韓国ドラマから美しい言葉を学ぼう

韓国ドラマのあらすじや詳細日本語訳を紹介!セリフを題材にした文法解説も

スイッチ-世界を変えろ 3話 あらすじ&日本語訳

      2018/04/08

チャン・グンソク主演SBS韓国ドラマ『スイッチ-世界を変えろ』3話あらすじを、セリフの日本語訳を混じえて紹介していきます。

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まんまとサ・ドチャンに一杯食わされたハラは、半狂乱になって彼を追いかけた。

ハラ「あ゛ーホントにあの罰当たり野郎!ろくでなし!海に沈めてやるんだった!出てきなさいよ!はぁ、ハラ、落ち着くのよ。捕まえたらタダじゃすまないんだから!」

02『密やかに 危なげに』

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一方、30億を失ったチョ社長はいよいよ焦りを募らせていた。「どうすりゃいいんだ?」
「おい、大卒」チョ社長は手下の一人を呼びつける。

チョ社長「代表に何て言おうか。ちょっとでも叱られずに済む言い訳はないかな」
大卒「裏金を作ろうとしたとおっしゃればいいんです。検事が来るまでは勝っていらしたじゃないですか」
チョ社長「おぉ、やっぱり大学出てるヤツはどこか”間違ってる”なぁ」
大卒「”間違ってる“じゃなくて”違う”です。”間違ってる”というのは正しくないことで、”違う”というのは同じではないってことですよ」

※日本語で無理やり区別して訳すと不自然になってしまいますね。同じ『違う』と訳せる単語、틀리다(正しくない、というニュアンスの”違う“)と다르다(同じではない、というニュアンスの”違う”)を混同していることで、チョ社長の教養の無さが感じ取れます。

大卒「ゆえに”間違っている”というのは”間違い“です」
チョ社長「おい、また説教か。また?先生かよ?」

そのとき… 「代表がお見えです!」手下の一人が慌てて飛び込んできた。

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ドチャンたち詐欺団は空港へ来ていた。
「モルジブには超美味しいカレー屋があるんだ。連れてってやるよ」そう言いながら、ドチャンは出国ゲートでチケットを差し出した。

ドチャン「?」

レーンの隣でさっとそれを受け取った人物を見て、ドチャンはハッと息を飲んだ。「はっ!」
「どこか素敵なところへ?」オ・ハラではないか!

ボン監督「モルジブへ行くんです」
ハラ「あぁ、モルジブね。(ドチャンに)お連れさん?」
ドチャン「まさか!俺は一匹狼なんだから」
ハラ「…。」
ドチャン「ところで検事さん、なんでここに?」
ハラ「私たち、話し合いが必要じゃない?」

「出ましょ」ハラは有無を言わさず歩き出した。

ドチャン「…。何でみんな俺と話し合いたがるんだ?」

あまり人目につかないところまで来ると、ハラは厳しい顔で振り返る。「検事を裏切るなんて!」

ドチャン「不思議だな。何で俺がここにいるってわかったんだ?」
ハラ「GPS」
ドチャン「?」

ドチャンのスマートフォンを没収したときに、位置追跡プログラムを仕掛けてあったのだ。

ドチャン「GPS?民間人不法査察じゃないか!」
ハラ「あんたみたいな小賢しい詐欺師を相手にするんだから、それくらいの準備はするわよ」

「さっさと出しなさい」ハラが手を差し出した。
「そのことだけどさ」ドチャンは大きな手のひらを彼女の肩にドンと乗せた。「聞いて驚くなよ」

ドチャン「その中には… なぁ~んにもなかった」
ハラ「(手を払い除け)それを信じろって?」

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「許してください、代表」チョ社長は手下たちと共に土下座していた。
彼を見下ろしているのは… フィルギャラリーのクム代表だ!

