テバク17話あらすじ&日本語訳vol.2
チョン・グァンリョル、チェ・ミンス出演SBSドラマ「テバク(대박)」17話、中盤です。
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「え?」トッケビが驚いて声を上げた。「一体イ・インジャに何を言われたんだ?」
チェゴン「取引を持ちかけられたんだろう」
ソリム「自分を助けてくれればお父さんがどこにいるか教えるって」
「みんな何で起きてるんだ?」家の中から現れた彼らに、テギルは首を傾げた。
チェゴン「おい、お前がそんな死にそうな顔してるのに、眠ってなんかいられるか」
ソリム「テギル、私たちはあんたの味方よ。あんたがどんな選択をしたとしても、私たちはそれに従うわ」
#そのうちミュージカル風になりそう
テギル「…。」
チェゴンは懐から何かを取り出すと、テギルの前に置いた。
それは… 『求生佩』。
かつて粛宗が宮廷に刺客事件を仕組んだとき、刺客役として宮廷に忍び込んだチェゴンに下賜したものだ。
「いつかお前の命を救うだろう」と。
チェゴン「殿下から賜ったこの求生佩なら、もしかすればイ・インジャの命も助けられるかもしれん」
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「發兵符を下賜なさったそうですね」淑嬪が言う。
延礽君「はい、母上。私のことが気掛かりですか」
淑嬪「窮地に陥った獣が何をするかわからないから…」
延礽君「心配なさらないでください。何事も起こりはしません」
淑嬪は微笑んでみせたものの、心に渦巻く不安がおさまることはなかった。
力の入った指先がひとりでにチマを握りしめる。「…。」
延礽君「兄上が心配なのですか?」
淑嬪「…。」
延礽君「明日は一緒にご挨拶に伺います」
淑嬪「ありがとう、延礽君」
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淑嬪の部屋を出たところに、サンギルが待っていた。
延礽君「どうなった?」
サンギルはテギルの後をつけ、寺にいるタムソを目にしていた。「山寺に身を寄せていました」
延礽君「…。特に妙な動きはなかったのか」
サンギル「少論は相変わらず机上の空論を続けており、六曹通りの賭場店主は刑が終わるまで勾留されることになるでしょう」
延礽君「ならば、準備は全て終わったな」
延礽君は粛宗から授かった發兵符を取り出す。「いよいよ脚のない馬に乗る時が来たか」
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月が高く昇っていた。
「邸下、おいでですか」延礽君は世子を訪ねた。
世子「どうした?こんな夜更けに」
延礽君「わたくし延礽君、世子に頼みごとがあって参りました」
世子「頼み?」
延礽君「殿下が私に御命をくだされました」
世子「御命?」
延礽君はその証を袖口からそっと差し出した。
世子「發兵符ではないか」
延礽君「殿下が五軍の全権を私にくださり、必ずやイ・インジャを三途の川へ導けと命令なさいました。軍隊を動員してもです」
すでにサンギルをはじめ各方面で同時に作戦が進行していた。
少論の机上の空論団は解散させられ、”脚のない馬”たちが噂を広めて回る。(←見ていてさっぱりわからん作戦ですが:笑)
延礽君「イ・インジャと結託した者もいれば、逆賊鄭氏を知っている者もいるはずです。しかし、イ・インジャの斬首を阻める者は誰もおりません。脚のない馬が千里を駆け、逆賊たちの手足を全て縛りつけましたゆえ」
世子「無礼だ!」
延礽君「…。」
世子「イ・インジャは取り調べもなしに父上の独断で…」
延礽君「イ・インジャは逆賊なのです」
世子「!」
#世子はこういうときいつも目をピクリとさせるよね 笑
延礽君「邸下、イ・インジャが処刑されるまで一歩も動いてはなりません。あやつに手を差し伸べるのは尚更のことです」
世子「お前は… 私を脅しているのか」
延礽君「わたくし延礽君、恐れながら命がけで邸下に忠告しているのでございます」
延礽君は立ち上がった。「邸下」
延礽君「明日、イ・インジャの悪行に必ずや終止符を打ちましょう」
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世子の住処を出て来た延礽君に、内侍府の面々が駆け寄り、跪いた。
サウン、そしてサモも粛宗の元を離れ、そこに加わる。
延礽君は後ろに並んでいる世子付きの武官たちを振り返った。
延礽君「只今よりイ・インジャの処刑が終わるその瞬間まで、全ての軍権はこの延礽君に一任された。よく聞け。命を懸けて世子邸下を守るのだ。よいか」
「はい」世子付きの武官が一斉にその場に跪いた。
延礽君の命令にしたがって、宮廷の門が封鎖される。馬牌所持者以外は一切の出入りが禁じられた。
※馬牌=地方出張の官吏が身分を証明するために携帯する札
サモは漢城府の面々を引き連れ、義禁府へ向かった。
義禁府の警備は彼らが担当し、侵入と脱獄がないよう、万全に守りを固める。
