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ネイルもカンタービレ(のだめカンタービレ韓国版)あらすじ&日本語訳 3話vol.2

   

チュウォン、シム・ウンギョン主演、「ネイルもカンタービレ/明日もカンタービレ」(韓国版のだめカンタービレ)3話後半です。
イキイキとした台詞のやりとりを混じえながら、あらすじを追っていきますね。

+-+-+-+

ネイルは学内のベンチで居眠りをしていた。
そこへそーっと近づいてくる人影が。
ネイルの顔にラクガキを始めたその瞬間、待ち構えていたイラクが飛びかかった。「捕まえたぞ!」

「キャーッ!」黒メガネに黒マスクのその男は、素っ頓狂な悲鳴を上げた。

犯人のリュックを奪い取り、中身を地面にすっかりぶちまけると、そこには写真がたくさん入っている。

036

ネイル「私の写真…」
犯人「返して!」
ネイル「ごめんなさい。私はもう結婚を約束したオラバンがいるんですぅ。私たちは別れられないの!」
犯人「チャ様はあんたみたいなのに興味ないわよ!!!」
イラク「チャ様?」

※ユジンの苗字を取って、차느님と言ってるようですね。하느님(神様)と掛けたのかなぁと。

「これは?」ネイルが拾い上げたノートには、ユジンの顔のスケッチが現れる。「オラバンだけど…」
犯人は慌ててそれを取り上げた。

ネイル「あのー、先輩は男ですヨ?」
犯人「だからなに?恋する心は同じよ!」
ネイル「そうですネ。恋する心はみんな同じ…」

「お前!マ・スミンじゃないのか?!」イラクがとうとう気付き、逃げようとする犯人を捕まえる。「サングラス取ってみろ!」
「嫌ぁーーー」犯人は一目散に逃げ出した。

ネイル「ラク君の知り合いですか?」
イラク「sオケのティンパニーだ」
ネイル「!」

+-+-+-+

泣きながらトボトボ歩くマ・スミンを、通りがかったシウォン(Aオケコンマス)が呼び止める。
大学前のカフェへ連れて来ても、スミンは泣き続けた。

シウォン「反則よ。私たちを裏切ってSオケと二股なんて」
スミン「(グスン)」
シウォン「ケーキ食べる?お腹すいたでしょ」
スミン「私、チャ・ユジンが好きなの!」

「…。」シウォンはしばらく無表情でスミンを見つめた。「何を今さら」

スミン「?」
シウォン「それだけ顔に出てりゃ誰だって分かるわよ。団員たちだって皆知ってるわ。チャ・ユジンが現れるたびに目で追っちゃって」
スミン(グスン)」
シウォン「何にする?チーズ?チョコ?」
スミン「チーズケーキ…」

シウォンが立ち上がる。

スミン「私のこと…」
シウォン「?」
スミン「変だと思わないの?」
シウォン「私はヒョナが好き。キム・ヨナのこと愛してるわ。私、変?」

スミンはぶんぶんと首を横に振った。

シウォン「人間も音楽も、好きならそれでOK。好きになっちゃったものはどうしようもないでしょ」

ケーキを取りに向かう頼もしいシウォンの背中を眺め、スミンはまだ泣き続けた。

+-+-+-+

「マ・スミンのヤツ、そんなふうには見えなかったのに、怖いよな」歩きながらイラクが呟く。

イラク「バナナの皮に弓矢、弁当を入れ替えて水まで掛けるなんてさ。一日じゅうお前をつけ回してやってたってことじゃねーか」
ネイル「…。」
イラク「はぁ、誰かを好きになったら、人間ってそこまでなるものか?よりによってお前に嫉妬するとは… 考えただけでも笑っちまうな。だからオレは恋愛しないんだ。まともな人間を一瞬で馬鹿に変えちまう」

