韓国ドラマから美しい言葉を学ぼう

韓国ドラマのあらすじや詳細日本語訳を紹介!セリフを題材にした文法解説も

トライアングル11話あらすじ&日本語訳vol.1

   

ジェジュン(JYJ)、イ・ボムス、イム・シワン(ZE:A )主演、「トライアングル」11話、セリフの日本語訳を交えつつ、あらすじを追っていきます。

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看守の後に続き、ヨンダルは静かな廊下を進んだ。
鍵の掛かった扉を開くと、居住房が並ぶエリアに入る。

「新入りだ」看守がある部屋のドアを開けると、ヨンダルは中へ入った。

ヨンダル「自己紹介します」

思い思いに遊んでいた受刑者がようやく顔を上げた。

受刑者「おい、そんなものいらねーから、そこでおとなしくしとけ」
ヨンダル「それでもやります。名前はホ・ヨンダル。年は31。里は分かりません」
受刑者たち「…。」
ヨンダル「現住所は舎北。前科は少年犯として3つ星、成人になってから3つ星、合わせて6つです」

受刑者から思わず苦笑いが漏れる。

受刑者「お前、6つ星だってビビらせようとしてんのか?」
ヨンダル「はい。今、機嫌が悪いから、なるべく刺激しないでください」

「生意気なヤツ!」受刑者の一人がヨンダルに掴みかかろうと立ち上がると、すかさずヨンダルは涼しい顔で蹴り飛ばす。
他の受刑者が襲いかかると、鮮やかにかわして床にたたきつけると、起き上がろうとしたところを踏みつけた。

ヨンダル「まだやるか?」

他の受刑者たちは何も言わず俯く。
ヨンダルはこうしてあっという間に部屋を制圧した。

その中に一人、身動き一つせずにヨンダルをじっと見ている男がいる。
その雑居房の中ではその男だけ老齢で、他の受刑者とは少し違って見えた。

ヨンダルはその男に頭を下げる。

ヨンダル「うるさくして申し訳ありません」
男「…。」

ヨンダルは他の受刑者とは反対側の壁際に腰を下ろした。

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「おねえちゃん」ピョンスが晩ご飯を一口食べて言った。

ジョンヒ「なに?」
ピョンス「離れのお兄さん、刑務所に行ったんでしょ」
祖母「ちょっと!あんた何でそれを?」
ピョンス「街中の噂だよ。こうなると思ったんだよね」
ジョンヒ「あんたに何が分かんのよ」
ピョンス「あのお兄さん、悪党じゃないか。お姉ちゃんのこと狙ってたけど、僕が阻止したんだぞ」
ジョンヒ「…。」
ピョンス「お祖母ちゃん、僕、偉いでしょ」
祖母「あぁ、そうだね。あんたも大きくなったもんだ。お姉ちゃんを守れるなんてさ」
ピョンス「お姉ちゃん、これからもちゃんと守ってやるからさ、スマートフォン買ってよ」

「ダメ」ジョンヒが淡々と答える。

ジョンヒ「つまんないこと言ってないでご飯食べな」

ピョンスはガックリと肩を落とした。

祖母「けど…離れの若者は何で捕まったんだい?」
ジョンヒ「…。」

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雑居房では皆がズラリと床に並んで眠りについていた。
その中で一人、ヨンダルは眠れず、じっと天井を見つめる。

彼は、検察へ送致されるときのことを思い出していた。
牢から出て手錠をはめられたところへ、ジョンヒがやって来たのだ。

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ジョンヒ「ホ・ヨンダルさん!」
ヨンダル「…。」
ジョンヒ「何があったんですか?」

ヨンダルは彼女から目を逸らし、口を開いた。

ヨンダル「こんな姿見せて…すみません」
ジョンヒ「…。刑事さん、少しだけ話をさせてください」
クク刑事「検察に渡さなきゃいけないから、そんな時間はないんだ」

「連れて行け」クク刑事が指示を出すと、付添の警官たちが彼らを連れて歩き出した。

ジャンス「なぁジョンヒ!親父に言って高い弁護士頼んでもらってくれよ!」

何も言わず、彼女の目を見つめたまま、ヨンダルは警官に引かれて彼女の前を去って行った。

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自分が連行されるのを見送る彼女の顔が、いつまでも目に焼き付いて消えなかった。

