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空から降る一億の星(韓国版)あらすじ&日本語訳 5話前編

   

ソ・イングク、チョン・ソミン、パク・ソンウン主演、tvN韓国ドラマ【空から降る一億の星】、5話の前半、詳細なセリフの日本語訳を交えながら、あらすじを紹介していきます。

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運転席で失神していたユリを、ジングクたちは病院へ運び込んだ。
病院のベッドへ寝かせたまま、医師はなかなかやって来ない。
ユリの手首に無数の傷があるのに気づき、ジングクは後ろにいる妹に見えないよう、そっと隠した。

ジンガン「お兄ちゃん、どういう知り合い?」
ジングク「成り行きでちょっとな」

ようやく医師がやって来て、まだ意識のないユリの顔を覗いた。「食べさせないといけませんね」

医師「特に気になることはありませんが、少し栄養失調が。栄養剤を処方しましょうか」
ジングク「えぇ。特に問題はないと?」
医師「血液から睡眠剤の成分が少し出ましたが、せいぜい6錠。この程度なら死のうとして飲んだとはいえません」

医師の視線がジングクの肘へ向かう。
さっきジンガンを車から守ろうとして、怪我をしたのだ。「お二人こそ治療なさらないと」

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ジングクは肘の擦り傷を消毒してもらい、ジンガンは捻挫をした腕にギブスを当ててもらう。

妹「どうする?意識が戻るまで待つ?」
兄「キム・ムヨンの連絡先知ってるか?」

「キム・ムヨンがどうしたの?」ジンガンが携帯を出した。

兄「知ってるのか?なんで?」
妹「知ってたらダメ?急にどうしたの?」
兄「あの子と親しいんだ。ひょっとして誰か家族と連絡取れないかと思ってな」

薬が傷口に染みて、ジングクがアッとうめき声をあげる。
「もっと痛くしてやってください」ジンガンが看護師をけしかけた。

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赤いボックスに入っていた銅像… トロフィーをテーブルに置き、ムヨンは考え込んでいた。
1台のスマートフォン、そして、血の滲んだ封筒が横に並んでいる。
手を袖で包むと、ムヨンはそれらを順に掴み、黒い容器にひとまとめにした。

ムヨン「…。」

そこへ電話が鳴った。
発信者をしばらく見つめ、電話を取る。「あぁ」
「まだ起きてたのね。良かった」聞こえてきたのはジンガンの声だ。

ムヨン(電話)「何?」
ジンガン(電話)「イム・ユリっていう人、知ってるでしょ」
ムヨン「ユリ?」

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ジングクはユリの車に戻り、ブラックボックスの映像を確かめていた。
23時08分、停車している車の向こうで、ジンガンが家から出てくるのが映っている。

ジングク「…。」

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ムヨンが病院に到着すると、ユリの眠っているベッドの脇に、ジンガンの疲れた後ろ姿が見えた。
人の気配に気づき、ジンガンがサッと立ち上がる。「?」

ジンガン「何であんたが来るの?家族に連絡取れなかったの?」

「大丈夫なのか?」ベッドの上のユリを見つめ、ムヨンが言う。

ジンガン「うん、眠ってるだけだって。検査で睡眠剤の成分が出たんだけど、寝ようとして飲んだ量だって」
ムヨン「お前は大丈夫なのかって。その腕」
ジンガン「あぁ、靭帯がちょっと伸びただけよ」

駐車場から戻ってきたジングクが二人に気づき、立ち止まった。「…。」

ジンガン「(ギブスを見せて)こうしてろって言われて」
ムヨン「似合ってる」
ジンガン「そう?ふふん、私、青が似合うからね」

二人は静かに笑いあった。

ジンガン「あぁ、やっと思い出した。あのとき映画館であんたと…映画観に来てた」

そこへ今しがた戻ってきたように、ジングクがやってくる。

ジンガン「お兄ちゃん、この人、見たことあるわ。前にこの子と一緒に映画観に来てた人よ」
ジングク「そうか」

ジングクはムヨンの肩に手を置いた。「電話があって驚いたろ。ちょっと話そう」

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ジングクはムヨンを人気のない廊下へ連れ出した。
ユリの車のキーをムヨンに投げ渡す。「イム・ユリの車のブラックボックス映像を見た」

