韓国ドラマから美しい言葉を学ぼう

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スイッチ-世界を変えろ 24話 あらすじ&日本語訳

   

チャン・グンソク主演SBS韓国ドラマ『スイッチ-世界を変えろ』24話あらすじを、セリフの日本語訳を混じえて紹介していきます。

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公園のベンチに佇む息子を見かけ、サ・マチョンは隣に腰を下ろした。
「…。」ドチャンの視線が、つい左の義手へ向かう。

「大事なのは手の数じゃありませんよ」マチョンが微笑む。
「こう見えても、すごく大きい手なんですから」そう言って、マチョンは右手を大きく広げて見せた。

ペク検事(ドチャン)「大きな手?」
マチョン「えぇ。この手一つでヒグマを捕まえることだって出来るし、この手一つで検事さんを守ることだって出来る」

ペク検事はキョトンとして自分を指さす。「僕を?」
「もちろん」マチョンがニッコリ笑うと、ペク検事もつられて明るく笑った。「あはは」

ペク検事「言葉だけでも感謝しますよ」

「見ててくださいな」マチョンはギュッと右手を握ってみせた。

ペク検事「…。」

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公園のベンチで談笑するペク検事に向けてシャッターを切り、イム係長は思わず溜息をつく。「女のオの字もないわ」

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さっそくイム係長は撮りためた写真をハラに差し出した。「ほらね、なんともありませんでしたよ」

イム係長「スーパーで買い物して、ただ近所をぐるっと歩いて。(小声で)付き合ってる女性はいませんから~」
ハラ「(小声)そんなんじゃませんから~」

イム係長と別れ、ハラは残りの写真をめくった。「?」

ハラ(心の声)「ポンおじさん?ひょっとして…!」

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「ポン!!!」サ・マチョンからポン菓子屋を譲り受けた男性が、今日も元気にポン菓子を作っている。
そこへ様子を見に来たのが、サ・マチョンだ。「商売は上手く行ってるかい?」

男性「これはこれは旦那さん!いらっしゃいましたか」

男性は帽子を取り、深く頭を下げた。

男性「場所がいいからか、えらく順調ですよ」
マチョン「(ニコニコ)」
男性「機械も材料も全部タダでくださって、この御恩をどうお返しすればいいのか」
マチャン「幸せに暮せばそれでいいさ」
男性「えぇ、わかりました!」

そこへ通りかかったのがハラの母親だ。「あら、旦那さん」

マチョン「あぁ、どうも」

ポン菓子を売っていた当時とは見違えるような整った身なりに、オードリー女史は驚いた様子だ。

ハラ母「どちらの紳士かと思ったわ」
マチョン「あははは」
ハラ母「どちらか遠くへ?」
マチョン「えぇ。かなり遠くへ行くことになりそうです」

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デスクで業務をしていたペク検事(ドチャン)の携帯が鳴った。
”クム・テウン”の名前を見て、周囲に「シーッ」と合図をする。

ペク検事(電話)「はい」
クム代表「ペク検事、明日契約なのはご存知ですよね」
ペク検事「えぇ」
クム代表「ペク検事もぜひいらしてください」

「!」ペク検事の眉がキュッとあがり、忙しく視線が動く。「私が?」

クム代表「一緒にシャンパンをあけないと。この契約、ペク検事が一番の功労者なんですから」

「…。」「…。」ハラと2人、デスク越しに目を見合わせる。

クム代表「素敵な席は素敵な人とご一緒するものでしょう?」
ペク検事「えぇ、わかりました。明日お目にかかります」

電話を切り、ペク検事は戸惑ったように息をついた。「クム・テウンが招待してきた」

ハラ「ちょうどいいわ」
ペク検事「?」
ハラ「先に入って無線で合図をちょうだい。タイミングをぴったり合わせられるわ」

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「明日の作戦を整理してみましょうか」さっそく2人は取調室で詳しく打ち合わせだ。

