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ネイルもカンタービレ(のだめカンタービレ韓国版)あらすじ&日本語訳 5話vol.1

      2014/11/03

シム・ウンギョン、チュウォン主演、「ネイルもカンタービレ/明日もカンタービレ」(韓国版のだめカンタービレ)5話です♪

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イラクの楽譜をいきなり破り捨てると、ユジンは言った。「みんな楽譜を破れ」
練習室が静まり返った。

ユジン「そう、これがAオケの実力だ。韓音大最高のエリート。並外れた才能を持っていても、お前たちより何倍も努力して、あの場所に立ってる。それなのに、たかが何週か練習しただけで、勝てると思ってたのか?」

「どうしろってんだよ」イラクが口を開く。

イラク「このまま諦めんのか?どうせ負けるから?」
ユジン「教授や友だち、家族の前で恥かくよりマシだ」

イラクが思わず立ち上がった。「指揮者が言うことかよ!」
「イラク、やめなよ」スミンの止める声にも、イラクは続けた。

イラク「たかが数週じゃねーぞ。めちゃくちゃ一生懸命やったじゃねーか!オレたち楽譜は全部マスターした。それなのに、諦めなきゃなんねーのか?」
一同「…。」

「私はイヤです」そう言ったのはミニだ。

ミニ「演奏したい。才能ないのはわかってるけど… オケだって初めてだけど、こんなに一生懸命練習したのだって初めてなんです」

黙って聞いているユジンの顔が、ほんの僅かに緩んだ。

イラク「そうだよ!やってみよーぜ!恥かいたらどうだってんだ?負けるも何も、やってみもしないでさ。諦めるほうがもっと恥ずかしいんじゃねーのか?」

「違うか、チャ・ユジン?」イラクが振り返る。

ユジン「それなら、オレを信じてついて来るか?」

「もちろん!」スミンが顔を輝かせる。
皆が頷いた。

ユジン「みんな楽譜を破れ」

「…。」ユジンの意図が分からず、皆は困惑した。

ユジン「オレたちにはオレたちだけの武器がある。まだリハーサルの時間は残ってるし、やってみよう。やれるさ」

「皆、破るんだ!」イラクが声を上げた。「指揮者が出来るって言うんだ。行ってみようぜ!」

「行くぜ!」イラクに続き、全員が笑顔で拳を突き上げる。
一気に明るくなったSオケを、ユジンは冷静に眺めた。

ここからが勝負だ。

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練習の合間に外へ出てくると、ミニは緊張した面持ちで誰かに電話を掛けた。

ミニ(電話)「あ、お父さん。今日ソウルの卸売市場に来るんでしょう?仕事が終わったら、少しだけ寄ってくれるわけにはいかない?まだ時間はあるんだけど」

「そんな時間あるか」父の返事は冷たかった。

父(電話)「楽器なんかべらぼうに金が掛かるのに、何が楽しくて聴きに行かなきゃならないんだ!」

電話は一方的に切れた。

ミニ「…。」

そこへスミンがミニを呼びに来た。「みんな待ってるよ^^」

ミニ「はい」
スミン「ネイルは?一緒にいると思ったのに」
ミニ「見てませんけど。さっきからずっといませんね」

「くっついてるのを見なくていいからスッキリしちゃうわ♪」スミンはひそかに呟いた。

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「なぜ審査員にシュトレーゼマンが入るのです?」ト教授からの報告に、理事長が疑問を口にした。

理事長「スペシャルオーケストラを作った本人でしょう。審査員の選定権が学長にあるのが一番の問題だわ」
ト教授「すでにどちらのオーケストラとも無関係の方ですので」
理事長「それに、6名なら同数票になることもあるでしょう?」
ト教授「7名です」
理事長「?」
ト教授「学長が推薦なさった最後の一人がおりますので。我々全員が賛成しました」
理事長「誰なんです?」

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「どんな結果が出るんでしょうねぇ」野外会場の客席の後ろの方で、シュトレーゼマンは言った。

学長「あの方たちに任せなければ。一番公正な審査員たちではありませんか」

野外ステージの前には、丸テーブルと椅子が並べられ、少しずつ観客が集まっていた。
そこへ走ってきたのは、ユジンの母、ソニョンだ。

ソニョン「探したんだから!」

友人のミナにそう言って、彼女はハッとする。「!!!」

「お久しぶりですね、マエストロ」ソニョンは意味深な笑みを浮かべた。

シュトレーゼマン「Oh, お久しぶりです、マダム」
ソニョン「ユジンママです。ユジンママって呼んでください」
シュトレーゼマン「あぁ…はい。ユジンママ」
ソニョン「韓国語、ものすごく上手くなられましたねぇ」
学長「(ハラハラ)」
ソニョン「なるほど。だから、うちのユジンに助手もさせて、お使いもさせて」

