韓国ドラマから美しい言葉を学ぼう

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マンホール-不思議の国のピル9話あらすじ&日本語訳vol.1

   

ジェジュン(JYJ)、ユイ、チョン・ヘソン、バロ(B1A4)出演のKBSドラマ『マンホール 不思議の国のピル』9話のあらすじを、細かいセリフの翻訳を混じえて紹介します。

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”危機から救っても、お前はまったく覚えちゃいない。
俺たち、何度も互いの気持ちを確かめあったけど、俺の告白も、お前の告白も、全てなかったことになる。
俺がマンホールを通った瞬間、タイムスリップした過去と現在は全部リセットされるから。
皮肉にも、俺が過去でとった行動のためにお前とジェヒョンさんは次第に親しくなり、
勝手が悪い事情は、むしろリセットされない。
チンスクが俺のことを好きなのは、真実だったから。
スジン、俺はどうすべきなんだろう…。
どうすればお前を取り戻せるんだろう…。”

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ふと気づくと、ピルは暗闇の中にいた。「何だ?どこなんだ?」
上に見える小さな穴から、光が差し込んでいる。マンホール?「閉じ込められたのか?おい、マンホール!蓋を開けてくれないと!」

途方にくれていると、ぼんやり幻影が見えてきた。「何だ?」
スジンが美しいウェディングドレスに身を包み、結婚式の準備をしている。「わぁ♪」
黒いタキシードの男がやって来て、彼女の前に跪いた。
薬剤師!”本当に綺麗な新婦だ”

ピル「何なんだ?結婚式が始まるのか?おい、ダメだ、スジン!その結婚はダメだって!」

はっ!!!
ピルは夢にうなされて目が覚めた。

ピル「???」

#マンホールを通る間に散髪してる(笑)

そこは、自習室だ。
ピルの叫び声に、隣の席のソクテが振り返って眉をひそめた。「静かにしろよ」

ピル「ソクテ、今日は何年度だ?」
ソクテ「俺、ずっとお前といるのに、なんでいつまでも慣れないんだろうな?2014年度に決まってるだろ」
ピル「2014年?」

ピルは素早く考えを巡らせる。「2014年なら兵役を終えたばかりだな。それにしても何で突然スジンの結婚式の光景が?現在じゃスジンの結婚話が進んでるってことか?参ったな…」

机に向かって、ソクテは何やら熱心にペンを走らせている様子だ。
「なぁ、ソクテ」ピルに話しかけられて、ソクテは慌ててそれを隠した、

ピル「最近スジンはどうしてる?」
ソクテ「どうしてるって、スタジオでアシスタントやってるじゃないか」
ピル「あぁ、そうだ。そうだったな。(ソクテの手元を覗き込み)ところでお前、何してるんだ?」

「!」ソクテはピルをにらみ、唇を尖らせた。「お前、チンスクの誕生日プレゼント、どうするんだ??」

ピル「チンスク?」

チンスク…
ピルの心のなかに、重苦しい場面が蘇る。
彼女がずっと胸に秘めてきた思いを知ったのは、ついさっきのことだった。
「あぁ…」彼は頭を抱えた。

ソクテ「お前、まさか今日チンスクの誕生日だって忘れてたわけじゃないよな」
ピル「あぁ、チンスク、ダメだって…」
ソクテ「何がダメなんだよ。金がなくてそんなこと言ってんだな。貧乏な公務員浪人、チンスクだってわかってくれるさ。気持ちがこもってれば十分じゃないか?」
ピル「チンスクの気持ちを何とか逆戻りさせないといけないのに、顔も見られそうにない…」

『チンスクへ❤
チンスク~ 誕生日おめでとう。
俺の気持ちを全部あらわすのに、この手紙じゃ足りないけど、言いたいんだ。
俺、実はすごくお前が好きだ…
Would you marry me? *^^*』