「ソル・ネイル、オレさ」イラクが黙っているネイルに呼びかける。

イラク「そんなことに感情を無駄遣いするより、人間の純粋な魂と精神で紡がれるクラシックに身を投じるぜ!」

「ラク君」ネイルが口を開いた。

イラク「ん?どうした?」
ネイル「愛の偉大さを知らないラク君はホントに… 愚か者デス」

「じゃあ」絶句するイラクを残し、ネイルはぼんやりと立ち去った。「はぁ…愛って…」

イラク「はぁ、あいつまたどうしちまったんだ?」

+-+-+-+

「ミルヒ、待ってくだサイ!!!」オケの練習に向かおうとしたシュトレーゼマンをネイルが引き止めた。
彼女はシュトレーゼマンの足元にひざまずく。

ネイル「お願いデス。友達でしょ?ベストフレンド。先輩を転科させてあげてくださーい!」
ミルヒ「…。」
ネイル「ダメなら、一回だけでも指揮させてください。そうしたら、ミルヒもきっと気が変わりマス」
ミルヒ「ベイビちゃんにこんなことされたら、心が痛みます」
ネイル「それなら先輩にチャンスくださいヨ!」
ミルヒ「アイツは!…指揮をするには人徳が足りません」
ネイル「でも、ミルヒはしてるじゃないでスカ!」
ミルヒ「…。」
ネイル「…。」
ミルヒ「ベイビちゃんが何と言おうと、それはダメです!」

ミルヒは追いすがるネイルを残し、扉を開けた。

ネイル「聞いてください!先輩はホントに上手くやりますからー!」

彼女はハッとシュトレーゼマンのデスクを振り返った。
そこには… 彼がさっき持って出ようとしていた、総譜と指揮棒が置いたままになっているではないか。

ネイル「!」

ネイルの顔が輝いた。

037

#3番♪

+-+-+-+

「先輩!早く行きましょ、早く!!!」ネイルはいつものベンチにいたユジンの腕を掴むと、大急ぎで走りだした。

ユジン「どこ行くんだよ?!」

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Sオケのメンバーが集まっている練習室に、ネイルが入って来た。
一緒に引っ張って来たのは…ユジンだ!