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庭へ出ると、ジョンヒは主のいない真っ暗な離れを見つめた。

彼女の目に浮かんだのは、気分が塞いでいた時に彼が連れて行ってくれた海だ。

ジョンヒ「生きるって憂鬱で辛いですね」
ヨンダル「…。」
ジョンヒ「ホ・ヨンダルさんは泣きたい時ってなかったんですか?」
ヨンダル「それで泣くんなら、俺は毎日泣いてますよ」

そして、素敵なレストランへ連れて行ってくれたときも…。

ヨンダル「ジョンヒさんと知り合って、生まれて初めて自分の生き様を恥ずかしいと思ったんです。大概の悪事はやってきたけど、恥ずかしいって何なのか知らずにいました。けど、ジョンヒさんのことを思うと、全部恥ずかしくなったんです。ジョンヒさんがそんな俺の気持ちを分かってくれるなら、これからは恥ずかしくない生き方をしてみようって…」

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運動の時間。太陽の下、運動場を眺めるヨンダルの元へ、ジェリーがやって来た。

ヨンダル「ジャンスは?」
ジェリー「気が気じゃねーよ」
ヨンダル「何で?」
ジェリー「行ってみろって」

ヨンダルの視線の先で、ジェリーは膝を抱えて泣いていた。

ヨンダル「どうしたんだ?あいつ」
ジェリー「さっき親父さんが面会に来てたんだ」
ヨンダル「…。」
ジェリー「兄貴や俺は出たり入ったりしてるけどさ、ジャンス兄は初めてだろ。相当辛いみたいだ」
ヨンダル「(溜息)情けないヤツ…」

ヨンダルはオイオイ泣いているジャンスに近づく。

ヨンダル「恥ずかしくねーのか」
ジャンス「ヨンダルぅ」
ヨンダル「誰かに苛められたのか?」

ジャンスは思い切り首を横に振って一層しゃくりあげた。

ヨンダル「そんなら何でビービー泣いてんだよ」
ジャンス「親父が来て泣いて帰ったんだ」
ヨンダル「…。」
ジャンス「うちの親父、ずっと俺だけが生きがいだったのに…」

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「俺のバカ!」ジャンスは自分の頭をポカポカとげんこつで叩いた。

ジャンス「ヨンダル、俺こんなとこじゃ生きていけねーよ」
ヨンダル「…。」
ジャンス「息苦しくて気が狂っちまいそうだ!」
ヨンダル「…。」
ジェリー「兄貴は初めてだからだよ。ここだって人が暮らしてんだぞ」
ジャンス「う゛ー」
ジェリー「時間が経てばさ、豆ご飯も旨いし、やることだってたくさんあるし、結構快適だぜ」
ジャンス「畜生!豆ご飯のどこが旨いんだよ!」

泣きながら頭を掻きむしるジャンスに、ヨンダルは思わず苦笑する。

#私も笑った。可哀想だけど、ジャンスのお陰で和むねー

「おい」そこへ誰かが呼ぶ声が聞こえ、三人は声の方を振り返った。
ヨンダルの部屋の受刑者たちが近づいてくる。

ヨンダル「何だよ」
受刑者1「お前に会いたがってる方がいらっしゃる。来いよ」
ヨンダル「どいつなんだか。そっちから来いって言えよ」

受刑者は呆れたように笑った、

受刑者1「お前、マンボン兄貴を知らねーのか?」

ジェリーの顔からさっと笑みが消える。

受刑者1「マンボン(万本)だろうがペクポン(百本)だろうが知るかよ」

ジェリーがヨンダルの袖を引っ張ると、そっと耳打ちする。

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受刑者1「やっと分かったか?分かったら、おとなしくついて来い」

