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ネイルもカンタービレ(のだめカンタービレ韓国版)あらすじ&日本語訳 7話vol.2

   

チュウォン、シム・ウンギョン主演、「ネイルもカンタービレ/明日もカンタービレ」(韓国版のだめカンタービレ)7話後半です。

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練習棟からも閉めだされてしまったSオケの面々は、為す術もなく入り口の前に座り込んだ。
「剥がしちゃいましょうか」ネイルが『出入り禁止』の貼り紙を見上げる。

イラク「そんなことしたら、オレたちマジで解散だぞ」
スミン「私行くところなんてないよ。友だちもいないし。毎日オケで練習ばっかしてたから」
ミニ「私も。毎日バイトと練習ばかりで、同級生の顔も知らなくて」
イラク「クラシックの夕べまであと少しだな」
ネイル「私、仮装オーケストラやりたかったんだけどな」
スミン「仮装オーケストラ?とりあえず目立つし、それ面白そう!」

皆の顔が明るくなる。

ミニ「やったら楽しいだろうな。お父さんも見に来るって言ってたし」
イラク「けど、オレたちには金もないし指揮者もいない。上手くもないし…」
ネイル「私たち、上手くやる必要なんてなかったでしょ?楽しくてやってたんですから」
スミン「そう!私たち楽しいからやってたの!」
ミニ「そうですよ!」

「あれさえ剥がせばいいのに」ネイルはもう一度恨めしそうに貼り紙を見つめた。

ネイル「そうしたら入れるのに。ラク君、どうにかしてくださいよぉ」

そこへ、不意に現れた誰かが、何の躊躇もなく貼り紙を剥がした。

皆「?!」

ユヌだ。
彼は扉を開くと、座り込んでいる彼らを振り返った。

ユヌ「入らないの?」

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練習室へやって来た彼らは、一緒に部屋まで入って来たユヌをあからさまに警戒していた。

イラク「あのさ」
ユヌ「?」
イラク「ハッキリ言っておくけど、出入り禁止の貼り紙を剥がして中に入ったのはオマエだからな、ジュリアード」
ユヌ「あぁ。オレだ」
イラク「…?」

「外国から来たから分かってないんじゃないですかネ?」
「大丈夫かな?」
「ジュリアードだから許してもらえるんじゃないか?」
「ここは韓音だぞ!」
「あいつは追い出されてもいいだろ。ジュリアードに帰ればいいんだから」
「それじゃオレたちは?追い出されたらどこ行くんだよ!」

声を潜め、口々に言い合う彼らを、ユヌは楽しそうに眺めた。

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ユヌはト教授のレッスン室へ向かうと、書類を差し出した。

ユヌ「僕が集めた入団申請書です。みな脱退を撤回したメンバーです」

ト教授が一番上の一枚に目を止める。

ユヌ「一番上にある申請書は僕のです」

「どうせSオケは長く続かん」ト教授は腹立たしげに書類のファイルをピアノの上に放り出した。

ユヌ「どうでしょう」
ト教授「…。」

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「ホントにうちのオケに入るんですか?」どうにも信じられず、ネイルは皆を代表してユヌに疑問をぶつけた。

ユヌ「うん。受け入れてさえくれるならね」

「わぁ!」その瞬間、皆が一斉に湧いた。「やった!」
ひとしきり喜んだところで、イラクは舐められないよう強く出る。

イラク「分かってるよな?うちのオケは誰でも入れるわけじゃねーんだ」
ユヌ「分かってる。シュトレーゼマン教授のスペシャルオーケストラだからね」
皆「(うんうん)」
イラク「そうだ!じゃ、認めるのは入団テストをしてからだな」
ネイル「ラク君!」
ミニ「テスト?!」

調子に乗ったイラクを皆がつつく。
皆が揉めるのを止めたのは、突然流れてきた美しいチェロの音色だ。

皆「!」

次の瞬間、彼らはユヌの演奏にすっかり魅せられていた。

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「チャ・ユジン!」ロビーを歩いていたユジンを呼び止めたのは、階段を下りてきたシウォンだ。

