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ネイルもカンタービレ(のだめカンタービレ韓国版)あらすじ&日本語訳 11話vol.1

   

シム・ウンギョン、チュウォン主演、「ネイルもカンタービレ/明日もカンタービレ」(韓国版のだめカンタービレ)11話前半です。

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R☆Sオケのメンバーたちはリハーサルを控え、練習室に待機していた。

シウォン「二重奏のリハが終わったら私たちの番よ。楽器チェックね」

イラクがすかさず立ち上がる。「みんなコンマスの話聞こえたよな?楽器チェックな」

そう言っておいて、イラクはシウォンにウィンクしてみせる。

ミニ「尻尾振っちゃって」
スミン「コンマスの座を奪われたのに、嬉しそうなんだからぁ」

「あ、そうだ!」ミニが言う。「私、二重奏のリハ見学してきます」

スミン「もう!ネイルのドレス姿見に?目に毒だってば!」
ミニ「そんなぁ、すごく可愛いんだから!サイズもピッタリだし」
イラク「いくら可愛くしてもソルレバルはソルレバルだろ」
ミニ「…。」

「ところでユヌはどこ行ったんだ?」イラクが呟いた。

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真っ暗な控室の奥で、鏡に備え付けられた蛍光灯だけが明るく灯っている。
ユヌは赤く充血した目でじっと鏡を見つめていた。

ユヌ「…。」

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「ネイル!」「開けてよ!」開かない控室の扉の前で、ミニとスミンは何度もノックを繰り返した。
知らせを聞いたユジンが駆けて来る。「どうなってるんだ?」

ユジンが中に声を掛けた。「ソル・ネイル、いるのか?」
返事はない。

ユジン「どうしたんだ?」
ミニ「中から鍵かけたんです。着替えるから出てくれって言って」
ユジン「倒れて怪我してるんじゃないのか?」
スミン「そうじゃなくて…」
ユジン「?」
スミン「リハーサル… やらないって」

「…。」皆が押し黙ったところへ、イラクが鍵を持ってやって来た。

ユジン「…。」

ユジンはネイルの姿を思い出していた。
「嫌だ」「チャンスなんていらない」そう泣いて訴えたネイルが、一生懸命やるからと、今度の二重奏に決意を見せていたのだ。
「震えなかったら上手くやれるんだから」…彼女はそう言った。

ユジン「みんな」
3人「?」
ユジン「ちょっと外してくれるかな」

ユジンに鍵を渡し、彼らは無言で戻って行った。
ユジンはシーンと静まり返った部屋のドアを見つめると、そっとノックし、そこへもたれかかった。

ユジン:
너 오늘 아침부터 기분이 유난히 좋았어.
왜 그랬는지 이제 알겠다.
함께는 아니지만 오늘 처음 같은 날 같은 무대에 서는 거야.
너한테 무대에 서는 게 아직 이른 거라면
그래서 공연하는 게 힘든 거라면
오늘은 거기 그대로 있어도 좋아.
네가 문 열고 싶을 때까지 기다릴게.
今日のお前、朝からえらく明るかったな。
それがどうしてなのか、やっと分かった。
一緒じゃないけど、今日初めて同じ日に同じステージに立つんだ。
ステージに立つのがお前にまだ早いなら…
それで公演するのが辛いなら…
今日はそのままそこにいたっていい。
お前がドアを開けたくなるまで、待ってるから。

ドア越しに聴こえてくるユジンの穏やかな声に、ネイルはそっと顔を上げた。「…。」

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鍵が中から開いた。
ドアを開けたユジンは、座っているネイルを見ると小さく息をついた。

彼はテーブルの上に腰を下ろすと、ネイルの顔をそっと覗く。

ネイル:
실망하면 어떡해요?
ガッカリさせたらどうしよう…。

ようやく口を開いた彼女に、ユジンは微笑んだ。

ユジン:
누가?
誰を?