ハラ「明日、ウェストンホテルのスイートルーム。クム・テウンが2000億の無記名債券を持ってきたら…」
ドチャン「ビクトールは債権を確認し、契約書を差し出す」
ハラ「クム・テウンが契約書にサインする。そのとき私たちが踏み込めば…」

”クム・テウンさん、あなたを特定経済加重処罰法違反で逮捕します” 無事クム・テウンはお縄にかかる、そういうわけだ。

ハラ「とうとうクム・テウンは逮捕。2000億の無記名債券は確保、国庫へ回収される」
ドチャン「国庫に入るのか?惜しいな」

ドチャンの頭の中では、無記名債券を1枚、袖の中に隠すところまでシミュレーション済みだ。

ハラ「ちょっと!そんなこと夢にも考えないでよね!」
ドチャン「想像くらいイイ思いさせてくれよ」

#ないないない!このシミュレーション映像見たらわかるわ。クム・テウンが無記名債券を出してサインして呆気なくお縄?ないないない!

「ところで」ドチャンが身を乗り出す。「ビクトールまで取り調べるわけじゃないよな?」

ハラ「どうして?」
ドチャン「いやさ、捜査協力までしてくれたんだし、事業をやる上であり得る些細なミスくらい、見逃してやろうってこと」
ハラ「…。」

ハラはイム係長から受け取った写真を思い浮かべた。
自分の知らないところで、ポン親父と会っていた、あの写真…。

ハラ「ひょっとして、他に話すことは?」
ドチャン「話?ないけど」
ハラ「ふーん。今回の作戦が終わったら… 待ってなさいよ」
ドチャン「何を?」
ハラ「訊きたいことがたくさんあるの」

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ペク検事(ドチャン)はホテルのスイートルームに、サ・マチョンとビクトールを訪ねていた。

マチョン「とうとう明日か」
ビクトール「ゴールが見えてきましたね」
ペク検事「オ・ハラ検事と作戦を練ってきました。クム・テウンに疑われないよう、ビクトール社長も逮捕することになります」
ビクトール「(頷く)」
ペク検事「そうすればクム・テウンの報復を阻止できるはずです」
ビクトール「ペク検事、ご苦労さまです」
マチョン「苦労を掛けたな」

#↑ここで初めて息子に対する口調になってますね。

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クム・テウンはそっとアナログ・レコードに針を落とした。
重厚で悲しい調べがスピーカーから流れてくる。

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト…。

ペク・ジュンスを装い、初めて会いに来たサ・ドチャンは、「好きな画家は?」と訊かれてそう答えた。
「モーツァルトのレクイエム(鎮魂歌)を聴くと、苦しそうに死んでいく男の肖像が思い描かれる」と…。

※クム・テウンが聴いているものと同じ、ベルリン・フィル・ハーモニー交響楽団の演奏、Swedish Radio合唱団とStockholm Chamber合唱団のコーラスのもの。劇中のレコードジャケットには指揮者名が無く、このジャケット写真自体検索しても見当たらなかったのですが、おそらくリッカルド・ムーティ指揮ではないかと思います。大変美しい演奏です^^

クム・テウン「パーティーを始めようか」

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ハラはデスクで考え込んでいた。「…。」
そこへヤン部長がやってくる。「さぁ、今日かな?クム・テウンの契約は」

イム係長「はい、準備完了です」
ヤン部長「うむ」

「なんだか… 変です。状況が」ハラは浮かない顔だ。

ヤン部長「何が?」
ハラ「(イム係長に)クム・テウン、間違いなく土地やビルを売却しましたよね?」
イム係長「えぇ、私が確かに見ましたので」
ハラ「それなら、その金はみんなどこへ?」
ヤン部長「そりゃ無記名債券に替えて契約することになってるって… 言ってたんじゃ?」
ハラ「(イム係長に)その無記名債券、見ました?」
イム係長「どういうことでしょう?」
ハラ「金を一箇所に集めるのは見たけど、無記名債券に替えるのは見てないわ」
ヤン部長「…。」
ハラ「1日や2日でこっそり出来ることじゃないのに…」
皆「…。」
ハラ「部長、FIU(=金融情報分析院)にお知り合いがいらっしゃるんですよね?」
ヤン部長「あぁ」
ハラ「そこへ行きましょう」
ヤン部長「あぁ、そうだな!」

