ホテル・デルーナ10話あらすじ&日本語訳~前編
IU(イ・ジウン)、ヨ・ジング主演のtvNドラマ『ホテル・デルーナ(호텔 델루나 )』10話のあらすじを、セリフの日本語訳もまじえて紹介していきます。
美味しい店で一緒に食事を
「僕はこれからも足手まといで危険な目に遭い続けます!だから、あなたがこれからも守ってください!」
決め台詞をはなったチャンソンの前に、突然あらわれたのは大洞井神だ。
「これはそなたの薬か?」
手のひらに乗っているのは、いま池に投げ捨てたばかりの薬だ。
チャンソン「!!!」
マンウォルの口角がピクリと上がった。
「そなたの薬であろう」驚くチャンソンを見て、大洞井神は満足げだ。
チャンソン「神様、この状況で拾ってくださらなくても…」
大洞井神「落としたようだから、拾ったのだ」
「ありがとうございます」絶句するチャンソンの代わりに、マンウォルが薬を受け取った。「貴重なものを拾ってくださいまして」
大洞井神「(チャンソンに)この薬がそなたの“恐れ”を治癒してくれるのであろう?」
チャンソン「(憮然)はい、それはそうですけど」
「では、飲んで楽になりなさい」大洞井神は消えた。
マンウォル「ほらね。神も“飲んで楽になれ”って」
チャンソン「あの神様、ちっとも気が利きませんね」
マンウォル「逃げて楽になろうとした神からの忠告よ」
「飲みなさい」薬を差し出すマンウォルを、チャンソンは恨めしそうに睨んだ。
マンウォル「忘れてるようだけど、怨恨の強い霊に殺されることだってあるの。この前だって死にかけたでしょ」
「私のせいで」マンウォルは付け加える。
マンウォル「あれこれ余計なもの見ないで、平和に生きなさい」
チャンソン「薬を飲んだら、あなたのことも見えなくなるじゃないですか」
マンウォル「…?」
チャンソン「忘れてるようだけど、僕にはあなたの過去が見えるんです」
マンウォル「…。」
チャンソン「僕が支えてあげなきゃ、あなたは性根が曲がる一方だ。余計なもの全部見えたって、最悪の事態は阻止します」
マンウォル「!」
チャンソン「あなたは… あんな姿になっちゃいけない」
真っ赤な灰になっていくマンウォルの悲しい目が、チャンソンの脳裏に焼き付いたまま、消えることはなかった。
チャンソン「だから、僕はこれからもあなたをそばで守ります」
マンウォル「…。」
「ク・チャンソンさん?」背後で誰かの声がする。
またお邪魔虫が?!
そこに立っていたのは、チャンソンの前勤務先ホテルの会長の遺族だった。
+-+-+-+
「とても世話になったそうで」亡き会長の娘(社長)と孫娘は、生前会長からチャンソンの話を聞かされていたという。
亡き会長を懐かしむ2人に、チャンソンは良いサービスを思いついた。
チャンソン「もし会長に伝えたいことがおありでしたら、手紙をお書きください。今勤務しているホテルには、恋しい方に手紙をお届けするサービスがあるんです」
+-+-+-+
会長遺族と話し終えてチャンソンが出てくるのを、マンウォルは帰らずに待っていた。
「運転するの嫌いだから」そう言って、マンウォルは車のキーを投げ渡す。
チャンソン「運転が嫌いなのに、どうしてあんなに車を買うんですか?」
マンウォル「キレイだから」
「…。」彼女の答えがあんまり素直で、チャンソンは思わず言葉を失う。
マンウォル「あんたが売っぱらった車、全部買い戻すわよ」
チャンソン「お金はどうするんです?」
マンウォル「あれこれ余計なものも全部見るっていうから、汚いやり口も見せるわ」
「白頭山の絵、渡しなさい」マンウォルの要求はいつもわかりやすい。
チャンソン「渡すわけないでしょう。退職金代わりに受け取ったのに」
マンウォル「あんたの家に落としただけ!私のものよ。渡しなさい!」
チャンソン「近くにテレビに出てた食堂があるんです。行きましょう」
マンウォル「食堂?!」
チャンソン「この状況で食事に行こうなんて、呆れるでしょ」
「腹わたが煮えくり返るほどにね」そう言ってチャンソンは彼女を睨む。
マンウォル「!」
チャンソン「まさに僕がそうでしたから」
マンウォル「…。」
「行きましょう」チャンソンは少し歩いたところで振り返る。「あなたのせいで閉店時間に間に合わなかったら…」
