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韓国ドラマのあらすじや詳細日本語訳を紹介!セリフを題材にした文法解説も

空から降る一億の星(韓国版)あらすじ&日本語訳 15話後編

   

ソ・イングク、チョン・ソミン、パク・ソンウン主演、tvN韓国ドラマ【空から降る一億の星】、15話の後半、詳細なセリフの日本語訳を交えながら、あらすじを紹介していきます。

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開店準備中のANGEL’S TEARの店内に、ムヨンは1人遅くまで残っていた。
昼間の喧騒が嘘のように、ガランと広く感じられる。
考え事をしていると、ひとりでにジンガンの痛々しい姿ばかりが思い浮かんだ。

ムヨン「…。」

外へ出てみると、店の前にセランの車が待っていた。
彼女は車の窓を開けると、指先にぶら下げたキーを差し出し、後ろをヒョイと視線で指す。
高級車が一台、そこに停めてあった。

セラン「気に入ったかしら?私が選んだとっておきよ」

「イカすな」言葉にそぐわない無表情で答えると、ムヨンはキーを受け取った。

セラン「やけに熱心ね。ここで寝泊まりする勢いだわ」
ムヨン「当然じゃないかな。オープン目前なんだし」
セラン「入り用があったら言って」

ムヨンは小さく頷き、背を向けようとした。

セラン「家は?」
ムヨン「…。」
セラン「ファッションも車も素敵なのに、家は?このままあそこに住むつもり?」
ムヨン「寝るのは本物の家じゃないと」
セラン「じゃあ他は?全部偽物みたいな言い方ね」

「こんなときってありません?」ムヨンは微かに笑みを浮かべる。「偽物の方が“切実”ってとき」
「…?」セランはよくわからないといった顔で首を傾げた。

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新しい車に乗り込み、ムヨンは運転席にぐったりと身を沈めた。

ムヨン「…。」

心を殺し、“偽物”で武装する痛みが、彼をじわじわと蝕んでいた。

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朝。

ジングクは妹を助手席に乗せ、いつもの場所で車を停めた。

兄「ちゃんとマフラーしろよ」

「うん」ジンガンがマフラーを巻き直すのを、兄は見守った。

兄「風邪はじき治る。分かるよな?」
妹「…。」
兄「どんなにキツい風邪でも、峠を越えれば治っていくもんだ」
妹「…うん」

「今晩、何食べたい?」ジングクは気分を変えて明るく尋ねた。

妹「タラ鍋かな。お兄ちゃん食べたがってたでしょ」

#以前、ジングクがスーパーで美味しそうなタラを見つけて、ジンガンに「今晩タラ鍋はどうだ?」と電話したことがありましたね。でも、そのときジンガンはムヨンと一緒にいて、断ってしまったのでした。

妹「今日は早く終わるから、買い物は私がするよ」
兄「OK!今夜はタラ鍋だ!」

車を降りて歩いていく妹の後ろ姿を見送り、ジングクは重い息をついた。

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職場にジンガンが姿を見せると、イム代理が立ち上がった。「室長!」

イム代理「大丈夫ですか?もう良くなりました?」
ジンガン「ごめんね。1人で大変だったでしょ」
イム代理「いえ、それはいいんですけど…。大事件があったんですよ」
ジンガン「大事件?」
イム代理「ほら、私の言ったとおり。ANGEL’S TEAR、キム・ムヨンさんがやるんじゃないかって言ったでしょう?」
ジンガン「え?」
イム代理「決まったんですって。もうすぐオープンだから、キム・ムヨンさん、缶詰状態らしいです」
ジンガン「…。」
イム代理「代表は残念がってるけど、仕方ないですよ。もう済んだことだし」

