個人の趣向16話(最終話)あらすじvol.1
イ・ミノ、ソン・イェジン主演「個人の趣向」とうとう最終話です。
自分が持ち出してしまった設計図のために窮地に陥ってしまったジノ。
今思えば、地下室に置いたままでも十分ゆっくり見ることができたのに、どうして事務所に持って行ってしまったのでしょう。
展開上仕方ないと言ってしまえばそれまでですが、賢い人なだけにとても気になります。
そして、激怒するパク教授に弁解しない代わりに、ケインが長年父に対してどう感じてきたか、それがどれだけケインを苦しめてきたか、厳しく指摘するジノ。
では、続きをどうぞ~
☆<個人の趣向>原作本 韓国語の勉強におすすめ!ドラマとの比較も楽しそう♪
ジノ 「僕の目には、教授が罪責感をお嬢さんに押し付けているように映ります」
思わずジノの頬を殴りつけるパク教授。
パク教授 「生意気なヤツ!お前に何が分かってそんな真似を!帰れ!」
ジノ 「設計を断ったのは…サンゴジェが失敗作だったからでしょう?」
パク教授 「!!!」
ジノ 「違いますか?」
ジノを睨みつけたパク教授の目がわずかに力を失います。
ジノ 「”サンゴジェは私の妻と子が夢みる小さな世界だ”…ですが、この場所で教授は妻を失い、娘まで傷を負わせてしまいました」
パク教授 「・・・。」
ジノ 「しかし、本当にサンゴジェを失敗作にしたのは何だかお分かりですか?まさに教授ご本人です」
パク教授 「・・・。」
ジノ 「自分の苦しみのために、自分の娘が傷だらけになるまで放置した教授ご本人なんです」
ケイン 「やめて!あなたが何だって言うの?どうしてうちの家族のことを全部知ってるみたいに暴き立てるの?」
ジノ 「(ケインに)いつまでお父さんに気後れして生きるつもりですか?いつまでお母さんを殺した罪人として生きるんです?!」
ケイン 「私がどう生きようと…あなたに何の関係もないわ」
ジノ 「・・・。」
ケイン 「私を利用しようとしたくせに!どうして味方のフリを?!」
ジノ 「・・・。」
ケイン 「帰って。帰ってよ!あなたの顔なんて見たくないわ!早く帰って」
そう言い捨て、家に入っていくケイン。
パク教授 「君…。もうこの家に現れないでくれ」
——–
ケインはタム美術館で家具の移動作業をおこなっていました。
ヨンソン 「ねぇ、家具はこれで全部?」
ケイン 「大きい家具が作業室にあるの。仕上げをして移動させなきゃ」
ヨンソン 「あんた一人で?」
ケイン 「人に頼まなきゃ。(?)力持ちのあんたが運んでよ」
ヨンソン 「ムリなんだよね。明日はチュニョクの予防接種に行かなきゃ」
ケイン 「…じゃあ、仕方ないよ」
そこへやって来たサンジュン。
サンジュン 「やぁ、オンニたち!」
ケイン 「いらしたんですね!」
サンジュン 「お腹ぺこぺこでしょ?」
サンジュンは差し入れをテーブルに出します。
ケイン 「あら…これ全部サンジュンさんが…」
サンジュン 「(差し入れを渡し)どうぞ」
ケイン 「ありがとうございます」
ヨンソン 「(サンジュンに)あんた、明日用事ないよね?」
サンジュン 「明日?何で?」
ヨンソン 「ケインの家具を一緒に運んでほしくて」「
サンジュン 「あ、あぁ…どうしよう、明日はちょっと」
ヨンソン 「何よ?」
ケイン 「(ヨンソンに)あ、ちょっと~、いいよ (サンジュンに)いいんです、人を呼んで運べばいいんですから」
サンジュン 「あ、その…そう言わずに、ジノを…呼んでくださいよ」
ケイン 「・・・。」
サンジュン 「あいつ、見た目は貴族みたいだけど、力仕事のときだけは農夫みたいなヤツなんですよ」
ヨンソン 「そうだよ~、そうすればいいわ!」
ケイン「…(パンを食べながら)美味しいわ~。お二人とも食べて!」
——–
ケインが階段を降りてくると、サンジュンとヨンソンが立ち話をしているのに気づきます。
ヨンソン 「あんたの会社の発表、いつ?」
