったのはバレバレだって。どうしていなかったんだと思う?」
ユジン「友だちの振りをしたライバルしかいないからだ」

ユヌが微笑む。「だから、こういうことには慣れてる。喧嘩、嫉妬、闘い」

ユヌ「あれは昨日今日で積もる感情じゃないだろ」
ユジン「…。」
ユヌ「R☆Sオケが出来る前から啀み合っていたメンバーを合体させたんだから、まともに率いようとする方がおかしいんだ」
ユジン「必要な過程だ」
ユヌ「普通はそういう過程で爆発する」
ユジン「…。」
ユヌ「ちょっと意外だな。チャ・ユジンがここまで無能とは」
ユジン「いつ潰れるか見に来たのか?」
ユヌ「今のR☆Sオケは好きじゃない。自分の友だちだけ大事にすることにするよ」

「子どもの遊びじゃないんだ!」ユジンが声を荒らげた。

ユヌ「オレだって遊びじゃない」
ユジン「!!!」
ユヌ「だから言ったろ。ずっとピリピリしてろって」
ユジン「…。」
ユヌ「何でそうしないんだ?気に入らないな」
ユジン「…。」

「気を引き締めろよ」そう言い捨て、ユヌは立ち去った。

+-+-+-+

ネイルは睡眠治療の医師の名刺をじっと見つめていた。

医師(声)「鍵を作るためには、先に錠前の形が分からないといけないでしょう?催眠治療で一番重要なのは、トラウマの実態を把握することなんです」

+-+-+-+

ソファでネイルが懐中時計をずっといじっているのが、ユジンにも気になっていた。

ユジン「それ、最近やたらと持ってるよな。そんなに時計見ることもないだろ?」

顔を上げたネイルは、何も言わずに彼を見つめる。

ユジン「?…何だ?」

「先輩、ちょっとここに座って見てください」ネイルはソファの隣をトントンと叩く。
「面倒くさい」ユジンは溜息をつきながら、それでも彼女の言葉に従った。「何だよ?」

座るなり、彼の顔の前で懐中時計を振り始めたネイルに、ユジンは思わず笑った。
彼は素直に揺れる懐中時計を見つめる。

ユジン「…。」

+-+-+-+

休憩室で談笑するイラク、ミニ、スミン、そしてユヌの元に、ユジンが現れる。

イラク「ユジン!ネイルがコンクールで名を挙げたんなら、オレたち次はピアノ協奏曲ってのはどうだ?ソン・スジに続くピアニスト、ソル・ネイルだ!」
ユジン「いや。うちのネイルは来年のコンクールの準備があるから」

「?????」皆の顔が歪んだ。

ユジン「!!!」
ユヌ「うちのネイル?」
ユジン「あぁ、ごめん。言い間違えた。忘れてくれ」
ユヌ「うちのネイルだなんて、人の口から聴いたら超ムズムズするな。オレ、うちのネイルなんて言うのやめなきゃ」
ユジン「(イラッ)”うちのネイル” に何でお前が ”うちのネイル” なんて言うんだ!」
皆「?!」
ユジン「!!!!!」
イラク「黙れ!」
ミニ「やめてくださいよ!」
ユジン「…。」
スミン「いくらチャ様でもヒドい!(泣)」

「講義があるから、後でな」ユジンは自分でもワケが分からず、逃げだした。

イラク「はぁー。すっかりやられてるな」
ミニ「ですね」
スミン「チャ様にはガッカリ!」
ユヌ「…。オレが”うちのネイル”って言ったときも… あんな寒々しかった?」
皆「…。」
ユヌ「オレは違うよね?」
皆「………。」

+-+-+-+

「一体どうなってるんだ?」ユジンは混乱していた。

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ユジン「そう言えば… うちのネイルに頼まれたような気もするし。だからって、いくらうちのネイルの頼みでも…!」

「!」また”うちのネイル”と言ってしまい、彼は完全に頭を抱えた。「あぁっ!!!」

355

#ユジンのこういう楽しいシーン。もっと見たかった

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「ホント?先輩が”うちのネイル”って?!」ミニの話に、ネイルは驚いた。

ミニ「うん。めちゃくちゃビビったわ」
ネイル「…。」
ミニ「ソル・ネイル、あんたどうやってユジン先輩を手なづけたのよ。秘訣を教えないさいよね」
ネイル「あのさ、ミニミニ。偶然じゃないの?」
ミニ「違うって!何回も言ったんだから!間違いなくユヌ先輩への当てつけよ」

「…。」ネイルはポケットから出した懐中時計を再び見つめた。

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「1まで数えたら、先輩はとてもリラックスした状態になります」ソファに座ったまま虚ろになったユジンに、ネイルは懐中時計を揺らしながら静かに語りかけた。

ネイル「10,9… 深く。もっと深く…」

ユジンの首がガクンと垂れ、彼は完全に催眠状態に落ちた。

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#無防備な先輩を心ゆくまで眺める時間♪ふふん

ネイル「…先輩。眠りから覚めたら、みんなの前で”うちのネイル”って、10回だけ言ってくださいね」

~~~~

ここで一旦区切ります。

 - のだめカンタービレ(韓国版) ,