ハラは上着とバッグを掴んだ。

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詐欺団のアジト。
ボン監督は不器用にノートPCを弄り、ウンジはその横で、そんなボン監督の似顔絵を鋭意制作中だ。
そこへインテが部屋から出てきた。「パンパンウォから連絡が来た」

ボン監督「何て?」

『助けてください、兄貴』
『韓国大学病院201号室』

ボン監督「はぁ、こいつ全く!」

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ボン監督、インテとウンジ、3人は仲良く連れ立ってパンパンウォに言われた病院へやって来た。
「あれだけ金をやったのに、入院費もないのか?」廊下を歩きながら、つい愚痴がこぼれる。

ウンジ「また賭博でスっちゃったんでしょ。賭博は腕を切られてもやめられないっていうし」

「!」ボン監督がふと足を止めた。「…。」

インテ「どうした?」
ボン監督「考えてみたら手ぶらで来ちまったと思ってな。下で何か買ってきてくれ」
ウンジ「そんなぁ。早く言ってよね。何買ってくればいいの?」
ボン監督「アップルマンゴージュース」
インテ「アップルマンゴー?何だそれ?」
ボン監督「ありふれたのを買ってきたって言われたくないからな。なかったら探してでも買ってこいよ。絶対だ」
インテ「…。」
ウンジ「…。」

「早く買って来い」釈然としない2人を残し、ボン監督は一人廊下を歩き出した。

ウンジ「アップルマンゴーなんて」
インテ「…行こうぜ」

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201号室へ辿り着くと、ボン監督は扉を開けて中へ入った。
手前の仕切りカーテンを覗いてみる。「失礼します」
空っぽだ。
辺りを見回した時、一斉に他のカーテンが開き、チンピラたちが顔を出した。

ボン監督「!」

手洗いの扉が開き、ソンドゥが手を挙げた。「Hi、パンパンウォ~♪」

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チンピラたちから逃れ、バルコニーへ出たボン監督は、手すりを乗り越え、意を決して下へ飛び降りた。

#囲まれた所からどうやってここまで逃げたかは不明(笑)

まずは仲間に電話だ。「インテ、罠だ。急いで裏門から車を出せ!」

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クム・テウンとの契約に向かう時間が迫っていた。
ペク検事(ドチャン)はデスクからハラに電話を入れる。「オ検事、何かわかったか?」

ハラはまだFIUにいた。

ハラ(電話)「現金を一つにまとめたはずなのに、それっきり痕跡が見当たらないの」
ペク検事「何時までに確認できる?そろそろクム・テウンに会いに行かないと。もうすぐ契約の時間だ」
ハラ「こっちもフル稼働なんだけど…。とりあえずそっちへ向かって」
ペク検事「わかった。少しでも怪しい点があったら、すぐ連絡してくれ」

#いやいやいや、痕跡が見当たらない時点で「少しでも怪しい点がある」でしょうよ

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ビクトールの滞在するスイートルームにドチャンが到着した。
そこで待っていたのは、ビクトールだけだ。

ペク検事(ドチャン)「クム・テウンはまだ来ていないんですか?」
ビクトール「えぇ、まだ」

そのとき、ビクトールの電話が鳴った。
キム室長からだ。

ビクトール(電話)「え?契約場所を変えようって?…わかりました」

通話はあっさり終わった。

ペク検事「契約場所を変えようって、どういうことです?」
ビクトール「クム代表が仁川で人と会っていて時間がないそうです。そちらへ来てもらいたいと」

#いやいやいや、何で時間厳守しなきゃいけないのか。そもそも2週間の期限を決めたのはビクトールだ。

ペク検事「…。」
ビクトール「大したことじゃありませんよ。金の用意も出来たようですから、行ってみましょう」
ペク検事「…。」
ビクトール「今回の件が終わったら、お父さんと長年の想いを晴らすといいですよ」

