ネイルもカンタービレ(のだめカンタービレ韓国版)あらすじ&日本語訳 11話vol.1
シム・ウンギョン、チュウォン主演、「ネイルもカンタービレ/明日もカンタービレ」(韓国版のだめカンタービレ)11話前半です。
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R☆Sオケのメンバーたちはリハーサルを控え、練習室に待機していた。
シウォン「二重奏のリハが終わったら私たちの番よ。楽器チェックね」
イラクがすかさず立ち上がる。「みんなコンマスの話聞こえたよな?楽器チェックな」
そう言っておいて、イラクはシウォンにウィンクしてみせる。
ミニ「尻尾振っちゃって」
スミン「コンマスの座を奪われたのに、嬉しそうなんだからぁ」
「あ、そうだ!」ミニが言う。「私、二重奏のリハ見学してきます」
スミン「もう!ネイルのドレス姿見に?目に毒だってば!」
ミニ「そんなぁ、すごく可愛いんだから!サイズもピッタリだし」
イラク「いくら可愛くしてもソルレバルはソルレバルだろ」
ミニ「…。」
「ところでユヌはどこ行ったんだ?」イラクが呟いた。
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真っ暗な控室の奥で、鏡に備え付けられた蛍光灯だけが明るく灯っている。
ユヌは赤く充血した目でじっと鏡を見つめていた。
ユヌ「…。」
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「ネイル!」「開けてよ!」開かない控室の扉の前で、ミニとスミンは何度もノックを繰り返した。
知らせを聞いたユジンが駆けて来る。「どうなってるんだ?」
ユジンが中に声を掛けた。「ソル・ネイル、いるのか?」
返事はない。
ユジン「どうしたんだ?」
ミニ「中から鍵かけたんです。着替えるから出てくれって言って」
ユジン「倒れて怪我してるんじゃないのか?」
スミン「そうじゃなくて…」
ユジン「?」
スミン「リハーサル… やらないって」
「…。」皆が押し黙ったところへ、イラクが鍵を持ってやって来た。
ユジン「…。」
ユジンはネイルの姿を思い出していた。
「嫌だ」「チャンスなんていらない」そう泣いて訴えたネイルが、一生懸命やるからと、今度の二重奏に決意を見せていたのだ。
「震えなかったら上手くやれるんだから」…彼女はそう言った。
ユジン「みんな」
3人「?」
ユジン「ちょっと外してくれるかな」
ユジンに鍵を渡し、彼らは無言で戻って行った。
ユジンはシーンと静まり返った部屋のドアを見つめると、そっとノックし、そこへもたれかかった。
ユジン:
너 오늘 아침부터 기분이 유난히 좋았어.
왜 그랬는지 이제 알겠다.
함께는 아니지만 오늘 처음 같은 날 같은 무대에 서는 거야.
너한테 무대에 서는 게 아직 이른 거라면
그래서 공연하는 게 힘든 거라면
오늘은 거기 그대로 있어도 좋아.
네가 문 열고 싶을 때까지 기다릴게.
今日のお前、朝からえらく明るかったな。
それがどうしてなのか、やっと分かった。
一緒じゃないけど、今日初めて同じ日に同じステージに立つんだ。
ステージに立つのがお前にまだ早いなら…
それで公演するのが辛いなら…
今日はそのままそこにいたっていい。
お前がドアを開けたくなるまで、待ってるから。
ドア越しに聴こえてくるユジンの穏やかな声に、ネイルはそっと顔を上げた。「…。」
+-+-+-+
鍵が中から開いた。
ドアを開けたユジンは、座っているネイルを見ると小さく息をついた。
彼はテーブルの上に腰を下ろすと、ネイルの顔をそっと覗く。
ネイル:
실망하면 어떡해요?
ガッカリさせたらどうしよう…。
ようやく口を開いた彼女に、ユジンは微笑んだ。
ユジン:
누가?
誰を?
ネイル:
나한테 기대하고 나 좋아해 주는 사람들이
내가 피아노 못치고 1등을 못하면 나 싫어할까 봐요.
私に期待して… 私のこと好きでいてくれる人…
私がピアノ弾けなかったら、一等になれなかったら、嫌いになるんじゃないかな。
「…。」しばらく黙って彼女を見つめていたユジンは、静かに身を乗り出した。
ユジン:
여긴 그런 사람 없어.
피아노때문에 너를 싫어하거나 외면하지 않아.
ここにそんな人はいない。
誰もピアノのせいでお前のこと嫌いになったり、軽蔑したりしないから。
ネイル:
…
ユジン:
싫으면 안해도 돼.
