韓国ドラマから美しい言葉を学ぼう

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ネイルもカンタービレ(のだめカンタービレ韓国版)あらすじ&日本語訳 12話vol.1

   

シム・ウンギョン、チュウォン主演、「ネイルもカンタービレ/明日もカンタービレ」(韓国版のだめカンタービレ)12話前半です。

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「飛行機の事故だ」ユジンの叔父がネイルに話したのを、通りかかったユジンは慌てて止めた。

ユジン「叔父さん!何をなさってるんですか…」

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ユジンはネイルの手を引っ張り、すぐに叔父の家を出て来た。
玄関を出てしばらく進んだところで、彼は不意に足を止める。「オレ…」

ユジン「留学出来ないんだ」
ネイル「!」
ユジン「飛行機にも乗れないし、船にも乗れない」

「可笑しいだろ」彼はネイルを振り返る。

ユジン「笑ったっていい」

「どうして…?」ネイルは戸惑って彼の腕を掴んだ。

ユジン「飛行機事故のトラウマだ。救命胴衣を着て、海に落ちた。それ以来、飛行機にも船にも乗れない」
ネイル「それじゃ… 留学出来ないってことですか?しないんじゃなくて、出来ないんですか?」
ユジン「…。」
ネイル「先輩、留学したがってたのに」
ユジン「何でお前が泣くんだ?オレだって泣かないのに」

「泣いたりしてませんから」そう言っておいて、ネイルは目をおさえる。
ユジンは彼女を見つめ、静かに溜息をついた。「泣くほどのことか」

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「じゃあな」「はい」マンションへ帰って来ると、二人はそれぞれの玄関の前に分かれた。

ネイル「先輩」
ユジン「?」
ネイル「このまま家に帰るのイヤでしょ」
ユジン「…?」

ユジンは無言で小さく微笑んだ。

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ユジンの部屋のピアノがサティのジムノペディを奏でていた。
ユジンはいつもの椅子に腰を下ろし、ネイルの演奏にじっと耳を傾ける。

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『ジムノペディ。
シンプルであることが、むしろ豊かなのかもしれない… そう教えてくれる曲だ。
聴き入るよりも、心地よく浸って欲しい… そう願った作曲家の思いからだろうか』

ユジン(心の声)「癒やそうとしてくれてるんだな… ソル・ネイル」

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ネイルは最後の音を押さえ、顔を上げた。

ユジン「オレのためのイベントって演奏だったのか?」
ネイル「先輩、私のピアノ好きでしょう?それに、お祖父さんが好きだった曲だって」

「…。」少し思いを巡らせると、ユジンはふっと笑い、下を向いた。
脇に置いてあったネイルのバッグの端から、懐中時計が顔を見せているのに気づき、彼は思わず手に取る。

ユジン「師匠の時計だ。いつ貰ったんだ?」
ネイル「ミルヒがドイツに連れて行かれる前です」
ユジン「ベイビ、ベイビって… 本当に可愛がってるんだな」
ネイル「新しい物より温かい感じがして、気に入ってるんです」

「ところで」ネイルが話題を移す。「催眠療法も受けてみたんですか?」

ユジン「あれこれみんなやってみた。一生治らないかもしれないって言われたけど、本当かもな」

「私もテレビで見ました」そういって、彼女はシュトレーゼマンの懐中時計を受け取る。「こういうの使って催眠を掛けるの」
「ホントなのか、詐欺なのか」これまで掛からなかったユジンは軽く流した。

ネイルはテレビで見たように懐中時計を揺らしてみる。

ネイル「こうやって”眠くなる 眠くなる”って言ったら、ホントに寝てましたよ」

時計の揺れるのに合わせ、ユジンの目が左右に動く。「…。」

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ユジン「どうだろうな。相手を信じていれば掛かりやすいらしいけど…」

時計を見つめる彼の目が俄にうつろになっていく。「信じてないから掛からないのか?」

ネイル「眠くなる 眠くなる」

突然ユジンがガクンと首を垂れる。

ネイル「先輩?寝ちゃったんですか?」

ネイルは彼を揺すってみた。「ホントに寝ちゃったんじゃないですよね?起きてくださいよ」

「パン!」ネイルが手を叩くと、ユジンはパッと目を開いた。「?」

ネイル「は… 寝てたんだ」
ユジン「何言ってんだ?ずっと起きてたぞ」

「あぁ、喉乾いた」何事もなかったように立ち上がったユジンを、ネイルは唖然として見つめた。

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「本当にこれを手放せと?」ト教授はバサッと扇子を開き、アン教授に訴えた。