ジングク「完全に故意だ。うちの家の前で2時間も見張ってた。俺がいたから良かったが、もしいなかったら、ジンガンは…」
ムヨン「…。」
ジングク「なぜだと思う?なんでこんな事が起きた?お前がやらせたのか?」

「ふっ」ムヨンが思わず笑う。「ずいぶん強引ですね」

ジングク「お前と関係があるのは間違いない」
ムヨン「どうして?」
ジングク「話したんだ。何日か前、イム・ユリに。チョン・ミヨンの事件、キム・ムヨンを疑ってるとな。下手に犯人を庇うと痛い目に遭うから気をつけろと」
ムヨン「そんな噂、近所に広めないでくださいよ」
ジングク「お前がやらせたんじゃないとしても、俺がお前の脅威になると思って、やったのかもしれん。イム・ユリがな」
ムヨン「まさかぁ」

「…。」まともに取り合おうとしないムヨンの目を、ジングクは探るように見つめた。

ムヨン「もう行ってください。ここは僕がいますから」

「キム・ムヨン」立ち去ろうとしたムヨンの背中に、ジングクは静かに呼びかける。

ムヨン「信じてくれないだろうけど、僕だって知りたいですよ。ユリがどうしてそんなことしたのか。刑事さんと同じくらい」

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「いつの間にあんなに仲良くなった?」帰りのタクシーの中で、ジングクは妹に尋ねた。

妹「え?」
兄「仲が良さそうだったけど。キム・ムヨンと。すっかりタメ口で」
妹「仲良くなんかないわ」
兄「…。」
妹「ところでさっきの… 急発進だったの?」
兄「いいや」
妹「そう?あんまり突然だったから、そうだったのかなぁって」
兄「…。」
妹「それなら何だったのかなぁ」
兄「睡眠剤飲んでたって言ってたろ。居眠り運転だろう。お前は気にするな」

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依然として意識のないユリを、ムヨンはじっと見つめていた。

ムヨン「…。」

ジングクの話は本当だった。
ジンガンの後ろから近づき、轢き殺そうとしたのは、ブラックボックスの映像でムヨンも見たばかりだ。

ふとベッド脇の棚を見ると、ビニール袋から本が覗いているのが見える。「?」

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翌日。
いつもの店で朝食を摂るジングクの元へ、チョロンが大張り切りで現れた。
予め注文してあった彼の分が、すでにテーブルに並んでいる。「冷めちゃったな」

ジングク「さっさと食え。時間がない」
チョロン「はい。それにしても、こうやって朝っぱらから二人で会ってるなんて、極秘作戦みたいですぅ~」

チョロンの視線が、ジングクの腕に向かった。「腕、どうしたんですか?」

ジングク「自転車で転んだ」
チョロン「子どもじゃあるまいし。気をつけないと」

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ゆっくり目を開けてみると、やけに周りが白い。
「?!」ユリはビクリとして飛び起きた。
目の前にいたのは、ムヨンだ。

ムヨン「体、大丈夫か?」
ユリ「何なの?私、なんでここに?」

「とりあえず出よう」ムヨンは立ち上がった。「手続きしてくる」

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駐車場へ出てくると、ムヨンは説明する代わりに車のキーを返した。

ムヨン「ブラックボックスを見な」

「見ればわかる」そう言って彼は踵を返した。

ユリ「もう行っちゃうの?」
ムヨン「また電話する」
ユリ「何があったのか教えてってば!ホントにちっとも覚えてないんだから!なんでここに連れて来たのよ?」

自分のトラックにキーを差し込みながら、ムヨンが振り返る。「俺じゃない。警察が連れて来たんだ」

ユリ「警察?」

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ジングクとチョロンは食事を終え、作戦を練った。「つまり…」

チョロン「キム・ムヨンには一度見れば全部覚えてしまう個人技があって、そいつはイム・ユリと親しい。そいつの勤めるビール会社の傘が、事件当日の防犯カメラに映っていた」