「座りなさいよ」たまりかねて、学長がソニョンの腕を引っ張った。

学長「ユジンの指揮、楽しみねぇ」
ソニョン「楽しみも何も。お使いと助手が忙しくて、どれだけ練習できたかしら」

「やめなさいよ」学長がそっとソニョンを窘める。

「そろそろ始まりますわね♪」学長はシュトレーゼマンを振り返り、笑顔を作った。

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ネイルはイラクの父親の車で送ってもらい、大急ぎで大学へ戻ってきた。

イラク父「急げー!遅れるんじゃないぞーーー!気をつけろーーー!」

彼女は大きなバッグを抱え、よろめきながら走る。

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練習室にユジンが戻ってきた。

ユジン「さぁ、あと10分だ。楽器と服装をチェックして、最後の点検をしてくれ」

皆が思い思いに動き始めると、指揮台の上でユジンはキョロキョロと辺りを見回した。
ユジンの様子を見て、スミンはイラクが飲もうとしていた水を奪い、さっと立ち上がる。

スミン「チャ様、何探してるの?お水?安定剤?」

「いや」ユジンは苦笑する。

ユジン「何か忘れてる気がして」
スミン「何かな?指揮棒はあるし、総譜もあるし」

そのとき、練習室の扉がドンと開いた。「待ってくださーーい」
踊り込んできたネイルを一目見て、ユジンは納得したように小さく頷いた。「ソルレバルだった」

ネイル「私たちの鎧を持って来ましたヨ!」

ネイルはバッグから出したTシャツを掲げる。「スペシャルTシャツ!」

イラク&スミン「おぉ、いぇーーーい!」
ユジン「…。」

皆も立ち上がって歓声を上げた。
盛り上がりは最高潮だ。

ユジン「片付けろ!」
一同「…。」
ユジン「ふざけてんのか?」
ネイル「ふざけてないデス…」

「早く持って来たくて…転んじゃったんですから」冷たいユジンの反応に、ネイルは転んだ膝の怪我を指さし、訴えた。

イラク「着ようぜ、チャ・ユジン!オレたちのユニフォームだ。着ればもっと上手く演れるぞ、そうだろ!」

再び皆が上げた歓声に、ユジンは固く目を閉じた。

ユジン「分かった」
イラク&スミン「?!」(←↓この瞬間ちょー可愛い

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ユジン「好きにしろ。オレに強制するなよ」

「OK!」皆が大喜びでユニフォームを受け取りに集まった。

ネイルが指揮台にいるユジンに駆け寄る。

ネイル「先輩も着てください」
ユジン「?」
ネイル「先輩の分、超スペシャルなのを作ったんデス♥」

086

そう言ってネイルが取り出したのは、ひときわ光り輝く「S」の文字。

ユジン「サーカスか?」
ネイル「♪」
ユジン「…着ねーよ」
ネイル「でも、私が作ったんですよぉ」

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SオケTシャツを着てステージに並んだメンバーたちを、観客は珍しそうに眺めた。

理事長「落ちこぼれらしいわ。音大生の品格さえもない」
ト教授「申し訳ありません。前もって指導しておくべきでした」

別のテーブルは、また違った反応だ。

シュトレーゼマン「やはり破格的なサプライズです」
ソニョン「ふふふ♪ 破格ならフランツに勝てる人はいないでしょ~。ユジンは指揮を習えなかったから、破格なところだけフランツに倣ったみたいね」
学長「(ハラハラ)」

ネイルとイラクの父は、二人並んで、祈るように手を握りしめた。
「イラクだ!」コンマスのイラクが登場すると、父の顔が輝く。

イラクは客席に礼をすると、オケの方へと向き直り、チューニングを始める。
皆の音が少しずつ集まった。

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#少なっ!そして 遠っ!

