韓国ドラマから美しい言葉を学ぼう

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ネイルもカンタービレ(のだめカンタービレ韓国版)あらすじ&日本語訳 10話vol.1

   

シム・ウンギョン、チュウォン主演、「ネイルもカンタービレ/明日もカンタービレ」(韓国版のだめカンタービレ)10話前半です。

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「ユ・イラクだ…」ステージでバイオリンを奏でるシルエットに、ユジンは呟いた。
ネイルが隣で嬉しそうに頷く。「ラク君ですよ」

イラクはこの演奏に全ての思いを込めていた。

※チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35

~~~~

ネイル:
그래도 유진 선배였어요.
미르히가 우리 버렸을 때 우리한테 제일 먼저 달려와 준 사람이에요.
だけど… ユジン先輩でしたよ。
ミルヒが私たちを捨てた時、一番最初に駈けつけてくれた人は。

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ネイル:
락군 술먹고 왔을 때도 바이오린 레슨 시켜줬구요,
락군 매번 틀릴 때마다 쫓아낸다 그러면서 악장 지켜준 사람 선배에요.
ラク君がお酒を呑んできた時だって、バイオリンのレッスンをしてくれたし、
ラク君が間違えるたびに「追い出すぞ」とか言いながらも、コンマスを守ってくれたのは先輩です。

ネイル:
공연 때는 우리 위의 팀복도 입어줬어요.
뭐, 우린 맨날 우리가 다 퍼 준 줄 알았는데 그거 아니네.
엄청 많이 받았네요.
公演の時は私たちのチームユニフォームだって着てくれました。
いつも自分たちが理解してあげてるつもりでいたけど、そうじゃない。
ものすごくたくさんのことを受け取ってるんです。

~~~~

食い入るようにステージを見つめるユジンの隣で、ネイルはそっと彼の手を取った。

ユジン「…。」

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それに気づいているのか、それとも気づいてもいないのか、彼はネイルに手を握らせたまま、ただイラクの演奏に聴き入った。

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シウォンがレッスン室へやってくる。
そこにはAオケのメンバーが数人いるだけだ。

シウォン「他の子たちは?打楽器のレッスン室に集まるようにって連絡してないの?」
ソンジェ「残りはオーディション受けないって」
シウォン「え?!ボイコットはなくなったのよ。ユ・イラクはオーディション会場に行ったわ」
ジェヨン「実際さぁ、他のヤツらは韓音オケっていうタイトルが必要だったんだ」
シウォン「ソリストが目標の子ばかりじゃないでしょ」
女子メンバー「さぁね。私は留学準備に集中するわ。オケをやってもう箔は付いたし」
男子メンバー「落ちこぼれと一緒にオーディション受けること自体、プライドが傷つくよ」

シウォンはムッとして部屋を出た。

彼女を追いかけて出て来たのは、ソンジェとジェヨンだ。「どこ行くんだよ!」

シウォン「チャ・ユジンと学長がどうしてここまでしたか分かったわ。オケ経験の肩書に留学準備コース!あんたたちにとってオケってそんなものだったの?!」

「カッカすんなって!」ソンジェがシウォンの腕を掴んだ。

シウォン「本当の裏切り者はユ・イラクじゃない。あんたたちよ。オケは留学前の箔付けなんかじゃないわ!」
二人「…。」
シウォン「私一人でもオーディション受けに行くわ」
ジェヨン「シウォン!」
ソンジェ「どうしたんだよ」
シウォン「オーケストラは皆で音を作るの。その過程に少しでも愛情があったら、あんな言葉が出るわけない」

シウォンは彼らに背を向けた。

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次々とステージに立つSオケメンバーの演奏に耳を傾けながら、ト教授の頭の中で何かが渦巻いていた。

