韓国ドラマから美しい言葉を学ぼう

韓国ドラマのあらすじや詳細日本語訳を紹介!セリフを題材にした文法解説も

スイッチ-世界を変えろ 5話 あらすじ&日本語訳

   

チャン・グンソク主演SBS韓国ドラマ『スイッチ-世界を変えろ』5話あらすじを、セリフの日本語訳を混じえて紹介していきます。

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フィルギャラリーのクム代表の元へ、キム室長が丸坊主の男を連れてやって来た。

キム室長「代表に話があるそうです」
クム代表「?」

「あの…」丸坊主の男が覗き込む。「高飛びするのに金がありませんと…」
「用意してやろう」絵を額装しようと糊を塗り広げる手を止めることなく、クム代表が言う。
「ありがとうございます!」丸坊主の男が頭を下げた瞬間、クム代表がキム室長に素早く目配せをする。

キム室長「!」

瞬く間もなく、キム室長のナイフが男の首筋を切り裂いた。
赤い血滴が、テーブルの絵に鮮やかな点を描く。「!」

クム代表「絵がダメになったじゃないか」
キム室長「申し訳ありません」

#人間の命より絵が大事で、その上、絵がダメになったのも特に残念がっている様子なし。クム代表の人格がよく出ていますね。

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「ホントに大丈夫だって!」神妙な顔でそばを離れないボン監督たちに、ドチャンは業を煮やしていた。
拉致現場から救出された彼は、病院へ運ばれていたのだ。

ドチャン「(腕を回して見せ)ほらな、元気だろ」
ウンジ「ドチャンさん、もうやめようよ。どんなにビックリしたか!」
インテ「詐欺業で拉致されたことなかったのに。検事も安全な仕事じゃないな」
ウンジ「全部オ検事、あの女のせいよ」

とそのとき、知らせを受けた当のオ検事がやって来た。

ハラ「(ドチャン)黙って何やってんのよ!」
ドチャン「元締めに近づくのは難しいんだろ?俺のやり方が早い」
ハラ「…。」
ドチャン「言ったら反対するだろ」
ハラ「そんなことしたって誰も感謝しないわ」
ドチャン「…。」

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「すでに2度失敗か」クム代表は改めてペク検事抹殺作戦についての報告を受けていた。

クム代表「…キム室長らしくもない」
キム室長「申し訳ありません。いきなり誰かがガスを撒いたので」
クム代表「?」
キム室長「誰かペク検事の後ろ盾がいるようです」
クム代表「検察や警察じゃなく?」
キム室長「違うようです。義手を嵌めていました」
クム代表「…義手?」

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「罠?」誰もいない病院の廊下で、ハラが訊き返した。

ドチャン「ヤツら最初から俺のことペク・ジュンスだって知ってた。妊婦を餌に俺を屠殺場へおびき寄せたんだ」

「ペク検事の交通事故も単なる事故じゃないんだろ」ドチャンの鋭い視線がハラに向かう。
「…。」ハラは否定することなく、黙って視線を外した。

ドチャン「ペク検事も俺も、ナム・スンテに会いに行く前に事故に遭った。今すぐナム・スンテを探すんだ。あの人も危ない」
ハラ「…死んだわ。北漢山で」

「!」ドチャンが思わず身を乗り出した。「こんな危険な場に俺を引っ張り込んだのか」

ハラ「だから大人しくしてろって言ったのよ。なんでわざわざ危険な方へ事を広げるの?!」
ドチャン「危険?一番危険なマネをしたのはあんたじゃないか、オ・ハラ検事!俺は理由も知らずに死ぬところだったんだ!」
ハラ「…。」
ドチャン「お宅ら一体何を捜査してるんだ?受け取ろうとしてたブツって何なんだよ?」

「…知ってロクなことはないわ」ハラが渋い表情で目をそらす。

ドチャン「好きなだけ利用しておいて、捜査内容は教えられないって?」
ハラ「…。」
ドチャン「ペク・ジュンスとして犬死にするよりは、詐欺で牢屋送りになるほうがマシだな」
ハラ「!」
ドチャン「記者に会いに行く。気が変わったら来ればいい」