一人の男性が入ってくると、ネイルたちの後ろの席に腰を下ろした。
彼は落ち着かない様子で、ステージに誰かの姿を探す。「…。」
後ろで大きなコントラバスを弾いている小さな学生… それが彼の娘だった。

コンマスが席につくと、いよいよ指揮者の登場だ。
ユジンがステージに現れると、メンバー全員が立ち上がった。
ユジンはコンマスの前で立ち止まると、小声で呟く。「何だ?この楽譜」

イラク「ごめん^^;やっぱあったほうがいい気がして」

「ファイティン」彼らは握手を交わした。
ニヤリと笑い、ユジンは指揮台に上がり、観客に頭を下げた。

「やっぱりアイツ一人だけ面白くありませんネ」シュトレーゼマンが思わず正装のユジンを指さす。

ソニョン「(ジロリ)」

理事長の視線もユジンに注がれた。

理事長「指揮者だけは正常ね」
ト教授「チャ・ドンウの息子なんです。落ちこぼれたちに巻き込まれるわけにはいかないでしょう」
アン教授「…。」

オケのメンバーの方へ向き直ると、ユジンは突然上着を脱いだ。
「どうして?」どこからともなく小さなざわめきが起きる。
続いて彼は、白いワイシャツのボタンを外し始めた。「???」

次の瞬間…

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乱暴に脱ぎ捨てた白シャツの下から現れたのは…光り輝くSの文字。
「わぁーーー!」Sオケメンバーが沸きに沸いた。

ネイル「!!!」

皆が皆、それぞれの反応を見せる。
アン教授は愉しげに笑い声を上げた。

ネイル「おじさん、先輩が私の作った服を着てますヨ!」
イラク父「そうだな!針で指を突いてまで作った甲斐があったなぁ」
ネイル「…。」

「私が作ったんデス」そう言ってTシャツを見せたネイルの指の包帯を、ユジンは見逃していなかったのだ。

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ユジンが指揮棒を構えると、メンバーも一斉に楽器を構える。

イラク(アイコンタクト)「チャ・ユジン、マジで大丈夫か?」
ユジン(アイコンタクト)「あぁ、大丈夫だ」

スミン(アイコンタクト)「負けたらどうしよう」
ユジン(アイコンタクト)「負けても後悔しないように、力を出し切ればいいだろ」

ミニ(アイコンタクト)「見せてやりましょうよ。私たちがどれだけ一生懸命やったか」
ユジン(アイコンタクト)「そうだな!遊んでやろうぜ!」

089

ユジンが勢い良く指揮棒を振る。バンッ
美しく、そしてエネルギッシュな音が会場を流れだした。

『ベートーベン交響曲第3番「英雄」 第1楽章
ナボレオンに献呈するために作られた曲にふさわしく、
1楽章は生気溢れる英雄の気骨が感じられる』

090

ネイル(心の声)「先輩がみんなの魂を掴んだ!」

そっと様子を見に来たAオケ指揮者のスンオは、堂々たるSオケの演奏と、それに聴き入る聴衆に、茫然と立ち尽くした。

『「英雄」第4楽章
次第に衰えていく聴力による挫折を克服し、乗り越えようとするベートーベンの意志がよく表れている、最後の楽章だ』

チラリとユジンがイラクに視線を送ると、すかさずイラクがウィンクで答える。

091

ユジン(心の声)「ホントにやる気か?(苦笑)」
イラク(心の声)「遊ぼうって言ったろ?(ニヤリ)」

「今だ!!!」絶好のタイミングでユジンが合図を送る。
イラクを通じ、それが瞬時に皆に伝わった。「今だ!!!」

092

バイオリンが一斉に天を扇ぐ。
スミンのティンパニーが弾ける。
コントラバスの弓が踊る。

全員の胸が興奮で高鳴った。

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演奏が終わった瞬間、ユジンの顔から充実の笑みが溢れる。

『巨匠が何でこいつらを選んだのか、何でユ・イラクがコンマスなのか…
やっと分かった。
音楽を楽しむ心… この世で一番デカい武器を持ってるヤツら。
こいつら一人ひとりが、ソル・ネイルなんだ』

093

観客たちは彼らに惜しみない拍手を送った。
音楽を楽しむ彼らの精神が、間違いなく観客の心を掴んだのだ。

098

理事長「落ちこぼれじゃなかったの?」
ト教授「…落ちこぼれたちでした」

信じがたいという表情で、理事長はもう一度ステージに視線を戻す。

ト教授「一体何があいつらを変えたのでしょう」

「あれがうちの息子ですよ!」イラクの父親は隣の客に思わず自慢する。
その隣で、ネイルは魂が抜けたように茫然としていた。

ネイル「おじさん… ヘンです。先輩がすごく大きくて… 遠くみえる」

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大きな拍手の音は、順番を待っているAオケのメンバーたちのところにも届いた。「…。」

