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スイッチ-世界を変えろ 16話 あらすじ&日本語訳

   

チャン・グンソク主演SBS韓国ドラマ『スイッチ-世界を変えろ』16話あらすじを、セリフの日本語訳を混じえて紹介していきます。

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立ち尽くすチェ・ジョンピル前総理の前を通り過ぎ、クム・テウンは一番奥の席に腰を下ろした。

チェ前総理「お前、私の席で何をしとる?」
クム代表「我々南山クラブにも変化が必要です。より深く、より強いリーダーシップを持つ真のリーダーが」

「ははは、こいつ、戯言を言いおって」静まりかえる一同を前に、前総理の笑い声は怒号に変わる。「何をしとる!早くそいつを退かせんか!」
「…。」「…。」皆、顔を見合わせ、黙り込むばかりだ。

クム代表「落葉し北風が吹いたらお見送りするつもりでしたが、少々予定を早めました」
前総理「!」
クム代表「新たなキングを立てるためには、新たなキングメーカーが必要じゃありませんか」

「!」前総理に睨まれ、チョン・ドヨン検事長は前を見据えたまま身じろぎ一つしない。

メンバー「総裁、我々もクム代表が南山を率いるのにふさわしい人物だと思います」
メンバー「その通り。我々は未来の価値を考えたのです」
メンバー「お年も召していらっしゃいますし、そろそろ退かれたほうがよろしいかと」
前総理「!!!」

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この日に向けて、キム室長は南山クラブのメンバーひとりひとりを訪ねた。
ある者には賄賂を渡し、ある者には裏金の証拠を突きつけて脅し、金と力でねじ伏せたのだ。

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前総理「クム・テウン!クーデターを起こすとは!!!」
クム代表「…。」
前総理「ケ・チュンシク、お前が殺したろ。あの1000億で南山クラブを買収したのか!」
クム代表「花は咲いてこそ美しい。萎れれば醜くなるものじゃないですか」

以前、前総理に言われたことを、クム代表はそのまま突き返す。
「!!!」怒りと屈辱に震えチェ前総理は階段を上がった。

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「クム・テウン…」帰りの車で、チェ前総理は不敵に笑った。「この私を裏切るとは」

チェ前総理「私はチェ・ジョンピルだ。必ずや後悔させてやる!はははははっ」

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K貯蓄銀行へ出向いていた捜査員たちが、渋い表情で戻ってきた。

イム係長「頭取が身投げした前後きっかり2時間、保安システムがダウンしていたそうです」
ペク検事(ドチャン)「ダウン?」
ハラ「計画的犯行です。しかも建物の保安システムを操作したってことは、並大抵のヤツらじゃない」
コ係長「そのとおりです。2、3時間ダウンして、ちょうどその時間だけ防犯カメラの映像がないなんて、おかしいじゃないですか」
ハラ「他殺に間違いないわ」

一同に緊張が走った。

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「ペク・ジュンスとオ・ハラが捜査員を送り込み、K貯蓄銀行を調べていったそうです」キム室長からクム代表へ報告が入る。

クム代表「ペク・ジュンス、オ・ハラ?!」
キム室長「…。」
クム代表「検事長を呼べ」

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車に乗り込むチョン・ドヨン検事長は、苛立ちを隠せなかった。「呼びつけやがって、何様のつもりだ?!」

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チョン検事長が部屋に入ってきたのを見て、クム代表はいつになく気が立った様子でネクタイを解いた。「国のトップを狙う御方にしては、部下の管理が疎かでは?」

クム代表「ペク・ジュンスが頭取事件の匂いを嗅ぎつけたようです。オ・ハラ検事と一緒に調べて回ってるとか」

「処置いたします」チョン検事長がすっと目を逸らして言う。

クム代表「処置?処置ではなく”整理”では」
検事長「検事は一人ひとりが独立した司法機関です。捜査をしているからと言って、切り捨てることは出来ません。理由なく異動させれば、むしろ検事たちが反発を…」