「うん」ジングクが防犯カメラ映像のキャプチャを差し出した。
チョン・ミヨンの誕生パーティの写真も添えてある。「パーティ写真のビアグラスを見ろ」

そこには、傘と同じ、ビールフェスティバルのロゴがあった。

ジングク「同じだろ」
チョロン「はい」
ジングク「オ・バルンがスクーターを盗まれたのはチョン・ミヨン事件の当日だ。37-4番地、ヒューイット・ビラから400mしか離れてない。それからな、キム・ムヨンは左利きだ。自分では両利きだと言い張ってるが」

「間違いないですね」チョロンが立ち上がる。「行きましょう、今すぐ」

ジングク「どこに?」
チョロン「捕まえないと、そいつ。とりあえず捕まえて叩けば何か出てくるんじゃ?」
ジングク「いつの時代だよ?座れ」

勢いをそがれ、チョロンは仕方なく席に戻る。

ジングク「それに、叩いてどうにかなるヤツじゃない。確証がないと」
チョロン「確証?」

周囲を見渡し、ジングクは声を潜めた。「もしキム・ムヨンが真犯人なら…」

ジングク「おかしいのはどこだと思う?」
チョロン「キム・ムヨンが犯人だったら…?」
ジングク「防犯カメラだ。あんなに緻密なヤツが、チョン・ミヨンのマンションの防犯カメラを見過ごすわけがないだろ。あらかじめ知ってたんだ。防犯カメラがフェイクだって」

「あぁ…そうですね」チョロンが懸命に考えを巡らせる。

チョロン「現場をあそこまでキレイに片付けたヤツが、あちこちにぶら下がってる防犯カメラを気にしないわけがない」
ジングク「とりあえずお前はイム・ユリの周辺を洗い直せ」
チョロン「イム・ユリですか?」
ジングク「イム・ユリの周辺だ。本人には近づくな。ほら、チョン・ミヨンの参考人のうち、イム・ユリの知り合いからだ」
チョロン「…。」
ジングク「防犯カメラがフェイクだって、キム・ムヨンはどうしてわかったのか。イム・ユリかチョン・ミヨン、どちらかを通じて知った確率が高い」

チョロンは納得してうなずいた。「課長は?」

ジングク「俺は管制センターだ。幸いまだ防犯カメラの映像が残ってる」

「傘を見つけるんだ」ジングクは強調した。「間違いなくヒューイット・ビラにあったはずだ」

ジングク「今日は戻らないから、イ班長には外勤すると言っておいてくれ。オ・バルンのスクーターを口実にな」

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ジンガンはバス停で会社に連絡を入れていた。「すみません、代表」

ジンガン(電話)「少し眠れば良くなると思います。良くなったら午後から出勤します」

電話を切って歩き出すところでクラクションが鳴り、ジンガンはビクリとして振り返る「?」
トラックの運転席で、ムヨンがサッと手を上げてみせた。
彼女がバス停にいるのを見て、Uターンしてきたのだ。

#いいね、このヒョイッと手を上げるの^^ ジンガンはきっと出勤しようとして一旦家を出たけど、バス停まで来て「無理」ってなったんでしょうね。

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ジンガンを乗せたトラックが、彼女の家の前で停まった。

ムヨン「大丈夫?」
ジンガン「うん、ちょっと寒かっただけ」

降りようとして、ジンガンは脇に置いてあった本に気づく。
ヤン・ギョンモ博士の本だ。

ムヨン「お前の?」
ジンガン「ううん、お兄ちゃんの」

「ありがとう」ジンガンは外へ出た。
彼女が重い足取りで門へとあがっていくのを、ムヨンはじっと目で追った。「…。」
迷わず自分も車を降りると、彼女が不自由な左手で鍵を落としたのを、サッと横から拾い上げる。
鍵を開けてやると、彼女が玄関扉の向こうに消えるまで、黙って見送った。

#バス停のところから、車を降りるときも、降りてからも、ずーーっと目で追ってるよね♪ たまらんよね♪

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職場の駐車場でブラックボックスの映像を見つめるうち、ユリはだんだんと目を見開き、しきりに爪を噛んだ。
自分を病院に運んだのは”お前のこと知ってる刑事さん”だと、ムヨンは言った。
その人の妹を危うく殺すところだったと。

