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韓国ドラマのあらすじや詳細日本語訳を紹介!セリフを題材にした文法解説も

スイッチ-世界を変えろ 13話 あらすじ&日本語訳

      2018/04/28

チャン・グンソク主演SBS韓国ドラマ『スイッチ-世界を変えろ』13話あらすじを、セリフの日本語訳を混じえて紹介していきます。

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『仁川市中区チャイナタウン 天地モーテル 地下7号室』

匿名で掛かってきた電話の情報にしたがって、ドチャンはチャイナタウンの天地モーテルへ辿り着いた。
地下へ下りたところで、彼はギョッとして立ち止まる。
先客がいたのだ。

男「何だ?」
男「誰だよ?」

「捕まえろ!」リーダー格の一言で、男たちが飛びかかる。
ドチャンは無我夢中でブレーカーをおとし、奥へと続く柵の向こうへ逃げ込み、鍵をかけた。

男「撤収だ」

男たちがいなくなると、ドチャンは『7』と書かれた部屋へ飛び込む。

ドチャン「…?」

中は空っぽだ。
部屋の真ん中にベルトが一本、転がっていた。

#えっ?!こんな一瞬でどうやって?!とにかく、前の回から「さぁどうなる?!」と引き継いだことは、開始1分で終わる法則(笑)

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急いで裏口から外へ出てみると、まさに男たちが車に乗り込み、発進するのが見えた。

ドチャン「!!!」

助手席の男がチラリと彼を振り返る。「…。」
夢中で追いかけるドチャンを残し、車は走り去った。

「あぁ!」木刀で殴られた肩が疼く。
後ろからサイレンを鳴らした検察車両がやって来た。
「建物の中を確認してください」捜査員たちに指示をし、ハラはドチャンに駆け寄る。「どうなった?情報提供者は?」

ドチャン「…遅かった。ヤツらが連れて行った」
ハラ「車のナンバーは?」

首を大きく横に振り、ドチャンは顔を歪める。

ハラ「…大丈夫?」

車の走り去った方を悔しげに睨むドチャンを、ハラは無言で見つめた。
「サ・ドチャンさんは、果たして何の下心もなく僕のアバター役を引き受けたんだろうか」ジュンスの言葉が胸に渦巻く。

ハラ「私について来て」
ドチャン「?」

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忽然と消えたチョ・ソンドゥは、まさに今、山中で死に瀕していた。
木の枝から吊るした縄を首にかけられるまいと、必死で抵抗する。「離せーーっ!」

様子を見守っていたキム室長の電話が鳴った。「はい、代表」

クム代表(電話)「どうなった?」
キム室長「もうすぐ終わります」
クム代表「連れて来い」
キム室長「…。」
クム代表「確かめたいことがある」

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ハラがドチャンを連れてきたのは、江陵にあるファン社長の別荘だ。
玄関を入り、ハラは広いリビングの真ん中で立ち止まった。

ドチャン「なんでここに?」

「ここ、初めてじゃないでしょ」ハラが静かな目で彼を見据える。

ドチャン「プールの麻薬捜査で来たろ」
ハラ「プールじゃなくて、建物の中よ」
ドチャン「!」
ハラ「サ・ドチャン、あんたはここを知ってた。私に会う前から」

「…。」「…。」ドチャンの視線が僅かに力を失うのを、ハラは観察した。

ハラ「私たちの追ってるのがヒグマだと知ったとき、間違いなく眼差しが揺れたわ」
ドチャン「…。」
ハラ「次に知りたいのは理由よ。あんたがそこまでしてヒグマを探し当てたい、その理由」
ドチャン「…。」
ハラ「倉庫へ拉致されて、鉄パイプで頭を殴られて死にかけたのに、それでもまた検事をやるって戻ってきた。大量の麻薬を奪い取ったのに、惜しむことなくファン社長を捕まえるのに使ったわ。血を流し、肩が砕けても、ヒグマを捕まえる手がかりを逃したほうが痛むのはなぜ?」
ドチャン「…。」
ハラ「ここで見たんでしょ… ヒグマを」
ドチャン「!」

