韓国ドラマから美しい言葉を学ぼう

韓国ドラマのあらすじや詳細日本語訳を紹介!プロデューサー/SPY/夜警日誌/トライアングル/主君の太陽など

トライアングル21話あらすじ&日本語訳vol.1

   

ジェジュン(JYJ)、イ・ボムス、イム・シワン(ZE:A )主演、「トライアングル」21話、セリフの日本語訳を交えつつ、あらすじを追っていきます。

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「あとは… ドンウを探すだけだ」一山越えたヨンダルは兄ドンスに語った。
嬉しそうな弟を見つめていたドンスは、弟が話し終わると静かに口を開く。

ドンス「ドンウ、見つけたんだ」
ヨンダル「え?」

「どうやって?今どこにいるんだ?」突然の兄の言葉に、ヨンダルは驚きと喜びが入り混じった表情を浮かべる。

ドンス「「ドンウはお前のそばにいる」
ヨンダル「?…それ、どういう意味だよ」

ドンスは小さく溜息をついた。

ドンス「ユン・ヤンハがドンウだ。ユン・テジュン会長がドンウを養子にして育てたんだ」
ヨンダル「…何だって?」

凍りついたヨンダルを、ドンスは複雑な表情で見つめた。

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側近を引き連れ、出掛けようとしていたユン会長の前に、ヤンハが現れた。
彼は元通り端正なスーツに身を包み、父に深々と頭を下げる。

ヤンハ「僕にもう一度チャンスをください」
ユン会長「…。」
ヤンハ「父さんの望み通りユジンに謝罪して、ハンチャングループとの関係も修復します」
ユン会長「…。」
ヤンハ「お望みなら… ユジンと結婚もするつもりです」
ユン会長「…。」
ヤンハ「もう一度だけ信じてください」

ヤンハの言葉を黙ってじっと聞いていたユン会長は、「ソン代表とのミーティングは延期するように」と後ろに控えたキム専務に指示を出す。

ユン会長「今日のスケジュールは全てキャンセルだ」
キム専務「はい」

「お前は私について来い」そうヤンハに告げると、ユン会長は歩き出す。

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ドンスとヨンダルはカジノの屋上へ来ていた。

ドンス「ユン会長の下にいるキム専務は、ドンジン炭座時代に親父と友人だった。親父がユン会長にやられたと知って、罪滅ぼしのつもりでドンウを養子に迎え、ユン会長の手で育てさせたんだ」
ヨンダル「…。」
ドンス「ユン会長はユン・ヤンハが俺たち兄弟の末っ子だとは知らずにいる」
ヨンダル「…。」
ドンス「初めてその話を聞いた時、キム専務の判断が到底理解できなかった。けど、考えてみたら、たとえ仇だとしても養子に貰われて良かった…そう思ったんだ」
ヨンダル「…。」
ドンス「お前が物乞いをして、少年院を出たり入ったりの不幸な暮らしをしてる間、ドンウはそんな苦労も知らずに育ったはずだから」

ヨンダルはじっと一点を見つめていた。

ヨンダル「ユン会長を許して、ユン・ヤンハがこのまま暮らせるように放っておこう… 兄さんはそう言いたいのか?」
ドンス「赤ん坊のときに養子入りしたドンウにとって、兄弟の縁にどれほどの意味がある?父親を殺した仇に育てられたと知ったら、どんなにショックを受けるか、どんなに混乱するか、そんなこと分かりきってるだろ」
ヨンダル「…。」
ドンス「ドンウと生き別れた俺とおまえが、ドンウのために今出来るのは、過去の悪縁を永遠に知らないまま人生を送らせてやることだ」

「俺たち、このまま諦めて引き下がろう」ドンスは切実に訴える。

ヨンダル「俺、兄さんが理解できない。ユン・テジュンが兄さんと俺に何をしたのか忘れたのか?」
ドンス「…。」
ヨンダル「それなのに、ユン・テジュンを許してこのまま引き下がるなんて話になるかよ!」

