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師任堂(サイムダン)、色の日記27話あらすじ&日本語訳~後編

   

イ・ヨンエ、ソン・スンホン出演『師任堂(サイムダン)、色の日記』27話、後半に進みます。

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翌朝、キョムを流刑地へ護送する行列が義禁府を出発した。

サイムダンの説得により決起したキョム救出隊は、イム・コッチョンを先頭に、キョムたちが通るであろう山の中へ先回りをする。
と、ふいに3人の武官が向こうから現れ、彼らは慌てて武器を構えた。

イム・コッチョン「おい!兄者はどこにいらっしゃるのだ!」

「この道ではありません」武官が答える。

皆「???」

「待てよ?」キョムの従弟フが気づいた。「世子邸下の…?」
彼らの前に現れたのは、世子お付きの武官だったのだ。

世子お付きの武官「宜城君に会うなら喬桐の方へ」
皆「???」

それだけ言って、武官たちはくるりと背を向け、立ち去った。

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人のいなくなった楊柳紙所で、サイムダンは一人落ち着かずにいた。
「お嬢さん!」そこへ走ってきたのがマンドクだ。
彼は男を一人連れていた。

マンドク「この人の後について祖江浦までいらっしゃれば、船が待っています。それに乗ってしばらく行くと、明国へ行く大きな舟にお乗りになれますよ」
サイムダン「苦労を掛けたわね。有り難いわ」
マンドク「有り難いだなんて。叩き殺されていたって何も言えない私が、こんなことでもお役に立ててどんなに嬉しいか。遅くなります。お急ぎください」

「こちらです」案内人が先に立って歩き出した。

マンドク「お嬢さん」
サイムダン「?」
マンドク「宜城君様にどうぞお元気でと…ぜひお伝えくださいませ」

サイムダンは力強く頷いた。

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山道をゆっくり進んでいた内禁衛将が馬を止めた。「少し休んでいく」
彼は馬を宜城君の檻のところまで戻らせる。

内禁衛将「先が長いのでしばらく休んではいかがかと」

「…。」前をじっと見据えたまま、キョムは静かに口を開いた。「耽羅へ向かう道は通り過ぎたようだが」

内禁衛将「!」
キョム「道中で殺せと命令が…?」

「…。」内禁衛将がキョムから視線を外し、周囲を慎重に窺った。「…?」
そこへ…
「兄者ーーー!!!」勢いよく突進して来たのがイム・コッチョン率いるキョム救出隊だ。
「何者だ!」官軍が刀を抜き、内禁衛将とキョムの檻の前に立ち塞がった。

コッチョン「兄者!俺たちが来ました!!!」
楊柳紙所の大将「宜城君様!私らも来ました!!!」
従弟フ「従兄!!!」

内禁衛将が静かに刀を抜くと、皆に一層緊張が走る。「!!!」

高く掲げた刀を、内禁衛将が一気に振り下ろした。
と同時に、官軍たちと救出隊がキョトンとして彼を見る。「?」

内禁衛将の刀が、キョムの檻の鍵を壊したのだ。

#わーーーん内禁衛将様!
いつかやってくれると思ってたよ。・゚・(ノД`)・゚・。

内禁衛将「刀を下ろせ」
官軍「内禁衛将殿?!」
内禁衛将「刀を下ろせと言ったのだ!」

官軍が戸惑いながら、救出隊に向けていた刀を引く。

内禁衛将「(救出隊に)何をしているのです?」

戸惑いながらも、救出隊は難なくキョムを檻から助け出した。
「早く行きましょう!」先を急ごうとする彼らに、キョムが叫ぶ。「待て!」

キョム「内禁衛将…」

#細かいけど、連れ出されるキョムを目で追っている内禁衛将のショットが入るのがたまらんよ。。。
こういうのが入るだけで伝わる思いが全然違う。

馬を下りてキョムに歩み寄ると、内禁衛将はキョムの腕の縄を解き、視線を和らげた。

内禁衛将「(官軍に)よいか。今日、お前たちは何も見ていない。いかなる記憶も思い出してはならぬ。宜城君は…死んではならぬ御方だ」

「…。」言葉の出ないキョムを前に、内禁衛将はその場に跪いた。

内禁衛将「この先、どうかご無事で」

身寄りがなく物乞い生活をしていた、まだほんの子どもだったキョムを探し出したあのときから、内禁衛将はずっと彼を見守ってきた。
酒に溺れる彼の人生を案じ、中宗との関係が危うくなることを案じ、キョムとサイムダンを案じてきた人だ。