무서워하는 줄 몰랐어.
맘보 때 잘하던 애.
하긴 그땐 피아노 평가가 아니었지?
イヤならやらなくてもいい。
怖がってるなんて思わなかったんだ。
マンボのときは上手くやったから。
確かに… あのときは、ピアノを評価されるわけじゃなかったからな。
ネイル:
이젠 다 괜찮은 줄 알았어요.
잘할 수 있을 거라.
もうすっかり大丈夫だろうと思ったんです。
上手くやれるって。
ユジンはうんうんと頷く。
ユジン:
그래. 알아. 응?
알아. 할 수 없어도 괜찮아.
할 수 있을 때까지 기다릴게.
あぁ、分かってる。
分かってるさ。出来なくったって構わない。
出来るようになるまで、待つから。
「…。」俯いていたネイルが視線を上げ、ユジンをまっすぐに見た。
ユジン:
가더려 줄게.
待ってやるから。
+-+-+-+
ユジンがネイルの控室から出てくると、ユヌが階段を降りてくるのに出会った。
ユヌ「何で指揮者がここに?リハはオレたちの次じゃないか」
ユジン「二重奏のリハーサルは… ない」
ユヌ「どういうこと?」
ユジン「二重奏はキャンセルだ。ソル・ネイルはステージに上がれる状態じゃない」
ユヌ「…。」
ユジン「学校側にはオレが話してみる」
ユジンが立ち去ろうとしたとき、ユヌがポツリと言う。「やらなきゃならないんだ」
ユジン「…。聞こえなかったのか?ソル・ネイルは…」
ユヌ「それでもだ!」
ユジン「…。」
ユヌ「やらなきゃならないんだ」
ユジン「これだからマナーがどうのと口ばかりのヤツはウンザリなんだ」
ユヌ「…。」
ユジン「お前、何なんだ?無理だって言ってんだろ。無理やりステージに立たせるのか?」
ユヌ「そうだと言ったら?」
ユジン「…。」
ユヌ「オレは今日、どんなことがあろうとネイルと二重奏をやらなきゃならない」
ユジン「どうしてもやりたいなら、まずはちゃんと説得してみろ。今みたいな態度じゃ…」
「退け」ユヌの言葉は恐ろしく静かだ。
ユジン「… おい、イ・ユヌ」
ユヌ「…。」
ユジン「普段の方がマシだな。お前、今完全におかしいぞ」
ユヌ「演奏者がステージに立つのがおかしいか?」
ユジン「いつもみたいに丁寧に頼めよ」
ユヌ「もうすぐリハーサルだ。そんな時間はない」
ネイルの控室へ向かおうとしたユヌの腕を、ユジンが掴む。
その衝撃で、反対側の左手がドアにドンと当たった。
ユヌ「…。」
俯いて黙りこむユヌに、ユジンの視線が彼の左手に向かう。「?」
ユヌは小刻みに震える左手を右手で押さえ、固く目を閉じた。
ユジン「お前、左手に問題抱えてんだろ」
ユヌ「…。」
ユジン「そんなにヒドいなら演奏するのは厳しいはずだ」
ユヌ「黙れ!」
ユジン「!」
ユヌ「今日までは出来るから」
ユジン「…。」
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ユジンは彼の腕を掴み、無理やり外へ連れ出した。
ユジン「病院は?骨か?靭帯か?」
ユヌ「…。」
ユジン「神経の方か?薬飲んでもそんなに痛むのか?」
ユヌ「放っといてくれないか」
ユジン「…。お前、演奏できる状態じゃないんだろ」
ユヌ「出来るから!」
声を荒げるユヌを、ユジンは冷静に見つめた。「お前ら、二重奏はナシだ」
ユヌ「オーバーなんだよ。一度公演したくらいで駄目になったりはしない」
ユジン「鎮痛剤を飲んでも痛むなら深刻だ」
ユヌ「…。」
ユジン「そんな状態でやらせるわけにはいかない」
「学校に報告するから」歩き出そうとしたユジンの胸ぐらを、ユヌが掴む。「干渉すんな!」
ユヌ「今日の公演は予定通りやる。今までどんな思いで持ち堪えて来たか」
ユジンは負けずにユヌの胸ぐらを掴み返す。
ユヌは痛む左手でさらに掴んだ。
ユヌ「…。」
ユジン「…。」
自分の襟を掴んでいる、痛むはずのユヌの左手を、ユジンはチラリと見た。
彼はユヌの左手にそっと手を添えると、静かに襟から外させる。
そして、手に対する優しさとは逆に、ユヌの胸をドンと突き返した。
ユヌ「…。」
震える左手をそっと押さえ、ユヌはポツリと口を開く。
ユヌ:
피아노…몇살 때부터였어?
