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ホテル・デルーナ7話あらすじ&日本語訳~前編

   

IU(イ・ジウン)、ヨ・ジング主演のtvNドラマ『ホテル・デル・ルナ(호텔 델루나 ホテル・デルナ/ホテル・デルーナ)』7話のあらすじを、セリフの日本語訳もまじえて紹介していきます。

時間が取れず、6話からだいぶ空いてしまいました。
なんとか頑張って続けます。

月と城と満月と…

夜。
城の様子を見に来たマンウォルは、寂しげな様子で引き返した。
チョンミョンにソンア姫が会いに来ていたのだ。

「…。」力なく溜息をついた瞬間、誰かが突然彼女の腕を掴む。「!」
さっき姫と一緒にいたはずのチョンミョンだった。
マンウォルがそっと立ち去るのに気づき、追いかけてきたのだ。「黙って帰るなよ」

チョンミョン「俺に会いに来たんじゃないのか?」
マンウォル「違うわ。泥棒しに来たの。今夜は警備がお粗末だから、盗みに入るのにいいと思って」

「ふーむ」チョンミョンは考えを巡らせるように息をつく。「俺は会いたい人をつかまえたつもりだったんだけど」

チョンミョン「つかまえたのは泥棒だったのかな?」
マンウォル「…。」

「何を盗んだんだ?」チョンミョンはマンウォルが手に持っていた酒瓶を奪い取った。
瓶のくびれの部分に、満月の印がある。「これは俺の大事な妹のものだが…」

チョンミョン「ふふん、酒を飲んでいても俺がふらっと現れないから、訪ねて来たんだな」

「もういい」酒瓶を取り返そうとするマンウォルの手を、チョンミョンはヒラリとかわした。

マンウォル「お姫様を口説いてる最中だったんでしょ。行きなさいよ」
チョンミョン「見たのか」
マンウォル「…。」
チョンミョン「けど、さっきのあれ、俺がお姫様を口説いてるように見えたのか?お姫様が俺を口説いてたんだけどな」
マンウォル「よかったわね。高貴なお姫様にお酒まで貰って」

「俺はこっちの方がいい」チョンミョンはマンウォルの酒瓶を掲げてみせた。

チョンミョン「これは没収な」
マンウォル「…。」

「目的のものはもう盗んだようだから」チョンミョンは自分の胸を指し、ふっと微笑んだ。

チョンミョン「もう帰りな」
マンウォル「…。」
チョンミョン「反乱軍のおかげで近頃は警備が厳しくなってる。危険だ。酒の代金は今度払うさ」

チョンミョンは明るく手を振り、背を向ける。
遠ざかっていく彼の背中を眺め、マンウォルの心はどこか暖かいもので満たされていった。

花、咲き始める

デル・ルナの庭園の木の下で、マンウォルはぼんやりあの夜のことを思い返していた。
ふと木を見上げると…
青いツボミが一輪、ふっくらと膨らんでいる。「この調子じゃ本当に咲きだすんじゃない?」

マンウォル「ク・チャンソンが知ったらまた威張りそうね」

悪霊の行く末は…

バーガーショップにいたキム・ユナは、倒れていた男性が運び出されるのに遭遇した。
彼が倒れる前、席を立つときから、ただならぬ気配を感じていたのだ。
男性が倒れていたという女性トイレを調べると、床にスマートフォンが残されていた。
「これに何か憑いていたのかしら」スマートフォンを拾い上げたとき、突然声が聞こえた。

「お前、人間の皮をかぶった霊であろう!さっきもお前の仕業か」

現れた女がユナの首を締め上げる。
麻姑神だ。

※死神のような姿をしているので麻姑死神と呼びますね。

麻姑死神「あの世の者がこの世に残り、秩序を乱した罰だ。直ちに消滅せよ!」

「あぁっ!」苦しむユナの体から黒煙が立ちのぼる。
そのとき、後ろで静かな声がした。「その子の仕業ではありません」
死神だった。

死神「その子はデル・ルナのチャン・マンウォルが生かしておいた魂です」
麻姑死神「?」
死神「人に危害を加える悪霊ではありません」

危ういところで、麻姑死神はユナの首から手を放した。

麻姑死神「ただの雑霊がどうやって他人の体を手に入れ、うろついている?」
死神「体の主は愚かな両親の選択により死にました。体が空になったところへ、チャン・マンウォルがその子を住まわせたのです」
麻姑死神「ふむ、チャン・マンウォルがまた邪な真似を」