チャンソン「あなたの白頭山は戻ってきませんよ。永遠にね」
※これ、1話の仕返しですね。あのときは目のない霊に遭遇してチャンソンがパニックになっていたところを、マンウォルがいきなり食事に連れて行ったのでした。かなり根に持ってる(笑)
+-+-+-+-+
テーブルいっぱいに並んだご馳走を前に、マンウォルはまだぶんむくれていた。
お気に入りの大食いタレント、キム・ジュニョンが来た店だと聞き、ぶんむくれたまま一応写真は撮る。
それが可愛らしくて、チャンソンは思わず笑った。
#可愛すぎて先に進めない♥
チャンソン「この辺りにはあなたの好きな冷麺屋もないし、買い物する店もない。明洞に戻ってきてください。僕だって通うのに遠すぎるし」
マンウォル「通うなら前に勤めてたホテルにしなさい。社長に気に入られてるようだし」
チャンソン「僕は目の前にいる社長に気に入られたいんです」
マンウォル「…。」
「そのためには…」チャンソンは話しながら大量の肉をサンチュに乗せた。「挑戦です」
チャンソン「これを一口で平らげたら、仕事に復帰させてください」
マンウォル「(嘲笑)一口で?キム・ジュニョンならここにあるの全部乗せて食べるわよ。誰に対抗してんだか。あんたがやったら口が裂けるわ」
チャンソンはムキになり、肉をくるりとサンチュで巻いた。「成功したら復帰ですからね」
思い切りかじりついたその瞬間…
マンウォル「無駄よ。私、もうキム・ジュニョンはやめたの」
チャンソン「わぁ、あんなに気に入ってたのに、キム・ジュニョンのことも捨てたんですか」
マンウォル「えぇ。だから、成功したらうちのホテルよりお笑いコンテストにでも出れば?」
チャンソン「簡単にやめられるものですか?」
「簡単ではないわね」マンウォルはサンチュに具を乗せながら淡々と言う。「どこへ行っても見かけるし」
チャンソン「…。」
マンウォル「(料理を見つめ)ここの店、不味いといいけど。思い出さなくて済むわ」
マンウォルは無表情で料理を口に押し込んだ。
団体客の指し示すもの
デルーナに戻ったマンウォルは、ヒョンジュンたちが連れてきた“団体客”について報告を受けた。
彼らの体は皆、殺されて山中に埋められていたのだという。
ヒョンジュン「公衆電話から僕が通報しました」
ソヒ「ニュースでも報じられています。遺体がいくつも見つかり、連続殺人だと大騒ぎに」
ソンビ「お客様の話を総合してみると、同じ人物に殺されたようです。みな面識がないものの、若い男だという点が共通しています」
「あの人です!」ユナが言う。
ユナ「あの車の持ち主が犯人に違いないわ」
ここへ引っ越す道中、前を走っていたグレーの車だ。
「ナンバーを控えておきました。私たちで探し出して…」ユナがポケットから出した紙切れを、マンウォルは即座に散り散りに消した。
マンウォル「やめなさい」
ユナ「!」
マンウォル「ヒョンジュンが通報して、遺体も見つかってる。生きてる犯人は警察が捕まえればいい。私たちは死んだお客様がそれを見届けて旅立つまで、しっかりおもてなしするだけよ」
ソヒが静かにうなずく。
マンウォル「お客様がお望みならニュースが観られるようTVを用意して。リアルタイム検索が出来るようWiFiも開放するのよ」
#WiFi常時開放してくれるなら死後も一生暮らすわ
+-+-+-+
パク警部は不思議そうに公衆電話を見つめていた。
通報は間違いなくこの公衆電話から発信されたのに、防犯カメラに誰も写っていないというのだ。
そこへイソイソとやってきたのは、全身ピンクのファッションに身を包んだ女性… 麻姑神3号だ。
「小銭をお持ち?」麻姑神3号が公衆電話を指差すと、パク警部はポケットから小銭を出し、差し出した。
彼女が「お礼に」と取り出したのは、手編みの大きなハートがついたボールペンだ。
パク警部「… 結構です」
麻姑3号「これを失くしたら結婚できませんよ~。一生!永遠に!恋愛だって出来ませんわ」
パク警部「!」
麻姑3号「絶対に失くさないで」
そう伝えると、麻姑3号は公衆電話のことなど忘れたようにクルリと背を向けた。
パク警部「……。」
婿候補ナンバーワン
チャンソンはさっそく前ホテル会長に孫娘からの手紙を届けた。
