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韓国ドラマのあらすじや詳細日本語訳を紹介!セリフを題材にした文法解説も

スイッチ-世界を変えろ 12話 あらすじ&日本語訳

      2018/04/21

チャン・グンソク主演SBS韓国ドラマ『スイッチ-世界を変えろ』12話あらすじを、セリフの日本語訳を混じえて紹介していきます。

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江陵の別荘から逃げたオレンジ色のトラックを、ハラは懸命に追いかけた。
しばらく行ったところで、検問の警察官が警棒を振ってトラックを停めさせる。

オレンジ色のトラックに盗難通報があったというのだ。

ハラも彼らに追いつき、少し後ろに車を停めた。「?」

と、トラックを調べていた警察官が一人、トラックの運転席に乗り込むではないか!
チラリと振り返った警官の顔を、ハラは見逃さなかった。「インテ?!」
次の瞬間、トラックは運転手を置いて走り出した!

#開始1分で「おっ!」っと身を乗り出させるこのドラマ♪ よく見ると、もうひとりの警官はウンジですね^^

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何度掛けてみても、ドチャンは電話に出なかった。
彼女はコ係長に電話を掛けてみる。「そこにサド… ペク先輩いますよね」

コ係長(電話)「いいえ、さっきから姿が見えないんですが」
ハラ(電話)「もし見かけたらすぐ連絡ください」

インテたちの盗んだトラックは、海岸沿いのピンカーブを回った。
ハラの車から、フェンス越しに反対車線を走るトラックが見えた。

ハラ「サ・ドチャン… またふざけた真似したら絶対許さないから」

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検察庁で一人待っているヤン部長は、いよいよ気が気ではない。
平凡な家庭人を目指している彼らしく、電話ですがったのは愛妻だ。「もしもし」

ヤン部長(電話)「先週お寺に行った時、瓦を何枚か奉納してくればよかったなぁ。たかが数万ケチったのが気にかかるんだ。ん?あぁ、そうしてくれるかい?それなら、3枚ほど、”心願成就”と書いて奉納しれくれよ。あぁ、ありがとう」

電話を切ってからも、彼の悩みは終わらない。「3枚でよかったのか?5枚くらいにしたほうがよかったかな」

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トラックを追いかけ、ハラがピンカーブをグルリと回る。
と…?

ハラ「どこに消えちゃったの?」

オレンジ色のトラックがどこにも見当たらないのだ。

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ハラの車が隣を通り過ぎるのを、停車している大型トレーラーの運転席から誰かが見送った。
ドチャンだ。

予めその場所で待機していた彼は、やって来たオレンジ色のトラックをコンテナに収容し、やって来たハラの車を素知らぬ顔でやり過ごしたのだった。

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「あり得ない…」ハラの心臓は高鳴るばかりだ。「あり得ないわ!!!」
彼女はとうとう車を停め、外へ出た。
見渡す限り、何もない。
ただ一直線の道と海が広がっているばかりだ。


「先輩」ハラは震える声でジュンスに電話を掛けた。「やられたわ」

ジュンス(電話)「やられたって… どういうことだ?」
ハラ「詐欺師サ・ドチャンに完全にしてやられたのよ!!!… あの麻薬が目的だったんだわ」
ジュンス「結局… 僕ら騙されたのか」
ハラ「どうしよう… あいつどうしたらいいの?!」
ジュンス「…。」
ハラ「間違いなく車を追ってたのに、道のど真ん中で消えちゃったのよ!」
ジュンス「オ・ハラ、しっかりしろ。周りを見るんだ。何かあるだろう?」

「…ないわ」ハラは遥か前方を見つめる。「何もない」

「信じた瞬間、裏切るのが男なんだからね!」母親の声が頭の中で渦巻く。
茫然と立ち尽くすハラの隣を、大型トレーラーがクラクションを鳴らしながらゆっくりと追い越していった。

『Everything changes, but nothing changes.』

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ドチャンたちの姿はどこにも見当たらなかった。
マンションで待っていたのも、ジュンス一人だ。