ト教授「こんな扇子のどこが怖いんだ!」
アン教授「ご存じなかったんですか?怖がっている学生は大勢いますよ」
ト教授「それはヤツらが怠けるから!この扇子は私の教育のシンボルなんです。この扇子で多くの学生を教え、コンクールに送り出したんですよ」
アン教授「うちの学生たちは実にいい子たちです。最近の子どもたちはすぐに動画を撮って暴露して、脅して…」
ト教授「!!!何ですと!!!」
アン教授「こういうのはどうでしょう。前にチャ・ユジンとの連弾で私と賭けをしましたよね?あのときの条件、まだ申し上げていません」
ト教授「そんな昔のことを今更!」
アン教授「今申し上げますから」
ト教授「…。」
アン教授「暫くの間、扇子をお使いにならないでください。扇子よりも賞賛が必要な学生なんです」

ト教授はじっと扇子を見つめた。

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ネイルがレッスン室を覗くと、すでにト教授の姿が見える。
彼はピアノをのんびりと鳴らしていた。

「どうしよう…」ネイルが扉を開ける。
ト教授は自分でピアノを弾きながら、歌い始めた。

今朝も起きたらトイレに~♪
力んだら出てくるよ 快便が~♪
Wow~♪

気持ちよく歌いながら、ト教授はようやく後ろにネイルがいるのに気づく。
ネイルが思わず後ずさりすると、ト教授はニッコリ笑った。「クッキー食べるかい?」

ネイルは黙って首を横に振る。
ト教授は気を取り直し、優しく話し始めた。

ト教授「昨日楽譜を貰ったんだがね、このおならソング」
ネイル「…。」
ト教授「驚いたよ。魅力的だ。演奏者の感情に任せながらも、構成がいい。私と一緒におならソングを完成させないか?」
ネイル「… おならソングを?」

ト教授は、警戒して距離を取っているネイルの足元をチラリと見た。「もう少しこっちへ来るかい?」
ト教授が「一歩」と言うたびに、ネイルは固くなって後ろへ下がった。

ト教授「見てみろ。扇子だってないぞ」
ネイル「あの… 前から言いたいことがあったんですけど」
ト教授「あぁ、何だい?」
ネイル「パングィソングじゃなくて、パングソングですよ」

※방귀(パングィ)じゃなくて、방구(パング)だといっています。どちらもおなじオナラを指す言葉ですが、もともと正しいのは방귀で、방구はもっと言いやすく変化した言葉みたいですね。

ト教授「パング?」
ネイル「パングィは濁った匂いがするけど、パングは軽快な匂いがするんです」
ト教授「?」

彼女はうっとりと鼻をクンクンさせた。

ト教授(心の声)「パングィだろうがパングだろうが臭いのは一緒だ!」

ト教授は懸命に笑顔を見せた。「そうか。実に軽快な匂いだろうね」

ネイル「(ニッコリ)」
ト教授「それなら一緒にパングィ、いやパングソングを弾いてみようか?」

「さぁ、座って」ト教授が立ち上がると、ネイルは恐る恐るピアノへと進んだ。
そして、譜面立ての横に用意してあるクッキーを一枚パクっと咥える。

ネイルはもぐもぐとクッキーを食べ終わると、おならソングを弾き始めた。

ト教授「… 難しい」

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木管オッパたちは今日もミニのバイトするカフェで闘いを繰り広げていた。
呆れているミニの元へソニョンがやってくる。

ソニョン「あの子たち、あんたのことが好きなのか、競争心なのか、どっちなの?あんたのこと追い回しておいて、二人で喧嘩してる時間の方が長いわ。さっさとケリつけなさいよ」
ミニ「ふたりとも特に好きってわけじゃ。前にも言ったんですよ」
ソニョン「言ったのにあの調子なの?止めてやらなきゃいけないんじゃない?」
ミニ「放っておきましょう。生き甲斐なんでしょうから」