シウォン「どこ行くの?もう練習始まるけど」
ユジン「あぁ、そうだな。…癖になってて」

ユジンはぼんやりと来た道を引き返した。

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「ブラボー!!!」ユヌが引き終わると、全員が熱狂的な歓声をあげた。
皆の喜ぶ顔に微笑みながら、ユヌは弦を押さえていた左手を膝の上にそっと下ろす。
その指は小刻みに震えていた。

ユヌ「…。」

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「あんたのお陰でホント助かった!」一緒に外へ出てくる頃には、ユヌは皆に囲まれていた。

スミン「私、Aオケにも戻れないし、ティンパニーなんて一人じゃどうしようもない楽器だから」
イラク「あとは指揮者さえ見つけりゃいいんだ。そうすりゃ全部解決なんだから」

「天から指揮者がポンと降ってくればいいのに」ネイルが空を見上げる。

と、そのとき、誰かが彼らの前でエヘンと咳払いをした。「?」
そこに立っていたのは、スンオだ。

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スンオ「お前ら、指揮者を探してるんだって?」
全員「………。」
スンオ「最近ちょっと時間が出来てさ。…やってやろうか?」
イラク「マジで?!」
スミン「ホントに?」

「チェリスト、イ・ユヌ…だろ?」スンオがユヌに目を留める。

スンオ「Sオケに入ったってホントなのか?」
イラク「今日オレたちが演奏聴いて、特別に入団させたんだ」
スンオ「…。」

「ありがとう、僕のこと受け入れてくれて」Sオケの面々に微笑みかけるユヌは、実に謙虚だ。
「今ごろ現れやがってさ」イラクはユヌの肩に腕を回す。

イラク「一生ダチだからな。オレたちの友情は変わらねーぞ」
ネイル「あとはクラシックの夕べまで練習するだけデス!」

「練習!」皆が声を合わせ、意気揚々と歩き出す。
「落ちこぼれ共、なかなかのもんだな」フッと笑い、スンオも彼らの後を追いかけた。

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シュトレーゼマンと学長はカフェで肩を並べていた。

学長「Sオーケストラ、チャ・ユジンなしで上手くやれるでしょうか?」
シュトレーゼマン「自分たち自身で立ち上がれる子どもたちです」
学長「フランツは昔も今も本当にヒドいわ」
シュトレーゼマン「皆に必要な時間です。一度は経験しないと。特にチャ・ユジンはね」
学長「…。」
シュトレーゼマン「今度の公演、ぜひ前の方で見てください」
学長「勿論です。学長なんですから」
シュトレーゼマン「学長ではなく、ミナとして… 聴いてください」
学長「…。」
シュトレーゼマン「今度の公演は、ずっと昔あなたに伝えられなかった気持ちを込めてあるんです」
学長「!…それはどういう…!」

「うっかり書類を忘れてきたわ」学長は慌てて立ち上がり、逃げるように店を出た。

シュトレーゼマン「Oh… これ以上のんびりしている時間はないのに」

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「ちょっと待って」トギョンの歌をじっと聴いていた教授がストップを掛けた。

トギョン「?」
教授「そこはそんなに切っちゃダメよ。声だけ少し落として、柔らかく、甘く、レガートよ」
トギョン「…。」

無表情で見つめるトギョンに、教授は思わず笑った。

教授「チェ・ドギョン、オーディションからむしろ逆戻りしたみたいね」

「…。」トギョンの顔が曇った。

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カフェに置いてあるグランドピアノで、ネイルはなんとなく半音階を行ったり来たり、繰り返し鳴らした。

ミニ「元気ないね。具合悪いの?」
ネイル「ううん」

「レッスンじゃないから、大丈夫」ネイルは大きく息を吐き、自分に言い聞かせた。
ユン・イソン音楽祭以来、ピアノの前に座るのがすっかり怖くなっていたのだ。

ミニ「お腹空いてる?飲み物持って来ようか?あんたがピアノ弾くときは何でも好きなもの作ってあげろって、社長がおっしゃってたんだ♪お腹すいてたら弾けないからってね」
ネイル「今は…大丈夫」