「早く行け」死神に言われ、ユナはスマートフォンを手にトイレを逃げ出した。

麻姑死神「たった今ここで、霊が人間に危害を加えた」
死神「私もその怨霊を探していました」
麻姑死神「人間に怪我をさせたから“悪霊”だ。見つけ次第、消滅させるのだ」
死神「別の麻姑神が、見つけたら元の場所に送り返すようにと」
麻姑死神「またデル・ルナか!」
死神「あそこのお客でした」
麻姑死神「彷徨う霊は残らず掴まえて直ちにあの世へ送るべきだ!泊めてどうする!三途の川は高速道路か?なぜ休憩所が必要なのだ?」
死神「…。」
麻姑死神「なぜあんなものを作ってチャン・マンウォルのような悪霊に任せたのか」
死神「厳密に言えば悪霊ではありません。そして、あやつもじきにあの世へ行くことになるでしょう」
麻姑死神「聞いた。チャン・マンウォルをあの世へ導く者を送り込んだとな」

「ふふふ」麻姑死神は意味深な笑い声をあげる。「チャン・マンウォルをあの世へ送ってみせると?」

麻姑死神「あの霊魂がそう上手くあの世へ行けるはずはない。生の悪縁を繰り返すことになるからだ。再び人間を害し、悪霊として消滅することになるだろう」

守る、ということ

チャンソンがデル・ルナに宿泊していた男性客を見送っていた。
男性は一緒に亡くなった妻とはぐれてしまったという。
あの世へ向かう車の乗り場へ案内しようとしたとき、女性客が男と腕を組んで入ってきた。
「ミサンじゃないか!」男性の愛する妻だったのだ。

妻「あんたも死んだの?あんたは生きてると思ったのに」
夫「そいつは誰だ?俺がくたばった途端、そんな若造と浮気か?」
妻「失礼よ!この人は早く死んだから、あんたより3歳年上なんだから」

「殺してやる!」あっという間にロビーは修羅場だ。
乱闘騒ぎを止めようとしたチャンソンは、弾みで男性の肘に胸を突かれ、床に吹っ飛ぶ。「ああっ!」

「放っておきなさい!」階段の上から厳しい声が飛んだ。
マンウォルだ。

まっすぐ階段を降りてくると、マンウォルは夫婦の間に立った。「我がホテルでは、お客様のお望みはすべてお聞きします」

夫婦「?」
マンウォル「すでに亡くなっている方々ですから、2度3度死ぬのは難しいことではありません。怒りが収まるまで、好きなだけ殺してください」

そう言って、のこぎりと斧を出した。「さぁ、どうやって殺したいですか?お選びくださいな」
チャンソンはじめ、全員が息を呑む。

マンウォル「(のこぎりを渡し)さぁ旦那様はこれで切り刻んで。(斧を渡し)奥様もやられてばかりじゃいけません。しっかり叩き切ってください。さぁ、血肉が吹き飛びますから、皆、下がって」

人々がさっと遠ざかる。

マンウォル「すでに亡くなっていますが、相手の霊魂に致命的な苦痛を残すことができますよ。共に生きた時間を好きなだけ滅多切りになさいませ。ズタズタに切り裂いて、砕いて、潰すのです。私どもは誠心誠意、皆様の憂さ晴らしのお手伝いをいたします」
男性「何だ?夫婦喧嘩をしていたら、仲良く暮らせと止めるもんだろ」
マンウォル「仲良く暮らすも何も。もう死んでるしょうに」
夫婦「…。」
マンウォル「仲良く暮らす時間など、もう1秒だってありません。どうぞ憂さ晴らしを。滅多切りにするなり、血まみれになるなり、心ゆくまで楽しんで行ってくださいな」

「では」マンウォルはあっさりと背を向け、階段を上がっていく。
夫婦は手に持たされた凶器を床に置いた。「…。」

チャンソン「…。」

+-+-+-+

デル・ルナに残った夫婦のフォローをスタッフたちが行っていた。
チャンソンの執務室にもヒョンジュンが報告に訪れる。

チャンソン「ひとまず落ち着かれたようで、よかったですね」
ヒョンジュン「さっき当たったでしょう?怒った霊には本当に気をつけてください」
チャンソン「そんなに痛くありませんでしたよ」
ヒョンジュン「痛いかどうかは重要じゃないんです。邪気に当たったじゃないですか」
チャンソン「邪気?」
ヒョンジュン「さっきのお客様の鬱怒な気が当たったんです」
チャンソン「…危ないところでした」
ヒョンジュン「でも、社長が見ていらしたから大丈夫ですよ」
チャンソン「チャン・マンウォル社長ですか?」