#…で終わりかい!このシーン

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弦楽器の講義室へやって来たイラクは、中にシウォンがいるのを見て咄嗟に隠れた。「!」
そして、そっと中を覗いてみる。
彼の視線が向かったのは、彼女の足だ。
いつもパンツスタイルの彼女が、今日はミニスカートを履いていて、健康的な足が顕になっていた。

イラク「スカート履いてるぞ♥シウォン」

シウォンのスカート姿を、周囲のツッコミ二人がネタにし始める。

ソンジェ「おい、スカート履いてるんだから気をつけろよ」
ジェヨン「100万年振りなんだから仕方ないだろ。(シウォンに)気をつけろよな。目のやり場に困る」
ソンジェ「(うんうん)」

シウォンは溜息をつき、居心地悪そうにスカートを引っ張る。「お祖父さんに会う用事がなかったら、こんなの着なかったのに」
そこへイラクが不意にやって来て、上着を彼女の膝の上に掛けた。

シウォン「?」
イラク「気になるなら、それでも掛けとけよ」
シウォン「…あぁ、そうね。ありがとう」

イラクはわざとシウォンのことなど気にもとめない様子で、電話の相手とクールに話し始める。「もしもし、何の用?」
「もしもし?」彼はそのまま廊下へ出て行く…

…スマートフォンを裏返しに持ったまま。

ジェヨン「なぁ(笑)、あいつの電話、みたか?」
ソンジェ「あいつの趣味、変わってるよな。チョン・シウォンの本性知らないのか?」
ジェヨン「ほっとけよ。世間の男たちのために犠牲になるつもりなんだ」
シウォン「ちょっと!!!」

シウォンはイラクが出て行った廊下をそっと振り返り、嬉しそうに微笑んだ。

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病院から出て来たユジンの表情は重かった。
「君に投薬治療まで薦めたくはない。他の方法を考えてみよう」キム博士の言葉を反芻する。

キム博士(声)「ところで、本当に治療を受ける気になったのかい?催眠治療のときの様子じゃ、今の状態に満足しているようだったが」

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「あ、ユヌだ」揃って携帯を覗きながらロビーへと下りてきたイラクたちは、口々に言う。
彼らに一斉メールが届いたのだ。

イラク「こうやって一斉メール送って済ませるつもりか?」

イラクは軽く舌打ちをし、メールを開いた。

ユヌ(メール)「ここは綺麗なお姉さんだらけだ。みんな元気だよね?会いたいよ」

「ここどこなんだろ?」添付されている写真に、ミニは首を傾げる。

ミニ「ジュリアードじゃ?」
皆「…。」
ミニ「もう韓音大には来ないのかなぁ」
イラク「こんなふうに黙って行っちまうようなヤツじゃないんだけど。寂しいな」
オーボエ君「綺麗なお姉さん?♪」
クラリネット君「はぁ、羨ましい。天国だろうな」

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病院の前を歩いているところへ、ユジンの元にもメールが届く。
イラクたちに届いたのと同じメールだ。

写真を見て、彼は後ろのモニュメントを振り返った。
そう。ユヌの写真は、この場所で撮ったものだ。

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ユジン「…。」

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携帯を覗きながらエスカレーターに乗ったところで、反対のエスカレーターから若い女性看護師が声を掛ける。「ユヌ!」

看護師「お菓子ありがとうね。いただくわ♪」
ユヌ「僕こそいつもありがとうございます。いつでも言ってくださいね」

エスカレーターを降り、そのまま歩いてくると、ユヌは前に立っている人物に進路を塞がれた。

ユヌ「?」

彼の目の前にいたのは、ユジンだ。

ユヌ「どうしたんだ?」
ユジン「…。」
ユヌ「ひょっとして、オレのお見舞いに?」
ユジン「いや。偶然だ」

一瞬顔を輝かせたユヌは、残念そうに口を結んだ。

ユジン「ところで、いつからお前の友だちリストにオレが入ってるんだ?」

ユジンは届いた一斉メールを見せる。

ユヌ「…。それじゃ手術の日に電話してきたのはお前だったのか?!」
ユジン「… え?(狼狽)」
ユヌ「名無しの友だち。これはお前だったんだな!」

今度はユヌが画面を見せる。
思わずそっぽを向いたユジンに、ユヌは楽しそうに笑った。

#この流れ、いいね。
心配で電話したのがユジンだったのが、この一斉メールで分かるの^^

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二人はひとつのベンチに離れて座っていた。

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ユジン:
그 손 굳이 숨길 필요 있어?
手のこと、敢えて隠す必要あるのか?