冷たく背を向けるドチャンに、ハラが声をあげる。「ちょっと!サ・ドチャン!」

ハラ「頭おかしいの?暴露してどうすんのよ!私たち皆一緒に葬られるわ」
ドチャン「だから言えっつってんだろ!俺を殺そうとしたヤツらが誰なのか、それがわからないと…」
ハラ「…。」
ドチャン「… 逃げるにして立ち向かうにしても、心の準備が出来ないだろ」
ハラ「…。」
ドチャン「ペク検事は一体何を捜査してた?」
ハラ「…麻薬よ」
ドチャン「麻薬?一介の麻薬組織が、検察を見くびって捻りつぶそうと?それも2度?」
ハラ「ただの麻薬組織じゃないわ。検察や外交官まで動かす力を持ってるヤツらよ。この数年、外交官を使って密かに麻薬運搬をさせていたの。外交荷袋を利用して」
ドチャン「外交荷袋?」
ハラ「外交官が持ち込むカバンなんだけど、その中身は税関の検査を受けない。それを悪用して外国から不法武器や死体まで入ってきたことがあるわ。麻薬供給で蓄積された莫大な”黒い金“が力になる。たかが検事なんて気にもとめないほどの凄まじい権力」
ドチャン「それじゃ、ナム・スンテから受け取ろうとしたのは何だ?」
ハラ「元締めが映ってる動画のUSBメモリ」

「…。」ドチャンが重々しくため息をついた。「元締めは誰なんだ?」

ハラ「一切わかってない。その動画が唯一の手がかりだから、何とか手に入れようとしたのよ」
ドチャン「…。」
ハラ「そうだ、一つだけわかってるわ。別名よ」

「ヒグマ」ハラはそう呟いた。
「!!!」ドチャンがゆっくりと視線をあげる。「…ヒグマ?」

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『03 自分を自分だと言える者』

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大急ぎでマンションへ帰ると、ドチャンは奥の自室へ飛び込んだ。

#玄関からの数メートルでさえ走り方が超可愛い( ´艸`)ムププ

積み上げたファイルや手帳の中から一冊を選び出すと、ページを開いた。
そこには…

『ヒグマ‥元締め → 麻薬取引 → 外交官 』

ただならぬ様子に、ボン監督が入ってくる。「ドチャン、どうしたんだ?」

ドチャン「ペク検事は… ヒグマを追ってたんだ」
ボン監督「ヒグマって… お前が追ってたあいつか?」
ドチャン「…。」
ボン監督「同一人物なのか?」
ドチャン「調べないと。そのためには… ペク検事の身代わりをやらなきゃいけないんだ」

たびたびうなされるあの悪夢。

布団の中に隠れていた幼いドチャンの耳に、首を絞められた男の息も絶え絶えの苦しい声が聞こえる。

『ヒグマ、やめてくれ…!』

20年…
20年探し求めていた人物… それが『ヒグマ』だった。

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仕事場へ戻り残業していたハラは、ふと手を止めた。
『ヒグマ』という名を聞いた時のドチャンの反応が気にかかっていたのだ。

ハラ「何か知ってる様子だったけど…」

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翌朝。

ハラはヤン部長に報告をする。「サ・ドチャンと話したんですが、もともと無謀な作戦だったので、止めるように言いました」

ハラ「彼も危険だからもう出来ないと」
ヤン部長「あぁ、まぁむしろ良かったさ。我々もこの機に終わりにしよう」
ハラ「終わりに?だからって捜査をやめるわけにはいきませんよ。私たちだけでも探らないと」

「やれやれ」ヤン部長は深くため息をつく。「ナム・スンテは死に、ペク検事は眠ったまま。証拠もない」

ヤン部長「何を探るんだよ?もう道がないじゃないか」
ハラ「…。」

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ヤン部長の部屋を出て廊下を歩きながら、ハラはぶつぶつとボヤいた。

ハラ「ペク先輩もいない、サ・ドチャンもいない」

「それで?いて欲しいのはどっち?」ふいに曲がり角で声が聞こえる。

ハラ「?!」

そこにいたのは、昨日までと同様、ペク検事仕様に化けたサ・ドチャンだ。

ハラ「あんたどうしたの?」
ドチャン「いなくて残念なのはどっちだよ?俺?それともペク・ジュンス?」
ハラ「いやまぁ… キジの代わりにニワトリってことで、とりあえずあんたにしてあげる」
ドチャン「わぁ、ニワトリ扱いされるとはね」
ハラ「尻尾を巻いて逃げたかと思った」
ドチャン「逃げるわけないだろ。俺が唯一の目撃者なのに」
ハラ「!」