#お気楽すぎるだけでなく、考え込んでいるドチャンを急かすビクトール

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ドチャンは仕方なく、クム・テウンの指定した場所へ車を走らせた。
道中、ハラに電話を入れる。「クム・テウンが契約場所を変えた」

ハラ(電話)「どこに?」
ドチャン「仁川方面だ。メールで送る」
ハラ「何で変えたのかな」
ドチャン「とりあえずそっちへ行くから、妙なことがあったら連絡してくれ」
ハラ「うん」

電話を切ると、PCに向かっていたFIUの職員が振り返った。「ちょっとこれを見てください」

ハラ「何です?」
FIU「あちこちに散らばっていた金が一箇所に集まっています。リヒテンシュタイン… タックスヘイブン(租税回避地)として世界一有名な場所です」
ヤン部長「口座の名義は誰です?」

PCモニターに情報が映し出される。

FIU「WCON COMPANYですね」
ハラ「その会社、代表はひょっとしてクム・テウンですか?」
FIU「SIMON JOです」
ハラ「SIMON JO?(ヤン部長に)ご存知ですか?」
ヤン部長「初めて聞く名前だが」
ハラ「SIMON JO、誰かしら…」

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命からがら逃げ出したボン監督は、無事インテたちの車に拾われた。

インテ「チョ・ソンドゥのヤツ、人の誠意を利用しやがって!」

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ペク検事(ドチャン)とビクトールが指定された大きな廃倉庫の扉をくぐると、そこにキム室長が待ち受けていた、

#ないないない!こんな怪しい倉庫に呼ばれた時点で、ない!何で入っちゃうの?

キム室長はいつものスーツ姿ではなく、『動きやすい服装』だ。

キム室長「代表から特別に指示がありました。しばらく携帯電話を預けてください」
ビクトール「契約したいと言っておいて、何と失礼な」
キム室長「セキュリティを重視なさる方ですから。ご理解をお願いします」

「…。」「…。」ペク検事とビクトールは無言で顔を見合わせ、言われたとおり携帯電話を差し出した。

#ないないないないな(以下略

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荒れた廃倉庫の真ん中に重厚なテーブルと椅子が用意されている。
そこで待っていたクム・テウンが彼らを見て微笑んだ。

クム・テウン「申し訳ありません。大きな契約なので準備することが多くて。お掛けください」

2人は向かいの椅子に腰を下ろした。

クム・テウン「この契約が成立するまで、ペク検事にずいぶんお骨折りをいただきました」
ペク検事「…。」

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FIUでの議論はまだ続いていた。

#契約成立した瞬間にハラたちが踏み込むことになっていたはず。この時点で契約会場近くに誰も待機していない模様なので、作戦自体成り立っていない。

ヤン部長「金が全部そっちへ流れ込んでるってことは…」
FIU「地下経済市場の流れまで全て見ましたが、2000億、無記名債券に替えた人はいないというのが結論です」
ハラ「債券を作った人が居ない?!」
ヤン部長「ってことは、一体クム・テウンは何をもって契約を?」

「…。」ハラが愕然とする。「罠だわ」

ヤン部長「!」
イム係長「!」

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「債券は持って来られましたか」ビクトールが手続きの開始を切り出した。

クム代表「もちろんです。契約書の準備は出来ていますよね?」

「もちろん」ビクトールがテーブルの上のアタッシュケースを開き、書面を差し出す。
その間も、クム・テウンは隣で黙っているペク検事から目を離すことはない。
ペク検事の堅い表情を、どこか楽しんでいるようにさえ見える。

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病院から逃げ出したボン監督たちは、目立たない駐車場に車を停めていた。
ボン監督が2階から飛び降りた際に怪我した腕を、ウンジに手当てしてもらう。