「俺は出来ない」ヨンダルが兄を睨む。

ドンス「そのユン・テジュンはドンウを育ててくれた父親なんだ!」
ヨンダル「兄さんの言う通り、今のユン・ヤンハには俺たちとの縁なんて何の意味もない」
ドンス「!」
ヨンダル「兄さんと俺の弟のドンウじゃない。ユン・テジュンの息子ユン・ヤンハ、ただそれだけだ」

「なぁ、ドンチョル」絞りだすような声でドンスは言った。

ヨンダル「俺の心の中にいるドンウを消せばいいだけだ。ユン・テジュン、ユン・ヤンハ… 俺は絶対に許せない」

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言葉を失うドンスを前に、ヨンダルはその場を足早に立ち去る。
頑なな背中を見つめ、ドンスは途方に暮れた。

+-+-+-+

勢いで歩いてきたヨンダルは、角まで来たところでふと立ち止まった。

ヨンダル「…。」

あの日。

突然やってきた黒いジープは彼の大切な弟を奪って行った。
泣きながら遠ざかっていく赤ん坊のドンウの姿と、泣き叫ぶ自分の声が頭の中を渦巻く。
「兄弟の縁なんか関係ない」そんなわけがあるものか。
弟ドンウを守れなかったことは、記憶を心の奥深くに封じ込めてしまうほどに、辛く耐え難い出来事だったのだ。

ヨンダルは立っていられずに柱にもたれかかった。

やっと分かった弟なのに…。

ヨンダル「ドンウ…!」

339

悲しみが後から後から押し寄せてくる。
ヨンダルはその場で泣き崩れた。

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「よく見ろ。これがテジョングループだ」外へ出ると、ユン会長はぐるりとそびえ立つグループのビルを見上げた。

340

ユン会長「石炭業から出発し、テジョンをここまで育て上げるために、私は何だってやった。我が道を阻むものがあれば、どんな手を使っても全て排除した」
ヤンハ「…。」
ユン会長「お前には父としての愛情も与えてやれず、厳格で残忍だったことは認めよう。だが、それはお前にテジョンを成長させる優秀な後継者になって欲しかったからだ」

「出来ない約束ならするな」ユン会長はヤンハに厳しい視線を向ける。

ヤンハ「!」
ユン会長「目の前にそびえるこのテジュングループ。守る自信がないなら潔く諦めろ」
ヤンハ「父さんがなさったように、僕も何だってやります。行く手を阻むものは全て排除します」
ユン会長「今、お前の行く手を阻んでいるのはチャン・ドンスとホ・ヨンダルだ」

#いや、チャン・ドンスはすっかり隠居してるみたいですけど?

「片付けられるのか?」ユン会長の声が低くなる。

ヤンハ「はい。僕がやります。どんな手を使ってでもテジョンから追い出します」
ユン会長「これがお前に与える最後のチャンスだ。もう一度私を失望させたら、その時お前はテジョンを譲り受ける機会を失うことになる」
ヤンハ「…。」

「すなわち」ユン会長は言葉を続ける。

ユン会長「私とお前の縁も終わるということだ」

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ヨンダルは一人、執務室で考え込んでいた。
出会った日のヤンハが鮮烈に思い出される。

それは私設カジノのホールデムテーブルだった。
用語を間違って使ったヨンダルを、彼は露骨に馬鹿にして笑ったのだ。

出会いから最悪だった。
ホールデムを通じて燃やした対抗心は、やがてジョンヒを巡るそれに変わる。

「ジョンヒさんはお前みたいなクズが欲張る相手じゃない」
「俺だって知ってるさ。けど仕方ないだろ。ジョンヒは俺が好きなんだ」

そして、取り戻した記憶と共に、ヤンハは父の仇の息子となったのだ。

「俺をムショ送りにしたのはお前の仕業だ。くだらないことを企めば企むほど、何倍にも返してやる」
「俺がなぜジョンヒさんに興味をもつようになったと思う?お前みたいなクズを好きになるジョンヒさんが、到底理解出来なかったからだ」