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どうしていいやらわからず、ピルの足はマンホールへと向かった。

ピル「何でよりによって3年前?どうせなら高校時代に送ってくれたらどうなんだ?そうすりゃ俺だってやりようがあるだろ。一体何からどうすりゃいいんだ?」

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チンスクの家。

まだチンスクがぐっすり眠っているうちに、スジンは台所で手早く料理を作った。
オモテの縁台にご馳走をすっかり並べると、起こしたチンスクに目隠しをして、そこまで連れてくる。

「ジャーン!」スジンは得意気に目隠しを外した。「お誕生日おめでとう」

チンスク「こんなのいつの間に用意したの?あんた、今日撮影なんでしょ。遅刻しない?」
スジン「ちょっと!仕事より友だちでしょ。あんたの誕生祝いのご馳走、私が欠かしたことある?」

「座って」二人は向き合ってテーブルに着いた。
そこへやって来たピルは、二人の姿に気づき、思わず身を隠す。「!」

スジン「あんたの好きなチャプチェとプルコギもちゃんとあるわよ」
チンスク「スジン、ありがとう。おばあちゃんが心配してたのよ。誕生日、一で寂しいんじゃないかって」
スジン「おばあさんにそんな心配しないでって伝えて。あんたの誕生日だけは私が一生責任持つからさ」
チンスク「ちょっと!”一生”ってのは取消よ。私だって彼氏が出来たら、彼氏が祝ってくれるだろうから」
スジン「あら~さようでございますかぁ。彼氏が出来てからおっしゃってくださいな」
チンスク「あらま~その言い方は何ですの~?おばさん!」

「あぁ」チンスクは空を見上げた。「誕生日祝いに空から彼氏が降ってくればいいのに」

スジン「空じゃなくて周りを探しなさいよ。イイ男いないかどうか」
チンスク「…。」
スジン「さっさと食べよう。私がお祝いの歌を…」
チンスク「ストップ!」(←可愛い^^

「いただきます」チンスクは匙を手に取り、スープを啜った。

スジン「毎年歌わせてくれないわ」
チンスク「(スープを飲んで)うーん!カン・スジン、ホント美味しいよ。あんた写真じゃなくて料理に進むべきね」
スジン「そう?」
チンスク「OK、うちの店に採用。契約しましょ」
スジン「結構よ、毎年同じこと言っちゃって」
チンスク「何でよぉ、こんなに美味しいのに」

「…。」仲のいい二人を前に、ピルは静かに背を向けた。

9話『時として友情は愛よりも苦しい』

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ピルはふたたびアテもなく歩いた。「どうやってスジンの誤解を解いて、チンスクの気持ちを向こうへ向ければいいんだ?」

「…。」ピルはふと立ち止まった。
頭に浮かんだのは、チンスクの部屋の引き出しにあった、”配達されなかった手紙”だ。

ピル「あれをどうすれば?チンスクに言って返してもらおうか。いや、ダメだ、そんなことして、またチンスクに告白されたら困る。あ、そうだ!今、過去だよな。それならチンスクが手紙を持っていったことはリセットされてるかもしれないじゃないか」

#ちょっと待った。最後早口で、もしかしたら時制を聞き間違えてるかもしれないけど、ここおかしいよね?
【追記】もう一度よく考えてみました。チンスクが手紙を横取りしたのは、前回タイムスリップした地点から現在の間。だから、前回ピルがタイムスリップしたとき(入隊前日)の影響を受けて、”元々とは変わってしまった事項”の可能性があります。タイムスリップした入隊前日には、チンスクの嫉妬心を煽ってしまったので、その可能性が高いですね。それで”リセットされてるかも”とピルは期待したのかと。そして、一度現在へ戻ってからもう一度タイムスリップすると、前の分はリセットされるはずなので、リセットされてないと逆におかしいのです。ってこのややこしい説明の伝わる方がどれくらいいてくださることか(涙)

