テバク16話あらすじ&日本語訳vol.1
チャン・グンソク、ヨ・ジング出演SBSドラマ「テバク(대박)」16話です。
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「一体何があったのだ」賭場から出て来たタムソを呼び止め、延礽君は衝撃に震えた。
彼女は以前とはすっかり様変わりしていたのだ。
若々しい女剣士姿でも、娘の姿でもない。結い上げたその髪は既婚女性のそれだった。
延礽君「一体どうして… こうなったのだ」
タムソ「お忘れですか。延礽君様との縁、あの夜全て終わったのです」
延礽君「まだ終わってはいない!お前の勝手で始めて、お前の勝手で終わらせるのか」
タムソ「私はようやく自分の道を見つけました」
延礽君「人を殺すのがお前の道なのか?」
タムソ「これ以上無念な思いをする者がなきよう、死地に追いやられ踏みにじられる者がなきよう、この世のあらゆる悪人たちを裁くのが私の役目です」
延礽君「一体なぜこんなことになったのだ?お前をこんなふうにしたのは誰だ?」
タムソ「私をこんなふうにしたのは…延礽君様です」
延礽君「…何と?」
※「一体どうしてこうなったのか」という延礽君の言葉に、既婚女性の髪型も含まれているのか、それは全く不明です。変装だとわかっていればいいけど。
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「気でも触れたのか?」俄には信じられないインジャの言葉に、テギルは目を丸くした。「俺の父親が王だなんて!」
インジャ「本当のことだ。6ヶ月で生まれ宮廷から追い出された永寿。…お前の本当の名前だ」
テギル「それなら、俺の父ペク・マングムは何なんだ!」
テギルが思わず刀を抜く。
隣で見守っていたムミョンが抜いた向けた刀を、テギルはもう一本の刀で阻んだ。
インジャ「…。」
テギル「俺の忍耐力を試すな」
インジャは懐から一通の書を取り出した。
「?」テギルは刀を収め、それを受け取る。
インジャ「癸酉年10月6日に生まれた永寿は、病にかかり死んだ」
テギル「…。」
インジャ「承政院日記に記されていることだから、疑う余地はあるまい」
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「あの夜、延礽君様に会わなければ…」タムソは苦しみに顔を歪めた。「父を殺したのが師匠だとは知らずにいたはずです」
延礽君「?」
タムソ「あの夜、延礽君様に会わなければ、私は死んでこの世にいなかったでしょうし、揺らいでもいなかったでしょう」
#すごい言いがかり(´-`)
延礽君「そんな出鱈目な話があるか」
タムソ「そういう延礽君様は、人殺しを前になぜそんな顔をなさるのですか」
延礽君「…。」
タムソは歩き出した。
延礽君「次にまた出会ったら、お前を捕らえ罪に問おう」
タムソ「次にまた出会ったなら… ためらわずに私を捕らえてください」
延礽君「…。」
タムソ「その時は、かつて私が師匠として仕えた者… イ・インジャも死んでいるでしょうから」
言葉も出ない延礽君の前で、今度こそタムソは背を向けた。
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翌日。
ソリムはテギルの家へ戻ってきた。
「これは!」めざとく彼女を見つけたトッケビが驚きの声を上げる。
トッケビ「ソリム!ソリムじゃないか!どこにいたんだ?怪我はないか?」
ソリムは頷いた。「お祖父さん、心配したでしょう?」
トッケビ「当たり前だ。テギルがな、捕盗庁へ連れて行かれたんだ」
ソリム「お祖父さん、テギルはね、犬斫刀を捕まえて、汚名も晴らしましたよ」
トッケビ「本当か?!」
ソリム「えぇ」
トッケビ「それは良かった!本当に良かった!」
嬉しそうなトッケビを前に、ソリム黙って目を伏せる。
トッケビ「だけど… 浮かない顔だな」
ソリム「…。」
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「わしは賭博師だがな、観相じゃ右に出るもののいない人間だぞ」腰を落ち着けると、トッケビはソリムにそう主張した。
トッケビ「誰が白虎大殺だなんて言った?」
ソリムはファングに聞かされたことをトッケビに話した。
トッケビ「ファングのやつ、とんだ悪ふざけをしたもんだ。幼い胸に大釘を打ち込むとは。ひどい女だな」
ソリム「え?」
トッケビ「駅馬殺だの桃花殺だの四柱推命にそんな話があるにはあるが、観相じゃわからない話だ」
「ふふふ」トッケビはニッコリ笑った。「言われてみればソリムの相もそう悪くはないぞ」
ソリム「本当ですか?」
トッケビ「おぅ、勿論だとも。テギルほどじゃないがな、どこに出ても劣らぬ相だ」
ソリム「テギル?テギルの相はどうなんですか?」
トッケビ「王になる相だ!王様だぞ」
ソリム「えぇ?!」
トッケビは周囲を窺い、声を潜めた。「なぜかと言うとだな」
ソリム「?」
トッケビ「それにしてもあいつ、なんで帰って来ないんだ?!」
#韓国もめちゃくちゃいい天気だねぇ~♪
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ぼんやり歩いているうちに、テギル宮廷の前に辿り着いた。
テギル「…。」
門の前に同じ表情で立っていたのは… 延礽君だ。
延礽君「…。」
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「顔を上げよ」深く頭を下げる延礽君とテギルに、粛宗が言った。
顔を上げると、テギルは思わず鋭い視線を王に向ける。
あの御方が… 俺の本当の父親だって…?!