クム代表「また会社の金に手をつけたんだって?」
チョ社長「そのことですけど… 会社の裏金を作ろうと思いまして」
クム代表「それで賭博を?」
チョ社長「それが… 2倍に殖やそうってところに検事が踏み込んできたもんだから」
クム代表「検事?」
チョ社長「ペク・ジュンスっていう…」
クム代表「!」

クム代表が後ろに控えるキム室長を振り返る。「ペク・ジュンスが生きているって?」

チョ社長「お知り合いですか?」

キム室長はチョ社長にペク・ジュンスの写真を見せる。「この人ですか」

チョ社長「あっ、えぇ!そうです!」
クム代表「!」
キム室長「申し訳ありません、代表。私の手落ちです」
クム代表「ふむ、だから逃がした魚は大きいんだ」

#クム代表、チョ社長、キム室長…役名がややこしいですよね^^;; ワルとおバカとイケメンとか書きたい。

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検察の取調室に舞い戻り、ドチャンはふてくされていた。
目の前で、ハラが彼の荷物を全てテーブルにぶちまける。
お目当ての物は見当たらなかった。

ドチャン「はぁ、何で人の言うこと信じないんだろうな。空っぽだったんだってば」
ハラ「…。」

ハラの携帯が鳴る。

ハラ(電話)「全部探していただけました?ありませんでしたか…。えぇ、お疲れ様です」

ドチャンのマンションにもブツはなかった模様だ。

ハラ「どこにあるの?」
ドチャン「僕だって知りたいですよ。どこのどいつが50億かっさらったのか」
ハラ「50億?」
ドチャン「ナム・スンテが言ってたけど?50億諦めたって」
ハラ「あんた、金になるからって私に協力するふりしたわけ?」
ドチャン「違うなら一体何だよ?」

そのとき、テーブルの携帯が唸った。ペク検事のSIMカードがささった携帯だ。
ハラが携帯を差し出す。「ナム・スンテよ。出て」
ドチャンはスピーカーフォンに切り替えた。「ナム・スンテさん。どういうことですか?」

ナム・スンテ「すみません、検事さん。ブツは私が持っています」

ほらな、と言いたげにドチャンがハラを見上げる。

ナム・スンテ「条件があるんです。私も高飛びするには金がないと」

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「1億?!」部長がすっとんきょうな声を上げ、ソファへ倒れ込んだ。

部長「そんな金どうやって!」
ハラ「何とかして用意しないと」
部長「借金でもするのか?それともうちの家を担保にローンを?」
ハラ「ありがとうございます、部長!」
部長「お前、よくそんなこと言えるな。冗談は冗談として受け取れよ!」
ハラ「例の物を受け取らないと」
部長「あぁそうだな、受け取らないと」

考えていた部長がつぶらな目をパッと見開いた。「特活費!」

※特活=特別活動

部長「そうだ、こんなときのために特活費があるんじゃないか。そうだろ?」
ハラ「そのとおり」
部長「OK、俺が何としてもゲットするから、1週間だけ時間を確保してくれ」
ハラ「絶対ゲットしてくださいね♪」
部長「…くれるよな?」

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「1週間後ですか?」ナム・スンテが電話を受けている。
「わかりました。必ずお一人で来てくださいね」背中を丸め、静かに話す彼の額に流れるのは… 赤い血!

彼はキム室長に捕まり、クム代表の前に引きずり出されていたのだ。

クム代表「ドジョウみたいに逃げ回りやがって。ブツはどこだ?」
ナム・スンテ「お前みたいな化け物には絶対言わん」
クム代表「この本を読み終えるまでに言え。それまでに言わなけりゃ、死ぬかもしれんぞ」

※クム代表が読んでいる本、遠藤周作の『沈黙』ですね。

仕方なくナム・スンテが引き渡したUSBメモリーからデータを抜き取り、クム代表は部下に焼却を命じた。

ナム・スンテ「もうそれも手に入ったのに、わざわざペク検事を呼び出して殺さなくても…」
クム代表「事がこじれる前にしっかり始末しておかないとな」
ナム・スンテ「!」

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荷物を全てスーツケースに戻し、ドチャンは取調室を出る準備をすっかり整えた。

ドチャン「さてと、潔白は証明されたし。とにかく、ブツが無事手に入ることを心から祈りますよ、オ検事」
ハラ「…。」
ドチャン「じゃ、僕らこれでお別れってことで」

手を振って部屋を出ようとしたドチャンを、ハラが手で制した。「…。」

ドチャン「あぁ、勘弁してくださいよ。情でも移った?」
ハラ「ちょっと状況が変わったわ」
ドチャン「状況?」
ハラ「月曜日から出勤しろって言ったら断るわよね?」

ドチャンの目にふいに怒りがこもる。「俺をからかってんのか?」

ドチャン「俺が何で!」
ハラ「断れないわよ」

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ハラがドチャンを連れてきたのは、勾留所だ。
檻の向こうに閉じ込められた仲間たちが、ドチャンの姿を見て立ち上がる。「ドチャンさん!」「兄貴!」「ドチャン…」