キョム「…。」

「兄者、急がないと」コッチョンが促す。
仲間たちに腕を引かれ、キョムは内禁衛将を振り返ったまま、遠ざかっていく。
跪いたまま静かにそれを見届けると、内禁衛将は腰の刀を抜き、ひと思いに自分の腹を貫いた。

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暗い部屋で、中宗は一人静かに目を閉じていた。
「殿下」尚膳がやってくる。

尚膳「耽羅へ流刑に向かった罪人イ・ギョムについての報告が入りました」
中宗「申せ」
尚膳「護送車の車輪が外れ、崖から墜落したそうです。付近で内禁衛将の遺体が発見されました」

「…。」中宗がゆっくりと目を開く。「罪人イ・ギョムはどうなった?」

尚膳「深く険しい山中では墜落した形跡を探すことさえ困難で、罪人の遺体は発見できませんでした」
中宗「遺体は当然見つからぬであろう」
尚膳「?」
中宗「探すでない。いずれにせよ余の元を去った人なのだ」
尚膳「…。」

中宗は再び目を閉じた。「…。」

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川の畔に小さな船がとまっていた。
その手前に、風呂敷包みを大切に抱え、サイムダンが待っている。
そこへ、救出隊の面々が駆けつけた。「お嬢さん」

彼らが道を空けるとと、後ろにいたキョムの姿が現れた。「!」

サイムダン「生きておられて… よろしうございました」

「サイムダン」キョムが彼女の手を取る。「一緒に行こう」
彼を見つめたまま、サイムダンは静かに首を横に振った。「お行きください」

キョム「…。」
サイムダン「海に出れば、もっと大きな船が待っています。それに乗れば、宜城君は朝鮮に存在しない人になります」
キョム「…。」
サイムダン「どうか、より大きな世界で自由に生きてくださいませ」

淡々と話すサイムダンに、キョムは遣る瀬ない溜息をついた。
彼女の心が揺るがないことは、誰よりもわかる。

キョムは胸元から比翼鳥の印を取り出すと、首から外し、それを彼女の首に掛けた。

キョム「比翼鳥の印です」

丁寧に彫られた印面を、サイムダンはそっと指で撫でる。

キョム「作ってあげるのに20年も掛かってしまうとは」
サイムダン「ようやくツガイになったのですね」

頷くキョムが涙を堪え、唇をぎゅっと噛みしめる。
ふっと溜息をついた瞬間、溢れた涙が目尻から流れ落ちた。

キョム「あなたに出会って、本当に幸せでした」

サイムダンは温かい目で彼を見つめ返す。「これからもっと幸せになってくださいませ」
ただ頷くことしかできず、キョムは俯いた。

#何てたくましいセリフなんだろう…。ひたすら先を見てるㅠㅠㅠ

「お急ぎください」後ろで船頭の声がする。「時間になりました」
時間がない。悲しみが迫り、キョムが涙に鼻をすすった。
サイムダンが風呂敷包みを差し出す。「さぁ、行って」

キョム「…。」
サイムダン「早く」
キョム「…。」
サイムダン「早く行かなければ」
キョム「…。」

行くに行けず悲しい目で見つめるキョムを前に、サイムダンはさっと顔をそむけた。「早く行ってください」

キョムが乗り込むと、船頭がゆっくりと船を漕ぎ出す。
だんだん小さくなっていくサイムダンの姿を、キョムはその目に焼き付けるようにじっと見つめた。

船が遠ざかっていくのを感じながら、サイムダンの目から堪えていた涙がとめどなく溢れる。
たまらず振り返ると、彼女はキョムの姿がどんどん小さくなるのを、じっと見届けた。

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すでに彼女の姿は見えなくなっていた。
ゆっくりと進む船の中で腰を下ろし、キョムは渡された風呂敷包みを開いてみる。
衣服と共に、セキチクの刺繍が施された小さな袋、そして、一番上に手紙が添えてあった。

『振り返ってみれば、あなたのために何一つお作りしたことがありませんでした。
あなたのご無事を祈りながら、作ってみました。
どこにおられても、あなたの感じたことを私も感じ、あなたの見るものを私も見ます。
ですから、体が離れても決して別れではないと、確信しています。
永遠に…』