ハラ「サ・ドチャン来なかった?」

ジュンスは重苦しい表情で首を横に振る。

ハラ「ボン監督とインテとウンジは?」
ジュンス「朝からいない」

ハラは愕然とソファに崩れ落ちる。「やられたわ… 完全に」

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ボン監督たちは奪ったトラックを倉庫に運び入れていた。
荷台を開けてみると… そこには一斗缶がギッシリと詰まっている。
「!!!」あまりの壮観な風景に、彼らは息を呑んだ。

ボン監督「始めよう」

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非常事態なのはハラたちだけではない。
トンヨン製粉にクム代表がやって来た。

クム代表「ファン社長、一体何をしている?強制捜査があるのは予め言ってやったろう。それなのに守りきれないとは」
ファン社長「お話した通り、検察が来るまでに、間違いなくトラックで運び出しました。ところが…」
クム代表「ところが… 何だ?」
ファン社長「そのトラックごと盗まれたそうで」

「!」クム代表が立ち上がるや否や、ファン社長の脛を蹴り上げた。「そんな話にもならん言い訳を信じろと?」

クム代表「ふざけるんじゃない!」
ファン社長「私だって気が狂いそうですよ!こんな悪ふざけをしたのはどこのどいつなのか!」
クム代表「…。」
ファン社長「全部チョ・ソンドゥのせいです」

「!」じっとしていたキム室長が顔を上げる。

ファン社長「あいつが匂いを振りまくから、警察だの検察だのが嗅ぎつけたんじゃありませんか!」
クム代表「!」

#そうだっけ?(・∀・)

チョ社長の名前を出され、クム代表は思わず言葉を失う。「…。」
そのときノックが響き、ファン社長の秘書が顔をのぞかせた。「社長、老人会館のイベントにお出かけになる時間です」

ファン社長「うるさい!今それどころじゃないんだ」
秘書「報道陣も待機させてあるので…」
ファン社長「!」

「行け」クム代表が言う。

ファン社長「代表、今そんな状況では…」
クム代表「市会議員に推すのはお前のためじゃないぞ!こんなときこそしっかりするんだ。記者の前で失態犯すな」
ファン社長「…。」

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トンヨン製粉は地域の高齢者を対象としたイベントにも力を入れていた。
今日のイベントにもたくさんの地域住民が集まっている。

姿を見せたファン社長を、皆が拍手で迎えた。
彼が寄贈した『小麦粉100袋』がうず高く積み上げられている。

ファン社長「お約束どおりトンヨン製粉から皆様にプレゼントを用意いたしました」

わっと拍手が起こり、集まった記者たちがシャッターを切った。

ファン社長「お持ち帰りになって、美味しいカルグッスも作っていただいて、すいとんも作っていただいけば、実に嬉しゅうございますよ!わははははっ」

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ハラは携帯電話のGPSでドチャンの行方を探そうとしていた。

捜査員「携帯の電源を切っているようです。見当たりませんね」
ハラ「…。」

確かにドチャンの携帯電話には全くつながらなかった。
呼び出し音さえ鳴らないのだ。「一体どこに隠れてるの?」

そのとき、PCの画面の中央が赤く光った。

捜査員「あっ!見つかりましたよ!」
ハラ「ここ、どこです?」

※何でも調べるモードに入っちゃってるので調べたところ、地図のこの場所は実際には龍仁栢峴中学校でしたよ♪

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寄贈品の小麦粉100袋の目録が、一番前に陣取っていた老人に手渡された。
老人はそのまま席につかず、積み上げられた小麦粉を眺める。

社長「(皆に)我々トンヨン製粉は… いや、私ファン・ボムドは、これからも皆さんのため、福祉活動に尽力いたします!」

顔いっぱいに老人斑を作り、すっかり腰の曲がったこの老人は…?

