ホテル・デルーナ12話あらすじ&日本語訳~前編
IU(イ・ジウン)、ヨ・ジング主演のtvNドラマ『ホテル・デルーナ(호텔 델루나 )』12話のあらすじを、セリフの日本語訳もまじえて紹介していきます。
マンウォル、恐れを知る
恐れを抱いたとき、花は散る…。
死の麻姑神の言葉に凍りついたマンウォルは、次の瞬間、チッと笑ってみせた。
マンウォル「私が“やめてください~”だの“怖いです~”だの、雨に濡れた犬みたいにブルブル震えて、涙をポロポロ~っと流したら、OK!って感じであの世へ連れて行くつもりでした?」
死の麻姑神「…。」
マンウォル「確かに。お宅のシステムって昔から“いけず”よね」
マンウォルの表情から皮肉が消え、氷のように冷たく変わる。「そんなことしてないで…」
マンウォル「今すぐ目の前にあの男を連れて来て。綺麗サッパリ終わらせて、消滅してあげるわ」
死の麻姑神「…。」
マンウォル「それだけを願って、この長い年月を耐え忍んできたんだから」
死の麻姑神「あやつもまた、ク・チャンソンがお前の元へ連れて来るであろう」
「何でもク・チャンソンに結びつけるんじゃないわよ!」マンウォルが声を荒げる。
死の麻姑神「ク・チャンソンに結びつけたのは私ではない。“お前を安らかに送り出そう”としている側だ」
マンウォル「…。」
死の麻姑神「1000年以上も粘って望むことといえば、たかが消滅。そんなお前のためにク・チャンソンが背負う代償は不当だ」
マンウォル「私は止めたわよ。自分でやるって言ったんだから」
「なんと薄情な」死の麻姑神が眉を吊り上げる。
マンウォル「はいはい。全部承知でそばにおく悪い女ですよ」
死の麻姑神「性悪も甚だしい!お前のそばであの子は、最も辛い“途切れた縁”までみることになった」
マンウォル「!」
そうだ。
彼は今まで知らずにいた実母の霊と出会い、あの世へ旅立つのを見送ったばかりだ。
死の麻姑神「お前のそばにいれば、今後どれだけ不当な目に遭うことになろうか」
マンウォル「…。」
マンウォルの手がぶるぶると震えた。
死の麻姑神「震えるとは… 実にいい気分だ」
ニヤリと口角を上げ、死の麻姑神は背を向けた。
+-+-+-+
「サンチェスに聞いて来たのか?」ソル・ジウォンはあくまでソフトな態度を崩さずに尋ねた。「ミラさん?」
チャンソン「いや、別の人だ。途中で君を見かけて来てみたんだけど、本当に君で驚いたよ」
「そうか」ジウォンは笑ってみせる。
駐車場でユナとチャンソンが話していたことは、監視カメラの映像で確認済みだ。
ジウォン「会いたくて来たわけないし、何の用?」
チャンソン「韓国に帰ってロースクールに入ると言ってたけど、やめたのか?判事のお父さんが… 諦めたのか?」
ジウォン「諦めてはいないが、亡くなった。これからは好きなことやって暮らすさ」
チャンソン「“好きなこと”って何だ?」
ジウォン「!」
緊張が走った次の瞬間、チャンソンがパンと指を鳴らした。「ワインだな」
