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空から降る一億の星(韓国版)あらすじ&日本語訳 14話後編

   

ソ・イングク、チョン・ソミン、パク・ソンウン主演、tvN韓国ドラマ【空から降る一億の星】、14話の後半、詳細なセリフの日本語訳を交えながら、あらすじを紹介していきます。

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「ここじゃダメなんでしょ」先に立って歩き出したムヨンは、ジングクの家から少し離れたところまで来て立ち止まった。
彼がポケットから出したのは、【行方不明児童捜索】のチラシだ。
他でもないジングクが、カン・ソンホ少年を探すために作ったものだった。

ムヨン「なんで俺を探してた?」
ジングク「お父さんを殺したから。それに、お前がいなくなったから…」
ムヨン「だから、なんで探したんだよ?死んで当然だ、どうせ死刑だった、運が悪かった… そう考えりゃよかったろ」

「な…」ジングクは驚いて声を漏らした。「なんでわかった?」

ムヨン「そんな目で見るなよ。他の奴らみたいに正直になりゃいいのに」
ジングク「他の奴らみたいに… したさ」
ムヨン「?」
ジングク「悔しい、なんで俺がこんな目に遭うんだ、向こうが先に動いたんだから正当防衛じゃないかって。だけど…!」
ムヨン「…。」
ジングク「先に動いたのは間違いなくカン・スングだったが… 後になって気づいたんだ。お前がそこにいたことに」
ムヨン「!」
ジングク「カン・スングは凶器を振り上げようとしたんじゃない。後ろに隠そうとしたんだ。あんな姿をお前に見せたくなくて」

そう気づく前に、ジングクは引き金を引いたしまったのだ。

ジングク「そのとき聴こえたお前の声が忘れられなくて」

「お父さん!」カン・スングが銃弾に崩れ落ちたと同時に、ソンホ少年の声が響いた。

ジングク「悔しいと地団駄を踏んだところで、人を殺したことは忘れられない」
ムヨン「…。」

「…すまなかった」ジングクは絞り出すように言った。
20数年を経て、あのときの少年に頭を下げたのだ。
「…。」ムヨンは半分困ったように息をつく。「いくら責任感じたからって…」

ムヨン「あんたが俺のこと探してるって聞いて、父さんは警察官だと思った。消えた記憶の中で父さんに会いたいと思うたび、頭に描いていたのがあんただったと考えたら、耐えられない」
ジングク「…。」
ムヨン「あんたを撃たなかったからって、許したわけじゃない」

「絶対許すもんか」ムヨンはそう言い捨てると、うつむくジングクを残し、背を向けた。

ジングク「キム・ムヨン」
ムヨン「…。」
ジングク「お父さんは峰林寺にいらっしゃる」
ムヨン「…。」
ジングク「峰林寺大宮殿。命日は陰暦9月18日。陽暦11月1日」

遠ざかっていくムヨンの背中を、ジングクは見つめ、大きく息をついた。「…。」

#すごいシーンでした。とっさの判断で撃ってしまった後悔とその責任を、20数年も1人で抱え込んできたジングクの人生。これまでずっと幸せな家族を信じ、家族に会うことを希望に生きてきたムヨンの衝撃とやり場のない怒りを思うと…。初見で泣き、訳しながらまた泣きました。

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歩きながら、ムヨンは記憶をたどっていた。
11月1日。
兄と寺へ行くのが恒例行事だとジンガンが話していたのだ。

「なんで毎回11月1日に寺へ?」
「そうだね。なんでだろ。ヘサンに住んでるときからそうだった。小さい頃からだから、考えたことなかったわ。ただただ楽しかったの。お兄ちゃんと私だけの恒例行事みたいで。学校の遠足より楽しみだった」

ムヨン「…。」

#ムヨンの記憶力、このときほど有り難いと思ったことはありません。思い出してくれてよかった。ジングクが毎年供養していたのが伝わったんだから。

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ダイニングの椅子にうずくまり、ジンガンは携帯を見つめていた。
その後ムヨンから連絡はない。
何か声を掛けたい。
それでも、掛けるべき言葉がなかなか見つからなかった。

そこへ兄が帰ってきた音が聞こえる。
彼女はそっと携帯を伏せた。

兄「起きてたのか」
妹「水飲みに出てきたの。寝なきゃ」
兄「あぁ、寝ろよ」

ジングクは立ち上がった妹と入れ替わりに、テーブルの水に手を伸ばした。「ジンガン」

兄「明日、ヘサンに行ってくる」
妹「ヘサン?」
兄「母さんに顔を見せに行ってないしな」
妹「一緒に行こうか?」
兄「いや、日曜日なんだし、家でゆっくりしろよ」
妹「… お兄ちゃんも1人になりたいんだね」
兄「え?」

「ううん」ジンガンは微笑んだ。「おやすみ」

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翌日。
ジングクは予定通り朝から家を出た。
門を出ると同時に携帯が鳴る。
「玄関の暗証番号、変えた?」電話が繋がるなり、ソジョンが言った。

