師任堂(サイムダン)、色の日記27話あらすじ&日本語訳~前編
イ・ヨンエ、ソン・スンホン主演SBSドラマ『師任堂(サイムダン)、色の日記』27話をセリフの翻訳を交えながら詳しくご紹介していきます。
注:韓国で放送されているものは、日本版(完全版)と編集が違います。私の翻訳は韓国版です。
時空を越えて、とうとうジユンとサイムダンは出会うこととなった。
寿進坊日記を記したサイムダンの深い悲しみが、二人を引き寄せたのだ。
これまで調べてきたことが、ジユンの中で一つの線に繋がる。
イタリアで見つけた美人画のモデルはサイムダンで、それを描いたのはイタリアへ渡ったキョムだ!
サイムダン「未来からいらしたのが事実なら…」
ジユン「?」
サイムダン「宜城君は…宜城君はどうなるのですか。あの人は私のせいで…」
底知れぬ悲しみが襲い、サイムダンはその場にうずくまった。
「大丈夫ですか」ジユンが彼女に手を差し伸べる。
サイムダン「宜城君をこのまま死なせることはできません。それなのに、到底あの人を助ける方法が見つからないのです」
ジユン「あなたには出来ます。今から私の話すことを信じてください。そうすれば宜城君を助けられます」
サイムダン「…?」
ジユン「宜城君を朝鮮から脱出させてください。明国に密航させて、シルクロードを通ってイタリアまで行けるように」
想像もつかない話に、サイムダンは絶望して首を横に振った。「女である私にどうやって…」
ジユン「出来ます!あなたは自分が思っているよりずっと偉大な女性なんですから」
サイムダン「…。」
ジユン「ご自分を信じるのです。宜城君をイタリアに送ることさえ出来れば、彼はそこで神秘的な東洋の画家として何百年も後まで人々の記憶に残るのです。宜城君が無事イタリアにたどり着くためには、壬寅5月までに天竺のゴアというところへ行き着かなければなりません。そこで、方濟各という西洋の宣教師に会わなければ。そうすれば宜城君は天寿を全うできるのです」
サイムダン「方濟各、天竺のゴア…?到底無理です。彼は今牢獄の中。それなのにどうやって脱出させるというのですか」
そう言えば…
義禁府の前での中宗の言葉を、サイムダンは思い返した。
5月15日に耽羅に流刑に処すと…。
サイムダン「5月15日、耽羅へ流刑!」
「そう!」ジユンが大きく頷いた。「それが最後の機会です」
サイムダン「私は本当に…宜城君を助け出せるでしょうか」
ジユン「全ての力を集めるのです」
サイムダン「…。」
力強い目でサイムダンを見つめると、ジユンはふと思いついて手首のブレスレットを外した。
息子のウンスが母を元気づけようと買ってくれた、セキチクのブレスレットだ。
それを迷わずサイムダンの右手の手首にはめてやる。
サイムダン「これは?」
ジユン「宜城君を助けてほしいというあなたの切実な祈り。それが私たちをこうして会わせてくれたのです」
不安げに見つめるサイムダンに、ジユンは温かく微笑みかけた。
そのとき…「ジユン!」「先輩!」「目を覚まして!」ヘジョンとサンヒョンの呼ぶ声が聴こえる。
看護師たちが慌ただしく話す声がそれに混じった。
ジユン「時間がありません。忘れないで。壬寅5月、天竺のゴア、そして方濟各!イタリアです!」
医師が心臓マッサージを始めた。
#これ、医師はダメ亭主イ・ウォンスですね?わかりにくいって^^;
ジユン「忘れないでくださいね。絶対に!」
サイムダン「…!」
まっすぐにサイムダンを見つめたまま、ジユンはゆっくりと後ずさりをした。
もう戻る時だ。
ジユン(心の声)「私を信じて!忘れないで!自分を信じるのですよ!あなたには出来ます」
~~~~過去編~~~~
「はっ!」気を失って床に倒れていたようだ。
サイムダンはビクリとして意識を取り戻した。
もう外には日が差している。
そこは昨夜自分がいた、楊柳紙所の自室の中だった。
サイムダン「?」
右手首にはめてあるのは…
セキチクの腕輪!