チャンソン「ここはいいワインが揃ってるのか?俺にも一杯くれよ」
ジウォン「あぁ、そうだな」
席についたチャンソンを残し、ジウォンはカウンターの中へ入る。
ジウォンが背後に遠ざかると、チャンソンは小さく呟く。「あの人ですか?あなたを殺したのは」
テーブルの前で女性の霊が頷いた。
#終始、女性の霊に全く視線を向けることなく、「あの人ですか?」と尋ねるときも冷静沈着。
霊に慣れたというか成長したというか、有能すぎてシビレます。
+-+-+-+
ワインの入ったデキャンタとグラスを持って戻ってきたジウォンは、チャンソンの姿が見えないことに気がついた。
ジウォン「?」
奥の部屋へと続くカーテンが少し開いている。
ジウォン「!」
ジウォンはそっと奥の部屋へ入り、カーテンを閉め直した。
後ろ手に注射器を握りしめ、鏡の前に立っているチャンソンに近づく。「ここで何を?」
チャンソン「君こそ、ここで何を?」
ジウォン「…。」
チャンソン「好きなことって… 殺人か?」
ジウォン「!」
2人の間で緊張がMAXに達した瞬間、ジウォンが注射器を掲げて襲いかかった。
+-+-+-+
いつまで経っても連絡のつかないチャンソンに、マンウォルの不安は膨れ上がっていた。
会うことになっていたのに電話も取らない、家にも帰っていない。
何よりも死の麻姑神の言葉が気掛かりだった。
フロントで居眠りをしていたヒョンジュンの元に、ユナが泣きながら電話を掛けてきた。「どうしよう!」
ユナ(電話)「ク支配人が怪我したみたい。死んじゃってたらどうしよう!」
ヒョンジュン「ええっ?!」
+-+-+-+
「3位が死んだ?!」ソンビがロビーで声をこわばらせた。
※この呼び方は久しぶりですが、ク支配人はデルーナ支配人候補の3番目だったため、はじめの頃ソンビたちの間ではそう呼んでいました。1位はイ・ジュンギさんでしたね♪
ヒョンジュン「殺人犯を捕まえに行って… 死んだみたいだ」
そこへ、マンウォルとソヒがロビーへ降りてきた。
もう一度チャンソンの家へ様子を見に行くつもりだ。
ソンビ「チャン社長、チャン社長!大変なことに」
マンウォル「?」
ソンビ「ク支配人が死んだそうだ」
マンウォル「… え?」
ヒョンジュン「ユナが殺人犯の車を追いかけたんですけど、危険だからク支配人が自分に任せろと…」
マンウォル「…デタラメ言うんじゃないわよ。ク・チャンソンが死ぬわけないわ」
ヒョンジュン「救急車で運ばれるのをユナが見たって」
マンウォル「!!!」
ソヒが衝撃でグラリとよろめき、ソンビは唇を噛みしめる。
マンウォルは泣いているヒョンジュンに詰め寄った。「ちゃんと話しなさい。何があったの?」
ヒョンジュン「…。」
マンウォル「泣いてんじゃないわよ!!!」
そのとき、エレベーターがチンと音を立てる。
扉が開き、チャンソンが姿を見せた。
ソンビ「ク支配人?」
マンウォル「!!!」
エレベーターから降りると、チャンソンはそこで立ち止まる。「…。」
顔があちこち傷だらけになっていた。
もしや…!