言い終わらないうちに、クム代表は検事長の脛を蹴り上げた。「!!!」
その場に崩れ落ち、検事長は目を丸くする。「なんてことを!」

クム代表「チョン・ドヨン、まだ状況がわかっていないのか」
検事長「…?」
クム代表「お前をキングに仕立て上げられるというのは、滅ぼすことも出来るってことだ」
検事「!」
クム代表「俺がまだ漢江の橋の下でこっそり会っていたチェ・ジョンピルの秘書にしか見えないか!!!」

大きく見開いた検事長の目が、血走って真っ赤に染まっていく。「!!!」

クム代表「お前が食ってきた餌、与えたのは俺だ。飼い主が吠えろと言ったら… 黙って吠えろ」

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K貯蓄銀行財務チーム、若手の女性主任ハン・ジヨンは、ニュース記事をじっと見つめていた。
頭取が1000億もの賭博の借金を負い、投身自殺したと報じる記事だ。

『賭博の借金を苦に自殺したケ・チュンシク氏が横領した金額は1000億規模に達するという内部者の陳述が衝撃を与えている。ケ頭取は投身前、特に変わった様子はなく、頭取室で役員たちに”いつもどおり顧客対応に最善を尽くすよう”と話した後、夜中まで一人で過ごし、その後屋上へ上がったと言われている。警察はケ頭取の横領容疑に…』

周囲の女子行員たちは仕事どころではない。

「代表が横領で死んじゃったら、うちの銀行潰れるんじゃない?」
「仕事探さなきゃダメかなぁ」
「まさかぁ」
「1000億も飛んじゃったってさ。よくやるわよ。それも賭博だなんて」

「!」ハン・ジヨンはバンとテーブルを叩いた。「誰が仕事中に雑談しろって言った?!」

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ハン・ジヨンは銀行を出て、近くの公衆電話ボックスに入った。

トゥルルル
鳴ったのは、ソウル中央地検刑事6部、ペク検事の部屋の電話だ。
「ペク・ジュンス検事室です」コ係長が電話を取った。

ハン・ジヨン(電話)「あの… K貯蓄銀行の横領のことでお伝えしたいことが」
コ係長「K貯蓄銀行ですか?!」

「!」「!」ペク検事(ドチャン)とハラが同時に立ち上がり、自分のデスクの受話器を耳に当てた。

コ係長「どうぞ、お話しください」
ハン・ジヨン「ケ・チュンシク頭取は… 1000億、賭博でフイにしたんじゃありません。それは誰かの指示で」
コ係長「指示?誰のです?」
ハン・ジヨン「ところでこれ、秘密は守ってくださるんですよね?」
コ係長「もちろん。何も心配せず、どうぞ気楽に」

「… やっぱり無理です、すみません!」ハン・ジヨンはどうしてもあと一歩の勇気を出せず、電話を切ってしまった。

ハラ「発信地を調べて、誰なのか確認してください」
コ係長「はい、わかりました」

発信元の公衆電話を突き止め、実地に出向いたコ係長は、近くに停まっていた車のブラックボックスの映像から、情報提供者を割り出した。
「K貯蓄銀行の財務チームにいるハン・ジヨン主任だそうです」あっという間に写真付きで彼女の身元がハラたちに報告されたのた。

#こわ~。むしろ怖いわ。

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ハラは度肝を抜く正攻法だ。
退勤するハン・ジヨンにK貯蓄銀行の前で直撃し、名刺を出した。「私たちに連絡をくださいましたよね」

ジヨン「!」

「いいえ、連絡してません」ジヨンはハッと周囲を窺い、逃げるように歩き出す。

ハラ「亡くなった頭取とよく面談なさっていたそうですね。財務状況も報告なさっていたとか」

「連絡してませんから!やめてください」そう言い捨て、ジヨンは立ち去った。

ハラ「…。」

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「次!」検事たちが集まる会議で、チン次長の声が響いた。「キル・デロ」

チン次長「K貯蓄銀行の事件、どうなってる?」
キル検事「はい、頭取の死亡事件は自殺で終結しました。それにしたがい、横領の容疑も公訴権なしということで締めくくる予定です。もうすぐ報告書を提出します」