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キョムはそれから明へ渡り、砂嵐の厳しいシルクロードを通って天竺へたどり着いた。
そして、天竺から西洋船に乗り、さらに西を目指したのだ。

船の中で彼が広げたのは、荷物の中にあった寿進坊日記と、その中に挟んであったハングル詩だ。

イタリアに上陸すると、彼はのどかな農村地トスカーナへと到着した。

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楊柳集落は以前のように人々の笑顔で溢れていた。
比翼堂の芸術家たちは楊柳学堂で絵や文字を教え、高麗紙を求めてひっきりなしに客が訪れる。
食事をする人々は実に楽しそうで、鍛冶場には汗水たらして仕事に没頭する長男ソンの頼もしい姿もあった。

彼らの姿を見て回り、サイムダンは晴れ渡った空を見上げる。

サイムダン(心の声)「宜城君… お元気でいらっしゃるでしょうか」

この空は彼のいる遠い国と繋がっている。
彼女は目を閉じ、胸いっぱいに空気を吸い込んだ。

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トスカーナの城に身を落ち着けたキョムは、そこで絵を描いて暮らしていた。

キョム(心の声)「サイムダン… こうして見知らぬ土地で目覚め、私はそれでもまたあなたのことを夢見ています。あなたのいないこの地でも、私の生活は続くものですね…。私がどこにいようといつでも一緒にいる…あなたはそう言ったから、目の前に広がる輝ける光景を、あなたも見ていると信じています」

キョム(心の声)「ここでもあなたのように華やかな花が咲き、あなたのようにそよそよと風が吹きます。じっとその風に耳を傾けてみると、あなたの声が聴こえるような気がするのです…」

キョム(心の声)「ここへ来てはっきりわかりました。今、私のそばに… 私の胸の中に息づいているあなた…。まさにそれは大地の作品であると」

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キョムは石版を前に熱心に彫刻をしていた。
柱の上に立派な屋根をかぶった建物が一つ。

「月が昼寝から目覚めたようです」彫り進めながらサイムダンの言葉が蘇る。

一日中眠ってばかりで、夜遅くに起きてくる月を、太陽は憎らしく思っている。
そう彼女は話した。
月はいつだって太陽のそばにいるというのに…。

金剛山でサイムダンが思いを込めて小さな庵を描いたように、キョムもまた遠く離れた彼女を思い、石版を彫り進めた。

キョム(心の声)「甘い白昼夢のように私たちの時間は流れていったけれど、私はまだ夢から醒めることができません。だから、ここに刻んでおこうと…」

「Siesta de Luna…」キョムは石版の建物の下にそう刻んだ。

キョム(心の声)「あなたと私の夢はここに永遠に残るでしょう」

#あああ!!!それがここに繋がるのかーーー!!!って大興奮。
最初に出て来たっきりで、ぼんやりしてると「Siesta de Luna」のことなんて忘れてそうですけど。

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漢陽は今日もよく晴れていた。
自宅の縁側に腰を下ろし、サイムダンは今日も空を見上げる。

サイムダン「…。」

雲はゆっくりと流れ、心地よい風が優しく葉を揺らす。
可憐な花があちらこちらに咲き、蜜を求めて昆虫が集まっていた。

立ち上がろうとして、サイムダンはふいに胸を押さえた。「あっ!」
苦しみにその美しい顔を歪め、彼女は思わずその場に座り込んだ。

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ここでエンディングです。

はぁ、泣いた泣いた。
永遠に会えないとわかっていながら毅然と送り出すサイムダンと、辛くてもちゃんとそれを理解し尊重するキョム。
何て深い愛なんでしょう。・゚・(ノД`)・゚・。
二人の愛をちゃんと感じて泣ける自分が、ちょっと嬉しいです^^

「策があるから」とサイムダンが招集した救出隊は、内禁衛将の取り計らいがなければ全滅したでしょうし、世子に託した『中宗の詩』を内禁衛将の前で燃やしたこととの繋がりがちょっとぼんやりしていて勿体ないですね。

そして、サイムダンは比翼堂の連中のことは救出隊に誘わなかったんですね^^;

 - サイムダン(師任堂)色の日記

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