幼い頃に見た光景が、ドチャンの頭に鮮烈に甦る。「…。」
「ヒグマ、やめてくれ!」そう言われながら、”ヒグマと呼ばれた男”が馬乗りになって首をしめている、その背中だ。

ドチャン「… 見てない」
ハラ「…。」

「見てないんだ!」ドチャンが鋭い目でハラを睨んだ。

※この「見てない」は「見えなかった」とも解釈できるかと。ここへ来ていない、とは言ってませんね^^

ドチャン「警告しておくが、俺の中にあまり深入りしようとするな」
ハラ「警告しておくけど、私的感情でヒグマに関わらないで」
ドチャン「ゲームのルールは俺が決める」
ハラ「ゲーム?」
ドチャン「オ検事と俺、ゲームしてたんじゃなかったのか」
ハラ「…。」
ドチャン「かくれんぼ。どちらが先にヒグマを探し当てるか…」

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『07 しっかり隠れろ 頭が見えるぞ』

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幼いドチャンは父とともにこの別荘へやって来た。
「最高!」坂を駆け上がり、庭のプールに気づく。「プールもあるね」

父「どうだ?気に入ったか?」
ドチャン「お父さん、また詐欺をやったの?」
父「父さん足を洗ったんだぞ。今日からこの別荘の管理人として一緒に暮らすんだ。どうだ?」
ドチャン「ホント?!」

「もちろん!」父が目を細め、彼の頬を撫でる。「行こう」

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リビングへ入ると、奥の暖炉の上にデジタル時計が見えた。「?」

ドチャン「お父さん、あれ見て。4444!」

『1998年4月4日、午後4時4分』

ぐるりと見渡した父の視線が、ある一点で止まった。「…?」
奥の部屋へ続く扉のドアノブに、ベッタリと血がついていたのだ。
彼はそっと扉の中を覗いた。

と…

父「!!!」

ドチャンが見ていないのを確かめ、彼はそっと中へ入る。
しばらくして出てくると、急いでドチャンに近づいた。

そのとき、車が1台、敷地へ入ってくるのが窓越しに見える。

父「ドチャン」
ドチャン「?」
父「よく聞くんだ。今からかくれんぼをやるぞ」
ドチャン「かくれんぼ?」
父「父ちゃんが降参と言うまで、しっかり隠れてろよ。絶対、絶対出てきちゃダメだぞ」
ドチャン「勝ったら何してくれる?」
父「お前の願いどおり、もう詐欺はやらない」
ドチャン「さっき足を洗ったって言ったじゃないか」
父「今度は本当だ!」

