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ネイルもカンタービレ(のだめカンタービレ韓国版)あらすじ&日本語訳 8話vol.1

      2014/11/10

シム・ウンギョン、チュウォン主演、「ネイルもカンタービレ/明日もカンタービレ」(韓国版のだめカンタービレ)8話前半です♪

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スンオが指揮台に上がれないことがわかったとき、彼らの前に出たのはユヌだった。

~~~~

ユヌ「オレ、この曲は前に演奏したことがあるって言ったよね。だから総譜は覚えてるんだ。オレに任せてみない?」

いくらなんでも当日に?
メンバーたちは顔を見合わせた。

ユヌ「ピアニストの指揮者だって上手くやったじゃないか。チェリストにもチャンスをくれよ。オレがみんなをガッカリさせたこと、ある?」

ユヌの自信に、メンバーたちも徐々に笑顔を見せる。

~~~~

観衆の心を惹きつける演奏に、一番後ろで見ていたユジンは目を見張る。
「だけど、ここまでです。今日のスターは僕ですから」彼は自分自身の演奏への意欲を大いに奮い立たせた。

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「オレたち最高だったよな!」Sオケのメンバーたちは今回も笑顔で練習室へ戻ってきた。

スミン「まだ心臓がドキドキしてる!」
ミニ「私も!先輩♪」

ユヌが入ってくると、イラクは立ち上がった。「ありがとうな、イ・ユヌ」

イラク「やっぱジュリアードは違うな。一度でバッチリ合わせるなんてさ!」

固く握手をかわす二人を、皆が笑顔で見上げる。

ユヌ「よく知ってる曲だから出来たんだ。それに、みんながしっかり準備してたからね」

「もぅ~♪」ユヌの嬉しい言葉に、皆が彼をつついた。
感極まったイラクは思わずユヌを抱きしめる。

イラク「今頃現れやがってさ!!!」

「ソル・ネイルはどこ?」ユヌが不意にあたりを見回した。

ミニ「ユジン先輩がいた気がするからって、追いかけて行っ…」

ほとんど行ってしまってから、ミニは口をつぐんだ。

イラク「はぁ、ソルネイルは相変わらずソルレバル(=落ち着かずにバタバタ動き回る様子)かよ」
ユヌ「…。」
イラク「チャ・ユジンがここに来るわけねーのに」

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#後ろ姿の風格が違うわー 
ユヌくんの指揮はすごく良かったけど、やっぱり風格が全然違うわー♥

一人廊下を歩いて行くユジンを、ネイルはタヌキ姿のまま追いかけた。「先輩!」

ユジン:
…。

ネイル
우리 공연 봤어요?
私たちの演奏、見ました?

ユジン
…。

ネイル
어땠어요? 전부 진짜 열심히 했거든요.
윤후선배랑…
どうでした?ホントに一生懸命やったんです。
ユヌ先輩と…

ユジン:
공연은 괜찮았어.
なかなか良かった

ユジンは横顔を向けたまま、淡々と言った。

ネイル:
…。

ネイルが俯くと、ようやく彼は向き直る。

ユジン:
너 보러 온 건 아니야.
お前を観に来たわけじゃないから。

ネイル:
그냥 나 보러 왔다고 대충 넘어가지…
(ぶつぶつ)私を観に来たって適当に言っておけばいいのに。

ユジン:
내 연주 보러 올거지?
オレの演奏、観に来るよな?

ネイル:
그럼요. 당연하죠.
이거 갈아입고 이쁘게 해서 갈 거에요.
もちろんです。着替えて綺麗にしてから行きますから。

ユジン:
그럼 빨리 와.
なら早く来い。

「…。」ネイルは大きな目を見開き、ユジンをじっと見上げる。

ユジン
처음부터 끝까지 놓치지 말고 제대로 보고 들어.
最初から最後まで観逃さずに、しっかり聴け。

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「…え?」ユジンの言葉に戸惑い、ネイルは首を傾げた。
「…。」ユジンは厳しい表情のまま、黙って彼女の前を離れる。
「急いで行きますね!一番前でしっかり観ますから!」ネイルは彼の緊迫した後ろ姿に、そう声を掛けた。