「よし」ピルが走り出そうとしたところへ、誰かがピルを呼び止めた。
スジンの母親だ。

スジン母「さっぱり見ないと思ったら、勉強してたのね」
ピル「あぁ… えぇ。僕もそろそろ大人にならないと」
スジン母「そうね、それがいいわ。人は大人になった途端死ぬって… あら、私何言ってるのかしら」
ピル「…。」
スジン母「ところで、どうしてうちのスジンとよそよそしいの?私また喧嘩したのかと思ったわ」
ピル「え?」
スジン母「ピルが軍隊から帰ってきてから、あんたの話をしたらスジンは顔がこわばっちゃって。まるで嫌ってるみたいに…」
ピル「…。」
スジン母「あら、私何言ってるのかしら。とにかく、スジンと仲良くしてちょうだい。うちにも遊びにいらっしゃいよ」

「じゃあね」軽快に手を振り、スジンの母は立ち去った。

#これまでよくわからなかったけど、スジンのお母さんはピルにとても好意的なんですね^^相変わらず、変わった人だけど。

ピル「はぁ、スジンはやっぱり俺に腹立ててるのか。俺から手紙の返事がないからに違いない。とにかくまずは手紙を手に入れよう。じゃないとどうしようもない」

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スジンは眺めのいい公園に来ていた。
カメラマンとして、顧客の結婚写真の撮影に来たのだ。
固い新郎新婦の緊張をほぐし、明るく盛り上げる。

撮影本部の天幕では、上司が彼女の様子を見守っていた。
そこへ、差し入れをぶら下げて現れたのは…ジェヒョンだ。「先輩」
彼は空いている椅子に腰を下ろし、イキイキと撮影をするスジンを眺め、顔をほころばせた。「…。」

ジェヒョンに気づき、スジンは一旦休憩を挟むことにする。

ジェヒョン「お仕事されてる姿、普段とだいぶ違いますね。カッコイイですよ」

スジンは戸惑ったように苦笑する。「今日は薬局へはいらっしゃらないんですね」
「あぁ!」そこへ上司が割って入った。「ジェヒョンが今日休みだっていうから、遊びに来いって言ったんだ」

上司「気晴らしも兼ねてな」
ジェヒョン「僕、お邪魔じゃないですよね?」
スジン「いえ、邪魔だなんて」
上司「一緒に食事でもするか?」
ジェヒョン「いいですね」

「ああっ!」上司はわざとらしく声を上げた。「ランチの約束があるのを忘れてた」

スジン「えぇっ?」
上司「参ったなぁ」
ジェヒョン「(ニコニコ)」
上司「ジェヒョン、スジンと一緒に食事をしたらどうだ」
スジン「!」

「ジェヒョン、頼んだぞ」上司は二人を残してあっという間に消えた。

スジン「代表!代表!(困惑)代表、なんで行っちゃうのかしら」
ジェヒョン「せっかくですから一緒に昼食にしましょう。サンドイッチを用意してきたんです」
スジン「… 二人で?」

ジェヒョンは爽やかに笑った。

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とりあえずチンスクの家の前まで来てみたところで、ピルは足を止めた。「どうすれば?」
と、そこへチンスクが出掛けていくのが見える。「…。」

彼は玄関前のゴミ袋の下に鍵を見つけ、まんまとチンスクの部屋へ忍び込んだ。

ピル「ごめんな、チンスク。俺もここまでしたくはなかったけど、仕方ないんだ。お前のプライバシーはとことん守りつつ、手紙だけ… 手紙だけ貰っていくから」

ピルはまっすぐ奥へと進み、あの引き出しを開ける。「あれ?ここにあったのに」
目当ての封筒の代わりに、彼の目に入ったのは、写真だった。「?」
大切にしまってあったそれは、高校の頃の自分とチンスクの写真だ。