「…。」ジンガンは放心したように椅子に腰を下ろした。
突然別れを告げられたことと、無関係だとは思えない。
不安は膨らむばかりだった。

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空いた時間になると、ムヨンの足はジンガンの職場へ向かった。
角を曲がったところで、そっと彼女の様子を窺う。
外へ出来た彼女の沈んだ表情に顔を曇らせ、同僚たちと食事に出かける彼女が見せた笑顔に、彼も顔を綻ばせる。

夜。

近所の店から出てきたところで、彼はジンガンと出くわした。

ムヨン「…。」
ジンガン「…。」

昼間、彼女を見つめたいた優しい目は、そこにはなかった。「何ボォっと見てんだよ?」

ジンガン「…。」

「乗りたいのか?」新車を指し、冷たい笑みを浮かべる。

ムヨン「乗りたいならそう言えよ」

ジンガンは何も言わず、彼とすれ違った。

ムヨン「…。」

#ジンガンが通り過ぎた後、虚しさに襲われるムヨンの表情の変化がなんとも言えません…。

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「全部終わったんだって… そう信じたいときもあるんです」ジンガンはポツリと言った。

ジンガン「彼はもともとそういう人だったのに、私一人馬鹿みたいに勘違いしたんだって。一番タチの悪い顔を思い浮かべようと頑張ってみるんです。この世で一番の悪人顔を。でも、結局出来なくって。いつの間にか目の前は違う顔で一杯になってるんです」

彼女の話に耳を傾けているのは、ヤン・ギョンモ博士だ。
そこは博士の診療所だった。

ジンガン「すみません。いきなり訪ねてきて」
ヤン博士「いいえ。連絡をもらってとても嬉しかったんですよ。ジンガンさんに会ってみたいと思っていましたから。来てくださってありがとう」

「…。」ジンガンは躊躇いがちに切り出した。「先生、キム・ムヨンってどんな人ですか?」

ヤン博士「どうでしょう。私だってすべて知っているわけじゃありませんから」
ジンガン「それでも、先生は子どもの頃から見てこられたでしょう?」
ヤン博士「他はともかく、これだけはハッキリしています。子どもの頃のムヨンは、驚くほど世界をありのままに見る子どもでした」

「考えてごらんなさい」博士は静かに続ける。

ヤン博士「ムヨンのように聡明で感受性の強い子の目に、ありのままの世界がどう映るか」
ジンガン「…。」
ヤン博士「きっと奇妙なことだらけだったでしょうね」

「私もそのうちの一つだ」そう言って博士は笑う。

ヤン博士「ある日、釣りを終えたところで、子どもが1人座っているのに気づいたんです」

ただじっと湖を見ている子どもに、若きヤン博士は近づいた。
ふと見ると、肩に火傷の痕がある。

ヤン博士「ムヨンでした」

「君は…!」思わずそう言いかけて、ヤン博士は言葉を飲み込んだ。
代わりに「やぁ」と挨拶をする。「ここで何をしているんだい?」

ムヨン少年「どうして魚を放すんですか?」
若きヤン博士「家に帰れるように。家に帰ってごはんを食べられるようにね」
ムヨン少年「…。」

その日以来、ムヨン少年は釣りをする博士のそばにやって来るようになった。

ヤン博士「そのときから毎日来ては眺めていたんだが、声を掛けても返事をしないんです」

そこで、ヤン博士は無理に話しかけず、帰りに挨拶をするだけになっていた。「やぁ、また明日ね」と。

ヤン博士「ところが、一週間ほどしてからかな?その日はなぜか一日姿が見えなくて。帰ろうとしたところへ、ムヨンが来たんです」

ムヨン少年はその手に魚を抱えていた。
死んだ魚を。

ヤン博士「ようやく気づいたんです。この子は私を非難していたんだと。あなたは善人のフリをして、善いことをしているかのように魚を放してやるけれど、あなたのせいで魚は死んだと」
ジンガン「…。」
ヤン博士「考えてみればそのとおりです。釣った魚を放して、自由にしてやってると勘違いしていました。実際には傷つけているとも知らずに」
ジンガン「…。」
ヤン博士「その日で釣りはやめました」