「約束」父の差し出した小指を、ドチャンは小さな小指で握り返し、親指でハンコを押した。「ホントに約束だよ!」

そうして2階へ上がったドチャンは、ベッドの布団の中へ潜り込んだのだ。

~~~~

真っ白なシャツを血まみれにして、チョ社長はクム代表の前で震えていた。
正座をする彼の前に、クム社長が写真を1枚差し出す。「この人物が誰だかわかるか?」

チェ・サンヒョンにタイ語の聖書を渡した、あの男だ。
「?」両手で写真を受け取り、チョ社長は目を見開く。「赤パンツだ」

記憶が鮮明に甦った。
無人島での賭博事件。
あのとき、快調に勝ちを重ね、運がいいと赤いパンツを自慢げに見せた、あの男ではないか。

チョ社長「知ってます。こいつ、知ってます!」
クム代表「…ふむ」

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食堂へ連れてこられ、チョ社長は久しぶりのまともな食事をひたすらかきこんだ。
向かいではクム代表が呆れた様子で眺め、隣でキム室長が静かに食事をすすっている。

#食事の前に、シャツを着替えさせてやりなよ^^;

チョ社長「考えてみたら、代表と一緒に飯を食うのは初めてです」
クム代表「…キム室長」
キム室長「はい、代表」
クム代表「今後は2人して家族のように付き合え。小競り合いせずにな」
キム室長「総裁が…」
クム代表「人の指示など要らん。俺の仲間は自分で守る。いいか」
キム室長「…。」

キム室長の胸の中で不安が広がった。
チョ社長を天地モーテルから連れ出す時、中から追いかけてきた男…。
あれはペク検事だった。
なぜ彼があそこに?「代表、ですが…」

クム代表「明日から2人で行動しろ」
チョ社長「キム室長と?」
クム代表「お前の命は、写真の男を探し出せるかどうかにかかっている」

「自分を信じてください!」チョ社長が頭を下げた。

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ニュース「新種麻薬の大量輸入、流通させた容疑で逮捕されたトンヨン製粉ファン・ボムド社長が、取り調べを受けるため、今日再びソウル中央地検へ召喚されました」

検察庁へ入るファン社長を、大勢の取材陣が追いかける。

ニュース「チェ・サンヒョン元外交官の大統領に関する陳述が根拠のない虚偽自供だったと明らかになったため、特検は解散へ向かうものと見られます」

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取調室にやって来たファン社長は、苦渋の面持ちで溜息をついた。
カナダに留学中の娘… 娘の安全のために、何としてもここを乗り切るしかないのだ。

ファン社長「何ども呼び出して同じ話をさせないでくださいよ!私がヒグマですってば!全く…」

ハラが資料の束をドンとテーブルに置く。

ハラ「外交荷物を通して麻薬が入り、ファン・ボムドさんが流通させた状況と証拠、十分に掴めました。拘束事由はいくらでもあるわ」
ファン社長「…。」
ハラ「我々検察が探している人物は、最終ボス、ヒグマです。ヒグマは誰なんです?」
ファン社長「私ですよ。私がヒグマです」
ハラ「それならなぜ金を持っていないんです?麻薬販売資金、数千億になるはずだわ」

「全部どこへ行ったんです?」ハラが語気を強めた。

ファン社長「…。」
ハラ「脅迫されたんですね。ヒグマだと自白しろって」

黙り込むファン社長を見つめ、ハラはゆっくりと背もたれに身を沈める。「それをやらせた人物がヒグマね」

ファン社長「…一体何をおっしゃってるのやら。私がヒグマですよ」

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「他にどうしようもなかろう!」南山クラブ拠点のバーで、チェ前総理がカウンターを叩いた。

前総理「ファン・ボムドを黒幕にしてこの件は終わらせろ」
チョン検事長「…。」
前総理「ペク・ジュンスとオ・ハラの2人はどうするんだ?2人ともクビにするなり、地方に飛ばすなりしろ」
チョン検事長「総裁、それはむしろ逆効果になるかもしれません。専任捜査をさせるほど大統領が注目している検事たちなんです」