ネイル「皆さん、今日は先輩が指揮します!」
メンバー「?」
ネイル「ミルヒが… えっと教授が先輩に指揮を任せたんですヨ」
ユジン「何だって?」

一番後ろで、ティンパニのスミンが飛び上がらんばかりに狂喜した。

「これが指揮棒と総譜です」ネイルは勝手に持ち出してきた必須アイテムをバッグから出す。

ユジン(心の声)「オレが… オレが指揮するって?本当にオーケストラの指揮が出来るのか?」

「お前、総譜読めんのか?」団員が声を上げた。

ユジン「あぁ。スコアリーディングは出来る」
ネイル「(イライラ)一生懸命勉強したんですから!」

「そうだぞ」イラクが立ち上がる。

イラク「教授が任せたって言うんだから、理由があるんだろ」

「コンマスとして歓迎するよ、チャ・ユジン」イラクが握手の手を差し伸べた。

ユジン「コンマス?」
イラク「うん♪」
ユジン「指揮者の代理であり、団員のリーダーである首席バイオリン奏者が…お前だって?」

彼らの間で、ネイルが二人を握手させる。

イラク「それがオレだっつーの はははっ」
ユジン「(絶句)」
ネイル「あ、先輩、ベトベン交響曲3番ですネ」

ユジンはさっそく指揮台にあがる。「みんな練習してきたのか?」

女子団員「しましたよぉ。この間の集まりで曲を決めたから」

ネイルは練習室の隅っこの椅子に腰を下ろした。

『ベートーベン交響曲3番「英雄」
壮大な気性と強大な個性を見せてくれる曲だ。
シュトレーゼマンの選んだオーケストラは、
英雄をどんな旋律に描くのだろうか』

+-+-+-+

扉の前にどっかりと置かれていたソファを、警備員が総出で退かせた。
扉の向こうから閉じ込められていたシュトレーゼマンが出てくる。

#この部屋に備わっているトイレに入っただけだったみたいですね。

彼はデスクの上の物が無くなっているのに気づいた。「ふむ」

シュトレーゼマン「アイツ、女の子を盾にワタシの指揮棒を盗んだのか。オマエはオシマイだ」

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038

「オレの初めてのオーケストラ。生まれて初めての指揮だ」ユジンは指揮棒を構えた。
ユジンの指揮棒に合わせ、メンバーたちが音を鳴らす。

ユジン(心の声)「最悪」

039

ユジン(心の声)「これがオーケストラって言えるのか?あのジジイ、学校中のヘタクソをかき集めたんじゃねーか!」

精一杯我慢したところで、ユジンは不意に指揮棒を下ろした。「…。」
イラクが慌てて団員たちに発破をかける。「ちゃんとやれよな。初めてにしてもバラバラすぎる」

イラク「英雄ってのはな、雄大で壮大なんだ。ソウルをババっと込めてだなぁ」

「おい、コンマス」ユジンが冷たく口を開く。

イラク「はい!コンマスのユ・イラクですっ!」
ユジン「一番の問題はお前だ」
イラク「!」
ユジン「間違いだらけじゃないか」
イラク「…。」
ユジン「第2バイオリン、お前ホントに音大生か?第2ホルン、長いff(フォルテッシモ)ですぐに切るな。第2クラリネット、音外してばかりだ。ビオラ、ひとりで音でかすぎ」

しょんぼりした空気が急速に広がる。

ユジン「ティンパニー」
スミン「?!」
ユジン「…少しだけ抑えて」
スミン「(ニコニコ)」

「10分休憩して、最初からもう1回」ユジンは淡々と告げた。

+-+-+-+

突然現れた意外な指揮者に、休憩中のメンバーたちは興奮を抑えられずにいた。

ビオラ奏者「怒り方も超セクシー♥」

色めく者あり、叱られて面白くない者あり。
いずれにしてもSオケはざわついていた。

+-+-+-+

練習再開だ。

途中で演奏を止めると、ユジンは顔をしかめる。

ユジン「第2クラリネット、音をぶちぶち切るなって言ってんだろ。第2ホルン、また遅れた。チェロ、音程上げろって何回言えば分かるんだ!ビオラ、ひとりだけ音がでかすぎるって言ってんだよ!」

練習室の空気が再び張り詰める。

ネイル「先輩、耳いいなぁ。だれの音だか全部わかるんだ~」

そこへ、そっと入って来たシュトレーゼマンは、何も言わず、ネイルの隣に腰を下ろした。

ネイル「ミルヒ!!!」

シュトレーゼマンは「シッ」と人差し指で合図し、練習を眺める。

ユジンは少し演奏を進めては、また首を横に振って止めた。
そこへシュトレーゼマンが立ち上がる。

シュトレーゼマン「ワタシから盗んだ総譜と指揮棒で、ずいぶん楽しんでいるようですネ」
ユジン「!」
シュトレーゼマン「こんな大胆なマネをする学生には、どんなバツをくだしましょうか。」

詰め寄るシュトレーゼマンに、慌ててネイルが駆け寄る。

ネイル「先輩、ごめんなさい。ミルヒ、私がやったんです。先輩は悪くありません」

ネイルの言葉に耳を貸さず、シュトレーゼマンは冷たい目でユジンを見据えた。

シュトレーゼマン「1週間、チャ・ユジン君を… 副指揮者に任命しましょう」
ユジン「!」
ネイル「!」
シュトレーゼマン「チャンスをあげますから、やってみなさい」

オケメンバーの中にも女子を中心に笑顔が溢れる。

040

シュトレーゼマン「1週間後にも進歩がなければ、そのときは副指揮者の地位は剥奪、転科は諦める。約束できますか?」
ユジン「…。」
シュトレーゼマン「イヤなんですか?」
ユジン「いいえ!やります!1週間、今とは違う演奏を創りだしてみせます」
シュトレーゼマン「…。」

