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ホテル・デルーナ8話あらすじ&日本語訳~前編

   

IU(イ・ジウン)、ヨ・ジング主演のtvNドラマ『ホテル・デル・ルナ(호텔 델루나 ホテル・デルナ/ホテル・デルーナ)』8話のあらすじを、セリフの日本語訳もまじえて紹介していきます。

血塗られた花嫁

ミラを見た瞬間、マンウォルの中に忌まわしい記憶が鮮やかに蘇った。

~~~~

チョンミョンとソンア姫の婚礼を祝う民衆で、城下町は賑わっていた。
城に忍び込んだマンウォルは、警備兵たちを殺し、姫の寝室へ忍び込む。
新郎が来るものと、寝室で楽しみに待っていたソンア姫は、現れたマンウォルを見てハッと顔色を変えた。

マンウォル「お幸せそうですね。姫君」
ソンア姫「…。」

マンウォルは鞘から刀を抜き、姫に突きつける。

ソンア姫「お前がなぜここに?」
マンウォル「なぜかしら。まさかこの結婚を祝いに来たと思う?」
ソンア姫「あのとき、お前に情けを掛けるべきじゃなかった」

マンウォル「さっき見せてくださった笑顔、実にお美しうございました」
ソンア姫「…。」
マンウォル「残念ですね。新郎に見せられなくて。代わりに私がお相手をしておきましょう。美しいかはわかりませんが」

ソンア姫が立ち上がろうとした瞬間、マンウォルは容赦なく刀を振り下ろした。

~~~~

ソンア姫に瓜二つの女が、チャンソンに笑顔で近づいてくる。

チャンソン「友人なんです。どうしてここがわかったのか…」

「ク・チャンソン…」マンウォルの声はいつになく低く、震えていた。「あんたが呼び入れたのね」

チャンソン「お詫びします。気まずい思いをさせました」
マンウォル「あんたが来たのは、このためだったんだわ…」

「素直に逝かせるつもりなんて、最初からなかったのね」マンウォルは神の意思を呪う。

チャンソン「チャン・マンウォルさん?何か問題が?」

マンウォルの視線が、ふたたび笑顔のミラへと向かう。「あの顔が笑ってるわ。また私の前で」
ミラを睨む目にグッと力を込めると、急に突風が吹き、煽られたミラが海に転落した。「きゃあ!」

チャンソン「!!!」
マンウォル「助けに行ってやりなさい。あんたのすべきことよ」

チャンソンが駆けていって、ミラにロープを投げてやる。
顔を上げてみると、もうマンウォルの姿は消えていた。

#発声でもわかりますが、マンウォルの話し方が過去に戻っていましたね。

+-+-+-+

近くのサービスエリアまで車を走らせ、チャンソンはそこでタオルを借りた。

ミラ「邪魔しに来たのは確かだけど、こんな形で邪魔することになるとは思わなかったわ」

海水を飲んでしまったミラに、チャンソンは水を差し出す。

ミラ「チャン・マンウォルさんって言ったっけ。あんたのところの社長さん、私のせいで帰ったの?」
チャンソン「(首を傾げ)ひょっとしてあの人のこと知ってるのか?」
ミラ「ううん、初対面だけど。どうして?私のこと知ってるって?病院で会ったのかな」

ミラを見たときのマンウォルは明らかに様子がおかしかった。
何かあるのは間違いない。

ミラ「とにかく私、とんでもない迷惑よね。だけど、本当にわざと落ちたわけじゃないの。突然風がぶわっと吹いて、誰かに押されたみたいな感じだったんだから」

ミラが海に落ちたときのことを、チャンソンはもう一度思い浮かべる。「本当に押したのか…?」

ミラ「はぁ、最近ツイてないわ。お祓いしたほういいかな」
チャンソン「塩を振らないと」
ミラ「?」
チャンソン「霊に取り憑かれたらお清めをしなきゃいけないんだ。念のために夜は出歩かないで、なるべく一人になるなよ」