前総理「それならどうする?方法はあるのか?」

チョン検事長は再び口を閉ざした。

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「あくまでも自分がヒグマだって言い張るのね」ヤン部長の部屋に、ハラとドチャンが集まっていた。

ヤン部長「トカゲの尻尾切りだろう。脅迫されてるんだ」
2人「…。」
ヤン部長「チャイナタウンの件、何かわかったか?ヒグマに連れて行かれたんじゃないか?」

「ナム・スンテみたいに死んじまったら大変だ」ヤン部長がつぶやく。

ハラ「現場に革のベルトが1本落ちていたんですが、指紋が小さくて。時間が掛かりそうです」
ヤン部長「情報提供者、早く探し出さないとな」

そのときヤン部長の部屋の電話が鳴った。
「あぁ」電話を取るなり、ヤン部長が身を乗り出す。「何だって?検事長が?」

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検察庁内の会見室に記者が詰めかけていた。
壇上に立つ検事長に激しくシャッターが切られる。

検事長(会見)「外交荷物を通した麻薬密輸事件に関し、一次捜査結果を申し上げます」

ヤン部長たちに加えチン次長も、会見の知らせを受け、駆けつけた。

検事長(会見)「トンヨン製粉社長ファン・ボムドは、外交荷物を通した麻薬密輸組織の最高責任者だと自白し、これによって我々ソウル中央地検は関連する証拠の確保に総力を傾けております。そこで、捜査を刑事6部から強力部へ移し、より徹底した捜査を行うことにいたしました」

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会見を終えた検事長室に乗り込んだのは、チン次長だ。「この事件はペク・ジュンス、オ・ハラの担当です」

チン次長「担当検事もまだ結論を下していないのに、なぜ検事長が先に発表なさるんですか!」
検事長「証言も証拠も出ているのに、何を他に調べることが?ここで終わりにしろ」

「…?」チン次長が疑惑の目で検事長を見た。「外部でキャスティングでもされましたか?」

検事長「…。」
チン次長「私自らの指示で最初から捜査しましょうか?!」

「翼のあるときに飛ばなければ」検事長が静かに言った。

検事長「飛ばなければ、翼もただのコブだ」
チン次長「…?」

検事長はソファから立ち上がり、デスクへと向かう。
「チャンスはそう度々来ない」そう言って、彼は椅子にそっと手を置いた。「この席、君にやろう」

チン次長「!」

突然の提案、いや、交換条件と言うのが適切だろう… 検事長の腹の中が掴めず、チン次長はじっと彼を見つめた。「…。」

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間接照明のみに明るさを落とした室内で、大きなモニターに映像が映し出されている。
「地獄の門、トルキスタン砂漠の真ん中にあります」映像の横で話しているのは、韓国語も巧みに操る新生ビクトール・ジャン氏だ!

ビクトール「有毒ガスを消すためにつけた火が、実に45年の間、こうして燃え続けています」

「ふむ」チェ前総理が彼の話に真剣に耳を傾ける。

ビクトール「世界の天然ガス埋蔵量で5本の指に入る国が、まさにこのトルクメニスタンなのです。なんと17兆5000億㎥!全体が天然ガスの上に浮かんでいると言っても過言ではありません」
前総理「ふぅむ」
ビクトール「工場建設が完了次第、試掘調査に入る予定です。ガスが出れば、投資金額は100倍、いや、1000倍にもなり得るでしょう」

「だが」前総理が口を開く。「大当たりなら、投資しようって人たちが行列を作るはずだが」

ビクトール「総裁、トルクメニスタンは君主国家です」

※トルクメニスタンのことで間違いないとは思うんですが… トルクメニスタンは共和制国家ですね。

ビクトール「あらゆる開発権、採掘権を王族が持っています。前提条件として、投資者と裏契約がなければなりません」
前総理「裏契約?収益のいくらかは向こうへ返さなきゃいけない、そういうことだな」
ビクトール「そこで私が来たのです。次期政権を創出するにふさわしい、立派な政治的指導者を探しに」

そう言って、ビクトールは前総理を指した。