サンジュン 「まだ2、3日ある。最近は心配で眠ることもできないよ。告訴の和解金も払わなきゃいけないし…。はぁ。これで公募に落ちたら、俺たち完全に破産だ。パク教授の図面を盗んだってこのまま誤解されたままじゃ、ジノは建築士の資格も剥奪されるかもしれないな」
ヨンソン 「そんな…大変だわ」
サンジュン 「あいつのことはどれだけ付き合っても分からないな。ケインさんのことで辛くて死にそうな顔してるくせに、それでも別れようとする理由が分からないよ」
壁の向こう側でじっと聞いているケイン。
サンジュン 「こういうときにケインさんがそばにいてくれたら、力になってどれだけ助かるか…」
ヨンソン 「全くよ!ジノさんはプライドが高すぎるわ。私が思うに、会社が大変だからケインと別れようとしてるんじゃ?」
サンジュン 「それもあり得るな。あぁ、とにかくそばにいる俺は息が詰まってたまらないよ」
そっとその場を後にするケイン。
——–
残った家具の組立作業に追われるケイン。
そのうち、疲れてしまい、家具に突っ伏して眠ってしまいます。
そこへそっと入って来たのはジノでした。
このときの足元から写すアングルが好き^^
眠っている彼女をしばらくじっと見ている彼。
こんなにそばにいるのに、彼女に触れることはありません。
横に置いてあったケインのカーディガンを手にとり、そっと肩にかけて、出ていきます。
——–
すやすや眠っているケインの元に、次にやって来たのは?
チャンニョル 「ケイン、ケイン!」
ケインは目を覚まします。
チャンニョル 「こんなとこで寝ちゃダメだよ」
ケイン 「ここに誰か来てなかった?」
チャンニョル 「誰?いいや」
ケイン 「・・・。で、ここに何の用なの?」
チャンニョル 「通りかかったら灯りがついてたから、君がいるかと思って寄ってみたんだ。まだこんなにやることが残ってるのか?」
ケイン 「もう帰るわ」
チャンニョル 「僕が送るよ」
ケインは肩にカーディガンが掛かっているのに気づきます。
ケイン 「これ…チャンニョルさんが掛けてくれたの?」
チャンニョル 「…いや?」
そこで咄嗟に「俺が掛けてやった」と言わないチャンニョルが好き^^
結局ケインは「夜に女一人でタクシーに乗るのは危険だ!」と強引なチャンニョルを断り切れず、彼の車に乗って送ってもらうことに。
その様子を、離れたところでじっと見守る…ジノ。
——–
ふたたびタム美術館の館長室をパク教授が訪れていました。
チェ館長 「少し違ったコンセプトの設計図です。一度ご覧下さい」
パク教授 「えぇ」
眼鏡をかけ、設計図を黙ってめくるパク教授。
向い合って座ったチェ館長は、緊張した面持ちで見守ります。
図面をめくるうち、興味深い表情を見せるパク教授。
チェ館長 「いかがですか?」
パク教授 「誰が提出したものですか?」
チェ館長 「M建設事務所 チョン・ジノ所長です」
パク教授 「!」
チェ館長 「・・・。」
——–
ハン会長はチェ館長の父、チェ会長と会食中。
ここぞとばかりにジノたちの悪口を吹き込みます。
ハン会長 「他人の設計図を横取りするような不道徳な設計士が提出した作品を、本審査に上げるとは…話になりますかな?」
チェ会長 「う~ん、何があったとは言え、今度提出した設計図は正当なものでしょう」
ハン会長 「破産しかかった会社でも…ですか?」
チェ会長 「どういうことですかな?」
ハン会長 「以前の工事に問題があり、職人たちが告訴している状態なんです。べらぼうな和解金を払わなきゃいけないそうですよ。銀行にも借りられないようでして」
チェ会長 「それは本当ですか?!」
その会食の場。入り口の外に立っているのがチェ館長とパク教授。
中の話は二人に聞こえているようです。
チェ館長 「父の話が終わるまで、隣りの部屋でお待ち下さい」
——-
隣の部屋へ移動したチェ館長たちは、向き合って座り、話し始めます。
チェ館長 「私も知らなかった事実です。こうなってしまうとチョン所長の設計が本審査へ上がれるかどうか…」
パク教授 「ところで、チェ館長はなぜここまであの青年の肩を持つのか気になりますね」