ト教授(心の声)「ユ・イラク、マ・スミン、あの子はバイトばかりしていたチビっ子だ。間違いなくSオケの落ちこぼれたちなのに…。あの落ちこぼれたちなのに…」

アン教授が感心して口を開く。

アン教授「怖いほど進歩しましたね。ソリストとしてはAオケのメンバーが優れていますが、あの子たちは2度の公演を経験して、実力がぐんと伸びたんですよ。まるで全校でビリだった子が10位内に入ったくらいにね」
ト教授「…。」
アン教授「私たちが学生の演奏をこうやって一人ひとり聴くのは、今回が初めてじゃありませんか?」

「えぇ」ト教授は呟くように同意した。「初めてです」

Sオケのメンバーに続き、後からやって来たAオケのメンバーがステージに立つ。

ト教授(心の声)「イ・ジェヨンか?相変わらず上手い。しかし、テクニックを見せつけようとするのは、あいつの指導教授のスタイルそのものだ。進歩も面白味もない。一生レッスン通りに演奏するだろう」

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廊下へ出てきたト教授は、疲れた様子でベンチに腰を下ろした。
そこへやって来たユジンは、彼に飲み物を差し出す。

ト教授「どういう風の吹き回しだ?生意気な男が」

「確かに…」ト教授の言葉は穏やかだ。

ト教授「Aオケの半分は申し込みもしなかったな。それが目的か?オーディションを口実に、プライドの高いヤツらを一掃すること」

ユジンはニッコリ微笑み、そばに腰を下ろす。

ユジン「オーディションを口実に、Sオケのメンバーたちの演奏を聴いて欲しいと思ったんです」
ト教授「…。」
ユジン「どれほど良くなったか。教授自ら聴いていただけば、公正に評価してくださるだろうと、学長が推薦なさったんです」
ト教授「…。」

~~~~

今回のことを計画するにあたり、学長はユジンに話した。

学長:
도교수님 나랑 늘 대립하지만 우리에겐 공통점이 있어.
표현은 다르지만 학교를 생각하는 마음은 같다는 거야.
네가 친구들 믿는 만큼 나도 도교수님 믿는다.
그러니까 한번 믿어보자.
그분 학생 연주를 점수로 장난칠 분 절대 아니야.
ト教授は私といつも対立しているけれど、私たちには共通点があるの。
表現は違えど、学校を思う気持ちは同じなのよ。
あなたが友人たちを信じるように、私もあの方を信じるわ。
だから、一度信じてみましょうよ。
あの方は絶対に学生の演奏に虚偽の点数をつけるような人じゃない。

#「ト教授と私、学校を思う気持ちは同じ」って聞いて、「へぇ、そうなんだぁ」って思いませんでした?
学長がわざわざ説明しなくても、これまでの回の中で、「実は学校や音楽を愛しているんだろうな」って、私たちが感じてないといけないんですよね。

~~~~

ト教授「学長がそんなことを…」
ユジン「公正に審査なさるはずだと、そうおっしゃいました」

ト教授は審査員席に戻り、審査用紙に向かった。

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AオケとSオケのメンバーたちは、練習室で真っ二つに分かれ、睨み合っていた。

※この場面で流れている曲は、日本版ドラマでもお馴染みですが(最近はCMでよく聴きますね^^)、
「ロミオとジュリエット」の「モンタギュー家とキャプレット家」です。
対立しているAオケとSオケ、そしてイラクに言わせれば彼とシウォンの関係を象徴している曲…ということなんでしょう^^

「オーディションの合格者を公表します」そこへ放送が流れる。

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彼らは我先にと事務局前の掲示板へ駆けつけた。

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イラク、スミン、ミニ… 皆の名前がそこにしっかり刻まれていた。

#オーボエオッパはイム・ジョンジェ?クラリネットオッパは…二人名前載ってるけど、どっちやねん!

