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ネイルもカンタービレ(のだめカンタービレ韓国版)あらすじ&日本語訳 4話vol.1

   

シム・ウンギョン、チュウォン主演、「ネイルもカンタービレ/明日もカンタービレ」(韓国版のだめカンタービレ)4話に進みますね。

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「これでゲームは終わりです」シュトレーゼマンは穏やかに、しかしハッキリと言い渡した。

シュトレーゼマン「キミは失格です」

出て行くようにと注げるシュトレーゼマンに、ユジンは努めて冷静に答える。「イヤです」

ユジン「明日まで僕に任せるとおっしゃいました。明日までは僕のオーケストラです」

「ボクのオーケストラ?」シュトレーゼマンが聞き返す。

ユジン「はい。僕のオーケストラです!」

不安げに見守っていたネイルは、ユジンの堂々とした言葉に、安堵の表情を見せる。

シュトレーゼマン「Oh、そう言われてみれば、明日まででしたネ。それなら、どうぞ」
ユジン「…。」
シュトレーゼマン「明日会いましょう」

静まり返るオーケストラを残し、シュトレーゼマンは練習室を後にした。

ユジンは指揮台に戻り、メンバーを見渡す。
全員の視線が集まっていた。

ユジン「もう一度だけやろう。1楽章」

「最後のリハーサルだ」ユジンは小さく付け足す。
ユジンの”英雄”が始まった。

051

『なぜ違う?
派手すぎるのはティンパニーが原因だったのに、今はすっかり落ち着いてる。
クラリネットはなぜ元気がないんだ?
ビオラは悲しげだな。… 憂鬱な旋律だ。
そうだ。オレは音だけ引っ張りだそうとしてた。
音を出す感情を無視していたんだ』

最後まで演奏を終え、ユジンは静かに指揮棒を置いた。

ユジン「ティンパニー」
スミン「?」
ユジン「お前は派手な方が似合ってる」

スミンが黙って頷く。

ユジン「クラリネット、抑えなくていい。ビオラ… 何でそんなに憂鬱そうなんだ?」

「明日の最後の演奏… よろしく頼む」それだけ言って、ユジンは練習を終わらせた。

「ごめんね!」練習室を出ていこうとしたユジンに、思わずスミンが一番後ろから声を掛ける。

スミン「私たちヘタで」

「…。」ユジンはゆっくりと振り返る。「お前らじゃない」

ユジン「問題は… オレにあったんだ」

出て行くユジンを追いかけようとしたネイルを、イラクが無言で止めた。

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翌日。

「お二人にオーケストラの専任教授になっていただきたいんです」ト教授とアン教授を呼ぶと、学長はそう言った。

ト教授「落ちこぼれたちは性に合いません」
アン教授「まぁ、落ちこぼれ専門は僕ですね」

#いや、その前にあなたたちはピアノの教授です

ト教授「コンチェルトの準備だけでも忙しいのに、それでもやらなければなりませんか?」
学長「まだ弾かせる学生が見つからないという話は聞きました。ですが、理事会の決定でもあるんです」

学長はデスクから立ち上がり、二人の前に進み出る。

学長「どちらかにとっては最後の公演になりますから、お二人共お力を注いでいただきたいんです」
アン教授「負けた方が解散になることは変わりないんですね」
学長「オフレコでお願いします。子どもたちには祝祭を楽しませてあげたいんです」

「…。」ト教授は渋い表情で考えこむ。

学長「お願いします、ト教授」
ト教授「…承知しました」

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Aオケのメンバーには、すでに動揺が広がっていた。

シウォン「うちとSオケを競争させて、一つはなくすって?!確かな情報なの?」
ジェヨン(トランペット)「ミランの叔父さんって、うちの大学の理事だろ。そこから聞いた話だ」
シウォン「…。」
ソンジェ(オーボエ)「確かに。一つの大学にオケが二つなんておかしいからね」
ジェヨン「あんな落ちこぼれたちと同じ線上に並べられるだけでウンザリだ」
ソンジェ「けど、あっちはシュトレーゼマンのスペシャルオーケストラだろ」