+-+-+-+

総譜と指揮棒を手に、ユジンは外へ出て来た。
歩き出した彼の顔から、次第に笑みがこぼれる。
厳しい条件はあるにせよ、これは大きなチャンスだ。
ワクワクしてたまらず、彼の歩く足はどんどん早くなった。

「おめでとうございまーす!」後ろから両手を広げて走ってきたネイルを、ユジンは素早く避けた。

ユジン「接触禁止だって言ったろ」

おいかけっこする彼らのそばで、掲示板を数人の学生が囲んでいた。

041

『韓音音楽院
オーケストラ秋季定期公演会
プログラム
ベートーベン交響曲3番「英雄」
ドボルザーク交響曲9番「新世界」
2014.10.27(月)』

+-+-+-+

042

マンションに帰ると、ユジンはさっそくピアノの前で総譜を研究しはじめた。
ネイルが”ご飯と缶詰”の「精魂込めた手作りご飯」を持って来ても目もくれない。
あっち行けと指で合図され、ネイルはシュンとして引き下がった。「黙ってますから…」

+-+-+-+

翌日。練習室にSオケメンバーが顔を揃えた。

ユジン「教授の総譜をベースにして、パート別に曲を分析しておいた。役立つはずだ」
イラク「おぉ~。さすが天才は違うな。何でもすぐだ。コンマスの親友になる資格は十分だな」

「皆しっかりやれよ!」イラクが全員に声を掛ける。「分かったな?」

全員「お前こそちゃんとやれ!」(←多分

「始めよう」ユジンが指揮棒を構えた。

+-+-+-+

043

#可愛いねー♥

「こんにちは!」コントラバスと一緒に頭を下げたミニを、カフェの主人…ユジンの母は慌てて支えた。

ミニ「バイトの募集広告を見たんです」
ユジン母「重くないの?近頃は皆ハードケースなのに」
ミニ「それが… 壊れたまま修理できなくて。バイト募集のチラシを見て来たんですけど」
ユジン母「えぇ、やるといいわ。カウンターのバイトなの。5時から11時まで。時給は書いてあった通りよ」
ミニ「ありがとうございます!」

またコントラバスがミニと一緒に頭を下げる。

ユジン母「とりあえず楽器を置いたら?」
ミニ「このまま学校に行かなきゃいけないんです。5時までに来ますね」

ミニはコントラバスを抱き上げ、たくましく歩き出した。

+-+-+-+

夜。

ユジンは眠れずに起き上がった。
指揮のことが頭から離れない。

彼は寝室を出た書斎スペースで楽譜を開いた。

044

+-+-+-+

朝が来た。

「エスプレッソ」カフェのカウンターで注文するユジンの後ろで、誰かの声がした。「胃を痛めるわ。これからは果実茶にしなさい」

ユジン「?」

彼に微笑んだのは…母親のソニョンだった。

ユジン「!」

+-+-+-+

二人はテーブル席に並んで腰を下ろす。

母「親子なのにコーヒーを飲みに来なきゃ会えないなんて。オープンしたってメール送ったのに、どうして無視したのよ」
ユジン「もともとメール見ないから」
母「…。」
ユジン「けど、何でよりによって大学の前なんだ?」
母「息子の近くにいたくて」
ユジン「そういう関心は小さい頃に向けて欲しかったね」
母「あのときは忙しかったじゃない。今からたっぷり向けるわよ、関心」

「お断り」ユジンは手のひらで母を制した。「今はオレが忙しいんだ」

045

母「ホントに忙しいみたいね。ちゃんと食べてるの?私より料理の上手い子が、こんなにヤツレちゃって」
ユジン「別に… ちょっと…どうにかしててさ」
母「え?」
ユジン「”デリケートに、力にみなぎって、大胆に…” 総譜どおりにやろうとしてるんだけど、一週間じゃ足りないよな」
母「あんた、ご飯は食べてる?」