「そう。お疲れ様」チン次長が微笑む。「これは終わりね。次!」

#何ごとも、期待して裏切られた時の下降ぶりったら凄いよね、ホント。

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「検察は困ったもんだ」ドチャンが向かったのは、アジトだった。
スクリーンに映し出されていたのは、K貯蓄銀行 財務チーム主任、ハン・ジヨンだ。

インテ「ハン・ジヨンの登録してる結婚紹介所のアンケートだ。希望する男性の職業1位は医者、2位も医者、紹介後の成功率も圧倒的に医者が高い」
ウンジ「あらま…」
ドチャン「ハン・ジヨンの明日のスケジュールは?」
インテ「明日2時、ソウル病院皮膚科に予約してます!」

ドチャンがハンドスピナーをピンと弾いた。「OK、セッティングしよう」

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翌日2時。ハン・ジヨンはソウル病院のロビーにいた。
後ろのテーブル席で、看護師たちがお喋りしているのが聞こえる。
「来ないなぁ」そう言ってキョロキョロしながら、チラリとジヨンを窺った看護師は…ウンジだ。

ウンジ「精神科の新しい先生見た?」
相手「ブライアン・キム?」
ウンジ「うん。超イケメンだよね。ジョンズ・ホプキンス出身なんだけど、アメリカで引き留められたの断って、うちの病院に来たんだって」
相手「はぁ!イケメンな上に仕事も出来るなんて」
ウンジ「それに、一番重要なのはね、独身なんだって!」

「!」背後から聴こえてくる耳寄り情報に、ジヨンは興味津々だ。

相手「恋人もいないの?」
ウンジ「映画みたいな運命の相手を待ってるらしいわ。私、アタックしてみようかな」

「来たわっ」ウンジが小声で言うと、向こうからクールなイケメン医師が歩いてくるのが見える。
白衣姿のドチャ… いや、ブライアン・キムだ。
「ブライアン先生」ウンジが小さく咳払いをして立ち上がった。

ウンジ「食事はお済みですか?」

「…。」ジヨンが顔を上げ、ブライアン医師をチェックする。

ブライアン「えぇ。先日カウンセリングをした自傷の患者、次はいつ来ます?」
ウンジ「昨日だったんですが… 来ませんでした?」
ブライアン「えぇ。Edipism(自傷による失明)の前兆がみえたんだけど…。ひとまずご家族に連絡して、Lexapro(鬱病の治療薬)と…」

「えっと…」ブライアン先生が言いよどむ。「…Abil」
「(なんだっけ?)」ブライアン医師がウンジに目で訴えた。

ウンジ「Abilify(鎮静剤)用意します!」
ブライアン「(うんうん)」
ウンジ「明日セミナーにいらっしゃいます?」
ブライアン「行かないとね。ありがとう」

「ピンポン」ジヨンの札の番号が点灯したようだ。
彼女が立ち上がると、すぐ前に座っていた包帯だらけの患者… ボン監督が松葉杖をすっと倒す。
「ドン!」つまずいたジヨンを、ブライアン医師が鮮やかに抱きとめた。

ジヨン「ハッ!(白衣をコーヒーで汚してしまい)どうしよう!すみません」

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「すみませんでした、先生」中庭のベンチで、ジヨンはお詫びのコーヒーを差し出した。

ジヨン「クリーニング代を…」
ブライアン「いえ、コーヒーで十分ですよ」

「ところで」ブライアンが彼女を覗き込む。「病院にはどうして?」

ブライアン「どこか悪いんですか?」
ジヨン「いいえ、皮膚科で」
ブライアン「あぁ」

「最近…」ブライアンにエンジンがかかった。「何かストレスのたまることがあったのでは?」

ジヨン「え?」
ブライアン「肌っていうのは脳に一番近い外部組織なんです。怪我をしたら、あっ痛い、そう感じるでしょう?末梢から送られた情報が後根神経節を通って脊髄に入り、その情報が脊髄灰白質から侵害受容ニューロンに…」
ジヨン「…。」
ブライアン「あ… すみません。いろんな人を相手にする職業なもので」
ジヨン「え?」
ブライアン「患者のことですよ」
ジヨン「あぁ」
ブライアン「つまり肌にトラブルがあるってことは… 」