シウォンが思わず立ち上がった。「今日から練習を2時間早く始めるから。教授がいなくてもやるわ」

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いよいよ副指揮者の地位の掛かった本番だ。

ユジンはSオケを前に指揮棒を構えた。
彼らの後ろでは、シュトレーゼマンが見守っている。

気合を入れて振り始めたユジンは、最初の一振りで指揮棒を落としてしまった。「!」
指揮をそこで止めた彼は、落とした指揮棒を広い、もう一度指揮台に上がる。
思わぬミスに、ますます緊張が募った。

「オラバン、ファイティン!!!」そこへ飛び出して声援を上げたのは、ネイルだ。
彼女は夜なべして作った犬の衣装に身を包み、ユジンの前でダンスを踊ってみせた。

#何で最初に始める前にやらないんだよ

ネイル「オラバン子犬♪ ネイル子犬~ わっしょいわっしょい 頑張れ ワンワンワン♪」

「やめろ」自分のために踊るネイルに、ユジンは淡々と言った。
「…。」思わず微笑んでいたシュトレーゼマンの顔から笑みが消える。

ネイル「♪ 怒ったら怖いよ クンクンクン…」

悲しそうにおどけるネイルに、オケのメンバーが楽しそうに笑った。

メンバー「さすがうちのマスコットだな」

「ごめん、もう一度頼む」ユジンがもう一度指揮棒を構えると、ネイルはほっとしてシュトレーゼマンの隣へ退いた。
まさに始めようとしたそのとき…

シュトレーゼマン「チャ・ユジン」
ユジン「?」
シュトレーゼマン「オマエは失格です」
ユジン「!」

「まだ始めてもいないのに、どーして失格なんですか!」ネイルが手にはめていた肉球ミトンを脱ぎ捨てる。

シュトレーゼマン「Oh、ベイビちゃん。アイツは落とした指揮棒を拾ったんデス」
ネイル「指揮棒を拾って何が悪いんですか」
シュトレーゼマン「本当の公演だったら、指揮棒を拾う指揮者のせいで、演奏がストップするという事故になったのですヨ」
ネイル「これは本当の公演じゃないでしょー。ね?」

「やめろよ」シュトレーゼマンにすがるネイルを、ユジンが止める。

ユジン「素手で指揮をしてでも演奏を止めるべきじゃありませんでした。申し訳ありません」
シュトレーゼマン「ふむ。ということは結果を認めるんですネ?」

「…。」ユジンは無言で俯いた。

052

シュトレーゼマン「副指揮者の資格は剥奪です」
ネイル「ミルヒ、復讐します!!!」
シュトレーゼマン「それでもオーケストラにいたければ、私の助手でもやればイイ」
ユジン「…。」
シュトレーゼマン「オマエは役に立ちそうです。ベイビちゃんまでセットでついて来るんですから」
ネイル「先輩、助手なんてしちゃダメです!(ミルヒに)何させるつもりですか!」
シュトレーゼマン「イヤなら仕方アリマセン」

「誰がやらないって?」ユジンが慌てて言う。「やります」

ユジン「やりますよ、それ」
シュトレーゼマン「…。」
ユジン「…助手」

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「せんぱ~い!」毛足の長い犬の衣装をきたまま追いかけて外へ出て来たネイルから、ユジンはいつものように牽制した。「近づくな!埃アレルギーなんだからな」

ネイル「心配ないデスよ。(フードを取り)これさえ取ればソル・ネイルに変身♪」
ユジン「ソル・ネイルアレルギーはもっと深刻だ」
ネイル「…。」

歩き出したユジンは、数歩進んだところで立ち止まった。
シュンとしたネイルを置いてくると、どこか調子が狂うのだ。
彼が振り返ると、ネイルはニッコリ笑って後を追ってくる。

「ここだけ持ってますネ」彼女はユジンの袖口を指先でつまんだ。

053

ふっと笑うと、ユジンは安心して歩き出す。

ネイル「だけど先輩、先輩の指揮が一番カッコよかったですヨ」

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クリームたっぷりのケーキを口に入れると、学長ミナは即座に鏡を覗き、口元を直した。
ここはユジン母、ソニョンの経営するカフェだ。