ジングク(電話)「変えないとな」
ソジョン(電話)「変える変える言ってないで今変えなさいよ。私が行ってあげようか?」
ジングク「いや、今日は家にいないんだ」
ソジョン「どこ行くの?」

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ヘサンの山を登るジングクの後ろに、ついて歩くソジョンの姿があった。
母の墓参りをし、二人は山の上に腰を下ろして景色を眺めた。

ソジョン「可笑しいわよね。すっかり大人になっても、落ち着かないときに最初に思い出すのは母親のことだなんて」

ジングクは笑った。「否定はできないな」

ジングク「ここ何日か母さんのことが思い浮かんでな。俺、ガキの頃ホントにやんちゃでさ。いるだろ、どんなにぶん殴ったって言うこと聞かない子が。それで母さんにめちゃくちゃ叩かれたんだ」
ソジョン「目に浮かぶわ」

「そうだな」ジングクは目を細め、懐かしげに笑う。

ジングク「だからかな、20歳を過ぎても叩かれたんだ」
ソジョン「あはは」
ジングク「ちゃんと就職して警察官になってからも、朝出勤するとき“車に気をつけなさい”ってパン!帰ってきたら“靴下を洗濯カゴに入れなさい”ってパン!」

「だけど」ジングクが顔を曇らせる。「あの件があってからは一度も叩かれなくなった」

ジングク「俺がどうにかなるんじゃないかって… どれだけ顔色を窺ってヤキモキしたことか。丈夫だった人が、3年もせずに亡くなった」
ソジョン「…。」
ジングク「昨日、寝ようと思って横になったら、“あぁ、母さんがスカッと一発背中を叩いてくれたらな”、“この子ったら、しっかりしなさい!”って…」
ソジョン「…。」

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峰林寺ゆきのバスを降り、ムヨンは緩やかな坂道をのぼった。
門を入ると、正面に大きな仏像が見える。

#ムヨンがこうやって出生をたどる映像が毎回とてもいい^^

大宮殿へ入ると、この寺で供養されている故人の名が刻まれた札が壁にずらりと並んでいる。
その中に、確かに父の名前があった。

ムヨンの想像の中で、父はずっと息子の彼を探していた。
どこかで、切実に…。

ムヨン「…。」

ふと隣の位牌を見ると、父に並んで母イ・ミヨンの名前がある。
「!」ムヨンの目から涙が零れ落ちた。

“俺は捨てられた子じゃない、
生き別れたんだ”

そう信じてきた両親と、彼は思いもよらぬ形で対面を果たした…。

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あてもなく歩くうち、ジンガンは公園の掲示板の前で立ち止まった。
行方不明の子どもたちの写真や名前がずらりと並んだ、捜索のポスターだ。

これだけの子どもたちが、一体どこで心細い日々を送っているのだろう。
思い焦がれた父が殺人者だったと知ったムヨンの悲しみを重ね、ジンガンはポスターの前で泣いた。

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帰りのバスに揺られていると、ムヨンの携帯が小さく着信音を鳴らした。「?」

悩んだ末にジンガンが彼に送ったメッセージはとても短かった。

「愛してる」

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ようやくウォニョン印刷所へ帰り着く頃には、あたりはすっかり暗くなっていた。
門を入ろうとして、ムヨンは立ち止まる。
そこにジンガンがいた。

ジンガン「…。」
ムヨン「こんな俺でもホントにいいのか」
ジンガン「もちろんよ」

「生まれ変わりたい」ムヨンの言葉は心の奥から溢れ出したようだ。
ジンガンは力いっぱい彼を抱きしめた。

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ムヨンの家でジンガンが最初にしたのは、炊飯器でご飯を炊くことだった。

ムヨン「ごはんがそんなに大事なのか」
ジンガン「生まれ変わりたいんでしょ。温かい家で暮らさなきゃ。温かい家からは温かいごはんの匂いがするものよ」
ムヨン「超簡単だな」

「でしょ?」ジンガンが優しく微笑む。
彼女の愛が、ムヨンの心にじんわりと染み渡っていった。

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「いただきます!」
「…俺も」

素直にいただきますと言えず、ムヨンは照れくさそうに言葉を濁す。
嬉しそうに食べる彼を前に、ジンガンは笑った。

ムヨン「なにが可笑しいんだ?」
ジンガン「この家に初めて来たときのこと思い出して。ホントに不思議な家だと思ったわ。まさにあんたみたいな家だって。寒くて暗くて、いつだって出ていけばそれでおしまい。見てると寂しくなる家…」

ジンガン「少しずつ増えていくといいな。猫がいれば餌をあげなきゃいけないし、花があれば水をやらなきゃいけない。食べ物があれば腐る前に食べなきゃいけない。そういうのがあんたをしっかり繋ぎ止めて、離さないでいてくれるといいな。どこにも行かないように」
ムヨン「どこにも行かない。何もなくたって、どんなに遠くへ行ったって… 戻ってくるさ。お前のもとに」