イラク「あった…。オレたち… 全員受かったのか?!」

皆が黙って喜びを噛みしめる。

イラク「ベストofベストのオケのメンバーに、オレたちが?!」

「わぁ~!」皆が手を叩き、歓声を上げ、合格を喜び合う中、イラクは一人静かに目を赤くした。
「お前らは大丈夫だって、オレは信じてるのに、何でお前は信じられないんだ?」わざわざ訪ねてきたユジンの言葉がハッキリと甦る。

ユジン「オレはお前らの指揮者だ。誰よりお前らのことは把握してる。そのオレが大丈夫だって言ってるのに!!!」

イラクの目に涙が滲むと、皆ハッとして口をつぐむ。

スミン「イラク… 嬉しい日に何泣いてんの?」
イラク「オレたち、もう落ちこぼれじゃないんだ…」

「男のくせに泣くなよ」「やりましたね!」皆が口々にイラクに声を掛けた。

そこへ静かに顔を見せたのは、Aオケのメンバーたちだ。

ソンジェ「今回も首席だな」
ジェヨン「受かったって気分悪いよ。だからどうだってんだ?留学する前に適当に…」

そう言いかけて、ジェヨンは合格者リストに目を見張る。「何だ?!」

トランペットの項目で、ジェヨンの名前は2番目に記されていた。

ジェヨン「オレが何でセカンド何だ?!」

#おまいイイ気味だ!

横でシウォンが溜息をついた。「うちのメンバー、だいぶ抜けちゃったね」

シウォン「だけど、あの子たち凄いよ。あの子たちが落ちたら、ト教授に失望するところだった」
ジェヨン「…。」

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思いもよらぬ結果に、理事長はカンカンだった。
理事や同窓会幹部の親戚たちがこぞって落ちたのだ。

ト教授「申し訳ありません。しかし、最大限に公正に…」

「はっ」理事長は嘲笑する。

理事長「公正?ソン学長とは違うと思っていました。失望しましたよ、ト教授!」
ト教授「Sオケのメンバーたちの演奏が悪ければ、点数を与えたりはしませんでした」

「私は教師です」ト教授は強調する。

ト教授「他のことはさておき、点数を偽ることはできません」

「そうでしょうね」理事長はぷいっと背を向け、憮然としたまま立ち去った。

ト教授「学長の職はお流れだな…」

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ユジンは一人、誰もいないカフェスペースにいた。

彼の携帯にメールが入る。

ネイル(メール):
나 수업중인데 지금 뭐해요?
私、授業中なんだけど、今なにしてるんですか?

無邪気なメールに、ユジンは思わずニヤリと微笑んだ。

ユジン(メール):
휴식중.귀찮게 하지마.
休憩中。邪魔すんなよ

…と、ここまで打ち込んだところで、彼はふと考え直す。「…。」

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#この絶妙な指の触れ具合と、口の開き具合を一枚選ぶまでに、何枚キャプったことか(笑

入力した文字をほとんど消すと、最初の3文字だけを送信した。「休憩中」

ネイル(メール):
나 밥 먹으로 가도 돼요?
ご飯食べに行ってもいいですか?

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講義中、そっと携帯を出すと、ネイルはメールを確認する。

ユジン(メール):
돼.
いい。

たった一文字のぶっきらぼうな返事に、ネイルは思わず声を上げ、慌てて口を押さえた。「♥♥♥」

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ユジンの後ろ姿を見つけると、イラクは恐る恐る近づいていって、少し離れて隣に腰を下ろす。

イラク「…。」

緊張した様子で座っているイラクをチラリと見ると、ユジンも作業の手を止め、テーブルから体を起こした。

ユジン「…。」

#↑この数秒が好き

「言ってくれよ」イラクが前を向いたまま、口を開く。

イラク「あのときも今回も、俺たちのためにやったことだって」
ユジン「…。」
イラク「俺たちが落ちこぼれだから捨てたんじゃないって。そうすればお前の言うことを信じる」