「お名前は?」ブライアンが尋ねる。

ジヨン「ハン・ジヨンです」
ブライアン「ハン・ジヨンさんのメンタルヘルスに大きなリスクがあるってことなんです」
ジヨン「…。」
ブライアン「ひょっとして、人に言えない秘密があったりしませんか?」

「!」ジヨンの表情がこわばる。

ブライアン「医学論文誌メディカル・サイエンス2月号によると、言えない秘密を抱えている人は、そうでない人より3倍のドーパミンが分泌されているという研究結果が載っています。ドーパミンが過剰に分泌されたり、ドーパミンをノルアドレナリンに変える酵素が少ないと、精神分裂症に至る研究結果もあるんです」
ジヨン「ということは…」

「1日でも早く…」ブライアンは意味深な眼差しで彼女を見つめた。「心の中の秘密を誰かに打ち明けないと」

ジヨン「…。」

#「皮膚科」としか言ってないよ^^;;;

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後日…

ジヨンは再びソウル病院のロビーでブライアン・キムに遭遇した。
「ジヨンさん」ニコヤカに微笑む彼に、ジヨンは少し緊張した様子で切り出す。「今日、お忙しいですか?」
「今日?」ブライアンはそう言って、肩をひょこっとすぼめて見せる。

ジヨン「それじゃあ…」

そこへ、向こうから歩いてきた女性が、彼を見て立ち止まった。「?」
ハラの妹、記者のオ・ソラだ。

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ジヨンはブライアンと共に静かなカフェにいた。
「カモミール、いい香りでしょう」彼女のためにチョイスしたハーブティーを片手に、さっそくブライアン節が始まる。

ブライアン「こういったハーブは心身を安定させ、閉ざされた心を開き、神経を緩和する効果があるそうですよ」

「…。」ジヨンがカップのお茶を見つめる。

ブライアン「こういうところなら… 秘密を全部打ち明けたくなりませんか?」

ジヨンがハーブティーをすするのを、ブライアンは鋭い眼差しで見守る。「…。」
カップを置くと、ジヨンは注意深く口を開いた。「実は…」

「…。」ブライアンが目を細め、食い入るように彼女を見た。

ジヨン「すみません、言えそうにないわ」

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帰りの駐車場でジヨンがトランクから包みを差し出した。「母のキムチが美味しいので」

ジヨン「ぜひ差し上げたくて」
ブライアン「あぁ、えぇ。ありがとうございます。いただきます」

包みを受け取る彼に向け、誰かがシャッターを切ったことなど、彼は知る由もない。
彼は包みを自分の車の後部に積んだ。

ブライアン「さっき、大事な話をしようとしてたんじゃ…」
ジヨン「あぁ、それは… 今度お会いすることがあれば、そのときに」
ブライアン「今度?」
ジヨン「えぇ」

「明日会いましょうか?」ブライアンが目をキラキラと輝かせる。

ジヨン「…明日はちょっと」
ブライアン「実は僕、明後日からシアトルの精神科医学カンファレンスに行かなきゃならなくて。その後すぐスペインへ渡って論文発表があって。その後はすぐに今度はアフリカへ行かないと」
ジヨン「…?」
ブライアン「明日しかダメってことなんです」

困惑したように息をつくと、ジヨンは頷いた。「それなら… 明日、お会いしましょう」

ブライアン「それなら明日7時、このカフェで会うってことに」
ジヨン「えぇ。明日7時」

「OK」ブライアンは爽やかにOKサインを出した。「では明日」

遠巻きに停まっている車から、再びシャッターが切られる。

※検察庁記者クラブの記者ですね。

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ポン親父は本日も絶品チキンの味見に訪れていた。

ポン親父「(チキンを一口)カッとして、実に気持ちのいい辛さですな」
ハラ母「新しく開発してみたんだけど、どうです?」
ポン親父「いいと思いますがね、最後の仕上げが必要ですよ」
ハラ母「最後の仕上げ?」

