ホテル・デルーナ8話あらすじ&日本語訳~後編
IU(イ・ジウン)、ヨ・ジング主演のtvNドラマ『ホテル・デル・ルナ(호텔 델루나 ホテル・デルナ/ホテル・デルーナ)』8話後半のあらすじを、セリフの日本語訳もまじえて紹介していきます。
マンウォルの計略
ミラの同僚宅の幽霊騒ぎは無事解決となった。
お礼に食事をしていくよう言われ、一人で恐縮しながら待っていたチャンソンは、気になることを耳にする。
ミラの同僚がマンウォルからホテルに招待されたというのだ。
チャンソン「ひょっとしてその招待状、ミラも受け取っていましたか?」
+-+-+-+
「こんなところにホテルがあったの?」さっそくミラはデル・ルナを訪れた。
ミラ「チャンソンのホテル、超ステキ!」
彼女がまっすぐ通されたのは、ホテル内の遊園地だ。
一人で中へ進んでいくと、マンウォルが待っていた。
ミラに気づくと、マンウォルは冷たい表情でゆっくりと向き直り、それからようやく口角を上げた。
「いらっしゃいませ。デル・ルナへのご訪問を歓迎します」
ミラ「招待してくださってありがとうございます」
マンウォル「こちらこそ。どうしても… あなたとこのまますれ違って終わるわけにはいかなくて」
「本当にステキなホテルですね」ミラはマンウォルの妙な気迫に押され、戸惑ってホテルを褒める。
ミラ「でも、どうして誰もいないんですか?」
マンウォル「誰もいないのではなく、あなたに見えていないんです」
「それが原因で」マンウォルの視線が指したのは、ミラが手首につけているブレスレットだ。
ミラ「これですか?」
マンウォル「そのせいで見えないんです。さっきもあなたには何も聞こえなかったでしょう?」
同僚宅の2階から妙な音楽が流れてきたとき、ミラだけはそれが聞こえなかったのだ。
ミラ「これを外せば、もっと別のものが見えるんですか?」
マンウォルは小さく肩をすくめ、微笑んでみせると、手を差し出す。「私に預けてごらんなさい」
ミラが素直にブレスレットを渡すと、それはマンウォルの手の中でキラキラ輝く粒子となり、消えていった。
次の瞬間…
ミラの周りがパッとにぎやかになる。
ジャグラーにダンサーにピエロたち。
華やかな彼らにミラは顔を輝かせた。
マンウォル「どう?気に入った…?」
「えぇ。私、遊園地大好きなんです」ミラは半ば上の空でそう答えた。
マンウォル「だろうと思ったわ。幸せそうに見えたから」
そう言って、マンウォルは写真をそっと差し出す。
ミラが大切にしていた子どもの頃の写真だった。
ミラ「これ見つかったのね…。ありがとうございます。子どもの頃、家族と遊園地に行ったときに撮ったんです」
「えぇ」マンウォルはミラの肩を抱き、反対側へ向かせた。「あの日のあなた、あそこにいるわ」
ミラ「両親と妹です。私、幸せでした」
マンウォル「私… あの幸せなあなたが大嫌い」
ミラ「…。」
マンウォル「だから、とっても不幸な子を作り上げて、あなたに贈るわ」
マンウォルが笑みを浮かべると、綺羅びやかな照明が一斉に消え、大勢いた人たちが消えた。「!」
ミラの前には、子どもの頃の彼女だけがポツンと立ち尽くしている。
マンウォルはゆっくりと幼いミラに近づき、耳元で囁いた。「あなたに幸せな家族なんていないの」
マンウォル「母親はずっとあなたに言い続けたわ。お前みたいな子を生むんじゃなかった、後悔してるってね」
子ミラ「…。」
マンウォル「父親はあなたを見れば怒ってばかり。“お前のせいで何一つうまくいかない、この疫病神が”。小憎らしい妹が生まれてからは、両親は妹ばかり可愛がったわ」
「!」ミラの顔がみるみるうちに凍りついていく。
マンウォル「ほら、遊園地へ行った日、家族はあなた一人だけ捨てて、帰ってしまったじゃない。あぁ… 人生で一番不幸な日だったわね」
子ミラ「お母さん… お父さん… 私を捨てないで」
幸せだったはずの遊園地の記憶が、ガラガラと崩れていく。
マンウォルは幼いミラの背後に周り、呆然と立っているミラを指した。「さぁ、行きなさい」
マンウォル「あの女の毎日毎日を“生まれるべきじゃなかった”って不幸で一杯にするのよ」
幼いミラは一歩、また一歩とミラへ近づき、両手を伸ばした。
ミラ「!!!」
そこへ、突然入り口の大きな扉が開き、誰かが飛び込んでくる。
チャンソンだ。
彼に気づき、立ち去ろうとしたマンウォルの腕を、チャンソンは掴んだ。