ソニョン「なんで私の前でも気にするわけ?無駄なことやめて、ユジンのこと気にしてやってよ。あんたが今食べてるものだって賄賂なんだからね」
学長「私はいつだって学生たちに気を遣ってるわ」
ソニョン「それなら、巨匠がユジンにキツイ訓練させてるの、何とかしなさいよ!」
学長「どういうこと?」
ソニョン「サンドイッチを配るのに走り回ってたって、20回は聞いたわ」
学長「そうなのぉ?」
ソニョン「ホントに知らないの?」
学長「ユジン… 頑張ってるわ」
ソニョン「?」
学長「友だちも出来たし、ピアノ連弾やバイオリン協奏曲までやったの。前は想像も出来なかったでしょ」
ソニョン「バイオリン協奏曲のことは聞いたけど、ピアノの連弾もやったの?」

「誰と?」ソニョンは身を乗り出した。
「アン教…」言いかけて、学長は慌てて口をつぐむ。

ソニョン「?」
学長「あんた、これからも親バカでいなさいよ。もう情報はあげないわ。諦めて」

そう言いながらも、学長はコンパクトを覗き、化粧直しに余念がない。

ソニョン「もう塗るのやめなさいよ。ただでさえ肌がツヤツヤなのに」
学長「Thank you. あんたも透明感のあるメイクしなさいよ。独身なんだからおばさんとは差をつけなきゃ」

「じゃあね」学長はいそいそと店を後にした。

ソニョン「ピアノ連弾…?誰とやったのか調べないとね」

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学長ミナが気合を入れて出掛けたのは、巨匠シュトレーゼマンとのデートだった。
二人は静かな慶熙宮をのんびりと歩く。

シュトレーゼマン「ミナほどワタシのスタイル尊重してくれるピアニストは、いまだにいません。ピアノをやめても、ミナの気持ちはあの頃と変わらないと…そう思いマス」

二人はどちらともなく足を止め、向き合う。

シュトレーゼマン「ミナ…」
ミナ「…はい」

054

「…。」シュトレーゼマンの言葉を、ミナはドキドキして待つ。
何か言おうとしたそのとき…

ふいに現れたのはユジンだった。「教授」

ユジン「Sオケのレッスン時間です」
シュトレーゼマン「Oh… チャ・ユジンくん、どうしてここが?」

「ははっ」ユジンは落ち着いた笑い声をあげる。

ユジン「助手として、僕が古宮入場券の購入までして差し上げたじゃないですか。助手としてお迎えに来ました」
シュトレーゼマン「Oh…」
学長「レッスンがあるんですか?私、そうとも知らずに…」

055

穏やか笑みを浮かべたまま、ユジンは狼狽する二人を見比べる。「…。」

シュトレーゼマン「いいんです。自主練習も教育ですから」
ユジン「今日は絶対にレッスンを受けるんだって、団員たちが待っているんです」
シュトレーゼマン「…。」
学長「学生たちが待っているのに… いらっしゃらないと」

「時間を奪ってすみませんでした」ミナは帰り支度を始める。

シュトレーゼマン「あぁ、いいえ。時間はたっぷりアリます。いくらでも奪ってください!」

学長はすっかりときめいていた心を隠すかのようにサングラスを掛けると、足早にその場を後にした。

ユジン「教授、もうレッスンの時間です」
シュトレーゼマン「お先にドウゾ。後からいきますから」
ユジン「それではロビーでお待ちしていますので」

ユジンは頭を下げると、シュトレーゼマンを残し、先に大学へと戻った。

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「何で来ないんだ?」ロビーをウロウロしながら、ユジンは溜息をついていた。「やることは山ほどあるのに」

#楽譜をめくるのに、ベロっと指を舐めたのを確認しますた(←いらん報告

そこへゾロゾロとやって来たのは、コンマスのイラク率いるSオケメンバーたちだ。「ユジナ!」

ユジン「何だ?」
イラク「教授は?まだ来ないのか?」
タニャ(ビオラ奏者)「助手にも分からないの?」
メンバー「一体いつレッスンしてくれるんだ?Aオケだけレッスンするつもりじゃないのか?」

#えっと、公式サイトによると、このビオラ奏者はイ・ダニャという名前らしいですが…。
原作で後々出てくるピアノのターニャとは関係ないです…よね?