「演奏する時間だ」ネイルは元気を奮い立たせた。「ミニミニ、何か聴きたい曲は?」

ミニ「うーん。アレ!愛の夢♪」
ネイル「OK^^ ミニミニのための愛の夢ね」

ネイルの指先がソフトで甘いメロディーを奏で始めると、ミニは安心してカウンターへ戻った。

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中央の大テーブルで、ソニョンは演奏するネイルの姿をうっとりと見つめる。「…。」

そこへ入り口のドアが開き、顔を見せたのはトギョンだ。

トギョン「お母さん」
ソニョン「あら、トギョン。よく会うわね」
トギョン「私のこと、煩わしいですか?」
ソニョン「まさかぁ、嬉しくて言ってるのよ」
トギョン「渡すものがあって。ミラノであったコンティーニのピアノライブなんです」

トギョンの差し出したCDにソニョンは顔を輝かせた。

ソニョン「これ!手に入れるの大変だったでしょ?!」
トギョン「ユジンの役に立つはずです。お母さんが代わりに渡してください」
ソニョン「…。そうね。ありがたくいただくわ」
トギョン「(微笑)」
ソニョン「あ、あなたもクラシックの夕べで公演するんでしょ?」
トギョン「はい。ちょうど韓音大の特集で月刊クラシックが私の取材に来たんです。最近ユジンも取材したあの雑誌社なんですよ」

トギョンのアピールに、ソニョンはそれとなく微笑んだ。
「あの子…」トギョンは後ろのピアノを振り返ることなく、不意に切り出した。「ここでピアノのバイトしてるんですね」

トギョン「お母さん、相変わらずですね」
ソニョン「連弾したって言うから気になって」

#やっぱり知ってたのか。少し前からなんか変だと思った…。

ソニョン「可愛いわ」
トギョン「…。」
ソニョン「ユジンも可愛がってるみたい」
トギョン「えぇ。ユジンって、意外と面倒見がいいでしょう?」

「うん」ソニョンはトギョンの肩越しにネイルを覗き、顔をほころばせた。

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リストの愛の夢を弾き終わったところへ、ミニが戻ってくる。

ミニ「ネイル、チェ・ドギョン先輩がまた来たよ」
ネイル「?」
ミニ「社長の息子さんと上手くいってるみたい」
ネイル「元彼女でも不安だったけど、少しは安心していいよね、ミニミニ?」

「知らない」ミニが憮然として言う。「ユジン先輩の話はしたくない」

ネイル「ミニミニ!」

ミニはぷいっと踵を返し、カウンターへ戻っていく。

#なーんやそれ
子どもじゃあるまいし、訳わからんね

ネイル「…。」

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ネイルは学校の建物の陰にひっそり息を潜めていた。
そこへ、誰かがそっとやって来て、彼女の肩を叩く。

ネイル「はっ!」

驚いて振り向くと、ユヌがニッコリ微笑んだ。

ネイル「…先輩」

#ネイルの最近のファッションはどうしたんでしょーか

ユヌ「誰かのこと避けてるみたいだね。逃亡中?」
ネイル「…アン教授がね、最近レッスンに来ないからってちょっと怒ってらっしゃって」
ユヌ「ピアノ弾くの好きじゃないか。それなのに何で?」
ネイル「ピアノ弾くのは好きです。バイトでも弾いてるし」

ユヌは彼女の話に熱心に耳を傾けた。

ネイル「だけど、レッスンは…」

ネイルの頭に、ユン・イソン教授の厳しい声が甦る。
「ふざけてるの?!」竹刀で叩かれた記憶に、彼女は今でも思わず震えた。

ユヌ「確かに、僕もチェロがどうしようもなく嫌になったときがあった」
ネイル「今はちゃんと弾いていらっしゃるじゃないですか」

「ある人に出会ってからね」ユヌは柔らかく微笑んだ。

ネイル「?」
ユヌ「絶対に一度協演してみたい…ピアニストに」
ネイル「…あぁ」
ユヌ「ネイルもそんな人に出会ったら、またレッスン始めたくなるよ」
ネイル「そうだったらいいな」

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優しいユヌの言葉に、ネイルの心は随分穏やかになっていた。