ジェヨン「落ちこぼれたちが、なんであんな拍手貰ってんだ?」
メンバー「チャ・ユジンのお陰かな」

「何がチャ・ユジンだ!」戻ってきたスンオは酷く苛立っていた。

スンオ「哀れだから拍手してやってるだけだ。うちの国は情が深すぎて困る。落ちこぼれが哀れだからって、何だよ、あのオーバーっぷり。実力の差をはっきり見せてやろうぜ。うちの大学のオケの本当の実力をな」

「そうよ」コンマスのシウォンが立ち上がる。「みんな楽器の準備をしっかりね」

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Sオケのメンバーたちは、興奮冷めやらぬまま練習室へ戻ってきた。
「お疲れ」ユジンに肩を叩かれ、スミンは心躍らせる。

ユジン「みんな、お疲れ!」

皆が自分たちに拍手を送った。

ユジン「ソル・ネイルは?」
イラク「?」
スミン「そういえば。オラバーン!って走ってくるのが普通なのに」

「先に行っててくれ」皆にそう言い、ユジンは外へ出た。
「ユジナ、お疲れ!」ドアから顔を覗かせ、イラクは出て行くユジンを見送る。
そこへ、壁の向こうからチラリと顔を覗かせたのは…?

イラク「親父!!!」
父「息子よ!!!」

二人はどちらともなく駆け寄り、ひしと抱き合った。

イラク「親父、見た?オレ、最高だったろ?!オレのソウルが皆を掴んだんだ!」
父「そうだ、そうだ!完全掌握だ」

「我が子がコンマスとしてオケを率いるなんて…」父は息子の成長を心から喜び、涙を流した。

父「母さんに見せたかった」
イラク「泣くなよ、親父。全く…鼻水垂らして」
父「泣くもんか…」

二人はもう一度強く抱き合う。
父の胸で… イラクの目にも涙が滲んだ。

095

+-+-+-+

ミニは急いで外へ出て来た。「お父さん!!!」

ミニ「いつ来たの?私の演奏… 見てくれたの?」

「見た」父の顔に、演奏中のような笑顔はない。「見に来いって言ったろ!」

父「ムダに大きいばかりで、金はどんどん消えて行くのに… どうしても諦められないのか!」
ミニ「…ごめんなさい」

悲しそうに俯く娘に、父は小さく溜息をついた。
後ろにまわしていた手を出すと、そこに現れたのは大きな花束だ。

ミニ「…?!」
父「…。」
ミニ「…お父さん?」

「高いばかりで食えもせん」父は花束を突き出し、愚痴を繰り返す。
ミニは戸惑いながら花束を抱きしめた。

父「本当に…いい音だった」
ミニ「!」
父「お前が諦められないはずだ」

ミニは頭をブンブンと振り、何度も頷いた。

「もう戻れ」父はそっけなく背を向ける。

ミニ「お父さん!ちゃんと帽子被って!食欲なくてもちゃんと食べてね!」

096

+-+-+-+

Aオケの出番だ。

静かに演奏が始まった。

097

『ドボルザークの交響曲「新世界」
ボヘミア出身のドボルザークがアメリカ国立音楽院の院長を務めていたときに作曲した曲であり。
交響曲の歴史上もっとも有名な曲の一つだ。
ゆったりと始まる1楽章は、ダイナミックにテンポが早くなり、
2楽章は管楽器のコーラスで始まり、イングリッシュホルンによる有名なメロディーに繋がる』