ネイル:
나한테 기대하고 나 좋아해 주는 사람들이
내가 피아노 못치고 1등을 못하면 나 싫어할까 봐요.
私に期待して… 私のこと好きでいてくれる人…
私がピアノ弾けなかったら、一等になれなかったら、嫌いになるんじゃないかな。

「…。」しばらく黙って彼女を見つめていたユジンは、静かに身を乗り出した。

ユジン:
여긴 그런 사람 없어.
피아노때문에 너를 싫어하거나 외면하지 않아.
ここにそんな人はいない。
誰もピアノのせいでお前のこと嫌いになったり、軽蔑したりしないから。

ネイル:

ユジン:
싫으면 안해도 돼.
무서워하는 줄 몰랐어.
맘보 때 잘하던 애.
하긴 그땐 피아노 평가가 아니었지?
イヤならやらなくてもいい。
怖がってるなんて思わなかったんだ。
マンボのときは上手くやったから。
確かに… あのときは、ピアノを評価されるわけじゃなかったからな。

ネイル:
이젠 다 괜찮은 줄 알았어요.
잘할 수 있을 거라.
もうすっかり大丈夫だろうと思ったんです。
上手くやれるって。

ユジンはうんうんと頷く。

ユジン:
그래. 알아. 응?
알아. 할 수 없어도 괜찮아.
할 수 있을 때까지 기다릴게.
あぁ、分かってる。
分かってるさ。出来なくったって構わない。
出来るようになるまで、待つから。

「…。」俯いていたネイルが視線を上げ、ユジンをまっすぐに見た。

ユジン:
가더려 줄게.
待ってやるから。

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+-+-+-+

ユジンがネイルの控室から出てくると、ユヌが階段を降りてくるのに出会った。

ユヌ「何で指揮者がここに?リハはオレたちの次じゃないか」
ユジン「二重奏のリハーサルは… ない」
ユヌ「どういうこと?」
ユジン「二重奏はキャンセルだ。ソル・ネイルはステージに上がれる状態じゃない」
ユヌ「…。」
ユジン「学校側にはオレが話してみる」

ユジンが立ち去ろうとしたとき、ユヌがポツリと言う。「やらなきゃならないんだ」

ユジン「…。聞こえなかったのか?ソル・ネイルは…」
ユヌ「それでもだ!」
ユジン「…。」
ユヌ「やらなきゃならないんだ」
ユジン「これだからマナーがどうのと口ばかりのヤツはウンザリなんだ」
ユヌ「…。」
ユジン「お前、何なんだ?無理だって言ってんだろ。無理やりステージに立たせるのか?」
ユヌ「そうだと言ったら?」
ユジン「…。」
ユヌ「オレは今日、どんなことがあろうとネイルと二重奏をやらなきゃならない」
ユジン「どうしてもやりたいなら、まずはちゃんと説得してみろ。今みたいな態度じゃ…」

「退け」ユヌの言葉は恐ろしく静かだ。

ユジン「… おい、イ・ユヌ」
ユヌ「…。」
ユジン「普段の方がマシだな。お前、今完全におかしいぞ」
ユヌ「演奏者がステージに立つのがおかしいか?」
ユジン「いつもみたいに丁寧に頼めよ」
ユヌ「もうすぐリハーサルだ。そんな時間はない」

ネイルの控室へ向かおうとしたユヌの腕を、ユジンが掴む。
その衝撃で、反対側の左手がドアにドンと当たった。

ユヌ「…。」

俯いて黙りこむユヌに、ユジンの視線が彼の左手に向かう。「?」
ユヌは小刻みに震える左手を右手で押さえ、固く目を閉じた。

ユジン「お前、左手に問題抱えてんだろ」
ユヌ「…。」
ユジン「そんなにヒドいなら演奏するのは厳しいはずだ」
ユヌ「黙れ!」
ユジン「!」
ユヌ「今日までは出来るから」
ユジン「…。」

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ユジンは彼の腕を掴み、無理やり外へ連れ出した。

ユジン「病院は?骨か?靭帯か?」
ユヌ「…。」
ユジン「神経の方か?薬飲んでもそんなに痛むのか?」
ユヌ「放っといてくれないか」
ユジン「…。お前、演奏できる状態じゃないんだろ」
ユヌ「出来るから!」

声を荒げるユヌを、ユジンは冷静に見つめた。「お前ら、二重奏はナシだ」

ユヌ「オーバーなんだよ。一度公演したくらいで駄目になったりはしない」
ユジン「鎮痛剤を飲んでも痛むなら深刻だ」
ユヌ「…。」
ユジン「そんな状態でやらせるわけにはいかない」