「あんた、まるでうちのおばあちゃんみたい」ミラが嬉しそうに笑った。

ミラ「おばあちゃんいつも言ってたの。お前には前世の祟りがあるから常に気をつけないとダメだって」

「これもおばあちゃんがくれたのよ」ミラが見せたのは手首につけたブレスレットだ。「守ってくれるんだって」

チャンソン「まだつけてたんだな」
ミラ「覚えてたのね!ねぇチャンソン、私、霊に取り憑かれたみたい。夜、一緒にいてよ」
チャンソン「夜は仕事だ。タクシーを呼んだから、着いたら乗って帰れよ」
ミラ「だって私、バッグも失くしちゃったんだもん」
チャンソン「先払いだ。それも借金に足しておくから、後で返せ」

「お前には霊より恐ろしい借金があることを忘れるなよ」チャンソンは厳しい口調で釘をさした。

チャンソン「…。」

チャンソンはいなくなる前のマンウォルを再び思い出す。「大丈夫かな…」

+-+-+-+

マンウォルは一人、ソウルへ戻るバスに揺られていた。

#瞬間移動も出来るのに、バスで帰るマンウォルさん。一人で考える時間が欲しかったんだろうね。

彼女は膝の上に抱えたバッグを開く。
ミラが風に煽られたとき、落としたものだ。

身分証にはイ・ミラとあった。
カード入れに、写真が入っている。
遊園地の乗り物の前で撮った家族写真だ。

スマートフォンを開くと、チャンソンと腕を組んでいる写真が出てきた。「意地悪な縁ね。大概にしてよ」
マンウォルはスマートフォンの二人の写真を削除し、バッグに戻すと、床にポイとバッグを放り出す。

マンウォル「…。」

「あんたたちいつまでやってるのよ!!!」マンウォルはバスの中で踊り狂うおじさんおばさんの霊集団をとうとう怒鳴りつけた。
霊力で運転席のカーラジオのチャンネルを変える。
音楽が止み、国内最高齢の女性が亡くなったというニュースが流れてきた。
120歳という年齢になるまでいつも笑顔を絶やさず、家族仲良く暮らしたので、現世に悔いはないだろうと、キャスターは話す。

+-+-+-+

迎えに来た死神の車に乗り込もうとした120歳のおばあさんを、引き留めたのはマンウォルだ。「このまま逝くの?」

おばあさん「?」
マンウォル「ひ孫の嫁が臨月だそうね。二ヶ月も待てば玄孫を見て逝けるのに」
死神「120年生きたのだ。8人の子を産み、24人の孫を持った。その孫の孫まで見てから逝きたいというのは、過ぎた欲望だ」
マンウォル「可愛い孫の孫なんて、どれほど可愛いかしら。会えずに逝くなんて、本当に残念ね」
死神「120年だ。お前が残念がることではない」

死神の思惑に反し、おばあさんは葬儀の行われている自宅へと引き返していった。

死神「なぜ安らかに逝こうとする死者を引き留める?」
マンウォル「私が?引き留めたのは玄孫でしょ」
死神「3世紀をまたぎ、人間としての苦楽を一つの生ですべて経験した特別な死者だ。そのような尊い魂が、お前のせいで冥界を彷徨うことになったのだ」
マンウォル「そんな尊い魂が冥界を彷徨うのを放っておくかしら」

「ほら。もうおせっかいしに来たわ」マンウォルがおばあさんの自宅を指す。
百合の花を持った麻姑神が、おばあさんを連れて出てきた。

+-+-+-+

おばあさんをあの世行きの車に乗せ、麻姑神は葬儀のご馳走に舌鼓を打った。「ここの孫たち、結構な腕前ね」

麻姑神「(マンウォルに)ほれ、あんたも味見してみなさい」
マンウォル「それ、見るからに出来合いのチヂミよ。最近は葬式で手料理を振る舞ったら、家が傾くの」
麻姑神「あぁ、ここのおばあさんの家訓、“簡便に済ませよう”だね。だから家族が仲睦まじいんだ」
マンウォル「…。」
麻姑神「あんた、私に会いたくて尊い死者の逝く道を邪魔立てしたのかい?」
マンウォル「ひそかに後悔してるところよ。回り道すぎて。直接行けばよかったわ」