「また来る」ユジンは立ち上がった。
母は思わず伸ばした手をかろうじて引っ込めると、ニッコリ微笑んだ。

母「気が向いたらいらっしゃい」

+-+-+-+

学内を歩くシュトレーゼマンの前に、彼を待っていた学生が現れる。

シウォン「こんにちは!私、オーケストラのコンミス(=女性のコンマス)、チョン・シウォンです」
シュトレーゼマン「Oh!初めまして、シウォン嬢」

「では」立ち去ろうとしたシュトレーゼマンを、シウォンは慌てて引き止めた。

シウォン「練習の日程をご相談したいんです、教授」

「Oh!」シュトレーゼマンがどこかを指さす。

シュトレーゼマン「ちょうどあそこにSオケのコンマス、イラク君が来ますネ!」

イラクがやって来て頭を下げた。

シュトレーゼマン「(シウォンに)練習については、こちらと相談してくだサイ」

それだけ言うと、シュトレーゼマンはさっさと去って行った。
「教授、僕たち練習は…」まだ声をかけようとするイラクの腕を、シウォンが乱暴に掴む。

シウォン「私、チョン・シウォン」
イラク「(腕イター)」
シウォン「うちのオケのコンミスよ」
イラク「あぁ!あのチョン・シウォンか」
シウォン「教授が全部任せてるみたいだけど、練習状況を教えて。教授のスタイルとか選曲の趣味とか」
イラク「一緒に練習してないから知らねーって」
シウォン「ライバルでもないのに何で隠すのよ?」
イラク「ホントだって。初日からチャ・ユジンが副指揮者になったんだ」
シウォン「ピアノ科のチャ・ユジン?」
イラク「(笑)あいつ、オレの親友なんだけどさ、類は友を呼ぶってヤツ?何でもデキんだぞ、オレみたいに」
シウォン「ピアノ科が指揮してるって?」
イラク「うん♪」

046

「もっとマシな嘘つきなよね」笑っていたシウォンが真顔になった。

イラク「ホントだってば!何で人の言うこと信じないんだ?」

シウォンはムッとしたように背を向け、彼の前を去った。

#いい感じ♪

+-+-+-+

シュトレーゼマンは部屋のカーテンを開け、外を眺めた。

シュトレーゼマン「もう通り過ぎたのカナ?今日は一度も見かけなかった…」

「誰をお探しですか?」背後で誰かの声がして、シュトレーゼマンは驚いて振り返る。「はっ!!!」

そこには学長ミナが立っていた。
照れて俯くシュトレーゼマンに、ミナは戸惑ったように微笑む。

二人は緑豊かな学内をゆっくり歩いた。

学長「お忙しい方を無理に訪ねて来たんじゃないかしら」
シュトレーゼマン「いつも忙しいんですが、ちょうど今は退屈していたんですヨ」
学長「良かったわ。実は… フランツの本心を知りたくて…」
シュトレーゼマン「えっ♥本心?」(←可愛いすぎる

シュトレーゼマンの心は喜びに膨れ上がった。「私の本心が…どうして気になるんでスカ?」

学長「すみません。学長として… なんです」
シュトレーゼマン「…。」

047
学長「本校のオーケストラのためにフランツをお呼びしたんですが、そちらが寂しい思いをしていまして」
シュトレーゼマン「Sオケも私のオーケストラですヨ」
学長「分かっています。スペシャルなオーケストラを作ってくださってありがとうございます。でも、フランツの計画が知りたいんです」
シュトレーゼマン「ワタシがミナの期待を裏切ると思っているんデスか?」
学長「あ…」
シュトレーゼマン「もしかしてワタシがミナを困らせているのでスカ?」