「学校に報告するから」歩き出そうとしたユジンの胸ぐらを、ユヌが掴む。「干渉すんな!」

ユヌ「今日の公演は予定通りやる。今までどんな思いで持ち堪えて来たか」

ユジンは負けずにユヌの胸ぐらを掴み返す。
ユヌは痛む左手でさらに掴んだ。

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ユヌ「…。」
ユジン「…。」

自分の襟を掴んでいる、痛むはずのユヌの左手を、ユジンはチラリと見た。
彼はユヌの左手にそっと手を添えると、静かに襟から外させる。
そして、手に対する優しさとは逆に、ユヌの胸をドンと突き返した。

ユヌ「…。」

震える左手をそっと押さえ、ユヌはポツリと口を開く。

ユヌ:
피아노…몇살 때부터였어?
눈 뜨면서부터 했겠지.
나도 그래.
내 기억속에선 늘 첼로와 함께였어.
세살 때부터 시켰다던데 그럼 20년이야.
ピアノ… 何歳から弾いてるんだ?
物心つく前からだろうな。
オレもそうだ。
記憶の中で、オレはいつだってチェロと一緒だった。
3歳かららしいから、20年ってことになる。

ユジン:

ユヌ:
신경수술 하면 첼로를 다시 할 수 있는 확률을 거의 없대.
다시 한다 해도 지금처럼 연주하기까지 얼마나 걸릴까…
神経を手術すれば、またチェロを弾けるようになる確率はほとんどないらしい。
弾けたとしても、今ぐらいの演奏が出来るまでにどれだけかかるか。

ユジン:

ユヌ:
오늘 공연 내 20년 친구를 보내는 날이야.
그 친구에게 바치는 장송곡이야.
今日の公演は20年来の友人を送る日だ。
友人に捧げる葬送曲なんだ

重苦しく目を閉じていたユジンが、目を開いた。

ユジン:
주절주절 참 말이 많네.
설내일하고 어울리느라 나도 오지랖이 늘었다.
장송곡…그럼 그 손 진짜 안 좋은 거네?
어쩐지 연습할 때 손을 아끼더라니…
よくもそうタラタラと言えたもんだな。
ソル・ネイルの相手をするうちに、オレもおせっかいになったらしい。
葬送曲… それなら、その手はホントに良くないってことだな。
どうりで練習のとき手を庇うはずだ。

ユヌ:

ユジン:
나같으면 그런 시간에 치료부터 받겠다.
아픈 손 혹사시키는 짓 절대 안해!
オレならそんなことしてる間にまず治療を受ける。
痛む手を酷使するようなマネは絶対にしない。

ユヌ:
남의 일이라고 함부로 말하지마!
人のことだからって適当に言うな!

ユジン:
네 부상이 남의 일인 것 같애?!
お前のケガが他人事だと思うか?!

ユヌ:
!!!

ユジン:
재능 없는 떨거지들도 손 귀한 거 알어.
돈 없어도 공사판에 나가 손 다칠까 봐!
근데 뭐? 장송곡?
…그딴 거 준비하느라 치료도 안 받아?
나같으면 그런 짓 절대 안해.
손을 바꿔서라도 연주 다시 할 거야.
才能のない落ちこぼれだって、手がどれだけ大事か分かってる。
どんなに金がなくたって工事現場に働きに出たりしないだろ!
それなのに、何?葬送曲?
たかがそんなもののために、治療も受けずにいたのか?
オレならそんなことは絶対にしない。
手を替えてでもまた演奏してみせる!

ユヌ:
손을 바꿔…세살 때로 돌아가 다시 시작하라고?
手を替えて… 3歳の頃に戻ってやり直せって?

