テバク12話あらすじ&日本語訳vol.2
チョン・グァンリョル、チェ・ミンス出演SBSドラマ「テバク(대박)」12話、中盤です。
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ファン・ジンギが振り回す大剣から逃れ、延礽君は賭場の扉を突き破って外へ転がり出た。
追ってきたジンギは、必死の延礽君を見てふっと笑う。
延礽君「主君がやられているのに、皆黙ってみている場合か!」
延礽君の声に、あちこちに待機していた部下たちが雪崩れ込む。
彼らはジンギを取り囲み、一斉に刀を向けた。
延礽君「(ジンギに)この程度の手配もしていないと思ったか?」
「延礽君様ではないですか」どこにでも水を差すイ・インジャの登場だ。
インジャ「ここに何用でいらっしゃいますか」
延礽君「そなたこそ、なぜここに?」
インジャ「西小門、六鬼神の最期を確かめに参りました」
延礽君「六鬼神はそなたの配下ではなかったのか」
インジャ「ははは、あのような屑が私の配下ですと?」
延礽君「…。」
インジャ「延礽君様、お忙しいのはわかりますが、常にお考えになりませんと。何か忘れてはいないか、何か見逃してはいないか。石橋も叩いて渡れという言葉があるではないですか」
延礽君「何が言いたい?」
「ではこれで」インジャは話を切り上げ、頭を下げる。
インジャ「あぁ、先日私に振るわれた暴力、そのうち2倍3倍になって返って来ることでしょう。ともすれば、全て手放さねばならなくなるかもしれません」
延礽君「…。」
「ではこれで失礼いたします」インジャは背を向けた。
「じゃあ」ジンギも主人に続く。「また会いましょう」
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刀で刺され、毒を盛られ、そして今、六鬼神は奴隷たちに囲まれ、殴る蹴るの暴力に遭っていた。
そこへ入ってきたのが延礽君だ。「やめよ!」
延礽君「暴力とは!厳しい国法があることを忘れたのか?」
「こいつは人間じゃない!獣だ!」奴隷の一人が叫ぶと、それを合図にまた、奴隷たちは一斉に六鬼神に暴力を振るった。
延礽君「!」
奴隷たちの怒りを目の当たりにした延礽君は、それ以上彼らを叱る代わりに、その場に跪く。「謝罪しよう」
「延礽君様!」周囲の武官たちが一斉に周囲に跪いた。
延礽君「この地の民を憤怒させた罪。そなたたちの涙に気づかなかった罪。むしろ奈落へ追い込んだ罪。殿下と世子邸下、そして朝廷の臣僚たちに代わり、私が謝罪しよう」
奴隷たち「…。」
延礽君「だから、どうかもうやめてくれ」
延礽君は切々と語り、奴隷たちに向かって頭を下げた。
「延礽君様、お立ちになってください」サンギルに腕を支えられ、延礽君は立ち上がる。
延礽君「人身売買、不法奴隷契約の文書は、全て灰となって消えた。早くこの者たちを連れて出るのだ。悪行を常としたこの賭場もすぐに…」
と、その時、男の叫び声が聴こえる。「火事だ!」
#遅っ!
賭場の奥から煙がまわってきた。
皆が一斉に出口へ走る。
賭場の真ん中には、床を這いつくばる六鬼神が残された。
延礽君「あやつを逮捕せよ」
サンギル「はい」
六鬼神は最後の力を振り絞り、小斧を振り回し、起き上がった。
六鬼神「俺はこの賭場から一歩も動かんぞ!死んでもな!ここに骨を埋める!!!」
と、次の瞬間、どこからか突然飛んできた矢が、六鬼神の背中に突き刺さる。
延礽君「!」
2階からだ!
上を見上げた延礽君の目に、さっと姿を消す人影が見えた。
黒髪の…女?!