ヨンダルは渋々後に従った。
もう一人の受刑者がジャンスたちを指さす。

受刑者2「おい、お前らもついて来い」
ジャンス「ぼ、僕らもですか?」
受刑者2「来いっつってんだ!」

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ヨンダルたちは空き時間の作業場に連れて来られる。
そこには数名の受刑者たちが待っていた。

受刑者1「兄貴、連れて来ました」

ヨンダルたちの前には他の受刑者たちに囲まれて座っている男がいた。
彼が顔を上げ、彼らを見る。

マンボンだ。

マンボン「ホ・ヨンダルってのはどいつだ?」
受刑者2「(ヨンダルを指し)こいつです」
マンボン「…。」

「跪け!」彼らを連れて来た受刑者がここぞとばかりにヨンダルを蹴る。
膝の裏を蹴られ、ヨンダルはぐにゃりとその場に崩れ落ちた。
ジャンスたちも慌ててヨンダルの後ろに跪く。

マンボン「ホ・ヨンダル…。ヨンダル!」

そう言って、マンボンは不敵に笑った。

ヨンダル「…。」
マンボン「俺が誰だか知ってるか?」
ヨンダル「知りません」
マンボン「知らねーなら、お前が何をやらかしたか、それも知らねーだろうな。簡単だから説明してやるよ」

「お前、ト・ギチャン知ってんだろ」マンボンはヨンダルの顔を覗き込む。

ヨンダル「!」
マンボン「死んだト・ギチャンは俺の下で働いてた。ト・ギチャンが持っていた50億の本当の持ち主は、フィリピンに逃げたイ・ジョンスじゃない。俺だ」

穏やかに話していたマンボンの目が鋭く光る。

ヨンダル「!」
マンボン「俺なんだよな」
ヨンダル「…。」
マンボン「それなのにお前、金を奪おうとした末にコ・ボクテ会長に渡しちまったろ。俺はあと5年、ここにいなきゃならない。この地獄の生活に耐えるには、50億がたった一つの希望だったんだけどなぁ」

飄々と話していた男は、手に持っていたものを椅子に叩きつけて立ち上がると、ヨンダルの額に自分の額をゴツンとぶつける。
2回、3回。男は黙って額をぶつけた。

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男「お前が俺の希望をぶち壊したんだ」
ヨンダル「…。」
男「どうすっかなぁ、ヨンダル」

男がニヤリと笑う。

マンボン「消えちまった俺の希望、お前に償ってもらわなきゃな」
ヨンダル「申し訳ありません。僕にチャンスをください。必ず取り戻します!」

そう言い終わらないうちにマンボンがヨンダルの顎を強く掴む。

マンボン「チャンス?」
ヨンダル「はい。どんな手を使っても必ず取り戻します!どうかチャンスをください!」

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「よし」マンボンはヨンダルの頬をポンと叩き、立ち上がった。

マンボン「時間はいくらでもある。どうやって50億を取り戻すか、ゆっくり考えろや」

「とりあえずやられておこうか」マンボンは愉しげに笑った。

マンボン「(隣の男に)こいつら、顔が傷つかねーように可愛がってやれや」
ジャンス&ジェリー「(縮み上がる)」
ヨンダル「こいつらは悪くありません!俺が受けます」
マンボン「そんな義理堅い男が何でト・ギチャンを裏切ったんだ?」

「やれ」マンボンの合図で、受刑者たちが一斉に襲いかかった。

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ホテルの施設内を歩いていたドンスはハッとして立ち止まった。
下の階の廊下を歩いている人物に目が留まったのだ。
それは、談笑しながら歩いてくるコ・ボクテとヤンハだった。

コ・ボクテが声を上げて笑うと、ヤンハも「それでは」と笑いかけ、二人は握手を交わす。

ドンス「…。」

理解し難い光景だった。

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コ・ボクテはカジノのVIPルームでも実に上機嫌だった。

コ・ボクテ「2倍賭けようかな」

コ・ボクテがPLAYERにベットすると、ディーラーを務めるヒョンミがPLAYERのカードを2枚、コ・ボクテに差し出した。

1枚目 J つまり0だ。

2枚目をゆっくりゆっくりめくる。
半分めくったところで、彼は手を止めた。

コ・ボクテ「オープンしてごらん」

ヒョンミがBANKERのカードをめくる。Aと6。合計7だ。
コ・ボクテがもう1枚のカードを差し出した。8。合計8。
ヒョンミが思わずドキリとすると、コ・ボクテは笑った。