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ユジンは控室にいた。

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ユジン「…。」

彼の頭に浮かぶのは、演奏を終えて握手を交わす、ネイルとユヌの笑顔だ。
頭の中から追いだそうと、彼は思わず頭を振る。
しっかりあげていた前髪が、ハラリと揺れた。

「Oh」背後で不意にシュトレーゼマンの声がする。

ユジン「?」
シュトレーゼマン「そのスタイル、いいですね」

シュトレーゼマンは入り口でユジンを指さした。

シュトレーゼマン「髪はそうやって下ろしたほうがいいですね。ワイルドかつセクシーにね」
ユジン「僕は自分のスタイルでやりますから」
シュトレーゼマン「ふむ。誰がダメだって言いました?すっかり準備は出来てるようですね」
ユジン「変なことをおっしゃらないでください」
シュトレーゼマン「感情が豊かであれば音楽も豊かになるんデス。感情を恥ずかしがってはいけませんヨ」
ユジン「感情が全部見えるからといって、いい演奏が生まれるわけではないでしょう」
シュトレーゼマン「オマエがまともに感情を見せたことがあるんですか?」
ユジン「?」
シュトレーゼマン「指揮をする時も、音楽を表現しようとしただけでしょう?自分の感情を見せることに照れていたら、それ以上の成長はアリマセン!」
ユジン「…。」
シュトレーゼマン「今回の協演をオマエがどう利用するか、見物する楽しみを見せてくださいヨ」
ユジン「分かりました。見物する楽しみ、十分に見せて差し上げましょう」

「Oh!」シュトレーゼマンは愉しげに笑った。

+-+-+-+

Aオケの待つステージの上に、ユジンとシュトレーゼマンが連れ立って現れた。
満員の客席には、理事長やト教授が見守っている他、ユジンの母ソニョンとトギョン、学長ミナの姿もある。
一番後ろでは、メディアが取材に入っていた。

#ミナ様、超端っこにいらっしゃるけど、ミルヒは一番前でしっかり観てくれって言ってたよ。
大事な意味があるらしいよー

拍手の中、ユジンがピアノの前に腰を下ろし、シュトレーゼマンが指揮台へと向かう。
スミンとミニが横通路の扉からそっと顔を覗かせた。

客席にはユジンをじっと見つめるユヌの姿も見える。

ユヌ(心の声)「グリーグのピアノ協奏曲イ短調。ピアニストにも劣らぬピアノの実力を誇った作曲家、グリーグ…。それでチャ・ユジンもこの曲を選んだのか?」

準備は整った。
シュトレーゼマンが後ろのユジンを振り返る。

シュトレーゼマン(心の声)「弟子よ。楽しい音楽の時間デス」

演奏はドラマティックに始まった。

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誰かの視線を奪いたい…
視線を釘付けにしたい…
その人の気持ちを盗みたい…
そんなこと考えたこともないでしょう?
最初から視線を奪っているから、わざわざ誘惑することもなかったでしょうから

ステージに立つ演奏者は、観衆を刺激し、魅惑させなければなりません
聴衆の耳と視線まで奪いたい
そんな情熱を込めて…

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演奏が進んでいた。
ネイルがふと、着ぐるみ姿のまま、一番後ろに姿を現す。

#そんなら「着替えてから行きます」なんてセリフ要らんやん

彼女は手に持ったタヌキの顔を落としたことにも気付かず、ユジンのピアノに合わせてひとりでに指を動かしていた。

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演奏が終わると、観衆はハッと目覚めたように拍手を始める。
立ち上がったユジンは、再びシュトレーゼマンと固く握手を交わした。

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#巨匠の初々しい指揮にはこの際触れないことにして… ユジン先輩にはもっと情熱的に弾いて欲しかった。
すごくステキなのに物足りない 。感情に照れないでとアドバイスされてるのに、感情が見えてこない。
またミルヒのアドバイスセリフに頼ってるし。
演出も淡白で気持ちが高揚しないし、大きな見せ場なのに勿体ないです。お願いだから、つまらないシーン入れてないで、演奏シーンに本気出してほしい。

拍手を浴びるユジンを見つめ、ユヌはふたたび左手を押さえ、かすかに顔を歪ませた。
ふと隣の通路を見ると、そこにポツンとタヌキの被り物が落ちている。「?」
後ろを振り返ってみると、一番後ろの席で茫然と立ち尽くしているネイルがいた。

