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韓国ドラマのあらすじや詳細日本語訳を紹介!セリフを題材にした文法解説も

スイッチ-世界を変えろ 9話 あらすじ&日本語訳

   

チャン・グンソク主演SBS韓国ドラマ『スイッチ-世界を変えろ』9話あらすじを、セリフの日本語訳を混じえて紹介していきます。

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大統領行列を止めるという大胆な作戦は、見事成功に終わった。
現行犯逮捕した外交官チェ・サンヒョンを連れて中央地検へ戻ってきたペク検事(ドチャン)たちを、報道陣が取り囲む。

ペク検事(ドチャン)「本件は我々検察の名誉を賭け…」
ハラ「!」

調子づくドチャンの腕を掴み、ハラは先を急いだ。

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ドチャンたちのアジトで、ジュンスもテレビの速報を目にしていた。

テレビ(記者)「速報です。大統領の中南米訪問に随行した外交官の積荷から新種の麻薬LSDTが発見され、衝撃が広がっています。検察はチェ・サンヒョン外交官を現場で逮捕し、連行しました」

「…。」ふぅっと息をつき、ジュンスは力強い眼差しでテレビを見つめた。

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さっそくチェ・サンヒョンの取り調べが始まろうとしていた。
ヤン部長が見守るモニターブースに、チン次長がやって来る。「ご苦労様」

チン次長「ヤン部長、デカイのを掴んだわね」
ヤン部長「検事長がどうおっしゃるか、それがちょっと…」
チン次長「そこよ。次からは私に報告してからにして」
ヤン部長「はい。…でも、一つ一つ説明するのはちょっと…」

そこへ扉が乱暴に開いた。「何の真似だ!」
検事長だ。

検事長「麻薬犯一人のために大統領行列を止めるとは!私に報告もなしに!」
チン次長&ヤン部長「…。」
検事長「タダでは済まさんぞ。覚悟しておけ」

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「一体どうなっとるんだ!!!」チェ前総理がいっぱいに目を見開き、テーブルを叩いた。
クム代表がようやく口を開く。「まさか大統領行列を止めるとは」

チェ前総理「その外交官は?口止めはしてあるのか?」
クム代表「ファン社長としかやり取りのなかった男です。私や総裁のことは知りません」
チェ前総理「そんな呑気なことを言ってる場合か。資金追跡に家宅捜索もあるはずだろうが!どこで何が飛び出すかわからんじゃないか!塞ぐなり何なりせんか!」

「承知しました」クム代表は鎮痛な溜息をついた。

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すっかり日が落ちていた。
「チェ・サンヒョンさん、そろそろ話しましょうよ」コ係長がウンザリした顔で目の前の容疑者を見つめる。

コ係長「腹が減った。コーヒー3倍も飲んだのに」
チェ・サンヒョン「…。」
コ係長「チェ・サンヒョンが単独でやったわけじゃないでしょう」
チェ・サンヒョン「…。」

ドチャンがモニターブースで見守っているところへ、ハラが二人分のコーヒを手に戻ってきた。

ドチャン「あぁ、サンキュー」
ハラ「どう?相変わらず?」
ドチャン「もう6時間ずっとダンマリだ」
ハラ「黙秘権行使ってわけね」

背もたれに身を沈め、ハラは隣のドチャンを見つめる。「…。」
少し考えて、彼女はさり気なく言った。「彫刻の中に麻薬があるって、どうしてわかった?」

「!」ドチャンが思わずハッとする。「あぁ、まぁ…。何となくな」

ドチャン「特殊な職業に従事する人間の勘っていうかさ」
ハラ「勘だけ信じて大統領随行団の物品を砕いたわけ?」

「それで私が納得すると思う?」ハラの鋭い視線が刺さる。

ドチャン「あのなぁ、オ検査。俺だって黙秘権行使の方法は知ってるぞ。流暢な5ヶ国語で」

#韓国語、英語、日本語、それと中国語?あとは何かなー

ハラ「正直に言いなさい。どこからの情報?」
ドチャン「…。」
ハラ「この件がうまく行ったからって、私が信用すると思った?どこで情報手に入れたか言いなさいよ」
ドチャン「麻薬が見つからなかったらクビだったろ!疑う前に感謝すべきじゃないのか?」