ユリ「…。」

ユリは映像の入っているメモリーカードを抜き取り、車を降りる。
キョロキョロと辺りを見回し、柵の向こうの草むらに放り投げ、逃げるようにそこを離れた。

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スンアは創作に使っているアトリエに来ていた。
「ご自身で使っておられるんですね」アトリエを見に来ていたのは、不動産業者だ。

業者「リフォームされたばかりですし、立地もいいのに… 本当にこの条件で出されるんですか?」
スンア「はい。どれくらい掛かりそうですか?」
業者「この条件なら、出した途端すぐ売れますよ」
スンア「良かった。進めてください」

業者を帰すと、スンアは携帯を手に取った。

”私よ、ムヨンさん。だいぶ待たせちゃったね。やっと会えるわ。早く電話ちょうだい”

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仕事中、ムヨンに携帯が小さな音を立てた。「?」
画面を覗くと、小さく”スンア”の文字が見える。
ムヨンはそのまま作業に戻った。

「ムヨンさん」チョン代表が声を掛ける。「例の件、どうなってる?チャン専務のウェディングレシピ」

ムヨン「ご覧になります?」

「ここ片付けとけよ」ヒジュンに言い残し、ムヨンは持ち場を離れた。

ヒジュン「プライドないのか?何でそんなの作るんだよ」

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ジングクは延々と管制センターのPC画面を睨んでいた。
そこへ、ソジョンが突然やって来て画面を覗き込む。「何を熱心にやってるの?」

ジングク「あぁビックリした!」

ソジョンはニッコリ微笑み、隣に腰を下ろした。「それでキム・ムヨンは捕まえたの?」

ジングク「オム・チョロンのヤツめ!」
ソジョン「口が軽いからね~。だから可愛いの♪ それで?捕まえたの?キム・ムヨン」

ジングクはモニターから目を離さない。「そろそろ傘が現れる頃なんだが、さっぱりだな」

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ヒジュンのバイトするパブで、ムヨンはユリと会っていた。
「怒ってる?」恐る恐る尋ねるユリに、ムヨンはニッコリと首を横に振る。

ユリ「ホントなんだってば。知ってるでしょ?ムヨンさんに会ってから、薬はやめたんだから」

「あぁ」ユリは困った様子で目を押さえる。「昨日はちっとも眠れなくて、一回だけ飲んだの」

ムヨン「わかってる。おじさんのことはわかったか?刑事さん」

ユリは首を横に振る。

ムヨン「ところで、どうしてあんなことしたんだ?」

ユリは目をパチリと丸く見開く。「マジな話?」

ムヨン「うん」
ユリ「約束して。怒らないって」
ムヨン「俺は約束なんかしない。怒らないから、言ってみろよ。刑事さんをとっちめてやろうと思ったのか?俺のこといじめるんじゃないかって?」

「違うわ」ユリが語気を強める。「警察に手を出すわけないでしょ」

ユリ「ただでさえウザくて仕方ないのに」
ムヨン「…。」
ユリ「それに、あの人がおじさんの妹だなんて知らないし」
ムヨン「あぁ、それじゃ最初からあいつを追ってたのか」

ユリがニッコリと笑う。
「そうだったのか」ムヨンもまた、ニッコリ笑って身を乗り出した。「なんで?」

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食事に出た先で昨夜のことを聞き、ソジョンは激昂した。「理由なんて要らないわよ!」

ソジョン「そんなの捕まえてぶち込まなきゃ!」
ジングク「ぶち込んで、それから?」
ソジョン「…そうよね。ユ課長の家の前で車を停めて寝てたって主張されたら、オシマイだわ。下手したら控訴もできない」
ジングク「だから最低限、動機くらいは察しがつかないといけないんだが、考えれば考えるほど妙なんだ」
ソジョン「…。」
ジングク「最初は脅しのつもりでやったんだろうと思った。キム・ムヨンに手を出すなってな」
ソジョン「うん」
ジングク「でも、変じゃないか。俺が目的なら警察署の前で待つほうが早い。俺はいつだって定時上がりなんだから」
ソジョン「うん、そうよね」
ジングク「それなのに、なんで家の前なんだ?あんな時間に、なんで家の前で、俺じゃなくてジンガンなんだ?」

