韓国ドラマから美しい言葉を学ぼう

韓国ドラマのあらすじや詳細日本語訳を紹介!セリフを題材にした文法解説も

ネイルもカンタービレ(のだめカンタービレ韓国版)あらすじ&日本語訳 2話vol.1

      2014/10/16

チュウォン、シム・ウンギョン主演、「ネイルもカンタービレ/明日もカンタービレ」(韓国版のだめカンタービレ)2話です。
イキイキとした台詞のやりとりを混じえながら、あらすじを追っていきますね。

+-+-+-+

指揮者になるのが夢でありながら、唯一の師匠と決めているヴィエラに会いに行けないユジン。
自暴自棄になっていたところに、彼が出会ったのがネイルだった。
アン教授から出されたネイルとの連弾の課題を通して、彼は失っていた音楽のトキメキを取り戻していた。

「ブラボー!」演奏が終わった静けさの中でアン教授が手を叩いた。

アン教授「いいね、実にいい」
ユジン「ありがとうございます」

立ち上がって礼をいい、彼はネイルに視線を移す。
彼女は魂が抜かれたように茫然としていた。「ソル・ネイル?」

ネイル「はっ!… オラバン♥」(=オッパ。済州島の方言で、女性が年上の男性を呼ぶ言葉)

ネイルの目にはユジンの姿がキラキラと輝いていた。
「ネイル、オッパの方を見ろよ♥」自分を見つめるユジンがそう言っているようで、彼女は恥ずかしさに顔を隠した。

ネイル「見られませーん!心臓が…」
ユジン「どうした?」

「はぁ!」胸のトキメキに耐えられず、ネイルはレッスン室を逃げ出した。

ユジン「オラバン?あいつ前からそうなんですか?」
アン教授「うん。そろそろ慣れたでしょ」
ユジン「(苦笑)」
アン教授「それより、壁を超えた気分はどうだい?久しぶりに楽しい演奏だったろう?」
ユジン「ソル・ネイルじゃなくて、僕のためのレッスンだったんですか?」

「ははは」アン教授は満足気に笑った。

アン教授「連弾を聴いてすぐ分かったよ。君、指揮がしたいんだろう?」
ユジン「!」

011

+-+-+-+

「心臓がキュンとなる!」思わず逃げ出してきたネイルの胸は、まだ高なっていた。

ネイル「どうしてかなぁ?」

「恋だ」突然聞こえた声に、彼女はふたたびハッと息を呑む。「!」

彼女の前で微笑んでいたのは、愛しのユジン先輩!

ユジン(妄想)「ネイル、お前はオレと恋に落ちたんだ」

001

+-+-+-+

エリート集団を集めたオケの前で、今日もスンオがくねくねと指揮棒を振るっていた。
暗い客席の一番後ろで、ユジンはその練習風景を見つめる。
昼間のアン教授の言葉が、彼の頭から離れなかった。

アン教授「転科しなよ。指揮はスコアじゃなく人を、演奏者を動かす仕事だ。一人じゃ決して良い指揮じゃにはなれない。頭の中だけじゃなく、本当の指揮をしたいと思わないか?」

ユジン「…。」

+-+-+-+

「オラバーン!」勝手に愛に目覚め、ユジンを探しまわっていたたネイルは、学内のベンチに一人座っている彼の姿を見つける。
「オラバーーーーーーン!!!」彼めがけて、ネイルは駈け出した。

「はぁ、しばらく考える時間もくれないんだな」独り言を呟き、彼はネイルを振り返る。

ネイル「先輩、私、連弾する間、指がムズムズして大変だったんですぅ!体も震えて、はぁ、あんまりイイ気分で!」
ユジン「………。」
ネイル「だけどね、だけど今は… 先輩の胸に飛び込みたくて、足がムズムズするんですぅ]

「!」殺気を感じ、ユジンは慌てて立ち上がる。「我慢しろよ」

ネイル「(ムズムズ)」
ユジン「我慢できるって」

「私、これが何だかわかったんです」ネイルはジリジリと彼に迫る。

ユジン「何だよ」
ネイル「恋です!!!先輩!恋に落ちたんですよ!」
ユジン「違うって、恋なんかじゃない!」
ネイル「先輩のこと考えるだけで、心臓がキュンとなって震えるんですぅ!」
ユジン「違う!落ち着け!それはな、アドレナリンが過剰分泌された時の反応だ」
ネイル「はぅん♥」
ユジン「ソル・ネイル、落ち着けって!心臓病かもしれないぞ。だから、病院へ行って検査を受けろ。脳検査も。いいな?」
ネイル「先輩に抱きしめてもらえば分かるんじゃないデスかね」

