韓国ドラマから美しい言葉を学ぼう

引っ越し作業中です

テバク8話あらすじ&日本語訳vol.2

   

チョン・グァンリョル、チェ・ミンス出演SBSドラマ「テバク(대박)」8話、中盤です。

+-+-+-+

延礽君の心は一つも晴れなかった。
「そもそも王子だというのはどこへ行っても役に立たぬことだ」父、粛宗の言葉を彼は反芻した。

091

#綺麗だねぇ~♪

「そんな見せ掛けだけの殻を脱ぎ捨てたいなら、お前に刀を握らせてやる」父は言ったのだ。「傳家の寶劍を」

※傳家の寶劍(伝家の宝剣)=代々伝わる尊い宝剣。あるいは、強力な権限。

【待っておれ。じき時が来る】

「延礽君様!」サンギルが駆けて来た。

サンギル「昨夜、義禁府で牢破りがあったそうです」
延礽君「脱獄した罪人は誰だ?」
サンギル「宣傳官ファン・ジンギとのことです」
延礽君「ファン・ジンギ?」

「牢屋の中に密封された書簡が」サンギルが差し出したのは、脱出の際にタムソが柱に残しておいたものだ。

それは延礽君に宛てた書簡のようだった。

【延礽君様、昨夜のことをお聞きになったことでしょう。お目にかかりたいのでお時間をくださいませ】

インジャからのものだった。

+-+-+-+

延礽君はすぐにインジャのもとへ向かった。
ぼんやり歩くうち、彼はすれ違う町人とぶつかり、馬を慌てて避け、書生の集団をやり過ごす。

延礽君「…。」

後をつけていたタムソは、ふと通りの一角に人だかりができているのに気づく。「?」
そこには…
処刑されたばかりの子どもが横たわり、小さな妹が脇で泣いていた。

タムソ「!」

タムソが銭を恵んでやったばかりの、あの物乞いの子どもではないか!

町人「どうした?何があったんだ?」
町人「花靴を盗んで見つかったらしいよ」
町人「そうなのかい?あんな幼いのが…」

脇で泣いている妹の靴に、タムソは釘づけになる。
それは、自分が履いていたのとそっくりな、美しい花刺繍の入った靴だったのだ。

タムソ「!!!」

#すごく悲しい成り行きだけど…何で延礽君の後をつけてる道中にポコッと挟むのかね。実際にそういうことはあるとしても、意識があちこち飛んじゃうよねぇ。この物乞いの子を最初に見かけた時も、右参賛に賄賂を届ける道中だったし。

+-+-+-+

延礽君はインジャの待つ美しい庭園に一人で到着した。

延礽君「逆賊ファン・ジンギを脱獄させた理由は何だ。あやつをどうする?」
インジャ「延礽君様もあやつの剣を恐れておられるのですか」
延礽君「たかが剣一本を私が恐れると?」
インジャ「剣一本でなければ?」
延礽君「…?」
インジャ「ここへ来られるまでに、ひょっとして変わったことはありませんでしたか?」

インジャの視線につられて自分の脇に目をやった延礽君は、驚いて目を見張った。「!!!」
刀で引き裂いた跡が、いくつも出来ていたのだ。
ぶつかった町人に、馬に乗っていた武官に、挨拶をして通り過ぎていった書生…?!

インジャ「延礽君様への警告です」
延礽君「殺さないのではなく、殺せないのであろう」
インジャ「…。」
延礽君「私がこの世で最も恐れるものを… 実はそなたも同じく恐れているのだ」

延礽君はそっと身を乗り出した。「父上を」

インジャ「否定はしません。王こそ真の怪物。それゆえ私もまた怪物になったのです。王を超えるために」
延礽君「…。」
インジャ「怪物となった私を、阻むことはできますか?延礽君様」
延礽君「待っておれ。それほど長い時間は必要としない」