「キャー!チャ様!」締めにスミンが甲高い悲鳴を発しながら走ってくる。「?!」

スミン「チャ様がちょっとだけ来てくれるってのはダメ?このままじゃ練習にならないもの」
ユジン「何?!」

「そうだよ、親友!」イラクがユジンの手をすかさず握る。

イラク「お前の指摘のおかげで皆すげぇ上手くなったんだぞ」

メンバーたちがうんうんと頷く。

イラク「頼む!な?」

「そうだよ!」皆が声を揃えた。

ユジン「…。」

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こうして練習室へ半ば無理やり連れ戻されたユジンは、さっそく指揮台で皆に囲まれてアドバイスを始めた。

ユジン「つまりだな、16小節から21小節までは大きくなっちゃダメだ。ずっとp(ピアノ)で演奏しないと」
タニャ「私はクレッシェンドしたほうが合うと思ってたんだけど」

「ほらね」後ろでネイルがニンマリする。「先輩の話を聞いたら納得でしょ♪」
「他に気になることがある人、手を挙げてくださーい」ネイルが声を掛ける。
「私、ティンパニー…」スミンが控えめに手を挙げたところで、イラクがストップを掛ける。

イラク「さぁさぁ、演奏しながらの方が早いぞ。イラク、指揮してくれよ」
ユジン「何?!」

「してくれって」イラクはさっさと席へ戻る。「ほら、着席!」
皆がさっと席につくと、ユジンは仕方なく指揮台に残った。

ユジン「1楽章はAllegro con brioだ。陽気に生き生きと」

ちょうどそこに入って来たシュトレーゼマンが目にしたものは、まるで指揮者のように団員を束ねるユジンの姿だった。

シュトレーゼマン「Oh、そこは指揮者だけが立つ場所デハ?」
ユジン「!」
シュトレーゼマン「ジョシュ君」

ユジンは慌てて指揮台を下りた。
「私の場所にジョシュを立たせてどうするのですか」シュトレーゼマンはオケを見渡す。

ユジン「申し訳ありません。僕が」
シュトレーゼマン「ジョシュ、黙っていなさい。ワタシが話してるんですから」
ユジン「…。」

「全部ミルヒのせいなのに、どうしていつも先輩ばかり責めるんですカ!!!」ネイルがたまらず割って入る。

シュトレーゼマン「Oh、リラックス、リラックス、ベイビちゃん。ジョシュ、オマエはもうクビです」
ユジン「…。」
ネイル「!副指揮者もクビ、助手もクビ、やらせては辞めさせてばかり!!!」

「ミルヒ、悪いデス!!!」ネイルは半泣きでシュトレーゼマンを責めた。

シュトレーゼマン「Oh、それもそうですネ。それなら…」
ユジン「?」
シュトレーゼマン「チャ・ユジンくん。ジョシュではなく、指揮をどうぞ」
ユジン「?!」
シュトレーゼマン「この瞬間からワタシはSオケを脱退します」

発起人であるシュトレーゼマンの言葉に、皆が驚愕する「!!!」

シュトレーゼマン「ワタシのことは気にせずに、あの新指揮者と練習なさい」

「いい結果を祈りますヨ」シュトレーゼマンは絶句するメンバーたちを残し、さっさと練習室を後にした。
団員たちは沈んだ空気の中、楽器を片付け始める。

イラク「どうした?何で片付けるんだよ?!」
タニャ「私たち、シュトレーゼマンのSでしょ。教授が脱退するなら、トーゼン解散よ」
イラク「オレたちはスペシャルのSだ!今さら何言ってんだよ。オレたち今までオケのメンバーになったことあったか?」
スミン「…。」
イラク「まぁ… スミンは省いて。オレたちみんな初めてじゃないか、オーケストラやるなんて。だから一生懸命やってたんだろ。オレたち、ここじゃなきゃどこで演奏すんだよ!」
メンバーたち「…。」

「心配しないでください!」ネイルが走り出る。

ネイル「私たちには先輩がいるじゃないですか!先輩がいれば何だってデキますよ!!!」
イラク「そうだ!オレたちにはチャ・ユジンがいる!」
スミン「チャ様さえいれば問題なし!」