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AオケもSオケも、それぞれ本格的な練習に入っていた。

すっかりSオケの中心人物になっていたユヌは、皆に温かい言葉を掛けて回る。
「リードの管理バッチリだよな?」
「ビオラはもう少し元気よくね」
「ティンパニーはもっと力強く♪」
「あまり続けてビブラートかけすぎるなよ。お前はセンスいいんだから」
「ネイル、ファイト♪」
「ポジションしっかり守って」

ネイルの携帯が鳴った。「誰だろ?ミルヒだ」

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シュトレーゼマンはデスクの前で、静かに懐中時計を見つめていた。
そこへ顔を見せたのはト教授だ。

ト教授「今日、”英雄”を弾く学生を紹介してくれるとおっしゃいましたよね。また冗談なら、これ以上は我慢できませんよ」
シュトレーゼマン「Oh、ここへ来るように呼んでおきました」

ト教授が顔を輝かせた。
ちょうどそこへ扉の開く音が聴こえる。

シュトレーゼマン「Oh、来ましたネ」
ト教授が期待を込めて振り返ると、トコトコと走ってきたのは… 落ちこぼれのソル・ネイルではないか!
ト教授は不思議そうにもう一度後ろを振り返った。

ト教授「まさか、この学生のことじゃないですよね?」
シュトレーゼマン「Oh、そうですよ。ベイビちゃんがト教授の探している”英雄”のピアニストです」

「…?」シュトレーゼマンの言葉に二人は無言で顔を見合わせ、次の瞬間気まずく逸らす。

ト教授「私がそんなに憎いですか?」
シュトレーゼマン「憎くありませんヨ」

「全く!」ト教授は小さくボヤき、早々に部屋を後にした。

ネイル「ミルヒ、どうなってるんですか?」

「Oh、ベイビちゃん」シュトレーゼマンはニッコリ笑って投げキッスを飛ばした。

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パスタの入ったスーパーの袋を片手に、ユジンはイラクの家の前で立ち止まった。

#前半、「今日はパスタがないからステーキ」っていう日がありましたからね。
よく見ると、スーパーの袋にパスタの包みが透けて見えてます^^

「…。」気を取り直し、歩き出そうとすると、ちょうどそこへ向こうからイラクたちSオケのメンバーが歩いてくる。「!」

ユジンの姿に気づいた途端、楽しそうに歩いていた彼らから笑みが消えた。

#何なの、このムダな険悪さ

何も言わずにお互いすれ違おうとしたそのとき、ユジンが再び足を止める。
少し遅れて、ネイルがユヌと二人で仲睦まじく歩いてくるのが見えたのだ。

ユジン「…。」

「先輩!」ネイルだけは変わらず、ユジンの姿を見ると嬉しそうに駆け寄ってきた。
が、そのネイルの腕を掴んで引き止めたのはイラクだ。「!」

イラク「(ネイルに)話し掛けんなって言ったろ」

#絶句

イラク「オレたちが嫌で出てったヤツに、何が嬉しくて挨拶なんか」

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そう言って睨むイラクを見つめるユジンの目は、とても静かで、どこか悲しげだ。
「行くぞ」イラクに手を引かれ、ネイルは店への階段を上がって行った。

ユジン「…。」

「チャ様… またね」スミンも後ろ髪引かれるように走り去る。
彼の前に最後に立ち止まったのは… ユヌだ。
彼は黙って頭を下げ、Sオケの面々に続く。

「…。」ユジンは手にぶらさげたスーパーの袋を、ゴミ箱に放り投げた。

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電話に出ないユジンが心配で、マンションに帰ってきたネイルはユジンの部屋のドアをノックしてみた。

ネイル「先輩」

返事がない。
チャイムを鳴らして見ても、反応はなかった。

#毎日勝手に入るくせに

ネイル「変だな。どこ行ったんだろ」

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ユジンは一心不乱にピアノを弾いていた。

何かに突き動かされるように…。

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衣装を縫う手を休め、ネイルはベランダに出た。
隣のユジンの部屋に、彼の気配は感じられない。

ネイル「まだ帰ってないのかな?学校に練習しに行ったのかな?身体に良くないのに」

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学園祭当日がやって来た。

颯爽と現れ、注目を集めるSオケメンバーをよそに、スンオは一人トイレにこもっていた。
洗面台の前で青ざめているところへ、入って来たのはユヌだ。
「…大丈夫?」ユヌは震えているスンオを鏡越しに見る。