インテ「ドチャン兄、電話に出ない」
ボン監督「!」
ウンジ「今日クム・テウンに会うって言ってたよね」
インテ「…。」
ボン監督「ひょっとして… クム・テウンが俺たちまとめて片付けようとしてるんじゃ?!」
インテ「!」
ウンジ「!」

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契約書を差し出されたクム・テウンは後ろのキム室長を振り返った。「シャンパンは準備出来てるな?」
「はい」キム室長がテーブルに用意されたシャンペンを覆っていたナプキンを剥がす。

ビクトール「いや、契約が成立する前にシャンパンを開けるんですか?」

#24話最大かつ最悪の能天気発言

クム・テウンが立ち上がる。
「成立していない?我々がこうして一堂に会したじゃないですか」そう言って、2人の前にシャンパングラスを差し出した。
ひょいと栓を抜き、3人分のグラスにシャンパンを順に注ぐ。
ペク検事のグラスにシャンパンを注ぐ間… 2人の視線が冷ややかにぶつかった。「…。」「…。」

クム・テウンは自分のグラスを掲げると、テーブルに置かれた2つのグラスにカチンと合わせ… ペク検事を見下ろした。

「実に… 素晴らしいスイッチだった」

ペク検事「!」
クム・テウン「サ、ド、チャン」

#こんなときにゴメン。クム・テウンがスイッチという言葉を使うのは違和感あるよね

「!」時間が止まったかのように見上げるペク検事に、クム・テウンがニヤリとほくそ笑む。
シャンペンを一気に流し込むと、グラスを思い切りテーブルに叩きつけた。

それが 合図 だ。
隠れていた男たちが一斉に幕の中から姿をあらわす。
あっという間にペク検事たちは囲まれてしまった。

クム・テウン「俺を引っ掛けるつもりだったか。はははっ!」
ペク検事「…。」
クム・テウン「実に素晴らしかった。少しの間、ほんの少しの間でもこのクム・テウンを騙したんだから。はははっ!」

ペク検事がようやく口を開く。「何のことでしょう。悪ふざけが過ぎますね」
「悪ふざけ?」クム・テウンがニヤニヤと訊き返す。「悪ふざけねぇ」

クム・テウン「ちゃっかりジャージャー麺を奢らせたチビが、検事になって現れたせいで、どれだけ被害をこうむったと思う?」
ペク検事「…。」
クム・テウン「麻薬事業もダメになった、念入りに温めてきた政権獲得までダメになった。ビクトールを利用したのも全部お前の計画だろう。俺の全財産、ごっそり搾り取ろうって計画だ」
ペク検事「…。」
クム・テウン「サ・ドチャン、20年も経つのに、そんなに父親の仇が討ちたかったか」
ペク検事「…。」
クム・テウン「20年前、お前も一緒に消しておくべきだった」
ペク検事「何の…ことだか。私はサ・ドチャンを売ろうと…」

「そうさ!」クム・テウンが遮る。「サ・ドチャンを売ると言った男、あれは本物のペク・ジュンスだった」

クム・テウン「賄賂のせいで検事の職までフイにしそうだったから、訪ねてきたんだろう。まさに… サ・ドチャン、お前の計画で送り込んだんだ」

「な?」クム・テウンがペク検事の顔を覗き込む。
じっとクム・テウンを睨みつけたまま… ペク検事は眼鏡を外した。「私は大韓民国検事ペク・ジュンスです。失礼が過ぎますね」

クム・テウン「もうやめろ!サ・ドチャン!」
ペク検事「…。」
クム・テウン「お前とペク・ジュンスがグルだって俺が知らないとでも思ったか!!!」
ペク検事「!」
クム・テウン「まずはその首を取って… ペク検事も許しはしないからな!!!」
ペク検事「…。」
クム・テウン「どうした?それなら肩の火傷、もう一度見せられるか?」
ペク検事「…!」