ヨンダル「…。」

思い出せば思い出すほど、それは彼の心に重くのしかかった。
そこへ、携帯電話が鳴る。

ジョンヒ(メール)「今日うちに来ませんか?ヨンダルさんの好きな豚肉炒めと豆もやしスープ、私が作りますから」

ヨンダルに笑顔はない。彼は明るい文字を前に溜息をついた。

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ジョンヒは携帯電話を握りしめ、ウキウキして返事を待っていた。
携帯が鳴り、彼女はさっそくメールを開いてみる。

ヨンダル(メール)「すみません。今日は仕事が忙しくて行けそうにないんです」

ジョンヒ「…。」

ガッカリして画面を見つめていると、そっとやって来たヒョンミが後ろから覗き、ニヤリと笑った。

ヒョンミ「オ・ジョンヒ、すっぽかされたのね」
ジョンヒ「!…ビックリさせないでよ」
ヒョンミ「あんた、やっぱり二股ね。ユン・ヤンハとはカルククスを食べに行って、ホ・ヨンダルには豚肉炒め作ってあげるって口説いちゃってさ」
ジョンヒ「そんなんじゃないってば」
ヒョンミ「二股じゃないんなら、誰が好きなのかハッキリ言ってみなよ」

「私の気持ちは… 一度も変わったことないわ」ジョンヒは静かに言った。

ヒョンミ「ホ・ヨンダル?!」

目を丸くするヒョンミに、ジョンヒは微笑む。

ヒョンミ「悪い男を好きになるなんて、あんたまだ子どもね」
ジョンヒ「ホ・ヨンダルさんは悪い人じゃないわ」
ヒョンミ「それはあんたが恋に夢中だからよ。私、男を見る目はあるけど、ホ・ヨンダルを好きになったら不幸になるわ」
ジョンヒ「…。」

「気をつけなさい」ヒョンミが言い聞かせると、ジョンヒはそれでも笑みを浮かべた。

+-+-+-+

シネが待っている広場にドンスがやって来た。

シネ「ドンチョルさんに会った?」
ドンス「あぁ。今会ってきたところだ」
シネ「何て?」
ドンス「俺の言うことを受け入れようとしない。絶対に許せないって」
シネ「当然の反応だわ」

「何をどうすればいいのか」ドンスは溜息をつく。

ドンス「ドンウとドンチョルが争うのを黙って見てるわけにもいかないし」
シネ「時間が必要ね。ドンスさんも今すぐ解決しようとしないで、少し待ってみて」
ドンス「全ての始まりはユン・テジュンだ。ドンウのためにあいつを許そうとは言ったが、怒りがこみ上げてどうにも耐えられない」

ドンスは弟のために信念を曲げた苦しみで、頑なにシネから視線を逸し、遠くをじっと睨んだ。

シネ「恨みを一人で解決するのがどんなに無謀なことか、もう経験したでしょう?」
ドンス「…。」

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コ・ボクテはバーの個室で密かにピルサンと会っていた。

コ・ボクテ「ヒョン室長の計画を具体的に話してくれ。そうじゃないと俺も乗れないだろう」
ピルサン「ユン会長がいくら残忍だと言っても、ヤンハをそう簡単に追い出せはしないでしょう。まずはユン・ヤンハを片付けなければ」

コ・ボクテが笑う。

コ・ボクテ「相手にしてみて分かったが、ユン・ヤンハ、あいつはユン会長に劣らず残忍なところがある。血も繋がっていないのに、妙に似ているんだ」
ピルサン「ユン会長がそう育てたんですから、当然でしょう。しかし、あいつの本性は決して残忍にはなれません」

ピルサンが身を乗り出す。

ピルサン「ヤンハの致命的な弱点は、幼い頃から精神科治療を受けるほどメンタルに問題があることです」
コ・ボクテ「…。」
ピルサン「ヤンハが残忍に見えるのは、自分自身を守るための防衛本能のようなものですよ」
コ・ボクテ「なるほどな」
ピルサン「もう少し窮地に追い込めば、耐えられずに潰れるでしょう」
コ・ボクテ「方法はあるのか?」
ピルサン「もちろんです。もともと情に飢えていますから、一度惚れた女とは絶対に別れられないはずです」
コ・ボクテ「…。」
ピルサン「結局は女のせいでユン会長の眼中から消えることになるでしょう」