「ソンアのところへ」マンウォルの声が冷たく響く。

麻姑神「…。」
マンウォル「あぁ、違ったわね。今はイ・ミラだったかしら」
麻姑神「あんたがくすぶっている間に、輪廻転生を繰り返し、人間になったのだ。あんたと再び出会ったのは前世の縁だから、そのまますれ違いなさい」

マンウォルは顔を歪める。「あの女を見過ごすなんて、出来るわけないわ」

麻姑神「あんたにとっちゃ遺恨だろうが、あの子にとっちゃ記憶にもない前世での縁だ」
マンウォル「ク・チャンソンまで使ってあの女に出会わせておいて、黙って見過ごせと?」
麻姑神「あんたは決してあの子に危害を加えることはできない」

マンウォルは絶望混じりの溜息をついた。

マンウォル「じゃないと私は無事あの世へ行けないから。優しい顔の神がお望みのようにね」

立ち上がり、マンウォルは麻姑神を振り返る。「安心できるように、素直にホテルへ戻って閉じこもってるわ」

マンウォル「(死神に)途中で降ろして。そのままあの世へ連れて行ってくれてもいいし」

麻姑神が頷くのを見て、死神は頭を下げた。

マンウォル「あの男も… 来るの?」
麻姑神「…。」

麻姑神はマンウォルを乗せた車を見送った。「花を咲かせるには、風に吹かれ、雨にも降られねば」

ホテルに繋がれたマンウォル

デル・ルナに出勤したチャンソンは、マンウォルの姿を探し、バーへ向かった。「チャン・マンウォルさん、どこにいるかご存知ですか?」
「まだお戻りではありませんが」カウンターのスツールに座っていたソヒが答える。「外で何かあったのですか?」

チャンソン「突然怒ったと思ったら、消えたんです」
ソンビ「社長が突然怒るのは、いつものことでしょう」
ソヒ「腹を立てたときは、主にショッピングをするか美味しいものを食べに行きますから、今頃デパートか有名な飲食店にいるでしょう」
チャンソン「カードの限度額を超えたままなので、それは出来ないはずです」
ソンビ「それならひどく腹を立てていることでしょうな。今日は出くわさないほうがいい」
チャンソン「ひどく腹を立てたら、どこかへ消えて、ホテルに帰ってこないこともあるんですか?」
ソヒ「そんなことはありません」
ソンビ「チャン社長はホテルに帰ってくるしかないのだ。逃げたところで、ホテルが後を追うのだから」
チャンソン「ホテルが後を追う?」

ソンビはハッとしてソヒの顔を見る。
ソヒがかすかに顔をしかめた。

ソンビ「…。」
チャンソン「まだ僕の知らない秘密があるんですか?」
ソヒ「社長がお話ししていないのなら…」

「知らなくてもいいこと?」チャンソンがソヒに向き直る。「僕はもう、ここをなるべく早く去ろうなんて考えてはいません」

チャンソン「ホテルの職員が皆知っているのなら、僕も知るべきだと思います」

#このチャンソンがすごく大人で頼もしかったのでパシャリ♪

二人「…。」
チャンソン「チャン・マンウォルさんがホテルに留まっているのは罰だと聞いたんですが、罰から逃げれば追われるんですか?」
ソヒ「そのとおりです。チャン・マンウォル社長はこのホテルから決して逃れられません」
チャンソン「!」
ソヒ「あの世に行くことも出来ず、この世で生きることも出来ないのです。最初は何度か逃げだしたようですが、無駄だったようですね」