눈 뜨면서부터 했겠지.
나도 그래.
내 기억속에선 늘 첼로와 함께였어.
세살 때부터 시켰다던데 그럼 20년이야.
ピアノ… 何歳から弾いてるんだ?
物心つく前からだろうな。
オレもそうだ。
記憶の中で、オレはいつだってチェロと一緒だった。
3歳かららしいから、20年ってことになる。
ユジン:
…
ユヌ:
신경수술 하면 첼로를 다시 할 수 있는 확률을 거의 없대.
다시 한다 해도 지금처럼 연주하기까지 얼마나 걸릴까…
神経を手術すれば、またチェロを弾けるようになる確率はほとんどないらしい。
弾けたとしても、今ぐらいの演奏が出来るまでにどれだけかかるか。
ユジン:
…
ユヌ:
오늘 공연 내 20년 친구를 보내는 날이야.
그 친구에게 바치는 장송곡이야.
今日の公演は20年来の友人を送る日だ。
友人に捧げる葬送曲なんだ
重苦しく目を閉じていたユジンが、目を開いた。
ユジン:
주절주절 참 말이 많네.
설내일하고 어울리느라 나도 오지랖이 늘었다.
장송곡…그럼 그 손 진짜 안 좋은 거네?
어쩐지 연습할 때 손을 아끼더라니…
よくもそうタラタラと言えたもんだな。
ソル・ネイルの相手をするうちに、オレもおせっかいになったらしい。
葬送曲… それなら、その手はホントに良くないってことだな。
どうりで練習のとき手を庇うはずだ。
ユヌ:
…
ユジン:
나같으면 그런 시간에 치료부터 받겠다.
아픈 손 혹사시키는 짓 절대 안해!
オレならそんなことしてる間にまず治療を受ける。
痛む手を酷使するようなマネは絶対にしない。
ユヌ:
남의 일이라고 함부로 말하지마!
人のことだからって適当に言うな!
ユジン:
네 부상이 남의 일인 것 같애?!
お前のケガが他人事だと思うか?!
ユヌ:
!!!
ユジン:
재능 없는 떨거지들도 손 귀한 거 알어.
돈 없어도 공사판에 나가 손 다칠까 봐!
근데 뭐? 장송곡?
…그딴 거 준비하느라 치료도 안 받아?
나같으면 그런 짓 절대 안해.
손을 바꿔서라도 연주 다시 할 거야.
才能のない落ちこぼれだって、手がどれだけ大事か分かってる。
どんなに金がなくたって工事現場に働きに出たりしないだろ!
それなのに、何?葬送曲?
たかがそんなもののために、治療も受けずにいたのか?
オレならそんなことは絶対にしない。
手を替えてでもまた演奏してみせる!
ユヌ:
손을 바꿔…세살 때로 돌아가 다시 시작하라고?
手を替えて… 3歳の頃に戻ってやり直せって?
ユジン:
정말 좋아하면 애들과 함께 배우는 한이 있어도 포기 안해.
너 다시 시작할 자신이 없지?
本当に好きなら、子どもたちと一緒に習うことになったとしても諦めたりしない。
お前、やり直す自信がないんだろ。
ユヌ:
…
ユジン:
그러니까 도망치지.