会長はデルーナのバーでのんびり酒を楽しんでいたところだ。
『会いたいお祖父さんへ
最後のご挨拶はしたけれど、この機会に手紙を書くことが出来てよかったわ^^
そちらでは苦しむことなく、幸せでいられますように(後略)』
チャンソン「ご臨終に間に合わなかったと、お孫さんはとても悲しんでおられました」
前ホテル会長「遠くに留学していたからね。(孫の写真を眺め)こうやって会えるとは。君のおかげだ」
「うちの孫娘、可愛いだろう?」会長が孫の写真を差し出す。
チャンソンも写真をまっすぐ覗き、「えぇ」と微笑んだ。
前ホテル会長「君、恋人はいるのかね?」
チャンソン「え?」
前ホテル会長「いや、うちの孫も恋人がいなくてね」
チャンソン「…。」
前ホテル会長「名前はチョン・ジウン。25歳。勉強ばかりして男を見る目がないんだ。私が堅実でまっすぐな男を選んでやりたかったんだが…」
「…。」そう言って会長はチャンソンを見つめ、首をかしげる。
チャンソン「あ… えぇ。きっと良い人に出会えると思います。ご心配なく」
「それでは僕はこれで」チャンソンは逃げるようにバーを後にした。
一人になった会長の前に、そっとグラスが差し出される。
ソンビ「ク・チャンソンに恋人はいません」
会長「?」
ソンビ「あの“堅実でまっすぐな青年”が気になっておられるようでしたので」
会長「そうかね?」
ソンビ「ク・チャンソンについてお聞きになりたいですか?」
会長は興味津々な様子で頷いた。
+-+-+-+
チャンソンがやってきたのは社長室だ。
そこには以前彼が貰ってきた大食い芸人キム・ジュニョンのサインが変わらず飾ってあり、チャンソンはホッとして顔をほころばせた。「捨てられてなかったんだな」
そこへマンウォルが入ってくる。「まだいたのね」
と、ソンビがチャンソンを探している声がして、マンウォルは急いで物陰に彼を引っ張り込んだ。
会長の遺産目当てに、ソンビが会長の孫娘とチャンソンを縁組しようとしているからだ。
ホテル経営が窮地だとはいえ、チャンソンを孫娘に差し出すわけにはいかない。
チャンソン「どうして隠れなきゃいけないんです?」
マンウォル「あんた、お金嫌いよね。素朴が好きで、派手なのは嫌い。色だってウンコ…」
チャンソン「!」
マンウォル「…茶色みたいな地味なのが好きだし」
マンウォルは探るようにチャンソンの目を覗く。「そうよね?」
チャンソン「白頭山を渡さないからってプレッシャーかけてるんですか?」
マンウォルは呆れたように息をついた。「あるのね。金銭欲」
チャンソン「えぇ、ありますよ。お金たくさん稼ぎたいです」
マンウォル「それって自慢?ハーバードでそう習ったわけ?」
チャンソン「MBAというのはお金の稼ぎ方を学ぶんですから」
マンウォル「ご立派ね。このハーバードの強欲詐欺師!」
チャンソン「?!」
マンウォル「財閥になんなさいよ!ホテルの社長になればいいわ!」
「帰って!」そう言い捨てマンウォルはくるりと背を向ける。
どうしてそんなに苛立っているのか、チャンソンはさっぱりわからない。
チャンソン「白頭山を渡さないからって、カンカンだな」
+-+-+-+
私室にひっこんだマンウォルに、扉の外から静かなチャンソンの声が聞こえてきた。「白頭山の絵…」
チャンソン(声)「返します。それにあの薬はあなたが持っていてください」
マンウォル「…。」
チャンソン(声)「僕が逃げ出せる方法、あなたが捨てられる手段、ひとつくらいは残しておくことにしましょう」
マンウォル「…。」
チャンソン(声)「職場復帰の連絡、待ってます」
マンウォル「…。」
チャンソン(声)「それと、今日一緒に食べたご飯… 僕は美味しかった。また… 一緒に行きましょう」
マンウォル「!」
チャンソンの足音が遠ざかる。
マンウォルは手に握りしめた薬の容器をじっと見つめた。「…。」
#一緒に食べたご飯が美味しかった、また一緒に行こう、そんなセリフを下心なくまっすぐに言えるところ。「僕は美味しかったから一緒に行きたい」と自分の希望のように言いながら、それが心を閉ざしているマンウォルのためであるところ。そういうのがチャンソンの底知れない魅力。
連続殺人犯あらわる?