写真を見つめ、ピルは溜息をついた。「チンスク、お前、何で俺みたいなヤツが好きなんだよ?」
と、そこへ突然玄関の開く音がする。
「!」慌てて写真を引き出しに戻し、コンロにあった鍋を手に取ってみたところで、帰ってきたチンスクに見つかった。「ちょっと!」

ピル「ん?」
チンスク「あんたそこで何してんの?」
ピル「あ、あぁ、お前の誕生日だから、わかめスープ作りに来たんだ」
チンスク「(空の鍋を覗き)わかめもないのに?」
ピル「え?あぁ、ホントだ!家に置いてきたみたいだ」
チンスク「(疑惑の目)」

「わかめ持ってくる」逃げるように玄関へ向かうピルの肩を、チンスクが掴んだ。「ちょっと!」

ピル「!」
チンスク「正直に言いなよ。ひょっとしてあんた、へそくり盗みに来たんでしょ」

「もう!」ピルの肩を思い切り叩く。「友だち同士でそういうのやめようよ」

ピル「違うって、何言ってんだよ。わかめスープ作りに来たんだってば」
チンスク「ホントに?」

「違う気がするけど」チンスクは無理やりピルの腰のポケットを探った。

ピル「ホントに違うんだ」

揉み合っているうちにバランスを崩し、図らずもピルが彼女に押し倒された体勢になってしまった。「!」「!」

「あ…」長い沈黙のあと、ピルは彼女の両肩を掴んで立ち上がる。「ホントに違うってば」

チンスク「…。」
ピル「わかめ持ってくる。また…後でな」

ピルは急いで部屋を出た。
一人になり、チンスクが向かったのは、玄関の突き当りの棚だ。
整然と重ねられた服を取り出すと、底に封筒が見える。
ピルが探していた、あの手紙だ。

チンスク「…。」

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クギル父も2014年の今、まだ存命だった。
それでもひどく体調を崩しており、苦しそうに咳き込んでは酒で紛らわそうとし、息子に止められる。「こんなことしてたらホントに死んじまう!」

クギル父「死ぬもんか。俺は死なんぞ」
クギル「親父、病院に行こう。な?具合が悪かったら病院に行かなきゃ。酒飲んでちゃ駄目だ」
父「具合なんかちっとも悪くないぞ。それに、たとえ死んだって病院なんかにゃ行かん」

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クギルは沈んだ様子でビリヤード場へやって来た。
階段をあがったところで、待っていたのはタルスとチョンエだ。

クギル「何だ?お前らどうした?」
タルス「お前、商売もしないでどこほっつき歩いてんだ?お客さんが3組も帰ったぞ。少なくとも5万ウォンは棒に振ったんだ」
チョンエ「おじさんはどうなの?」

「…。」クギルは暗い表情で俯いた。

チョンエ「はぁ、日ごとに干からびちゃって、見ていられないわ。ちゃんと食べてるの?」

「チョンエがお前にって、朝から準備したんだ」タルスが大切に抱えて来た包みを差し出す。

タルス「ちなみに、俺はカップラーメンだったけど」
クギル「…。」
タルス「いや、言ってみただけだ」

「一緒に食べようよ」チョンエが微笑んだ。

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撮影現場ちかくのベンチで、スジンはジェヒョンが用意したサンドイッチを頬張った。

ジェヒョン「味はどうです?」
スジン「ホントに美味しいです」
ジェヒョン「(微笑)」
スジン「これ、全部ご自分で作られたんですか?」
ジェヒョン「一人暮らしをしていたら、料理のスキルばかり伸びてしまって。それに、スジンさんが召し上がるから、特別頑張ったのも確かです」

口の中をサンドイッチでいっぱいにしたまま、スジンは軽くむせた。

ジェヒョン「それにしても、久しぶりにこうして出掛けてみたら、いいものですね」
スジン「そうですね。いつも薬局にいらっしゃると息が詰まるでしょう?」
ジェヒョン「えぇ、どうしても。人に会ったり、日差しを浴びたりしないと。毎日会うのは患者ばかりで、そのうち鬱病になりそうですよ」
スジン「そんな!薬剤師が鬱病になっちゃダメでしょう」