ポン親父が取り出したのはポン菓子だ。「これを添えれば2倍美味しくなるかも」

ハラ母「またポン菓子を売りにいらしたの?新メニューを味見してほしかったのに」

「ただいま!」店に入ってきたのはハラだ。
「娘です」ハラの母が娘を紹介すると、ポン親父が顔を輝かせ、立ちあがった。「これは!」

ポン親父「初めまして!中央地検刑事6部のオ・ハラ検事ですね?」
ハラ「…あ、えぇ。私のことよくご存知なんですね」
ポン親父「いやぁ、スター検事に会えた記念に今日はご馳走しますよ」

彼が差し出したのは、別のポン菓子だ。

ハラ「いえ、お構いなく」
ポン親父「これはキム・ヨンラン法に引っかかりませんよ」

※キム・ヨンラン法=不正請託及び金品の収受の禁止に関する法律の通称。最初に提案したキム・ヨンラン氏にちなんで、こう呼ばれています。

ハラは戸惑いつつポン菓子を受け取った。

ポン親父「ポン菓子を馬鹿にしちゃいけませんよ。ポン菓子一つにも偉大で奥深い媚薬が潜んでるんですから」
ハラ母「媚薬?」

「ほら」ポン親父がまあるいセンベイ状のポン菓子を手に取った。

ポン親父「米一粒は少し力を入れただけで指の間からたやすくこぼれ落ちるほどちっぽけだが、そこに適度な圧力と熱っていう物理的変化を加えりゃ、ついには化学変化を起こす瞬間の到来ですよ!」
母娘「…?」
ポン親父「一度、米の立場で考えてみましょうか。上からは押さえられ、下からは熱い火で焼かれる。この圧迫と鍛錬を耐え抜けば、あぁ、ものすごい勝どきの声が上がるんです。ポン、ポロンポポンポン、ポン、ポロンポポン…ポンッ!!!」

ポン親父が声を上げると、ハラが笑みを見せる。「そんな深い意味があったんですね」

ポン親父「どうぞ、食べてみて」
ハラ「はい」

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ドチャンが詐欺団メンバーたちの待つマンションへ帰ってきた。「あぁ疲れた」
ボン監督が階段を下りてくる。「ハン主任と会ってたんだろ」

ドチャン「兄貴、俺が3日以上掛けたことあるか?」

「明日の夜7時~♪」余裕の口ぶりでソファに身を沈める。

インテ「兄貴、お疲れ様」
ウンジ「ふん!あの女、見る目はあるのね。ホントに明日終わるの?また会ったりしないよね?」

ドチャンが呆れたように笑う。「あ。そうだ」

ドチャン「さっきキムチを貰ったんだけど、トランクに忘れてきた」

「もう!私キムチなんか食べない!」ウンジがカッとなって背を向けた。

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翌朝。
検察庁へと向かうドチャンの車を停めさせたのは、検問に立つ警察官だ。「検問です。トランクを確認してもよろしいですか」

ドチャン「えぇ。朝からご苦労さまです」

警察官がトランクを調べるのを待つ間、ドチャンの目がチラリとサイドミラーに向かった。「?」
男が遠ざかって行くのが見える。
同時に警察官がトランクを閉めた。「異常ありません」

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「おはよう~♪」執務室へ入ったペク検事(ドチャン)の目に入ったのは、皆が抱えているポン菓子袋だ。「朝からどうしたんです?」

コ係長「オ検事が喋りの達人に貰ったそうですよ」
ハラ「口の上手さじゃ国内で0.1%に入るわ。先輩も叶わない」
ペク検事(ドチャン)「出勤するなりチャレンジ精神を掻き立ててくれるなぁ」

#ハラがめっちゃ自然に「先輩」って言ってる♪

「ポン菓子の媚薬ってわかる?」ハラが得意げに言う。

ハラ「生米はちっぽけだけど、圧力と熱で物理的変化を加えれば、ついには化学変化を起こす瞬間が来るの!」
コ係長「ポン菓子売りがそんなこと言ったんですか?」
ハラ「えぇ。それから何て言ってたっけな?ギュッと押さえてカッと焼くと…」