ユジン:
정말 좋아하면 애들과 함께 배우는 한이 있어도 포기 안해.
너 다시 시작할 자신이 없지?
本当に好きなら、子どもたちと一緒に習うことになったとしても諦めたりしない。
お前、やり直す自信がないんだろ。

ユヌ:

ユジン:
그러니까 도망치지.
だから逃げてるんだ。

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「…。」ユヌを残し、ユジンは建物へ戻った。

ユヌ「…。」

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ネイルはすでに衣装に着替え、控室の鏡の前に座っていた。

#私の体感的に、そろそろ日が暮れるころだと思うけど(笑)

「逃げちゃったほうが楽だと思うけど」不意に声が聴こえて、ネイルは顔を上げる。

幼いころの自分が、後ろにいた。

チビネイル「私のこと捨てたら、もっと辛くなるよ。逃げ場所がないでしょ」

「わかってる」そう言って微笑むと、ネイルは幼い自分の前に腰を下ろした。

ネイル「待つって言ってくれたでしょ。いつまでもあんたのままで、先輩を待たせるわけにはいかないよ」

しばらくじっと黙っていたチビネイルは、明るく右手を出した。「バイバイ、ソル・ネイル」
ネイルはその手を握り返す。「元気でね、ソル・ネイル」

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#もっと肌に近いリップを塗って上げればいいのにね。チビネイルちゃん
お母さんの口紅を塗っちゃったおませな子みたい。

幼い自分の頭をポンと撫でると、ネイルは部屋の出口へ向かった。
ドアを開けて振り返ると、そこにいたはずの幼い自分は… もういなかった。

彼女は晴れた表情で歩き出す。

+-+-+-+

中へ戻ってきたユジンをイラクが見つける。「お前までどこ行ってたんだよ」

イラク「ユヌ見なかったか?」
ユジン「あぁ、外にいる」
イラク「(安堵)ソル・ネイルがリハやるって言った途端、ユヌが行方不明でさ。この調子じゃオレらのリハ夜中になるぞ」
ユジン「ソル・ネイルがリハやるって?」

+-+-+-+

ネイルは恐る恐るステージに出た。
譜面を置き、鍵盤に向かったところへ、ユジンが駆け込んでくる。「ソル・ネイル」

ユジン「大丈夫か?」
ネイル「先輩、ちょっと手を」

そう言われ、ユジンはさっと手を出してやる。(←ナンテこと!
ネイルは両手で彼の手を握り、懸命に気持ちを落ち着かせた。

ユジン「どうした?不安なのか?」
ネイル「やっぱり先輩の手はお薬ですね」
ユジン「…。」
ネイル「もう大丈夫」

彼女はそっとユジンの手を離した。
「大したことないですね」ネイルは明るく膝を叩いてみせる。

ネイル「それなのに、どうしてこんなに怖かったんだろ」
ユジン「…。」
ネイル「先輩、客席にいてもらえますか?」

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+-+-+-+

暗い控室の中で、ユヌは医師の言葉を反芻していた。

医師(声)「手術が遅れるほど、回復は難しくなります。こうしているうちに日常生活さえ送れなくなるかもしれません。絶対やらなければならない演奏というのは、手を諦めるほど大事なものなんですか?」

「…。」彼は、壁に立て掛けたチェロをじっと見つめる。

+-+-+-+

ステージにチェロを持ったユヌが現れた。

ユジン「…。」

それでもやるつもりか…。客席で、ユジンは小さく溜息をつく。

「遅くなって…ごめん」ピアノの脇に立つと、ユヌは優しくネイルに言った。
ネイルは無言で彼を見上げる。

ユヌ「だいぶ待った?」
ネイル「いいえ。先輩、もう始めましょう。私、準備は出来てます」

頼もしいネイルに、ユヌは微笑んで頷いた。

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ネイル「それと、この曲をやらせてくれてありがとうございます」
ユヌ「え?」
ネイル「シシリエンヌです。この曲に決めた時、私なりの意味を込めたんです。今日の演奏が私にとってはスタートなんです」
ユヌ「…何の?」
ネイル「全部です。全部。何だって出来そうな気がするんです。私、やれます!」
ユヌ「…。」

ユヌが自分のポジションにゆっくりと移動する。
演奏が始まった。

「今日はオレの20年来の友を送る日なんだ」

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ユジンは客席でじっとユヌの演奏を見守る。

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「お前の怪我が他人事か?!」
「本当に好きなら諦めたりはしない」
「やり直す自信がないんだろ。だから逃げるんだ」

ユヌのチェロの弓が不意に空を切った。
演奏が止まる。
弓を持つ右手がゆっくりと降りた。

ネイル「先輩、どうしたんですか?」

「ネイル」ユヌが静かに口を開く。

ユヌ「オレたちの二重奏… やめにしよう」
ネイル「…。」
ユヌ「出来そうにないんだ」
ネイル「え?」
ユヌ「…ごめん」

ネイルが思わず立ち上がる。
二人の様子を、客席のユジンはそれでも辛抱強く見守った。

ユヌ:
나 정말 이기적이네.
나만 생각했어.
オレってホントに一人よがりだな。
自分のことしか考えてなかった。

ネイル:
?