だから逃げてるんだ。
「…。」ユヌを残し、ユジンは建物へ戻った。
ユヌ「…。」
+-+-+-+
ネイルはすでに衣装に着替え、控室の鏡の前に座っていた。
#私の体感的に、そろそろ日が暮れるころだと思うけど(笑)
「逃げちゃったほうが楽だと思うけど」不意に声が聴こえて、ネイルは顔を上げる。
幼いころの自分が、後ろにいた。
チビネイル「私のこと捨てたら、もっと辛くなるよ。逃げ場所がないでしょ」
「わかってる」そう言って微笑むと、ネイルは幼い自分の前に腰を下ろした。
ネイル「待つって言ってくれたでしょ。いつまでもあんたのままで、先輩を待たせるわけにはいかないよ」
しばらくじっと黙っていたチビネイルは、明るく右手を出した。「バイバイ、ソル・ネイル」
ネイルはその手を握り返す。「元気でね、ソル・ネイル」
#もっと肌に近いリップを塗って上げればいいのにね。チビネイルちゃん
お母さんの口紅を塗っちゃったおませな子みたい。
幼い自分の頭をポンと撫でると、ネイルは部屋の出口へ向かった。
ドアを開けて振り返ると、そこにいたはずの幼い自分は… もういなかった。
彼女は晴れた表情で歩き出す。
+-+-+-+
中へ戻ってきたユジンをイラクが見つける。「お前までどこ行ってたんだよ」
イラク「ユヌ見なかったか?」
ユジン「あぁ、外にいる」
イラク「(安堵)ソル・ネイルがリハやるって言った途端、ユヌが行方不明でさ。この調子じゃオレらのリハ夜中になるぞ」
ユジン「ソル・ネイルがリハやるって?」
+-+-+-+
ネイルは恐る恐るステージに出た。
譜面を置き、鍵盤に向かったところへ、ユジンが駆け込んでくる。「ソル・ネイル」
ユジン「大丈夫か?」
ネイル「先輩、ちょっと手を」
そう言われ、ユジンはさっと手を出してやる。(←ナンテこと!
ネイルは両手で彼の手を握り、懸命に気持ちを落ち着かせた。
ユジン「どうした?不安なのか?」
ネイル「やっぱり先輩の手はお薬ですね」
ユジン「…。」
ネイル「もう大丈夫」
彼女はそっとユジンの手を離した。
「大したことないですね」ネイルは明るく膝を叩いてみせる。
ネイル「それなのに、どうしてこんなに怖かったんだろ」
ユジン「…。」
ネイル「先輩、客席にいてもらえますか?」
+-+-+-+
暗い控室の中で、ユヌは医師の言葉を反芻していた。
医師(声)「手術が遅れるほど、回復は難しくなります。こうしているうちに日常生活さえ送れなくなるかもしれません。絶対やらなければならない演奏というのは、手を諦めるほど大事なものなんですか?」
「…。」彼は、壁に立て掛けたチェロをじっと見つめる。
+-+-+-+
ステージにチェロを持ったユヌが現れた。
ユジン「…。」
それでもやるつもりか…。客席で、ユジンは小さく溜息をつく。
「遅くなって…ごめん」ピアノの脇に立つと、ユヌは優しくネイルに言った。
ネイルは無言で彼を見上げる。
ユヌ「だいぶ待った?」
ネイル「いいえ。先輩、もう始めましょう。私、準備は出来てます」
頼もしいネイルに、ユヌは微笑んで頷いた。
ネイル「それと、この曲をやらせてくれてありがとうございます」
ユヌ「え?」
ネイル「シシリエンヌです。この曲に決めた時、私なりの意味を込めたんです。今日の演奏が私にとってはスタートなんです」
ユヌ「…何の?」
ネイル「全部です。全部。何だって出来そうな気がするんです。私、やれます!」
ユヌ「…。」
ユヌが自分のポジションにゆっくりと移動する。
演奏が始まった。
「今日はオレの20年来の友を送る日なんだ」
ユジンは客席でじっとユヌの演奏を見守る。
「お前の怪我が他人事か?!」
「本当に好きなら諦めたりはしない」
「やり直す自信がないんだろ。だから逃げるんだ」
ユヌのチェロの弓が不意に空を切った。
演奏が止まる。
弓を持つ右手がゆっくりと降りた。
ネイル「先輩、どうしたんですか?」
「ネイル」ユヌが静かに口を開く。
ユヌ「オレたちの二重奏… やめにしよう」
ネイル「…。」
ユヌ「出来そうにないんだ」
ネイル「え?」
ユヌ「…ごめん」
ネイルが思わず立ち上がる。
二人の様子を、客席のユジンはそれでも辛抱強く見守った。
ユヌ:
나 정말 이기적이네.
나만 생각했어.
オレってホントに一人よがりだな。
自分のことしか考えてなかった。
ネイル:
?
ユヌ:
새로 시작하려는 너한테 장송곡을 치게 만들었어.
나한테 시실이안느는 포레의 곡이야.
아버지의 죽음도 진혼곡으로 승화시키는 포레의 예술혼.
내가 불태울 마지막 열정이었어.
그래서 네가 이 곡을 선택했얼 때 나는 내 첼로를 위한 미지막 곡이라고 생각했는데
너한테 시작일 거라고는 생각 못했다.
…미안하다.