手に握りしめていた物を広げてみると、それはあの女性から渡された、告別の詩だった。
忘れないで、あなたには出来ます!彼女の声が鮮やかに蘇る。
サイムダン「…夢じゃなかったんだわ!」
イタリア… そうだ!イタリアだ!
サイムダンは急いで大事なことを書き留める。イタリア、天竺、ゴア、方濟各…。
時間がない。彼女は夢中で駆け出した。
+-+-+-+
サイムダンがまず駆け込んだのは自宅の彼女の部屋だ。
小さな座卓を裏返し、底板をはがす。
そこから丁寧に折りたたまれた紙を取り出した。
それは…
中宗が父シン・ミョンファに授けた詩だ。
~~~~現代編~~~~
「何だと?!」報告を受け、ミン教授は思わず声を上げた。
「申し訳ありません」頭を下げているのは、クラブへ乗り込んだ一味のうちの一人だ。
男「突発的な出来事で」
ミン教授「よくもそんな失態を」
男「…。」
ミン教授「当分身を隠していろ。絶対に出てくるな」
男が立ち去ると、ミン教授は受け取った絵筒を開いてみる。
中から出てきたのは、真っ白な紙だけだった。
ミン教授「!!!」
本物はクラブの倉庫の奥。
金庫の中に厳重に閉まってあったのだ。
+-+-+-+
「大丈夫ですよね…」意識の戻らない母を見つめ、息子のウンスが言う。
彼の肩を抱き、義母が頷いた。「お母さんは大丈夫よ。ものすごく強い人だもの」
+-+-+-+
「僕のせいです」病院の廊下で処置を待ちながら、サンヒョンがつぶやいた。
サンヒョン「僕が先輩を追いかけて守らなきゃいけなかったのに」
ヘジョン「誰のせいでもないわよ。突発的なことだったんだから」
サンヒョン「あぁ、ミン教授のヤツ!」
ヘジョン「通報したから、捜査すれば全部明らかになるわ」
そう言いながら、ヘジョンも苛立ちを募らせる。「ミン教授本人がくれば、証拠になったのに!」
サンヒョン「あのチンピラたちを捕まえない以上、ミン教授が指示したって証拠は一つもありません」
ヘジョン「私たちには本物があるじゃない。ギャラリーにあるのが偽物だって証明さえすればいいんだから!」
サンヒョン「今まで見てきたじゃないですか。いくら証拠を揃えて本当のことを言ったって、無力な僕たちの言うことを人は信じません。権力が真実ですから」
ヘジョン「はぁ、どうにかなりそう。私たち、何も出来ることがないなんて」
サンヒョン「…。」
ヘジョン「ねぇ、RADEから連絡ないの?」
サンヒョン「RADEにソ先輩の状況を連絡してあるんですけど、まだ返事がないんです。まぁ表立って動いてはくれないでしょう」
ヘジョン「はぁ…」
サンヒョン「それにしても、ちょっと変じゃなかったですか?
ヘジョン「何が?」
サンヒョン「ソ先輩ですよ。絵筒に金剛山図が入ってないのは知っていたはずなのに、どうしてそれを抱えて駆け出したんでしょう?」
ヘジョン「それは本物から視線を逸らそうとしたんでしょうよ。念のために」
サンヒョン「そうかもしれませんけど…。先輩も見たでしょう?ソ先輩、何かに取り憑かれたような顔してたじゃないですか。美人画が変だって言い始めてから」
ヘジョン「うん、そうだったね」
そこへ、看護師が彼らのところへやって来た。「ソ・ジユンさんの保護者の方ですね」
#過去編のヒャンですね~。ウォンスとヒャンの犬猿コンビで医者と看護師か(笑)
看護師「ソ・ジユンさん、特別個人病棟へ移動する準備をなさってください」
ヘジョン「高いんじゃないんですか?こちらからは頼んでないと思いますけど」
看護師「医務課の方に前払いされたようです。手術費も入院費も全て」
ヘジョン&サンヒョン「え?」
+-+-+-+
「今ICUにいます。まだ意識が戻っていません」秘書からの電話連絡を受けているのは、ギャラリーソンの館長だ。
秘書が話しながら病院のロビーを横切る向こうで、外へ出ていく男性の姿が見える。
どこか見覚えのある、その男性の背中は…?