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黒装束に着替え、そっと出掛けようとしたタムソは、ハッとして立ち止まった。「!」
サンギルが武官たちを引き連れ、外で待ち受けていたのだ。
サンギル「そなたを助けたいという延礽君様のお気持ちだ。お戻りを」
サンギルはそう言って書簡を差し出す。
そこにはタムソを案じる彼の思いがしたためられていた。
【心からの頼みだ。どうか関わらないでほしい。私の手でそなたを捕らえさせないでくれ】
タムソ「…。」
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家の中で一人、テギルは粛宗から授かった刀を見つめていた。
そこへ現れたのは延礽君だ。「その刀で何をするつもりだ?」
テギル「…。」
延礽君「どうした?本当にイ・インジャを助け出そうと?」
テギル「だとしたら… 刀を抜くのか?」
延礽君「そうすべきなら」
テギルが振り返る。「兄に刀を向ける弟がいるか」
延礽君「弟の前に立ち塞がる兄は?」
「…。」短い沈黙の後、テギルは刀を卓に置く。「くだらないこと考えるな」
延礽君「どうするつもりだ?」
テギル「…。」
~~~~
「イ・インジャを救おうと救うまいと…」夜道で不躾に話しかけてきた”声”は、その姿を隠したまま、壁の向こうで話し続けた。「もう答えは出ているようだが」
テギル「答えを聞きたいなら、先に顔を見せろ」
声の主… チョン・ヒリャンはそっとその場を離れた。
~~~~
延礽君「逆賊鄭氏に会ったのか?」
テギル「ひょっとして… 俺のことが信じられずに来たのか」
延礽君「死んだとばかり思っていた父親が生きていると聞かされて、揺れない人間などいるわけがない」
テギル「親父は弱い人じゃない」
延礽君「…。」
「どうにかして助けだすさ」テギルは絞りだすように呟いた。
延礽君「母上が会いたがっておられる。明日の朝早く、宮廷へ来てくれ」
テギル「?」
延礽君「挨拶するだけだ」
テギルは小さく頷いた。
「では」延礽君が部屋を出て行くと、テギルは求生佩を手に取り、じっと見つめる。
テギル(心の声)「親父… とにかく生きていてくれ!」
#もう”父ちゃん”は似合わないね。肉親同士、呼び方はそう変わるもんじゃないから、だいぶ迷ったけど。
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夜が更けても淑嬪は床につく気にはなれず、薬を飲みながら時が過ぎるのをじっと待っていた。
ファジン「淑嬪様、お休みになりませんと」
「死ぬものですか」額に汗をにじませ、淑嬪は前を見据える。
淑嬪「イ・インジャ… あの獣が死ぬまでは、先に目を閉じるわけにはいかないわ」
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インジャもまた牢の中で待ち続けた。
何一つ動きのないまま、夜は過ぎていく。
インジャ(心の声)「ペク・テギル、本当にこれがお前の選択なのか…?」
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朝が来た。
#昨夜の物々しさは何だったん
延礽君は約束通りテギルと共に母のもとを訪れる。
「よく来てくれたわ」テギルの顔を見つめ、淑嬪が言った。
テギル「息子として当然のことです」
淑嬪「ありがたいわ…」
テギル「…。」
「ありがたい」淑嬪はもう一度呟いた。
テギル「…。」
「今日ね」淑嬪は延礽君に視線を移す。
淑嬪「イ・インジャ… あやつの最期は」
延礽君「一刻経てば斬首となりましょう」
淑嬪「あやつの死をこの目で見たいけれど… ここで見守ります」
「ふたりとも」淑嬪が言う。「この母の話をよくお聞きなさい」
淑嬪「互いに信じ、助け合うのです。兄弟ではありませんか。この世の誰よりも近い…」
淑嬪は慈愛に満ちた目で息子たちを見つめた。
淑嬪(心の声)「案じることはないわ…。この母が守ってあげるから。死んでも… あなたたち二人を守ってみせる」
「では母上、これで失礼いたします」延礽君の言葉に、淑嬪は穏やかに微笑んだ。
出て行く息子たちを見送る淑嬪の目に滲む涙を… 彼らは知る由もない。
入れ替わりに入ってきたファジンは、彼女の涙を見て表情を和らげた。「淑嬪様」
淑嬪「…?」
ファジン「今日は誠にお美しうございます」
淑嬪「そう見える?」
ファジン「はい、淑嬪様」
#あかん、なんか急に泣けた…
この二人のやり取りはいつも地味だけれど、雑仕女時代からの仲良しで、ファジンがずっと献身的に仕えてきたことを思うと、何とも胸にグッとくるものがあります。
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並んで母の住処を出てくると、兄弟は無言で視線をぶつけあった。
テギル「…。」
延礽君「…。」
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牢の錠が外され、扉が開かれた。