夜の駐車場。
「何日も家に帰っていないんです」ある男性が震える声で電話をかけていた。
男性(電話)「もし連絡があったら、僕が謝っていたと… 連絡するように伝えてください」
電話を切り、停めていた自分の車にたどり着くと、彼はふと車の後部に目を留めた。
トランクが開いている?
不審に思い、トランクの蓋を開いてみると…
「!!!!」そこには変わり果てた妻の体が詰め込まれていた。
次の瞬間、警察の車が滑り込んできて、あっという間に彼を取り押さえた。
パク警部「(上司に)通報どおりです。遺体がありました」
男性は現行犯逮捕された。
男性「僕じゃありません!」
+-+-+-+
男性が取り押さえられるのを、静かに見守っている車が一台。
運転席にいるのは… ジウォンだ。
ジウォン「連続殺人犯は捕まえないとな」
「バイバ~イ」彼は男性が連行されるを見送り、手に持っていたキーホルダーをぽいと放り投げる。
そこには今逮捕された男と妻の仲睦まじい写真が収められていた。
+-+-+-+
「ジウォンさんのこと、どうしてそんなに嫌いなんです?」ミラがサンチェスに尋ねた。
2人はいつものようにサンチェス邸の庭のテーブル席だ。
ミラ「アメリカにいたとき、なにかあったんですか?」
サンチェス「2人じゃなくて、3人」
ミラ「チャンソンと?」
サンチェス「ミラさんが韓国に帰った後、韓国人留学生の女の子が一人、自殺したんだ」
ミラ「!」
サンチェス「呆れたことにそれが僕のせいだと噂になって」
ミラ「えぇ?!サンチェスのせい?そんなバカげた話、誰も信じないわ」
サンチェス「信じたんだ。バカげた噂に尾ひれがついて、そのうち俺が貧しい留学生を弄んで、友人にまで悪事をけしかけるクズにされてた」
ミラは呆れて持っていた箸を皿の上に放り出した。
カシャンと鋭い音が響く。
サンチェス「ネット上のコミュニティでは僕をネタに賭けが始まった。僕が自殺するかどうか…」
ミラ「…。」
サンチェス「それを仕掛けたのが…」
ミラ「ソル・ジウォン?」
サンチェス「…。」
~~~~留学当時のこと~~~~
「全部お前だろ」サンチェスはパブでジウォンを問いただした。
サンチェス「死んだジェインの噂を流したのもお前じゃないか」
ジウォン「俺はただお前がジェインを金持ちの集まるパーティーに呼ぶのを見たって、そう言っただけだけど」
サンチェス「給仕の仕事をしに来ただけだ!学費が足りないって言って…」
「給仕の仕事だけかな」ジウォンはニヤリと笑った。
サンチェス「!」
ジウォン「興奮すんなよ。どうせお前の言うことなんか誰も信じない。実際、金持ちでいいヤツぶってるって、みな嫌ってたからな」
サンチェス「…。」
向こうで留学仲間たちがヒソヒソと噂するのが見えた。
ジウォン「気を落とすなよ。これでも俺、お前が自殺しない方に賭けたんだから」
+-+-+-+
程なくしてチャンソンは小さな荷物を受け取った。
大学構内のベンチに腰掛け、彼は箱をあけてみる。
添えられたカードには…
死ぬ:121票
死なない:98票
箱の中に入っていた拳銃を、そっと握ってみる。
裁きは下った…
そういうことか。
サンチェス「…。」
と、いきなり手が伸びてきて、誰かが拳銃を箱に押し戻した。
サンチェス「?」
「何してるんですか?」隣に腰を下ろしたのはチャンソンだった。「探したんですよ」
サンチェス「ご飯食べに行きましょう、先輩」
「…。」サンチェスは拳銃から手をはなした。
~~~~~~
「ホントに死にたくなるほど辛かったとき、チャンソンが会いに来たんだ」サンチェスがポツリポツリと続けた。
サンチェス「チャンソンが拳銃の入った包みを持ってソル・ジウォンに会いに行ったんだけど、その後、ソル・ジウォンは急に韓国へ帰った」