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帰り道をぼんやり歩きながら、ジンガンはヤン博士の言葉を反芻していた。

ヤン博士(声)「ムヨンと一緒にヘサンへ行ったんですね。修女様から聞きました。その日、ジンガンさんのことをムヨンに訊いたそうですよ。そうしたら、ムヨンが言ったそうです。“良く見られたい人”と。何に対しても心を許さなかったムヨンが、この場所を少しでも愛するようになったとしたら、それはジンガンさんに出会ったからじゃなかろうか、修女様も私もそう思いました」

そうするうち、ジンガンはある建物の前で足を止めた。
ANGEL’S TEARだ。
中をそっと覗い、躊躇っているところへ、声をかけたのはチャン・セランだった。「ユ・ジンガンさん?」

ジンガン「!」
セラン「ムヨンさんに会いに来たのね」

「中へどうぞ」彼女はジンガンを招き入れた。

セラン「お酒でも飲みます?それとも、お水?」
ジンガン「いえ、大丈夫です」

二人はガランとした店内のテーブルで向かい合った。

セラン「辛いでしょう?」
ジンガン「!」
セラン「別れたときって、振られた側の方が辛いって聞くから」
ジンガン「キム・ムヨンさんはいつ来るんですか?」
セラン「気になることがあるなら、私に訊いてくださいな。私、意外と彼のことよく知ってるのよ」
ジンガン「…。」
セラン「私の話を聞けば、あなたの気持ちだって一瞬で整理がつきそうだけど」

そこへ遅れてやって来たムヨンは、二人の様子を見て慌ててフロアへの階段へ向かった。

セラン「私から聞きたくなかったら、お兄さん… ユ・ジングクさんに訊いてみる?」
ジンガン「?!」
セラン「15年前、お兄さんとキム・ムヨンさんの間に何があったのか」
ジンガン「15年前?」
セラン「ユ・ジンガンさんも深く関わっていることよ」

階段を降りてきたムヨンは、訝しげに二人を見る。

セラン「あぁ、来たのね」

「何の用?」ムヨンが冷たい目でジンガンを見下ろした。
「話があるの」ジンガンが立ち上がると、ムヨンはセランの隣に腰を下ろした。「ここで話せよ」

ジンガン「!」
ムヨン「話があるんだろ」
ジンガン「…。」

二人の間を流れる空気に、セランはニヤリとして立ち上がった。

ムヨン「居てくれていいんだけど」
セラン「?」
ムヨン「(ジンガンに)お前と付き合ってたのはこの人も知ってる。だから言いたいことがあるならここで言えよ」

ジンガンは大きな目を見開き、ムヨンをじっと見据えた。

ムヨン「?」
ジンガン「バカみたい」

そう言い捨て、彼女は足早に出口へと向かう。

ムヨン「!」
セラン「追いかけて行きたいって顔ね」
ムヨン「何を話したんです?」

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「お兄さんに訊いてみたら?キム・ムヨンさんとの間に何があったのか」セランの言葉が頭から離れなかった。
ジンガンが呼び出したのは、兄ではなくソジョンだ。

#ソジョンさん、マジで同情するわ。ご苦労様というか何というか…。

「15年前?」カフェでコーヒーをすすりながら、ソジョンが驚いて訊き返す。

ジンガン「えぇ。15年前、兄とキム・ムヨンの間にあったこと」

「この子ったら」当惑したソジョンは思わず笑った。「そんな昔に何もあるわけないじゃない」

ジンガン「私にも関係があることだって」
ソジョン「誰がそんなこと?」

「ソジョンさん」ジンガンは身を乗り出した。

ジンガン「私、もう子どもじゃありません。知らなきゃいけないんです」
ソジョン「でも、ジンガン、私はね」
ジンガン「私…」
ソジョン「…?」
ジンガン「兄の本当の妹じゃないって、知ってます」
ソジョン「…え?」