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+-+-+-+

「わが校に本当のスターが誕生したようですね」理事長と並んで外へ出てくると、ト教授は上機嫌で言った。

理事長「後はSオケを解体して、シュトレーゼマン教授が元の場所へ戻れば、おおかた片付くわね」

ト教授が頷くと、理事長は満足気に微笑む。

+-+-+-+

控室に戻ったユジンとシュトレーゼマンは心地よい疲労感を楽しんでいた。

シュトレーゼマン「この程度で疲れたんでスカ?若いヤツが」
ユジン「全て注ぎましたから。誰かの言った通り、中途半端にしたくなかったんで」

ソファでぼんやりと天井を見上げるシュトレーゼマンを、ユジンは振り返った。

ユジン「いい加減身体に気を遣ってください。年齢を考えて」
シュトレーゼマン「…。」
ユジン「感情を恥ずかしがらずに、表現なさってください」

「ふふん」シュトレーゼマンは思わず笑う。

シュトレーゼマン「偉そうに、ワタシに教えるんですか?」
ユジン「見ていて辛いんです。なぜそう寂しい恋愛をなさってるのか。感情表現を豊かにしろっておっしゃったでしょう?そうすれば次に演奏するとき…」
シュトレーゼマン「もう、ワタシたちが一緒に演ることは二度とアリマセン」
ユジン「…先生?」
シュトレーゼマン「二人の指揮者が、一緒に舞台に立つことはないでしょ?」

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ユジンが少しホッとしたように息をつく。
シュトレーゼマンが立ち上がると、ユジンもそれに従って立ち上がった。

シュトレーゼマン「今日でワタシたちの演奏は終わりです」
ユジン「…。」

シュトレーゼマンの差し出した手を、ユジンが黙って握る。
二人は最後の握手を交わした。

シュトレーゼマン「素晴らしいステージでした」
ユジン「…。」
シュトレーゼマン「チャ・ユジン、オマエがちょっとだけ、ちょっとだけ誇らしいですヨ」
ユジン「僕は師匠が結構誇らしいです」

「ナマイキなやつ」シュトレーゼマンは笑って握った手を離した。

シュトレーゼマン「やはりワタシの弟子に相応しい図太さです」

頬をつままれ、ユジンは嬉しそうに微笑んだ。

「チャ・ユジン」そこへやって来たのはト教授だった。

ト教授「記者たちが待ってる。シュトレーゼマン教授はもちろんおいでになりませんよね?」
シュトレーゼマン「行ってらっしゃい、弟子。もっと大きくなるためにやるべきショーです」

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ユジンは理事長と共にカメラのフラッシュの前でに立った。
彼女は若いホープと腕を組み、誇らしげに微笑んだ。

#うぬー 理事長のうねうねウェーブをくしゃくしゃにしてやりたい

ユジン(心の声)「これ単なる宣伝じゃねーだろ!」

後に控えたト教授に続き、母親のソニョンまでが彼の隣で写真に収まった。

ユジン「こんなトコ嫌いじゃなかったのか?」
ソニョン「仕方ないわよ。チャ・ユジンの宣伝のためなんだから。ところで、アノ人もきっと見るわね。あんたが指揮者デビューしたことも知らないはずだけど」
ユジン「父さんの話はするなよ」

ソニョンが下がると、ト教授が向こうに手招きをした。
反対側から登場したのはトギョンだ。
彼女はユジンに花束を差し出した。

記者「彼女は誰?」

フラッシュがひときわ激しくなる。
ト教授が二人に並んだ。

ト教授「皆さん、韓音ピアノ科が誇るチャ・ユジン君と、こちらはミス韓音、声楽家のチェ・ドギョン君です。二人は本校の顔です」

「お母さんと3人で」記者のリクエストでソニョンが戻ってくる。
ソニョンとユジン、そしてトギョンが3人仲良く写真に収まった。

そこへ、記者たちをかき分けて覗き込んだのはミニだ。

ミニ「社長の息子って…ユジン先輩だったの?」

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続いてやって来たネイルは、脚光を浴びる3人に言葉を失った。