「圧迫と鍛錬の時間を耐え抜いて…」ペク検事が言葉をつなぐ。「新形態に生まれ変わる。そんな感じ?」

ハラ「わぁ!」
ペク検事「こんなこと言ってなかったか?”その時間を耐え抜けば、ものすごい勝どきの声が上がります”」

「ポポポ ポン~!」ペク検事の上げた声に、皆が思わずプッと吹き出す。

ハラ「知り合いなの?」
ペク検事「口達者なんて似たり寄ったりだ」

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「カルビタンにする?」ポン菓子をかじりながら、ペク検事(ドチャン)とハラは仲良く昼食に繰り出した。
と、そこへ駆けてきたのはオ・ソラ記者だ。「ちょっと!オ・ハラ!こんなとこで何してんのよ!」

ソラ「ニュース見てないの?大騒ぎよ!」
ハラ「何?」

「検事さん、賄賂受け取ったんですか?」ソラは厳しい眼差しでペク検事を見た。

ペク検事「?」
ハラ「?」

ソラが差し出したタブレットの記事に、2人は釘づけになる。「!」

『(独占ニュース)ソウル中央地検ペク某検事の賄賂収受現場をキャッチ』

昨日、カフェを出た後、ハン・ジヨンから『キムチ』を受け取っている写真が数枚に渡って掲載されていた。

ソラ「K貯蓄銀行のハン・ジヨン主任、ご存知ですよね。良心の呵責で告白したそうです。検事に無理やり賄賂を要求されて、仕方なく渡したって」
ペク検事「…。」
ハラ「ハン・ジヨン主任に会ったの?私に内緒で?全部報告してって言ったでしょ!」
ペク検事「いや、会うには会った。会ったけど、どうにかするつもりで会ったわけじゃなくて」
ハラ「言い訳しないで」
ソラ「何よ… もうそういう仲だったの?」
2人「…。」

「もっと妙なことがあるわ」ソラは姉のハラの耳元に囁いた。「ペク検事、偶然見かけたんだけどね。病院で…」

そのとき!
何台もの車が滑り込んで来たと思うと、記者が一斉にペク検事を取り囲んだ。

「賄賂を受け取ったのは事実ですか」
「対価性ですか、請託性ですか」
「ご本人自ら認めますか」

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クム代表は静かな池の畔で釣り糸を垂れていた。
ゆっくりと身を乗り出し、釣り糸の先を見つめる。「今日は大物がかかりそうだ」

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「お待ちを」ペク検事(ドチャン)が騒ぐ記者たちを制した。「お望みならお見せしますよ」
自分の車の後ろへ回る彼の後を、記者たちがゾロゾロとついて移動する。
「キムチ貰ったくらいで…」ボヤきながらトランクを開けると、記事にあったとおりの包みが現れた。
手早く包みを解き、箱の蓋を開けると…

「!!!」ペク検事は思わずのけぞった。
そこに詰まっていたのは、キムチではなく札束だったのだ。

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釣り糸がピクピクと上下に揺らぐ。
「!」クム代表がすかさず竿を持ち上げると、藻掻く魚の姿がすぐに現れた。

クム代表「はははっ!」

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一体何がどうなっているのか。
ペク検事(ドチャン)は、記者たちの真ん中で呆然と立ち尽くした。

そうだ…。
検問でトランクを開けたとき、サイドミラーに映った黒い服の男が、彼の脳裏に蘇る。
あのときだ。「とんでもないスイッチに掛かっちまった」

ドチャン「圧迫と鍛錬の時間になるな…」

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「ドン!」チョン・ドヨン検事長が拳でテーブルを叩いた。「ペク・ジュンス」

検事長「賄賂を貰っておいてよくも堂々と検察庁へ来られたな。見過ごすことは出来ん。たった今から業務停止だ。今すぐ検事証を置いて出て行け!!!」

「…。」ペク検事(ドチャン)は首から下げた検事証を黙って外し、検事長のデスクに置いた。

+-+-+-+

「全て私の失態だ」ヤン部長がため息をつく。

ヤン部長「オ検事、君が彼に代役をやらせようと言ったときに止めるべきだったのに。部長なら部長らしく振る舞うべきだったのに。優柔不断に流されるうちに、こんな事故が起きてしまった」
ハラ「部長」
ヤン部長「ジュンスに申し訳ない…。合わせる顔がないよ」