+-+-+-+

ヤンハに呼び出され、ユジンがバーにやって来る。

ユジン「私たち、もう会うことはないと思ったけど、何の用です?」
ヤンハ「…僕が謝ったら、受け入れてくれるか?」

#馬鹿だねぇ。受け入れないって言ったら謝らないのか。

ユジンはうんざりして冷笑する。

ユジン「気が抜けるわ。そう簡単に行ったらつまらないでしょう?」
ヤンハ「お前が望むなら結婚したっていい」
ユジン「(笑)賢い人だと思ってたけど、馬鹿だったみたいね」
ヤンハ「…。」
ユジン「私が言葉ひとつで一喜一憂する女に見える?」
ヤンハ「それなら、どうすれば元通りに出来る?」
ユジン「少しでも私を感動させてみて。心を込めて」

「それは難しい宿題だな」ヤンハは笑った。

ユジン「プライドがすごく傷ついたから、簡単には許せないわ。それに、ホ・ヨンダルにも興味が湧いたし」

「分かった」ヤンハは軽く頷いた。

ヤンハ「その難しい宿題、解いてみるよ」

ヤンハは正面を向き直ると、厳しい表情でグラスの酒をすすった。

#えーと、その前にユジンに何か飲み物を頼んでやりなよ。

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「いいえ、出勤してますよ」ファランは誰かと電話で連絡を取っていた。

ファラン(電話)「オ・ジョンヒの解雇は会長の指示だって聞きましたけど、そうしてもいいんですか?」

「分かりました」ファランは電話を切ると、そこへ通りかかったジョンヒの同期ミソンを呼び止める。

ファラン「オ・ジョンヒを呼んできて」

ミソンが来た道を戻ると、ファランは小さく溜息をついた。

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ミソンと入れ替わりにジョンヒがやって来る。

ファラン「人事部から停職通知まで受けたのに、まだ出勤するつもり?」
ジョンヒ「はい。納得できる理由がないなら、このまま引き下がれません」

ファランは咳払いをし、さっと周りを確かめた。

ファラン「それでいいわ。本部長が必ず復職させるって言ってるから、このまま出勤しなさい」
ジョンヒ「本部長がどうして私を?」
ファラン「あんたの度胸が気に入ったって」
ジョンヒ「…。」
ファラン「人事部や皆に何か言われても、我慢して持ち堪えるのよ」

ファランはそう言って立ち去った。

ジョンヒ「…。」

ヤンハのことで会長直々に解雇を言い渡されたはずが、本部長がそれをひっくり返してやると…?
意図がわからず、ジョンヒの心の中に疑問が膨らんだ。

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ヴィラへ戻ってからも、ヨンダルは一人考えに耽っていた。

342

#シンプルニット素敵素敵~(=´∀`)人(´∀`=)ヒャッホ〜

そこへテーブルの上で携帯電話が唸る。
画面にはユン・ヤンハの名前が表示されていた。

ヨンダル「…。」

彼はその名前を見つめ、しばらく躊躇うと応答ボタンを押した。

ヨンダル(電話)「…何だ?」

ヤンハはまだバーのカウンターにいた。

ヤンハ(電話)「今から会いたい。どこにいるか言え」
ヨンダル「今会ったら何かやらかすかもしれない。今度にしよう」
ヤンハ「やらかすつもりで会おうと言ってるんだ。どこにいるのかさっさと言えよ」
ヨンダル「…。」

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電話の向こうから聞こえてくる冷たい声に、ヨンダルは続けるべき言葉を失った。

ヤンハ「おい、ホ・ヨンダル」
ヨンダル「酔ってるならもう寝ろ」

343

「切るぞ」ヨンダルは力なく告げ、電話を切った。

グラスの酒を一気に飲み干すと、苛立ったヨンダルは拳でテーブルを叩く。

憎い宿敵ヤンハと大切な弟ドンウ。
彼はその狭間でもがき苦しんでいた。

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ジョンヒが家の前で洗濯物を干していると、慌てた様子で祖母が駆けて来る。