#劇的にクネクネが緩和されている

『このまま… 雄大で優雅に…。
いや、チャ・ユジンならもっと盛り上げるだろうな…』

シウォン(心の声)「指揮が荒れだしたわ」
ジェヨン(心の声)「指揮、どーなってんだ?」
ソンジェ(心の声)「ペース戻せよ」

「Oh、あの青年、チャ・ユジンの指揮をみたのか」シュトレーゼマンも指揮者の動揺を捉えていた。
同時に、他の観衆たちにも不安の色が滲み始める。

スンオの指揮とオケの演奏が、少しずつ噛み合わなくなってきた。

シウォン(心の声)「そのままよ!みんな動揺しないで!」

メンバーたちは演奏をもたせるため、指揮にかき乱されるのを避け始める。

スンオ(心の声)「何でオレを見ない?!オレを見て演奏しろよ!」
シウォン(心の声)「しっかりしなさいよ!頼むから!」

100

スンオはすでにパニックに陥っていた。

+-+-+-+

演奏が終わる。
観客から温かい拍手が湧いた。

「やはりエリートオーケストラは違うわね」拍手を送る理事長の隣で、ト教授は浮かない表情だ。

学長「あの子、萎縮したんですね」
シュトレーゼマン「才能というのはそういうものです。努力と時間を道化にしてしまう」

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ネイルはピアノの前でぼんやりしていた。

顔を上げると、彼女は鍵盤の上に指を滑らせる。
指が動くのを拒否しているように、その場で躊躇った。

101

「どうしてこんなところに一人でいるんだい?」入って来たのはアン教授だ。

アン教授「みんなと一緒じゃないの?」
ネイル「先生^^」
アン教授「ピアノを弾きに来たんだね」

アン教授はピアノの隣に腰掛け、いつものようにニッコリと微笑んだ。

アン教授「ピアノとの協演もあれば、君もユジンと一緒に出られたのに。僕も残念だな」
ネイル「次は私も一緒にやります。そのときは…」

「ネイル」アン教授が少し声のトーンを落とした。

アン教授「ユジンと一緒にやりたければ、これからちゃんとしたレッスンを受けなきゃね。いつまでも”おならソング”ばかり弾いてるわけにはいかないよ」
ネイル「どうしてですか?面白い曲でしょう?楽しく弾くのが最高の音楽だって、先生はそうおっしゃいましたヨ」
アン教授「もっとちゃんと弾いてみたいと思わないかい?君にはその才能があるよ。今後はコンクールにも出て、賞を取って…」

「私、コンクールには出ないって言ったじゃないですか!!!」ネイルが急に声を上げた。

アン教授「…。」
ネイル「…どうせ幼稚園の先生になるんだし、コンクールなんか出たってムダです」
アン教授「…。」
ネイル「私、毎日ピアノを弾きながら、子どもたちと楽しく過ごすんですから。子どもみたいに、楽しく」
アン教授「君は本当に幼稚園の先生になりたいのかい?それとも、幼稚園の先生になってでもピアノを弾き続けたいのかい?」
ネイル「え?」

「ネイル」アン教授は優しく微笑んだ。

アン教授「一生子どもでいることは出来ないんだよ」

102

「先生今日… 変なこと言うんですね…」ネイルは酷く混乱していた。
「もう帰ります」立ち上がってバッグを掴むと、ネイルはもう一度アン教授を振り返る。

ネイル「一生子どもみたいに生きて…どこがいけないんですか。先生言ったじゃないですか。楽しく生きるのが一番だって」

目に涙をにじませ、ネイルは練習室を出た。

アン教授「…。」

+-+-+-+

105

「ネイル、何かあったのか?」ネイルお手製のユジン人形が言う。

「オラバン… 私、とっても悲しいんです」
「おいで。慰めてあげるよ」

「チューさせたのか?」いきなり人形の耳を掴んで奪ったユジンの声は、それほどキツくはない。

ネイル「違います…。ハグしてたんです」

ユジンはベンチの隣に腰を下ろす。「それはそうと」
彼は不意にネイルの手を掴んだ。

ユジン「ほらな。そのまんまだ」
ネイル「先輩…」

溜息をつきながら、ユジンはネイルの指先の包帯を外し始めた。

ユジン「指は突き刺すは、膝は擦り剥くは…。なんてザマだ。気をつけろよ」
ネイル「…ごめんなさい」

ユジンは懐から消毒薬を出した。

ユジン「まぁそのお陰で楽しい公演だったけど」

薬が滲みて、ネイルは思わず呻き声を上げた。

ユジン「痛いか?」

彼女の手を口元へ近づけると、彼はふーふーと息を吹きかける。

104

ネイル「!」
ユジン「(ふーふー)」
ネイル「先輩… 近すぎ…」
ユジン「バカなこと言ってんじゃないぞ」

ユジンはじっとネイルの手を見たまま、淡々と手当てを続ける。

ネイル「先輩、私、ここもケガしちゃったんですけど、ふう♪してくれませんか♪」

ネイルはワクワクして自分の唇を指す。

ユジン「どこ?」
ネイル「ここ」
ユジン「(無感情)病院行け」
ネイル「先輩のふぅ~♪が一番効くんです。1回だけ♥」

「断る!」ユジンは人差し指でネイルの唇を押さえ、そっぽを向いた。

103
「ありがとうございマス」ユジンが手当てしてくれた指を撫で、ネイルが言うと、ユジンもふっと笑う。
ネイルは彼の肩にもたれかかった。

とても静かで、穏やかな時間が流れていた。

+-+-+-+

ここで一旦区切ります。

大漁大漁♥

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