「そんなはずが!」学長は慌てて否定する。

学長「老婆心で余計なことを言ってしまいましたわ」
シュトレーゼマン「…。」

「はぁ、キレイ」学長は景色に視線を移した。

学長「今の季節が一番キレイなんです」

「あぁ、キレイ!」少し高い枝に手を伸ばした拍子によろめいた学長を、シュトレーゼマンはさっと抱きとめる。「あっ」

学長「…。」
シュトレーゼマン「…。」

#あかん、この御二方、甘酸っぱすぎる(笑

シュトレーゼマン「話がないのなら…」
学長「実は!」
シュトレーゼマン「…。」
学長「個人的な…お願いがあって」
シュトレーゼマン「(嬉)」
学長「チャ・ユジンは才能ある学生です」

「よろしくお願いします!」学長ミナは深々と頭を下げた。

シュトレーゼマン「…。」

+-+-+-+

一人の婦人が勇ましく学内に現れた。
「学長、オーケストラをもう一つ作ったそうですね」教授会に参加したその女性は、この大学の経営のトップ、理事長だ。

学長「シュトレーゼマンの要請です」
ト教授「予算不足です。後援金にも限界がありますから」
理事長「ト教授はそればかりね」
ト教授「…。」
理事長「教育をお金と結びつけてはいけないわ」

理事長は学長を振り返る。「ソン学長は提案をお持ちなんでしょうね」

理事長「メディアへの露出だとか」
学長「シュトレーゼマンはメディアとの接触を避ける方です」
理事長「世界的な巨匠をなぜ隠すんです?我々の文化水準を疑われるだけだわ」
学長「もともと変わった方ですので」
理事長「確かに。スペシャルオーケストラを作るところを見ると、納得はいきます」
学長「…。」
理事長「今回の定期公演にどちらも出演させてください。そこで決定しましょう」

+-+-+-+

指揮台の上で、今日もユジンは首を横に振った。「何度言えば分かるんだ、このバカどもが!!!」
「頭おかしいんじゃない?」何度も怒られているビオラ奏者が小声でささやく。

ネイル「女の子たちが先輩を見るのはイヤだけど、悪口言われるのはもっとイヤだな…」

「コントラバス、一人だけ走ってリズムを見だしてる」ユジンの視線の先にいたのは…ミニだ。

#その前の練習から一度映ったけど、唐突な登場だねぇ
最初から「ミニいないなぁ」ってチェックしてたのに。まぁバイトだったんだろうけど。

ユジン「あと一日だ。期限は明日なのに、音はだんだん悪くなってる。分かるか?」

+-+-+-+

最初からユジンをよく思わないメンバーは、いよいよ苛立ちを募らせていた。

男子団員1「あんな癇癪持ち、なんで女子に人気があるんだ?あいつら脳ミソあんのかよ?」
男子団員2「プライドがないんだろ。怒っても素敵だって?顔さえよけりゃいいんだ」
男子団員1「おい、顔ならお前のほうがイケてるだろ。けど、身長がちょっと…な」
男子団員2「確かに、スタイルだけならお前だって負けてないな。服のセンスもいいし」