祖母「ジョンヒ!」
ジョンヒ「お祖母ちゃん、洗濯物全部干したから、一緒に買物に行こう」
祖母「さっきチョンジャのお母さんに聞いたけど、あんた、会社クビになったんだって?」
ジョンヒ「えっ?ち、違うよ、クビなんかなるわけないでしょ。変なおばさん。話をでっち上げるなんて」
祖母「チョンジャに聞いたって言ってたけど」
ジョンヒ「ううん、お祖母ちゃん。絶対そんなことないから、心配しないで」
祖母「本当に違うのかい?」
ジョンヒ「そうだってば」

祖母はホッと胸を撫で下ろした。

祖母「天がひっくり返る心地がしたよ。ビョンテとピョンスをどうやって学校へ行かせようか、心配になってね」
ジョンヒ「もし会社を辞めることがあっても、ビョンテとピョンスはちゃんと学校に行かせるから。心配しないで」
祖母「会社を辞めるって?」
ジョンヒ「ううん、万が一の話よ。例えば、私が結婚するとか、そういう時。うちの会社、結婚したら辞めるのが普通だから」

「結婚?」祖母がさらに身を乗り出した。

祖母「あんた、結婚するのかい?いつ?相手は誰なんだい?」
ジョンヒ「えーと、それは… 今すぐってことじゃなくて」

「お祖母ちゃん」ジョンヒは少し真剣な表情で、祖母に向き直る。

祖母「うん?」
ジョンヒ「実は…ホ・ヨンダルさんと上手く行ってるの」
祖母「…。ヨンダル君と?」

「うん」ジョンヒは笑って頷いた。

祖母「前はそうじゃないって言ってたろ?」

#そうだっけ?お祖母ちゃんにダメだって言われて、「何でダメなの?」って言ってたのは覚えてるんだけど。

ジョンヒ「あの時は確信がなかったの。でも、彼がいなかったら私、すごく辛いのよ」
祖母「…。」
ジョンヒ「彼なら、お祖母ちゃんにもビョンテとピョンスにも良くしてくれるはずだし」
祖母「私だってヨンダル君が嫌なわけじゃないよ。だけど、どこか根付かずに漂う浮草みたいでね。それが気に掛かるんだよ」

「心配しないで、お祖母ちゃん」ジョンヒは祖母の手を握る。

ジョンヒ「絶対… 私に根付かせるわ」

祖母は納得して頷いた。

+-+-+-+

ドンスが店へ入ってくる。
「突然連絡してすみません」待っていたピルサンが立ち上がった。

ドンス「何の用です?」

ピルサンはドンスに席を勧めた。
テーブルを挟み、二人は改めて向き合う。

ピルサン「私に会うのを快く思わないでしょうに、時間を作っていただいて感謝します」
ドンス「社交辞令は抜きにして、用件をおっしゃってください」

「私と取引しましょう」ピルサンは単刀直入に切り込んだ。

ドンス「?」
ピルサン「我々の取引が成立すれば、チャン・ドンスさんがユン会長への恨みを晴らすのに協力することだって出来ますよ」
ドンス「何を企んでいるんです?あなたが仕える人を裏切ろうとでも?」
ピルサン「要するに… 互い望むものを手に入れよう、そういうことです」
ドンス「…。僕に望むものは何です?」

ピルサンが微かに笑みを浮かべる。

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出勤したヨンダルは随分憔悴していた。

ジェリー「電話にも出ないなんて、昨夜何してたんだよ」
ヨンダル「あぁ…。ちょっと休んでた」
ジャンス「なぁ、次の計画、話してくれよ。テジョンカジノを潰して、ユン・テジュン会長に復讐するんだろ?」
ヨンダル「俺はテジョンカジノを潰すために入ったんじゃない。もっとデカく育ててユン・テジュンから奪い取る」

「それが俺の復讐だ」ヨンダルはじっと一点を見つめたまま呟く。
ジャンスとジェリーは黙って頷いた。

#今頃こんなことを確認し合っているということは、2話くらい前の感想で「ヨンダルがテジョンカジノをどうしたいのか分からない」と書いたように、作家サイドでも「そういえばヨンダルの目的が分かんないよね」ってことになったに違いない(笑