社長「何かご入用がありましたら、いつでもおっしゃってくださいませ」

再び拍手が起きる。
と、じっと小麦粉を見ていた老人がポツリと言った。「本当にいい小麦粉なのかい?」

老人「年寄りに恩を売っておこうって、賞味期限の切れたのを持ってきたんじゃないのか?」

「やれやれ」ファン社長は明るく笑う。

ファン社長「お爺さん、今日うちで挽いたばかりの小麦粉ですよ。召しあがれば一発でわかりますから」
老人「あぁ、食べてみりゃわかるだろうよ」

「ナイフはどこだ?」老人は近くのテーブルにナイフを取りに向かう。
会場の後方に、柱にもたれかかって見物している若い男が、愉しげに事の成り行きを見守っていた。
ドチャンだ!

ファン社長「(皆に)わははっ!ああいった方々がいらっしゃれば、我が韓国には不正がなくなりますなぁ!どうぞ、ご確認いただきませんとね」

ドチャンの後ろに車が近づいてきて停まる。
降り立ったのは…ハラだ!
彼女が掴んでブルンと振り回したデッキブラシを、ドチャンは見もせずにヒラリとかわし、片手でキャッチした。

ドチャン「リラックスしろって。オ検事、相変わらず鼓動が早いな」
ハラ「離しなさいよ!あんたみたいな人間を0.0001%でも信じた私が…」
ドチャン「そんなに信じてくれてたなんて、感動だな」
ハラ「!」

いとも簡単にデッキブラシを取り上げ、ハラをクルリと前へ向かせる。「イベントを用意したんだ。いよいよ始まるぞ」

ハラ「?」
ドチャン「それを見ても殴りたかったら、そのとき殴りゃいいさ」

カッターナイフを手に入れた老人は、小麦粉袋の一つに切り込みを入れた。
こぼれた粉を指にとり、ぺろりと舐めてみる。「?」

老人「こりゃ小麦粉じゃないぞ」

「ええっ?」「どういうこと?」会場がざまめく。

ファン社長「小麦粉じゃない?そんなわけが」

ファン社長も小麦粉を指に受け取り、自ら口に運んだ。「!!!!!」

記者「ファン社長、どうしたんです?」
ファン社長「あはははっ!何でもありませんよ」
老人「麻薬だぞ」
皆「ええっ?!」
ファン社長「いやいやっ!」
老人「それも最高級品だ!」
ファン社長「いやぁ、麻薬だなんてとんでもない!」

「!!!」ハラがキョトンとしてドチャンの横顔を睨む。
気が動転してすっ転んだファン社長の上に、”最高級品のコムギコ”が降り注いだ。

ハラ「!!!」
ドチャン「どう?気に入った?」

程なく捜査員たちが駆けつけ、ファン社長を連行する。

ハラ「一体どうやったの?間違いなく後を追ってたのに、忽然と消えちゃったのよ」

「プープーッ」ドチャンがクラクションの音を真似てみせた。「プシューッ」

ハラ「… あの青いトレーラー、あんただったの?!」
ドチャン「オ検事はオレンジのトラックだけ追ってたろ?人は見たいものしか見ないもんだ」
ハラ「!」
ドチャン「オ検事の表情、なかなかの見ものだったぞ」

「もう!」ハラは思わず彼の首を羽交い締めにした。

ドチャン「あっ!痛いっ!離してくれ~!」
ハラ「寿命が縮むわ!」
ドチャン「あ゛ぁーーーっ」

「騙されてばっか!」手を離し、ハラは訴えた。
襟元をサッと正し、ドチャンは背を向ける。「行こう」
「うん、行こう」後に続いて歩き出したハラの表情は、すでに晴れていた。

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記者オ・ソラが検察庁内の記者室へ飛び込んだ。「特ダネよ、特ダネ!」
彼女は自分の席につくなり、テキストエディタに記事を打ち込み始めた。