「すまない」ユジンの口から出たのは意外な言葉だ。
「?!」イラクが思わず彼を振り返る。

ユジン「あのときだってお前らを信じて一緒に進むべきだったのに、一人で解決しようとしたんだ。ろくでもない高慢ちきだって… その通りだ」
イラク「「チャ・ユジン…」

イラクは思わず目を拭い、顔を歪ませた。「そうだよな」

イラク「チャ・ユジンはろくでなしだ!ナマイキだし、ないモノだらけだがな、それでも… 義理までないヤツじゃない」

そう言ってイラクは笑った。
彼はさっと椅子をユジンに近づけ、いきなり肩を組んだ。

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ユジン「!」
イラク「二度と離れるのはよそうぜ!友情の誓いでも立てるか?ペアルックとか?」
ユジン「(首を横にブンブン)」
イラク「男らしく血判だ!血判はどうだ?格好いいだろ!」
ユジン「嫌だ!」
イラク「何でだよ?怖いのか?オレが先にやるから」

「何か血の出るような物はないか?針とか」イラクが指を見つめてブツブツ言っているうちに、ユジンは大急ぎで荷物をまとめる。

イラク「(ブツブツ)待てよ。病院のそばでやった方がいいんじゃないか?大出血でもして、気絶したらどーしよう?!」
ユジン「お前!」
イラク「?!」
ユジン「オレのいないところで、一人でやれ。な?」

命の危険を感じ、ユジンはさっさと逃げ出した。

イラク「何だよ?オレが先にやるって!」

一人になると、イラクは再び親友への思いを噛み締めた。

イラク「ありがとう。ありがとうな、ユジン」

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ユジンの部屋の前に立つと、ネイルはドキドキしてギュッと目を閉じた。

ネイル「ご飯食べに来いって言ったもん!ご飯。ご飯だけ食べたら帰るんだもん!」

意を決してチャイムを鳴らすが、返事がない。
彼女はパスワードを入力しようとして、ハッと手を止めた。

ネイル「あ、そうだ。先輩の家、パスワード替えたんだった。うちと同じパスワードだったときは良かったのになぁ」

「あのときはホント夫婦みたいにパスワードも同じで♪」ネイルは何となく前のパスワードを入力し始めた。
と、最後まで入力した瞬間、解錠された音が響く。

ネイル「?!」

ユジンは、パスワードを黙って元に戻していたのだ。

+-+-+-+

「先輩?」中へ入ってみると、ユジンの姿はなかった。
久しぶりの彼の部屋が嬉しくて、ネイルは顔を輝かせる。

ピアノの方に向かうと、蓋の隙間に鎮座した人形が彼女を迎える。「あっ」

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本棚にはピーターパンの本。
洗面台の棚には歯ブラシ。
クローゼットには仲良く並んだオラバンうさぎとネイルうさぎ。

そこへ玄関の扉が開き、ユジンがスーパーの袋を手に帰ってきた。

ユジン「!」
ネイル「全部捨てたんだと思ってたけど、捨ててなかったんですね」

「分別するのも面倒だからな」ユジンは目を逸らした。

ネイル「もう!照れちゃって」

ネイルは大きな目で彼を見上げる。「捨てられなかったんでしょ♪」

ユジン「照れる?お前、調子乗んなよ」

彼はキッチンへ移動する。

ネイル「ご飯食べに来たのに、何も食べる物ないんですね」
ユジン「買ってきただろ」
ネイル「(袋を覗き)うー、インスタントはnon non」
ユジン「イヤなら食うな。食べさせてもらってる分際で」
ネイル「作ってください~」
ユジン「出前取るぞ」

+-+-+-+

自らのカフェにいるソニョンに、誰かから電話が入っていた。

ソニョン(電話)「どうして韓国に?ユジンに会いに?チャ・ドンウも年をとったものね。父親らしいことしたくなったわけ?」

「…。」ソニョンの顔から笑みが消える。「やめて!」

ソニョン(電話)「チャ・ドンウ、あなたはね、ユジンにとって飛行機と同じ存在なのよ」

「切るわ」ソニョンは一方的に電話を切った。「突然どうしたのかしら?不安だわ」

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幼いユジンが父の部屋へやってくると、父は楽譜を見ながら音楽に耳を傾けていた。