ハラはそれ以上追及せず、コーヒーカップを口に運んだ。

ドチャン「…。」

フィールギャラリーで割れたモアイ像を目にしたことは、決して言えない。
彼は彼だけの目的で『ヒグマ』を先に見つけなければならないのだ。

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朝。
ペク検事に扮し、ドチャンは再びフィールギャラリーのクム代表を訪ねた。

クム代表「将棋を打つにはまだ早いのでは?ははは」

「あぁ」クム代表がたった今思い出したように切り出す。

クム代表「昨日の大手柄、お祝い申し上げますよ。快進撃ですね」

「お礼に来たんです」ペク検事(ドチャン)がようやく口を開いた。

クム代表「お礼?私に?」
ペク検事「初めてここへ来た日、モアイ像を見たんです」
クム代表「…モアイ像を?」
ペク検事「イースター島にある大きな石像。あれをモアイと言いますよね?」
クム代表「ふむ」
ペク検事「開けてみたら、外交官の荷物の中に同じものがあるじゃないですか」
クム代表「ふむ?」
ペク検事「もし中が空洞だったら…?まぁ、どうにでもなれってわけで、砕いたんです」

クム代表が身を乗り出す。「そうしたら、そこから麻薬が出たと!」

ペク検事「…。」
クム代表「おぉ、素晴らしい!」
ペク検事「ここで見ていなければ、想像もしませんでしたよ」

「つまり」クム代表が少し顔を曇らせる。「私がその麻薬事件に関係しているかもしれないと?」

ペク検事「無関係ならばアイディアを与えてくれたことに感謝しますし、関係しているなら…」
クム代表「!」

2人の視線が静かに火花を散らす。
「…。」「…。」

「はははっ!」クム代表が先に沈黙を破った。「ペク検事は遠まわしな表現ってものをご存じない」

クム代表「まさに単刀直入ですなぁ。はははっ」
ペク検事「失礼でしたらお許し…」
クム代表「いいえ。少しでも誤解があれば解いておかないと」

「私は潔癖症なものでね」そう言って、クム代表は手元の受話器を取り上げた。「あぁ、ソン秘書」

クム代表(内線)「前に中南米古代美術展をやりましたよね。証拠書類を全部持ってきてください」

一つの疑問点も見逃すまい。ペク検事(ドチャン)は妙にニコヤカなクム代表の一挙一動を注意深く観察した。

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中南米美術展の資料はすぐさま届けられた。

クム代表「展示会の準備中に破損する場合に備えて、あらかじめ保険に入っておくんです」

「被害請求の資料です」そう言って余裕たっぷりにファイルを差し出した。「ゆっくりご覧ください」

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『05 動く標的』

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チョン・ドヨン検事長は検察庁長官の元を訪れていた。「ペク・ジュンス、オ・ハラ検事の懲戒報告書です」

『題目:検察公務員懲戒委員会 懲戒嫌疑 調査
対象者:ペク・ジュンス検事
嫌疑事実:ソウル地検刑事6部ペク・ジュンスは中南米歴訪後の大統領行列を、令状の発布なく、秘密捜査の一環という名目で検問捜査した。外交積荷の捜索を上部へのいかなる承認手続きもなく単独で進行し、証拠物品を現場にて記者たちに単独で公開したことで、社会を混乱させ、検察の名誉を失墜させた点に疑いの余地はない。この事項は国家公務員法違反および検察公務員法職務業義務に違反いている。
事件概要:ペク・ジュンス検事は秘密捜査を…』

#書類のスクリーンショットを拡大して読み上げてる私の後ろで、息子が「PDFにでもするの?」と苦笑^^;

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処分の決定が下るのを、ドチャンとハラはヤン部長の部屋で待っていた。

ドチャン「検事長、あんまりだよな。俺たちを切らないと気がすまないってのか?」
ハラ「懲戒覚悟で始めたことよ。問題は減俸じゃなくて、停職とか…」
ドチャン「クビ?」