+-+-+-+
密かに世子に会うと、サイムダンは家から持ち出した『詩』を差し出した。
世子「何ですか?この詩は」
サイムダン「殿下が亡き父に授けられた詩です」
世子「父君が…?」
サイムダン「己卯年の側臣たちに授けられました。でも、この詩は世に出てはならない内容でした。そのために、亡き父も含め、この詩を受け取った臣下は全て殺されたのです」
世子「殿下が本当にそのようなことを?」
サイムダン「多くの人々がこの詩のために死んでいきました。殿下と宜城君、私にまつわる因縁もこの詩から始まっています。世に出てはいけない詩…。最後に残っている模写を世子に捧げます。燃やしてくださいませ」
世子「!」
サイムダン「そして…」
世子「そして?」
サイムダン「宜城君を… 宜城君を救ってくださいませ!」
世子「!」
「宜城君を救ってくださいませ」目を涙で潤ませ、サイムダンは力強く繰り返した。
+-+-+-+
サイムダンは楊柳紙所の人々を集め、さらに誰かが来るのをじっと待っていた。
そこへ大層騒がしい一団がやって来る。
飲んだくれているところを連れて来られた義賊イム・コッチョンだ。
キョムの従弟フと手下が何とか彼の両腕を抱え、ここへ連れ来たのだ。
従弟フ「シン氏婦人、連れて来ましたよ」
コッチョン「俺、酔っ払ったみたいだな。シン氏婦人が目の前に…?」
と言ってコッチョンはつぶらな目を凝らす。「ん?」
従弟フ「ちゃんと見ろってば」
コッチョン「???」
サイムダン「…。」
コッチョン「はっ!!!」
「婦人、こんばんは!!!」コッチョンは深々と頭を下げた。
ぞろぞろとついてきた手下たちもそれに続く。
サイムダン「よくいらっしゃいました」
+-+-+-+
「私らだってそれが出来りゃ、じっとなんかしていませんよ!」話を聞き、イム・コッチョンは悔しさを露わにした。
コッチョン「気持ちの中じゃ牢屋を百回も千回もぶっつぶしてるんです。だけど、兄者が絶対に自分のために何もするなと念を押していらっしゃったから」
サイムダン「…。」
コッチョン「兄者がどうしてそんなことを言ったとお思いですか」
「ひょっとしたら」コッチョンは胸に手をやり、顔を歪める。「ひょっとしたら私らに危害が及ぶんじゃないかって」
「全部わかってるんですよ」そう言って彼らは嘆いた。
サイムダン「泣いてばかりいて現実が変わるのですか。最後までやってみるべきではないのですか?!」
コッチョン「…。」
サイムダン「今みたいにじっとしたまま、いたずらに宜城君を死なせてしまったなら、皆さんも私も宜城君への借りを胸に抱いたまま、一生罪人のように生きていかねばなりません」
皆の嘆く声が一層高くなった。
サイムダン「宜城君を助ける方法があります」
皆「?!」
従弟フ「従兄を助ける方法?」
サイムダンは唇をぎゅっと噛み締め、頷いた。
サイムダン「私たち皆で、最後までやってみましょう!」
皆がまだキョトンとして彼女を見つめる。
サイムダン「やってみましょう!」
従弟フ「(コッチョンたちに)やってみましょう!助ける方法があると言ってるじゃありませんか!従兄のいない人生に、何の意味があるんですか。そうでしょう?!」
「兄貴!」手下たちが先に立ち上がると、コッチョンも立ち上がった。「そうだ!」
コッチョン「やってみよう!しくじったら天国で兄者に謝ればいいんだ」
皆「そうだ!」
コッチョン「もしうまく行けば、俺たちが責任を持って一生兄者に仕えりゃいい!」
皆「そうだそうだ!」
楊柳紙所の人々がたまらず前に躍り出た。「大将!私らも宜城君様を助けに行きましょうよ!」
大将「俺たち皆で行こう!」
皆が拳を高く掲げ、闘志に湧いた。
+-+-+-+