「次期政権?」前総理は愉しげに笑い声を上げる。「ビクトール先生は人を見る目がある」

前総理「その代わり、条件がある」
ビクトール「おっしゃってください」
前総理「私自ら王族に会いたい」
ビクトール「もちろんですとも。私が一席設けましょう」

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前総理がビクトールと並んで会場を出ていくのを、ひそかに見守っている人物が一人。
「…。」キム室長だった。

#じーちゃんㅠㅠ さっそくバレてるし。お気の毒に。

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自宅へ帰った前総理は、客人を迎えていた。

前総理「例の麻薬事件はだいたいカタがついたようだし、そろそろ新事業の構想を始めねばな。はははっ」
男「新事業とおっしゃいますと?」
前総理「銀行で1000億用意しろ」
男「1000億ですと?!」

前総理が頷く。

男「裏金を1000億も作るには…」
前総理「銀行はお前のもんか?口答えが多いぞ。作れと言ったら作らんか!」
男「…承知致しました」

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「ビクトール?」クム代表が訊き返す。

キム室長「トルクメニスタンの王族と親しい事業家だそうです。総裁と共に事業を構想しているようでして」
クム代表「うむ」
キム室長「それに、貯蓄銀行の頭取が密かに総裁を訪ねています。総裁が内密に指示を出したようです」

「キム室長、ご苦労だった」クム代表が言う。「引き続き総裁の周辺を探ってくれ」
「はい」頭を下げ、キム室長は退室した。

クム代表「老いぼれめ。何を企んでいる?」

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「先輩、恥ずかしくないんですか?」男性記者をつついたのは、記者オ・ソラだ。

男性記者「何が?」
ソラ「大統領陣営に麻薬資金が流れたって言ってたじゃないですか。先輩が事実確認もせずに暴露したんですよ。おかげで世の中ひっくり返ったわ」
男性記者「あのときは正しくて、今は違う。そういうことだ」

「どうした?」男性記者が悪びれもせず顔を上げる。「何か問題が?」
ソラは呆れて絶句した。

男性記者「俺にとっちゃ明日の真実より今日の特ダネの方が大事なんだ」
ソラ「…。」

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アジトでドチャンが見ているのは登記簿謄本だ。

ボン監督「あの別荘、クム・テウンとは全く関係ないな」

#またどうして唐突にクム・テウンの名前が?もちろんサ・マチョン事件側から見れば担当刑事だったらしいし、その前にも家に訪ねてきたし、麻薬密輸事件側から見てもモアイからクム代表に繋がるのは確かだけど。それでも唐突な感じが拭えない。何か忘れてたらゴメンなさい。

ドチャン「関係ない?」
ボン監督「前の所有者まで全部調べたけど、クム・テウンってのはいなかった」

溜息をつきながら、ドチャンは書類をめくる。

ドチャン「1998年…?」

登記日の隣に記された名前に、ドチャンの視線が移る。「チェ・ジョンピル?!」

ボン監督「ん?(覗き込み)48年生まれでチェ・ジョンピルって言ったら… 前に総理大臣だった、あの?」

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「相変わらずだな。ちっとも変わらない」チェ社長が拘置所を懐かしげに見渡す。
コンビを組んだキム室長とチェ社長が、揃ってやって来たのが拘置所だ。
彼らが手に入れたのは、チェ・サンヒョンに聖書を差し入れた人物を捉えた、駐車場の防犯カメラ画像だった。
画像は距離が遠く、これだけでは何も掴めそうにない。

チェ社長「こんなんじゃわかんねーよ」

#チェ社長ってさ、ピースのあやべさんみたいじゃない?見た目もキャラも(笑)

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事務所へ戻ってきたチェ社長に、舎弟たちが頭を下げた。