ヒョンミ「PLAYER Natural 8. PLAYER Win」
コ・ボクテ「ヒョンミよ、また俺の勝ちだな」

「福の神だ」そう言って彼は再び豪快に笑う。

ヒョンミ「おめでとうございます」

「ほら、チップだ」コ・ボクテはチップを数枚、乱暴に放り投げる。
「ありがとうございます」ヒョンミをはじめ、周りに控えるディーラーたちが声を揃えた。

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「理事」待っていたドンスに、ペ主任が声を掛けた。

ドンス「調べはつきましたか?」
ペ主任「はい。今、VIPの予約ルームでゲーム中です。最近カジノへ来ることはなかったんですが、ユン・ヤンハ本部長を通じて直接予約したようです」
ドンス「分かりました」

ぺ主任が立ち去ると、ドンスは携帯を取り出す。

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ヤンハの携帯が鳴った。

ヤンハ(電話)「えぇ、チャン理事」
ドンス(電話)「折り入って話があるんですが、今日お時間をいただけますか?」
ヤンハ「そうしましょう。ちょうどチャン理事と酒でもと思っていたんです。僕がご案内しましょう」

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「話って何です?」バーの個室で、ヤンハは黙っているドンスに尋ねた。

ドンス「コ・ボクテを叩く重要な手がかりを掴みました」
ヤンハ「?」

ドンスは持って来た封筒を差し出す。

ドンス「私が作った報告書です。確認してユン会長にお渡しください」

ヤンハは封筒を見つめると、ニッコリ微笑む。

ヤンハ「これ、もう要らなくなりました」

ドンス「?!… それはどういうことです?」
ヤンハ「コ・ボクテ会長とこれ以上戦う必要がなくなったんですよ」
ドンス「…。」
ヤンハ「僕がコ会長に手を差し出し、コ会長が僕の手を取ったんです。テジョンカジノの持ち株を譲渡し、永宗島複合リゾート事業にも参与させます」

「チャン理事をスカウトした理由がなくなってしまったんですよね」ヤンハは感情のこもらない目で淡々と話した。

ドンス「…。」
ヤンハ「(笑)だからって、チャン理事を追い出すつもりはありませんから、ご心配なく。ご希望なら、保安管理理事として今後も働いてくださって結構ですよ」
ドンス「なぜ突然そんな決定を下したのか、お聞かせ願えますか?」
ヤンハ「たいしたことじゃありません。コ・ボクテのような低俗な人間と戦うのは、僕のプライドが許さなくてね」
ドンス「…。」
ヤンハ「餌さえ投げてやれば犬のように言うことを聞くんです。戦う必要なんてないでしょう?」

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ヤンハは得意そうに身を乗り出す。

ヤンハ「予想通り、僕が投げた餌に喜んで飛びついたんですよ。ホ・ヨンダルのヤツを牢送りにしてくれって言ったら、簡単にやってのけたんですから」

「飲みましょう」ヤンハは上機嫌でグラスを差し出した。

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他のバーカウンターへ場所を移すと、ドンスはシネを呼んだ。

シネ「こんな時間にどうしたの?」
ドンス「ユン・ヤンハに不意打ちを食らった」
シネ「不意打ちって?どういうこと?」

ドンスはシネのグラスに氷を入れながら話す。

ドンス「ユン・ヤンハがコ・ボクテと手を組んだんだ」
シネ「!」
ドンス「コ・ボクテに餌をやり、犬のように使うつもりだ」
シネ「…。」
ドンス「ユン・ヤンハのヤツ、父親のユン・テジュンより恐ろしい男だ」
シネ「ドンスさんはどうするの?もうあそこにいる理由がないじゃない」