新しくスタートを切ろうとしてる君に、葬送曲を弾かせてしまった。
オレにとってシシリエンヌはフォーレの曲だ。
父親の死さえ鎮魂歌として昇華させるフォーレの芸術魂。
オレも最後に情熱を燃やしたいと思ってた。
だから、君がこの曲を選んだ時、チェロのためのオレの最後の曲だと思ったんだけど、
君にとってはスタートだなんて、思ってもみなかったんだ。
…ごめん。
少し考えを巡らせると、ネイルは笑顔でユヌの肩にトントンと手を置いた。
ネイル:
괜찮아요, 선배.
いいんですよ、先輩。
+-+-+-+
リハーサルを中止し、ユヌは外へ出て来た。
「先輩、これはね、葬送曲じゃなくて明日(ネイル)のシシリエンヌなんです」ネイルの言葉を彼は反芻した。
ネイル(声)「新しいスタートのための音楽なんですよ。それが何であろうと」
彼はそうしてホールを後にした。
+-+-+-+
ユヌが去った後、ネイルはステージに残り、一人で最後まで演奏した。
+-+-+-+
ユヌはそのままタクシーでどこかに向かっていた。
「あぁ、先輩」電話の相手に言う。
ユヌ(電話)「今日の公演、頼むよ。今日だけ代わりにステージに立って欲しいんだ。あぁ、ありがとう。ごめん」
電話を切ると、ユヌはすぐに他の誰かに電話を掛ける。
悲しみや痛みが入り混じり、彼は顔を歪めた。「母さん」
ユヌ(電話)「僕、病院に行くよ。意地張ってごめん」
+-+-+-+
学長は学長室前で連絡を受けた。
学長(電話)「えぇ、ユジン。今ユヌから聞いたわ。知り合いが出てくれるって言うんだけど、その人も今地方公演中で。アン教授に頼んで今すぐ迎えに行ってもらおうと思うの。公演まであと4時間なのに」
#えー まだあと4時間あるのー?(棒読み
ユジン(電話)「うちの団員たちのことは僕が責任を持ちますから、心配しないでください」
彼は足早に練習室へ向かった。
+-+-+-+
ユジンが入ってくると、メンバーたちはさっと自分の席につく。
「さぁ、オレたちのリハの時間だ」指揮台に立つと、ユジンは声を張った。
全員が一斉に歓声を上げる。皆笑顔だった。
ユジン「みんな分かってるよな。リハーサルには?」
全員「全力を尽くせ!」
ユジン「本番には?」
全員「死力を尽くせ!!!」
皆の元気な返事に拍手をすると、ユジンはシウォンにチラリと視線を送り、練習室を後にした。
シウォン「?」
+-+-+-+
ユジンは廊下で壁にもたれかかり、腕組みしてシウォンを待っていた。
シウォン「あんたがそんなにテンションあがってるの、初めて見たよ」
ユジン「ソル・ネイルとイ・ユヌの二重奏、中止になった」
シウォン「何かあったの?」
ユジン「怪我して病院に行ったんだけど、みんな驚くかもしれないから、話すのはお前に任せる」
「分かった」シウォンは少しも動揺することなく、短く答えた。「心配しないで」
ユジン「ありがとう」
練習室へ戻りかけて、シウォンは立ち止まる。「チャ・ユジン」
シウォン「あんたは私たちの指揮者だからね」
ユジン「…。」
シウォン「あんたが笑って自信をみせてるから、みんなやる気満々だよ」
シウォンはニッコリ笑い、練習室へ戻って行った。
「…。」ユジンは壁に頭をもたれかけ、ぼんやりと溜息をつく。「これ以上何もないよな」
#リハやるリハやるってさんざん繰り返しながら、おそらくやるやる詐欺なんでしょ。えぇ、分かってますよ
+-+-+-+
ネイルは入場する観客たちに混じってキョロキョロしていた。
2階ロビーにシュトレーゼマンの姿を見かけ、声を掛けようとしたところへ、ト教授がシュトレーゼマンに近づくのに気づき、彼女は慌てて逃げ出した。
ト教授「お元気でいらっしゃいましたか、シュトレーゼマン教授」
シュトレーゼマン「?」
ト教授「またお会いできて嬉しいですが、またいついらっしゃらなくなることか」
シュトレーゼマン「いなくなったりしませんよ」
ト教授「…。」
「ミナは…」シュトレーゼマンは辺りを見回す。「学長はどこです?」
ト教授「知りません。どうなっているのか、私が訊きたいくらいです」
シュトレーゼマン「そうですか」
シュトレーゼマンは何気なく階下を見下ろした。
シュトレーゼマン「目が悪くなったんですかネ?」
ちょうどエントランスを一人の男性が入ってくるのが見える。「あれはチャ・ドンウでは?」