インジャはニコリと微笑み、小さく頷いた。

インジャ「ならば、のんびり待っていないで、今日私と命懸けで決着をつけるのはいかがでしょう?延礽君様」
延礽君「…。」

+-+-+-+

向い合って立った二人の間に、いくつも剣が並んでいる。
どれも表向きには形も大きさも同じ剣だ。

インジャ「”尚方宝剣は七星剣を斬り、七星剣は文官刀を斬り、文官刀は鋭刀を斬り、鋭刀は環刀を斬り、環刀は木刀を斬る”。どうでしょう?本日、私イ・インジャとこの剣で一勝負するというのは」
延礽君「よかろう。ならばここでそなたと私の運命を占おう」

二人はじっとお互いから目を離さず、それぞれ別々の剣を手に取った。

+-+-+-+

「真剣を持ちたい?」師匠はテギルに刀を投げて渡した。「持ってみろ」

テギルは刀を抜き、師匠へとまっしぐらに斬りかかる。

+-+-+-+

延礽君もまた、刀を抜いて斬りかかった。

延礽君(心の声)「尚方宝剣だ!」

延礽君の剣をひらりと交わし、インジャは手に持った剣を腹に命中させる。
ポンと鈍い音が響いた。

延礽君「!!!」

剣が当たったにも関わらず、どこも斬れていない。

インジャ(心の声)「木刀か」

再び斬りかかった延礽君は、自分の攻撃を阻むインジャの刀を確かめた。
木刀だ。

延礽君「…。」
インジャ「…。」

092

一番弱い木刀で、インジャは延礽君の刀を押し戻す。
じりじりと押された延礽君は、ついには膝をついてしまった。

インジャ「刀より、刀を握る者の資質が重要なのです」

+-+-+-+

同じく、木刀を持った師匠に圧倒され、テギルは無防備にひっくり返っていた。

チェゴン「これがお前と俺の距離だ。そんな実力じゃ獣を仕留めるどころか、あやつの足元で切り刻まれるぞ」

テギルは愕然と天を仰いだ。「イ・インジャ…」

+-+-+-+

「延礽君様に、まだ帝王の剣は重いようですね」延礽君を木刀一本で押さえつけ、インジャが言う。
さっと力を抜くと、インジャは刀を無造作に放り投げた。

インジャ「延礽君様をお送りしなさい」
延礽君「待て」

「待て!」延礽君の叫びにも足を止めることなく、インジャはその場を立ち去った。

インジャと入れ替わりに近づいてきたのは、タムソだ。

延礽君「何だ?」
タムソ「たかがこんなことで自尊心を傷つけられ、悔しがっておられるのですか」
延礽君「何が言いたい?」

「お見えにならないのですか」タムソの目には涙が滲んでいた。

タムソ「延礽君様の目には、民の血の膿、血の涙が見えないのですか!!!」
延礽君「!」
タムソ「靴一足盗んで命を落とした女の子の無念さ… 延礽君様には見えないのですか」

「…。」延礽君は力なくその場に剣を落とし、黙ってそこを後にした。

#そこで急に延礽君を責めてもね…。

+-+-+-+

「気が急いておるな」インジャが静かにタムソをたしなめた。

タムソ「…。」
インジャ「確かに、もどかしいはずだ。一歩も進んでいない気がするだろう。お前の父イスもそうだった」
タムソ「!」
インジャ「だがタムソ、復讐が先にあるのではなく、大業の中にお前の復讐があるのだ」
タムソ「ですが…」
インジャ「そうだな。味見をするくらいはいいだろう」
タムソ「!」
インジャ「延礽君を動かすのだ」

+-+-+-+

靴を盗んで命を落とした女の子の遺体を、延礽君はじっと見つめていた。「…。」

延礽君「しっかり葬ってやってくれ」

後ろにいた武官が頭を下げる。「…はい」
そばで泣きじゃくっている妹の前で、延礽君は恐る恐る腰をかがめる。「済まない」

延礽君「君が大人になるときには、もう少し良い世の中になっているはずだ。だから… 私を許してくれ。何も出来ない私を」

+-+-+-+

街角の料理屋で悶々と酒を飲んでいる延礽君の元へ、ふらりと現れたのはタムソだ。

延礽君「何の用だ?また小言だろ」
タムソ「遅くはありましたが、良いことをなさいました」

タムソは酒の瓶を手に取り、器に注いでやる。

延礽君「何だ?私が哀れに見えるか?」
タムソ「…。」

延礽君は器の酒を一気に飲み干す。「時間を無駄にしないで、望みを言え」

タムソ「どうしてそうひねくれていらっしゃるのです?」
延礽君「何だって?」
タムソ「私は悪口を言ったわけではないんです」
延礽君「見え透いてる、私をどう思っているのか」
タムソ「私の目を見てください」
延礽君「?」
タムソ「本当に私の心が見えるのですか」
延礽君「…。」