ドンスは笑った。

ドンス「ご親切なことに、今後も働くかどうかは自分で決めろとさ」
シネ「まだいたほうがいいと思うわ」
ドンス「何故?」
シネ「ドンスさんの戦いの終わりにいるのは、コ・ボクテじゃない。ユン・テジュン会長よ」
ドンス「…。」
シネ「近くにいる方が有利だわ」

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「どういうことだ!」ユン会長の声が響いた。
ピルサンとキム常務が同席する中、ユン会長がヤンハを責める。

ユン会長「そんな大事なことを私に相談もなしに決めたのか?!」
ヤンハ「僕に全権をくださったじゃないですか」
ユン会長「コ・ボクテと手を組めなんて言っとらんぞ!」
ヤンハ「手を組んだんじゃありません。手の内に閉じ込めたんです。僕の思い通りに操れる人間になったってことですよ」
ユン会長「…。」
ヤンハ「父さんのご希望通りになりますから、ご心配なさらないでください」

「それでは」ヤンハは沈黙する父に頭を下げ、部屋を後にする。

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「ヤンハ」廊下で呼び止められ、ヤンハは振り返った。ピルサンだ。

ピルサン「お前の判断は正しいと思う」
ヤンハ「…。」
ピルサン「会長が反対しても、俺はお前の味方だ。思ったようにやれ」

ヤンハは思わず笑う。

ヤンハ「さすが賢いですね。反対に立っていたら、一番最初にあなたを攻撃していましたよ」
ピルサン「ちっともそんなつもりはないがな」
ヤンハ「承知しましたよ」

ヤンハは笑って背を向ける。

ピルサン「…。」

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シネはソウル署の広域捜査隊のメンバーと顔を合わせていた。

シネ「隊長にはすでに協力をお願いしてあります」

シネがファイルを差し出す。

シネ「テジョングループのユン・テジュン会長、ご存知ですよね」
タク刑事「はい」
シネ「ユン・テジュン会長が永宗島の複合リゾート事業の認可問題を片付けるために、政治家たちにロビー活動を行った項目です」

タク刑事がファイルを開く。

シネ「確実な証拠が必要です。捜査に入ってください」
ジン「これは班長とも関係のあることですか?」
シネ「そうです」

「分かりました」タク刑事が頷く。

タク刑事「我々が捜査しましょう」

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ヤン社長は事務所で一人、憂鬱だった。
そこへドアが開き、入ってきたのはジョンヒの祖母だ。

ヤン社長「どうなさいました?」

ジョンヒの祖母はヤン社長の近くに腰を下ろした。

祖母「ジャンスの面会には行かないのかい?」
ヤン社長「行かなきゃならないんですがね、あいつの顔見ると涙が出るばかりで、どうにかなっちまいそうなんですよ」
祖母「大事な息子が牢屋に入ってんだ。泣かない親なんかいるもんか」

「気持ちは分かるよ」ジョンヒの祖母はポケットから出したお金を差し出す。
5万ウォン札、2枚だった。

ヤン社長「いや、こりゃ何の金です?」
祖母「ジャンスの面会に行ったら、ヨンダル君に渡してやっとくれよ」
ヤン社長「…。」
祖母「うちに間借りしてからいくらも経たないけど、あたしゃヨンダル君が家族みたいに思えてね、胸が痛むんだ」
ヤン社長「…。」
祖母「少ないお金だけど、お願いだよ」
ヤン社長「(溜息)あいつにお婆さんの気持ちが分かるかどうか」
祖母「分からなくったって構いやしないさ。こうでもしないと気がおさまらなくてね」

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雑居房では受刑者たちがパンと牛乳を食べているところだ。
一人、何も持たずに座っている老人が気になって、ヨンダルはじっと見つめた。
彼は立ち上がると、自分のパンと牛乳を老人に差し出す。

ヨンダル「召し上がってください」
老受刑者「ありがとう」

老人はさっそくパンの包みを破ると、ムシャムシャと貪るように食べる。
ヨンダルはその様子を穏やかに眺めた。

受刑者「あ~あ。食べ過ぎたら面倒起こすぞ」

そこへ看守がやって来ると、ドアの向こうからヨンダルを呼んだ。

看守「面会だ」

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ヨンダルは看守と並んで廊下を歩いた。

ヨンダル「面会って誰ですか?」
看守「俺も知らん。自分で確かめろ」

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面会室に入ったヨンダルは驚いて立ち止まった。
透明の仕切りの向こうに座っていたのはジョンヒだ。
彼を見ると、ジョンヒは彼に微笑みかけた。