「先パーイ!」まさに飛び込もうとしたネイルを、ユジンは必死で阻止した。

002

ユジン「今後はこの距離以内は接近禁止だ!
ネイル「胸がダメなら背中がいいですーー!背中ならいいでしょーーー!」

「それもダメだ!」ユジンはネイルを払いのけ、必死で逃げ出した。
「先パーイ」ネイルは両手を広げて追いかける。

ユジン「憑いて来るな!」

その様子をじっと窺っていた男が一人。
バイオリンのユ・イラクだ。

イラク「予想外の収穫だ。チャ・ユジンと連弾?」

+-+-+-+

必死の追跡虚しく、ネイルは結局一人になってしまった。

ネイル「足が長いからか、逃げ足も早いなぁ」

「逃げたところで、辿り着くのはうちの家だもん」ネイルは不敵に笑う。
そこへ誰かが缶ジュースを差し出した。

ネイル「わ~、ありがとございます!ちょうど喉カラカラだったんんですぅ」

イラクだ。

イラク「きみ…ピアノ科?」
ネイル「どうしてわかったんですか?」
イラク「やっぱりな。きみの方から人を惹きつけるピアノの音が聴こえてきたからさ」
ネイル「どんな曲ですか?モーツァルト?シューベルト?それともショパン?」
イラク「そういうのじゃなくてさ、バイオリンソナタ5番。ベートヴェンの」
ネイル「…知らない曲です。私のピアノじゃないみたい」

立ち上がったネイルを、イラクは急いで引き止める。「あー、ちょっと待った!」

イラク「こうして出会ったのも縁だ。(バイオリンを見せ)オレと合わせないか?」

+-+-+-+

「…。」ユジンが真剣に吟味していたのは、魚売り場に並ぶ美味しそうな魚たちだ。

店員「何にしましょうか?」
ユジン「今日はサバを揀擇します」
店員「あらまぁ、やっぱり一番ピチピチしたのが分かるんだね」

※揀擇=選り抜くこと。
史劇を見ていると、王や王子、王女などが配偶者を選ぶときに使うので、聞いた瞬間ハッとしました^^;

そこへメールが届く。「?」

「オラバン~ 私たち水入らずで晩ご飯食べましょー!!うふっ♥」

差出人は「ソルレイム」

※설레임(ソルレイム)=「トキメキ」の意。もちろんソル・ネイルと掛けているものと思われます。

ユジン「ソルレイム?あぁ、あのソルレバル(=せわしなく立ちまわること)、全く!」

「夢でも無理だ!」ユジンは一言メールを返し、サバを受け取る。
袋の中の一匹のサバを見て、彼はふと考えた。

ユジン「もう一匹ください」

ユジンの顔にひとりでに笑みが溢れる。

+-+-+-+

スーパーの袋をぶら下げ、帰り道を歩いていたユジンは、通りがかった店から聴こえてきた奇声に、思わず足を止めた。

ユジン「???」

そこにいたのは… 男と二人きりで仲睦まじくご飯を食べるネイルの姿だ。

ユジン「うちのお母さんが作るより… ずっと美味しいって?」

012

ユジンは通りのゴミ箱にサバを捨て、店の前を後にした。

+-+-+-+

「合奏を祝して~~~!」ネイルとイラクはまた乾杯した。

イラク「もっと食べたいもんあるか?言ってみろよ。何だって作ってやる。もちろんうちの親父がぁ~♪」

イカツいイラクの父親が、ワゴンに一杯の料理を運んでくる。
ここはイラクの父親の店だ。

※裏軒お洒落すぎ

イラク親父「もちろん!メニューにないものでもいいから、食べたいものは何でも言いな。うちの息子の相棒なんだから、出来ないことなんかないぞ!」

「さぁ!今度はコース料理ですよっ!」イラクの父親が新たな料理をテーブルに並べた。
ネイルはそれを眺めて不意に真顔になる。「これ、お持ち帰りにしちゃダメですか?」

+-+-+-+

「ありがとうございますー」両手に一杯のお土産を手に、ネイルは店を出て来た。「ばいばーい!」

イラク「オレ、相手を選び間違えたかな?チャ・ユジンとは上手く演ったみたいだけど」
親父「お前、あの子の手を見なかったのか?」
イラク「手?」
親父「大きくて指が長い。ああいう手がピアノに合うんだ。ソ・イェジンやイム・ソロもあんな手だ」
イラク「おぉ、親父はすっかり専門家だな。もう評論家になれるんじゃないか?」
親父「息子がビビるくらいには知ってなきゃな」