「あぁ」ソジョンが考え込む。
「まさか… 最初からジンガンが目的だったわけじゃないよな?」ジングクの疑問は、半ば”そうであってほしい”という希望だ。

ソジョン「まさかぁ。理由がないじゃない」
ジングク「…だよな」

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パブを出たムヨンを、ユリが追いかけた。
「孤児だから?」ユリがムヨンの腕を掴む。

ユリ「自分も孤児だし、あの人も孤児だから?」
ムヨン「…。」
ユリ「違うなら何が理由?美人でもないのに、なんであの人にだけ?!」
ムヨン「俺があいつにだけどうだなんだよ?」
ユリ「好きなんでしょ」
ムヨン「え?」
ユリ「あの人のこと好きでしょ」
ムヨン「俺が?」
ユリ「そうよ。好きなくせに。そんなこともわからないの?私みたいなバカだってわかるのに」

「…。」心外だと言わんばかりに、ムヨンは言葉に詰まる。
「わかんないな。考えてみる」彼はクルリと背を向けた。

ユリ「ちょっと…行かないでよ!全部話すわよ!警察に全部言っちゃうから!」

「…。」ムヨンがゆっくりと振り返る。

ユリ「全部思い出したわ」
ムヨン「何を?」
ユリ「あの夜。ミヨンの家で何があったのか」
ムヨン「…。」
ユリ「全部言うから」
ムヨン「…。」
ユリ「もう全部思い出したんだから」

「好きにしな」ムヨンは今度こそ歩き出した。

ユリ「ちょっと!キム・ムヨン!」

「怒らないって言ったくせに」遠ざかっていく彼の背中に、ユリはつぶやいた。

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「おかえり」部屋から出てきたジンガンは、ダイニングにいる兄に声を掛けた。
ジングクがむしゃむしゃとかじっているのは、蒸したじゃがいもだ。

妹「ごはん食べなよ。冷めて美味しくないでしょ」
兄「芋はやっぱり冷めてる方がイイ。具合が悪いなら電話しろよ。一日こんなもの食ってたのか」

ジンガンがヤン博士の本を差し出した。
「12時間、一度も目が覚めずに寝ちゃった~」そう言っておどけてみせる。

兄「それは結構」
妹「(笑)」
兄「これ、どこにあったんだ?失くしたと思ってた」
妹「病院に置き忘れてたって。キム・ムヨンがくれた」

「…。」ジングクがゆっくり顔を上げる。「仕事にも行けなかったのに、どこであいつに?」

妹「朝、バス停で会って、家まで送ってくれたの」

#ごめん、ジンガン嬢のデコルテが美しくて、それどころじゃない(笑)

兄「関わるなって言ったろ」

ぶつぶつ言う兄を眺め、ジンガンが言った。「ウンソンのお母さんみたい」

兄「?」
妹「”ウンソン、同じクラスのジンガンって子と遊んじゃダメよ” そんなこと言って、お兄ちゃんを怒らせたの覚えてない?お兄ちゃん、今そのおばさんにソックリ」
兄「それとこれとは別だろ!お前に一度でも会ってそんなこと言ったんならまだ仕方ないさ!あんな訳のわからんことを… 俺のどこがあのおばさんと一緒なんだよ! 」
妹「前から気になってたんだけど、なんであいつのことそんなに嫌がるの?」

「それは…!」同じ調子でまくしたて、ジングクはそこで口ごもる。「それは…」

兄「イヤな感じだったろ。感じが悪い」

ジンガンはパンパンと手を叩く。「やっぱりね」

妹「(兄に向かってペコリ)こんばんは、ウンソンのお母さん。お元気でしたか?」
兄「やめろ」
妹「芋はやっぱり冷めたのがいいですよね~、ウンソンのお母さん!」
兄「やめろって」
妹「お兄ちゃん。両親がいないから遊んじゃダメだっていうのと、感じが悪いから遊んじゃダメだっていうの、訳がわからないのは一緒よね」
兄「…。」
妹「これからはもっと仲良くしようっと」
兄「ユ・ジンガン。冗談で言ってるんじゃないぞ」