ト教授「え?」
チャ・ドンウは迷わず1階ロビーを横切り、階段を上がった。
+-+-+-+
本番の衣装に着替え、ユジンは一人で控室にいた。
「もう帰れって」誰かに電話で告げる。
ユジン(電話)「公演をキャンセルした演奏者が客席にいたら、問題になるかもしれないから」
電話の相手は、階段の踊り場にいるネイルだ。
ネイル(電話)「それでも先輩の公演は観て行かなきゃ。それから、ユヌ先輩を追いかけようとしたんですけど…見つかりませんでした」
ユジン「…。」
#ちょ、何なんですか先輩、そのビジュアルは♥
ネイル「ちゃんと治療うけますよね?」
ユジン「終わったら確かめてみるから」
そのとき…
チャ・ドンウが控室の前までやって来て、ドアをノックした。
「どうぞ」ユジンは電話を耳に当てたまま、誰かもわからぬ訪問者に声をかける。
ユジン(電話)「もうすぐ始まるから…」
扉が開き、入ってきた人物が鏡越しに見える。
「…。」ユジンは父を茫然と見つめた。
「もしもし?先輩、どうしたんですか?」電話の向こうのネイルの声は、もうユジンには届かなかった。
+-+-+-+
「みすぼらしい所だな」父は控室を見渡し、そう言った。
ユジンはようやく正気に戻り、父に向き直った。
ユジン「父さん、お久しぶりです」
彼は父に深々と頭を下げる。
父「こんなところで公演するのに、招待状を送ってくる魂胆は何だ?」
ユジン「招待状が行っていたとは…知りませんでした。もう二度とそんなことのないようにします」
父「優先順位が間違っている。もう二度とこんなところで公演はしない… その言葉が先だ」
ユジン「…。」
父「ひょっとして、まだ克服出来ずにいるのか?世界の舞台に立つべきヤツが、留学を先送りにして、こんなオーケストラで時間を無駄に?」
ユジン「ここでも学び、楽しんでいます。時間の無駄ではなく」
父「それは時間の無駄だ」
ユジン「…。」
父「その結果がこんな小さな控室だろう」
「…。」ユジンが無言で拳を握り締めると、父はその拳に視線を落とした。
父「気が弱いのは子どもの頃から変わらないな」
ユジン「…。」
父「あのとき、母親の言うことを聞かずに、無理矢理にでも病院に入れるべきだった」
ユジン「僕の状態を確かめにいらしたんですか?」
父「…。」
ユジン「…。」
父「日本へ行くついでに寄っただけだ。無駄足だったと、後悔するような公演はしないだろうな」
ユジン「久しぶりに会っても同じですね」
父「仕方なかろう。相変わらず進歩がないんだから」
ユジン「…。」
父はユジンを脅すように睨みつけると、そのまま控室を出て行った。
ユジン「…。」
+-+-+-+
ここでエンディングです。
いまさらだけど、韓ドラ舐めてたわ。もう「参りました」だわ。
(o´Д`)=з クタクタ
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Comment
盛りだくさんの前半。言われてみるとこの日は1日48時間あったのかしら?
ライジングスターの練習&リハーサルは見えないとこで…(笑)俳優さんの楽器のシーンって難しいのかなぁ~。
ユジンは癒し系の素敵男子ですね。間近で見つめられたらかえって緊張して演奏に集中できないわ(笑)
余談ですがクラシック曲名を書いてくださるのでドラマでしっかり聴けない分YouTubeで探して聴くのが習慣になりました♪シシリエンヌもチェロの二重奏でありました♪
ネイルとユヌで最後まで演奏してほしかったです。ここまで延ばしたのだからそれからでも良かったのに…‼
yujinaさん おはようございます!
ありがとうございます、「参りました」ですか^^;;
余計なシーンが相変わらず多いな・・・と思いましたが
11話、12話は今後に少しだけ期待を持たせてくれる場面もあったような気がします。
ソル・ネイル、もっと貪欲に音楽と向き合ってほしい。
常にオドオドしていて、本当に子供みたいで。
ピアノもいつも自信なさげに弾いている感があって、残念・・・。
もっと堂々と、優雅に弾いて欲しい!と叫ぶ(^_^;)
”ソル・ネイルもカンタービレ”!!になってこそ
もっと面白くなるはず(^・^)!
まだまだ期待!しています!