チビユジン「お父さん、僕、今度の国際ピアノコンクールのジュニア本選に出るんです」

父は息子の言葉にも、楽譜から目を離さない。

チビユジン「みんな僕が優勝するだろうって。お父さんも来てくださったら…」

父が手に持っていたコーヒーカップを置いた。

チビユジン「…。」
父チャ・ドンウ「そんな大会で優勝するのは当然のことだ」
チビユジン「え?」
父「最高のステージ、最高の席でなければ行く理由なんてない。そういう場に…」

父は楽譜から目を上げ、息子を睨んだ。

父「私を呼びたいと言うのなら、それでこそチャ・ドンウの息子だ」

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淡々と言い、父は再び楽譜に視線を落とす。

~~~~

ユジンはぼんやりと夢から覚めた。

ユジン「急に何で父さんの夢なんか…?もう随分連絡も取ってないのに」

243

+-+-+-+

235

真っ暗なオケの練習室のドアを開け、中に入ると、彼は電気をパチッとつけた。
その瞬間。

一斉にクラッカーが鳴り、待っていたメンバーたちが歓声を上げる。

ユジン「!!!」

「ジャジャーン!」後ろには大きな横断幕が掲げられた。

『R☆Sオーケストラ!』

皆「ライジングスター!!!」

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#やっぱり…。

ユジン「ライジングスター?」
イラク「どうだ?格好いいだろ?一晩中話し合って考えたんだ」

「私は反対したんですよ、先輩」ミニが苦々しい顔で手を挙げる。

スミン「もう、野暮なこと!青春スターみたいでイイじゃない!」
ユジン「なぁ、そういうことしないと気が済まないのか?」
イラク「トーゼン!オレたちみんなの夢だろ。ライジングスター!」

ユジンは身震いした。「オレはいい」

スミン「チャ様こそ本当のライジングスターじゃない?すっかり有名になっちゃって♥」

「いや」ユジンは指揮台の横に立つと、落ち着いて言った。「まだオレたちの好きには決められない」

ユジン「オケはまだ承認されてないんだ」

向かって右側にはAオケからのメンバーが陣取っている。
「とりあえず曲を決めようよ」シウォンが提案した。

シウォン「学長が私たちの初公演の日取りを決めてくれるって」

「ごめん。レッスンがあるんだ」ソンジェが時計を見た。「1時間以内に終わるよね?」

イラク「何言ってんだ?!旗揚げ記念に、今日はうちのオヤジの店に出動だ!!!」

盛り上がる面々に、シウォンも水を刺した。「ごめん、私もレッスンがあるの」

シウォン「だけど私たち、団員同士で食事に行ったりとかしなかったんだけど」
ジェヨン「お前たちみたいに暇じゃないからな」
スミン「一緒に行こうよ。楽しいから」

「…。」イラクがガッカリして黙り込んだ。

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「早く!」ネイルはユジンの手を引き、待ちきれずに走った。

ユジン「自分の足で行けるって」
ネイル「みんなでご飯食べるなんて久しぶり!そうだ、ラク君がね、先輩にあげるために”生涯無料券”を準備したって♪」
ユジン「…。」

「Go~♪」呆れているところをネイルに押され、ユジンは思わず苦笑した。

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店に入ると、イラクたちが先にテーブルについていた。

ネイル「さぁ~、高慢ちき大王ユジン先輩のお出ましですぅ~!さぁ、指定席へ…」

と奥の席を指差したところで、全員の顔が凍りつく。

ユヌ「?」

奥の席に座っていたユヌが慌てて立ち上がった。「あっ!」

ユヌ「ユジンの指定席だって知らなかった。ごめん」
ネイル「(苦笑)誰が座ってもいいんですよぉ」
ユジン「…。」
イラク「いいって!座れ」