マンウォルは恐る恐る彼に近づき、頬に手を伸ばす。
その手を下へ滑らせると、彼の胸にそっと押し当てた。
マンウォル「……。」
そうして何も言わずにクルリと振り返ると…
マンウォル「チ・ヒョンジュンの野郎!!!!!」
マンウォルの攻撃を華麗にかわし、ヒョンジュンはチャンソンに抱きついた。「死んでなかった!良かった!」
「?」驚いて目を丸くするチャンソンの視線の先で、マンウォルが力が抜けたように去っていくのが見える。
ソンビ「(チャンソンに近づき)生きていたんだな」
ソヒ「(チャンソンをドンと叩き)お客様としていらしたのかと思ったじゃありませんか!」
チャンソン「え?」
#ここ、初見のときはすごくドキドキして、踏んだり蹴ったりで去っていくマンウォル見て泣いたんですけど… 訳すのに見直したらシーン冒頭から腹立って腹立って^^;匂わせるにもほどがあるわ。
+-+-+-+
改めてソンビたちはチャンソンを囲み、生還を喜んだ。
ヒョンジュン「殺人犯に一人で会いに行ったのに連絡もつかないし、誰かが大怪我したっていうから、ク支配人かと思いましたよ」
チャンソン「危険を承知で策もなしに軽率な行動をとったわけじゃありません。警察の知り合いを呼んでおいたんです」
ひとしきり揉み合った末、ジウォンがチャンソンに馬乗りになった瞬間、パク警部が踏み込んだのだ。
ソンビ「よくやった。怪我をしたのは?」
チャンソン「犯人です」
追い詰められたジウォンは咄嗟にそばにあったワインボトルを叩き割ると、自分の首を掻き切った。
チャンソン「命に別状はないそうですから、生きて罪を償うことになるでしょう」
ヒョンジュン「本当に良かった。お客様かと思って、どんなに驚いたか」
ソンビ「私はひと目でわかったぞ」
ソヒ「どこが?ウエーンって泣いていたくせに。涙を拭いてるところ、見ましたよ」
ソンビ「ただの鼻水だ。そう言う客室長は足がガタガタ震えていたぞ」
チャンソン「皆さん、驚かせてすみませんでした。そして… 心配してくれてありがとうございます」
ソンビ「チャン社長の爆風が吹き荒れるだろうから、しっかり乗り切ろう」
+-+-+-+
「チャン・マンウォルさん」チャンソンは社長室のドアを開けた。
そこはもぬけの殻だ。
チャンソン「どこ行ったんだ?(手に抱えたシャンパンボトルをちらり)何本飲んでも足りないと思って持ってきたのに…」
そこへマンウォルがいくつも袋をぶら下げて戻ってきた。
チャンソン「どこへ行ってたんですか?」
マンウォル「…。」
チャンソン「ショッピングですか?」
マンウォル「座って」
マンウォルは袋にたっぷり詰まった薬をテーブルに広げた。
チャンソン「薬局に行ってたんですか?」
マンウォル「そうよ。ここには生きた人のための薬なんかないから」
チャンソン「こんなにたくさん…
「座りなさいってば」マンウォルがチャンソンの腕を引っ張り、ソファに座らせる。
「見せて」前髪をそっとめくり、額の傷を覗き込む。
#あまり【韓ドラあるある】に出てこない【韓ドラあるある】。
こういうとき、めっちゃジィーーーーーっと見つめるよね。
マンウォル「はぁ、ひどい傷」
チャンソン「(ニコニコ)」
マンウォル「一体どれを塗ればいいのかしら。一番高いのにしよう」
軟膏を指に少し出して、恐る恐る額の傷にチョンとつける。
チャンソン「痛っ!」
マンウォル「痛い?(薬の蓋を閉め)これはダメみたい」
「見せて」チャンソンは薬の容器を見て、ぎょっとした。「これ、痔の薬ですよ!」
マンウォル「え?!ごめん。お尻の穴に塗るのを顔に塗っちゃった」
チャンソン「(苦笑)いいですよ。そこに効くなら、顔にも効くでしょう」
マンウォル「お尻の穴と顔は別でしょうが!」
「別のを塗るわ」薬の山を探るマンウォルを、チャンソンは愛おしげに見つめる。「驚いたでしょう?」
チャンソン「僕がお客様として来たのかと思って」
マンウォル「!」
薬を探っていた手の力が… ふと抜ける。「…。」
チャンソン「あなたがそんなことを見分けられないなんて」
マンウォル「… 怖くなったのよ」
チャンソン「…。」
マンウォル「この世が真っ暗になったみたいに… 怖かった」
