太王四神記最終回【幻のオリジナル台本】vol.3
「太王四神記最終回【幻のオリジナル台本】vol.2」の続きです。
太王四神記最終話は、実際に放送された内容もとても素敵なのですが、作家が書いた脚本はかなり違っている部分があり、大変話題になりました。
放送では分かりづらかった「え?結局どうなったの?」という部分がもう少し分かりやすく書かれているのが特徴。
ここではそのオリジナルシナリオから、終盤の部分を選んで訳し、ご紹介しています。
原語シナリオはいろいろなサイトにアップされているのですが、
興味のある方はこちら(※別窓で開きます)を。
私の記事には日本語訳だけを載せます。
さて、手に握り締めた朱雀の心臓を胸にあてるスジニ。
そう、2000年前、ファヌンから習ったように…。
すると、まぶしい光が四方に広がり、彼らを包みます。
そして…?
〇白い光
白い光の空白。
少しの間、まばゆく光った後、ナレーションが流れ始める。
ヒョンゴの声:
高句麗の始祖、朱蒙王が国をお建てになり、
父は天の子、母は河の神の娘でいらっしゃった…。
(ヒョンゴのナレーションは、1話で、ファヌンの神話をスジニに語って聞かせるときと同じ口調で)
〇アブルラン寺 入り口
チョロとチュムチ。
戦っていた火天たち全てが眩しさに目を覆いながら天を見上げる。
明るい日差しが降り注いでいる。
〇戦場
痛みに苦しんでいたヒョンゴが顔を上げた。まばゆい光。
そこへ再び流れるヒョンゴのナレーション。
〇国内城 全景
〇国内城内の通り
人々が活き活きと行き来する姿。
その中を、チョロが槍を胸元に抱いて歩いて来る。
ある所を通り過ぎるとき、何かを感じ、にっこりと微笑む。
そして、さっと横に避け、場所を開ける。
その瞬間、その空いた場所に攻撃しながら飛び込んできたのは…チュムチ。
もう一度攻撃するが、機敏に地形を利用して避けるチョロ。
全く戦う気もないようだ。
チュムチに大きなカゴを投げつける。
チュムチがカゴをどけてもう一度視線を戻したとき、もうチョロは姿が見えなくなっていた。
ヒョンゴの声:
高句麗の第17代太王。
名を広開土境平安好太王という。これが何を意味するかというと、
領土を広げ、国をとても平和にし、
愛すべき太王陛下だ…という意味だ。
〇兵舎の一角
弓手たちがわいわいと集まり、歓声を上げている。
その中にある何かを見ながら興奮し、応援しているところだ。
人をかき分けて中を覗いてみると、その中では盛んに酒の飲み合いが繰り広げられていた。
弓手の鎧を着たスジニが、いかつい兵士と酒の早飲みをしている最中だ。
大きな甕(かめ)をそれぞれが一つずつ持ち、飲み干そうとしている。
横にはすでに空になった甕が転がっている。
スジニが先に飲み干した甕を頭に乗せ、空になったことを周りに見せると、ドーンと下へ置いた。(このときようやくスジニの顔がはっきり映る)
相手はまだ飲んでいる。飲んでいるうちにそのままの体勢で倒れてしまう。
スジニの勝ちだ。
応援していた者たちは、うわ~と歓声を上げた。
スジニは自分の胸をこぶしでトントンと叩き、 意気揚々としている。
ヒョンゴの声:
太王は戦争よりも政治に長けたお方だった。
碑文にはこう書かれている。
「太王の恩恵は天にまで届き、
太王の偉力は世界じゅうに広がった。
民は安心して自分の仕事に精を出し、
国は富み、平和で、五穀は豊かに実った…。」
〇練武場
幼い(?)が全力で剣を奮い、相手を攻撃している。
(髪は乱れず、タムドクのように後ろに束ねてある)
ヒョンゴの声:
太王が望んだのはただ一つ。
百年続く平和だった。
その百年後は、またその後の人たちの物だ…そうおっしゃった。
そのとき、稽古の相手が見える。
タムドクだ。
楽しそうに武術の稽古をつけてやっているところである。
その側で微笑みながら見守っているのは、年老いたコ将軍。
タムドクは最後に攻撃してきた(?)の手首を掴み、捕まえると、反対の腕を引き寄せて抱きしめてやる。
とても可愛くて仕方がないようすで…。
ヒョンゴの声:
しかし太王は39歳で若くしてこの世を去ってしまった…。
その息子、長寿太王は父の土地を更に広げたんだ。
そう…、百年、百年間平和が続いた。
〇コムル村
コムルの弟子たちがあわただしく記録書の山を運んでいる。
字幕:西暦668年、新羅、唐連合軍により、高句麗滅亡
ヒョンゴの声:その平和は200年を少し超えて続いただろうか…。
〇コムル村 内部
荷車に積まれる記録書の山。
弟子たちは荷車を押して走っていたが、その前方から現れた唐の兵士たち…。
弟子たちは抵抗するが、一人、また一人と死んでいく…。
唐の兵士たちは荷車の上の記録書を一箇所に投げて積み上げた。
その上に火がつけられる…。
少しずつ強く、火柱が上がり始める。
字幕・唐軍により、高句麗の全歴史記録 消失
その火柱は激しく燃え上がり、画面を覆い尽くす。
〇現代 / 仁川空港 外部
きらびやかに煌めく何か…。
カメラを引くと、無数に通り過ぎる自動車のタイヤ。
行き来する人々の足。
信号が青に変わる。
あわただしく走ってくる二人の人。
それぞれリュックサックを背負った二人は、現代人のヒョンゴと幼いスジニだ。
ヒョンゴは旅行かばんを引きずって走っていた。
スジニ:
けれど…その話は碑石だけに記された…そうでしょ!