ヒョンジュンは見ていたのだ。
階段の上からクールに登場したマンウォルが、その前にチャンソンが胸を突かれたのを見て、顔色を変えていたのを。

チャンソン「騒がしかったから出てきたんでしょう」
ヒョンジュン「もともとお客様同士が喧嘩をしようと流血騒ぎを起こそうと、社長が口出しなさることはほとんどありませんでした。だけど、さっきは口出しなさったじゃないですか。支配人がこれ以上やられないように、そうなさったんだと思いますよ」

「何を」チャンソンは戸惑いを隠せない。「僕はそんなふうにやられてばかりいる人間じゃありませんよ」

ヒョンジュン「とにかく霊にぶつかったんですから、お清めの塩を振っておいてくださいね」

ヒョンジュンが退室した。

チャンソン「守ってやるって言ってたけど… 本当に守ってくれてるのか。けどちょっと… カッコ悪いな」

+-+-+-+

鬼のような形相のチャンソンが、マンウォルの部屋へ乗り込んできた。
手に持っているのは、ホテルに届いたヨットのパンフレットだ。

チャンソン「確かめたいことがあります」
マンウォル「お説教なら後にして」

「久しぶりに上手く塗れてるんだから」マンウォルは美しいブルーのネイルカラーを塗っている真っ最中だ。

マンウォル「失敗したら許さないわよ」
チャンソン「海のような青ですね」
マンウォル「綺麗でしょ」
チャンソン「綺麗ですね」

「悲しくなる」チャンソンは苛立った様子でそう付け足した。

マンウォル「?」
チャンソン「海が悲しく見えたのはコレのせいですか」

チャンソンはヨットのパンフレットを突きつける。「ヨットがないから?」

マンウォル「あら、届いたのね!ノルウェーから届くからだいぶかかると思ったのに、早かったわ」

「ちょうだい」マンウォルは嬉しそうにパンフレットを開く。

チャンソン「買うつもりですか」
マンウォル「車も全部売ったんだし、ヨットの1隻くらいないとね」
チャンソン「行く場所もないのに、どうして買うんですか!」
マンウォル「なんで行く場所がないのよ?ほら、何だっけ、あれ… あぁ、“都市漁夫たち(※TV番組)”。あれ見てると、船であちこち巡って、魚釣ってるわよ」
チャンソン「(イライラ)」
マンウォル「心配しなさんな。船で行くところはたくさんあるから」
チャンソン「お金は?あるんですか?」
マンウォル「うーん、それが問題なのよね。虎の絵、売れないの?4分の1の値段でもいいから売ってよ」
チャンソン「ヨットは駄目です。釣りをしたいなら、僕が月尾島のいい釣り場へ連れて行きますよ。車で行けますから」
マンウォル「車だって全部売っちゃったじゃない!」
チャンソン「2台残ってます!」

「何ですって?!」マンウォルが目を丸くする。「3台じゃなかったの?!」

チャンソン「あぁ、3台です。勘違いでした」
マンウォル「はぁ、びっくりした」
チャンソン「よかったですね。というわけで、車で月尾島へ行きましょう。美味しい店も調べておきます」

「これは…」チャンソンはヨットのパンフレットを無理やり奪い返した。「僕がキャンセルしておきますから」

+-+-+-+

怖い顔でチャンソンが部屋を出ていくと、マンウォルは綺麗にブルーに塗った爪を見た。「月尾島にブルーはちょっと合わないわね」

マンウォル「月尾島と言えば“ゴーストパンパン(※子ども向けTVドラマ)”。パンパン弾ける色に変えなきゃ♪月尾島~」

#ヨットを買おうとしたのを阻止されたことには全くこだわらず、あっさり月尾島へ行く気満々になってるマンウォルさん。可愛いデス♪

+-+-+-+

下宿先に帰り、チャンソンが体に塩を振っていると、サンチェスが出てきた。
塩を振るのを手伝いながら、サンチェスが不意に言う。「マンウォル、ヨット買うんだって?」

チャンソン「ノルウェーのヨット会社、兄貴が紹介したのか?」
サンチェス「SNSにうちのヨットの写真を上げたんだが、それを見たマンウォルがどこで買ったのかって。それで教えてやったんだ」
チャンソン「あんな高いのを買うつもりだったのか!」
サンチェス「マンウォルはお前のホテルのオーナーじゃないか。それくらい買えるだろ」