ミラ「チャンソンはどうやって解決したの?」
サンチェス「それは僕もわからない。それからはチャンソンが毎日食事に誘ってくれたんだ。噂がすっかり消えるまで」
ミラ「それでこんなに仲良くなったのね」
そこへ両手にゴミ袋をぶら下げて、チャンソンが門を入ってきた。「誰が出したんだ?」
ミラが恐る恐る手を挙げる。
チャンソン「今日じゃない、明日だ!」
ミラ「ごめん」
サンチェス「チャンソン、お前の分もピザを持って帰ってきた。手を洗って来いよ」
「あぁ、ありがとう」サンチェスに礼をいい、もう一度キッ!とミラに向き直る。「リサイクルゴミは土曜日だからな!」
チャンソンはツカツカと家の中へ入っていった。
サンチェス「今日ソル・ジウォンに会ったこと、絶対チャンソンに言っちゃダメだよ。あいつと関わらせたくないんだ」
ミラ「えぇ、わかった。言いませんよ」
ミラはチャンソンの後ろ姿を振り返り、ため息をついた。「惜しいわ。チャンソンほどの男はいないのに」
#こうやって見てると、ミラはサバサバしてて性格いいよね。ちょっとだらしないだけで。
祖父、夢枕に立つ
「ク・チャンソン君ほどの婿候補はいない」ソンビにほだされ、チャンソンが前に勤めていたホテルの会長(←いい加減書きづらい)が、直接マンウォルを訪ねてきた。
マンウォル「…。」
会長の隣で、ソンビは得意げだ。
マンウォル「会長の好みはよくわかりました。でも、生きておられるお孫さんにそのお考えを伝えようがありませんわ」
会長「そこでなんだが、このホテルのスペシャルサービスを申請しようと思いましてな」
マンウォル「?」
会長「バーテンダーさんに聞いたんですよ。子孫たちの夢にあらわれる“夢想通話サービス”があるとか」
マンウォル「…。」
会長「現世のお金で支払えばいいと聞きました。処分していない財産があるのを思い出しましてね」
「あぁ」愛想笑いを浮かべ、マンウォルはじろりとソンビを睨んだ。
~~~~~~~~
孫娘ジウンが不思議な森の中を歩いていると、向こうに大好きな祖父があらわれた。
「お祖父様!」駆け寄ってみると、祖父はその手に自分の送った手紙を持っているではないか。
ジウン「私の手紙、受け取ったの?!」
会長「(うなずく)これを届けてくれた青年、私は実に気に入ったよ」
ジウン「ク・チャンソンさん?」
会長「あぁ。あの青年がお前の生涯の伴侶になってくれると嬉しいんだが。あの青年は…」
~~~~~~~~
会長が実際にいる場所は、デルーナの会議室だ。
そこから電話をかけると、望んだ人の夢に入れるという。
「…。」隣で聞いていたマンウォルは、辛抱たまらずガシャンと電話を切ってしまった。
会長「?」
ソンビ「?」
マンウォル「お時間です」
会長「高いのに短すぎるよ」
ソンビ「ではもう一度お掛けください」
マンウォルは会長から受話器を取り上げる。「1日1回が原則ですので」
マンウォル「他の利用者様のことも考えていただきませんと」
電話機を抱えて出ていくマンウォルを唖然と見送ると、ソンビは会長に微笑みかけた。「言うべきことはもうおっしゃいましたから」
+-+-+-+
ジウンはさっそくチャンソンをお茶に誘った。
ジウン「昨夜、夢にお祖父様が出ていらしたんです。私の手紙を受け取ったと喜んでいらして」
チャンソン「そうですか!よかったですね」
ジウンはうんうんと頷いた。「それから…」
ジウン「もう一つ頼みごとを」
ニコニコして話の続きを待っているチャンソンを見ていると、ジウンの頭に祖父の言葉が蘇る。
お前の生涯の伴侶に…。
彼女は緊張して水をゴクリと飲み、グラスをテーブルに戻そうとして倒してしまった。「!」