そこへ入ってきたのはジュノだ。

ジュノ「理事、ユン・ヤンハ氏がカジノ代表理事に就任したそうです」
ヨンダル「?!」
ジャンス「いきなり何だよそれ?ほんの数日前にはテジョンカジノから手を引くって言ったヤツが、何で突然代表理事なんだ?!」
ヨンダル「誰から聞いたんだ?」
ジュノ「本社の人事部にいる同期です」
ヨンダル「…。」

+-+-+-+

復活したヤンハをペ主任が出迎えた。

ペ主任「カジノ代表理事に就任されたと聞きました。おめでとうございます」

ヤンハは黙って微笑む。

ペ主任「代表に勝負を賭けた自分の選択は間違っていたのかと、随分心配しましたよ」
ヤンハ「辛いときに味方になってくれたのはペ主任だけです。決して忘れません」
ペ主任「ありがとうございます」

再び歩き出すヤンハの背中を、ペ主任が見送った。

#シネに「あなたの味方になってくれる人はいる」って励まされて、ペさんに「味方になってくれたのはあなただけ」って…、ちょっと力抜けるね。

+-+-+-+

カジノ前の長い廊下を歩いてくると、ヨンダルとヤンハはその中央で顔を合わせた。

ヤンハ「昨日はなぜ僕を避けたんです?ぜひ話したいことがあったのに」
ヨンダル「…。」
ヤンハ「ホ・ヨンダルさんの期待とは違って、空席になっていたテジョンカジノの代表理事に就任することになりそうです」
ヨンダル「…。」
ヤンハ「自分の口で言うのもきまりが悪いですが、この会社はユン会長のもので、僕はその一人息子です。親子の関係がそう簡単に壊れると思ったなら、ホ・ヨンダルさんの見込み違いですよ」

饒舌なヤンハを、ヨンダルはただ黙って見つめた。

ヤンハ「僕が代表理事になった一つ目の理由は、出来るだけ早くホ・ヨンダルさんを処分することです」
ヨンダル「…。」
ヤンハ「アン・チャンボン氏の条件に背くこともなく、ホ・ヨンダルさん自らテジョンカジノを去ることになるでしょう」

何も言い返さないヨンダルに僅かに怪訝な表情を浮かべると、ヤンハは歩き出した。

ヨンダル「ユン・ヤンハ」
ヤンハ「?」

二人は振り返り、再び目を合わせる。

ヨンダル「お前、今の生き方で幸せか?」
ヤンハ「… いきなり何だ?」
ヨンダル「お前のやってることが不憫でな。結局、お前は父親に利用されるだけなんだ」
ヤンハ「…。」

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「今からでもやめろ」ヨンダルは静かにそう言って背を向ける。

ヤンハ「?」

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思いもよらないヨンダルの反応に、ヤンハは意味もわからず彼の背中を見つめた。

+-+-+-+

「代表理事就任式は明後日がいいな」ユン会長は電話で指示を出していた。

電話を切ると、ユン会長は満足気に微笑む。

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差し出された辞職届を一瞥すると、ユン会長は「これは何だ?」と尋ねた。
彼の前に座っているのはキム専務だ。

キム専務「辞表です」
ユン会長「突然どうした?誰が君に辞表を出せと言った?」

キム専務は出し抜けに床に跪いた。

キム専務「会長に大きな罪を犯しました」
ユン会長「どうした?どんな罪を犯したと言うんだ?」
キム専務「ユン・ヤンハは… チャン・ジョングクの三男です」
ユン会長「!」

ユン会長は目を丸くし、ゆっくりと身を乗り出す。

ユン会長「今、何と言った?」

ユン会長の問いに、キム専務は固く口を結んだ。

ユン会長「ヤンハが誰の息子だって?」
キム専務「チャン・ジョングクの息子です」
ユン会長「!!!」
キム専務「私がチョングクの息子を会長の手で育てさせました。それが死んだチョングクに罪滅ぼしをする道だと考えたのです」
ユン会長「何と愚かな… 一体何を言ってる!罪滅ぼしなどと勝手なことを!!!」
キム専務「お許しください」