「待て」ユジンが戸惑ってストップを掛けた。

ユジン「オレはやるなんて言ってないぞ」

「来てもくれない教授より、教えてくれるチャ・ユジンの方がいいよな」そう言ったのは、以前意地悪をしたクラリネット奏者だ。

オーボエ奏者「性格は難アリだけど、指揮は上手い」
コンバス奏者?「まぁ、チャ・ユジンくらいならな」

皆が頷く。
「オレたちの新しい指揮者、チャ・ユジン!」

一気に盛り上がる面々を前に、ユジンは大いに戸惑っていた。「…。」

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ト教授のハリセンが譜面台を叩くと、Aオケメンバーの視線が中央に集まった。

ト教授「皆、スンオは知ってるだろう。これから彼が副指揮者として君たちと練習する」

誰も何も言わず、押し黙っている。

ト教授「このまま練習せずにシュトレーゼマンを待っているつもりか?これは専任教授として決めたことだ。指揮科がピアノ科に劣っているとでも?」

「分かりました」コンマスのシウォンが声を上げた。
その瞬間、皆のスマートフォンの着信音がバラバラと鳴る。
ジェヨンがメールを見て立ち上がった。「フランツ教授がSオケを脱退したって!」

シウォン「どういうこと?」
ジェヨン「(メールを読む)練習のとき、チャ・ユジンが勝手に指揮したのがバレて、教授が脱退…」

スンオがほくそ笑む。

ジェヨン「チャ・ユジンが指揮者に…?!」
ト教授「!」

「Oh、これは…」皆が一斉に客席を見る。そこにいたのはシュトレーゼマンその人であった。

シュトレーゼマン「ここもワタシの代わりに、新しい指揮者を見つけたんですね」

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「…。」いつものベンチで一人、ユジンはじっと指揮棒を見つめていた。

そこへ後ろからそっと現れたネイルは、いきなりクラッカーを鳴らす。「おめでとうございます~」
「!」お祝いダンスを踊るネイルに、ユジンはイライラして立ち上がる。「祝ってる場合か!!!」

ネイル「でも、とにかく指揮できるんですから。先輩、指揮がしたかったでしょ♥」
ユジン「はぁ…。教授は何考えてるんだか」

そのとき…

突然学内放送が始まった。

スピーカーから流れてきた声は…?

シュトレーゼマン(放送)「秋の音楽祭のオーケストラ定期公演について、重大発表があります。韓音音楽院オーケストラと… あぁ、メンドくさい!そちらはAオケ、スペシャルオーケストラはSオケ。AオケもSオケも音楽祭で公演します。AとSの公演バトル!そこで負けたチームは解散です。それでは、AオケとSオケの検討を祈ります!頑張ってくださぁい」

057

「やっぱりミルヒはヘンです」さすがのネイルも思わず呟いた。

ネイル「巨匠だからかな?」
ユジン「巨匠?どこが巨匠だ。ただのクソジジイだろ。何でオレを指揮者にしたのか不安に思ってたけど…」

ユジンは自嘲気味に笑った。「こういうことだったのか。競争させて解散させようって?」

ユジン「ソル・ネイル」
ネイル「はい!先輩」
ユジン「やってみようぜ」
ネイル「!」
ユジン「勝手にオケを解散されてたまるか」
ネイル「オラバン、超ステキ♥」

058

そこへやってきたのはアン教授だ。

アン教授「今の放送、聞いたよね?」
ユジン「はい」
アン教授「Sオケはこれから誰が指揮するんだい?」
ユジン「僕です」

059

「!」アン教授がパッと顔を輝かせる。

ユジン「Sオケの指揮者は僕です」

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「練習しようぜ。生き残る道は練習しかない」悶々とするメンバーたちの中で、イラクがとにかく声をあげる。

クラリネット奏者「オレたちがAオケに勝てるのか?」

「もちろん」そう答えるイラクの声が思わず裏返る。

スミン「あの子たち、ホントに上手いの。みんな海外派よ」
イラク「Aオケ出身だからって味方すんのかよ?海外派がなんだってんだ?金持ってるだけだろ」
タニャ「リーダーからして違うでしょ。あっちのコンマス、ウィーン行きが決まってるんだから」