記者たち「何だ?何だよ?!」

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センセーショナルなニュースはすぐさま全国に広がった。

ニュース「本日午後、トンヨン製粉ファン・ボムド社長が不法麻薬所持の疑いで現行犯逮捕されました。今度の盤浦市議会に出馬を表明しているファン・ボムド社長は、選挙を前に実施した老人会館への寄付イベントにて、麻薬を小麦粉と間違えて寄贈したことが現場で発覚しました」

前総理とクム代表が、揃ってテレビを前に絶句する。

検事長室でニュースを目にしたチョン・ドヨン検事長は、思わず立ち上がった。「!!!」
その過剰な反応に、チン次長の中でさらに違和感がつのった「…?」

ニュース「現場に出動したソウル中央地検刑事6部は現場でファン・ボムドを逮捕、現在検察庁へ護送中です」

愛妻の瓦3枚が功を奏したのか!
ヤン部長は自室で思わず拳を握りしめた。「Yes!!!」

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「理由は何?」地検へと向かう車の中で、ハラが言った。「どうして麻薬を横取りしなかったの?」

ドチャン「俺、麻薬はやらないから」
ハラ「あれを売れば数百億にはなったはず。それが目的じゃなかったの?」
ドチャン「何が知りたいんだ?」
ハラ「真実」
ドチャン「こんな言葉がある。”真実はあなたがたを自由にします。しかし、その前に、あなたがたを憤慨させます”

※真実はあなたがたを自由にします-『ヨハネによる福音書』の第8章32節より。「しかし」以降はドチャンが付け足したものですね。

ハラ「?!」
ドチャン「心から忠告するが、何回訊いたって俺の口から真実なんて出てこないぞ」
ハラ「… ひとつだけハッキリしたわ。サ・ドチャン、あんたの視線の先はずっと向こうにあるって。とりあえず、そこまで一緒に行ってみるわ」

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中央地検へ帰還したハラたちは、連行されるファン社長が取材陣に囲まれるのを遠巻きに見送った。
そこへ男の子が駆けてくる。「検事さん!」
お腹に麻薬を入れられ、瀕死に陥った妊婦の息子だ。

ドチャン「おっ、坊主、元気だったか?」

一緒に来た母親が頭を下げる。
すっかり回復した様子だった。

ハラ「ずいぶん元気になられましたね。よかったわ」
女性「お礼のご挨拶に来たんです。私にあんなことをさせた男を捕まえてくださって」

女性はもう一度頭を下げた。「それに、病院代まで出してくださるなんて… 」
「…!」ハラが驚いて隣のドチャンを見上げた。

女性「本当にありがとうございます!私たち、おかげで救われました」

「?」ドチャンは眉をピクリと上げ、とぼけてみせる。「あぁ、そうでしたっけ?」

ドチャン「僕、左手のしてることを右手がすぐ忘れてしまうタイプでね」

※由来は”右手のしていることを左手に知らせてはならぬ”(『マタイによる福音書』第6章-3)。善行は人知れず行うのが美徳だという教えです。つい先日チャン・グンソクさんが母校に寄付をした際、「僕は右手のすることを左手に知らせるタイプです」と気の利いたコメントをしていました。彼のようなスターの善行が報じられると、その精神はファンの皆さん、一般人にも広がります。とてもいいことだと思います^^

男の子「(ドチャンに)検事さんが捕まえてくれたんでしょう?お母さんを苦しめた悪い人」

「うん」ハラが身を屈めて男の子を覗き込む。「この検事さんが捕まえてくださったんだよ」

男の子「僕もおじさんみたいに立派な検事になるよ!」

「ううん」ドチャンが首を横に振る。「絶対なるな。マジでつまんないから」

男の子「なっちゃダメ?」

うんうんと頷くドチャンの背中を、ハラがバチンと叩いた。

ハラ「そんなことないわよ。早く大きくなって、立派な検事になってね。ホントに立派な検事にならなきゃダメよ」

手をつないで去っていく親子を、2人は並んで見送った。
「ありがとう」前を見つめたまま、ハラが言う。

ドチャン「礼を言われたくてやったわけじゃないけど」
ハラ「あの親子に言ったんだけど?元気になってくれてありがとうって」
ドチャン「!」

「俺だってあの坊主に言ったんだけど?」ドチャンは照れ隠しに言い捨て、先を歩き出した。

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取調室でうなだれるファン社長の前に、ペク検事(ドチャン)とハラが並んでいた。
「チェ・サンヒョンの外交荷物から出たLSDT、小麦粉袋から出たLSDTと成分が同一だという分析結果です」ハラが鑑定書を突きつける。