ユヌ:
새로 시작하려는 너한테 장송곡을 치게 만들었어.
나한테 시실이안느는 포레의 곡이야.
아버지의 죽음도 진혼곡으로 승화시키는 포레의 예술혼.
내가 불태울 마지막 열정이었어.
그래서 네가 이 곡을 선택했얼 때 나는 내 첼로를 위한 미지막 곡이라고 생각했는데
너한테 시작일 거라고는 생각 못했다.
…미안하다.
新しくスタートを切ろうとしてる君に、葬送曲を弾かせてしまった。
オレにとってシシリエンヌはフォーレの曲だ。
父親の死さえ鎮魂歌として昇華させるフォーレの芸術魂。
オレも最後に情熱を燃やしたいと思ってた。
だから、君がこの曲を選んだ時、チェロのためのオレの最後の曲だと思ったんだけど、
君にとってはスタートだなんて、思ってもみなかったんだ。
…ごめん。

少し考えを巡らせると、ネイルは笑顔でユヌの肩にトントンと手を置いた。

ネイル:
괜찮아요, 선배.
いいんですよ、先輩。

+-+-+-+

リハーサルを中止し、ユヌは外へ出て来た。
「先輩、これはね、葬送曲じゃなくて明日(ネイル)のシシリエンヌなんです」ネイルの言葉を彼は反芻した。

ネイル(声)「新しいスタートのための音楽なんですよ。それが何であろうと」

彼はそうしてホールを後にした。

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ユヌが去った後、ネイルはステージに残り、一人で最後まで演奏した。

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ユヌはそのままタクシーでどこかに向かっていた。
「あぁ、先輩」電話の相手に言う。

ユヌ(電話)「今日の公演、頼むよ。今日だけ代わりにステージに立って欲しいんだ。あぁ、ありがとう。ごめん」

電話を切ると、ユヌはすぐに他の誰かに電話を掛ける。
悲しみや痛みが入り混じり、彼は顔を歪めた。「母さん」

ユヌ(電話)「僕、病院に行くよ。意地張ってごめん」

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学長は学長室前で連絡を受けた。

学長(電話)「えぇ、ユジン。今ユヌから聞いたわ。知り合いが出てくれるって言うんだけど、その人も今地方公演中で。アン教授に頼んで今すぐ迎えに行ってもらおうと思うの。公演まであと4時間なのに」

#えー まだあと4時間あるのー?(棒読み

ユジン(電話)「うちの団員たちのことは僕が責任を持ちますから、心配しないでください」

彼は足早に練習室へ向かった。

+-+-+-+

ユジンが入ってくると、メンバーたちはさっと自分の席につく。

「さぁ、オレたちのリハの時間だ」指揮台に立つと、ユジンは声を張った。
全員が一斉に歓声を上げる。皆笑顔だった。

ユジン「みんな分かってるよな。リハーサルには?」
全員「全力を尽くせ!」
ユジン「本番には?」
全員「死力を尽くせ!!!」

皆の元気な返事に拍手をすると、ユジンはシウォンにチラリと視線を送り、練習室を後にした。

シウォン「?」

+-+-+-+

ユジンは廊下で壁にもたれかかり、腕組みしてシウォンを待っていた。

シウォン「あんたがそんなにテンションあがってるの、初めて見たよ」
ユジン「ソル・ネイルとイ・ユヌの二重奏、中止になった」
シウォン「何かあったの?」
ユジン「怪我して病院に行ったんだけど、みんな驚くかもしれないから、話すのはお前に任せる」