そこへユジンが入って来た。「何やってんだ?」

ユジン「練習しないのか?」

「さっさと動け」ユジンの気迫に押され、皆がバラバラと動き出した。「負ければ解散させられんだぞ!!!」

ユジン「実力も経歴も劣ってるなら、練習量で追い上げるしかないだろ」

そっと扉が開き、アン教授が顔を覗かせた。

ユジン「定期演奏会まであと三日だ。それまでに4楽章までマスターしなきゃならないんだ。時間も実力も足りない。その上、負けたらオケは解散だ」

「今日から練習量は2倍にする」ユジンは練習道具を出しながら話を続ける。

ユジン「ついて来れないヤツは、自主練を増やしてでもついて来い。いいな」

そこへ大きなコントラバスを抱え、ミニが遅れて入って来た。

ユジン「今後は誰であろうと遅刻は絶対ダメだ」

皆が順番に音を出し、チューニングを始める。
一つの音が次第に増えていくのを、ネイルは眺めた。「いいなぁ♪」

ネイル「ピアノの連弾はワタシも一緒にやったけど♪」

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練習をいつも見ていたネイルは、Sオケの演奏するベートーベン交響曲3番をすっかり覚えていた。
彼女は記憶の中の音楽を、ピアノに乗せて奏でる。

060

「アン教授の話はやめてください!」電話相手に憤りながらト教授が歩いてきた。
協奏曲のピアニストを推薦するよう頼んで電話を切ると、彼はどこからか聴こえてくるピアノの音に気づく。
ネイルのピアノだ。
「めちゃくちゃだな」冷笑したト教授は、しばらく歩いているうちに… 再び足を止める。
「…。」ピアノに合わせ、自然と彼の足がリズムを取る。そして、指先が旋律に合わせて曲線を描いた。

ト教授(心の声)「間違ってるんじゃない。これは別だ。何かが違う。人の耳を、心を引きつける力がある」

ト教授は思わず音の主を探して駈け出した。

ト教授(心の声)「ちゃんと教えたら、どこまで成長するだろうか?どれだけ変わるだろう」

彼はその並びで一番奥の練習室まで辿り着く。ここも違う…。
そこでピアノの音は止んだ。
がっかりして諦めたところで、向こう側のドアからネイルが飛び出してきた。「講義に遅れちゃう!」

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「明日の練習は1時間早く始める」ユジンはそう言い渡し、指揮台を下りる。
さんざん絞られてクタクタになったメンバーたちは思わずどよめいた。

ユジン「2時間早めるか?」
一同「…。」

ユジンが出て行くと、メンバーは一斉に不満を噴出させる。

イラク「おいおいおい!明日だけ1時間、ユジンの言う通り早めて、他でスケジュール調整しようぜ。皆ハラ減ったろ。メシを… よし!今日の晩メシはうちの親父のおごりだ!」

+-+-+-+

イラクの父親の店で、Sオケメンバーたちはちゃっかり晩ご飯にありついていた。
息子がコンマスを務めるオケのため、イラクの父親がせっせと料理を運び、サービスする。

スミン「教授があんたをコンマスにした真意がやっとわかった♪」
イラク「トーゼンだ。これからオレが上手くまとめてやるから、ついて来いよ」
スミン「OK♪」
タニャ「だけど、無駄な努力になるんじゃない?私たちがどうやってAオケに勝てるのよぉ」
イラク「あいつら大したことないって!」

豪語するイラクの後ろで、ちょうどAオケのシウォンたちが店に入って来た。

イラク「音楽も頭ン中もつまんねー模範生だろ」

「確かに」口を開いたのは、シウォンと一緒に入って来たAオケのジェヨンだ。

ジェヨン「留年ばかりするヤツがいるからこそ、模範生ってのもいるんだよな」
イラク「!!!」
ジェヨン「オレたちトップから、底辺のヤツらまで」

「何だと!」イラクが立ち上がる。

シウォン「(ジェヨンに)相手することないわ。(イラクに)先に挑発したのはあんたよ。やめましょ」

「シウォン、どうしちゃったのよ」スミンが慌ててシウォンのそばに駆け寄った。

イラク「偉そうにしやがって」
ジェヨン「シウォンはホントに偉いからさ」
イラク「!」
ジェヨン「万年留年生の…コンマスとは違ってね」
オーボエ君「誰が万年留学生なんだよ?うちのコンマスはな、昔のユ・イラクじゃないぞ!」
クラリネット君「そうだ!コンマス同士でバトルでもしてみろよ」
イラク「?!」
ジェヨン「乗った!いやぁ、面白そうだな」
シウォン「(冷静)やめて、ジェヨン。(イラクに)一言謝ればそれでいいわ。それで終わりにしましょ」