#社員だと思ってたのに、いつの間にかマンウォルが社長だと知ってるサンチェス。とくに驚いた描写もないのはサンチェスのキャラでしょう^^

サンチェス「うちのヨットクラブにも入れてやろうかと思ってるんだ」
チャンソン「ヨットクラブっていうと、金持ちの社交クラブ?」
サンチェス「ホテル事業にも役に立つし。それに、マンウォルは恋人いないだろ?」
チャンソン「それがどうかしたのか?」
サンチェス「うちの会員を紹介しようと思ってさ」
チャンソン「ヨットクラブならヨットに乗らないと。なんで仲介なんか」
サンチェス「そういう集まりでビジネスパートナーに出会ったり、人生のパートナーに出会ったりするんだよ。俺だってそこでヴェロニカと会ったろ」

「どうだ?」サンチェスが見せたのは、モデルのような外国人男性の写真だ。「マンウォルとお似合いだろ」

チャンソン「痩せすぎだな」
サンチェス「そうか?」
チャンソン「マンウォルさんはキム・ジュニョンみたいなタイプが好きなんだ。饅頭を一気に5個ずつ食べるような」

「じゃあこの人は?」サンチェスは写真を別の男性に切り替える。

チャンソン「若すぎる」
サンチェス「30過ぎてるぞ」
チャンソン「チャン・マンウォルさんは見た目よりずっと年が上なんだ。兄貴がどんなに想像したって、それ以上だぞ。若すぎる」

「それならピッタリなのは…」サンチェスがスマートフォンを覗く。

チャンソン「チャン・マンウォルさんは金欠でヨットは買えない」
サンチェス「?」
チャンソン「クラブに加入する条件を満たしてないよ。だから紹介してやろうなんて思っても無駄だ。やめとけよ」
サンチェス「それならテニスクラブとかゴルフクラブもあるし、他には…」
チャンソン「サンチェス!」
サンチェス「…。」
チャンソン「いつからそんなスポーツ好きになったんだ?万能スポーツマンだな」
サンチェス「…。」
チャンソン「だけど、チャン・マンウォルさんはスポーツに興味がない。放っておけよ」

食塩を散々振っただけでは安心できず、チャンソンはキッチンにヒマラヤ塩を取りに向かった。

サンチェス「あいつ、マンウォルが好きなんだな…」

サンチェスは散らかった“塩”を何気なく舐める。「甘っ!これ砂糖じゃないか」

不穏な動画の正体

麻姑死神に首を締められて以来、体が弱ってしまったキム・ユナは、他の霊に狙われるようになっていた。
今日も教室に現れた霊に迫られ、ロッカーに逃げ込んだところを、ヒョンジュンに助け出される。

+-+-+-+

ユナの不調がマンウォルに伝えられた。
「うちの研修生に怪我させたの、4番目の麻姑神でしょ」マンウォルは死神に尋ねる。

マンウォル「4番の黒ドレス」
死神「神に番号をつけるな。違う姿で現れても、全て一つのご意思だ」
マンウォル「人間の望む姿で現れやしないくせに、すべて神のご意思だなんて適当なこと言って。ズルいわ」
死神「麻姑神が追っていらしたのは、このホテルに泊まっていた悪霊だ」
マンウォル「見つけたら?消滅させるって?」
死神「別の顔の麻姑神が連れ戻して休ませろと」
マンウォル「とにかく神のご意思にはさんざん惑わされるわ」
死神「慈悲深いのも、冷酷なのも、すべて神の姿だ」
マンウォル「ふん。花を咲かせて逝くのを願う1番目の婆さんも、悪霊になれば消滅させようと狙っている4番目の婆さんも… そうね、どちらも神だわ。だけど、どちらが強いかしら。1番?それとも4番?」
死神「神に順序をつけるな」

「姑息な」マンウォルが顔を歪める。「順序はともかく意思は一つね」

+-+-+-+

女性トイレに落ちていたスマートフォンが、マンウォルの元に届けられた。

ヒョンジュン「ユナが妙な気を感じたそうです」
ソヒ「スマートフォンに転送された映像を通して、13号室のお客様が人間に危害を加えたようですね」
ソンビ「(画面のURLを指し)これを開いてみればわかるだろうが、霊を呼び出すには、人間を囮にしなければ。誰がやるべきか… おいそれとは推薦できないな」
マンウォル「囮になる人間はうちのホテルに一人しかいないわ。ク・チャンソンを呼んで」