「休日は何を?」スジンが尋ねる。「薬局も休みの日があるでしょう?」

ジェヒョン「休日といっても、寝不足を解消したり、友だちと会ったり、まぁつまらないものですよ」
スジン「もっと休日を楽しまないと。映画を観るとか、運動をするとか。今日みたいに外へ出て散策するのもいいし」
ジェヒョン「そうですね。でも、一人じゃ出来ないじゃないですか。スジンさんが付き合ってくださいます?」
スジン「わ、私?」
ジェヒョン「えぇ」
スジン「えっと…」

そこへスジンの電話が鳴り、彼女はその場を離れた。
と、一人になったジェヒョンの視線は、ふと彼女の荷物の上で止まる。「…。」
バッグからチラリと覗いていたピンク色の手帳を、彼はそっと引き抜いた。
表紙をめくってみると、そこに挟んであったのは… 一枚の写真だ。

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ジェヒョンはスジンを車でスタジオまで送り届けた。

ジェヒョン「あの… さっきおっしゃってたみたいに休日を過ごしてみようと思うんです。協力してくださいます?」
スジン「私が?」
ジェヒョン「今晩、時間はどうですか?映画のチケットが2枚あるんです」
スジン「あぁ、ごめんなさい。今日は親友のチンスクの誕生日で、友だちとパーティすることになってて…。そっちへ行かないと」
ジェヒョン「あぁ、串焼き屋で働いていらっしゃった、あのお友だちですか?」
スジン「(うんうん)」
ジェヒョン「楽しそうだな…。僕も一緒に行っていいですか?」
スジン「え?えーっと…」

そこへピルが苛立った様子でやって来た。「参ったな。チンスクに手紙を出せっって言うわけにもいかないし…」
角を曲がったところで、スジンたちに気づき、彼は立ち止まる。「あいつら!」

スジン「友だちに電話してみますね。大勢来て祝ってくれたほうがいいだろうし」
ジェヒョン「えぇ」

彼らの様子を、ピルはしばし眺めた。
トランクから荷物を出してくれるジェヒョンに、スジンがしきりにお礼を言っている。

ピル「あいつら、なんとなくぎこちなく見えるけど、気のせいかな?あぁ、まだ付き合ってる時期じゃないか」

ピルはツカツカと二人に近づくと、いきなりスジンの肩に手を回した。「スジン、仕事から戻ってきたんだな。スタジオに行ってみたらいなかったから」

スジン「どうしたのよ?変なものでも食べたの?」
ピル「どうしたって何だよ?俺とお前の仲じゃないか」

「ポン・ピルさんでしょう?はじめまして、パク・ジェヒョンです」ジェヒョンが握手を求めて、手を伸ばす。
ピルはその手をこれでもかと強く握り返した。

ピル「…。」
ジェヒョン「…。」
ピル「座って薬を売ってるだけかと思ったら、少しは運動してるみたいだな」
ジェヒョン「そちらこそ、自習室にこもって受験勉強中だって聞いたけど」

見かねたスジンが二人の手を引き剥がした。

スジン「(ピルに)何やってんのよ。恥ずかしい。(ジェヒョンに)あの、すみません、電話しますので」

「連絡待ってますね」ジェヒョンは笑顔で立ち去った。

ピル「あーたいした野郎でもないな!」
スジン「…。」
ピル「お前、仕事じゃなかったのか?何であいつと一緒に帰ってきたんだ?」
スジン「関係ないでしょ。一緒に帰ってこようが」

スジンは地面の荷物を持ち上げ、クルリと背を向けた。

#プンプン怒ってても、ちゃんとピルが持つ荷物を残してるスジン^^

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「なぁスジン!」スジンを追いかけて、ピルはスタジオへ上がった。