インジャの前に顔を見せたのは延礽君だ。「立たれよ。皆待っている」
インジャ「…。」
町の通りに用意された処刑場にさっそく4人の罪人が並べられた。
処刑人が大剣を手に舞い、集まった人々が遠巻きに彼らを眺める。
見物人の中には、ひっそり現れた鄭氏、チョン・ヒリャンの姿もあった。
インジャ(心の声)「このイ・インジャの運命もここまでということか?朝鮮をひっくり返し、大業を成すこのイ・インジャの運命は… せいぜいここまでなのか…?」
インジャは目線を上げると、前方で見守っているテギルを見た。
テギルがゆっくりと彼に近づいていく。
警備の武官がテギルを制したのを、延礽君が止めた。「下がれ」
延礽君(心の声)「ペク・テギル、私はお前を信じる」
武官が道を空けると、テギルはインジャの目の前まで進んだ。
インジャ(心の声)「ペク・テギル、まだ遅くはない」
「まだ遅くはない」テギルが同じことを口に出す。
インジャ(心の声)「何を躊躇っている?お前にはできる」
テギル「あんたを救えるのは俺しかいない」
インジャ(心の声)「今すぐ私を救うのだ」
テギル「言え、親父はどこだ?」
処刑人の舞が一層激しくなる。
いよいよ時が迫っていた。
#処刑人って絶対これ専門の俳優さんだよね、いつも(笑
手のひらの求生佩を見つめ、テギルは懸命に考えを巡らせた。
インジャ「お前が選ぶ道はたった一つ。お前の父親を救い、私を救うこと」
「…。」テギルは求生佩をぎゅっと握りしめた。
と、顔を上げた彼の目に、向こう側で見物している人々の姿が入ってくる。
その中で、目深に笠をかぶっていた男が、そっと笠を上げ、まっすぐにテギルを見た。
テギル「…!」
… 男はまたさっと笠を戻して顔を隠し、素早くその場を離れた。
テギルが迷っているのは、父の生死をインジャが握っているからだ。
今、テギルが目撃したことは、一体何を示し、何を伝えようとしているのだ…??
#テギル、この状況で慌てず騒がず…えらくなったねぇ
テギルはもう一度インジャを見ると、ニヤリと笑った。
インジャ「!」
どこか高をくくっていたインジャは、テギルの異変に気づき、俄に焦り始める。「まずは私を助けるのだ。そうすれば父親も助かる」
テギル「死ぬ当日まで嘘か。あんたらしいな」
インジャ「何だと!」
テギル「あんたはこれで終わりだ」
インジャ「こいつ!!!」
テギルはインジャにくるりと背を向けた。
後ろへ下がると、さっき『父』を目にした場所をもう一度窺う。
テギル(心の声)「親父…!」
「刑を執行せよ!」延礽君が叫ぶ。
インジャ「よく見るのだ!これが終わりではない。私は決して死なぬ!」
「化けて出ても…必ずや朝鮮を変えてやる」インジャは心の中で叫ぶ。「しっかり目を開けて見ておけ」
いよいよ… 処刑人が彼らの首に狙いを定める。
そのときだ!
「おやめください!!!」遠くから誰かが叫ぶのが聞こえる、
大急ぎで駆け込んできたのは…
宮廷を護る武官だ。
延礽君「何事だ」
武官「延礽君様、淑嬪様がたった今…」
延礽君「!」
テギル「!」
延礽君「母上が…」
武官「淑嬪様が… 逝去されました」
「!!!」処刑場は衝撃に包まれた。
ただ一人、クククと笑いを押し殺すイ・インジャを除いては。
テギル「今すぐ刑を執行しろ!今すぐ!!!」
処刑人がふたたび大剣を振り上げる。
「やめろ!」このときとばかりに少論の大臣チョ・イルスが進み出た。
チョ・イルス「淑嬪様が息を引き取られましたので、今この瞬間から葬儀が終わるまでは禁刑日となり、死刑の執行はできません」
不気味な静けさの中に、インジャの乾いた笑いが響く。
イルスは少論の大臣たちの列に戻ると、隣りにいるキム・イルギョンに囁いた。「しっかりご覧になったでしょう」
イルス「イ・インジャは決して容易く死ぬような男ではありません」
「イ・インジャ!」延礽君はこみ上げる怒りを到底抑えられなかった。
延礽君(心の声)「母上、私をお許しください!」
「死ね!イ・インジャ!」刀を抜き、イ・インジャへと振りかざしたところを、サンギルが引き止めた。「延礽君様」
サンギル「たしかに禁刑です」
延礽君「離せ!手を離せ!!!」
サンギルを振り払うと、別の誰かが前に立ちふさがり、刀を掴む。
テギルだ。
#熱い兄弟劇を見上げるインジャの顔が…^^;
延礽君「!」
テギル「今日じゃなきゃ明日。明日じゃなきゃいつか…!イ・インジャは必ず俺の手で殺す」
「…。」延礽君の手から刀が滑り落ちる。
「母上…」延礽君は取り憑かれたように駈け出した。
インジャの高笑いを背に、テギルもまた後を追った。
+-+-+-+
ここで区切ります。
延礽君をもう少し魅力的に描いてくれたらなぁ~。
力を抜いてテギルと接してるときなんかは、見ていてとても楽しいんだけど。
張り切っても空回りばかりだし、見せ場はテギルに持っていかれるし、ちょっと可哀想な役回りです。
まぁ、もうすぐ彼の時代ですけど♪
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