ただちにチャンソンが呼ばれる。
「僕は嫌です」チャンソンはスマートフォンを見つめ、キッパリと言った。

一同「?!」
チャンソン「このチャットルームの内容を見るに、違法動画に違いありません。撮るのも犯罪ですが、見るのも同罪です。僕はこういうものを絶対に見ません!」

スマートフォンを置いたチャンソンに、マンウォルが手を叩く。「立派だわ」

マンウォル「だけど、勇敢でもあるべきよ。霊を掴まえなきゃならないの」
チャンソン「(スマートフォンを指し)ここから?」
ソヒ「13号室にいらしたお客様です。探すためには、開かなければなりません」
チャンソン「ということは、あのお客様はこういった不快な映像と関連したことであんなことになったのですか?」
マンウォル「不快な映像かもしれないし、恐ろしいものが出てくるかもしれない。やってみる?」
チャンソン「…。

皆がチャンソンの返事をじっと待つ。
霊を呼び出すためなら…。
チャンソンは首を縦に振った。

#とても細かいけど、最初は迷っているのに、だんだん覚悟が決まっていくのが表情だけで自然にわかる。俳優さんの演技が信頼できるかどうかって、こういうところだろうね^^

さっそくチャットルームに貼られたURLをタップしてみると…
チャンソンは首を傾げた。「空っぽの部屋ですけど?」

一同「?」
チャンソン「何もありません」

動画に映っていたのは、誰もいないごく普通の部屋だ。

ヒョンジュン「着信音が鳴った時、間違いなく妙な感じがしたってユナが言ってましたけど」

「ここにいたのは間違いないわ」マンウォルの声が変なところから聞こえる。

チャンソン「?!」

マンウォルはいつの間にかスマートフォンの画面の部屋の中にいた。

マンウォル(動画の中から)「ここに… まだあの霊の怨念が残ってる。あの女が作り出した部屋だわ」
チャンソン「ということは、隠し撮りじゃないってことですか?」
マンウォル「そうね。ここは霊の怨念をいっぱいに込めて作った部屋よ」
チャンソン「!」
マンウォル「きっとこういうのがまだいくつかあるはず」
ヒョンジュン「ユナは男が動画を開く前からゾッとするような気を感じたそうです」
ソヒ「相手を狙い定めて動画を送ったんですね。そうなると、次の相手も決まっていそうです」
チャンソン「今、どこにいるでしょうか」
マンウォル「これと同じ部屋を標的に送って、開いたら殺してやろうと待ち構えているはずよ」

+-+-+-+

次の標的が動画を開いたのは、それからまもなくのことだ。
今度も、これまでの標的と同じ年代の男性だった。

+-+-+-+

チャンソンは13号室の宿泊客の姉と会っていた。

姉「妹が亡くなって5年も経つのに、あのときの動画がまだ出回っているんです。映像被害者の調査をなさっているなら、よくお分かりですよね。完全に消すことは絶対に不可能です」
チャンソン「そうですね。関係者たちは処罰を受けたんですか?」

「処罰?」彼女は皮肉な笑みを浮かべた。

姉「罰金をいくらかずつ払って終わりでしたよ。うちのガヨンは死んだのに」

チャンソンは、先日動画を見て倒れた男性の写真を見せた。「この人も関係者ですか?」

姉「ガヨンと同じ学科の先輩です。単科大の男子学生がチャットルーム内で動画を回したんです。そこから流出して」

ガヨンはそれ以来、男子学生たちから好奇な目で見られるようになった。

姉「毎日顔を合わせて挨拶していた人たちが、後ろでクスクス笑いながらそれを回し見してたんです」
チャンソン「動画を回し見した学生たちを覚えていらっしゃいますか?」
姉「忘れようがありません。一人ひとり名前も全部覚えています。その中の誰かがすぐ知らせてくれていれば、流出する前に防げたはずなのに。そうすれば妹は… 死ななかったはずだわ」

ガヨンは部屋に閉じこもり、ネットに広がった動画を狂ったように探し続けるうちに、憔悴して死んでしまったのだった。

チャンソン「…。」
姉「魂だけになった今は… 苦しむこともなく安らかですよね?」
チャンソン「そうであってほしいと、僕も願います」
姉「チャットルームのメンバーの中に、動画を撮って売り飛ばした男がいるんです」
チャンソン「!」
姉「皮肉なことに、その男は今、映像関連の会社を立ち上げて、一番成功しています」

+-+-+-+

マンウォルとチャンソンはさっそくその男の会社に乗り込んだ。

+-+-+-+

ここで区切ります。

 - ホテルデルーナ 〜月明かりの恋人〜

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