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昨夜遅く。
ドチャンは詐欺団メンバーを集めていた。

ドチャン「ヤクのあるところに金がある。考えてみろ。俺は今、ペク・ジュンス検事という身分を手にしてる。これを利用し上手くセッティングして、ヤツらの金をかっさらって逃げるんだ」
ウンジ「私はイヤ!ドチャンさん、また危ない目に遭ったらどーすんのよ」
ドチャン「俺たちだってずっとこんな稼業やってられないだろ。このデカさは俺たちの引退作にもピッタリだ」
ボン監督「オ検事が信じるかな」
ドチャン「もちろん信じないろう。だから説得しないとな。誠心誠意」

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ハラ「目撃証言しに来たの?」
ドチャン「そのためだけじゃない。俺は本物の検事じゃないから捜査は出来ないけど、オ検事の力になりたいんだ」
ハラ「笑わせないで。何を企んでるのか知らないけど、また騙して逃げるつもりなら…」
ドチャン「あのときは何もわかってなかったんだ。今は状況が違うだろ。俺を殴ったヤツらも捕まえなきゃならない。オ検事が危ない橋を渡ろうとすれば… まぁ、俺が守ってやることもできる」
ハラ「あんたが?私を?」

ドチャンがウンウンと頷く。

ハラ「調子に乗るんじゃないわよ」

呆れてボヤきながらも、彼女はニッコリと微笑んだ。「何はともあれ、頑張りましょ」
彼女が差し出した右手を、ドチャンはしっかりと握り返す。「これを“コムサ”同一体って言うんだ」

ハラ「言葉の使い方が間違ってるわ」
ドチャン「”検事(コムサ)“と”詐欺師(サギクン)”は一体」
ハラ「!」
ドチャン「検事と詐欺師が力を合わせて頑張ろう、まぁそういう意味だ」

※正しくは”検事同一体”。検察組織は上層の指示に下層が従う、いわゆるトップダウンの原則で成り立っていることを指す言葉。日本語では検察一体、または検察官一体と言うようです。ドチャンは”検事(コムサ)と詐欺師(サギクン)”の頭文字を取り、“検詐同一体“に置き換えて自分たちの関係を表現しています。

そこへ現れたのは…
刑事6部のエリート、キル検事。「アウトサイダーと地方大出身者の団結か」

キル検事「実にファンタジーなコラボだな。お似合いだ」

#聞き取りが間違ってたらすみません。韓国語でも”コラボ”と略してて、ちょっとおもしろいなぁと^^

ハラ「(ムスッ)」
キル検事「おい、ペク検事。同じ大学出身だが、一度も同窓会に顔を出さないな」
ドチャン「…。」
キル検事「あぁ、そうかそうか。俺の方が学年は下だけど、検察じゃ先輩だ。”少年及第”したからな」
2人「…。」
キル検事「はぁ、なんて頭がいいんだろう。とにかく、同窓会には出ろよ。先輩後輩を管理して人脈を強化しないと。全部未来のための投資… まぁ確かに、だからってお前が成功するとも思えないがな」
ドチャン「…。」
キル検事「(ハラに)お前の大学は同窓会もないだろうな」

捨て台詞のように言い、キル検事は2人の前を通り過ぎた。

ハラ「!!!」
ドチャン「あいつがキル・デロだろ?」
ハラ「公私ともに超要注意人物よ」
ドチャン「顔相学的にああいう顔のヤツはペラペラとよく喋るんだ」
ハラ「後ろ姿さえ身の毛がよだつわ」
ドチャン「見てるだけで腹の立つヤツっているもんだな」

「!」ハラはウンウンと強く頷く。

ドチャン「俺たち、人の悪口言うときは気が合うな」

「Oh!」「Nice!」2人はパンと手を合わせた。

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「キム室長、お前2度も失敗したんだぞ」クム代表を前に、チョ社長はここぞとばかりにライバルを責め立てた。

チョ社長「組織の健全のためにも過ちは正さないと。そうでしょう?代表」
キム室長「私に落ち度がなかったとは言いません。ですが、あの廃倉庫に誰かが現れるとは予想がつかなかったんです」
チョ社長「はぁ、キム室長。そんなんじゃダメだ。この世で一番くだらないのは、失敗して言い訳する人間だぞ。そうでしょう?代表」