延礽君はトンと器を置き、彼女をまっすぐに見る。
二人の視線が静かに絡み合った。

093

#おいおい、何だ、今度はどうした

タムソ「望みがあるとしたら… 聞き入れてくださいますか?」

+-+-+-+

延礽君は宮廷の門の前に立って誰かを待っていた。
そこに現れたのは、綺麗な娘姿のタムソだ。

タムソは宮廷内を見物させてほしいと頼んだのだった。

延礽君の案内で歩くうち、二人は美しい裏庭に辿り着いた。

延礽君「ここには来たことがあるはずだ。もう戻ろう」

タムソは延礽君の言葉をよそに、別の方向へ足を向ける。

延礽君「そっちは駄目だ」
タムソ「…。」
延礽君「わかっているであろう。そっちは母上の住処だ」
タムソ「それならご挨拶をいたします」

+-+-+-+

延礽君はタムソを連れ、母淑嬪の元を訪れた。

淑嬪「前に会った。実に美しいこと…。宮廷には何故?」
タムソ「延礽君様が宮廷見物をさせてくださると」

淑嬪の視線が延礽君に移る。

延礽君「成り行きでそうなりました」

淑嬪はチラリと二人を見比べ、余裕を見せた。「女同士で話がありますから、延礽君は外に出ていらっしゃい」

延礽君「ですが」
淑嬪「さぁ」

+-+-+-+

二人きりになると、淑嬪は鋭い視線でタムソを見つめ、茶を一口すすった。「理由は何?」

淑嬪「延礽君のそばにくっついている理由。私に会いに来た理由だ」
タムソ「ご存知でしょう。世子邸下の策士をなさっている…」
淑嬪「まさか!」
タムソ「はい、私の師匠です」
淑嬪「お前!よくもここに」
タムソ「淑嬪様の過去についても知っております」
淑嬪「!」
タムソ「隠している息子。その父ペク・マングムまで、全てです」

淑嬪はふっと鼻で笑う。「何が望みだ?」

タムソ「殿下に謁見させてください」
淑嬪「殿下?理由は何だ」
タムソ「淑嬪様。私の父の名前はキム・イスです」
淑嬪「!…キム将軍の娘だったのか」
タムソ「はい。一時は殿下にお仕えし、殿下のせいで死んだ、まさにその御方が私の父なのです」
淑嬪「!」

淑嬪の目が暗く沈んだ。
我が子を守るため、20年前に彼女はキム・イスに赤ん坊をすり替えさせた。
それが粛宗の知るところとなり、結局は彼を死に追いやってしまったのだ。

#原因を作ったのは100%淑嬪で、実際にイスを殺したのはインジャだからね。インジャを殺せと粛宗が脅したからだけど。

淑嬪「あの御方には返すべき借りがある」
タムソ「…。」
淑嬪「だが、キム将軍が殿下のせいで死んだとは、何を根拠にそんな憶測を口にするのだ?!お前の目で見たとでもいうのか」
タムソ「昔のことで根拠はありませんが…」
淑嬪「根拠もなしに何故そう考える?お前の師匠がそう言ったのか?殿下がお前の父を殺したと」
タムソ「…。」
淑嬪「獣の手で育てられたからといって、皆が獣になるわけではない」
タムソ「!」
淑嬪「私でさえ容易く見破れるその眼差しで、殿下をどうにか出来ると思っているのか」
タムソ「…。」
淑嬪「殿下にお目にかかったことがあるのか?一度でも、たったの一度でも会ったことがあるのか?」
タムソ「…。」
淑嬪「はっきり言おう。息もできなくなるはずだ」