チェ館長 「チョン所長が初めからサンゴジェを模倣したり、設計を奪うつもりなら、あんな設計図は書かなかったでしょう」
パク教授 「あの青年を…えらく信頼なさっているんですね」
チェ館長 「彼は新たな設計図を準備していながら、パク教授に一言も弁解しませんでした。何故でしょう?」
パク教授 「…私に、何をお望みですか?」
チェ館長 「チョン・ジノ所長が提出した設計図を…偏見なしにご覧いただきたいのです」
パク教授 「・・・。」
——-
車で移動中のジノとサンジュン。
ジノは誰かと電話で話しているところです。
ジノ 「(電話で)いいえ。こんなお願いをした僕のほうが申し訳ありません。はい、では(電話を切る)」
サンジュン 「(溜息)また断られたんだろ?」
ジノ 「まだ何件か残ってるさ」
サンジュン 「もういいよ。お前みたいにプライドの高いヤツが…やれるだけやったさ。今、死にたいほどの心境だって、何も言わなくても分かる」
ジノ 「・・・。」
サンジュン 「こんなことしてないでさ、今度だけは目をぎゅっとつぶってテフンのお父さんの助けを借りよう」
ジノ 「・・・。」
サンジュン 「な?そうしよう」
そこへチェ館長から電話が入ります。
——–
ジノはチェ館長に呼ばれ、ジノがやって来たのは…_?
チェ館長は知り合いの融資業者と投資に精通している人、二人をジノに紹介します。
二人が退出した後…
ジノ 「ここへどうして?」
チェ館長 「父に呼ばれて韓国へ戻ってからは、定期的に口座に給与が入っていましてね。使うアテがないのでそのままにしてあったんですが、あの方たちのお陰で大きなお金になっているはずです」
ジノ 「?」
チェ館長 「会社の事情は聞きました。助けになりたいのです」
ジノ 「こんなことをなさる必要はありません」
チェ館長 「必要なときに助けを求められるのが友達ではないですか?」
ジノ 「困ったときに助けて貰うだけでは友達とは言えないでしょう」
チェ館長 「他人の設計図を盗むような卑劣な行為まで認めておきながら、この程度のことを受け入れないとは…理解できませんね」
ジノ 「・・・。」
チェ館長 「こんな事を経ても応募したということは、自らが潔白であることを証明してみせようと思っているからでは?」
ジノ 「こんなやり方で通過しても、潔白とは言えないでしょう。お気持ちだけ感謝してお受けします」
立ち去ろうとしたジノに、チェ館長が珍しく語気を強めます。
チェ館長 「こんなやりかた…ですか?!」
ジノ 「・・・。」
チェ館長 「私は今回の公募が正々堂々と成し遂げられることを誰よりも願う人間です。ただ、チョン・ジノさんが他の問題のために、その能力を発揮出来ないことを心配しているだけです」
振り返り、チェ館長を見つめるジノ。
チェ館長 「今度のことまで断られたら…これ以上は我慢出来そうにありませんね」
我慢出来なかったら…どうなるの?どうするの?((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
ジノ 「・・・。」
チェ館長 「本当に…私の助けを受けないつもりですか?」
ジノ 「・・・。」
精一杯の気持ちをなかなか受け取らないジノに、もどかしい感情が高まるのを抑えられないチェ館長。
チェ館長 「予備審査を通過しても、建築士の資格を剥奪され、本審査の機会が残ったままになってしまったとしたら…どんなに無念なことでしょうか?!」
ジノ 「?! それは…どういう…?」
チェ館長 「発表は2日後ですが、内部で今日決定が下りました(表情がゆるみ)おめでとうございます。内部審査を…通過しました」
ジノ 「本当…ですか?」
チェ館長 「今からがスタートです。諦めはしないでしょう?」
ジノ 「・・・。」
チェ館長 「そうですね。まずは、ジノさんは何かと頭の中が複雑でしょうから、どこかで一日ゆっくり休養を。そうだ、前に私と釣りをした別荘を覚えているでしょう?そこがいいですね」
ノリノリのチェ館長^^;