「やめろ」ずっと背を向けていたクム代表が口を開く。

クム代表「(チョ社長に)人のこと言えるのか」
キム室長「辻褄の合わないことがあります。束草で交通事故のあった同じ日に、無人島でペク検事に会ったと言うじゃありませんか」
クム代表「同じ日だったのか?」
キム室長「チョ社長が無人島でペク検事を見たというのが午後1時。交通事故が午後3時。2時間で仁川から束草へ移動したと…?」
クム代表「…。」
チョ社長「神出鬼没って言葉もある。俺はソウルから木浦まで1時間半しか掛からないけど、お前が見当違いの人間を海に沈めたんじゃないか」
キム室長「束草からずっとペク・ジュンスを監視していたんです。見当違いではありません」
チョ社長「検察庁までついて行って確かめたんだってば」
キム室長「チョ社長が偽検事に騙されたのでは?」
チョ社長「!」

#この2人の意地の張り合い面白い。毎回ちょこっとずつ入れてほしいね。

クム代表「チョ社長、束草へ行ってみろ。もし海から生還したなら病院へ行ったろう」

「はい!」チョ社長は目を輝かせる。

チョ社長「キム室長が抜かりなく処理してりゃ、こんな手間も掛からなかったのにな」
キム室長「…。」
チョ社長「(クム代表)しっかり掴んで来ます!」

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開発されないまま荒れている高架下。
停車している車の運転席にいるのは、クム代表だ。
もう1台、車が静かにやってきて、隣に停まる。
開いた窓から見えたのは… ソウル中央地検のチョン・ドヨン検事長ではないか!

#わあああー!あんたまさかーー!ペク検事の事故直後、ヤン部長が検事長に報告しようとしたのをハラが咄嗟に止めたけど、まさにこの人が当の内通者だったとはね

チョン検事長「シナリオは上出来でしたよ。クム代表の予想通り、ペク検事が飛びついたのは事実ですから」
クム代表「申し訳ない。私の不徳の致すところです」
チョン検事長「方法を再考すべきでは?検事相手なんですから。こんなやり方では下手すりゃ難儀する人が大勢出ます」
クム代表「…。」
チョン検事長「動画も入手なさったんですから、騒ぎになる解決法は避けましょう」
クム代表「承知しました。やり方を変えます」

「ところで」クム代表が言葉をつなぐ。「ペク検事、本物ですか?」

チョン検事長「どういうことです?」
クム代表「断言は出来ませんが、どことなく幻を相手にしているような気がしまして」

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”ペク検事”が拉致された廃倉庫で現場検証が行われていた。

ハラ「(女性刑事に)見つかりました?」
女性刑事「寂れた場所ですから、防犯カメラも目撃者もありませんね。出入りした車の特定は難しそうです」

「何か見つかりましたか?」ドチャンが捜査員たちに声を掛ける。

捜査員「綺麗なもんです。指紋一つ出ませんよ」
ドチャン&ハラ「…。」
女性刑事「ひとまずお戻りください。モンタージュが出来上がる頃ですから」

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ドチャンの証言を元に、”丸坊主の男”のモンタージュ画像が出来上がっていた。

ハラ「(ドチャンに)こんな顔だった?」
ドチャン「あぁ、似てる。けど、実物よりイケメンだな」
ハラ「(刑事に)モンタージュ写真を全国の警察に送って手配してください」
刑事「えぇ、わかりました」
ハラ「弘大の事務所は?」
別の刑事「跡形もなく片付いてました」

「副業で清掃業者でもやってるのかしら」ハラがボヤいた。

※NANA clubのことですね。

「さぁ、まだ肌寒いですから」お盆を手に、会議室に入ってきたのはコ係長だ。「緑茶をどうぞ」
一人ずつお茶を配り、彼は最後に残った湯呑をドチャンに差し出した。「ペク検事もどうぞ」

ドチャン「(指先をこすり合わせ)お菓子を食べたから指が… 手を洗ってきます」

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ドチャンがお茶を最後まで飲み干すと、隣のコ係長がさっと下に茶托を差し出す。「私が片付けます」