笑う息子の肩に、父は手を回した。

親父「息子のバイオリンの音色が芸術の殿堂一杯に満たすまで応援するのがオレの仕事だ」

忙しく仕事に戻る父親の後ろ姿を、イラクは複雑な表情で見つめた。

+-+-+-+

結局ユジンはひとりぼっちでカップラーメンにお湯を注いでいた。

ユジン「…。」

そこへ玄関のチャイムがなる。

ピンポーン

彼はジロリと玄関を睨みつけた。

ユジン「チッ。エサがもらえればどこだって付いて行くくせに、何で来るんだよ?」

ピンポーン
ピンポーン

彼はイラッとして立ち上がった。

ユジン「あれだけ食ったなら家に帰れよ!!!この飯食い虫!ダニ!」

思い切り悪態をつきながら開けた扉の向こうに立っていたのは… トギョンだった。「!」

トギョン「私、いつから飯食い虫やらダニだったの?」
ユジン「…どうしたんだ?」
トギョン「中に入れてくれないの?ここに立たせておくつもり?」
ユジン「…。」

ふと廊下の向こうを見たユジンの目に入ったのは、スキップして角を曲がってくるネイルだ。

ネイル「?!」

「入れよ」ネイルの目の前で、どこかの超美人がユジンの部屋へ入って行った。

ネイル「(ガーーーーン)ダメだ~」

+-+-+-+

「何で来たんだ?」尋ねるユジンに構わず、トギョンはキッチンへ向かう。

トギョン「用事があって来たことなんかないでしょ」
ユジン「…。」
トギョン「付き合う前は友だちだったんだから。未練なんてないわよ」
ユジン「全く…」

トギョンは棚からワインを取り出した。

ユジン「何があった?音楽か?男か?」
トギョン「(笑)これだから10年来の友だちはイイわ」
ユジン「…。」

トギョンはうんざりしたように顔をしかめる。「今度カルメンやるの知ってるよね」

トギョンは声楽科だ。

トギョン「だけど私、ミカエラ(=恋敵の役)なのよ。いつだって私がカルメンで」

「オレ、やることがあるんだけど」ユジンは彼女の愚痴を遮る。

トギョン「何?(視線を落とし)カップラーメン?」
ユジン「あぁ。カップラーメン」
トギョン「私を無碍に扱っちゃダメよ。すごいニュース持って来たんだから」
ユジン「興味ない」
トギョン「(ニヤリ)指揮に関係あるんだけどな」
ユジン「?」
トギョン「今日のあなた次第ね。オフレコ情報なんだから、それに見合った対価がないと♪」

003

ユジンは溜息をついた。

+-+-+-+

翌朝。

一睡も出来ずに玄関を開けたネイルが目にしたのは、腕を組んで出掛けて行くユジンとトギョンの後ろ姿だ。

ユジン「…泊まったの?!先輩… 私たちここで終わりデスか…」

+-+-+-+

練習室へやって来たネイルは、もぬけの殻だ。

イラク「おい、しっかりしろ!タダ飯くった分、働け!!!」
ネイル「(ぼんやり)恋って… 無くなるときは何も残さない…」
イラク「失恋か!」
ネイル「残ったのは… 空っぽの心」
イラク「しっかりしろよ!とりあえず試験をこなして、それから好きなだけ落ち込め!」
ネイル「(嘲笑)恋を失ったのに… 試験のどこが大事なのか…」
イラク「大事だ!恋より大事なのは試験だ!!!」

泣き出すネイルに、イラクは途方に暮れた。

イラク「よし。オレがくっつけてやる!お前を振ったのは誰だ?」
ネイル「うちの科の先輩」
イラク「お前の科の先輩?誰だ?まさかチャ・ユジンじゃないよな?」
ネイル「!!!」
イラク「…そうなのか?」
ネイル「…。」
イラク「チクショー!何でよりによってあんなヤツ!ソル・ネイル、お前、意外と野心家だな」

「待てよ、チャ・ユジンってことは…」イラクは携帯から一枚の写真を選ぶ。「お前のライバルはこの女か?」

イラク「プリマドンナ、チェ・ドギョン?」

写真に映っていたのは、ユジン先輩の部屋で一晩過ごした、あの女だ!