ファン社長「…。」

さらに、ハラが写真を差し出す。「外交官チェ・サンヒョンの自宅で見つかった写真です」
ファン社長とチェ・サンヒョンが仲良く談笑している写真だった。

#隠し撮りっぽい写真だけど、これをチェ容疑者が持ってたってことは、いざ裏切られた時のための用意でしょうかね。

ハラ「こういう状況をお手上げって言うんですよね」

「…。」沈痛な面持ちのファン社長をじっと見つめ、ペク検事が片眉をピクリと上げる。「?」

#ファン社長、最初に出て来たときの悪人面とまるで人相が違うね!

~~~~

ファン社長に捜査の手が及ぶことを掴み、クム社長は素早く手を打っていた。

キム室長(電話)「(ファン社長に)検事長から情報が。もうすぐ捜査令状が出るようです。別荘のプールに隠してある品、早急に倉庫へ移動させてください」
ファン社長(電話)「プール?あぁ、はい!すぐに指示します」

「それから、もう一つ」キム室長がそばにいるクム代表を見上げる。「クム代表からの指示です」

キム室長(電話)「万が一、事が起きてしまったら、ファン社長がヒグマになってください」
ファン社長「ヒ、ヒグマ?!」
キム室長「お嬢さんがバンクーバーに留学中ですね。お嬢さんの安全のためにも、そうしていただきませんと」

~~~~

ファン社長は深く溜息をつき、頷いた。「こうなったからには、全て自白しましょう」

ファン社長「外交荷物で麻薬を運ばせた責任者は私です」
ペク検事&ハラ「…。」

ファン社長に2人の鋭い視線が刺さる。

ハラ「ファン・ボムドさん。ペク・ジュンス検事を襲ったのは、あなたの指示ですか?」
ファン社長「はい、そうです。私が指示しました」
ハラ「外交官パク・ヨンジン、ナム・スンテの殺害も指示を?」

「えぇ、私が指示しました」ファン社長の答えは半ばヤケクソだ。

ハラ「ファン・ボムドさん、あなたは別名…」
ファン社長「ヒグマ」
ペク検事「!」
ハラ「!」
ファン社長「皆、私をヒグマと呼びます。こんな体つきですからね」

「!」ドチャンは幼い頃に見た光景を思い浮かべる。
馬乗りになって首を絞めていた、あの人物は… 目の前にいるこの男なのか?
彼はハラと顔を見合わせ、小さく目配せをした。

ハラ「それなら、あの動画はどうしたんです?」

「ど、動画?」ファン社長がキョトンとして訊き返す。

ペク検事「チェコ文化館にあった、あの動画ですよ」
ハラ「知らないはずはないけど」

ファン社長は一体どう反応するだろう。
2人は固唾をのんで見守った。

ファン社長「…あははっ、チェコ文化館の!あそこに…動画はありませんでしたよ」

ドチャンがふっと目を閉じ、息をつく。
この人はヒグマじゃない…。

※「こんな体つきですから」とファン社長は言いましたが、ドチャンの記憶の中で馬乗りになっていた”ヒグマ”は太っていませんでした。”ヒグマ”の由来は体つきではなさそうです。

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大きな体に縄をかけられ、いまだ粉まみれのファン社長が、拘置所へ向かう護送車へ乗り込む。
その後ろ姿を、ドチャンとハラは何とも言えぬ気分で見送った。

ハラ「本物のヒグマなら、スペイン文化館を知らないはずがないわ」

#そうだっけ?(・∀・)