ソジョンは驚きで大きく息をついた。「ジンガン、いつわかったの?」

ジンガン「中学のときです」

「だけど」ジンガンの顔が微かに歪む。「だからこそ、兄はなおさら本当の兄じゃないですか」

ジンガン「だから、知らなきゃいけないんです。兄に何があったのか」
ソジョン「…。」
ジンガン「兄があれだけキム・ムヨンを憎んでいたのも、そのことと関係があるんでしょう?15年前のそのことと…」

「憎んでたんじゃないわ」じっと下を向いて考えていたソジョンが、まっすぐに顔を上げる。

ジンガン「?」
ソジョン「お兄さんはあの子を憎んでいたんじゃない。申し訳ないと思っていたの。怖れもあるわね」
ジンガン「兄がどうして?」

「…。」ソジョンは困り果てて頭を抱えた。

ソジョン「そうね、話すわ。話すけど、これだけはハッキリさせて。誰に何を聞いたか知らないけど、これはお兄さんとキム・ムヨンの問題よ。あなたとは何の関係もない。いい?」

「はい」ジンガンはうなずいた。

ソジョン「キム・ムヨンの父親は犯罪者だったの」
ジンガン「えぇ、私も知ってます」
ソジョン「知ってたのね…。そのとき、最初に現場に入ったのがお兄さんだった」
ジンガン「!」
ソジョン「世間ではキム・ムヨンの父親が人を殺して崖から飛び降りたってことになってる。だけど本当は… お兄さんが死なせたの」

「!」ジンガンが息を呑んだ。「兄が… キム・ムヨンのお父さんを?!」

ソジョン「でも、正当防衛だったのよ。相手は凶器を持っていたし、向こうが先にお兄さんを攻撃しようとしたの。それで驚いたお兄さんは思わず…」

「!!!」衝撃のあまりジンガンはハッと息を漏らす。「…。」
それっきりソジョンはもう何も言えなかった。

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ムヨンはセランの車を運転し、彼女を駐車場まで送り届けた。

セラン「よっぽど気になるのね。家まで送ってくれるなんて」
ムヨン「あぁ」

セランは笑って肩をすくめる。「私、あなたが思ってるより嫉妬深いのよ」

セラン「そんなに堂々と“あぁ”って」
ムヨン「…。」
セラン「上がっていく?そうすれば、妹に何を話したのか、教えてあげるけど」

「OK」ムヨンは先に立って歩き出した。

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「あんまり辛そうだったから」そう切り出したセランを、ムヨンは厳しい目で見つめた。

セラン「軽く耳打ちしただけよ」
ムヨン「何て耳打ちを?」
セラン「15年前、お兄さんとキム・ムヨンの間に何があったのか、お兄さんに訊いてみなさいって」
ムヨン「…。」
セラン「おそらくユ・ジンガンさんも深く関わってるだろうって」
ムヨン「!」

ムヨンの驚いた顔に、セランの口角が上がる。「怒った?」

セラン「あなたいつだってカッコいいのに、ユ・ジンガンのこととなると途端に素に戻っちゃうのね」
ムヨン「…。」
セラン「何よ。本当に怒ってるわけ?」
ムヨン「…。」
セラン「なんで?」
ムヨン「あんたはやめる気なんてないよな。俺が何言ったって」
セラン「面白くなったところなのに、ゲームをやめようって?」