部屋に戻りかけて振り返ると、妹は困ったように溜息をつく。「お兄ちゃん、あいつに辛くあたらないで」
「あいつだって…」ジンガンの胸に、彼の話が蘇る。
彼も両親と早くに別れ、施設で育てられたのだ。

兄「あいつだって何だ?」
妹「…。」
兄「あいつだって何なんだよ?」
妹「ヘサンの人なんだって」
兄「…。」

「同郷同士、そういうのはやめようよ」静かにそう言って、ジンガンは自室の扉を閉めた。

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翌朝。
出社しようと家を出たジンガンは、ふと立ち止まった。
向こうに停まっているトラックの運転席で、ムヨンがぼんやり頬杖をついていた。
彼女と目が合うと、またヒョイと手を上げる。

ジンガン「…。」

彼女が近づくと、ムヨンは窓を開けた。「乗りな」

ジンガン「乗れって?」

ムヨンがうなずく。
ジンガンは言われるまま素直に車に乗り込んだ。

ムヨン「シートベルトしろよ」
ジンガン「うん」

ムヨンは車を発進させた。

ジンガン「何?」
ムヨン「会社、どこ?」
ジンガン「シンサ洞。会社まで乗せてくれるの?」

ムヨンは何も言わず、かすかに微笑む。

ジンガン「わぁ… ビックリ。私は嬉しいけど。何?ここってこんなに人情溢れる町だった?」
ムヨン「今日はちょっと元気そうだな」
ジンガン「元気なら降りろって?ううん、ちっとも元気じゃないわ」

「会社まで行こう」ジンガンは嬉しそうに窓の外を眺めた。

「…。」ハンドルを握りながら、ムヨンの頭の中をユリの言葉が巡る。
”好きなくせに。そんなこともわかんないの?私みたいなバカだってわかるのに”

「ユリって子、大丈夫?」しばらく行ったところで、ジンガンが尋ねる。

ムヨン「あぁ」
ジンガン「どういう知り合いなの?」
ムヨン「俺にとっては”女”じゃない。それでいいだろ」

「…。」ジンガンは呆れて彼を見た。「何よそれ。どういう知り合いかって訊いたのに」
ジンガンがぶつぶつボヤくのを聞いて、ムヨンが楽しげに笑う。

ジンガン「着いたわ。そこの信号の前で降ろして」

ウィンカーを出し、ムヨンはサラリと言った。「明日は30分早く出て来いよ」

ムヨン「デートが短すぎる」

「…。」ジンガンは前に向き直った。「今日はありがとう。あんたとは5分がちょうどいいわ」

車が停まり、ジンガンがシートベルトを外す。
「付き合おう」ムヨンが出し抜けに言った。

ジンガン「…?!」
ムヨン「お前のこと好きなんだ」

唐突なムヨンの言葉に、ジンガンはギョッとして振り返った。「何言ってんのよ」

ジンガン「ほらね、結局怒らせるんだから」

それでもムヨンはまっすぐに彼女を見つめる。「好きなんだって。お前が」

ジンガン「…バカ言わないで」
ムヨン「…だよな。でも、確かめたいことがあるんだ」

彼は少し身を引いて、観察するようにジンガンを眺めた。「そんな気もするし、そうじゃない気もするし」

ムヨン「やっぱりもうちょっと会ってみないとな」

ジンガンは呆れたように息をつく。「あんたが一人でバカ言おうと別に構わないけど」

ジンガン「スンアのこと考えたら、救いようのない気持ちになるわ」
ムヨン「…。」
ジンガン「筋を通しなさいよね」

不機嫌そうに車を降りていくジンガンに、ムヨンはまた表情を変えることすらない。「明日は遅れるなよ」

ムヨン「あの警察官が勿体ないなら、二股掛けられたっていい」

ジンガンがドアを閉め、彼を睨む。「!」

ムヨン「ち~っとも気にしないから」

+-+-+-+

ここで区切ります。

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