ネイル「!!!」

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ミニはネイルの腕を掴み、無理やり外へ引っ張りだした。

ミニ「行っちゃダメだよ。あんただけ笑い者になる」
ネイル「…。」
ミニ「社長の息子がユジン先輩だなんて…。チェ・ドギョン先輩、めちゃくちゃ取り入ってたもん。毎日お母さんお母さんって」
ネイル「チェ・ドギョン?」
ミニ「そうよ。いつまで着ぐるみのままでいるつもり?さっさと着替えなよ」
ネイル「…。」

#ユジン先輩が他の美人といい感じだからって、ネイルにこんな顔させないでください
それに、ユジンのピアノを聴いて衝撃を受けたのに、このせいで衝撃の原因がすり替わっちゃってるじゃないでスカ

そこへミニの電話が鳴った。

ミニ「はい、イラク先輩。今ネイルといるんです。一緒に打ち上げ行きますね。先に行っててください」

電話を切ったミニは、そこで初めてネイルがいなくなっているのに気づいた。「?!」

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「ミニミニ、何で来ないんだ?」なかなか現れないミニに、イラクはもう一度電話を掛けた。

イラク「ソルレバルは? まだ?!…分かった」

そのまま店を出て歩き出したイラクは、向こうから歩いてくる人の姿に驚いて、咄嗟に背を向けた。
シウォンだ。

イラク「!」
シウォン「あ、ユ・イラク!」
イラク「?!」

振り返ってみると、彼女は満面の笑みで彼を見ていた。

シウォン「今日の公演、凄かったんだって?」
イラク「(ドギマギ)」
シウォン「行かなくてごめん」
イラク「お前んとこの公演はもっと凄かったって…」
シウォン「まぁうちはシュトレーゼマン教授の指揮だからね」

#ツッコむのは我慢しようね^^

シウォン「ところでさ、落ちこぼれパワー、なかなかのもんだよね。今回は驚いた」
イラク「(もじもじ)」
シウォン「最初は諦めるだろうと思ってたけど…。あんたたち凄いよ。ホント格好いい」

そう言ってシウォンは拳を突き出す。

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イラク「!」

イラクは自分も拳を出し、恐る恐る彼女の拳に近づけた。
コツン。

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「またね」ニッコリ笑って拳を離すと、シウォンは爽やかに去って行った。

茫然と彼女を見送り、彼はハッと手の甲に触れる。「はっ!触った!」

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+-+-+-+

両手のレントゲン写真を医師が覗きこんだ。

医師「指の炎症がヒドいですね。かなり痛むはずですが…」

「だから手術を受けろと仰るんでしょう?」医師の言葉を遮るユヌの言葉は、どこか攻撃的だ。

医師「…。」
ユヌ「先生、僕はチェリストなんです。神経の手術を受けたら、二度とチェロを弾けなくなるかもしれない。だから薬だけ処方してください」
医師「薬では限界があります。耐えるのも辛いはずなのに…」
ユヌ「耐えますから!!!…耐えられますから、薬を処方してください」
医師「…。」
ユヌ「まだ演りたい曲が残ってるんです」

ユヌは左手をじっと見つめた。

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ネイルは家に帰っていた。
ただひたすらピアノに向かい、夢中で朝まで弾き続けた。
弾かずにはいられなかった。

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#ほら、公演のあと一旦クッション挟んじゃったせいで、女絡みに変わっちゃってるやん

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「ぜひ言わなければならないことがあるんです。これ以上時間が経つ前に」シュトレーゼマンの呼び出しに、ミナはオシャレをしてシュトレーゼマンの研究室へ出掛けた。

シュトレーゼマン「一人の少女を愛しました。彼女はワタシの妻となり、これまでワタシの人生の伴侶として生きていきました」
ミナ「作曲家グリーグのラブストーリーですね」
シュトレーゼマン「えぇ、ミナ。昨日の公演は、20年前あなたに捧げるべき公演でした」
ミナ「え?」
シュトレーゼマン「あのとき、ワタシはあなたから逃げ出しました。小さな誤解があったけれど、それが誤解だと分かった時には遅かったのです」
ミナ「誤解?どういうことなのか…」
シュトレーゼマン「あの頃、あなたは別の人を愛していると思っていたのです」
ミナ「違います!どうしてそんなことを?私は一度も…」

「分かっていますよ、ミナ」驚くミナを、シュトレーゼマンは静かになだめる。

シュトレーゼマン「あなたがチャンスをくれて、ワタシは嬉しかった。喜んで駆けつけました。そろそろ、言えなかったことを言わなければ」

「えぇ…。仰ってください」ミナは緊張して少し俯いた。

シュトレーゼマン「ミナ…」
ミナ「…はい」
シュトレーゼマン「ワタシは…」

そのとき!