ムヨンは苦笑いを浮かべ、呟いた。「ゲームなんかじゃない」

セラン「じゃあ何?そんな深刻な顔して何やってるつもりなの?」
ムヨン「後悔してるんです」

「後悔?」セランが呆れたように訊き返す。

ムヨン「あんたのような人のこと、俺よくわかってるのに…。バカみたいなことで腹を立てて、自分からあんたに会いに来て、引っ張り込んでしまった」

「反省文でも書いてるの?」セランは困惑して笑う。

ムヨン「駄目になったとしても自分だけだと思ってたんだ」
セラン「…?」

「俺が間違ってました」ムヨンの口から出たのは、驚くほど素直な言葉だった。

セラン「!」
ムヨン「お願いです。彼女には手を出さないでください」
セラン「…。」

ムヨンはポケットから車のキーを出し、テーブルの上に置いた。
セランと決別しようというのだ。
そのまま立ち上がり、出口へと向かう。

セラン「待ちなさいよ。そのドアを開けた瞬間、電話するわ。そこまで愛してる妹にね」

ドアノブを握ったムヨンの手が止まる。「!」
「…。」一度開けたドアを閉め、ムヨンはゆっくりと踵を返した。
ふたたび視界へ戻ってきたムヨンに、セランは沈痛なため息をつく。「何なのよ。本当に愛してるとでも?!」

ムヨン「…。」
セラン「本当なのね。腹が立つわ」

「何から話すべきかしら」セランはスマートフォンを掴み、勝手に話し始める。

セラン「心配ないわ。キム・ムヨンはあんたのこと愛してるって。死ぬまで愛するってさ」

「そんなに愛してるのに」ムヨンをじっと見据えたまま、セランは続ける。「なんで捨てたのかって?」

セラン「あなたのお兄さんだからよぉ~」

ムヨンが壁際の棚に向かい、引き出しを開けた。

セラン「あら、本当に何も知らないのね!そんなことも知らないで、あんたたちまさか寝たの?!」

ムヨンがおもむろに棚から振り返る。

セラン「まぁ!本当に寝たわけ?!」

次の瞬間、ムヨンが手に持った銃の引き金を躊躇いもなく引いた。

バン!

大きな音と同時に、セランの体がぐらりと波打つ。

セラン「!!!」

バン!
バン!

セランはムヨンを見つめたまま背もたれに身を沈め、すっと目を閉じる。
彼女の左胸は…
赤く血に染まっていた。

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チョロンが強力班へ駆け込んできた。「課長!ニュースご覧になりました?!」

#チョロン久しぶり~ㅠㅠㅠ

街の大型スクリーンにも、チャン・セランの顔が大きく映し出されていた。
衝撃的なタイトルに、人々が思わずスクリーンを見上げる。

【NJグループ チャン・セラン常務 死亡~本日午後8時 自宅で銃撃される】
【長男に続き、チャン・セラン常務が殺害される】

彼女の顔写真の隣に、男性のシルエットが映し出されている。
【ビジネスパートナー 30代のキム氏】とキャプションが付いていた。

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自宅へ帰りつき、ジンガンはダイニングチェアにもたれかかるように腰を下ろした。
同時にポケットの携帯が鳴る。
「室長!」イム代理からだった。「ニュース見ました?」

ジンガン「ニュース?」
イム代理(電話)「見てないんですね。大騒ぎになってますよ」

「大騒ぎ?何事?」ジンガンはテレビのリモコンを手に取り、電源ボタンを押した。

記者(テレビ中継)「NJグループ、チャン・イルドン会長の長女、チャン・セラン専務が今夜8時10分頃、サムソン洞の自宅にて死亡しているのが発見されました。衝撃的だったのは、最近国内では滅多にみられなかった銃による殺害だという点です」

セランの自宅前から、駐車場に画面が切り替わる。
防犯カメラ映像だ。
銃を持ったまま棟内から出てきた男の姿は、紛れもなくムヨンだった。
「!!!」ジンガンは携帯を耳に当てたまま、思わず立ち上がる。

記者(テレビ中継)「チャン・セラン氏の自宅および近隣の防犯カメラ映像など、さまざまな手がかりを総合的に確認した結果、警察ではビジネスパートナーであるキム某氏を有力な容疑者とし、追跡中です」