#あ、一応触れておくと、テギルはこの間、ずっと他のお客さんに混じってビックリしてます(笑)
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延礽君は急いで賭場の外へ出た。
辺りを見回してみるが、そこはしんと静まり返っていて、人の気配はない。
延礽君「…。」
がっかりして引き返す延礽君を、誰かが物陰からそっと窺った。
黒髪の女… タムソだ。「…。」
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六鬼神の賭場が燃え上がるのを、テギルはソリムと並んで見守った。
「俺たちは自由だ!」周囲で皆が思い思いに喜びを叫ぶ。
ソリム(心の声)「お父さん、お母さん、空の上で見てる?」
「もう行こう」テギルの言葉に、ソリムは頷いた。
歩き出したテギルに、自由の身となった奴隷たちが揃って頭を下げた。
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「一体どういうことだ!」亂廛連合へやって来た延礽君は、声を荒げた。
延礽君「命懸けで六鬼神の烙印を消してやったのに、今さら帳簿は無いと?!」
ペク・ジュンギ「…。」
実は…
先手を打ったのはイ・インジャの配下の一人、骨師だ。
金塊持参で亂廛連合へやって来たのだった。
ジュンギ「生き長らえるためには仕方なかったのです…」
延礽君「…私は誰も咎めぬ」
ジュンギ「…。
延礽君「帳簿を持って行ったのは、骨師なる者だと言ったな」
ジュンギはぎゅっと目をつぶり、深く頷いた。
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「噂は聞いたぞ」帰ってきたテギルを、トッケビは笑顔で出迎えた。
トッケビ「これでもワシは全国に名前を轟かせた賭博師だ。噂が耳に入らんわけがないだろ?」
「へへへ」トッケビは嬉しそうに笑うと、テギルの横にいるソリムに視線を移した。「その娘は誰だ?」
ソリムは笑顔でペコリと頭を下げる。「ソリムです。ケ・ソリム」
トッケビ「ソリム?ソルレムじゃなくて?ははははは!」
※ソルレム(설렘)だと、”トキメキ”という意味になります。テギルが若い女の子を連れて帰ってきたから、ちょっとオヤジジョークでも飛ばしたわけですかね♪
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食事が始まっても、テギルはひたすら黙って飯をかきこんだ。
食卓に若い女の子が加わって、トッケビ爺は上機嫌だ。
トッケビ「娘さんは何をしているんだい?ひょっとして、うちのテギルとお互い慕い合って… そういう仲なのかい?」
テギルが思わず咳込んだ。「何言ってんだ!そんなんじゃないぞ」
トッケビ「そんなら、何のために年頃の娘さんを連れ歩いてるんだ?」
テギル「事情があってな」
トッケビ「男女の間に事情も何も」
「ふふふ」トッケビは再び仕切りなおす。「ご両親はいらっしゃるのかい?」
ソリム「だいぶ前に亡くなりました」
「六鬼神にやられて…」ソリムが目を伏せる。
トッケビ「!」
ソリム「でも、もういいんです。全部テギルのおかげなんですよ」
テギルは素っ気なく飯に手を伸ばす。
トッケビ「年はいくつだい?」
ソリム「今年20歳です」
トッケビ「ほぅ!ちょうどいい年頃だなぁ」
「爺ちゃん」いい加減我慢ならず、テギルが口を開いた。
テギル「爺ちゃんが考えてるようなんじゃないから、静かに食べろよ」
ソリム「…。」
トッケビ「こいつ!お前、人の子か?豚の子か?こんな美しい娘さんがいるのに、よくも飯が喉を通るな」
テギル「…。」
「ふふふ」トッケビは満面の笑みでソリムに笑いかける。「さぁ、食べよう」
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食事を終えると、ソリムはたらいに水をため、せっせと器を洗った。
「やれやれ、何してるんだ?」トッケビが目ざとく見つけて、声を掛ける。
トッケビ「綺麗な手が荒れちまう。放っといて中に入りなさい」
ソリム「食べた分は働かなきゃ。今日は私が全部片付けますから、お爺さんはお部屋で休んでください」
トッケビ「ほほぅ♪ 顔だけ綺麗なのかと思ったら、心も綺麗だ!」
二人が楽しそうにやり取りするのを、テギルは遠巻きに憮然と眺める。「…。」
「テギル!」トッケビが彼を振り返った。
トッケビ「お前も考えがあって連れてきたんだろ。いい機会だからこのまま祝言を…」
テギル「全く!そんなんじゃないって言ってんだろ!」
ぷいと背を向けたテギルを、ソリムは寂しそうに見つめた。「…。」
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朝がやって来た。
インジャは月香閣へ顔を見せる。
ファング「話は聞きましたが、イ様に害はないのですか?」
インジャ「屍口門の屑が一つ消えたところで、何の害があろうか」
ファング「イ様がペク・テギルに賭けたと聞きました」
「ふふふ」インジャが愉しげに笑い声を上げる。「目に見えるものが全てではないからな」
インジャ「もうすぐ壊れる瓶に水を入れておくくらいなら、残った水を大事にしたほうが懸命であろう?」
ファングは笑顔で頷いた。「皆様お待ちです」
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インジャを待ち受けていた少論の大臣たちは、皆、えらく上機嫌だ。