ハラ「それなのに、なんで自分からヒグマだなんて言ったのかな」
ドチャン「脅されてるんだろう。捕まったら全部被れって」

目の前のファン社長の大きな背中が、少し小さく見える。

ドチャン「あの人の命も危ない」
ハラ「そんなにじっと見たって、本物のヒグマが誰かわかんないわよ」
ドチャン「…気になるから」
ハラ「そうね。視線は気になるところに向かうものよ」
ドチャン「…?」
ハラ「人は気になるところを見るってこと」

ゆっくり走り出した護送車が、桜並木の中を遠ざかっていった。

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窓辺の植物の葉を、チェ前総理は丹念に拭った。
「どれほどの事業だか、お前もよくわかってるだろう」クム代表にそう語る。

前総理「あちこちへ根回しに賄賂、南山クラブのメンバーの奨学金もパッパと出してやる。数千億を超える事業だ。それがぶち壊しじゃないか!」
クム代表「…。」

ぎゅっと口を結んだまま動かないクム代表の前で、チェ前総理は小さく笑い声を上げた。「(観葉植物を見て)ここは日当たりがいい」

前総理「それでここからあそこまで番号をつけて、一列に並べとるんだ」

「1等、2等、3等…」特等席から順に、前総理が鉢を指す。「全て序列がある」
「!」クム代表がピクリと反応した。
前総理は1等席に鎮座していた鉢に手を伸ばす。「これはお前が去年誕生日にくれた蘭だったな」

クム代表「そうです」
前総理「こいつが最近えらくヒョロヒョロしてな」
クム代表「…。」
前総理「”花に十日の紅なし”と言うだろう。萎れたしまえば醜いものだ」

※花に十日の紅なし=『花無十日紅』どんなに綺麗な花も、10日と咲き続けることはない。この後に『権不十年久』と続きます。権力は10年と続かない、ということですね。

葉っぱの間に覗いていた萎れた花を、前総理は指先でむしり取る。
鉢を手に取ると、3等の場所にあった鉢と入れ替えた。

前総理「チョ・ソンドゥ、ヤツから処理すべきじゃないのか」
クム代表「!」

#じいちゃんのこういう喩え話、ホント嫌だ!不気味すぎる。

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「あの老いぼれめ!」オフィスへ帰り着いたクム代表は、憤慨してジャケットを脱ぎ捨てた。

キム室長「総裁のお言葉を無視なさるおつもりですか。弘大で麻薬を売ろうとしたチョ・ソンドゥが尻尾を掴まれて、こんなことになったんじゃありませんか。総裁の命令がくだった以上、放っておけば代表の前途に大きな災いになるかもしれません」
クム代表「…。」
キム室長「今決断しなければ、後悔なさいますよ」

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廃ホテルの一室、剥き出しの便座の蓋に腰を下ろし、チョ・サンドゥはうなだれていた。
そこへ、扉に設置された小窓が開く。

チョ社長「…なぁ、餃子でも差し入れてくれよ」

「チョ社長?」小窓に嵌めた柵の向こうから、男が顔を覗かせる。
手下の大卒男だ。「自分です、ムンシク」

チョ社長「ムンシク?あぁ、ムンシク!」

チョ社長が扉に駆け寄り、小窓にしがみついた。「お前、なんでここに?」
「シーッ」ムンシクが人差し指を立てる。

ムンシク「金を握らせて入ったんです。お話があって」
チョ社長「なぁ、ここから出してくれよ」
ムンシク「ファン社長のヤクが見つかって、今大騒ぎなんです。これも全部社長のせいだって噂が立ってて」
チョ社長「!」
ムンシク「下手したら社長の首が飛ぶ事態ですよ」
チョ社長「え?俺が?」