+-+-+-+

誰もいない執務室に入り、ドチャンは改めて部屋を見渡した。
きっと… もうここへ戻ってくることはないだろう。

「…。」手に取ったのは、デスクの上に鎮座していた『ペク・ジュンス』のネームプレートだ。

ドチャン「ペク検事に申し訳が立たないな…」

***

ジュンスは一人、もうすっかり彼の居場所となった部屋の窓辺で、本物の検事証を握りしめた。「…。」


Raise me stay there for me
Raise me up though far away

+-+-+-+

激しく雨が降り注ぎ、雷の音が響き渡る。
ジュンスの怒りを現しているようで、皆が集合したリビングは重苦しい空気に包まれていた。

#仲良し3人組が可愛い^^

「警告したはずだ」ジュンスが静かに口を開く。「間違った方法は間違った結果を招くと」

ハラ「先輩、道中ドチャンさんが説明してくれたんだけど、誤解があったみたい。私がうまく解決…」
ジュンス「言い訳するな」
ハラ「!」
ジュンス「詐欺師と一緒にいるうちに君までそうなったのか?誰の肩を持ってるんだ!」
ハラ「…。」

ジュンスがドチャンに視線を移し、にらみつける。「滅茶苦茶にしておいて…」

皆「…。」

ジュンスが車椅子の手すりを掴み、体に力を込める。

皆「?」

#何この音楽(笑)

痛みに顔を歪めながら、ジュンスが自分の足で立ち上がった。
思わず手を添えたハラを、ジュンスは乱暴に振り払う。「自分の場所は自分で取り戻す」

「!」目を丸くして立ち上がったドチャンに、ジュンスはゆっくりと詰め寄った。「お前ごときが俺を詐称するからこうなったんだ」

ジュンス「図々しいにも程がある」
ドチャン「…!」
ジュンス「詐欺師は… 消え失せろ」

#「ソンベが立った~!」と頭の中でペーターが走り回ったシーンですが、もしかしたらこれ、超懐かしの『もう誰も愛さない』で車椅子に乗ってた吉田栄作に近いのかも。うろ覚えですけど、車椅子で何も出来ない振りして、実は筋トレして反撃する力をつけてた…っていう場面がありましたよね?

+-+-+-+

「ペク検事の顔見たか?」アジトに戻ってくると、インテがたまらず言った。

インテ「超怒ってたぞ。俺らを取って食う勢いだった」
ウンジ「優等生だと思ってたら、中身はひねくれまくりだね」

後ろにいるドチャンを気遣い、ボン監督が二人を押した。「行こう」

ボン監督「焼酎残ってたろ」
インテ「だって腹が立つじゃないですかぁ」

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クム代表は薄暗いオフィスの窓辺で、降りしきる雨を眺めていた。
ペク・ジュンスは明日、懲戒委員会に掛けられるようだ。
解任は間違いない。
「…。」してやったり。口元にじわりと笑みが滲む。

部屋の扉が開き、誰かが姿を現した。
入ってきたのは… 当のペク検事だ。

厳しい表情のペク検事に、クム代表は思わず笑い声を上げた。「ペク検事ではありませんか」

クム代表「こんな時間に何事です?」
ペク検事「人を売りに来ました」

彼の意図がわからず、クム代表はひとまず笑ってあしらう。「ここはギャラリーですよ」

クム代表「絵を売買する場所であって、人は…」

「偽ペク・ジュンスだとしたら」ペク検事が声を落とした。「買うに値するのでは?」

クム代表「偽ペク・ジュンス?」
ペク検事「これまでペク・ジュンスになりすましていた詐欺師がいたんですが、ひょっとしてお気づきではなかったんですか」
クム代表「ほぅ、詐欺師?」

激しい稲光が、ペク検事の顔を青白く照らす。
彼はゆっくりと口を開いた。「サ・ドチャン」

クム代表「!… サ・ドチャン?」

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ここでエンディングです。

今回の逆スイッチ、やられちゃった方だから余計にですが、何となく気持ち悪~い、よくわからない感じでしたね。
ハン・ジヨンさんが色んな意味で嘘くs(以下自粛)

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