ユヌ「何でそんなに顔色が悪いんだ?」

ユヌが伸ばした手を、スンオは激しく振り払う。「触るな!!!」

ユヌ「…。お前、ステージ恐怖症だろ」
スンオ「!」
ユヌ「このまま指揮台に上がれるか?」
スンオ「当然だろ。オレを誰だと思ってんだ?出来るさ。今度はチャ・ユジンの公演も見ないし、比べる対象だってないんだから」

「だから…」スンオは震える手を握りしめ、泣き出しそうな顔でその場にうずくまった。

スンオ「どうしよう。出来そうにない…」

「…。」ユヌはスンオの前に腰を屈めると、震えるスンオの手を握る。

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ユヌ「大丈夫」
スンオ「?」
ユヌ「誰にでも起こり得ることだ」

「どうしたらいいんだ?」すがるようにユヌを見上げるスンオの声は、今にも消え入りそうだった。

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仮装して集まったSオケのメンバーは、思い思いに記念写真を撮り合った。

#か そ う?

イラク「見たろ。皆の視線バッチリ掴んだぜ」
ミニ「気になってみんな私たちの演奏見に来ますよ、先輩」

「最高!」二人は気合を高めた。
そのとき…

黄色い大きな物体がイラクの視界に飛び込んでくる。「?」
たぬきの着ぐるみを着たネイルだ。
みんなの視線がネイルに集まった。

ネイル「ミニミニ、私の着ぐるみ、どう?」
ミニ「超カワイイよ、ネイル」
ネイル「ミニミニも可愛いよ~♪」
イラク「何日も縫い物してると思ったら、タヌキか」
ネイル「可愛いでしょ、マスコットらしいでしょ♪」
イラク「おぅ。一発パンチしてやりたいくらいにな」

ネイルとミニのチョップが一斉にイラクの首を襲った。「…。」

「みんな、リハーサルに行くぞ」皆にそう呼びかけて、イラクは首を傾げる。

イラク「指揮者は… スンオはどこだ?」

そのとき、イラクの携帯にメールが入る。
メールを開いた瞬間、イラクは目を見開いた。「!」

そっと皆の方へ向き直ると、イラクは恐る恐る口を開く。「あのさ…」

イラク「ハン・スンオ、具合が悪くなって病院に行ったって」
皆「!!!」

#嗚呼、スンオよ…。

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不自由な着ぐるみのまま練習室を出ると、ネイルはミニと一緒に階段の踊場へ来た。

ネイル「私のカバンの中に携帯があるから、ユジン先輩にメールして」
ミニ「…ユジン先輩にメールしろって?」
ネイル「うん。私は準備しなきゃいけないから、代わりに…」
ミニ「先輩が来てくれたら、助かるのは確かだよね。私たち演奏出来るだろうから」
ネイル「だから先輩にメールしてみて。先輩が来たら、皆怒りもおさまるだろうし」

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ユジンは公演の支度をすっかり整え、レッスン室のピアノの前にいた。
楽譜をめくりながら、楽譜代に置いたスマートフォンで資料を調べる。
そこへ、画面上にネイルからの着信を知らせる通知が上がった。

ユジン「…。」

しばらく考えた末に彼が押したのは、拒否ボタンだった。
ほどなく、今度はメールが入る。

ネイル(ミニ代筆)「どうしよう、先輩。私たち、指揮者なしで演奏することになっちゃったんです」

「どうしろってんだ」ユジンはメールを閉じ、小さくつぶやく。

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「ホントにちゃんとメール送った?」一向に返事がなく、ネイルは不安を募らせた。

ミニミニ「送ったってば」
ネイル「何で返事がないんだろ」

そこへイラクが二人を呼びに来た。

イラク「公演が始まる。もう行くぞ」

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ユジン「…。」

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ユジンは楽譜をめくる手を止め、やけに苛立った様子で窓辺へ向かった。
窓の外を見やった次の瞬間、彼は踵を返し、足早に部屋を後にした。

外にいたシウォンが、慌てて彼を呼び止める。「チャ・ユジン!リハーサルしないでどこ行くつもり?」
彼女の声に耳も貸さず、彼はどこかへ消えて行った。

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「どうなってんだ?ソルレバル?」電話を取らないネイルに、ユジンは駆け出していた。