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翌朝。
ムヨンが訪ねたのはチャン・セランの自宅だった。

セラン「こんな時間に何事?」

「返そうと思って」ムヨンが差し出したのは、セランが工面してくれた銃だ。

セラン「返す?どうして?」
ムヨン「要らなくなったから。あ、弾、一発だけ使いましたから」
セラン「弾を使った?何もニュースになってないわ」

「まぁとにかく」ムヨンは素っ気なく背を向けた。

セラン「弟の話、聞いていかない?」
ムヨン「!」

セランは受け取った銃を引き出しに収めた。「こんな素敵なものを返すだなんて、ちょっとガッカリね」

セラン「また必要になったらいつでも言って」

ソファに腰を下ろすと、緊張した面持ちのムヨンを見て、セランは微笑んだ。「すごく気になってる様子ね」

~~過日~~

セランはムヨンの出生について、秘書から報告を受けていた。
「何なのこれ?」手元の書類を見て、セランが首をかしげる。

秘書「カン・スングの戸籍です」
セラン「それはわかるけど、何なのよ、これ。確かなの?」
秘書「はい。あの日、ヘサン病院へ運ばれた子は、二人いました」

~~~~

「弟なんて、あなたにはいなかったわ」セランはそうムヨンに切り出した。

ムヨン「いない?」
セラン「“男の”弟はね」
ムヨン「?」

~~過日~~

秘書の報告は続いた。

秘書「女の子は事件6ヶ月後、イ・ジョンシルという人の養子になっています」
セラン「イ・ジョンシル?」
秘書「ユ・ジングクの母親です」
セラン「ということは、その子が… ユ・ジンガン?!」

~~~~

「いないってどういうことです?」ムヨンが再び尋ねた。

セラン「あなた、本当に何も知らないのね」
ムヨン「?」
セラン「大事なこと、何一つ知らないわ」
ムヨン「早く言ってください」
セラン「そんなに苛立った顔、初めて見たわ。タダで言うのイヤになっちゃった」

「この機にプレゼントしなきゃね」セランはバッグからチケットを差し出した。「大事な話はここで」
ムヨンの名前で予約された航空券だ。
「OK」ムヨンは無造作にそれを受け取り、立ち上がった。

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ムヨンとジンガンは遊園地で楽しいときを過ごし、再びムヨンの家で体を重ねた。

鏡の前に立ち、彼らは互いの肩と腕に広がる火傷を繋げてみる。

ジンガン「不思議。繋がってるみたいじゃない?」

#そうだねㅠㅠ まさにこういう体勢で火傷したんだね、だからムヨンが肩でジンガンが肘のあたりなんだね…と、悲しみに襲われる私たち。

ムヨン「そうだな」

「地図みたい」ジンガンは火傷をそっとなぞった。「私たち、地図に導かれてここまで来たんだわ」

そう言って笑い合ううち、キッチンでお湯の沸く音が聴こえた。
火を止めに向かったムヨンの後をジンガンが追う。「寒いから先に着て」
やかんを持ってムヨンが振り返った瞬間、ジンガンの手に当たり、はずみでお湯がこぼれた。「あっ!」

「大丈夫か?」慌てて彼女の手に冷たい水を掛けたものの、ムヨンは上着を掴んだ。「薬局まだあいてるから」

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薬局で塗り薬を買い、ムヨンは寒空の下を足早に歩き始めた。

と…

ムヨン「…?」

頭の中にふいに蘇ったのは、ストーブの上のヤカンが湯気を噴いているあの場面だ。
ラジオから歌が流れ、銃口が目に飛び込んでくる。
次の瞬間、目の前で父が崩れ落ちた。「お父さん!」

それから…

駆け寄ろうとしたそのとき、彼の後ろに小さな人影が滑り込んでくる。
「?!」頭がワンワンと響き、ムヨンは手に持っていた薬の袋を落とした。

後ろに現れた人影…
女の子の姿が、別の写真と重なった。

そう。
ジンガンがくれた幼い頃の兄妹の写真だ。

立っていることもできず、その場に座り込むと、ムヨンは財布を取り出した。

“家が火事になったってお兄ちゃんが言ってた”
“不思議。繋がってるみたいじゃない?”
“私、お兄ちゃんと血が繋がってないの”
“あなた本当に何も知らないのね。本当に大切なこと、何一つ知らないわ”
“弟なんて、あなたにはいない。男の弟はね”

いろいろな言葉が次々に浮かんでは、それぞれが一つの線に繋がっていく。

ムヨン「妹だったんだ…!」

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ここでエンディングです。
なんでドラマってわざわざ不幸が彼らを襲う前に一旦ラブラブデートをさせるかねぇ。
幸せの絶頂まで上がらせて、一気に突き落とすからって、わかりやすく遊園地デートでジェットコースターに乗せるかねぇ。

それにしてもこの14話。前話に引き続きとても良かったです。
過去をたどるピュアなムヨンの姿や、自分の“罪”に黙々と向き合ってきたジングク、染み渡るようなジンガンの愛。
とても悲しく重いけど、温かく感じました。

 - 空から降る一億の星

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