上衣を目深に被り、サイムダンはある邸宅を訪れた。
その邸宅の主は… キョムと親しい明への使臣、ソ・セヤンだ。
#セヤン兄、もう会えないかと思ってたよ~。゚(゚´∀`゚)゚。
セヤン「殿下に逆らってはいかないと、殿下より声高になっては突き放されることになると、はっきり念を押したものを…」
サイムダン「…。」
セヤン「宜城君はひたすら婦人の安否だけを心配していました。彼の気持ちをお察しいただけるなら、このままお帰りください」
サイムダン「旦那様は長らく宜城君と親交の厚い御方ではありませんか。宜城君をおそばに置き、誰よりも大切になさっていました。そんな宜城君をみすみす死なせて、旦那様は一生穏やかに生きていけますか」
セヤン「…。」
サイムダン「旦那様、どうかお力を貸してくださいませ。すでに私には宜城君を取り戻す策があります」
セヤン「?」
サイムダン「宜城君を助けたいという皆の願いを、どうか打ち捨てないでくださいませ」
#このシーンのヨンエさん美しすぎません?!こんな状況でも内容が頭に入ってこない(笑
キョムへの思いとの狭間で、もどかしそうにしていたセヤンが、しきりに泳がせていた視線を止めた。
セヤン「遠接使として、しばらく明国へ行きます。その権限を使い、宜城君が乗るための船を密かに用意しましょう」
~~~~現代編~~~~
薄暗いジユンの病室の扉を、そっと誰かが開いた。
黒い人影が入ってきて、意識のないジユンを見下ろす。
…ジユンの夫、ミンソクだ。
彼は妻の手を握ると、その場にガックリとうなだれた。
ミンソク「ジユン… すまない。本当にごめんな…。君は必ず勝てる。チョン・ミンソクの妻だからじゃない、ソ・ジユンだから」
妻の枕元でひとしきり涙を流し、ミンソクは病室を出た。
と、出先から戻ってきたヘジョンが彼に気づいたのだ!
慌てて逃げようとした彼を、サンヒョンが捕まえた。
ヘジョン「ミンソクさん!私、ヘジョンです!ミンソクさん…!」
ミンソク「…。」
ヘジョン「生きていたんですね!生きてたんだわ!生きていた…!」
ヘジョンとばったり出くわしてしまったのがきっかけとなり、ミンソクはアパートにいる母親とウンスとも再会を果たすこととなった。
+-+-+-+
朝。
ヘジョンとサンヒョンはふたたびジユンの病室へ戻っていた。
サンヒョン「(ジユンに)先輩…。早く起きてください。先輩がこの世で一番愛している人が… 帰ってきましたよ」
~~~~過去編~~~~
サイムダンから託された『世に出てはいけない詩』を、世子は蝋燭の炎に近づけた。
炎が紙に燃え移り、みるみるうちに灰になっていく。
世子の向かいに座り、内禁衛将が静かにそれを見届けた。
内禁衛将「…。」
+-+-+-+
「明日は宜城君を流刑にする日だ」内禁衛将を呼び、中宗が言う。
内禁衛将「さようにございます」
中宗「内禁衛将自ら、流刑地まで護送するように」
内禁衛将「仰せつかりました」
中宗「途中で、方向を喬桐へ変えよ」
内禁衛将「!」
中宗「宜城君は耽羅へ流刑になる道中、脱走を図って死ぬのだ。よいな?」
内禁衛将「自ら出頭し、死を請うた人なのです。いっそのこと賜薬を…」
中宗「うるさい。生かすか死ぬかは余の決めることだ」
「…。」内禁衛将は重苦しく目を閉じた。
中宗「何様のつもりで自らやって来て死を選んだのか」
内禁衛将「…。」
黙って中宗を見つめる内禁衛将の目に、悲しい涙が光った。
+-+-+-+
ここで区切ります。
途中、比翼堂の面々が飲んだくれてるシーンがありましたが、ただ嘆いてるだけで何も生み出さないのでカットしております。
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