ハラが黙って頷く。

ドチャン「何だよ?じゃあ俺、弁護士になれないじゃないか」
ハラ「冗談言ってる場合?」

「オ検事」ドチャンがニヤリとする。「鼓動が早すぎるから、なだめてやってるんじゃないか」

そこへヤン部長が入ってきた。
「…。」この世の終わりのような顔でソファに腰を下ろすと、「あぁ」と天井を仰ぐ。
ドチャンとハラは緊張して顔を見合わせた。

ヤン部長「ペク・ジュンス検事のことだが…」
2人「?」
ヤン部長「明日から出勤できないだろうか」
ハラ「何言ってるんですか。話すのもやっとの人を、たかが懲戒受けるために引っ張り出すんですか?」
ヤン部長「状況が深刻になった。大統領の意志が強いらしい。検察庁長官が専任チームを作れとな」
ハラ「専任チーム?良かったじゃないですか。徹底的に捜査すればいいんですよ。私たちが望んだ通りじゃないですか」
ヤン部長「大問題なのは… その専任チームのリーダーが…」

「ペク・ジュンス検事だってさ」そう言ってヤン部長はガックリと項垂れた。

ハラ「!!!」
ドチャン「!!!」

2人も揃って頭を抱えたのは当然の反応だ。

ドチャン「そうなったら… 手当は付くんですかね?」
ヤン部長「!!!」
ハラ「!!!」

2人に睨まれ、ドチャンはポリポリと鼻を掻く。
彼らはいよいよピンチに直面した。

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折りしも大統領官邸では、カン大統領が声明を発表していた。

カン大統領「今回の事件については大統領の職位をかけ、検察の全捜査に協力いたします。同時に、関係した者は、地位の高低に関わらず、厳重な法の審判を受けることになるでしょう」

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ハラが車を走らせていた。
助手席に乗せているのは、事故後、ジュンスを密かに入院させていた病院の院長だ。

ハラ「先生、ひょっとしてヤブ医者じゃないですよね?」
医師「ははは、やけにケチをつけますねぇ」
ハラ「ペク先輩、どうして良くならないんです?トランスミッションを交換して、エンジンオイルだって上等品に入れ替えたのに…なぜ?」

「…。」医師は何も言わず、じっと前を見つめたままだ。

ハラ「時間がないんです」
医師「えぇ、最善を尽くしますよ」

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「道中、オ検事にお小言をいただきましたよ」ジュンスの待つベッドの脇までやって来て、医師がこぼした。

医師「ペク検事はどうしてよくならないのかって」
ジュンス「…。」
医師「エンジンオイルを新しいのに替えてくれって。元気に走り回る姿が見たいってね」

「オイルを替えたって仕方ない」医師がボソッと呟き、左胸をトンと叩いた。「エンジンがイカれちまってるのに」

医師「まだ話してないんですか?」
ジュンス「えぇ、まだ…」
医師「周りの方々に準備する時間をあげないと」
ジュンス「今はダメです。私の準備が出来たら話しますから、その時までは黙っていてください」

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診察が終わり医師が帰ると、入れ替わりにハラとドチャンがやって来る。

ハラ「今まではサ・ドチャンに医者の振りをさせて白衣を着せただけ。患者を治療させたわけじゃないわ。でも、今回は違う。実際にメスを握って手術しろってことよ」
ジュンス「…。」
ハラ「しかも、専任チームを作れば刑事も派遣されるだろうし、検事だって補充される。注目を一身に集めることになるわ」
ドチャン「まぁ注目されるのは慣れてるから構わないけど、バレるのは時間の問題かな」
ジュンス「…。」

「先輩は…」ハラはジュンスの体に視線を落とす。「この状態じゃ表に出られないし」

ジュンス「サ・ドチャンさんは十分やり遂げられると、僕は思います」

「?」「!」顔を見合わせるドチャンとハラを、ジュンスは穏やかに見つめた。

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さっそく麻薬捜査のためにチームが結成され、メンバーが新しい部屋に結集した。
ハラ、捜査員たち、そして派遣された刑事たちが準備をしていると、新たに扉が開く。
現れたのはキル・デロ検事だ。