ジノ 「・・・。」
チェ館長 「一緒に行こう…っていうわけじゃありませんから、そんなに緊張した顔をしなくていいんですよ」
ジノ 「(フッと笑う)」
——–
館長室へ戻ったチェ館長は、別荘の管理人に連絡し、キレイに掃除しておくようにとイニに頼みます。
「チョン・ジノ所長がしばらく使うから」と。
——–
子ども休憩室がとうとう完成の日を迎えました。
華やかな花や風船が飾られる中、楽しそうに遊ぶ子どもたち。
チェ館長がお客様を案内して入って来ます。
その後に続くのはイニ。
イニ 「お疲れ様、パク・ゲインさん。想像してたより…いいわね」
ケイン 「(笑顔を見せ)ありがとう」
お次はサンジュン。
サンジュン 「おやおや!いや~~!立派だ!」
ケイン 「全部サンジュンが励ましてくれたお陰です」
サンジュンは持って来た花束を渡します。
サンジュン 「こんな日はジノも一緒に来てお祝い出来れば良かったのに…」
ケイン 「・・・。」
ジノのことをアピールしたくて言ってみたものの、黙り込んでしまったケインに何も言えなくなって退散する彼。
そこへ、花束を小脇に抱えて入って来たのは…父、パク・チョラン教授でした。
ケイン 「…お父さん!」
はにかんだようすで、不器用に笑顔を見せる父。
——–
二人は、静かなロビーに座り、話し始めます。
パク教授 「残酷な真似をするつもりはなかった。母さんのいないまま育つお前が辛くてみていられなかった」
ケイン 「私に怒っていらっしゃるんだとばかり…思ってました。お母さんが私のせいであんなことになったのは覚えていなかったけど、無意識の中で、お父さんにすごく憎まれるんじゃないかって…いつも機嫌ばかり伺っていた気がします。だから、いつも良い姿をお見せしようとしたんだけど…そのたびに失敗ばかりで」
パク教授 「私はとても…利己的だったようだ。自分の感情ばかり考えて、お前がどんな気持ちでいるのか…一度もまともに考えたことはなかったな…」
ケイン 「…分かります。お母さんのこと…すごく愛していらっしゃったから」
ハッとしたように顔をあげ、ゆっくり娘を見るパク教授。
パク教授 「お前のことも…母さんと同じくらい愛していた」
ケイン 「…!」
パク教授 「母さんの写真を処分して地下室を閉鎖したのは、お前が何も覚えていなければいいと願ったからだ」
ケイン 「・・・。」
パク教授 「言い訳のようだが、母さんと同じ事をするお前を見て腹を立てたのも、一日も欠かすことなくケガをしている…その手に心を痛めたからだった」
ケイン 「…お父さん」
ケインの手をとり、大切そうに見つめるパク教授。
パク教授 「あの小さかった手が…いつのまにかこんなに大きくなったんだな…」
ケイン 「・・・。」
パク教授 「…ご苦労だった」
ケイン 「(涙を浮かべ)お父さん…」
これまで二人にわだかまりがあったのは、二人がお互いを思い、気を遣い合った結果。
何年ぶりでしょうか。父と娘は抱き合い、これまで心にのしかかっていた重しから解放されるのでした。
そんな二人の姿を遠くから見守る人影が。
それはこっそり現れたジノでした。
父娘の姿を嬉しそうに見届け、反対側へと歩き始めます。
泣いている娘から体をそっと離したパク教授…
パク教授 「もう泣きやもう。今日は楽しい日じゃないか。さぁ、行こう」
そううながされ、立ち上がって歩き出したケインは、向こうへ歩いていく見慣れた後ろ姿に気づきます。
慌てて追いかけるケイン。
入り口まで出てきたケインがジノの携帯を鳴らすと、すぐそばの壁の向こうから着信音が。
そこで立ち止まったケインは、ジノの後ろ姿に向かって話しかけます。
ケイン 「どうしてまだ私の周りをこっそりウロウロするんです?」
ジノ 「…ウロウロしたことはありません」
ケイン 「全部知ってるわ。仕事中、眠ってしまったとき、上着をかけてくれた人…ジノさんだって」
ジノ 「・・・。」
ケイン 「これでもウロウロしたことはないって?嘘ばっかり…。私の前に初めて現れた瞬間から今まで、全部嘘ばっかりよ!」