ソヒ「チャン・マンウォル社長は月齢樹そのものであり、月齢樹の力がこの場所を作り出しているのですから。どこへ行こうと、そこに月齢樹が生え、そこが“月の宿屋”となるのです。月が一巡りするごとに月齢樹が彼女のいる場所に移動するため、帰ってくるしかありません」
チャンソン「ここにチャン・マンウォルを閉じ込めたということですね。なぜそんなことを?」
ソンビ「悪霊になるところだったのを、麻姑神が連れて来たそうだ」
ソヒ「怨恨に満ちた霊がこの世で人に危害を加えればどうなるか、支配人も見たでしょう」
チャンソン「…。」
ソヒ「チャン・マンウォルにとってここは監獄でもあり、囲いでもあります。抜け出さないほうが安全なのです」

その夜、マンウォルが一人沈んだ様子でホテルに戻り、自室へ上がっていくのを、チャンソンはそっと見送った。

+-+-+-+

ミラのバッグの中から持ち帰った物が一つだけある。
遊園地で撮った家族写真だ。

マンウォル「遊園地… イ・ミラは幸せに育ったようね」

「…。」写真を持つ手に、ひとりでに力がこもる。
そのとき、ドアの向こうに人の気配がして、マンウォルはパッと顔を上げた。「ク・チャンソン?」

扉を開けてみると、そこにいたのは客室長のソヒだ。
冷えたシャンペンを運んできたんだった。

ソヒの顔を見て、マンウォルはガッカリしたように溜息をつく。

ソヒ「シャンペンを用意して差し上げるようにと、支配人がおっしゃいましたので」

マンウォルはシャンペンのボトルを手に取り、黙って見つめた。

ソヒ「社長が突然消えてお戻りにならないので、戸惑っておられました」
マンウォル「ある人にあってね。考え事がしたくて」
ソヒ「心配なさるので、社長がホテルに戻らざるを得ない事情をお話ししました」

マンウォルは少し驚いたように目を見開き、すぐに目を伏せた。「そう」

マンウォル「ク・チャンソン、今どこにいる?」

これからは僕が一緒に

チャンソンは屋上で物思いにふけっていた。

#デル・ルナでのチャンソンの仕事=ほぼ物思い 笑

マンウォルがやって来て、声を掛ける。「大丈夫?」

チャンソン「…。」
マンウォル「あんたの友だち、私が海に落としたんだけど… ひょっとして死んだ?」
チャンソン「無傷です」
マンウォル「残念だわ」
チャンソン「…。」

「なんで訊かないのよ?」マンウォルが苛立って尋ねる。

マンウォル「どうして海に落としたのか、どうしてあの子を見て驚いたのか。根掘り葉掘り問いただして、やめさせるべきでしょ」
チャンソン「僕が止めれば、やめるんですか?」
マンウォル「…。」

「僕にはよくわかりません」チャンソンは溜息まじりに言う。

チャンソン「あなたは自分を悪い人間だと言うし、1000年以上ここに閉じ込められているということは、並大抵のことじゃなさそうで」

チャンソンはまっすぐに彼女を見た。「夢の中で見たあなたは、ただただ人を愛していましたから」
「…。」マンウォルが戸惑ったように目を逸らす。

チャンソン「今日、何をしていたんです?」
マンウォル「え?」
チャンソン「僕を放っていなくなって、一人で何をしていたんですか。限度額を超えたカードじゃ、何も出来なかったでしょうに」

「私が何っ?!」マンウォルは強がって大きな声をあげる。「あんたとカードなしじゃ何も出来ないとでも?」

マンウォル「今日はダンスパーティーにも行ったし、民家の宴でご馳走だって食べたわ」
チャンソン「ダンスパーティ?」
マンウォル「えぇ。めちゃくちゃシュールなダンサーたちのパーティだったわ」
チャンソン「そんないいところに一人で行くなんて。僕も連れていけばよかったのに、寂しいな」