#スジンはまだ独立前で、アシスタントらしいけど、スタジオはこれまでと変わらない。こういうところも混乱のもとだよね。

ピル「何でお前がこんなに冷たいのかわかってる。けど、それは誤解なんだ。俺たちの間に誤解がある」
スジン「どんな誤解?」
ピル「兵役中に手紙の返事がなかったからだってわかってるさ。でも、俺は返事を送ったんだ」

「あれは…」そう言って、ピルは次の言葉を捻り出せず、代わりに溜息をついた。「配達事故のせいで、届かなかったんだ」

#前回の現在編の繰り返しだよねぇ

スジン「配達事故ね…。それなら誰かが間で手紙を横取りでもしたって?」
ピル「あぁ、そうだ」

「一体誰が?」スジンは終始呆れた表情だ。「あんたの手紙は軍事機密か何かだったわけ?」

ピル「それは… 俺には言えない。とにかく、今日中に証拠を持ってくる。だから…」

「ねぇ、時間を無駄にしてないで勉強しなよ」スジンはそう言い捨て、冷たくスタジオを後にした。

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チンスクの串焼き屋では、スタッフたちが粛々と開店の準備を進めていた。

#串焼き販売車(2012年)→ 串焼き店舗(2014年)→ ジュース販売車(2017年)
スポンサー事情にしても、こういうところにぶっこまれるとややこしい。

「あ、そうだ」チンスクはハタと思い出し、本社に電話を掛けた。

チンスク「今日、ポンピル串の材料、2倍持ってきてください。昨日なくなってしまって、お客様にだいぶ言われたんですよ。他の材料はいいですから、ポンピル串の材料だけ」

電話を切り、チンスクは気合を入れ直した。「今日もファイト!」

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ピルは主の出掛けているチンスクの家へ再び戻ってきた。
昼間あった場所に鍵が見当たらない。「ないぞ、チンスクが持って行ったのか?」

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ピルの両親は、息子への差し入れを手に、揃って自習室を訪れた。
机の上はガランとしていて、息子の姿はない。

ピル母「自習室に泊まるって言ってたけど」
ピル父「もともとこんなキレイ好きだったか?机の上がすごくキレイだが」
母「自分の部屋はゴミの山よ」

ピルの父は本棚の参考書を一冊抜き取り、めくってみる。「新品だ。古本屋じゃなくて、普通の本屋にも売れそうだ」

母「軍隊へ行けばまともな人間になるっていうのは嘘なんだわ」
父「ふむ。ここへ来ても絶望するだけだったな」

「さぁ行こう」背を向けようとして、ピルの父は隣の机に目をやる。「今日はソクテもいないな。いつもいるのに」

父「ピルに影響されたのか?」
母「そうね。あなた、ソクテのお父さんに顔向けできないわ」

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ソクテはケーキ屋のショーウィンドウを睨んでいた。
ひとしきり悩んで、顔をあげる。「これを一つください」

店員「ろうそくは何本差し上げましょう」
ソクテ「25本で」

そこへ携帯にメールが入る。「?」

メール「2014年度9級公採技能職員に最終合格なさったことを心からお喜び申し上げます。期限内に採用候補者登録をお願いします」

「わぁ!やった!!!チンスク!俺、合格したぞ!」人目もはばからず、ソクテは叫んだ。

ソクテ「(店員に)早くください。早く行かないと。早く早く早く!はぁ、どうしよう、チンスク!ついに…」

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客のいないボンボンホップで、ミジャが溜息をついていた。「家賃どころか電気代にもならないわ」