ハラ「先輩もチームに?」
キル検事「稀に見る大事件なんだから、俺みたいなベテラン検事が必要じゃないか?」
ハラ「…。」
キル検事「いやぁ、実に心配だな。検察庁のアウトサイダーがリーダーで、地方大出身者が捜査にのさばってるとは」

#この人のお呼びでない感は世にも見事だよね。清々しい。

キル検事はコ係長が使おうとしていたデスクを横取りし、奥の席に陣取った。

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キル検事は今回のチーム構成について、チョン検事長に直談判していた。「到底納得できません」

キル検事「僕はペク検事より先輩なんです。後輩の下に入れとおっしゃるんですか?」
検事長「ペク検事の下に入れと言ってるんじゃない。私の直系だと証明しろと言ってるんだ」

「あぁ、直系…ですか」キル検事がニヤリとする。

キル検事「専任チームの状況、僕が詳細にご報告しましょう」

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扉が開く。
チームのリーダー、ペク検事(ドチャン)の登場に、キル検事を除く全員が起立した。

ペク検事(ドチャン)「専任チーム長を任されましたペク・ジュンスです。それぞれ挨拶はなさったでしょうから、さっそく本題に入りましょう。チェ・サンヒョンは麻薬組織の運び屋に過ぎません」

さてお手並み拝見とばかりに、キル検事は半ば背を向けたまま、ニヤニヤとペク検事を眺める。

ペク検事「その背後を確実に暴けば、この麻薬組織のトップ、別名”ヒグマ”を捕らえることが出来るはず」

「ナム刑事」彼は各メンバーに仕事を割り振り始めた。「(資料を渡し)チェ・サンヒョンの出入国資料です。この範囲内の銀行をサーチして、取引記録、隠し口座がないか調べてください」

ペク検事「コ係長はFIU(金融情報分析院)へ捜査協力の依頼を」
コ係長「はい!」
ペク検事「(皆に)ご存知の通りチェ・サンヒョンは外交官です。海外にペーパーカンパニーを作っている可能性が高いので、キル先輩は”フィンセン”に協力を要請してください」

「?」不意に指名され、キル検事が戸惑って振り返る。「フィン…何?」

ペク検事「アメリカの金融情報分析機構(FinCEN)です。不正資金が世界数カ国を通して洗浄されるのを阻止するために…」

ペク検事(ドチャン)の耳の中に装着された小さなイヤーモニターから、声が聴こえてくる。
地検のそばに停めた中継車で一部始終を見ているジュンスが、無線機を通して指示を出しているのだ。
イヤーモニターから聴こえてくるジュンスの言葉をそのまま、ドチャンが流暢に復唱しているのだった。

#そのシャドーイング能力、ください!そりゃ5ヶ国語で流暢に黙秘権行使できるはずだわ。

ジュンス&ドチャン「…ワシントンD.Cにいる韓国大使館の情報収集担当官にFinCENへの接触を依頼すれば、遥かにスピーディーです」
キル検事「あ、あぁ。まぁやってみよう」

#一字一句同じじゃないのが逆にリアル。

監視画面に映る捜査メンバーたちがそれぞれ仕事につくのを見て、ジュンスとインテはヘッドフォンを外した。

インテ「ドチャン兄、アバターじゃなくて本物の検事みたいじゃないですか?」
ジュンス「…。」

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チームは捜査本部を飛び出し、捜査に出掛けた。
刑事たちAチームはチェ・サンヒョンの自宅、コ係長率いるBチームは外交事務所の強制捜索を行う。
チェ・サンヒョンの手垢のついたものは一つ残らず持ち帰る意気込みだ。

捜査本部へ戻ってからも、彼らは目まぐるしく捜査を進めた。

刑事「オ検事、コロンビア大使館に連絡がつきました」

ハラがコロンビア大使館とネット通話すべく、PCモニターの前に座る。

コロンビア大使(ネット通話)「(書類を掲げ)チェ・サンヒョンはバハマへ移民するつもりだったようです」
ハラ「バハマですか?!」

「ペク検事!」コ係長が飛び込んでくる。

コ係長「FinCENから連絡がありました!バハマの銀行にチェ・サンヒョンの隠し口座が見つかったそうです」
ペク検事(ドチャン)「口座の入金記録を確認してください」
コ係長「わかりました!」