頷くムンシクの前で、チョ社長は絶句する。

#ちょっと可愛い(笑

ムンシク「こうすればどうでしょう?」
チョ社長「…どうするんだ?」

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ペク検事(ドチャン)とハラは、仲良く検察庁のロビーを入ってきた。
「ミランさ~ん♪」陽気に手を振る彼に、すっかり顔なじみになった受付のミラン嬢がニッコリと頭を下げる。

通門ゲートをくぐり、エレベーターのボタンを押したところで、ドチャンの携帯がうなった。
知らない番号からのメッセージだ。

『仁川市中区チャイナタウン 天地モーテル 地下7号室』

ドチャン「何だろ?」
ハラ「(携帯を覗き)何?」
ドチャン「さぁ。広告かな」

もう一度携帯が唸る。
今度は電話だ。「はい?」
「メール、届いていますよね?」男の声が聞こえてきた。

男(公衆電話)「ある人の命が危ないんです。急いで助けてください」

「ボイスフィッシングか?」ドチャンが眉をひそめる。

ドチャン(電話)「えぇ、急いで金をお送りしますよ。いくら?10億あればいいかな」

詐欺につきあってやるドチャンが可笑しくて、ハラは思わずニヤリと笑った。
「いや、そうじゃなくて…」電話の向こうで男が戸惑う。

ドチャン(電話)「いやぁお客様!驚かれましたよね♪」

「ペク・ジュンス検事」電話の男がふいに言う。
「!」ドチャンの顔から笑みがサッと引いた。

「その人を救出すれば、あなたの追っているヒグマを捕らえられます」電話の男… ムンシクが切り出した。

ドチャン「!!!」

+-+-+-+

すっかり日が沈んでいた。
黒づくめの男が数人、無言で車を走らせている。
助手席にいるキム室長は、じっと前を見据えたまま身じろぎ一つしなかった。「…。」

+-+-+-+

時を同じくして、ドチャンはバイクを覆ったカバーを一気に剥ぎ取った。
愛車の『プリンススピード』だ!(笑
バイクに跨り、ブルンとエンジンをかけると、一気にアクセルを踏みこんだ。

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ハラもまた、捜査員たちと検察車両に飛び乗り、緊急出動した。「チャイナタウンへ。急いで!」

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ドチャンのバイクが細いチャイナタウンの通りを駆け抜ける。
対角線をキム室長の車が通り過ぎると、すぐ後にドチャンも同じ方向へハンドルを切った。

ドチャンはある飲食店の前でバイクを止めると、店の中へ入っていく。
ホールを通り抜け、厨房を抜け…

#店の人たちが見向きもしないのがいいね

ムンシク(声)「厨房の潜り戸を出れば、モーテルに続く階段があります」

潜り戸を出て階段を上がり始めると、そこは一気に寂れた風景に変わっていた。
階段を上がる足音だけがコツコツと響く。
てっぺんまで上がりきると、そこに古い建物が浮かび上がる。”モーテル 天地”

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7号室の外から何やら騒々しい音が聴こえてくる。
「!」チョ社長は腰のベルトを外し、ぎゅっと握りしめると、ドアの脇で待ち構えた。「そう簡単にくたばるもんか」

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モーテルの地下へ辿り着いたドチャンは、ギョッとして立ち止まった。「!!!」
黒づくめの男たちが廊下を埋めていたのだ。「何だ?!」

ドチャンは思わず後ずさった。
予定外の事態だ…!

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ここでエンディングです!
30分間「これでもか」ってほどのサドチャン劇場、楽しかったですね~。
捜査の過程で、「ん?」と思うことはいろいろあるんだけど、そんなことはいいやと思えてしまう(笑)

訳では触れませんでしたが、チョ・サンドゥの処分を指示してから、クム代表が例の『我が子を食らうサトゥルヌス』をアレンジした絵画を見つめています。自分の権力を守るために子を食らった神を描いたこの絵。彼とチョ・サンドゥとの関係を暗示しているのでしょうか。

ドチャンのピンチに助っ人が飛び込んでくることを期待しつつ、次回を待ちましょう~♪

 - スイッチ-世界を変えろ