「やれやれ」チェ社長は力なく椅子に腰を下ろす。

ムンシク「赤パンツ、見つかったんですか?」

チェ社長が首を横に振った。

ムンシク「赤パンツを捕まえろって条件で、代表が助けてくださったんじゃないですか」
チェ社長「適当に時間を潰せばいいさ」
舎弟「キム室長が黙っているでしょうか」

「…。」チェ社長がゆっくりと身を乗り出す。「あいつ、チャンスが来たら踏み潰してやる」

舎弟「でも、あれはクム代表の指示で…」

「わかってる!」チェ代表が苛立ってテーブルを叩く。「クム・テウン、あいつだって踏み潰してやるさ」

チェ社長「俺に力さえつけば、みんな踏み潰してやる」

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麻薬事件の捜査チームの部屋から、検事が一人、そっと出て来た。
彼は廊下で待っていたハラを人目につかないところまで連れ出すと、小声で言った。「ファン・ボムドの家へ行ったらしいんだが…」

検事「渡されたものだけ受け取ってきた。引き出し一つ開けられずにな」
ハラ「…。」
検事「出来レースだったんだ」

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カフェの長テーブルに3人並んで座り、ボン監督、インテ、ウンジは何だか浮かない顔だ。
そこへ入ってきたハラが、彼らの向かいに腰を下ろす。
「刑法347条だったかしら」俯いたまま、ハラは独り言のように呟いた。「…詐欺についての法律は」

ボン監督「えっ?!」
ハラ「10年以下の懲役または… あぁよく思い出せないわ」

そこで初めてハラはボン監督に微笑みかける。「ひょっとしてボン監督はご存知?詐欺師が捕まったらどんな罰を受けるのか」
「さぁ、僕はよく…」ボン監督はの声は今にも消え入りそうだ。

ハラ「日頃から関心がおありのはずだけど、ご存知ないのかしら…」

「体験学習しなきゃいけないかな」ハラがポツリとつぶやく。

ボン監督「もちろん私たちが天に恥じることなく生きてきたとは言えませんが、そう司法的モノサシでおっしゃらずに、協調と寛容の精神で、これまでの情をお考えいただきまして、善処と配慮をしていただければ…」

「はぁ」ハラが切なく溜息をつく。「もどかしいわ」

ハラ「例ののファン社長なんですけどね、大儲けしたはずなのに、そのお金はみんなどこ行っちゃったのか… 全くわからないんですよね」

「何でそんなこと私たちに訊くんですか!」ウンジがたまらず立ち上がる。「私たちと関係ありませんから!」
「いいから」ボン監督が彼女を座らせる。

ハラが住宅の写真を2枚取り出した。「ファン社長の家なんですけどね」

ハラ「令状取って入りたいけど、うちの管轄じゃなくて」
ボン監督「!」
ハラ「はぁ… 公式に捜査するか、非公式に忍び込むか…」

「…。」「…。」「…。」3人に僅かな沈黙が流れる。

ボン監督「私たち微力ではございますが、社会の発展の手助けになるのであれば、合法不法を微妙に行き来しつつ、検事さんの障害事由を解決しろと、そういう…?」

「ふふん♪」ハラは満足げに微笑むと、さっさと席を立った。

ハラ「じゃあ、ペク先輩… いや、サ・ドチャンには内密に」
ボン監督「…?」

ハラは呆然とする3人を残し、カフェを出て行った。

ウンジ「何なの?私たちにセッティングしろって?それもドチャンさんに内緒で?」
インテ「オ監督、かなりのやり手だ」
ボン監督「衣装を用意しよう」

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用意した真っ白な防護服に身を包み、ボン監督たちはいざファン社長の自宅へと乗り込んだ。

女性(奥さん?)「何事です?」
ボン監督「疾病管理本部から参りました。プロムトゥロン・トクサスという1級毒性害虫です!」

「お見せして」ボン監督の指示で、隣のウンジが虫の入った瓶を突き出す。
その瞬間、「危ない!」ボン監督が間髪入れず瓶を押し戻した。

ボン監督「この地域で急速に広がっているという通報が入りました。急性気管支炎、リウマチ関節炎… 関節は大丈夫ですか?」
女性「さぁ。うちの家は何ともないですけど?」