チョ・イルス「そなたの明晰ぶりには実に驚きだ。なぜこうも正確に延礽君の動きを予測できたのだ?」
インジャ「ちょっとした小細工に過ぎません」
「ところで、それは何だ?」イルスの視線は、インジャが持参した大きな木箱に向かう。
蓋を開けると、そこにぎっしり詰まっていたのは、金塊と金だ。
インジャ「私の言ったとおり、蔵を空けてくださったではありませんか」
~~~~
延礽君が提案した『禁亂廛權の撤廃』を受け、インジャは少論の大臣たちに、これまでの蓄えを民に放出するよう助言していた。
イルス「民に蔵を解放しろと?」
インジャ「はい。民のために空にしたその蔵は、私がまた一杯に満たしてさし上げましょう」
イルス「蔵はそなたがまた満たし、我々は民の支持を得られるということか…」
~~~~
インジャ「皆さんが民のために蔵を空けてくださったのですから、当然私が蔵を満たさなければ」
皆が陽気に笑う。
イルス「実に見事だ」
インジャ「大監、ところで邸下にお目にかかりましたか?」
イルス「勿論だ。そなたが言ったとおりに進めたぞ」
インジャは頷く。「ならば、今頃…」
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「邸下!」延礽君が世子の元を訪れていた。「私が耳にしたのは聞き間違えですか?」
世子「聞き間違いではない。この時間を以って、お前から司憲府将令の職位を剥奪する」
延礽君「一体何故ですか!」
世子「ひそかに民事に関与したであろう。西小門の賭場の火災は無論、人が死んだとも聞いた」
延礽君「!」
「しかも」世子が声を落とす。「跪いたとな」
延礽君「!」
世子「殿下に代わって跪いたと…。お前の志を知らぬわけではないが、その愚かな行動がどれほど危険かわかっているのか?」
延礽君「…。」
世子「何様のつもりで殿下の威信に傷をつけ、何様のつもりで私の代わりに謝罪を?!」
延礽君「…。」
世子「口が百あろうと弁解の余地はない。全ての職位を放棄し、当分自重するがよい」
延礽君「はい… 邸下」
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「実に幸いだ」少論の大臣、イルスが言った。
イルス「意気揚々だった延礽君も翼が折れてしまったのだから、もう禁亂廛權の廃止を持ち出すことは出来ぬであろう」
「いいえ」インジャの口から出て来たのは意外な一言だ。
イルス「?」
インジャ「まだこの程度ではありません」
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意気消沈して世子の住処を出て来た延礽君の前に現れたのは、領議政キム・チャンジプだった。
チャンジプ「朝廷内外には延礽君様を見ている目がたくさんあるのです。用心に用心を重ねるべきだったのです」
延礽君「…面目ない」
チャンジプ「延礽君様、そう気落ちしていないで、胸を張るのです」
「…。」延礽君が顔を上げ、チャンジプを見た。
チャンジプ「殿下に謁見なさいませ。殿下にお会いして助けを請うのです」
延礽君「…。」
チャンジプ「今、延礽君様を助けられるのは殿下の他におられません」
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訪ねてきた延礽君を、粛宗は静かに迎えた。「何用だ」
延礽君「父上の助言を頂きに参りました」
粛宗は手に持っていた碁石を放り出し、厳しい顔で息子を見た。「助言とな」
延礽君「…。」
粛宗「助言と言ったか」
延礽君「…。」
粛宗「握らせてやった剣で自分の足を斬るのが精一杯の愚か者に、一体どんな助言をしろというのだ!」
延礽君「…。」
「少し出ていなさい」粛宗はそばにいた末息子、延齢君を外へ出した。
延齢君が退室すると、粛宗はさらに語気を強める。「司憲府の将令という職位は、お前にとって一体何の意味がある?」
粛宗「たかがそんな職位もなければ、お前は何も出来ぬのか。そんな鎧でもなければ中身は空なのかと訊いておる!」
延礽君「…。」
粛宗「世論というのは、汲んである水のようなものだ。器が傾いた方へ水は一気にこぼれる。お前は水か、それとも器か?」
延礽君「!」
粛宗「水がどちらにこぼれるかはお前の手に掛かっているものを、なぜそうズルズルと引きずり回されておるのだ!」」
「骨なしめ!」粛宗は手に持っていた飲み水の器を、乱暴に投げつけた。
延礽君「…。」
粛宗「死のうと生きようと、骨のある行動をしろ!」
延礽君がハッと目を見開いた。「父上の助言、胸に深く刻みます」
+-+-+-+
ここで区切ります。
延礽君って、しょんぼりするときにしょんぼりし過ぎるよね~。
素直でいい性格だけれども^^
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Comment
ありがとうございます!
ずっとビックリしてるテギルが愛おしくww
インジャがじわじわと追い詰められているような
いないような、、
いろいろ考えながら今夜の放送見ます(*^-^*)
いい台詞多いですね(^-^)
いつもありがとうございますヽ(・木・。)ノヽ(。・木・)ノヽ(・木・。)ノ
いつも楽しみに待っています。
ユジナ~さんのあらすじは背景や隠された感情まで書いて下さるのでとても分かりやすいです。
緑文字は共感できたり笑えたり!大好きです。
ぐんちゃんの出番の少なさにちょっと不満があるのですが、主役なのですから…
脚本家さんにテギルをもう少し膨らませて
たくさんの出番をお願いしたいです。
ユジナ~さんこれからもよろしくお願いいたしますm(__)m