飛び込んだSオケの練習室は、誰の姿もなく、シーンと静まり返っている。

ユジン(心の声)「指揮者なしで演奏するつもりなのか?!」

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ユジンはホールの扉を開け、そっと中へ入った。
そこへ、なぜか鍵盤ハーモニカの音が聴こえてくる。

ユジン「?」

真っ暗なステージにスポットライトが当たると、そこに姿を見せたのは、鍵盤ハーモニカを吹くタヌキの着ぐるみだ。
その愛らしい格好に、客席から笑いが漏れた。

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ユジン(心の声)「鍵盤ハーモニカでチューニングを?ソル・ネイル?レナード・バーンスタインの”マンボ”だ」

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ネイルを照らしていた照明が暗転すると、変わってステージ全体が明るくなる。
指揮台には… ユヌが立っていた。

静寂から一転、弾けるような歯切れのいい演奏が始まる。
曲に合わせ、ネイルが客席に下りて踊る。
それだけではない。
楽器も踊り、団員も踊り、指揮者も踊る。
会場は否応なしに一つになり、盛り上がった。

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ユジン(心の声)「凄い。あいつらが上手いだけじゃない。呼吸が完璧に合ってる。合わせる時間もなかったはずなのに、こんなことが可能なのか?」

演奏が終わった瞬間、会場は悲鳴にも似た歓声と拍手に包まれた。

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「ブラボー!」いつの間に来ていたのか、一番後ろで拍手をするシュトレーゼマンの姿に、ユジンは驚いて立ち上がった。

ユジン「公演前にどうしてこんなところに?」
シュトレーゼマン「キミこそピアニストがリハもせずに何をしてるんです?」
ユジン「…。」
シュトレーゼマン「Oh、素晴らしい公演です。さすがイ・ユヌ!人の心を揺るがす方法を知っていますネ」

観客たちの拍手の前に、団員たちは皆、満面の笑みを浮かべていた。

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シュトレーゼマン「いつの間にか団員たちを自分の味方につけたんです」

「ワタシたちも公演しに行きましょう」シュトレーゼマンが晴れ晴れとした顔で言う。

シュトレーゼマン「今日はワタシにとっても特別な日なんですから」
ユジン「…。」

指揮台を下りたユヌが跪き、客席にいるネイルに手を差し伸べた。
二人が笑顔で握手をかわすのを、ユジンはじっと見つめる。

ユジン「格好いいですね」
シュトレーゼマン「えぇ。楽しかったです」
ユジン「ですが、ここまでです」

シュトレーゼマンがユジンの横顔をチラリと振り返る。

ユジン「今日のスターは僕ですから」

自らを奮い立たせるように、ユジンは鋭い目で沸き立つ会場を見据えた。

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ここでエンディングです。
ずーーーっと完全無感情で(笑)訳してたんですが、最後の最後にユヌくんの指揮がとても良くて、一気に目が覚めました。
チェロの演奏シーンに続き、「もしかして音楽ちゃんとやってる人?」とプロフィールを調べましたが、特にそういうわけでもないみたいで…。
ミュージカルを学んだみたいだから、歌やダンスも上手いんでしょうね。

私はずっと音楽やってた人間ですが、音感のしっかりしてる人は明らかに違います。
自分でちゃんと拍が取れてて、見ていてストレスなかったです。あぁ、楽しい♪

ユジン先輩よりずっと上手で… こりゃどうしたものやら…。
こりゃセクシー度とカリスマ性で勝負してもらわないと(小声

観客の手拍子がめちゃくちゃなのが、非常に残念です。
なんて勿体ないことを…。

それにしても。
Sオケ解体脅迫に、全員でユジン無視、ネイルのレッスン恐怖症だけでも十分くらいのに、今度はスンオをステージ恐怖症で病院送りにするとは…。
どこまで話を暗い方暗い方へ持って行きたいんだか。
何よりも、ネイルがすっかりおとなしい子になっちゃって、輝いて見えないのが寂しいです。
悪いけど、今回は最後のSオケ見るだけで十分、うん

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