ジノ 「そうです…全部嘘なんです。だから、今僕がここにいるのも…嘘だと思って下さい」
ケイン 「・・・。」
ジノ 「出食わさない方がいいだろうから、ケインさんがいる間に荷物を引取りに行きます」
こんなに冷たいことを言いながら、ジノの心の中はそうでないことをよく分かっているケイン。
それでも、どこまでも悪者のフリをするジノに、彼女はこれ以上かける言葉が見つかりません。
ジノ 「もう…二度と会うこともないでしょう」
一度もケインを振り向くことなく去っていくジノ。
ケインは黙ってその後姿を見送ります。
——–
誰もいないサンゴジェへ来て、荷物をまとめたジノ。
家の中のあちこちに、ケインとの思い出が蘇ります。
———
子ども休憩室の完成披露を無事済ませたケインは、館長室へ来ていました。
笑顔でケインに握手を求めるチェ館長。
チェ館長 「おめでとうございます、パク・ゲインさん。最初はあんなに戸惑っていたのに、結局は立派にやり遂げましたね」
ケイン 「ありがとうございました。私自身を試す機会をくださって…。実は私も…やり遂げられるとは思いませんでした」
チェ館長は満足そうに軽く手を叩き、席を勧めます。
チェ館長 「ところで…チョン・ジノ所長を見かけませんが…」
ケイン 「…別れたのに、来る方がおかしいでしょう?」
チェ館長 「…そう言いながら、待っていたんでしょう?」
ケイン 「・・・。」
チェ館長 「本当にこのまま別れる決心をしたのなら、そうなさい。でも、少しでも未練が残っているのなら、もう一度だけ手を差し伸べられるんですが」
ケイン 「・・・。」
チェ館長 「チョン・ジノさんは今、私の別荘にいるはずです。頭を冷やすのも兼ねて、行ってくるように言ったんです」
ケイン 「…私にそんなことを教えてくださる必要はありません」
チェ館長 「…ガッカリですね。私がチョン・ジノさんのことを諦めたとき慰めになったのは、その相手がパク・ゲインさんだったからです」
ケイン 「・・・。」
チェ館長 「パク・ゲインさんなら…チョン・ジノさんを大いに愛し、大切にし、信じてくれるだろうと思ったんです」
ケイン 「そう言ってくださっても…もうどうしようもないんです。彼にとって…私はもう必要のない人間だから」
チェ館長 「チョン・ジノさんをその程度しか信じていないということでしょう。分かりました。それでは、私もこれ以上…二人の未来に関わるつもりはありません」
ケイン 「・・・。」
——–
帰宅したケインは、ソファで父と寛いでいました。
リンゴの皮を剥かず、横に真っ二つに切るケイン。
それをそのまま大きな口を開けてかじります。
パク教授 「こいつ…りんごの食べ方は相変わらずだな」
ケイン 「(笑って)こうやって食べると美味しいんですよ」
自分は一口大に切ったリンゴを食べていたパク教授は…
パク教授 「私も一つもらおう」
ケインが真っ二つに切ったリンゴを受け取ったパク教授は、何かに気づいてじっとリンゴを見つめます。
パク教授 「これは…!」
ケイン 「どうしたんです?」
納得したように微笑むパク教授。
パク教授 「そうだったのか…。チョン・ジノ、あの青年の設計図がどこか見慣れないものだったが…この ” リンゴ ” だったんだ」
ケイン 「設計図のコンセプトがサンゴジェじゃなくて…この ” リンゴ ” だったと?」
>>回想
お詫びのしるしとして、ジノに自作のリンゴ(「謝罪」と同音異義語)をプレゼントするケイン。
ケイン 「私の사과 (リンゴ・謝罪)を受け取って下さい」
>>回想終わり
パク教授 「サンゴジェにやって来た理由がどうであれ、あの青年は君と付き合ううちに新しい計画を立てたんだろう」
慌てて立ち上がるケイン。
ケイン 「お父さん、ちょっと…行ってきます」
パク教授 「…どこへ?」
ケイン 「遅くなるかもしれないから、待ってないで寝てくださいね」
——–
チョン・ジノ所長はもちろん濡れてもイイ男。
湖の水面に激しく打ちつける雨を見つめながら何を思う…?