ユヌ:
너도 잘 숨겨두고 있잖아.
お前も上手く隠してるじゃないか

ユジン:
일부러 말할 필요 없잖아.
わざわざ言う必要もないだろ。

ユヌ:
나도.
친구들이 날 보면서 절망을 느끼게 하고 싶진 않아.
새로 시작하는 모습만 보여 주고 싶어.
オレだって。
みんなに絶望を感じさせたくはない。
新しくスタートする姿だけ見せたいんだ。

ユジン:
혼자 떠안는 거 별로던데.
네 선택이니까 알아서 해.
一人で抱え込むのはあまりいいもんじゃないが…。
お前の選択だから好きにしろ。

ユジンのそっけない言葉に、ユヌはふっと微笑む。

ユヌ:
의외로 너도 오지랖이야.
그래도 이중주 때 나 말려 줘서 고맙다.
お前も意外とおせっかいだな。
けど、二重奏のとき、オレを止めてくれてありがとう。

ユジン:

ユヌ:
이제 우리 이걸로 빚 청산했어.
채무관계 없는 깨끗한 사이야.
これでオレたち、借りは精算だ。
債務関係のないクリーンな関係ってこと。

ユジン:
원래 너한테 빚진 것도 받을 것도 없어.
もともとお前に借りを作った覚えはないし、返して貰う貸しもない。

ユヌ:

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「じゃあな」ユジンはさっと立ち上がり、足早に立ち去った。

ユヌ:
그러니까. 별로인 사이에 빚지는 거 싫었는데.
잘됐다.
これだから気の合わないヤツに借りを作るのはイヤだったのに…。
良かった。

彼はプールでユジンを助け上げたときのことを思い浮かべた。

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ユヌは病院の休憩室に来ていた。
見晴らしのいい窓辺で、スマートフォンのメトロノームでテンポを刻みながら、総譜を辿る。
右手がそれにあわせて拍子を取った。

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※彼が見ている総譜は、
ジュゼッペ・ヴェルディ作曲のオペラ「『運命の力』La Forza del Destino 

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指揮者への道を勧めるシュトレーゼマンの言葉は、彼の再スタートに大きな影響を与えていた。

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ト教授はもはやノリノリだ。

ネイルの奏でる表情豊かなピアノに合わせ、気持ちよくリズムを取る。
演奏を止めると、ネイルは感嘆の息をついた。「先生!」

ネイル「先生のおっしゃる和音を入れたら、ずっと差し迫った感じになりました!」
ト教授「ほら。続きを」

ネイルが続きを弾き始めると、ト教授の足が軽快に動き出す。
次の決めコードも面白いコードだ。

ト教授「スフォルツァンド♪」
ネイル「はい。たったいま ”大仕事” が終わったんです」

「ふんっ!」ネイルは”大仕事”をイメージし、踏ん張って見せる。
ト教授にも自然と力が入った。

ト教授「やはり、そこはテンポ・ルバート?」
ネイル「?」
ト教授「自由に行く感じじゃないか?」
ネイル「はっ!いいアイディアです!」

「先生!」ネイルがト教授に向き直った。「ついにおならの本質を理解なさったんですね!」

ト教授「(笑)そんな大げさな。さぁ、もう少し先に進んでみようか」

ネイルが再び弾き始める。

ト教授(心の声)「やはりいい曲だ。構成も豪華だし。アン教授はこんな宝石のような曲を…。しかし、私と共に作り上げた最終形はどうだ?長く溜めたおならの終着駅だ!」

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いつしか踊りだしていた彼は、曲の終わりとともに叫んだ。「ブラボー!」
そして、嬉しそうに拍手を送る。