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にわかに忙しくなったのは検察ばかりではない。
クム代表も対策に追われていた。

クム代表「ファン社長に工場の稼働を停止するよう連絡しろ」
キム室長「はい、すでに停止させてあります」
クム代表「ヤクの販売も全部やめさせるんだ。単独で動かないよう、皆を徹底して取り締まれ」
キム室長「承知しました」

クム代表は深い溜息をつく。
彼はチェ前総理を訪ねた帰り道だった。

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バハマの銀行に捜査が及んでいると聞き、チェ前総理は眉をひそめた。「あの検事、そこまで突き止めたのか?」

クム代表「はい。2重3重に煙幕を張ってありますが、カナダに続いてバハマの隠し口座まで暴かれたとなると、余波は思ったより大きくなるかもしれません」
チェ前総理「そりゃいかん!あそこをやられたら、わしもお前も共倒れじゃないか!」
クム代表「…。」
チェ前総理「この状況、どんな手を使ってでもひっくり返せ」
クム代表「はい、ひとまずは外交官の個人的犯行に持っていかねばなりません。マスコミ方面からの操作をお願いします」

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「バハマの口座まで突き止めたって?」ポンオヤジにも、謎の黒づくめ男から報告が入っていた。
一人になると、ポンオヤジは改めて感嘆の声を上げる。「あいつと競争だな」

ポンオヤジ「… 急がなければ」

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デスクでPCモニターを見つめながら、ハラは無意識のうちに胸の天秤ペンダントを指先で弄っていた。
「変わったペンダントだな」暇そうなキル検事が言う。

キル検事「それって正義の女神ディケーの秤じゃないか」
ハラ「これ?」
キル検事「買ったのか?それとも誰かにもらったとか?」

「…。」女神像を受け取ったあの日のことが、ハラの胸に蘇る。「奪ったんです」

キル検事「奪った?大して良さそうにも見えないけど… 14金?18金?」

#見当違いなところに着目することで、部外者感が伝わりますよね。上手い。

「一つしかない限定品です」ハラがニッコリと微笑む。

キル検事「限定品を横取りしたのか?そりゃ窃盗だぞ」
ハラ「訴えるような人じゃないからご心配なく」

ハラの胸元のペンダントに、ドチャンは密かに目を凝らした。「…。」

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ようやくその日の仕事を終え、ジュンスの元へ帰ってくると、ハラはぐったりと椅子に身を沈めた。
「捜査は…」ジュンスが口を開く。「どこまで進んだ?」

ハラ「借名口座を追ってるわ。ヤツら、いくつも借名口座をバラ撒いてるもんだから、追跡が大変」
ジュンス「そうだろうな。間あいだでペーパーカンパニーも作ってあるだろうし」
ハラ「最後には一箇所に集まるはずだけど、それが誰のものかが問題よ」
ジュンス「サ・ドチャンさんは?どう?」

ハラが身を乗り出した。「捜査の相談は一緒にするけど、最終決済や法的なことは全部私がやってる」

ハラ「段取り上は問題ないから、心配しないで」

「…。」ジュンスは黙って頷いた。
「こうして座ったままでも、先輩の戦略でここまで来られたの。全部先輩のお陰よ」ハラがすかさずジュンスを気遣う。

ハラ「だってそうでしょ?空港での捜査で騒ぎを起こしたのも、あいつらが大統領専用機で麻薬を持ち込むように、わざと誘導したんじゃない」

「ハラ…」ジュンスが穏やかに言う。

#ハラヤ~♪と君が言ったから、 今日が私のハラヤ~記念日♥

ジュンス「はっきり言ったはずだろう?手を組むのは今回一度きりだ。捜査が終われば、僕らは自首して代償を払わなきゃならない」
ハラ「わかってるってば。ちゃんと償うわよ。けど私、”罪”っていう言葉で一括りにされたくないの」
ジュンス「…。」
ハラ「罪ってね、国語じゃなくて数学よ。単語だけ見れば同じだわ。ただの名詞。他人も私も同じ”罪”。でも、実際は違うでしょ?窃盗罪、詐欺罪、暴行罪、殺人罪。それぞれ重さが違うわ」