クム・テウンの合図で、キム室長が動く。
ジャケットを脱がそうとした瞬間…

とうとうそこは乱闘となった。
ドチャンが手当たり次第に周りのものを掴み、チンピラたちを振り払う。
その”悪あがき”ぶりを、クム・テウンが愉しげに見物した。

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ハラはドチャンの居場所へ向かって、まだ車を走らせていた。
当然ながら、彼が電話に出ることはない。
彼女はハンドルを握りながら、それでも何度も電話を掛けた。「お願いだから出て」

ハラ「行かせるんじゃなかったわ!罠だったのよ!クム・テウンのヤツ…」

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逃げ回るうち、チンピラの振り下ろした棒がドチャンの肩に命中した。「ああっ!」
彼は床に転がり、うめき声を上げる。

クム・テウン「あの世の父親の元へ送ってやる。向こうで涙の再会でもすればいいさ」
ドチャン「!」
クム・テウン「その光景が見られなくて残念だ。ははははは」

そのときだ。

倉庫のシャッターが突如上がり始める。「?!」
パワーショベルが入ってきたかと思うと、その大きなアームを巧みに操り、チンピラたちを払いのけ始めた。

クム・テウン「何だ?」

「?」ドチャンは運転席に目を凝らす。「… 父さん!」
クム・テウンもまた、運転席の男に目を見張った。「サ・マチョン?!あの男がどうして!」

ある程度チンピラたちを退けると、マチョンはぐるりとハンドルを切った。
床に座り込んでいるドチャンへアームを向けると、親子の目が合う。「…。」
何も言わず力強く頷くと、彼はドチャンの上からアーム先のバケットをすっぽり被せ、それを切り離したのだ。

ドチャン「!」
マチョン「どうだ?父さんの手はデカいだろ?はははっ」

運転席から降りたマチョンは、もう戦力をもたない。
あっという間に袋たたきにされ、その場にうずくまった。

バケットに閉じ込められたドチャンに聞こえるのは、ただただ人が殴られる鈍い音だ。

ドチャン「わぁあああ!!!」

マチョンがクム・テウンの前に引きずり出される。

クム・テウン「俺は幽霊でも見ているのか」

マチョンは怒りに満ちた目でクム・テウンを睨み上げた。

クム・テウン「20年隠れて生きてきたのに、なぜ今さら?」
マチョン「…。」

「!」はたと気づいたように、クム・テウンはマチョンの前にかがみ込む。「地獄の門… この詐欺劇はお前の計画だったのか?」

マチョン「ふふふっ…。あぁ、お前を倒すために用意した贈り物だ」

「わはははは」2人は顔を見合わせ、思い切り笑った。

マチョン「地獄の門、悪魔にはうってつけだろ?」

大笑いの末、クム・テウンは手を叩いて喝采する。
立ち上がると、チンピラたちに目配せをし、背を向けた。
再び、マチョンをチンピラたちが取り囲む。

ドチャン「(バケットの中)ダメだ!触るな!やめろーーーっ!うわぁーーーーっ!」

ひととおり痛めつけると、チンピラたちがマチョンの腕を掴み、クム・テウンへ向き直らせる。

クム・テウン「なるほど完璧に見えるわけだ。長い間ずいぶん準備したとみえる」
マチョン「…。」

「だが、残念だったな」クム・テウンはゆっくりと首元のネクタイを外す。「引っ掛けたのは俺の方だ!!!」
そのネクタイで、マチョンの首を力の限り締め上げた。

「兄貴ーーーっ!!!」取り押さえられたまま、動けないビクトールの叫び声が響く。

マチョン「息子に手を出したら… 墓の中からでも蘇ってやる。この悪魔め!!!」

クム・テウンが一層力を込めた。「!」
「兄貴!!!」ビクトールの叫び声を最後に、その場は静かになった。

ドチャン「!!!」

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警察の車がサイレンを鳴らし、現場に到着した。
カン刑事が一番に飛び出し、倉庫へ駆け込む。