ネイル「この人の名前、チェ・ドギョンって言うんですか!」
イラク「ダメだ。くっつけられそうにない」
ネイル「くっつけてくれるって言ったでしょ、ラク~」
イラク「限界ってものがあんだろ。お前、チェ・ドギョン知らないのか?」
ネイル「誰?」
イラク「お前、良心ってものがねーのか?」
ネイル「りょうしんって?食べるもの?」
イラク「レベルが吊り合ってこそだろ」
ネイル「どうして?私の方がイケてるけど」
イラク「(ぷぷっ)」

+-+-+-+

ユジンはトギョンに引っ張られ、カフェへやって来る。
それを眺めている学生が二人。

一人はティンパニー奏者、マ・スミン。

マ・スミン「声楽家のマドンナ、ミス韓音大、カオン楽器の一人娘…」

「チェ・ドギョン?」スミンの隣にいるのはバイオリンのチョン・シウォン(日本名:清良)。
二人とも、韓音エリートオーケストラ(Aオケ)のメンバーであり、シウォンはコンマスだ。

004

シウォン「詳しいのね。気でもあるの?」
スミン「うちの大学の楽器は全部あの娘の家のじゃない。それに… キレイだし」
シウォン「はぁ…。男って全く」
スミン「キレイで… キレイで… キレイだから…。別れたって聞いたけど、またヨリ戻したみたい。確かに、キレイだもの」

カウンターでコーヒーを受け取り、ユジンは席に向かう。

トギョン「もう教えてあげるってば」
ユジン「知りたくもない。そのネタ一つでオーディション応募からカフェまで、2時間連れ回されただけでコリゴリだ」

背を向けたユジンに、トギョンが言う。「フランツ・シュトレージェマン」

ユジン「?!」

+-+-+-+

ユジンは学内を突き進んでいた。

トギョン(声)「うちの大学に来るらしいわよ。教授としてね」

ワクワクして止まらない。彼はいつの間にか走りだしていた。

+-+-+-+

「賭けの条件をまだ聞いていませんよ」ハリセンがアン教授に言う。

アン教授「(ニコニコ)
ハリセン「さっさと精算しましょう」
アン教授「後でお話ししますから」

「授業がありますので」アン教授は逃げるようにその場を離れた。

ハリセン「アン教授!人をからかっちゃいけない!」

そのとき、ハリセンが目にしたのは、教務課から笑顔で出てくるユジンの姿だ。
「?」不思議に思ったハリセンは、教務課へ入った。

ハリセン「あの生意気がここにどうして?何であんなニコニコして!」
職員「誰のことですか?」
ハリセン「たった今出て来た生意気が他にいるか!」
職員「チャ・ユジンですか?転科申請をしに来たんです」
ハリセン「!」

+-+-+-+

いつものベンチで、ユジンは転科申請書を見つめていた。
そこへ聴こえてきたのは、えらく奇妙なベートーヴェンのバイオリンソナタだ。

ユジン「…。」

005

+-+-+-+

伴奏を弾きながら、それでもネイルは力尽きてがっくりとうなだれる。

イラク「しっかりしろ!お前にはもうピアノしかないんだ!せめてピアノぐらいまともに弾かなきゃ、お前の存在価値がなくなるぞ!」
ネイル「ピアンさえちゃんと弾いたら… 先輩は戻ってくるんデスか…」
イラク「そうさ!ピアノさえちゃんと弾けば、全て解決する。いや、男友達が必要なら… オ、オレがつきあってやる!」
ネイル「…何?」
イラク「…あはっ。これでピアノ弾く意欲が出たか?」
ネイル「ラク… 私が先輩ばっか見てたせいかな、こうやってみたらラクって…イカみたい」
イラク「…イ!」
ネイル「先輩の作るイカ飯たべたいー」
イラク「チャ・ユジンがお前にイカ飯作ってくれたのか?」
ネイル「ピラフにステーキも」
イラク「それってすげぇ青信号じゃねーか!っつーことはお前ら、脈ありってことだな」
ネイル「脈あり?!先輩と私が?」
イラク「男ってのはな、嫌いな女には絶対奢ったりしない。それどころか、料理までしたって?」
ネイル「…。」
イラク「ソル・ネイル、チャ・ユジンはお前次第ってことだ」