ミジャ「(店員に)ねぇユミ、業種を変えようかしら。カラオケルームとか」
ユミ「ミジャさんは豪邸を建てたってダメにしそう」

そこへ店の扉が開き、二人は期待して立ち上がった。
格好をつけて登場したのは、郵便配達員。ソクテの父だ。

ミジャ「…。」
ユミ「また来たわね。売上にならない常連さん」
ミジャ「さっさと中ジョッキ用意して」

程なくしてユミが飲み物を運ぶと、ソクテ父が口を開く。「あの…」

ソクテ父「ミジャさんの住所はどこだろうか」
ユミ「なぜです?」
ソクテ父「なぜ?ただ気になって。気になると夜も眠れないタチでね」
ユミ「興味あるんなら本人にお訊きになってください。呼びましょうか?」
ソクテ父「いやいや、構わん。まぁ、少しずつ知っていくのも悪くない」
ユミ「(ミジャに)ミジャさん、おじさんがミジャさんどこに住んでるのかって」

ミジャはたいして表情も変えずに言った。「地球だとお伝えして」

ユミ「(ソクテ父に)聞こえましたよね」

「そうか」ソクテ父はポンと膝を打った。「私と同じ住所だ。むふふ~」

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チンスクの串焼き屋は開店するなり満席になっていた。
人気のポンピル串が飛ぶように売れている。

店を覗いたピルは、思わず驚きの声を漏らした。「わぁ、商売うまく行ってるんだな」
伝票整理にテーブルの片付け。額に汗するチンスクに、客が声を掛けた。「ポンピル串追加ね」

チンスク「はぁ、ピルは串焼きになっても私をいじめるのね」

チンスクがピルに気づいたのは、そのときだ。

ピル「チンスク、ちょっと話があるんだ」

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チンスクが店の外へ出てくると、ピルがそわそわした様子で待っていた。

チンスク「何?」
ピル「なぁ、わかめスープ作ってやるって言ったろ。何で鍵かけて出たんだよ」
チンスク「あんた、わかめもないくせに、何でわかめスープにこだわるわけ?」
ピル「それは…」
チンスク「それに、今夜はみんなでボンボンホップに行くことになってるでしょ」
ピル「…。」

「あんた」チンスクはふざけてピルをつつく。「誕生日プレゼント用意できなくて、悪いと思ってんでしょ!」

ピル「違うって。俺、実は…お前の家に忘れ物しちゃて」
チンスク「あぁ、そうなの?最初からそう言いなさいよ」

「ほら」チンスクがポイと投げて寄越した鍵を、ピルがキャッチした。

ピル「ホントにごめんな。今すぐ行って、持って出るから」
チンスク「OK」

「お疲れ」ピルは駆け出した。
「何よ全く」チンスクはピルの背中を不思議そうに見つめる。

チンスク「朝から人ん家を出たり入ったり。ひょっとして誕生日のサプライズパーティしてくれるのかな。あいつったら♪」

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誰もいないチンスクの家に入ると、ピルは大急ぎで手紙を探した。
そして、服が入っている引き出しの中に、それを見つけたのだ。

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灯りもついていないその部屋は、月明かりで青白く人影が浮かび上がっている。
鏡の前でジャケットを合わせているのはジェヒョンだ。
ジャケットを戻すと、彼はデスクの椅子に身を沈めた。

引き出しを開け、中から写真を取り出す。
スジンの手帳に挟んであった、あの写真だ。「…。」
右側のスジンの部分だけを破り取り、それを壁に貼り付けると、残りの半分を握りつぶす。

壁には… ひそかに撮り溜めたスジンの写真が、無数に並んでいた。

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ここで区切ります。
「そうだ、これは過去だったな」ってピル本人が自分に言い聞かせてるってことは、制作陣もややこしいと思いながら作ってるってことだよね。
これまでの過去へのタイムスリップは、教会での決闘のやり直し、海の家でのスジン救出のやり直し、入隊前日の告白チャンス、という具合に、『マンホールがピルをそこへ飛ばした意図』みたいなものがわかったけど、今回それが感じられないのが一番気持ち悪いところだな。

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