「なぁ、オレたち…」一人がふと呟く。

男子団員2「チャ・ユジンのこと引っ掛けてやるか?二度と偉そうに出来ないように」

+-+-+-+

「どんどん音が悪くなってるだろ!」練習が再開されても、状況は変わらなかった。

そこへ、さきほどトイレで悪巧みをしていた男子団員が視線を合わせた。

「オーボエとクラリネットを、ほとんどわからないところで入れ替えるんだ。チャ・ユジンのヤツ、絶対に気づくもんか。恥をかかせてやる!」

ユジン「もう一度」

ネイルの隣でシュトレーゼマンが見守る中、再び演奏が始まる。
途中でユジンとシュトレーゼマンの表情が変わった。

ユジン「!」

突然ユジンが総譜を楽譜台から放り投げる。

ユジン「…。学習能力ゼロ。指示は無視。今度はバカな嫌がらせか?」

パチパチパチ!
拍手をしながら立ち上がったのはシュトレーゼマンだ。

ユジン「?」

「そこまで」シュトレーゼマンは皆の前へ出てくる。

シュトレーゼマン「チャ・ユジン君、もうワタシが来ましたから、降りてくだサイ」
ユジン「教授、あと一日…」
シュトレーゼマン「降りてくだサイ」

「…。」仕方なくユジンが指揮台を降りると、入れ替わりにシュトレーゼマンが上がった。
彼は団員たちに向き直り、静かに口を開く。

シュトレーゼマン「気分を変えて、もう一度最初から始めてみましょう。ユ・イラクくん」
イラク「?」
シュトレーゼマン「ボーイング(=弓さばき)のことは気にしないで、もっと楽しそうな音出して。いつものソウルですヨ」
イラク「はい!」
シュトレーゼマン「第2ホルン、Oh、風邪を引いているんですね。今日はあまり無理をしないで^^」
ホルン奏者「はい^^」
シュトレーゼマン「クラリネット、そのリードは変えたほうがいいですヨ」
クラリネット奏者「はい、教授!」
シュトレーゼマン「ビオラのお嬢さん、ワタシも惚れてほしいですネ」
ビオラ奏者「教授は私のタイプじゃないんですよぉ」

シュトレーゼマンが飛ばした投げキッスに、皆から自然と笑いが漏れる。
一気に和やかになった練習室を、ユジンは無言で眺めた。

シュトレーゼマン「英雄はベートーベンがナポレオンに捧げるために作った曲デス。トコロが、革命主義だと思われていたナポレオンは皇帝に即位しました。それを聞いた途端、ベートーベンはタイトルを英雄に変えたんです。ベートーベンは剣ではなく、五線紙の上の音符で革命を起こしたのでしょう」

「ははははは」シュトレーゼマンは話しながら楽しそうに笑い声を上げる。

シュトレーゼマン「ワタシたちの”英雄”をハジメましょう」

シュトレーゼマン指揮による演奏が始まった。

ユジン(心の声)「あいかわらずヘタはヘタだ。けど、違う。別の音を出してる。ただあの人が振るだけで」

048

ユジン(心の声)「この人は… 本物の巨匠だ」

+-+-+-+

「定期公演の結果で決めるなら、公正でしょう?」教授会を終えると、理事長はまだ学長に圧力を加えた。

理事長「一つの大学に二つのオーケストラ、学生たちの不安を煽るだけです。皆のことを考えれば心が痛むけれど、一つは解散しなければ」
学長「!」

+-+-+-+

演奏を終えると、シュトレーゼマンは指揮台の上でユジンに微笑んだ。「ゲームは終わりです」

ユジン「…。」
シュトレーゼマン「チャ・ユジン君、アナタは失格デス」
ユジン「!」
シュトレーゼマン「副指揮者の地位を剥奪します。今すぐ出て行ってくだサイ」

ユジンが絶望に固く目を閉じる。

シュトレーゼマン「ワタシのオーケストラから!」

「…イヤです」ユジンが静かに言った。

ユジン「明日までは僕に任せるとおっしゃいました」
シュトレーゼマン「…。」
ユジン「明日までは僕のオーケストラです」

040

+-+-+-+

ここでエンディングです。

曲は違えど、Sオケの練習シーンはほぼ原作通り。
ポイントおさえてあって良かったデス。

ト教授のキャラがどんどん変わっていくのが心配…。
予算がないとかハリセンに言わせるなよー

 - のだめカンタービレ(韓国版) ,

Comment

  1. maachan より:

    ハリセンが すごく常識人な感じで
    ちょっと 以外でしたw
    真澄ちゃんが マ・スミンなんですねww
    のだめちゃんも ノ・ダメ←韓国ぽくないから
    ダメだったのかな?
    残念デス、、、

  2. yuchiko より:

    ユジンは遂に指揮者への道を歩み始めましたね。ユジンを友達としてラク君愛情としてネイルとマスミンが取り合うのが面白いです。

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