マンウォルはかすかに笑みを浮かべた。「あんたにも見せてあげたかったわ」

チャンソン「今後、良いことは一緒にやりましょう。誰かと一緒に見て、一緒に食べたほうがいいものです」
マンウォル「…。」

「さっき一人で見ていたときより、一緒にみたほうが綺麗だな」チャンソンの言葉に、マンウォルもまた、目の前に広がる美しい夜景に目を向ける。

心がふわりと軽くなったようで、マンウォルは彼の横顔を見つめた。「…。」

チャンソン「何をするときも、これだけは忘れないでください。あなたにとって監獄や囲いだったとしても、僕がここに一緒にいますから

#普通なら紛れもなく愛の告白なんだけど、チャンソンが言うともっと崇高なものに聞こえる。

+-+-+-+

マンウォルはホテルにもともとあった遊園地をふたたびオープンするよう指示をした。

ヒョンジュン「どなたかわかりませんが、いらっしゃるお客様は喜ばれるでしょうね。いついらっしゃるんです?」
マンウォル「じき呼ぶわ。慎重にお招きしなきゃいけないの」
ヒョンジュン「はい!ところで、キム・ソンビさんとチェ客室長はどちらに?」
マンウォル「土地を見に行かせたわ」

+-+-+-+

ソンビとソヒは珍しく外へ出掛け、土地を見て回っていた。
突然マンウォルが土地を買うと言い出したのだ。

その目的は二人には知らされていない。
もしや今の場所を引き払うのでは?
二人は一抹の不安に駆られた。

+-+-+-+

ユナとヒョンジュンは、マンウォルの指示で、“チャンソンのガールフレンド”を調べていた。
ミラをよく観察し、周りの評価も調べるよう言われたのだ。

ファストフードショップでハンバーガーを買ったミラは、同僚夫婦の家に立ち寄る。
いや、正確に言えば、ハンバーガーを買ったのは同僚の女性だが。
ユナとヒョンジュンが家の写真を撮ろうとすると、2階の窓から妙な霊魂が覗いているのが見えた。「あれ、人間じゃないよね?」

世界で一つの特別なホテル

チャンソンはサンチェスのピザショップで昼食をとっていた。

サンチェス「うちにあった清国の陶磁器、ミラさんに貸してやったよ。事後報告だったけど、とりあえずな」
チャンソン「売って使い果たしたら、いつ返ってくるかわからない。取り返してくるよ」
サンチェス「大丈夫。返さなけりゃ給料を差し押さえるさ、お前は出来なくても、俺はやるから」
チャンソン「俺も心を鬼にして差し押さえるべきだったな」
サンチェス「チャンソン、今のホテル、しばらくいるだけだって言ってたよな」
チャンソン「?」
サンチェス「ヴェロニカのお父さんがシドニーのホテルを引き取ったらしい。うちの父さんのレストランも2軒出店する最上級のホテルなんだが、そこに行く気はあるか?」
チャンソン「俺は今のホテルから移る気はないよ」
サンチェス「お前さ、何か事情があってマンウォルのホテルに留まってるのか?」
チャンソン「?」
サンチェス「だってさ、高スペックに大の自慢好きのお前が、名刺の1枚もくれない無名のホテルで夜勤ばかりしてるのは、本当に変だぞ」

「サンチェス」チャンソンは少々おおげさに身を乗り出してみせる。「俺が平凡なホテルに勤める人間だと思うか?」
そう尋ねておいて、自分で首を横に振る。「うちのホテルは世界のどこに出しても見劣りしない施設を備えてる。いらっしゃるお客様は想像できないほど特別な方々なんだ」

「たった一つ欠点があるとすれば」チャンソンは指を1本立ててみせる。「おおっぴらに自慢できないところだな」

サンチェス「そうなのか。俺はさ、お前がマンウォルのことが好きで、パッとしないホテルでも我慢してるのかと思った」

「何を!」チャンソンは思わずむせた。

サンチェス「図星だな」
チャンソン「兄貴ってさ、一見カモみたいなのに冷静だし、鈍感そうなのに鋭いな」
サンチェス「おぉ~そのとおり。ピザ屋の店主に見えるが、実は財閥って感じだな。だろ?」
チャンソン「…。」