チャンソン「…。」
マンウォル「お金に目がくらんだって、そんなの見間違えたことないのに、あんたのせいで恥かいたわ。スタッフも見てたのに、あぁ、こっ恥ずかしい!」
チャンソン「(ニヤニヤ)」
マンウォル「待ってて。お客様の中に薬剤師がいないか調べてくる」
立ち上がったマンウォルの手を、チャンソンは掴んだ。「あなたも驚いたんだから、薬を飲んだほうがいい」
マンウォル「気つけ薬でもあるの?」
チャンソンは立ち上がり、彼女を抱き寄せた。
「すごく驚いたでしょう?」手のひらで彼女の背中をトントンと叩く。
マンウォル「薬剤師じゃあるまいし」
チャンソン「(笑う)あなたの面倒をみるのは僕ですから」
マンウォル「…。」
彼の腕の中で、マンウォルは静かに目を閉じた。
「恐れを抱いたとき、花は散るのだ」死の麻姑神の言葉が蘇る。「…。」
チャンソン「嬉しい知らせもあるんです」
マンウォル「?」
チャンソン「ヨヌ… あぁ、パク・ヨンス警部が犯人を捕まえたんです。きっと昇進しますよ」
死者からの知らせ
パク警部はソル・ジウォンが首を切った部屋で、現場検証を行っていた。
呪いのサイト“Helllo”のロゴが入り、順番に番号が振られた黒いワインボトルのような瓶が並んでいる。
同僚「殺害に使った薬品と注射器、全部見つかった」
パク警部「(Hellloの瓶を指し)ワインを輸入すると見せかけて、薬品を密かに入手していたようです」
同僚「Hellloって呪いのサイトのロゴだな。このサイトからソル・ジウォンにたどり着いたのか?」
パク警部「実は情報提供の電話があったんです」
それは実に奇妙な電話だった。
「私の夫は犯人じゃありません」死んだイ・ドヨンだと女性の声は名乗った。
女性の声(電話)「殺人犯はここにいいます」
パク警部(電話)「イタズラ電話はやめてください」
女性の声「血!血があります」
パク警部「!!!」
女性の声「遺体から抜いた血を集めて置いてあるんです。早く来てください。危険です!」
遺体に採血の痕跡があったことは、報道されたことがない。
それが気になって駆けつけたのだ。
パク警部「本当に血があるとは」
同僚「悪魔みたいな奴だな。血を集めてワインと一緒に飾るとは」
パク警部「電話してきた女性は誰なんでしょうか。死んだ人が電話するはずはないし。妙だな…」
+-+-+-+
マンウォルは買ってきた薬を袋にキレイに詰め直した。「あんた、むやみに霊に体を貸したりしちゃ駄目よ」
マンウォル「約束して。私がいないときは二度とそんなことしないって」
チャンソン「証拠を掴んで通報するのに、霊の力を借りたんです」
マンウォル「(袋を差し出し)持って帰って。今日は早く帰って休みなさい」
チャンソン「薬が増えましたね。(袋から飛び出した機会を見て)これは?」
マンウォル「按摩器よ。寝る前に肩にあててブーンとやると気持ちいいの。そこにアイマスクもあるし、シャンペンも1本。それとこれはキャビア。めちゃくちゃ高いんだから、大事に食べて」
チャンソン「大事なものを僕にわけてくれるんですね」
「荷物が多いから今日は車を使っても…」そう言いかけて、マンウォルは言いよどむ。
マンウォル「1台あんたがずっと使えばいいわ」
チャンソン「本当に?!じゃあ、赤いヤツ!赤いのを持って行っても?」
マンウォル「ど、どうして?あんた、赤はそんなに… 好きじゃないでしょ?」
チャンソン「好きですけど?」
マンウォル「そう?そうなの… (意気消沈)それなら、まぁ、それにすれば?赤い車は1台しかないけど…」
チャンソン「嬉しいです」
マンウォルは車のキーを差し出した。
チャンソン「これじゃないでしょ?あっちのキーですよ」
マンウォル「(しぶしぶ正しいキーを)ほら」
チャンソン「得しましたね。(最初に渡されたキーを見せ)こっちに乗りますから」
マンウォル「からかわないでよ!」
チャンソン「テストしたんです。赤い車と僕、どっちが大事か。僕の勝ちですね」
マンウォル「ウ○コ色の車だったら、あんたが負けてたわ」
チャンソン「赤い車が一番好きなのはわかってますよ」
マンウォル「あんた、まったくハーバードの古狸だわ」