マンウォル「ありがとね、ク・チャンソン。出会えたのも、いい方法を見つけたのも、あんたのおかげよ」
チャンソン「…。」
「少しは気が晴れたわ」マンウォルが遊園地の写真を出してみせる。
チャンソン「やめるんです!」
マンウォル「手遅れよ。これはね、さっきの老女が作り出した可愛い想念なんかとは比べ物にならない。私が作ったんだから。あれは“呪い”よ」
幼いミラの伸ばした手に引き寄せられるように、ミラが震える手を差し出す。
チャンソン「やめるんです!」
マンウォル「ひどいと思う?それなら逃げなさい。解放してあげる」
チャンソン「逃げません」
マンウォル「!」
チャンソン「僕を守ってください」
マンウォル「?」
そう言ってマンウォルから手を離すと、チャンソンはまっすぐミラへと向かう。
ミラへと伸ばしていた幼いミラの腕を、そっと下げさせると、優しく抱きしめたのだ。
マンウォル「ク・チャンソン!放しなさい!」
チャンソンの腕の中で、不幸で満たされた幼いミラは塵となり、消えていった。
彼女に植えつけられていた真っ赤な怨念が、チャンソンの胸に吸い込まれる。
「怖くないの?」「あなたがいるじゃないですか」チャンソンの言葉がマンウォルの胸の中に蘇る。
チャンソンは毒に侵されたようにその場にうずくまると… やがてバタリと力尽きた。
【あなたが何をしようと、これだけは忘れないでください。ここがあなたにとって監獄であろうと囲いであろうと… 僕が一緒にいますから…】
※子ミラは、ミラを不幸にするために、マンウォルが呪いを込めて作った“呪いの人形”だったわけですが、チャンソンが代わりに呪いを吸収して、倒れてしまったわけですね。
+-+-+-+
ミラが気がつくと、タクシーの後部座席にいた。
いつの間にか気を失っていたのだ。
「酔っているから、お送りするようにと社長が」前の座席でユナが言う。
ミラ「私が…酔った?」
ユナ「はい。勤め先はミョンリョン洞ですよね」
タクシーがデル・ルナの前を出発した。
+-+-+-+
チャンソンが社長室のソファで眠っている。
その隣で、マンウォルはミラの思い出の写真を燃やした。
マンウォル「もう大丈夫よ。あんたのせいで全部台無しになったわ」
裏切り
マンウォルはチョンミョンと並んで座り、今夜も月光に輝く水面を眺めていた。「一緒に見る風景はこれが最後よ」
マンウォル「私たち、ここを離れるわ」
チョンミョン「移民たちの反乱に加わるつもりなのか?」
マンウォル「滅びた国を建て直すそうよ。ここで盗みを繰り返して捕まって死ぬよりはマシでしょ」
チョンミョン「城へ来い。お前のことは保護してやれる」
マンウォル「仲間を捨てて、俺のところへ来いって?」
「行けないわ」マンウォルは立ち上がった。
チョンミョン「それなら俺がお前のところに」
マンウォル「!」
チョンミョンも立ち上がり、まっすぐ彼女に向き合った。「君が懇願するなら、俺だって命をかけてみるさ」
マンウォル「…やめておきなさい」
チョンミョン「…。」
マンウォル「一緒にいられる方法は… ないわ」
「そうだな」チョンミョンは力なく同意した。
チョンミョン「もうここに来ることもなさそうだ」
「いい飲み友だちがいないと、寂しくなるな…」満月が刻印された酒瓶を手に、チョンミョンは背を向けた。
マンウォル「…。」
+-+-+-+
出発の日。
マンウォルはいつもの木をじっと見上げていた。
満月の酒瓶が、枝にぶら下がっていたのだ。
ヨヌ「みんな用意出来たぞ。いつ出発しようか」
マンウォル「あの人が来てる!」
ヨヌ「?」
マンウォル「きっとあそこにいるわ」
「最後に一度だけ会ってくる」居ても立ってもいられず、駆け出そうとしたマンウォルを、ヨヌが咄嗟に掴まえた。「ウォル、戻ってくるよな?」
マンウォル「もちろん。戻ってくるわ」
手を放し、ヨヌは優しく笑った。「戻ってこなくてもいいさ。俺は大丈夫だから、お前のやりたいようにやれよ」
マンウォル「戻ってくるから。一目会うだけよ」
「待っていて」そう念を押し、マンウォルは駆け出した。
ヨヌ「…。」
+-+-+-+
期待に息を弾ませ、マンウォルはいつもの水辺へたどり着いた。
ふと人の気配がして振り返ると…
兵士が彼女を取り囲み、一斉に剣を向ける。
マンウォル「!!!」
奥から姿をあらわしたのは、ソンア姫だ。
罠だったのだ!