そこへ後ろからそっと傘を差し出したのは…
イニでした。
イニ 「このまま湖に飛び込んでしまったらどうしようって…」
ジノ 「ここに何の用です?」
イニ 「別荘で必要な物を揃えに」
ジノ 「その必要はありません」
イニにそっぽを向いたまま立ち去るジノ。
——–
ケインは大雨の中タクシーを飛ばしていました。
ケイン 「(電話で)館長、別荘の住所を教えていただけますか?」
——–
別荘に入り、着替えたジノはどうやら体調を崩した様子…。
センチメンタルに雨に打たれて、あっという間に風邪ひいちゃダメっしょorz
イニ 「どうしました?大丈夫ですか?」
ジノ 「えぇ…大丈夫です」
イニ 「(ジノの額に手を触れ)熱が高いわ」
ジノ 「(その手を退かせて)少し休めば良くなりますから」
イニ 「・・・。」
ジノ 「遅いから帰って下さい」
イニ 「病気の人を置いていけるわけないわ。解熱剤もないのに…大変だわ」
ジノ 「・・・。」
イニ 「体調を崩しても当然だわ。ジノさん、これまでいろいろと無理したでしょう?」
ソファの背もたれに力なくもたれかかり、目を閉じるジノ。
イニ 「しばらく待ってて下さい。解熱剤がないか探してみますから」
立ち上がったイニを、ジノが止めます。
ジノ 「キム・イニさん」
イニ 「?」
ジノ 「…帰って下さい」
イニ 「・・・。」
ジノ 「目の前にいても…僕にはキム・イニという人を見る余裕がないんです」
イニ 「・・・。」
ジノ 「今僕が辛いのも…もしかしたら他の誰も目に入らない…心のせいかもしれません。帰って下さい…」
イニ 「今すぐあなたの心が欲しいんじゃないんです。1年でも2年でも…ずっと傍でわずらわせて、怒らせて…。そうしてるうちに腐れ縁になるかもしれないわ。いつか、そばにいないと寂しい存在になるかもしれないから」
首に掛けたタオルをスルリと外し(←このけだるさがたまらん)、立ち上がったジノ。
イニ 「どこへ?」
ジノ 「車で寝ます」
——–
失意のイニが別荘からでてくると、反対側からケインがやって来ます。
イニ 「ジノさんに会いに来たの?」
ケイン 「あんたが…どうしてここに?」
イニ 「どうしてって?あんたがいなくなった場所に、あたしがいてもおかしくないでしょう?」
ケイン 「・・・。」
イニ 「それにあんた、ジノさんと別れたでしょ?」
ケイン 「私のジノさんの間に、あんたが入る場所はないわ」
イニ 「…あたし、心からあんたが嫌いよ!いい子ぶってるのが最初からウンザリだった」
ケイン 「・・・。」
イニ 「正直に言ってみなさいよ。友達なんかじゃなくて、可哀想な子の面倒を見るつもりであたしと住んでたんじゃないの?」
ケイン 「あんたは私にとって…家族だったわ!あんたもそうだったでしょ?」
イニ 「違うわ。あんたの家に居候するために、家族のフリをしてただけよ」
ケイン 「家族のフリを…?」
イニ 「あんたが憎らしくて死ぬほど嫌いだったけど、居候するには仕方ないでしょ!」
ケイン 「お父さんに怒られるたびにあんたがそばで助けてくれて、お母さんの写真を探そうとしたら、家中のゴミ箱まで探してくれたこと…
あれは何だったの?」
イニ 「・・・。」
ケイン 「それが家族のフリだと言えるの?!」
強がっていたイニの目に涙がにじみます。
イニ 「そうよ!心にもないことをするのはホントにウンザリだったわ」
ケイン 「嘘言わないで!心にもないことを言うのはウンザリしないの?!」
イニ 「心にもないことじゃないわ!私はあんたが憎い!憎すぎて死にそうよ!!!」
ケイン 「・・・。」
イニ 「私には何も手に入らない。死ぬほど手に入れたくても!」
ケイン 「・・・。」
イニ 「それなのにどうしてあんたは…全部手に入れられるのよ?」
ケイン 「手に入れようとしたことはないわ」
優しいまなざしになり、じっとイニの目を見つめるケイン。
ケイン 「…ホントにバカみたい。あんたは気づいてないのよ。自分がどれだけ恵まれているか」
※「恵まれている」は、その前に何度も出てきた「手に入れる」と同じ言葉(갖다 :持つ)が使われていますが、訳文では言葉を変えました。
————–
ここで一旦区切ります。
続きも頑張りまするっ!
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