黒いスーツに身を包んだ謎の集団が、突然研究室に突入する。
彼らの中心にいるのは、ひときわ長身の外国人女性だ。
「どちら様?」ミナは驚いて立ち上がった。

シュトレーゼマン「エリーゼ、とうとう見つけたのか
ミナ「?」
エリーゼ「マエストロシュトレーゼマン、もう好きなだけ遊んだでしょ?そろそろ仕事して貰うわ。契約したなら履行すべきよ!

駆け寄った男たちが問答無用でシュトレーゼマンの腕を掴む。

シュトレーゼマン「離せ!」
ミナ「あなた方誰です?何の真似ですか!」
シュトレーゼマン「エリーゼ!待ってくれ。一分だけ時間をくれないか
エリーゼ「車に乗せなさい。すぐに空港に向かうわよ!

両手両足を抱えられ、シュトレーゼマンはあっという間に連れ去られた。

シュトレーゼマン「Oh、ミナ!誤解しないでください!今度は無理やり連れて行かれるんですからネ!」

「フランツ!」叫ぶミナの前に、エリーゼが立ち塞がった。

エリーゼ「ソン・ミナ学長でいらっしゃいますね?
ミナ「えぇ」
エリーゼ「私はロイヤルオーケストラのマネージャーです

エリーゼは今頃になって名刺を出す。

エリーゼ「公演があるので、やむを得ずマエストロを連れて行きます
ミナ「何ですって!

自分の要件だけ言うと、エリーゼはさっさと部屋を後にする。
ミナが見守る中、シュトレーゼマンを乗せた車は、風のように走り去った。

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「逃げてきたんですか?師匠が?」学長ミナの話に、ユジンはそのまま聞き返した。

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学長「事務局に連絡が入って、ト教授の知るところとなったみたいね」
ユジン「…。」
学長「ロイヤルオーケストラの公演を前に、遊びたいからって韓国に逃げてきたそうよ」

ユジンは思わず笑う。「師匠らしいですね」
学長はシュトレーゼマンの去った方を、ただぼんやりと見つめた。

ユジン「学長は大丈夫ですか?」
学長「私はいいけど… あなたには悪いことをしたわ。シュトレーゼマン教授のたった一人の弟子だって脚光を浴びたのに、こんなことになって」
ユジン「いえ。どうりで、世界的巨匠が来てるのに静かすぎると思ったんです。メディアを嫌ってるからだとばかり思ってましたけど」
学長「あなたはどうなの?Sオケとは気まずくなったみたいだけど」
ユジン「…。」
学長「フランツからだいたいは聞いたわ。今度の公演、SオケでなくAオケと演ることになったのは、ト教授のせいなんでしょう?フランツは気づいていながら眺めているだけで…。ごめんなさい」
ユジン「自分で選択したことです」

「そうね」学長は頷く。「あなたの選択なら、責任を持つべきだわ」

学長「だけど、よく堪えてくれて有り難いわ」

「…えぇ」ユジンは学長の元を後にした。

ユジンを見送ると、学長は残っていた飲み物を飲み干し、強くグラスを置いた。

学長「フランツ・シュトレーゼマン!これであなたはジ・エンドよ!もう二度と顔も見ないわ!」

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理事長を迎え、理事会が始まる。
学長の姿はそこにはなかった。

ト教授「本日の案件は、オーケストラ合併について。今後、韓音大には一つのオーケストラだけ認めるという内容です」

「学長が参加なさるべきでしょう。投票権はないとしても」一人が指摘した。
理事長がト教授の手から資料を受け取ると、テーブルの上に放り出した。

理事長「ユン・イソン音楽祭から届いた抗議書です。これまでソン学長がやって来た結果ですよ」

理事たちが皆で抗議書をのぞき込み、顔を見合わせると、すぐにト教授が議決を呼びかける。

ト教授「それでは挙手で決定しましょう」

#何やそれ、全く意味わからん

ト教授「韓音大には一つのオーケストラだけを存在させる。賛成なさいますか?」

#これ以上、権力争いネタは耐えられません。わざわざ追加しておいて、つまらないどころか、意味不明。支離滅裂。何の筋も通ってない。
精神衛生上、良くないので、今後はすっ飛ばしマス!!!(←殺しマス!風に