「室長?室長?」イム代理の呼びかけも、ジンガンの耳には入らない。
ジンガンは愕然とその場に座り込んだ。

記者(テレビ中継)「犯行直後、キム氏は被害者チャン氏の車で逃走しています」

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その後、ムヨンが乗っていたセランの車が発見されたものの、すでにムヨンの姿はなく、周辺の防犯カメラ映像を元に捜索が継続された。
ムヨンが銃を持ったまま逃走していることから、二次被害が懸念されるとし、警察は市民にも注意を呼びかける。

警察署を飛び出したジングクが真っ先に向かったのは、ジンガンのいる自宅だ。
ふらふらと外へ出ようとした妹を、ジングクはさっと抱きとめた。「大丈夫だ、ジンガン」

妹「お兄ちゃん、違うの。そんな子じゃない」
兄「あぁ、そうだな。わかったから」
妹「お兄ちゃん!彼、人殺しなんて出来ないわ!魚が死ぬのを見たって悲しむ子なのに!!!」
兄「あぁ、わかった」
妹「違うってば!!!そんな子じゃないの!!!彼が殺したんじゃない!!!」

「わかった」興奮して暴れる妹を、兄は抱きしめる。

妹「離して!彼がやったんじゃない!!!」
兄「落ち着け。落ち着くんだ」

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ソジョンからの呼び出しで、ジングクは外へ出てきた。

ソジョン「どうなってるの?何かわかった?」
ジングク「…。」
ソジョン「あのときの銃なんでしょ。あなたの家に持ってきた銃」
ジングク「…。」
ソジョン「まだ銃を持ってるのよ。身辺警護を要請したほうがいいんじゃない?」
ジングク「身辺警護なんて。心配ないさ」
ソジョン「そんなことないわよ。チャン・セランだって怨恨による殺害だっていうじゃない。銃を持ったまま行方知れずなのよ。殺人容疑だってかかってるのに、何が起きるかわからないでしょ」
ジングク「わかった。わかったよ。だが、そんなことは起きないから落ち着くんだ」

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ジンガンがムヨンの自宅へ駆けつけてみると、そこは警察官でいっぱいだった。
部屋の中のものが外へ出されている。
縁台の上に、見慣れたフォトフレームが伏せられていた。
手にとってみると… 中に入れてあった二人の写真がなくなっている。

ジンガン「…。」

ジンガンはからっぽのフォトフレームを胸に抱き、その場を足早に離れた。

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「少しでも不審なことがあったら、すぐ身辺警護を頼むのよ」ジングクの家へ立ち寄った帰り、ソジョンはもう一度念を押した。

ジングク「わかったから」
ソジョン「あ、そうだ。ユ課長」

そう言いかけて、ソジョンは口をつぐんだ。
「本当の妹じゃないって知ってます」ジンガンの言葉が頭をかすめたものの、ジングクに伝えるべきなのか、ソジョンにはまだわからなかったのだ。

ソジョン「何でもない。何かあったら連絡して」

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ソジョンの乗ったタクシーを見送ったところで、ジングクの携帯が唸った。

【0311415190】見慣れない番号だ。

ジングク「もしもし?」

ジングクの顔色が変わった。「…キム・ムヨン」
公衆電話ボックスから電話を掛けてきたのだ。

電話を切るなり、ジングクは駆け出した。「タクシー!」

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ジングクを乗せたタクシーは寺の前で停まった。
寺の本殿へ駆け込むと、奥から黒い人影が姿を見せる。

ムヨンだった。

ジングク「キム・ムヨン」

息を切らすジングクを眺めるムヨンの目は、世間の騒ぎが嘘のように落ち着き払っていた。「…。」

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ここでエンディングです。

「うわぁ~やっちまったよ!」で頭いっぱいですね…。

これまでのチャン・セランを見るに、彼の嫌がることを並べて挑発して、その彼に銃殺されるなんて、その瞬間どんなに興奮して“シビレた”だろうと、つい思ってしまいますです。

 - 空から降る一億の星