気を良くしてサンチェスは追加の飲み物を取りに席を立った。
そこへミラから電話が入り、チャンソンは眉をひそめた。「お前、サンチェスの陶磁器売ったのか?」

ミラ(電話)「チャンソン、あんたのホテルに今すぐチェックインできる部屋はあるかな」
チャンソン「?」

#サンチェスは育ちのいいところがすごくプラスに働いてるキャラだよね。何事もサラッと受け入れて、こだわらない。

本日の霊?:キョンアを作り出したのは…

ミラに呼ばれてチャンソンが客の自宅へ来てみると、ヒョンジュンとユナが家の写真を撮ろうとしているのに遭遇した。

チャンソン「君たち何してるんだ?」
ヒョンジュン「支配人のガールフレンドの後をつけてきたんですけど」
チャンソン「ミラ?あいつがどうかしたのか?」

「私が指示したのよ」後ろから誰かが言った。
マンウォルだ。

チャンソン「ミラに霊をつきまとわせて嫌がらせでもするつもりですか?」
マンウォル「気にしてないふりして、私が何かするんじゃないかと心配だったのね。ガールフレンドの家の見張りでもしに来たわけ?」
チャンソン「ここはミラの家じゃありません。先輩の家です」

「ミラは今…」少し言いづらそうに、チャンソンは声を落とす。「僕と一緒にいます」

チャンソンの本意ではない。
彼が「夜は出歩かず、なるべく一人になるな」と言ったのをいいことに、ミラがサンチェスの家に無理やり転がり込んだのだ。

マンウォル「サンチェスの家に?!」
チャンソン「…。」
マンウォル「へぇ~、一緒に住んでるんだ~」

「ふん」マンウォルは呆れたように顔をそらす。

チャンソン「このまま後をつけるつもりですか?本当に見張りに立ちますよ」
マンウォル「どんな暮らしをしてるのか気になっただけよ!」

背を向けたマンウォルを、チャンソンは引き留めた。「どこへ行くんです?(ミラの先輩宅を指し)霊を連れて帰らないと」

マンウォル「私が連れてきたんじゃないわよ。私はあんたとあの女が一緒に住んでることだって知らなかったんだから。知ってたら大量の霊を放ってやったのにさ」
チャンソン「いずれにしても、この家に霊がいるそうです。放っておかずにホテルにお連れしましょう」
マンウォル「(ムスッ)」
チャンソン「社長~」
マンウォル「はぁ、頼み事のときだけ社長って」

+-+-+-+

ミラの先輩夫婦は霊のせいで眠れず、しばらくホテルに泊まりたくてチャンソンに連絡したという。
もちろん、チャンソンたちが客として迎えに来たのは、この夫婦ではなく、住みついている霊だ。

突然、2階から妙な音楽が聞こえてくる。

チャンソン「この音楽ですか?」
ミラの先輩「あなたも聞こえるんですか?私たちがおかしいわけじゃないですよね」
チャンソン「私どものホテルに特別なサービスがありますので、受けてご覧になりますか」

+-+-+-+

(この霊騒動の細かい顛末は割愛します。エピソード中の会話はとてもシャレていて楽しかったのですが^^)

調べた結果、この家の2階に住み着いているキョンアという女性は、厳密に言うと霊ではなかった。
息子夫婦に家を譲った老女が、妄想によって作り出した想念だったのだ。

恋愛を知らずに見合い結婚をした彼女は、好きだった映画の主人公のように愛らしく、情熱的な恋愛をするキョンアを妄想することで、幸せに過ごした。
その強力な想念がまだ家に残り、息子夫婦を悩ませていると聞いて、老女は潔くキョンアを葬ったのだった。

“想念を作り出して現実を変える”… この現象は、マンウォルに何らかのヒントを与えた。

+-+-+-+

ここで区切ります。

どこまで長くなるんでしょう。このドラマの1話。
この時点で48分^^;;;;

 - ホテルデルーナ 〜月明かりの恋人〜

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