ネイル「先生!」
ト教授「よくやった」

ネイルは立ち上がり、ト教授の手を取った。「ありがとうございます!」

ト教授「私も久しぶりに楽しいレッスンだった。長い間こういう楽しみを忘れていたな」
ネイル「(うんうん)」
ト教授「明日からはもじゃもじゃ組曲を作ろう。まずは…」
ネイル「あ、先生。待ってください」
ト教授「どうした?イヤなのか?アン教授と作っていた曲なんだろう?」
ネイル「いつまで遊んでるおつもりですか?コンクールの準備、しないんですか?」
ト教授「え?」
ネイル「ペクコンスピアノコンクールの準備、早くしなきゃ」
ト教授「…?」
ネイル「それでは明日からコンクールのレッスン、お願いします!」

ネイルは丁寧に頭を下げると、部屋を出て行った。

ト教授「コンクール?ブラボー!」

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学長に呼ばれ、ユジンが学長室へやって来た。

ユジン「どうしたんです?」
学長「すごくいいニュースがあるの。あぁ… あなた、テレビに出たりするのは好きじゃなかったわね。でも、今回はぜひ出演してほしいのよ。指揮者がメインだから」
ユジン「あぁ… テレビ出演ですか」
学長「よく考えてみて。ライジングスターが韓音大を代表するオーケストラだって、正式に外部に発表できるチャンスよ」

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『クラシックの旋律の中へ~ 番組出演に積極的にご協力いただけますよう、ライジングスターの団員の皆さんにお願いします。学長 ソン・ミナ』

シウォンがメールを読みあげる。「番組!」シウォンを取り囲んでいた一団が歓喜の声を上げる。

イラク「初公演のとき、TV局のカメラが来てると思ったら、ついに出演依頼か!」
ミニ「私たちとうとう全国区ですね!どうしよう、私がテレビに出るって聞いたら、お父さん仕事休んじゃうんじゃないかな」
スミン「ホント!喜んでくださるだろうね♪」

浮かれる彼らを遠巻きに眺めているのはジェヨンやソンジェだ。「テレビに顔が出るからって何がそんなに嬉しいんだ?」

イラク「すごいPRになるよな。オレたちブレイクするんじゃないか?!」
シウォン「この番組、メジャー音楽レーベルを紹介してくれるので有名なの。ソン・スジもこの番組をキッカケにルーサーと契約したんだって」

「ルーサー?!」ジェヨンとソンジェが顔を見合わせた。「!!!」
彼らは思わず立ち上がる。

ソンジェ「ルーサーだって?」
ジェヨン「それならオレたち、ソロでCDデビュー出来るかもしれないな」
ソンジェ「ルーサーと契約したオーボイストもいるんだ」

彼らは固く手を握り合う。

イラク「契約依頼が殺到するんじゃないか?!オレたち大ブレイクだ!」

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少し翳ってきた陽光が大きな窓から柔らかく差し込んでいる。
ユジンは大学の食堂にいた。
向かいにいるのはソン・スジだ。

スジ「ごめんね。私も一緒に出演できればいいんだけど、すぐヨーロッパに向かわなきゃならないの」
ユジン「クラシックのアイドルは忙しいんだな」
スジ「あなたもそうなるわ。”アイドル指揮者現る!”」
ユジン「…。」
スジ「”オーケストラという世界で一番大きな楽器を演奏する指揮者!” きっとそんな見出しよ」

「ゾッとするな」ユジンは笑った。

スジ「いつまでここにいるの?本当にR☆Sが軌道に乗るまで残るつもり?」
ユジン「オレが始めたことだ」
スジ「なんだか変な気がしてね」
ユジン「…。」
スジ「世界にはあなたが演奏したがってる楽器が山ほどあるのに。演奏してみたいでしょう?世界の本物のオーケストラを」
ユジン「…。オレたち、こんな話をするほど親しい仲だったか?」
スジ「お堅いのね。よく考えてみて。あなたに関心持ってるオーケストラはたくさんあるわ」

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「先輩!」そこへやって来たネイルは、スジの後ろ姿にドキリとして足を止めた。
気を取り直し、彼女はツカツカとやって来てユジンの隣に座ると、彼の腕を組んだ。