ドチャン「ご馳走様でした。やっぱり宝城の緑茶は美味しいですね」

「えぇ」そう言って、コ係長はドチャンの湯呑を手に席を立った。

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ドチャンの湯呑を大切にビニール袋に入れ、コ係長が向かったのは鑑識課だ。
ペク検事復帰の日から、ずっと彼を不審に思っていた。
性格が変わったように見えるのはもちろん、昨年会ったことも覚えていなかったようだし、盗み聞きした教育係ウ部長との会話もチグハグだった。

コ係長「性格が変わることがあっても、指紋は絶対に変わらないからな」

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デスクで真剣な顔で業務に… マインスイーパーに熱中するドチャンの元へ、ハラが飛び込んできた。「あんた、詐欺9段って言ったよくせに!」

ハラ「コ係長に何かしたの?」
ドチャン「コ係長がどうした?」
ハラ「鑑識にいる後輩が知らせてくれたんだけど、コ係長が指紋鑑定を頼みに来たって」
ドチャン「指紋?」
ハラ「さっき飲んでた緑茶。あの湯呑よ!はぁ、どうしよう」
ドチャン「そこまで気が回らなかった」

困り果てるハラを、ドチャンは黙って見上げた。「…。」

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もうオシマイだ。
ハラは早々にデスクの荷物を片付けていた。
部屋にはしんみりとした湿っぽい空気が流れる。

そこへ入ってきたのは、当のコ係長だ。「お話があります」

コ係長「ペク検事が以前お目にかかった時とあまりに違っていたので、ひょっとして別人ではないかと、刑事時代の勘が働きまして」
ハラ「…。」
コ係長「それで、ペク検事の指紋を取り、鑑識へ行ったんです」
ハラ「いくらなんでも…」
ドチャン「結果は… どうなりました?」

「それが…」コ係長が俯いて言いよどむ。

コ係長「ペク・ジュンス検事の指紋と… 99.9%一致していました」

「申し訳ありませんでした」コ係長が深々と頭を下げる。

ドチャン「…。」
ハラ「!!!」

仰天して見つめるハラに、ドチャンは“してやったり”と口角を上げて見せた。

コ係長「ところで、どうして片付けを?あぁ、掃除ですか?」
ハラ「あぁ、えぇ」
コ係長「捜査官たちにやらせればよろしいのに」

苦笑いするハラの隣で、ドチャンは笑いを噛み殺した。

#憎いねぇ~。「策は打ってあるから」と言ってあげれば済むことだったのに、落ち込ませておいてサプライズにするなんて、意地悪な。

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ドチャンとエレベーターに乗り込むと、ハラはヘナヘナとその場に座り込んだ。「はぁ、心臓がはち切れるかと思った」

ドチャン「鼓動は抑えろって言ったろ。とにかく俺に感謝しろよ。オ検事まで守ってやったんだから」
ハラ「一体どうやったの?」

カラクリはこうだ。
看護師にバケたウンジがジュンスの病室へ忍び込み、指紋を採取。
インテがそれを元に、”指紋パッチ”を制作。
コ係長の思惑をめざとく察知したドチャンが、湯呑に手を付ける前に”指紋パッチ”を指に貼り付けたと、こういう顛末だった。

ハラ「… マジでハンパないわ」
ドチャン「(ニヤリ)これしきのことで」
ハラ「奢ってあげよっか」

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「コ係長が疑ってるって、どうしてわかったの?」目の前を通る寿司の皿をさっと手に取り、ハラはドチャンの前に置く。
「いや、それよりも…」間髪入れずに別の皿を取る。「湯呑で指紋を取ろうとしてるって、どうしてわかったのよ?」

ドチャン「…。」
ハラ「ところで、詐欺はいつから始めたの?」

あっという間に彼の前が皿で一杯になった。

ハラ「元々そっちの才能があったのかな」
ドチャン「…。」
ハラ「どこの出身?ご両親は?兄弟はいる?詐欺を何件くらいやったの?一度も捕まらないなんて!」

質問を浴びせるハラを、ドチャンは呆れ顔で見つめた。「これじゃ胃もたれしそうだ」

ドチャン「一度に一皿ずつな」

ハラはさらに調子づき、匙をインタビューマイク代わりに差し出した。「優秀な詐欺師になった秘訣は?」
彼女の無邪気な視線に、ドチャンはしばし言葉を失う。「…。」

ドチャン「… そうですね、早期教育の賜物でしょうか」
ハラ「早期教育?」

不思議そうなハラの表情を、ドチャンは穏やかに眺めた。

ハラ「ご苦労さま。たくさん食べてね」

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市場へ買い物に出掛けたハラの母親は、ポン!と何かが弾ける大きな音に目を丸くした。
ポン菓子の音だ。