ヒョンゴ:西暦668年、唐のやつらが攻め込んできたとき、高句麗の歴史全てが…
灰になってしまった…そういうことだ。
高句麗の歴史100編、(?)集5編、 残ったものはひとつもない。
あ~~~、もったいない!
スジニ:あそこだ!あそこですよ!
彼らが急ぐ側で、団体観光客たちがガイドの説明を聞いている。
ガイド:
3日目はホテルで朝食をとり、 「チバンシ」へ向かいます。
そこは高句麗の3番目の首都があったところで、
まさにそこに広開土太王碑がある、その場所なんです。
まず、その太王碑を見学されることになりますね。
スジニ:
(ヒョンゴをぽんと突付いて小声で)太王碑だって。
それって、その 広開土…好太王…碑文、でしょ!
ヒョンゴ:シーッ!
ガイド:
あらかじめ申し上げますが、この太王碑は手を触れることができません。
防弾ガラスの中に入っていますので…。
写真撮影も禁じられています。
スジニ:そんなのってあり~?私たちの物なのにさ!
ヒョンゴ:あ!シーッ!!
その側を無心に通り過ぎていく人々。
少し離れたところに、旅行かばんを引き、急ぎ足で歩いていくある男の後姿。
髪が長く…ひょっとしてチョロ?
また、少し離れたところでは、タクシーをとめようとしている別の男の後姿。
その上品なスーツ姿は…ホゲでは?
行き来する無数の人々。
まるでその中のどこかを四神が通り過ぎ、
そして、もしかするとその中に新しい太王がいるかのように…
カメラでは彼らが誰なのか確かめることが出来ない…。
+-+-+ 終わり +-+-+
ドラマは脚本を元に現場で作り上げていくもの。
ですから、このシナリオは「本当はこうなるはずだった」ということではありません。
太王四神記最終回が曖昧な形で終了し、解釈に悩んでいる人も多い中、
一つの読み物として楽しんでいただけたら…と思い、翻訳しました。
<追記>追加でもう1シーン翻訳しました。
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Comment
幻の最終回の台本をずっと見たいと思っていました。
やはり、文字で細かな描写を拝見すると、各々の登場人物の想いや動きが生き生きと伝わって来るような気が致しました。
そして、今も何処かで生きているような、そんな気持ちになれました。
翻訳して下さってありがとうございます。
>Momo Misakiさん
喜んでいただけてとても嬉しいです。
放送が終わり、この映像にならなかったシナリオをゆっくり読んでみると、
思いがけない場所で好きな人に合った気分のような…、
映像になっていないところでも彼らが本当にいるような…、
そんな気がしてきますよね。
映像になればもちろん良かったのですが、文字から彼らの様子をあれこれ思い浮かべるのも楽しいです。
お返事を頂いた上に、MIXIにもお越し下さってありがとうございました。
これまで韓国ドラマを見ても、いつも字幕や吹き替えに頼ってばかりで、言葉を理解しようと思ったのは「太王四神記」が初めてでした。
ユ心私さんのBlogで勉強させて下さいね。
>Momo Misakiさん
>MIXIにもお越し下さってありがとうございました。
そんな~(;^_^A
黙って素通りしてしまって…失礼しました。
私はたまたま初めて見た韓国ドラマで「言葉を理解したい!」と思ったのですが、Momo Misakiさんはそう思われるきっかけが太王四神記だったんですね。
それだけ俳優さんの一言一言に魂がこもっていて素敵だったんだと思います(*^-^)
「太王四神記で韓国語を覚えよう」と思えば、見終わったこれからも長い間ずっとこのドラマと付き合っていけますね。
自分の勉強も進めつつ、これから勉強をされる方にもお役に立てるようなブログにしていきたいと思います。
これからもどうぞよろしくお願いしますね。
ありがとうございます
なんだか、すっきりしたーーー
最終回には本当にがっかりしてしまって
やっぱり、韓流って最終回が最低だね
という、私の周囲の一致した意見になってしまいました。
でも、このサイトに偶然出会って
喉の奥に刺さって、長い間とれない
魚の小骨がやっととれたという感じの気持ちよさです。
脚本通りだったら、よかったのになー
チョロが、現代にシルエットをみせてほしかったな~~
ファンタジックだったと思います
そして、歴史の深い韓国にもっとひかれたと思います。
最終回だけ作り足してほしいなぁ
でも、紹介して下さって、本当にありがとうございました。
>chikakoさん
コメントありがとうございます。
魚の小骨はやっかいですよねー
やっと取れて良かったです(*^-^)
長く準備を重ねて制作された、これだけ大規模なドラマですから、
最終回に残念な思いが残るのは、本当にもったいないことだと思います。
私は、ホゲがキハの真実をタムドクに告げてやるシーンがぜひ見たかったので、
脚本を読んで実際の映像を想像してみました。
現代のチョロのシルエットもみたかったですね(*^-^)。一瞬でも、すごく心に残るだろうな~。
お楽しみいただけて嬉しかったです。
久しぶりに太王四神記をまた見たくなりました。
ぜひお礼が言いたくてコメントしました!幻のシナリオを紹介してくださってありがとうございました!
プライムビデオで「信義」をみて、イ・フィリップさんが気になり「太王四神記」も配信していたので見てしまいました♡
最終話にスッキリできず、あと少々ロス気味でいまして(笑)同じ感想の人がいるかと検索してみたら……ここにたどり着きました。ほんとにありがとうございました!