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「シュトレーゼマン教授が連れ去られた?」スミンの言葉に、イラクは目を丸くした。

イラク「誰なんだ?」
スミン「超背の高い外国人に連れて行かれたらしいけど。ワタシたち、どうなっちゃうの?」
イラク「オレたちが何で?」
クラリネット君「何だかんだ言ったって、オレたちを守ってくれたのは教授じゃないか」
オーボエ君「あぁ。投票もせずに逃げたお陰で、オレたち助かったんだ」
スミン「(うんうん)」
イラク「守ってなんかねーぞ!Aオケと協演してチャ・ユジンを連れてったのは教授だって忘れたのか?公演だってオレたちだけでちゃんとやったろ。教授がいようがいまいが、関係ない!」
スミン「確かに、自分たちだけでやり遂げたもんね。今みたいに力を合わせればいいでしょ♪」
イラク「そうだ!」

「ところで」イラクが首を傾げる。「ミニとユヌはどこ行ったんだ?」

スミン「そうね。クラシックの夕べが終わってから、ネイルも見かけないけど」

「先輩!」そこへ慌てて走ってきたミニが彼らを呼ぶ。

ミニ「ネイルがいなくなったんです」
スミン「えぇ?!」

+-+-+-+

ミニはイラクとスミンを連れ、ネイルの家の前へやって来た。

スミン「ネイルの家から聴こえてくるって?」
ミニ「はい」

ミニとスミンは玄関のドアに耳を当てた。「?」
イラクがチャイムを鳴らすが反応はない。

イラク「一週間、ずっと音楽だけ聴こえてるのか?何の返事もなしに?」
ミニ「はい。最初はネイルが弾いてるんだと思って安心してたんですけど、そうじゃないみたい」
イラク「…。」
ミニ「音楽流したまま出掛けたのに、私そうとも知らずに…」
スミン「そうね。あの子、音楽流したままどこ行っちゃったの?」
ミニ「どうしましょう、先輩?ネイル、行くところもないのに」

「…。」イラクはとにかく玄関の扉を叩いた。「ソルレバル!いるのか?開けてくれ!」

+-+-+-+

ユジンとトギョンは久しぶりに落ち着いて顔を合わせていた。

トギョン「凄いわ。それじゃ、シュトレーゼマン教授はいつ戻られるかわからないの?」
ユジン「さぁな。あの人の奇行は誰にも分からん」
トギョン「本家で3日捕まってる間に、随分事件があったのね。また家業を継げって?」
ユジン「そんなの毎日のことだからな」
トギョン「…。」
ユジン「あぁ、話があるんだろ?」
トギョン「…。」
ユジン「どうした?」
トギョン「私たち、より戻さない?」
ユジン「…?」
トギョン「引きずるのはイヤだから諦めようと思ったけど、やっぱり言わなきゃ」
ユジン「…。」
トギョン「私、あんたに未練があるみたい」
ユジン「トギョン」
トギョン「なんとなく思ったのよ。声楽をやめて、あんたが指揮者として成功できるようにサポートできたらいいなぁって」

「…あぁ」ユジンは気のない様子で下を向いた。

トギョン「嫌?」
ユジン「…。」
トギョン「…嫌なのね。それでも、一度真剣に考えてくれないかな」
ユジン「嫌なんじゃない。考えたこともなかったから、ビックリして」
トギョン「それなら、真面目に考えてみてくれる?」

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「…。」ユジンは返事に困り、黙ってトギョンを見つめた。

#ユジンまでどんどん小ぢんまりとおとなしくなって…。トギョンに説教するくらいしなはれ

「ユジン先輩!」そこへやって来たのは、ミニたちネイル捜索隊だ。
「何だ?」なんとなくそう言っておいて、ユジンはハッと真顔になった。「オケに何かあったのか?!」(←ここ好き^^

「ソル・ネイル見てないか?」イラクはそっぽを向いたまま言った。

ユジン「ソル・ネイル?公演終わってから見てないな」
スミン「連絡がつかなくて。家からずっとピアノの音が鳴ってるから、家にいるとばかり思ってたんだけど、音楽流したまま出掛けたみたい」
ユジン「…。」
スミン「授業にも出て来ないし」
ミニ「クラシックの夕べで、先輩と… チェ・ドギョン先輩が一緒にいるのを見て、ショックを受けてたんです」
ユジン「トギョンとオレのせいで… 何でだ?」