「ここです!すみません!!!」ドチャンの声に気づき、直ちにフォークリフトでバケットが取り除かれた。

#全員でドチャンの救出に掛かったんじゃないだろうな

カン刑事「ペク検事、大丈夫ですか?」

カン刑事を振り払い、ドチャンは周囲を探す。
マチョンは隅っこのビニールシートの上に寝転されていた。「父さん!父さん!」

ドチャン「父さん、しっかりしろよ。しっかりしろって!」

息子の懸命の叫びに、マチョンはうっすら目を開ける。「ドチャン…」
マチョンが差し伸べた右手を、ドチャンは固く握りしめた。「死ぬ前に息子の名を呼べた…」

ドチャン「何言ってんだ、誰が死ぬんだよ?起きろって!」
マチョン「お前に会えて本当に嬉しかったが、積もる話もできずに行くのは惜しいな…」

「!」ドチャンの目から涙が流れ落ちる。
「俺は罪深いから地獄へ行くだろう」マチョンは血だらけの顔で、それでも笑みを浮かべる。「俺たち、同じ場所で会うのはよそうな」

ドチャン「どこへも行くな。今はダメだ!ダメだって!!!
マチョン「ふふふっ、こいつめ。相変わらず鼓動が早いな。詐欺師はな、鼓動がゆっくりじゃなきゃダメだ」

ようやくハラの車が現場に到着した。
倉庫へ飛び込んだ彼女は、ドチャンたちの姿に立ち尽くした。「!!!」

#ハラの車が到着したときの、「もうすっかり事が終わった感」ったら…ㅠㅠ

「…。」ただ穏やかに微笑んでみせる父に、ドチャンはもう溢れる涙を留めることができなかった。
「ドチャン」父が囁く。

マチョン「お前は俺のようには生きるな。この人生は… たった一度だ」
ドチャン「…。」
マチョン「この世で一番デカい詐欺は… 一人の人の心を完璧に手に入れることだ。どうかお前はそうやって平凡に… 仲良く暮らしてくれ」
ドチャン「わかった。わかったから!死ぬな、死ぬなよ!!!」
マチョン「息子よ… すまない」
ドチャン「!!!」
マチョン「罪深い俺のせいで、お前まで…」

しっかり握られていた手が、息子の頬へ伸びる。
愛おしげにそっと頬をなぞると… マチョンはガックリと首を垂れた。

ドチャン「父さん… 父さん?… 父さん!!!!!」

+-+-+-+-+

ここでエンディングです。

さんざんここでツッコんでやろうと思っていましたが、最後のシーンを訳したら、あまりそんな気分ではなくなっていました。
(本文中でじゅうぶんツッコんでるだろ!という声もあるとは思いますが:笑)

ツッコむも何も、はなからおかしいです。
一言でいうなら、「らしくない」。全てが「らしくない」です。

3人でノコノコとパンパンウォに会いに行くボン監督たち。(←結果的に複数で行ったことは正解でしたが)
主導権をクム・テウンに奪われて言われるがままのビクトール。
何の用意もなしに体一つでクム・テウンの懐に飛び込むドチャン。
疑わしいのに作戦を止められなかった刑事6班チーム。
長年かけて準備してきた作戦を、こんな形で終えてしまったマチョン。

はぁ…。

ただ一つ、クム・テウンはこれで殺人または殺人未遂の罪状が付いたはず。
これまでのようにフィールギャラリーに腰を据えることは出来ないだろうし、状況は大きく様がわりすると思います。
素晴らしいキャラクターたちが、彼ららしく描かれるよう、期待します。

パンパンウォよ、お前のことはもう知らん。

 - スイッチ~君と世界を変える

Comment

  1. yachan より:

    訳、ありがとうございます。
    ここへ来て、なんで突然こんな強引な展開になってしまったんでしょうね?
    グンちゃんの迫真の演技はすばらしかったですが、すっかりこのドラマのサイダー路線が台無しになってしまったと思います。
    そしてさらに引っかかったのはサマチョンの死際のセリフ。
    「この世で一番デカい詐欺は… 一人の人の心を完璧に手に入れることだ。どうかお前はそうやって平凡に… 仲良く暮らしてくれ」
    人の心を完璧に手に入れられるって韓国の方、男性?は本当に思ってるんでしょうか?
    このセリフのあまりの違和感に気後れがしたままの私です。(^_^;)

  2. maachan より:

    長年かけた作戦に検事ペク・ジュンスに扮した息子が絡んで来たことによって、作戦を変更したのでは?ベクジュンスを契約に同席させるというクムテウンの変更にドチャンだとバレてると察知して、クムテウンをベクジュンスを証人として殺人罪で追い込む作戦に変更したのでは…だからわざわざ一人で乗り込んだのでは?…しかしその前にドチャンに手が大きいと言ってるからあの時には…しかしあの時は契約場所はホテルだったけど…クムテウンが契約場所を変更すると読んでた?
    こうしてあれやこれや考えるのも楽しい時間なんですけど(^o^;)
    しかし細かいところは全部すっ飛ばして先に話は進みそうでw
    マチョンも、死なないで死ぬなんてあり得ない!という意見も多いので…息を吹き返す?

  3. Mily より:

    いつもありがとうございます。
    一度アップされると何度も読みに来ます。

    今回は、いくつものセッティングが絡み合ってこんな風になってるのでは。。と思いました。
    「マチョンとビクトール」「マチョンとビクトールとドチャン」「ドチャンと検事6課チーム」それぞれがたてた筋書き。
    多分マチョンとビクトールは全てわかっていた。 計算違いはクムテウンがジュンスとドチャンのスイッチを知っていたこと。 あんな風にクムテウンが一筋縄ではいかないこと、もしかしたら自分が殺されるかもなこと、マチョンには想定内だったのかも。寧ろ筋書きのひとつ。 ドチャンには「組んで詐欺をしよう」と言ったものの知らせてない部分があったのだと思います。
     当初の筋書きとは違ったのかもだけど、20年かけて積み上げてきたセッティングが潰える無念さはマチョンの死に際には無かったように思います。 父親らしいこともできたし、すっかり逞しく成長したドチャンが、きっと後は完成させてくれると信じられるから… 
    そしてSiMon Joはサマチョンか?…
    なあんて想像ばかりしながら次回からの展開を楽しみにしているのです。
    今回はこのあとに待ってる最高のサイダーのための、コグマのあばれ食いだったのではとひとり妄想しています!
    だからお願いソンベは遠くにいかないで!

    長々と失礼しました。
    ユジナさん、ほんとにいつもありがとうございます。

  4. FU~ より:

    24話だけ他の人が本を書いたのか?って思うくらい「らしくない」ですよね。
    今まで「そうきたか!」って思わせてくれるくらい用意周到だったドチャンが、丸腰のまま罠にはまってしまったり。
    ってか、父親あっさり殺しすぎ!!><
    みんな納得いってない24話でした。
    今後の展開がすっきり爽快サイダーになることを期待!!

    >パンパンウォよ、お前のことはもう知らん。

    ああ、見捨てられてしまった(笑)

  5. nao より:

    ユジナさん、GW返上で訳して下さり本当にありがとうございました!
    最後のドチャンとサマチョンのやりとり、気になっていたので理解出来て嬉しかったです。色々腑に落ちないストーリー展開ではありますが、今週でまさにサイダードラマ!となる布石と信じたいです。
    私の1番のらしくないは、ハラです。
    そもそもペク先輩のためにドチャンを法を犯してまで連れて来たのに、なんか最近ドチャンとラブラブで、心臓のことがわかってもペク先輩は同僚が倒れたくらいの扱いな気が(^^;)
    ペク先輩、酷い状況にもかかわらず、巨悪を倒すため奮闘している姿が泣けます。

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