ネイルは立ち上がった。「ラク、私どうすれば?!」

イラク「スキンシップだ」
ネイル「…スキンシップ?」
イラク「男はスキンシップだ!無条件でな。お前にイカ飯まで作った理由はなんだ?そこで答えは出てんだよ!」
ネイル「じゃあ答えは?!」
イラク「押し倒せ!」

※イカ飯=오징어 밥、押し倒す(覆いかぶさる)=치다
ご飯の上に何かを乗せる料理を덮밥といいます。
彼の台詞は、このイカ飯の「덮」と押し倒すの「덮」を掛けたものかと。

「死にたいのか?」いきなり入り口で誰かの声がした。

ネイル&イラク「!」

「誰を押し倒すって?」そこに立っていたのはユジンだった。

イラク「!」
ユジン「共謀の相談ならドアくらい閉めるべきなんじゃないか?」

「先輩、会いに来てくださったんですね!チェ・ドギョン先輩を捨てて!」抱きついてきたネイルを、ユジンは引き剥がす。

ユジン「何でチェ・ドギョンが出て来るんだよ」
ネイル「先輩、私分かってます。昨日、一晩中一緒に…」
ユジン「…。」
イラク「(ニヤリ)一緒に?!」
ネイル「だけど私全然ダイジョーブです!!!」
イラク「(ニヤニヤ)一晩中何だってぇ?」
ユジン「…。」

~~~~

昨夜、ユジンは一晩中トギョンと…

…歌の練習に付き合っていたのだった。

ユジン「いつまでやるんだよ?夜中の3時だぞ」
トギョン「時間なんてどうでもいいでしょ!明日カルメンの再オーディション、絶対応募するわ」
ユジン「…。」

~~~~

ユジンの話をイラクは笑い飛ばした。

イラク「そんなバレバレな言い訳、誰が信じるんだよ!」
ネイル「そうだったんですね…。一晩中練習したんですね…」

「すごく辛かったでしょ」再びしがみつくネイルを、ユジンはもう一度引き剥がす。

ユジン「いい加減にしろよ。騒音公害の犯人が誰なのかと思って来てみたら、呼吸もめちゃくちゃ、楽曲解析もめちゃくちゃ」
イラク「誰のせいだと思ってんだ!お前のせいで試験がダメになったんだぞ!」
ユジン「お前のバイオリンの能力のせいだろ」
イラク「オレじゃない。ピアノが問題なんだ!こんなことまで言うつもりはなかったけどな、オレは全国ジュニアコンクールの3位なんだぞ!」
ユジン「(笑)近所で神童とか言われて、勘違いしたまま育ったんだな」
イラク「…。」
ユジン「パートナーの演奏にも集中しなきゃダメだ」
イラク「先生と同じこと言うんだな。音程を合わせろ、楽譜に合わせろ、テクニックは正確に!卒業さえすれば、エレキバイオリンに転向してやる。つまらないクラシックとはおサラバだ」