ハラは胸元の天秤をつまみ上げる。「だから秤があるの」

ハラ「誰の罪が重いのか、公平に判断するために」

ジュンスが柔らかく微笑む。「よく覚えていたね」

ハラ「だから、とにかく… まずはヤツらを捕まえよう。ね?」

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「あんたのお姉ちゃんさ」ハラの母親は妹のソラ相手に今夜もボヤいていた。「その専任チームだか何だか、そこでペク検事に貼りついてるんじゃないの?」

#今どき輪切りキュウリでパックしてる人、久しぶりに見た!

ソラ「とっくにガムみたいに貼りついてるわよ。気にしないほうがいいわ。男女の関係は引き裂こうとするほど離れなくなるんだから」
母「その専任チームだか何だかっての、少しぐらい稼ぎはいいわけ?」
ソラ「稼ぎなんて。仕事はドッサリ増えるのに、給料は同じよ」
母「やれやれ、そんなのゴメンだわ。稼ぎがいいなら認めてやろうかと思ったけど」
ソラ「検事が儲ける道は2つよ。賄賂を受け取るか、スターになって事務所を持つか。ペク検事、今回上手くやればスターになるわね」

「そうなの?」母親がムクリと起き上がる。

ソラ「お姉ちゃんとペク検事、どうしようか。くっつける?引き離す?」
母「慎重に成り行きを見て決めましょ」

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「はぁ」アタッシュケースに詰まったヤクを眺め、チョ社長は事務所で悶えた。「売っちゃいけないなんて。あぁ、勿体ない」
「あっ」大卒が口を開く。「ソウルへ行ってコッソリ売れば誰にも知られないんじゃ?」
「!」「!」「!」皆が顔を輝かせた。

チョ社長「だよな。コッソリ売りゃバレるもんか」

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チョ社長と愉快な仲間たちは、さっそくソウルの街なかへ繰り出した。
通りの路肩に車を停め、舎弟たちにヤクをもたせる。

チョ社長「さっさと売ってこい」

数十メートル離れたビルへ入っていった舎弟たちは、すぐさま一目散に逃げてきたではないか!

チョ社長「何だ?もう売れたのか?」
大卒「大変です!刑事が現れました!」

「!!!」慌てて覗くと、刑事が数人、ビルから飛び出してきて、キョロキョロと辺りを見回している。

チョ社長「おい!早く車を出せ!」

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「こちらの絵をご覧ください」フィールギャラリーでは、本日もクム代表がマダムたちを引き連れ、展示作品を紹介していた。

クム代表「ギリシャ神話に出てくるクロノスという神です」

高層ビルが立ち並ぶ夜景をバックに、今にも赤ん坊に食らいつこうとしている人物が描かれている、かなり奇妙な絵だ。

※元の絵はルーベンスの作品ですが… こんなアレンジしちゃっていいのかどうか…。

クム代表「巨大な鎌で父ウラノスの男根を切り落として去勢させ、宇宙の支配者、すなわち最高位へ上りました」
マダム「食べられそうなのは父親ですの?」
クム代表「いいえ、息子です。支配者となった後、自身の権力を守るため、息子まで食べてしまったのです」
マダム「… やはり権力って恐ろしいものですわね」

そこへ向こうからキム室長がやって来たので、クム代表は彼らから離れた。

キム室長「チョ社長がこっそりブツを売ろうとしたそうです」
クム代表「!」

クム代表はピクリと顔を引きつらせ、そのまま客の方へと戻る。「どこまでお話ししたでしょう?」
キム室長はさっと踵を返した。

マダム「権力を守るために息子まで食べてしまったと」
クム代表「えぇ。こんな言葉があるんです。”権力は空白を許さない”と」

※ジャーナリストであるユ・シミン氏が政治活動から撤退する際、テレビで語ったのが有名だそうです。自分ではなくても、常に誰か権力を握る人がいるものだ、ということ。正確には「自然が真空を許さぬように、権力も空白を許さない」