「あそこ!」ウンジが急にテキトーなどこかを指さし、そのすきに瓶の虫を放った。「ぎゃあ!」

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ボン監督は半ば無理やり家の中へ入り、噴射器で殺虫剤を撒いて歩いた。
寝室へ入ったウンジを、女性が追いかける。「うちの家にはいませんから!」

ウンジ「PCはありません?温かいから主要生息地の一つなんですけど」
女性「子どもたちもいないし、使い方がわからないので」

家の中を歩き回った末に、ボン監督はもう一つ扉があるのに気づいた。
地下室へ続く扉だ。
近付こうとした途端、警備員が手を広げる。「ここは結構ですので」

ボン監督「拡散したらあなたが責任取るのか?!」
ウンジ「身分証見せてください。国民健康法3条3項、保健衛生法違反で告発します」

「退いてください!」ボン監督とウンジは強引に警備員を退かせ、奥の扉へ向かった。

ウンジ「(警備員に)地下室は換気が悪くて中毒になるかもしれないので、ここでじっとしててくださいよ」

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地下室へ入ると、デスクの引き出しにPCが見つかった。
大急ぎでUSBメモリを繋ぎ、超高速DLシステムを稼働させる。

インテが控えているモニタールームに、直ちに中身が送信された。

インテ「OK、ファイルが流れてきてる」

ファイル転送を待つ間、ボン監督は地下室の写真を撮った。
所狭しと絵画が立てかけてあったのだ。「なんで絵がこんなにたくさん?」

+-+-+-+

入手したデータはUSBメモリにおさめられ、直ちにハラへと渡った。
これで彼らの仕事は終了だ。

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ドチャンは一人、アジトで考え込んでいた。
幼い時に別荘で見たあの場面を、懸命に思い出そうとしていたのだ。

ドチャン(心の声)「何て言ってた?もっと考えるんだ」

「取引を拒むなら仕方ありませんよ」
「あなたは僕の妻を殺し、自殺するんです」

そう、馬乗りになった男は、そう言って不気味に笑った。
妻を殺し…?
別荘の登記簿謄本が思い浮かぶ。

ドチャン(心の声)「クム・テウンがチェ・ジョンピルの娘と結婚し、妻を殺した。そして、父さんに罪を被せようとした…?」

あの日は…

ドチャン(心の声)「4月4日!」

そこへボン監督たちが帰還する。「オ監督に渡して来たぞ」

ドチャン「あぁ、みんなお疲れ。ファン社長の資金の流れがわかれば、黒幕が誰なのか突き止められるはずだ」
インテ「兄貴、俺、正直気になってることがあるんだ」
ドチャン「?」
インテ「ヤクのあるところに金があるって、兄貴言ってたろ。それで検察に入ったんだし。ファン社長の麻薬、俺たち持ち逃げするはずじゃなかったのか?」
ウンジ「同感。検事ごっこに没頭しすぎじゃない?オ検事といつも一緒だし」
ドチャン「…。」
インテ「寂しいよ。俺とウンジだけ知らない秘密があるみたいでさ」

「ドチャンにはそれだけの事情があるんだ」ボン監督が何とか2人を宥めようとする。

ウンジ「だからそれは何?なんで私たちには言えないの?」
インテ「隠し続けるなら、俺はもうこのチームにはいられない」

背を向けるインテを、ボン監督が引き留めた。「もうちょっとだけドチャンを信じてさ」
「いや」ドチャンが言う。「話すよ」

「…。」皆が緊張をつのらせた。

ドチャン「ヒグマ、俺が探してたヤツなんだ」
インテ「えっ!」
ドチャン「ヤツを捕まえるのが俺の目標で」

「…!」インテとウンジが顔を見合わせる。

ドチャン「それで… ここまでやって来たんだ」

「あぁ」ウンジがその場にしゃがみ込む。「ドチャンさんにそんな事情があったなんて」

ウンジ「なんで言わなかったのよ?!」

「私が詐欺に遭ったとき、助けてくれたのに…」これまで恩返しさせてもらえなかったのが悔しくて、ウンジは鼻をすすった。

ウンジ「ドチャンさんの傷、これからは私が治療してあげる」

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改めて彼ら詐欺団はヒグマ捜索に乗り出した。