ハラ母「ビックリしたじゃないの!おじさん!(ポン菓子を見て)今どきダサいわね」
ポン菓子屋「おぉ、キレイなお姉さん」

「食べてみなよ」出来たばかりのポン菓子をひとつまみ、ハラ母に差し出す。

ハラ母「ありがとう(一口パクリ)意外と美味しいわね」

「食べたな」ポン菓子おじさんがすかさず商品の袋を差し出す。「3000ウォンだ」

ハラ母「汚いやり方!うちの娘は検事なのよ」
ポン菓子屋「まけてやろうと思ったけど、嫌ならいいや」

「えぇ、やめるわ」プイと背を向けようとしたハラ母を、ポン菓子屋がすかさず呼び止める。「ところで」

ポン菓子屋「映画女優に似てるって言われたことない?」
ハラ母「映画女優?誰?」
ポン菓子屋「あぁ!オードリー・ヘップバーン!睫毛がヘップバーンそっくりだ」
ハラ母「うふ♪」

「ポン菓子売っても儲からないでしょうに」そう言って、ハラ母はポン菓子の袋を二つ手に取った。
「定価でいただくわ」ポケットからお金を取り出す。「さっき3000ウォンって言ったから、6000ウォンね」
ポン菓子屋は受け取った金から1000ウォンを返した。「1000ウォンサービスだ」

ハラ母「サンキュー♪」

※幼いドチャンの前で首を締められていた男性と、このポン菓子おじさんがよく似ていますが、今のところ何もヒントはありません。

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ゴルフのクラブがボールを捉え、高く飛んでいく。
「ナイスショット」クム代表が讃えた相手は、前総理チェ・ジョンピルだ。

#青いセーターがドチャンとかぶってるよ~と思いきや、その絵柄は…^^;

チェ前総理が上機嫌で歩き出した。「その検事、名前は何と言ったか」

クム代表「ペク・ジュンス検事のことでしょうか、総理」
チェ前総理「そいつがしぶといのか、お前が軟弱なのか。2度もやり損うとは話にならん」
クム代表「申し訳ありません」
チェ前総理「さっさとやれ」
クム代表「それが… 検事長が態度を変えまして」
チェ前総理「?」
クム代表「殺すなと」

「…。」咳払いをし、チェ前総理が着地したゴルフボールに手を伸ばす。

チェ前総理「自分は手を汚すつもりなんてないんだ。外野にいれば計算高くなるのが人間の性根だろう」
クム代表「…。」
チェ前総理「一度連れてこい。懲らしめてやろう」
クム代表「承知いたしました」

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ゴルフ場の前。

車のトランク一杯に詰まった『果物』のダンボールを、キム室長とチョ社長が別の車へ移す。

ゴルフ場から出てきたチェ前総理が”ダンボールが積み込まれた側”の車に乗り込む。
チェ前総理を見送り、クム代表が”ダンボールを運び出した側”の車に乗り、発進した。

少し離れたところで、その一部始終を密かにカメラに収め、男が一人、車の走り去るのを見送った。「…。」

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「”熊が働いて、金はワンさんが受け取る”っていうでしょう」帰りの車の助手席で、チョ社長が熱弁を振るっていた。

※汗水たらして働く人がいる裏で、楽して得をする人がいるという古い喩え。

チョ社長「チェ総理の懐に入るのは全部俺たちが儲けて捧げた金じゃないですか」
クム代表「…。」
チョ社長「総理と縁を切っても俺たち生活に困るわけじゃないのに、代表のお考えがわかりませんよ」
クム代表「生活に困らない?」
チョ社長「今の代表の財産なら、一生食べていけるじゃないですか」

「ふむ」クム代表がゆっくりと身を乗り出す。「100億あれば食べてはいける」

クム代表「1000億あれば人を動かせる。だが、世の中を動かすには…その10倍、100倍必要だ」

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ここでエンディングです。
詐欺師相手に強気だったのに、ドチャンの頭の良さに見方が変わっていくハラを見てるのが楽しいですね~。

それにして、チェ前総理。
ただでさえ聞き取りにくいのに、なぜわざわざ方言に(涙)

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