スジ「…。」

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ユジンは顔をそむけ、笑いを噛み殺す。

ユジン「スジさん、どうしてここにいるんですか?海外公演に行くって聞きましたけどっ」

スジは敵意を露わにするネイルをからかう。「あなたの顔みたら、急に帰りたくなくなったわ」

スジ「ここに残っちゃおうかしら」
ネイル「えっ?ど、どうして?!じゃあ、私が見えなくなったら帰りますか?」
スジ「…。」

「私、隠れますから」ネイルはユジンの広い背中の後ろに顔を隠す。
スジは思わず噴き出した。「何て可愛いの?」

ネイル「?!」
スジ「一緒に海外に行かない?」

ネイルがムスッとして顔を出した。「イヤです」
「行かなくていいのか?」ユジンがさらりとスジに言う。「忙しいんだろ?」

スジ「あなたまで警戒しちゃって」
ユジン「…。」
スジ「来年会いましょ。また寄るわ」

スジは立ち上がり、優雅に去って行った。

「世界にはあんたの鳴らしたい楽器が山ほどある」ユジンはネイルに抱きつかせたまま、スジの言葉を反芻する。
イラクたちがミーティングのために呼びに来ると、二人は元気に立ち上がった。

+-+-+-+

「ハイドンのトランペット協奏曲にしよう」ジェヨンがアピールする。
ミーティングのテーマは選曲だ。

ジェヨン「オレ、自信はある」
イラク「ダメだって。バイオリン協奏曲にしようぜ」
ミニ「コントラバス協奏曲はどうですか…?」
ソンジェ「それならオーボエ協奏曲にしよう。オレだって自信はある」

「ティンパニー協奏曲もあるんだけど」スミンが挙げようとした手を、隣でミニが無表情で押さえた。

ジェヨン「はぁ…。テレビだからって欲張りだな。Sオケの実力でソリスト?そんなことしたら大々的に恥かくぞ」

「…。」全体の空気が重くなると、ネイルがさっと進み出た。「SオケもAオケもないですよ!私たちR☆Sなんだから!」

ミニ「そうですよ。私たちだって上手くなったでしょう?」

ソンジェが思わず笑う。「それはオレたちの音に引っ張ってもらってるからだろ」
「何だと?」イラクが立ち上がると、スミンとミニも立ち上がった。「言いたいことはそれだけ?!」
「何か間違ったこと言ったか?」ソンジェも負けじと立ち上がる。

#もー いい加減にしてほしいわ。
「何か間違ったこと言ったか?」って、少し前に全く同じ喧嘩でジェヨンが言ってたこと。
何でこんなくだらない喧嘩を蒸し返させるのか。
選曲でもめるのはOKだけど、厭らしい描き方やめてください。
ソンジェもジェヨンと全く同じキャラになっちゃって、すごくガッカリ。

じっと見守っていたユジンが手帳で机を叩いた。

#んで、この前も黙って聞いてたユジンが、怒って楽譜をボンと置いたんだよね…。

ユジン「みんなやめろ」
皆「…。」
ユジン「ミーティングは今度だ」

ユジンはカバンを掴み、練習室を出た。

+-+-+-+

「先輩!」ネイルはユジンを追いかけた。

ネイル「すごいカリスマ!一声で黙らせちゃいましたね」
ユジン「…。」
ネイル「AだのSだの、仲良くしてると思ったらまた喧嘩して」
ユジン「今回はちょっと深刻だな。みんなテレビに期待が大きいんだ。まぁ、未来が掛かってるからな」

ネイルはなんだか可笑しそうに笑いを堪える。

ユジン「どうした?」
ネイル「我が子の心配するお父さんみたいで」
ユジン「お父さん?」
ネイル「うん。それから、私はお母さん♪」
ユジン「…。」
ネイル「子どもの心配なんかせずに、コンクールに備えるお母さん~♪」

「ただのマスコットだったのに…」そう言いかけて、ユジンはハッとする。「コンクール?」

ユジン「コンクール、出ることにしたのか?」

ネイルがうんうんと頷いた。「褒めてくださーい♥」

ユジン「早すぎるんじゃないか?」
ネイル「私が一位になったときのご褒美、決めといてくださいね♪」

ネイルは唖然とするユジンを残し、ゴキゲンで去って行った。

ユジン「また”ソルレバル”だ。そんな簡単なもんじゃないぞ!」

+-+-+-+

ここで一旦区切ります。

おならソング、ちゃんとやってくれて嬉しかったです。
最初は無理して機嫌を取ろうとしてたハリセンが、いつの間にか本当に楽しんでいる姿が、とっても微笑ましかったですね^^

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