ヨンダル「…。」

ジョンヒの胸元には彼が贈ったペンダントが控えめに光っていた。
彼は重い足取りで彼女の前に座ると、辛うじて口を開く。

ヨンダル「どうしてここへ来たりしたんです?」
ジョンヒ「どうしてって、車に乗ってきたんですよ♪」

ジョンヒがニッコリ笑ってみせる。
ヨンダルは到底笑う気にはなれなかった。

ジョンヒ「昔、付き合ってた彼氏が入隊したとき、キンパを作って面会に行ったけど」

そう言って彼女は面会室を見渡す。

ジョンヒ「刑務所の面会は初めてだし、手ぶらで来ちゃいました」

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ジョンヒはどこまでも明るかった。

ヨンダル「…。」

ヨンダルは彼女の顔を見ていられず、思わず俯いた。

ジョンヒ「ちゃんと食べてますか?」

「…えぇ」ヨンダルは顔を上げ、無理に笑ってみせる。
「良かったわ」ジョンヒは頷いた。

ジョンヒ「実は、来ようかどうかすごく悩んだんです」
ヨンダル「…。」
ジョンヒ「あの日、警察署でホ・ヨンダルさんが私に言ったこと… ずっと気になってて」
ヨンダル「…。」
ジョンヒ「この人は私に何を済まないと思ってるんだろう、ホ・ヨンダルさんと私はどういう関係なんだろう… そんなふうに考えてると、すごく混乱してしまって」
ヨンダル「…。」

「ホ・ヨンダルさん」ジョンヒに呼びかけられ、ヨンダルは顔を上げた。

ジョンヒ「私たち… どういう関係ですか?」
ヨンダル「…。」

ジョンヒが訴えるような目で辛抱強く彼の言葉を待つ。

ヨンダル「どんな関係でもないから、俺みたいなものは忘れることです。ここにはもう来ないでください」
ジョンヒ「それは無責任すぎるんじゃないですか?ホ・ヨンダルさんに心を開いた私の感情は…どうしたらいいんですか」
ヨンダル「…。」
ジョンヒ「ある人が言ったんです。私には夢がないから、人生に何の得にもならないホ・ヨンダルさんに出会ったりするんだって」
ヨンダル「…。」
ジョンヒ「だけどね、その人は私のことを分かっていないから、そんなことが言えるんです。私、損得で人と付き合ったりしませんから」
ヨンダル「…。」

ジョンヒ「ただカッコイイから… いい人だったから…。心が惹かれるから付き合うんです」
ヨンダル「…。」
ジョンヒ「ホ・ヨンダルさんと会っていたのも… それが理由だったのに」
ヨンダル「…。」
ジョンヒ「私、ホ・ヨンダルさんのせいですごく腹が立つし、失望してるんです。刑務所に入ったからじゃない。ホ・ヨンダルさんが人生を甘く考えてるようで。あまりに簡単に成功しようとしてるように思えるんです」
ヨンダル「…。」
ジョンヒ「もう一度言うけど、私、ホ・ヨンダルさんにはギャンブルに人生を賭けてほしくありません」

何も言い返す言葉を持たず、黙って俯いていたヨンダルは、ジョンヒの真摯な訴えに、まっすぐ彼女を見つめた。

ジョンヒ「…言ってはみたけど、何だか小言を言いに来たみたい」

ジョンヒは気を取り直し、明るく口を開いた。

ジョンヒ「私、ホ・ヨンダルさんが恥ずかしくない人生を送るかどうか見守るつもり。私に悪いなんて思わないで、元気に健康でいてください」
ヨンダル「…。」

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潤んだ彼女の大きな目が眩しくて、ヨンダルは視線を逸らす。
そんな彼に、ジョンヒはもう一度微笑みかけた。

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ここで一旦区切ります。

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