イラクの言葉に、ユジンの顔から笑みが消えた。

ユジン「クラシックがつまらないんじゃない。お前の下手くそな演奏がつまらないんだ」
イラク「お前にバイオリンの何が分かるんだよ!」

イラクが詰め寄ったそのとき、ユジンが彼の手からバイオリンをさっと受け取った。

イラク「はっ、演奏なさるって?」
ネイル「(イラクに)ほらー、先輩に楯突いちゃダメだって言ったでしょ、怖いんだから!」

次の瞬間…

006

二人はユジンの奏でるバイオリンの音色に言葉を失っていた。

ユジンから返されたバイオリンを、イラクは茫然と見つめた。
このバイオリンがこんな音を出せるとは…。

イラク「…。」
ユジン「…。」

イラクはたまらず部屋を出て行く。

ネイル「…。」
ユジン「言いたいことは分かってるから、黙ってろ」

「……ろくでなしで威張ってても先輩カッコイイーーーー!」突進するネイルを、ユジンは押し戻した。

ユジン「接近禁止、タッチ禁止だ!!!」

+-+-+-+

家に帰ったイラクは夢中で練習した。
それでも、しきりにユジンのバイオリンが頭に浮かんでくる。「消えろ!オレの演奏なんだ!」

007

そっと入って来た父親は、邪魔しないように食事を置き、部屋を出て行く。

イラク(心の声)「親父は本当に…オレが芸術の殿堂に立つなんて信じてるのか?」

扉を締めた父親は、息子の葛藤を感じ取っていた。
彼もまた、扉の外でじっと立ち尽くす。

親父「…。」

+-+-+-+

シュトレーゼマンの行方は未だに分からず、学長は焦っていた。
空港からシュトレーゼマンを乗せた運転手によると、兩水里まで行ったと言うのだ。

学長「どうして兩水里になんか…。韓国の自然が見たかったのかしら」
秘書(電話)「でも、運転手の話だと、人相や服装が写真と違うそうです」

+-+-+-+

「先輩どこですかーー」学内を絶好調で走ってきたネイルは、帽子が転がって来たのに気付き、拾い上げる。「ん?」
「ダンケシェーン、マドモアゼル(ありがとう、お嬢さん)」誰かの声が聴こえてきた。

やって来たのは、シュトレーゼマンだ。
彼は帽子を受け取ると、ネイルの顔をじっと見つめた。

シュトレーゼマン「もしかして… お嬢さんのお父さんはドロボーでスカ?」
ネイル「ええっ?!」
シュトレーゼマン「そうでないなら、ナゼお空の星がその目に輝いているのでショー」
ネイル「(お目目パチパチ)そうですねー。どうしてでしょうねー」
シュトレーゼマン「つまり、ドロボーはお嬢さんですネ」
ネイル「?!」
シュトレーゼマン「今、ワタシの心を奪ったのデスから」
ネイル「あぁ!ごめんなさい!私を逮捕してくださーい!」
シュトレーゼマン「悪いと思うなら、ワタシとお食事してくだサイ」
ネイル「食事?!えっと…よく知らない人とご飯を食べるのはちょっと…」
シュトレーゼマン「あぁ、これはシツレイを」
ネイル「…。」
シュトレーゼマン「幼いころに養子になって以来、初めてやって来た故国で… 毎日一人で食事をしていたから、さびしかったんですネ」

背を向けて歩き出したシュトレーゼマンを、ネイルは思わず呼び止めた。「待ってくださーい」

ネイル「近所に行きつけの場所があるんですけど、一緒にいらっしゃいますか?」

シュトレーゼマンは感激して振り返った。

+-+-+-+

「…。」ユジンは唖然としていた。

「わぁー ジャストタイミングでしたネー!」テーブルに並んだ料理に、ネイルは目を輝かせる。
鼻をくんくんさせるネイルを、シュトレーゼマンは愉しげに眺めた。

シュトレーゼマン「スバラシイ。ワインもありますネ」

「Oh、ワイン♪」ネイルがすかさずワインを取り出す。
「ギャルソン(従業員)、オープナーは?」シュトレーゼマンはユジンを振り返り、そう言った。

ネイル「オープナー プリーズ♪」
ユジン「ギャルソン?」
ネイル「先輩も一緒に食べましょ」
ユジン「オレのメシだ!」
ネイル「…。」
シュトレーゼマン「Oh,Baby? ここレストランではないのでスカ?」

「あん♪ うちのオラバンの家ですぅ♪」ネイルはユジンの腕を取る。

ユジン「お前みたいなトンセン(妹)はいない!」
シュトレーゼマン「(ジロリ)」
ユジン「オジサン、誰です?」
ネイル「オラバン、この御方はね…えっと…」
シュトレーゼマン「(ジロジロ)」
ネイル「あのー、どなたですか?」

008

「えーと、ワタシの名前は」シュトレーゼマンは咄嗟にテーブルの料理に視線を落とす。
目に入ったのは牛乳だ。

シュトレーゼマン「ミルヒ…ホルスタイン」
ネイル「あぁ、ミルヒ!先輩、この方はミルヒです!」
ユジン「ミルヒ・ホルスタイン?ミルク?牛?」
ミルヒ「ドイツ語わかるのか
ユジン「分かりますよ。オジサン誰なんです?」

