太王四神記最終回【幻のオリジナル台本】vol.1
映像になった物が全て…。
それが基本ではあるのですが、オリジナル台本が変更になってしまった場合は、ぜひ「どのような内容だったのか」を知りたいですよね。
太王四神記最終話は、映像にならなかったオリジナル脚本が存在します。
特に気になる部分を抜粋し、訳してご紹介しようと思います。
太王四神記最終回の放送をご覧になってからお読みになることを
強くおすすめします。
原語シナリオはいろいろなサイトにアップされているのですが、
興味のある方はこちら(※別窓で開きます)を。
私の記事には日本語訳だけを載せます。
クライマックスの戦闘シーンが佳境に入ったあたりからです。
一部、情景を描いているだけのト書きは省略した部分もあります。
〇戦場の一角
タムドクは気を引き締めてアブルラン寺へ向かって走っていた。
タムドクが後ろを振り返る。
ホゲが追いかけて来る。
タムドクが他の方向を見ると、スジニが彼に向かって馬を走らせていた。
タムドクがスジニに向かって叫ぶ。
タムドク:先に行け!子どもを探すんだ!
スジニがタムドクの横を通り過ぎる。
タムドクは馬を振り向かせ、ホゲに向かい合った。
〇ホゲとタムドク
タムドクとホゲが互いに向き合って馬に乗っている。
激突だ。
激しい決闘が始まる。
戦うホゲの耳にふと聞こえてくるキハの声。
キハの声:行って来て下さい。お待ちしていますから。
ホゲは戦いながら大声で言った。
ホゲ:彼女がお前に話があるそうだ。
ーー:行かせてやろうか?
〇アブルラン寺 前
スジニはアブルラン寺へ向かっていた。
その道を塞ぐ敵たち。
スジニに向かって集まってくる。
スジニは続けざまに矢を射るが、敵の数が多すぎて目処が立たない。
スジニがほとんど敵たちに包囲されようとした瞬間、
スジニの後ろから、フッケ将軍がいくらかの兵を連れて駆けつけ、敵と交じり合った。
スジニを攻撃しようとしていた者たちは、フッケ将軍の剣に倒れた。
フッケ将軍と目が合うスジニ。
スジニは緊迫した様子でフッケ将軍の後姿を見た。
敵たちが一斉にフッケ将軍に向かって飛びかかろうとしていた。
スジニはその者たちに向かって矢を構えるが…
フッケ:何グズグズしてる!このバカ!早く行け!!
スジニの目に涙が溢れるが、馬を振り返らせ走り去る。
その後ろを防ぐフッケ将軍。
スジニを追おうとする敵たちを防いだ。
そうしているうちに、背中を刺され、それでも踏ん張って反撃する。
再び、他の者に刺されるフッケ将軍。
フッケ将軍を刺した者がスジニを追っていこうとするが、フッケ将軍がそれを捕まえる。
それを盾にして他からの攻撃を防いだが、相手があまりに多すぎる…。
スジニは泣きながら馬を走らせていた。アブルラン寺に向かって。
〇タムドクとホゲ
タムドクが反撃する。
いまや、二人とも馬から落ち、地を転げ周り、息を荒げていた。
タムドク:お前…、お前が私の息子をさらったのか?
その声に驚いてホゲがハッとして後ずさる。
タムドク:もう天も必要ないお前たちが望んだことか?
=== :罪のない子どもの心臓を取り出し、天の力を盗むことが?
=== :その場にあの女もいるのか?
激怒したタムドクが狂ったようにホゲを押しやる。
ホゲは辛うじてタムドクの攻撃を防ぎ、尋ねた。
ホゲ:自分の息子だと?
タムドク:そうだ。私の息子。私の父を殺した女が産んだ、私の息子だ。
ホゲは攻撃を防ぎながら、虚しく微笑んだ。
そして、ふたたび叫び声をあげてタムドクを攻撃する。
死ぬ気で飛び掛ってくる彼の攻撃に、タムドクが後ろへ追いやられる。
後ろに倒れそうになりながらも、何とか持ちこたえた。
ホゲが攻撃の手を止める。
ホゲ:彼女ではないんだ…。
タムドク:戯言をやめて道を開けろ!
攻撃しようとしたが、ホゲは動こうとしない。
タムドクが下ろした剣がホゲの肩を裂き、刻み込まれる。
タムドクが驚いて彼を見る。衝撃で苦しみながらホゲが再び立ち上がる。
ホゲ:お前の父は自決したんだ。私の父のように…。
ホゲ:我々に王になるよう乞い、我々に問いもせず、自分たちの勝手で死んだんだ。
タムドクは衝撃を受け、剣を落とし、後ずさりをした。
何も言うことが出来ない。
ホゲ:彼女はただ何も言えなかっただけだ…。
「あーーーっ!」と苦しい叫び声をあげて、ホゲが肩に突き刺さっているタムドクの剣を抜く。
地面に落ちる剣。
片腕が動かず、反対の腕で剣をふたたび掴むホゲ。
ホゲ:そのくらい、お前が分かってやるべきだろう?
ホゲ:そうでなければ、私が無念で仕方ない。
ホゲ:そんな女だから…お前のことしか考えていない女だから…
ホゲ:私にはどうすることも出来ない…。
茫然と立ちすくむタムドクに、ホゲが声をかける。
ホゲ:剣を取れ。ちゃんと終わらせてみろ。
ぼんやりと、地面に落ちた剣を見るタムドク。
ホゲが叫び声をあげて走ってくる。
タムドクは反射的に剣を取り、反撃する。
ホゲにはそれほど反応する意志がなかった。
その剣は腹に突き刺さった。
ガクッとひざまずくホゲ。
タムドク:(大声で)どうして…!
ホゲの腹に刺さった剣を引き抜く。
タムドク:言わなかったんだ…なぜ!!
ホゲ:(ひざまずいたまま、微笑んで)お前は…チュシンの王じゃないか…。
後燕の兵士たちが後ろに迫っていた。
しかし、両横に駆けて来たコ将軍とその部隊が立ちふさがり、攻撃を防いだ。
タムドクは後ろで起きている戦闘には目もくれていない。
タムドク:(ホゲに)おい!
ホゲ:彼女を助けてやってくれ。
ホゲ:お前にはできるじゃないか。私には出来そうにない…。
タムドク:ホゲー!
ホゲ:行けよ。 チュシンの王…遠い昔の…私の友…。
崩れ落ちるホゲ。
彼らの周囲を囲んでいる後燕軍とコ将軍の部隊。
コ将軍がタムドクに攻撃しようとした者を防いで叫ぶ。
コ将軍:早くお行きください、陛下!
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ここからは、スジニがアブルラン寺へ侵入したことを察知し、「誰も入れるな」と刺客を向かわせる大長老。
そして、キハが、大長老に連れて来られたアジクと初めて顔を合わせる場面に続きます。
どちらも実際の放送で採用されているシーンですね。
映像にならなくて一番残念だった、ホゲがキハの疑いを晴らしてやるシーン。
目を閉じると彼らの表情や口調、息遣いまで鮮やかに思い描くことが出来ます。
ぜひ、見たかったですね。
また、ホゲとタムドクが戦いながらお互い相手を呼ぶときの呼び方は、
現代でも普段仲のいい友人を呼ぶときの「너 」。
いろいろと迷った末に「お前」にしました。
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