ユヌ「そう?じゃ、このまま座るよ」

ユヌはニッコリ笑って再び腰を下ろし、イラクは苦虫を噛み潰したような顔で、ユジンを恐る恐る見た。「…。」

ユジン「…。」

ユヌ「(ユジンに)お前の復活祝いなんだろ?」
ユジン「(ムッツリ)そうだな。祝うつもりもない人間が混じってるが」
ユヌ「誰?」
ユジン「(ふんっ)」
全員「……。」
ユヌ「どこ?」
ユジン「(ジロリ)」
ユヌ「皆お前を祝いに来てるのに、機嫌直せよな」
ユジン「口の上手いヤツだな」
イラク「(硬直)」
ユヌ「ありがとう。口は人格だって言うからね。お前もスマートな口の利き方を覚えろよ。そうすりゃ祝ってくれる人たちも気が楽なのに」
皆「………。」

「お父さんは?挨拶しなきゃな」ユジンが気を取り直してイラクに訪ねた。

ユヌ「お父さんはさっき出掛けられたよ。週一度、整体を習ってるからね」
ユジン「へぇ、よく知ってんだな」
イラク「(悲壮)」
ユヌ「気に入ってくださってね。あ、オレ、生涯無料券も貰ったんだ」

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イラクが顔を歪ませて苦笑する。

ユジン「誰でも… 貰えるんだな、それって」
イラク「…。」
ネイル「そ、それ… 誰でも貰えるものじゃないですよぉ!私は貰ってないもん!でしょ、ラク君。(つつく)二人だけにあげるんでしょ」

「私は…」スミンが手を上げたところで、イラクが大声をあげた。「そうさ!」

イラク「誰でも貰えるもんじゃないぞ!きっかり二人だけだ!二人!!!」
スミン「…。」
イラク「ベストフレンドのチャ・ユジンと、オレの… 親友のユヌ、二人だけだ」
ユジン「二人だけ?」
ユヌ「ありがとう、イラク^^」
イラク「へへへ^^;;;」

「チャ・ユジンが来たから、みんな嬉しそうだな」凍りついた空気を天才的に無視し、ユヌが言う。
「オレも嬉しいよ」ユヌは正面に立っているユジンをまっすぐに見た。

ユヌ「オレたち今度こそ仲良くしよう」
ユジン「帰る」
イラク「何でだよー!まだ料理も来てないのに」
スミン「チャ様、約束でもあるの?」
ユジン「楽しくやれよ。今日中に曲を決めないと。こうしてる暇はないんだ」

「じゃあな」ユジンは憮然と店を出る。
「一緒に帰ります、先輩!」ネイルが席を立つと、ユヌもさっと後に続いた。「ごめん、オレも行かなきゃ」

+-+-+-+

どういうわけか、結局彼らは3人仲良く帰り道を歩いていた。

ユヌ:
같은 빌라 사니까 좋다.
이렇게 집에도 같이 가고.
同じヴィラに住んでて良かった。
こうやって一緒に帰れるし。

ユジン:
같은 빌라 산다고 집에까지 같이 갈 필요 없잖아.
同じヴィラに住んでるからって、一緒に帰る必要ないだろ。

ユヌ:
그렇다고 따로 가는 건 더 이상하지.
だからってわざわざ別々に帰るほうが変じゃないか。

ユジン:
피차 서로 별론데. 따로 가는 게 나아.
どっちもイマイチだがな、別々に帰る方がマシだ。

意固地なユジンに思わずユヌの白い歯がこぼれる。

ネイル:
선배만 별로죠.
윤후선배는 별로 아니래요.
先輩がイマイチなんですよ。
ユヌ先輩はそんなことありませんから。

ユジン:
야, 지금 내 흉보는 거야?
おい!オレをバカにしてんのか?

ユヌ:
나도 차유진 별론데.
オレもチャ・ユジンはイマイチだと思うね。

ユジン:

ネイル:
선배!
(ユヌに)先輩!

ユジン:
고맙다. 피차 별로라서.
有り難いね。お互いイマイチで。

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#くだらん会話(笑

「じゃ、また明日ね、ネイル」ユヌはニッコリ微笑みかけ、先に部屋へ上がって行った。

ユヌに手を振り、ネイルは恐る恐るユジンを振り返る。
ユジンと目が合うと、ネイルはさっと目を逸らした。「…。」

+-+-+-+