+-+-+-+

学長のミナは友人とカフェにいた。

学長「息子の学校の前にカフェを開くなんて。息子の立場も考えなさいよ」

そう。この友人ソニョンはユジンの母親だ。
ソニョンをからかっていたミナは、店に入って来たト教授をみて、急にしおらしくなる。

ソニョン「あんた、相変わらず面の皮が厚いのね」
ミナ「あなたもそうでしょ。NYの財団の理事長だって写真が載るたび、鳥肌が立つわ」
ソニョン「全部あんたから学んだのよ」

二人が楽しそうに笑う様子を、ト教授がちらりと振り返る。

ミナ「仕事はどう?NYの支社は閉めるの?」
ソニョン「家業を閉められないわよ。少しずつね」
ミナ「どうするつもりなのよ?」
ソニョン「自分に心配しなさい。シュトレーゼマンが見つからないんですって?シュトレーゼマンがいないと困るじゃない」

#大好きな女優さんなんだけど、まさか先輩の母親がこの人とは。ワケありな人生歩んでる感は満点(笑

+-+-+-+

ミルヒはユジンの部屋の奥で、ある写真を目にしていた。

ミルヒ「…。」

幼いユジンとヴィエラの写真だ。

ミルヒ「この人は知り合いですか?」

「ボクの指揮の師匠です」ミルヒが手に取った写真を、ユジンは思わず引ったくるように奪う。

ミルヒ「師匠?ハジメから気に触ると思ったら、2番めにキライな人間の弟子だったか」
ユジン「何ですって?」

ミルヒはバッグを手に取った。「ベイビー、彼がイヤがっているから、もう出まショウ」

ミルヒ「ワタシが止まっているホテルへ行って、最高級のロブスターでおもてなししマス」
ネイル「ロブスター?♥」

ネイルが顔を輝かせる。

ユジン「ホテルだ?!」
ミルヒ「食事のあとはワタシの部屋を見せてあげマス」
ユジン「(絶句)」
ミルヒ「Oh…Night、夜景がとてもキレイなお部屋です」
ユジン「そんなとこ行くわけないでしょう!
ネイル「はぁ、私ロブスター食べたことないんです♪」
ユジン「おい、ソルレバル、こんな怪しいジーサンに付いて行くもんじゃない」
ミルヒ「(ジロリ)」
ネイル「先輩、もっと世間を素直に見たほうがイイですよ」
ユジン「何?」
ネイル「何でもすぐ疑うのは良くないデス」

ネイルは自分のバッグを掴み、ミルヒと共に玄関へと向かった。

ユジン「待て!!!」

009
ネイル「何ですか?早く行かなきゃ」
ユジン「ソルレバル」
ネイル「私、ロブスター食べるんですから。止めないでください」
ユジン「今夜うちに泊まってもいいぞ」

「!」ネイルは吸い寄せられるようにユジンへと戻る。

ミルヒ「Oh, Baby, ペントハウスを借りてあげまショウ」
ネイル「Oh! ペントハウス?オーマイゴット!(ふらふら)」
ユジン「オレのベッドで!」
ネイル「ベッドで?!(ふらふら)」
ミルヒ「Baby, ワタシのベッドはウォーターベッドですヨ」
ネイル「Oh, ウォーターベッド!(ふらふら)」
ユジン「腕枕付きだ!!!」
ネイル「腕枕?!」

抱きついてきたネイルに、ユジンは勝ち誇った笑みをみせる。
かくしてミルヒは一人追い出された。

ミルヒ「若いガキが… ナマイキですネ」

+-+-+-+

ベッドルームへ入ったユジンはぎょっとして立ち止まった。
すっかりパジャマに着替えたネイルが、ベッドの上で待っていたのだ。

ネイル「先輩は右、私は左。さぁどうぞ♥」
ユジン「なにがどうぞだ!くだらん!」

ユジンはネイルをベッドから引きずり下ろす。

ユジン「お前一人じゃ飽き足らずに、怪しいジジイまで連れ込みやがって!」
ネイル「イヤです!!!腕枕してあげるって言ったじゃないですかーー」
ユジン「そんなもの信じたのか!」

ネイルはシーツごと外へ放り出される。

ネイル「それなら腕枕は諦めますからー!」
ユジン「失せろ!」

ネイルの前で無情にドアは閉まった。

+-+-+-+

案の定長くなったので、一旦区切りマス

あんまりオラバンオラバン言うので、大方「先輩」にしちゃいました。

迷った末に일락(峰くん)の表記はイラクにしたけど、考えてみたら락=rock かなー。困ったなー

 - のだめカンタービレ(韓国版) ,