095

淑嬪は外にいる延礽君を呼んだ。
延礽君が入ってくると、淑嬪は元の柔らかい眼差しに戻る。「殿下は今、延齢君と共にいるはずです」

※延齢君=粛宗の側室、䄙嬪朴氏の子。粛宗の一番下の息子であり、大変可愛がられたようです。

淑嬪「遠くからでも殿下のお姿が見たいと言うから、延礽君が案内してあげなさい」
延礽君「承知いたしました」

+-+-+-+

二人はしばらく黙ったまま宮中を歩いた。
タムソの思いつめた様子が気にかかり、延礽君はそっと彼女を窺う。

「…。」タムソは淑嬪の言葉をずっと反芻していた。
ずっと粛宗が父の仇だと師匠から聞かされて生きて来た。
当たり前のように信じていたけれど… それが事実ではないとしたら?

池を超えた辺りで、延礽君は足を止める。「何をそう悩んでいる?」
「あそこだ」延礽君は池の向こうに視線を移した。

タムソ「?」

気持ちの良さそうな東屋で、にこやかに笑っている男性の姿が見える。
風格のある佇まいに、一目でそれが王だとわかった。

タムソ「!」

【あなたなのですか?父を殺したのは…】

「父上にお会いするか?」延礽君の言葉に、タムソはハッとして振り返った。「!」
タムソはそれにはすぐ答えず、インジャの指示を反芻する。宮廷内の地理を覚え、王の顔だけ確認しろ、インジャはそう言ったのだ。
それ以外、いかなる早まった行動もしてはならぬと、タムソは念を押されていた。

タムソ「いいえ、今日はこのまま…」
延礽君「なぜだ。せっかくお膳立てしたんだから、挨拶しないとな」

「父上!」延礽君はタムソの心中をよそに粛宗を呼んだ。

タムソ「延礽君様!」

#だって、淑嬪に”殿下に謁見させてくれ”って言ってたやんねぇ

+-+-+-+

ちょっと流れの途中ですが、ここで区切りますね。

 - テバク ,

Comment

  1. maachan より:

    ありがとうございます!  
    、、、、(^-^;
    尚方宝剣でも切れない木刀って凄いな!って見入ってました、、(≡≡;)

    イジャンの気迫が木刀に乗り移ったんだろうと、、思って見てました

  2. ぶーぶー より:

    ゆじなさん、ありがとうございます。
    なんかモヤモヤですー。
    盗んだ子は殺されても盗んだ靴はそのまま、というのがさっぱりで。
    うーん、この脚本家さんの本を読んでおかしい点を指摘する人はいないんですかね?
    埋めたり落としたり折ったり、しかも即治るし。謎だらけですぅー。T^T

maachan へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

  関連記事

テバク22話あらすじ&日本語訳vol.2

チョン・グァンリョル出演SBSドラマ「テバク(대박)」22話、中盤です。

テバク20話あらすじ&日本語訳vol.3

チャン・グンソク、ヨ・ジング出演「テバク」20話の終盤です。

テバク14話あらすじ&日本語訳vol.3

チャン・グンソク、ヨ・ジング出演「テバク」14話の終盤です。 はりきってGo~♪

テバク3話あらすじ&日本語訳vol.3

ついにテギル(チャン・グンソク)登場か! 「テバク」、3話の終盤です♪

テバク9話あらすじ&日本語訳vol.3

チャン・グンソク、ヨ・ジング出演「テバク」9話の終盤です。

テバク20話あらすじ&日本語訳vol.1

チャン・グンソク、ヨ・ジング出演SBSドラマ「テバク(대박)」20話です。

テバク22話あらすじ&日本語訳vol.3

チャン・グンソク、ヨ・ジング出演「テバク」22話の終盤です。 +-+-+-+ 「 …

テバク14話あらすじ&日本語訳vol.1

チャン・グンソク、ヨ・ジング出演SBSドラマ「テバク(대박)」14話です。

テバク2話あらすじ&日本語訳vol.2

チョン・グァンリョル、チェ・ミンス出演SBSドラマ「テバク(대박)」2話、中盤で …

テバク最終話(24話)あらすじ&日本語訳vol.3

チャン・グンソク、ヨ・ジング出演SBSドラマ「テバク(대박)」最終回、エンディン …