「分かった」シウォンは少しも動揺することなく、短く答えた。「心配しないで」

ユジン「ありがとう」

練習室へ戻りかけて、シウォンは立ち止まる。「チャ・ユジン」

シウォン「あんたは私たちの指揮者だからね」
ユジン「…。」
シウォン「あんたが笑って自信をみせてるから、みんなやる気満々だよ」

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シウォンはニッコリ笑い、練習室へ戻って行った。

「…。」ユジンは壁に頭をもたれかけ、ぼんやりと溜息をつく。「これ以上何もないよな」

#リハやるリハやるってさんざん繰り返しながら、おそらくやるやる詐欺なんでしょ。えぇ、分かってますよ

+-+-+-+

ネイルは入場する観客たちに混じってキョロキョロしていた。
2階ロビーにシュトレーゼマンの姿を見かけ、声を掛けようとしたところへ、ト教授がシュトレーゼマンに近づくのに気づき、彼女は慌てて逃げ出した。

ト教授「お元気でいらっしゃいましたか、シュトレーゼマン教授」
シュトレーゼマン「?」
ト教授「またお会いできて嬉しいですが、またいついらっしゃらなくなることか」
シュトレーゼマン「いなくなったりしませんよ」
ト教授「…。」

「ミナは…」シュトレーゼマンは辺りを見回す。「学長はどこです?」

ト教授「知りません。どうなっているのか、私が訊きたいくらいです」
シュトレーゼマン「そうですか」

シュトレーゼマンは何気なく階下を見下ろした。

シュトレーゼマン「目が悪くなったんですかネ?」

ちょうどエントランスを一人の男性が入ってくるのが見える。「あれはチャ・ドンウでは?」

ト教授「え?」

チャ・ドンウは迷わず1階ロビーを横切り、階段を上がった。

+-+-+-+

本番の衣装に着替え、ユジンは一人で控室にいた。
「もう帰れって」誰かに電話で告げる。

ユジン(電話)「公演をキャンセルした演奏者が客席にいたら、問題になるかもしれないから」

電話の相手は、階段の踊り場にいるネイルだ。

ネイル(電話)「それでも先輩の公演は観て行かなきゃ。それから、ユヌ先輩を追いかけようとしたんですけど…見つかりませんでした」
ユジン「…。」

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#ちょ、何なんですか先輩、そのビジュアルは♥

ネイル「ちゃんと治療うけますよね?」
ユジン「終わったら確かめてみるから」

そのとき…

チャ・ドンウが控室の前までやって来て、ドアをノックした。
「どうぞ」ユジンは電話を耳に当てたまま、誰かもわからぬ訪問者に声をかける。

ユジン(電話)「もうすぐ始まるから…」

扉が開き、入ってきた人物が鏡越しに見える。
「…。」ユジンは父を茫然と見つめた。

「もしもし?先輩、どうしたんですか?」電話の向こうのネイルの声は、もうユジンには届かなかった。

+-+-+-+

「みすぼらしい所だな」父は控室を見渡し、そう言った。
ユジンはようやく正気に戻り、父に向き直った。

ユジン「父さん、お久しぶりです」

彼は父に深々と頭を下げる。

父「こんなところで公演するのに、招待状を送ってくる魂胆は何だ?」
ユジン「招待状が行っていたとは…知りませんでした。もう二度とそんなことのないようにします」
父「優先順位が間違っている。もう二度とこんなところで公演はしない… その言葉が先だ」
ユジン「…。」
父「ひょっとして、まだ克服出来ずにいるのか?世界の舞台に立つべきヤツが、留学を先送りにして、こんなオーケストラで時間を無駄に?」
ユジン「ここでも学び、楽しんでいます。時間の無駄ではなく」
父「それは時間の無駄だ」
ユジン「…。」
父「その結果がこんな小さな控室だろう」

「…。」ユジンが無言で拳を握り締めると、父はその拳に視線を落とした。

父「気が弱いのは子どもの頃から変わらないな」
ユジン「…。」
父「あのとき、母親の言うことを聞かずに、無理矢理にでも病院に入れるべきだった」
ユジン「僕の状態を確かめにいらしたんですか?」
父「…。」
ユジン「…。」
父「日本へ行くついでに寄っただけだ。無駄足だったと、後悔するような公演はしないだろうな」
ユジン「久しぶりに会っても同じですね」
父「仕方なかろう。相変わらず進歩がないんだから」
ユジン「…。」

父はユジンを脅すように睨みつけると、そのまま控室を出て行った。

ユジン「…。」

+-+-+-+

ここでエンディングです。

いまさらだけど、韓ドラ舐めてたわ。もう「参りました」だわ。
(o´Д`)=з クタクタ

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