粛宗「汚名が晴れはしたが、亥の刻までに戻るという約束は守れず、生け捕りにすべき犯人も死なせた。それゆえ、お前たち二人は相応の代償を払うべきだが…どうする?罰を受けるか、それとも、余の言う通りにするか?」
「お命じくださいませ、殿下」延礽君に続き、テギルの声が重なった。
粛宗「イ・インジャが逆賊鄭氏に会ったそうだな」
二人「…。」
#え?みんな知ってるの?
粛宗「そうすればどうなる?お前たちはどうすべきだ?」
二人「…。」
粛宗「お前たち二人でイ・インジャを捕らえて来い」
テギル「!」
延礽君「父上、以前宮中に刺客が忍び込んだ時にも、明らかにイ・インジャの挑発だと知っていながら、父上は動かれませんでした」
粛宗「あのときは好機ではなかった。タムソなる素人を送り込んだ時点で、あやつが負けたのだ。だが、今は違う。犬斫刀が死に、その背後に隠れていた鄭氏の存在をイ・インジャは知っている。今、あやつは気運に満ちているということだ」
延礽君「…。」
粛宗「角の生えた獣に、おいそれと鋭い牙を与えてはならぬ。それがこの世の理知だ。だが、角がいまだ伸び続けているならどうだ?」
延礽君「…。」
粛宗「油断した虎がその角にやられ死なぬためには、どうすべきだ?噛みつき、砕き、引き裂いて、その角を抜かねば。今、まさにその時が来たのだ」
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王のいる大殿を出て、二人は並んで歩いた。
「…。」「…。」気まずい沈黙が流れる。
先に口を開いたのは、延礽君だ。「どこまで聞いた?」
テギル「全部。全て聞いた」
延礽君「全てということは…」
テギル「兄…。俺があんたの兄だって」
「!」延礽君がゆっくりとテギルを振り返る。
その横顔を見つめると、さっと前に向き直る。「それでも兄上とは呼べぬ」
「…。」今度はテギルが振り返り、延礽君を見つめた。
延礽君「ここは宮廷であり、私は王子の身分なのだ」
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延礽君と共に訪ねてきたテギルを前に、淑嬪は懸命に涙を堪えた。「大丈夫?」
淑嬪「もう汚名は晴れたの?」
「…。」テギルはじっと黙ったまま、どうしていいか分からず目をウロウロさせる。
「?」テギルの意外な反応に、延礽君へと視線を移した淑嬪は、深刻な延礽君の顔を見て全てを悟った。
「!!!」こらえていた嗚咽が漏れ、淑嬪は思わず口を押さえた。
「この御方が本当に…」目の前で涙をながす淑嬪を前に…
テギルはひとりでに口に出していた。「お、お母さん…」
淑嬪「!!!」
淑嬪は前に出てくると、両手でしっかりとテギルの手を握りしめた。
淑嬪「悪かったわ。もっと早くにあなたを探すべきだったのに…!」
テギル「…。」
淑嬪「ごめんなさい。…どうか許してちょうだい」
テギル「…。」
淑嬪「酷い母親を… この酷い母親を許してちょうだい」
じっと下を見ていたテギルがゆっくりと視線を上げ、母を見る。「…。」
「…。」彼は母が握った手をそっと引き抜いた。「まだ… 混乱するばかりなのです」
率直に話すテギルに、淑嬪は黙って頷く。
テギル「また今度会いに参ります」
テギルは立ち上がり頭を下げると、延礽君を残し、先に退室した。
自分の目もはばからずに泣く母を見て、延礽君もまた激しく動揺していた。
こんな母を見たのは…初めてのことだった。
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二人はまた並んで母の住処を出て来た。
「なぜ答えなかった?」延礽君の言葉には、どこか苛立ちが滲んでいる。
テギル「…。」
テギルは静かに足を止めた。「よくわからないことを無理強いするものじゃない」
延礽君「?」
テギル「死んだとばかり思っていたお母さんが生きていた… それを知っている弟は口を閉ざしていた…」
延礽君「それは!」
テギル「…。」
延礽君「それは… まだ受け入れる心の準備が」
#自分だって昨日知ったばかりだって言えばいいのにね
テギル「俺だってそうだ。兄が一人出来た宮様ださえそうなのに、宮様の弟に、母親まで出来た俺はどうだと思う?」
延礽君「…。」