チャンソンは茶目っ気たっぷりに笑ってみせた。
チャンソン「何度か警察に行くことになりそうです。霊のことに触れずにパク警部を納得させるには、本当に古狸にならないと」
マンウォル「きっとヨヌは困惑してるわね。二度も霊から情報提供を受けたんだから」
※一度目は山に遺体が埋められていることをヒョンジュンが通報した件ですね。
マンウォル「あの子、ああ見えてビビりで、幽霊だってすごく怖がってたのに」
チャンソン「そうだったんですか。小さい頃から一緒だったんですね」
マンウォル「ヨヌのお母さんが私を育ててくれたの。荒れ地で死にかけていたのを、通りすがりの商人に助けられたみたい。それをヨヌのお母さんが引き取ってくれて」
チャンソン「…。」
マンウォル「だけど、ヨヌのお母さんも早くに亡くなって、ヨヌと私はお互い兄になり姉になり… そうやって生き延びたの」
チャンソンは黙って頷く。
マンウォル「あの子は手先が器用で、私の服も全部作ってくれた」
チャンソン「今も活躍しているようです。警察官として」
マンウォル「あんたにこんな話をするのは初めてだわ」
チャンソン「そうですね」
「花が咲いたからですね」「花が散ろうとしてるのかしら」2人は同時に呟く。
「!」ハッとして目を合わせ… 2人は思わず俯いた。
花が散る… 考えただけで、言いしれぬ悲しみが襲ってくる。
「もう帰ります」チャンソンは、マンウォルが用意した薬の包みも持たず、逃げるように部屋を出た。
+-+-+-+
もっとずっと先のことだと思っていた。
それなのに、月齢樹はあっという間に花を咲かせ、急いで散りゆこうとしている。
美しい花と共に、マンウォルをあの世に送り出す日が、すぐそこまで迫っているのだろうか。
チャンソンは長い間、考えに沈んでいた。
殺人の果てに
パク警部からチャンソンに電話が入った。
ソル・ジウォンが病院のベッドを抜け出したというのだ。
彼は入院患者の携帯電話を奪ってパク警部に連絡し、病院の屋上へチャンソンを一人で寄越せと要求していた。
彼にはチャンソンに確かめたいことがあった。
~~~~~~~~
逮捕された日、チャンソンが訪ねてきたときのこと…
「好きなことっていうのは殺人か?」チャンソンはストレートに問いただした。
ジウォン「何のことだ?」
チャンソン「人を殺したじゃないか」
ジウォン「誰がそんなことを?」
チャンソン「お前に殺された人が、今ここにいる」
「お前、どうかしてるぞ」ジウォンは笑ってみせた。
チャンソン「死んだら、それで終わりだと思うか?」
チャンソンが“Helllo”のロゴが入ったボトルを手に取る。「魂は残ってる」
チャンソン「ここにいるのは、お前が7番目に殺した人」
ジウォン「!」
チャンソン「(ボトルを棚に置き)これは… その人の血だ」
ジウォン「…。」
チャンソン「残りの6人分も探しだせば信じるか?」
チャンソンは残りのHellloのボトルも次々と棚から選び、1から順に並べた。
ジウォン「何なんだ?お前」
チャンソン「俺が見つけたんじゃない。お前の殺した人が教えてくれたんだ」
ジウォン「デタラメ言うなよ。そんなわけあるか」
チャンソン「お前の目には見えないだろうが、ずっとお前の隣にいる」
ジウォンがハッとして思わず周りを見る。
チャンソン「お前が後ろ手に何を隠してるか、それも教えてくれた」
ジウォン「!」
注射器を握るジウォンの手に、霊がそっと触れる。
ジウォンがビクリと震えた。「わっ!」
狼狽したジウォンは、注射器を振り上げ、チャンソンに襲いかかったのだった。
~~~~~~~~
チャンソンが病院の屋上に到着したとき、ジウォンはすでに柵を乗り越えていた。飛び降りればお終いだ。
ジウォン「おかげでこんなところまで来ちまった」
チャンソン「自業自得だろ。お前をここまで連れてきたのは、お前に殺された人たちだ」
ジウォン「霊がいるんだってな。今も誰かがお前に協力してるのか?」
「あぁ。そばに俺を守ってくれる人がいる」チャンソンは視線を数メートル左へ移した。
そこで腕組みをしていたのはマンウォルだ。「この子?」
#このマンウォル最高じゃない?!