「それを知っているのは誰だ?」ユン会長が声を潜める。

キム専務「チャン・ドンスが知っています」
ユン会長「何だって?!…ヤンハは?ヤンハも知っているのか?」
キム専務「ヤンハ坊っちゃんは知りません」

「…。」ユン会長は深く息をつく。

ユン会長「君のその馬鹿げた選択が、今になって”神の一手”になるとはな」
キム専務「…。」
ユン会長「ユン・ヤンハを今すぐ代表理事としてテジョンカジノに送り込め。チャン・ドンスとホ・ヨンダルが私の首を狙うなら、まず自らの血筋から狙わせるんだ」
キム専務「会長!」
ユン会長「肝に銘じろ!チャン・ドンスが直接話してしまえばどうしようもないが、ヤンハには決してこの事実を知られてはダメだ。万が一、ヤンハが事実を知ることになったら、私は絶対に君を許さない」
キム専務「…。」

~~~~

#激昂することなく表現したこのユン会長の演技、逆に恐ろしい。なかなか見応えがありました。

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「取引?」ドンスの言葉に、シネは驚いて聞き返した。

シネ「どんな取引をしようって?」
ドンス「ユン・テジュン会長をすぐにでも拘束させられる内部情報を俺に渡すと言うんだ」
シネ「…。」
ドンス「一体なぜ俺にそんな提案をするのか… 彼の意図が分からない」
シネ「ピルサンさんは自分の能力以上に野心の大きい人よ」
ドンス「…。」
シネ「ヤンハの代わりに、自分がテジョングループの後継者になれると思ってるわ」
ドンス「可能性のある話なのか?」
シネ「ピルサンさんのお父さんはユン・テジュン会長と共にテジョングループを創業させた方なの。持ち株も相当なものだし、決して不可能なことじゃないわ」
ドンス「…。」
シネ「取引ということは、ピルサンさんがドンスさんに望むことは何?」
ドンス「俺とユン会長の怨恨関係を知ってのことだ。俺の手でユン会長を始末してくれと」
シネ「ドンスさんはどう思うの?」
ドンス「ユン会長に罪の代償を払わせることさえ出来るなら、今すぐヒョン・ピルサンの提案を受け入れたい」
シネ「ユン・テジュン会長が倒れたら、ヤンハがどうなるか考えないの?」
ドンス「!」
シネ「ドンスさんの気持ちは分かるわ。だけど、もう少し慎重に考えてほしいの」
ドンス「…。」

そこへ、シネの携帯電話が鳴った。
画面にはヤンハの名前が記されている。

「あぁ、ヤンハ」電話を受けたシネの言葉に、ドンスがドキリとして顔を上げた。

シネ(電話)「どうしたの?」
ヤンハ(電話)「僕、テジョンカジノの代表理事になったんです。勇気をくださったお陰で、父との関係も修復できました」
シネ「良かった。それは良かったわ」
ヤンハ「就任式が終わったら、一度会いに行きます。お礼にご馳走しますよ」
シネ「連絡待ってるわ」

「おめでとう、ヤンハ」シネはドンスを気にしながら電話を切った。

シネ「ヤンハがテジョンカジノの代表理事になったそうよ」
ドンス「代表理事?ユン会長が辞めさせたんじゃないのか?突然どういうことだ?」
シネ「いくら残忍なユン会長でも、自分が育てた息子を簡単には諦められないんだわ」
ドンス「…。」
シネ「ドンスさんにとっては実の兄弟よ。これ以上、兄弟同士で傷つけ合うようなことがあってはダメだわ」
ドンス「…。」

+-+-+-+

ここで一旦区切ります。

感想を一言書いておきたいけど… うーん、何を書こうかなっと^^;

見れば見るほど、ヤンハのツルンとした可愛らしい顔が赤ちゃんドンウと重なってくるわけですが、ヨンダルもきっとそうなんでしょうね。
ヤンハを避けたり、言い返さずに黙っている姿に、複雑な心境がよく伝わってきます。
作家さん、ヨンダルの描写にはブレがない。作家さんにとってもお気に入りの人物なんでしょうね^^

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