テギル「時間が要る。たっぷりな」
テギルは歩き出した。
延礽君「どこへ行く?」
テギル「個人的なことはともかく、王命は王命だ」
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インジャは『鄭鑑録』に視線を落とした。
インジャ(心の声)「鄭氏が李氏朝鮮を滅ぼす…? そうはならぬ。このイ・インジャがいる限り」
彼は『鄭鑑録』をぱたりと閉じた。
そこへ、ムミョンが口を開く。「主君」
ムミョン「それよりも、昨日から王の身辺を世話していた二人の内官の行方がわからなくなっていたのですが、たった今、キム・チェゴンと共に宮廷に戻ってきたそうです」
インジャ「内官がキム・チェゴンを連れて帰ったと?王が隠密にキム・チェゴンを呼び戻したということか」
インジャは昨夜会った鄭氏… チョン・ヒリャンの言葉を反芻した。
我々が出会うと、王が刀を抜くことになると、彼はそう警戒したのだ。
インジャ「私が逆賊鄭氏と接触したことを知れば、王はじっとしているはずがない」
王は刀を抜いたのか?…インジャは考えを巡らせる。
インジャ「ファングは?まだ連絡はないか?」
ファングは謀反を指し示す書を持って、『師匠』なる者の元へ急いでいるところだ。
インジャ「王が刀を抜こうとしている。私は私で動くゆえ、ムミョンお前は捕盗庁の動きを確かめ、月香閣で官僚たちの動態を探れ」
「はい、主君」ムミョンは直ちに出かけていった。
ホンメもインジャの元を訪ねていた。
インジャ「ペク・テギルの家はわかるか?」
ホンメ「探すのは簡単ですよ」
インジャ「ならばペク・テギルの家を見張るのだ。怪しい動きがないかどうか」
ホンメ「えぇ」
待っていられず、ファン・ジンギが立ち上がった。「虎の兄貴が戻ってきたんですか?」
ジンギ「なら当然自分に…」
「ファン武士」インジャが静かにたしなめる。
インジャ「君には他に会ってもらう人がいる」
ジンギ「え?」
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ようやくテギルが家に帰ってきた頃には、すっかり夜になっていた。
トッケビ「うまく行ったんだって?どうなったんだ?ん?」
いつもと変わらぬ明るいトッケビ爺に、テギルもニッコリ微笑んだ。
ソリム「あんたにまた命を助けてもらったね。ありがとう」
「はぁ!」テギルは大きく息をつく。「腹減った」
トッケビ「ん?腹減ったか!今すぐ準備するぞ!」
トッケビが家の中へ戻るのを見送り、テギルとソリムは穏やかに目を合わせた。「…。」
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テギルが手料理を貪り食うのを、トッケビとソリムは嬉しそうに眺めた。
テギル「何だよ、食べないで。見てるだけか?」
ソリム「もうたくさん食べたの」
とニッコリ笑った瞬間、ゲップが出てソリムは慌てて口を押さえる「!」
テギルは思わず笑った。「どんだけ食ったんだか」
トッケビ「男と女の間じゃあな、昔から屁をこく前にゲップをしておくもんだ」
「そうだろ?」トッケビがニヤリとする。
トッケビ「そうすりゃ次は平気でぷぅぷぅ屁がこけるってもんだ。ははは!」
ソリム「もう!お祖父さんったら!」
と、そのとき…
「!」トッケビが向こうを見て急に息を呑む。
その視線の先に即座に箸を投げておき、テギルはそっと剣を掴んだ。
暗がりに立っていたのは… ?
「いくら嬉しいからと言ってもだ。席につく前に箸が飛んで来るとな」
キム・チェゴンではないか!
テギル「!!!」
チェゴン「飯は食膳でもてなすものだろ。違うか」
「師匠!」久しぶりにテギルが顔を輝かせる。
嬉しそうなテギルの顔に、チェゴンもまた満足気に微笑んだ。
+-+-+-+
ここで区切ります。
淑嬪さんはテギル絡みになるととてもいいですね。
抑えようとするほど溢れてしまう感情がとてもリアルで、手放してしまった我が子を思う気持ちがよく伝わってきます。
えらそうなこと言っちゃいけないけど、感情の演技って抑えようとしたほうが上手くいくのかも^^
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