「あっ」小さく声を上げ、チャンソンはさっとポケットのハンカチを彼女に差し出す。「どうぞ」
そして、「ここを片付けていただけますか?」さりげなく店員を呼ぶと、何事もなかったように彼女に向き直った。
ジウン「… ク・チャンソンさん、食事はお済みですか?」
チャンソン「?」
「お祖父様の話もしたくて…」ジウンはそう誤魔化して笑う。
チャンソン「いいですよ。食事をしましょう。何がお好きですか?」
#絵に書いたようにわかりやすい好青年のチャンソン、というよりそれを軽く演じてみせるジングくん憎し。
+-+-+-+
殺人犯として逮捕された男性のことが大きく報じられていた。
妻を殺害し、トランクに死体を遺棄した容疑だ。
「違うんだけどなぁ」ピザショップのテーブルでスマートフォンのニュースを見ながら、ユナが呟いた。
ユナ「こんなに体の大きい人じゃなかったんだよね」
ヒョンジュン「何が?」
ユナは引っ越しのときに隣を追い越したグレーの車を思い浮かべた。
追い越されるときに運転手を見たのだ。
「この人」ユナがニュースの写真を見せた。「犯人じゃないと思うの」
ユナ「あの0963番の車を見つけられればいいんだけど」
ヒョンジュン「0963?車のナンバー覚えてたのか?」
ユナ「うん」
ヒョンジュン「英単語みたいに忘れちゃえよ、さっさと」
ユナ「もう!」
#でもね、今回の殺人が、これまでの連続殺人と同一犯だって決まったわけじゃないよね?泥のついたスコップが一緒に見つかったとはいえ。
そこへ店の扉が開き、チャンソンが入ってきた。
「ここ、友だちの店なんですが、すごく美味しいんですよ」連れてきたジウンにオーナーのサンチェスを引き合わせる。
「わぁ、サンチェス!」ジウンは以前からサンチェスの顔見知りだった。
3人は楽しげに談笑を始める。
ユナ「ク支配人に0963のこと話そうと思ってたのに」
ヒョンジュン「もううちのホテルの支配人じゃないよ」
ユナ「え?」
ヒョンジュン「財閥の婿になるからね」
+-+-+-+
マンウォルはじっとスマートフォンを見つめ、悩んでいた。
「職場復帰の電話を待っています」チャンソンの言葉が頭をめぐる。
このままそばに置いて彼をまた危ない目に遭わせるわけにはいかない。
でも、彼女は実際のところ、彼を必要としていたのだ。
マンウォル「…。」
そこへ、ソンビとヒョンジュンが踊りながら入ってくる。「2人が会ってましたよ~」
ソンビ「仲介成立ですよ」
「何?!」マンウォルは驚いて身を乗り出した。「2人が会った?!」
ヒョンジュン「2人で会っているのを見たんです。支配人があんなに笑ってるところ、初めて見ましたよ」
マンウォル「!」
ソンビ「ク・チャンソンにも野心があったんですな」
マンウォル「どうかしら。ク・チャンソンはもともと誰にでも笑いかけるし、親切でしょ」
ヒョンジュン「それなら社長自らご覧になっては?明日また会うみたいですよ。ク支配人の家に招待するって~」
マンウォル「!」
ソンビ「家に招くなんて、もう付き合ってるんだな」
ヒョンジュン「ク支配人はお父さんが亡くなってるでしょう?お母さんはいらっしゃるのかな?」
ソンビ「(マンウォルに)ク支配人のお母様は?」
マンウォル「さぁね。どこかにいるでしょ」
ソンビ「とにかく、孤独だったク・チャンソンに家族ができるなら実にめでたいことだ。ク支配人がお客様に親切にしてきたご利益であろう」
「…そうね」マンウォルはポツリといい、グラスに手を伸ばした。
+-+-+-+
ここで区切ります。
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