ソンア姫「お前のせいで仲間は全員死ぬわ」
マンウォル「!!!」
その頃、マンウォルのいない盗賊団は軍の襲撃を受けていた。
応戦するヨヌに飛びかかったのは…
チョンミョンだ。
ヨヌは一太刀で剣を弾き飛ばされ、刀先を突きつけられた。
チョンミョン「…。」
ヨヌ「…。」
+-+-+-+
マンウォルの牢の前に、チョンミョンがやって来た。「おかげでデカい手柄を立てられた」
マンウォルを見下ろす彼の目は、とても静かだ。
チョンミョン「あの場所を知ったのも、時間を稼げたのも、全てお前のおかげだ。だから、命は助けてやる」
マンウォル「殺してやる!必ずやお前を…殺す!」
「俺を殺すには、とりあえず生きていないとな」チョンミョンは淡々と言うと、あっさり背を向けた。
+-+-+-+
捕まった仲間たちは、マンウォルの前で処刑された。
ヨヌも…例外ではない。
彼はいつものように優しく彼女に笑ってみせ… 死んでいった。
+-+-+-+
チョンミョンの手柄を後押ししたとしてマンウォルは釈放された。
そして、姫の結婚式の夜、寝室へ忍び込み、姫を斬り殺したのだ。
死んだソンア姫の代わりに真っ赤な花嫁衣装を纏い、マンウォルはじっと新郎を待った。
必ずやお前を…殺してやる!
足音が近づいてきて、幕の向こうで止まる。
マンウォル「!」
真っ白な絹の寝間着を身につけ、入ってきたのはチョンミョンだ。
マンウォルが赤い衣装を脱ぎ捨て、顔を露わにすると、チョンミョンは静かに彼女を見下ろした。「…。」
今だ!
マンウォルは剣を握り、立ち上がった!
~~~~~~~~
「!」チャンソンはハッとして起き上がった。
自宅のベッドの上だ。
「チャンソン」ちょうどサンチェスが入ってきた。「大丈夫か?」
チャンソン「どうなってるんだ?」
サンチェス「マンウォルが連れて来て、何日も眠ったままだったんだ」
チャンソン「何日もって、どういうことだよ?」
サンチェス「3日間ずっと眠ってた」
チャンソンはベッド脇に大きな絵が置かれているのに気がついた。
売ってくるようにとマンウォルに言われていた、白頭山の絵だ。「どうしてここに?」
サンチェス「マンウォルが置いてった」
チャンソン「これを…?」
サンチェス「邪魔だから置いてくってさ」
チャンソン「…。」
サンチェス「ところでマンウォル、どこか行くのか?」
+-+-+-+
チャンソンは無我夢中で走り、デル・ルナへ向かった。
たどり着いたそこには、デル・ルナの看板はなく、中は嘘のようにもぬけの殻だ。
調度品もなければ、誰かの気配もない。
チャンソン「消えた…」
+-+-+-+
この場所がマンウォルにとって監獄だろうと囲いだろうと、彼女にとってそこは地獄だ。
たとえ一緒に見たとしても、地獄は決してステキな場所ではない。
【バイバイ、ク・チャンソン…】
彼女はこうしてチャンソンの前から姿を消したのだ。
+-+-+-+
ここでエンディングです。
「なにやってんだよーっ」な回でございました。
気が重くて訳すのに何日も掛かった^^;;;
最後に、3日の眠りから覚めて少し憔悴したチャンソンが、非常にセクシーだったことをご報告いたします。
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