マンウォル「(柵の向こうを見下ろし)このまま落としちゃおうか」
チャンソン「いけません。生きて厳しい罰を受けなければ」
マンウォル「そうね。私だってこんなクズのためにツケを払いたくないわ」
チャンソン「そのとおりです」
「おい!」置いてけぼりにされたジウォンがたまらず声を上げる。
ジウォン「何やってんだ?」
チャンソン「俺を守ってくれている方と、お前のことを相談していたんだ」
「あぁ~」と頷き、ジウォンは笑った。
ジウォン「ク・チャンソン。振り返ってみれば、俺の人生が狂い始めたのもお前のせいだった」
チャンソン「あのときだって自業自得だ」
~~~~~~~~
留学時代。
サンチェスに届いた拳銃の箱を、チャンソンは送り主に突き返した。
それがジウォンだ。
ジウォン「俺が送ったって証拠があるのか?それに、お前の言うことなんか誰も信じないぞ。出来がいいからって偉そうにしやがって。むかつく」
チャンソン「ここで誰も信じてくれなくていい。たった一人信じてくれれば、それでいいんだ」
ジウォン「?」
チャンソン「末息子の本性をしっかり把握して、アメリカに遠ざけたお前のお父さん」
ジウォン「…。」
チャンソンは箱の中の拳銃をテーブルに置いた。「賭けをやらないか?」
チャンソン「人前に出すのが恥ずかしい息子と、誰の目にも誠実で頭のいい、名門大学の模範生。お父さんはどっちを信じるか」
テーブルに置いた拳銃を、クルクルと回す。
銃口は、ジウォンの方を向いて止まった。
ジウォン「…。」
チャンソン「お父さんに全部話す前に、消えるんだな」
~~~~~~~~
「あのとき、撃っちまえばよかった」ジウォンはポツリと言った。
2人の会話に、マンウォルの顔色が変わる。「あんた、この子と知り合いなの?」
チャンソン「古い悪縁です。終わったとばかり思っていたけど、こうして再会するとは」
「!」マンウォルの頭に死の麻姑神の言葉が蘇った。
自分のそばにいれば、チャンソンは途絶えていた悪縁に再び出会うことになる、辛い目に遭うと。
チャンソン「(ジウォンに)お前のやったことは、死んだからって終わるわけじゃない。生きて罪を償わないと、霊になってもっと辛い罰を受けることになる」
ジウォン「なんで俺の罪なんだよ。俺はみんなの呪いを実行してやっただけだぞ」
「人の恨みがどれだけ強力で陰険だと思う?」ジウォンは携帯の画面をチャンソンに向けた。
Hellloのサイトが表示されている。
ジウォン「応援されてゴールを決めるサッカー選手みたいに、俺も応援されて殺した。それがなんで俺の罪なんだよ!」
チャンソン「そこは人間の汚れた感情の掃き溜めだ。本当に実行に移す人はいない」
「戻ってこい!ソル・ジウォン」チャンソンは怒りに声を荒げた。
ジウォン「(Hellloのサイトを見せ)その掃き溜めにお前を投下しておいた」
チャンソン「!!!」
「たくさん応援してもらえるといいな」ニヤリと笑うと、ジウォンは携帯をその場に落とし…
チャンソンの視界から消えていった。
+-+-+-+
ここで一旦区切ります。
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