「そうよぉ」ビクビクしたスミンがイラクをつつく。

イラク「何だよ?オレが負けるってか?やってみりゃいいだろ。乗った!」

Aオケトリオ「(微笑)」
イラク「ビビってんなら、お前らが降りろ」

Sオケメンバーたちが”期待”してシウォンを見る。

シウォン「… ”チャルダッシュ”よ。いい?」
イラク「OK」

+-+-+-+

さっそく二人のコンマスはバイオリンを手に向かい合う。

スミン「(イラクに)今からでもやめたほうがいいって!」
イラク「邪魔するんならアッチ行けよ。オレは昔のユ・イラクじゃねーんだ」

シウォンを諌めたのは、オーボエのソンジェだ。

ソンジェ「キミらしくないな」
シウォン「分からせてあげないとね。レベルの差を」

最初に弾き始めたのはイラクだ。
少し離れたところから、イラクの父親はそっと息子の演奏を見つめた。

『チャルダッシュ、ジブシーの舞曲。自由でありながら、悲しいジプシーのように…』

イラク父(心の声)「そうだ… 上手く演ってる」

イラクがキリのいいところまで弾くと、シウォンが軽く笑みを浮かべ、次を受け継ぐ。
そして、またイラクへ…。

イラク父(心の声)「頑張れ!イラク!力いっぱい走るんだ!誰もお前について行けないように!」

いつしか二人は、このバトルを楽しんでいるかのように見えた。

061

イラク父(心の声)「決してコケちゃ駄目だ。そのまま…そのまま…あともう少し」

その瞬間!盛り上がりが頂点に達する早いフレーズで、イラクの指がもつれた。「!!!」
止まってしまったイラクの指をチラリと確かめ、シウォンは勝ち誇ったように続きを仕上げる。

勝負は…決まった。

タニャ「あー惜しい!ミスさえなかったら…。あそこで指がもつれなかったら勝てたのに」
ジェヨン「バイオリニストの指がもつれるのが”ミス”なのか?」
Sオケメンバー「…。」
ジェヨン「それも実力だろ」

「シウォンはウィーン行きが決まってるくらいなんだから」スミンがそっとイラクを慰める。

イラク「…。」
スミン「恥じることないって」

「もう行こう」ソンジェの言葉で、Aオケの3人は店を後にした。

イラク「…。」

「よくやった。頑張ったな、息子よ」悔しがる息子の姿を、父親は静かに見守った。

+-+-+-+

「何で全力出したんだよ?」帰り際、ソンジェが不思議そうに尋ねた。

シウォン「そうしなきゃいけない気がして」

「エレキバイオリンをやるんだって言ってたヤツが… なかなかやるわね」シウォンは淡々と呟いた。

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ここで一旦区切ります。

うーん

一気に訳さなかったせいもあるとは思いますが…

ネイルが楽譜盗んで勝手に指揮 → 怒ったけど1週間副指揮者に任命
6日後に見に来て「オマエ、失格」→ あと一日あるじゃんと言われ、「あ、そうか」
次の日、演奏もさせずに「オマエ、失格」→ 助手に任命
助手が勝手に指揮台にあがる → 怒って自分が脱退

ミルヒ自身が抜けるのはお約束だけど、なんか、グズグズして歯切れと後味が悪いねぇ。
Aオケメンバーもここまで嫌な感じにしなくても…と^^;

音楽での葛藤は大歓迎だけど、その他はあまりネチっこくしないでくれると嬉しいデス。

そして、前の記事でベートーベン交響曲3番を「違う曲なのねー」なんてテキトーなことを書いたワタシはバカでした。
原作では3番なのでした~ あはは~

 - のだめカンタービレ(韓国版) ,