「…。」イラクが呆れて天を仰いだ。

トギョン「とにかく、早く行ってみなさいよ、ユジン。いなくなったんでしょ」
ユジン「あぁ」

「オレは家に行ってみる。お前らは他の場所を探せ」ユジンは立ち上がり、駈け出した。

+-+-+-+

ユジンはトギョンと共にマンションへやって来た。
チャイムを鳴らしても返事はない。彼は玄関のパスワード入力装置を開いた。

トギョン「パスワード、知ってるの?!」
ユジン「うちと一緒だ」

瞬時に扉が開き、彼は家の中へ飛び込んだ。

ユジンがみたのは… ピアノのそばに倒れているネイルの姿だった。「おい、ソル・ネイル!!!」

ユジン「おい!しっかりしろ!」

ユジンはネイルを抱き起こし、そばの棚にもたれさせる。

ユジン「どうしたんだ?オレが見えるか?」

「あっ!」苦しそうに顔を歪めると、ネイルは肘を押さえる。

ユジン「?」

ユジンは彼女の様子を注意深く観察する。

ネイル「…いたい」
ユジン「お前まさか… 何日もピアノ弾き続けたのか?」
ネイル「痛っ」
ユジン「一体どれだけ弾いたんだよ!」

「やめなさいよ、ユジン」いつの間にか部屋の中にいたトギョンが制止する。

トギョン「湿布が先よ」
ユジン「…。」
トギョン「温かいタオル持って来てくれる?」
ユジン「…わかった。すぐ来るから」

ユジンは足早にそこを離れた。

トギョン「…。」

痛々しいネイルの姿を、トギョンは静かに見つめた。
ネイルの前に座ると、彼女は小さく息をつく。

トギョン「私とユジンを見たんですって?ごめんね」
ネイル「…。」
トギョン「だけど、どうしたって私たち、また付き合う関係だったのよ。ユジンと私は似たもの同士よ。考え方も方向性も似てるの」
ネイル「…。」
トギョン「あなたも分かってるはずよ。ユジンの隣に相応しい人が誰なのか。だから、あなたも早く気持ちを整理して」
ネイル「…。」

182

そこへユジンがタオルを手に戻ってきた。
トギョンをどかせ、ネイルの両肩をしっかり支える。「どっちの腕だ?」

ネイル「…。」

何か言おうとするネイルを、ユジンは懸命に見つめた。
ネイルは痛む手でユジンの両腕を掴む。

ユジン「?」
ネイル「先輩が… 離れなくて…」
ユジン「…何?」
ネイル「先輩と… 協奏曲が… 頭の中をずっと回ってるんです」

181

「ここに!」ネイルは頭を強く押さえる。「頭から離れないんです!」

ユジン「…。」
ネイル「私も… 先輩みたいに協奏曲を弾きたいんです」
ユジン「…。」
ネイル「強烈で… 鮮やかで、華やかで!私、たったの一度もそんな風に弾けたことないんです」
ユジン「この腕でどうやって弾くんだよ、このバカ!!!」
ネイル「他のことなんか出来ません。先輩のピアノから抜け出せなかったんです」
ユジン「!」
ネイル「私も… 誰かを魅了する演奏がしたいんです!!!」

果てしなく、そして苦しいネイルの思いに、ユジンは静かに目を閉じた。

ネイル「先輩!」
ユジン「…分かった。分かった。とにかく湿布だけしろ。痛みが取れたらピアノを弾こう」
ネイル「ホントに?ホント?!」
ユジン「あぁ、ホントだ。ホントだから」

183

+-+-+-+

ここで一旦区切ります。

ハングル書きたいなぁと思ったシーンが他にもいくつかあったんですが、あれをやっちゃうとト書きが入れづらいし、今回は日本語に集中して読んでいただきたくて省きました^^

最後のシーンは、「のだめを韓ドラテイストにするとこうなる」のお手本のような(笑)
重いけど、本筋からも外れていないし、二人の演技をじっくり見られて、私は好きです。

 - のだめカンタービレ(韓国版) ,