図書館へ出掛けたドチャンとボン監督が探したのは、チェ・ジョンピル前総理の娘の死亡記事だ。
「ここにあるぞ」探し当てた記事を、ボン監督が指さした。

『新韓民党 チェ・ジョンピル議員の娘、交通事故で死亡』

ボン監督「見ろ、4月じゃなくて6月だろ」

記事には…

『9日午後9時半頃、住公アパート前の道路で新韓民党チェ・ジョンピル議員の娘チェ・ミナさんが突進してくる乗用車に轢かれ、その場で死亡した。警察が通報を受け出動したとき、運転手と乗用車はすでに逃走しており、チェ・ミナさんは即死状態だったと、出動した警官は話した。チェ・ミナさんはチェ・ジョンピル議員の一人娘であり、まもない補欠選挙に向けてチェ・ジョンピル議員の選挙遊説を手伝い、帰宅する途中で事故に遭ったと…』

※この後、チェ議員の遊説日程に遅れが出るだろう、この事故で同情票が集まるのではないかと記事は続いています。

ドチャン「なんで4月4日じゃないんだ?チェ・ジョンピルの娘、墓はどこかわかったか?」
ボン監督「あぁ。春川の納骨堂だ。電話で確認したんだが、毎年6月9日チェ・ジョンピルが供養に来るそうだ。大物政治家だから、顔をよく覚えてるってさ」
ドチャン「クム・テウンは?参列してるのか?」
ボン監督「毎回運転手だけ連れて、一人静かに来るそうだ」
ドチャン「…。」
ボン監督「ドチャン、今回はお前の見込み違いだな。娘の命日も知らない親父がどこにいる?」

「あぁ」ドチャンが重いため息をつく。「どうしてパズルの残り一片が嵌らないんだろう?これさえ嵌まれば、このかくれんぼも終わるのに」

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「キレイなもんだわ」気の抜けた様子で、ハラはPCのモニターを眺めた。
ファン・ボムドのPCから抜いたデータを片っ端からチェックしているのだ。

ハラ「ファン・ボムド、洗浄が徹底してるわ」

ボン監督が撮ってきた写真を何気なく見るうちに、彼女の手がはたと止まった。「?」
地下室にある大量の絵画だ。「イム係長」

女性捜査員「はい?」
ハラ「この絵を調べてください」

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朝。
出勤準備を整えたドチャンが、部屋にいるジュンスを覗く。「ペク検事」

ドチャン「仕事に行ってきます。何か入り用は…?」

「…。」ジュンスの視線が、ドチャンの首からぶら下がる名札の上に留まった。

『公務員証 ペク・ジュンス』

当然のように自分の名札を下げ、自分の職場へと出掛けていく彼を見送るようになって、かなりの日が経っていた。

ジュンス「…。」

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ここでエンディングです。

詐欺劇は相変わらずとても面白いです!無理やりな部分があってもOKだし、むしろそれも含めて面白いのですが…。
肝心のサ・マチョン事件や麻薬事件に関しては、逆に綿密に練ってあればいいなぁと思うのですヨ。

序盤に「ナム・スンテ周辺の話がふわふわしてる」ようなことを書きましたが、都合が良すぎると感じたり、疑問に思う部分が積み重なり、軽~く置いてけぼりを食らった気分になっています。

・ドチャンがいつの間にかクム代表を疑ってる感。
・なぜハラはドチャンが「別荘の中に入ったことがある」「ここでヒグマを見た」と思ったのか
・別荘がファン社長の名義→ そこからまたすぐにクム代表を思い浮かべるのはなぜ?
・チェ前総理の娘とクム代表の婚姻関係は、前から知ってたの?
・なんで「ドチャンが追ってたのがヒグマ」って聞いただけで、インテたちは「そうだったのか~(涙)」ってなるのか。父を殺したヤツだ、って聞かされてないよね?
・父の首を締めてたヒグマが「妻を殺してあなたは自殺するんだ」って言ってたのを、急に都合よく思い出してるし!

もう少し、そう考えるに至った根拠や、何かを突き止めるプロセスが描かれていればいいなぁと思うのです。
悶々とした気分を晴らしてくれるのを期待して、4月4日の謎解明を楽しみに、次を観ましょう~。

 - スイッチ-世界を変えろ