玄関を開け、家に入って来たユヌの表情は、さっきまでと別人のように重苦しかった。
彼は静かに溜息をつき、そのままドアにもたれかかる。

ユヌ「…もう少しだと思ったけど、また元通りか」

239

彼は力の抜けたように目を閉じる。「…凹むな」
不意に痛み始めた手を押さえ、彼は歯を食いしばった。

#取っ掛かりとして「変わった女の子と付き合う」なんてリストアップしたのはいいとして、いざ同じ大学に飛び込んで来て以降は、こういうちょっとミッション的発言はやめて、純粋に描いてくれればいいのにね。 たまに変な台詞があるせいで、優しい台詞まで作為的に見えてしまう。

+-+-+-+

ネイルは妻らしく、ちゃっかりユジン先輩の部屋に帰ってきた。
「あぁ゛!」ユジンはむしゃくしゃして思わず悪態をつく。「図々しいヤツ!」

ネイル:
윤후선배한테 너무 뭐라고 하지 마세요.
그래도 선배 없을 때 우리한테 얼마나 잘해 줬는데.
ユヌ先輩のこと悪く言わないでくださいよ。
先輩がいない間、どれだけ私たちに良くしてくれたか。

ユジン:
너 노선이 애매해.
お前な、路線が曖昧なんだ。

ネイル:

ユジン:
확실히 말해.
나랑 저 버터보이랑 싸우면 누구 편 들 거야?
ハッキリ言え。
オレとあのキザ男が喧嘩したら、どっちの味方すんだよ?

ネイル:
아?
…あっ♥

ユジン:
아! 방금 한 말 취소야! 잊어.
あっ!今言ったことは取消だ。忘れろ。

ネイル:
나는 선배 편 들 건데.
私は先輩の味方するけどなー。

ユジン:

ネイル:
진짜에요.
ホントですよぉ。

ユジン:
…진짜?
…ホントか?

ネイル:
응. 난 무조건 유진선배 편!
うん♪ 私は無条件でユジン先輩の味方~♪

ユジンの肩にもたれかかっては跳ね返され、ネイルは嬉しそうに笑った。

240

+-+-+-+

二人でソファーに腰掛けると、ステレオのスイッチが入る。

※ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 作品18

#ということは、早めに卓袱台を用意しておきましょうかね。

ネイル:
라흐마니노프다. 이번 공연에서 할 협주곡이에요?
ラフマニノフだ♥ 今度の公演で演るんですか?

ユジン
이직 미정.
그냥 네가 이곡 연주하면 어떤 느낌일까…싶어서.
まだ未定だ
ただ… お前がこの曲を弾いたらどんな感じだろうって…

ネイル:
내가요?
私が?

ユジン:
나중에 너랑 나랑 협주하면 좋을 것 같애.
そのうち、オレとお前で協演したら良さそうだ。

胸が踊って、ネイルは溢れる笑みを堪えることが出来なくなっていた。

ユジン:
네가 지금보다 피아노에 더 진지해지면 그렇게 되겠지, 뭐.
お前が今よりピアノに真摯になれば、そうなるかもな。

ネイル:
진짜 커플처럼 내가 피아니스트고 선배가 지휘자고.
ホントのカップルみたいに、私がピアニストで先輩が指揮者♥

ユジン:
응.
あぁ。

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二人が顔を見合わせ、そこで止まった。「……。」「……。」

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「あっ」ネイルは慌てて上着を掴んだ。「もう帰ります」

ネイル:
너무 늦은 것 같아서 졸리기도 하구요.
遅くなっちゃったし、ちょっと眠くて。

ユジン:
아, 그래.
가.
あぁ、そうか。
じゃあな。

「オヤスミなさい!」ネイルは風のように去って行った。
彼女を見送り、ユジンは小さく苦笑いする。「前はよく飛びかかって来たくせに」

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ここで一旦区切ります。

 - のだめカンタービレ(韓国版) ,