「権力は父子で分け合うことも出来ません」そういってクム代表はフッと笑った。

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専任チームの捜査員が本部に飛び込んだ。「弘大でLSDTが見つかりました!」

ハラ「売人は?捕まったんですか?」
捜査員「それが…現場にブツだけ残して逃げたそうです」

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チョ社長の失態はチョン検事長の耳にも入っていた。

検事長(電話)「クム代表、どういうことですか。こんな大事な時期にブツを撒くとは」

「ブツとは?」クム代表はしらを切る。

検事長「弘大のことですよ」
クム代表「!」
検事長「これ以上騒ぎになれば、私にも防ぎきれませんからね」

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当のチョ社長たちは、売人や運び屋を仕切っているファン社長の元へ連行されていた。
クム代表が彼らの前に現れる。「ヤクを売ろうとしたって?」

ファン社長「はい。うちのシマに小バエがたかってると思ったら、チョ社長でしたよ」
クム代表「…。」

「た、助けてください!」チョ社長がすがるように見上げる。

チョ社長「店じまいするとき、在庫整理するのは基本じゃないですか」
ファン社長「黙れ!(クム代表に)麻薬取締班のヤツらが弘大一帯を張ってます。今回の件、タダで済ませちゃいけませんよ」

「目を覚まさせてやれ」そう言って、クム社長は背を向ける。

クム代表「死なない程度にだ。わかるな?」
ファン社長「仰せのとおりに」

こうして制裁を受けたチョ社長は、廃ホテルの鉄格子の奥深くへと閉じ込められた。

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「先輩を酷い目に遭わせたヤツら、あとは捕まえるだけよ」車を走らせながら、ハラは電話でジュンスに告げた。

ハラ(電話)「ゴールは目前だわ」

「…。」スピーカーからはジュンスの反応が窺えない。「先輩?何かあったの?」

ジュンス(電話)「果たしてサ・ドチャンさんは何の下心もなく僕のアバター役を引き受けたんだろうか」
ハラ「また騙すつもりじゃないかって?心配しないで。また騙そうとしたら、半殺しにしてやるんだから」
ジュンス「僕はそこが気になるんだ。サ・ドチャンさんが狙う本当の標的…」

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チェ前総理は上空へ角度を上げて弓を構えた。
放たれた矢は丸く大きな弧を描き、数十メートル先の的の中央を射抜く。
上機嫌に笑い声を上げる彼の元へ、クム社長がやって来た。
一緒に来たチョン検事長が進み出る。

検事長「総裁、ご無沙汰しております」
前総理「おぉ、来たか」

もう一度弓を構えると、次の矢を放つ。
矢は再び正確に的を捉えた。

クム代表「命中ですな、総裁!」
検事長「やはり弓道は精神と体力の鍛錬に最適ですね」
前総理「あぁ、チョン君。”標的(관혁)”という言葉の由来は何だと思う?」
検事長「?」
前総理「貫く”貫(관)”に、獣皮の”革(혁)”だ。(的を指し)あの真ん中の革を貫くってことだな。一度放った矢は確実に革を射抜かにゃならん。はははっ」
検事長「はい」
前総理「一度やってみろ」

弓を受け取り、検事長は言われるままに構えてみる。

前総理「もっと上だ。もっと上」
検事長「総裁、的は下にありますが」
前総理「もっと上を見ろ。空にデカい鷲がいるのが見えんか?おぉ、デカいぞ!わははっ」

検事長の視線が空中をウロウロとさまよった。

前総理「デカい獲物を仕留めてこそハンターだ」
検事長「?」
前総理「南山クラブに入りたいそうだな。デカいのを捕まえてこい。わはは」
検事長「…。」
前総理「何をしとる?さっさと撃たんか」

検事長は灰色に煙る雨空を見上げ、高く弓を構えた。

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ここでエンディングです。

うーん、突然トランスミッションが、エンジンオイルが、そもそもエンジンが… とか、ちょっと思いもよらなかった話で、戸惑いますね…。

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