ウンジ「早く出して!寒いし腹ペコよ」
ドチャン「!」
ハラ「(ドチャンに)あんたと仕事するためには、保険に入っておかないとね」
ドチャン「脅すとは卑怯なマネを」
ハラ「お互い協力しようって提案してるの」
ドチャン「…。」
ハラ「1週間後、例の品を受け取ってきて。(檻をチラリ)そうすれば釈放してあげる」
ウンジ「ここに1週間もいろって?!ねぇドチャンさん!ここ超不潔で、もう何時間もシャワーしてないのよ。私のスッピン見たい?早く出してよ~!」

「OK」ドチャンが絞り出すように呟いた。「やるよ」

ドチャン「条件がある」
ハラ「?」
ドチャン「この人たち、今すぐ釈放してくれ」

「いやいや、大丈夫だ」檻の中でボン監督が言う。

ハラ「そんなこと了承すると思う?」
ドチャン「公務員詐称罪。あんたも共犯じゃないか」
ハラ「脅迫するわけ?」
ドチャン「協力って言ってほしいね」
ハラ「…。」

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ドチャンの交渉により、詐欺団の面々は無事マンションへ戻っていた。
朝から訪ねてきたのは…ハラだ。

彼女はまっすぐに奥のドチャンの部屋へ向かう。
「宿題全部やった?」書類が山積みの机に突っ伏して眠っているドチャンに、ハラが檄を飛ばした。

ドチャン「!」

『ペク・ジュンスとは何者?』
そう書かれたファイルを開いてみると、いくつも書き込みがされている。

ドチャン「こんなの数日で覚えろなんて。精神的虐待じゃないか」
ハラ「ペク・ジュンス検事の生年月日は?」
ドチャン「祝ってやるわけじゃあるまいし、他人の誕生日覚えてどーすんだよ。しかも男の…」
ハラ「何ほざいてんの」
ドチャン「1987年4月12日生まれ。江原道束草市ドンガン洞3-22。ドンヘ小、ガンドン中、ミンソン高を超優秀な成績で卒業し、ソウル法大合格」

ドチャンが諳んじるのを聞きながら、ハラはペク検事の履歴書をたどる。

ドチャン「54回司法試験合格、司法研修生44期。法大時代から”自発的アウトサイダー”で、研修生時代も友人はほとんどなし。唯一親しかった同期は、執拗かつ性悪、口が悪くて高校時代はいじめっ子だったオ・ハラ」
ハラ「主観的見解は要らないわ。要注意人物は?」
ドチャン「要注意人物。黄色いファイル13ページ参照」

ハラが言われたとおりにページをめくる。

ドチャン「多少なりとも交流のあった同期にキム・ミンソクとパク・ジョンウがいるが、キム・ミンソクは現在大田(テジョン)地検、パク・ジョンウは春川地検に勤務中。最も要注意なのはウ・ジェシク部長。初任時からの教育係で、現在は隣の建物大検察庁監察部の部長。絶対、絶対、絶対に!出くわしちゃいけない」

「絶対よ」ハラがパタンとファイルを閉じた。
「先に行くから遅刻しないで」バッグを手に、プイと踵を返す。
「はぁ」どうしてこんな羽目に… ドチャンは頭を掻きむしった。「あぁーっ!」

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やるとなれば完璧にキメる男だ。
端正に身支度を整え、すっかりペク検事になりすましたドチャンは、ソウル中央検察庁へと続く階段を上がった。

目の前にそびえる巨大な建物を見上げると、ふとそばに座っている女性が目に入る。
待ち合わせだろうか。

女性「?」
ドチャン「(小声でアピール)検事なんだ」
女性「…。」
ドチャン「(ネームプレートをチラ見せ)刑事6部」

黒い革ジャンにヒゲの男が、モグモグと何か食べながら階段を上がってくる。

ドチャン「取り調べを受けに?」
男性「?」
ドチャン「否認すれば3年、自白すれば執行猶予。それが”生きる道”ですよ」

キョトンとする男性を残し、ドチャンは颯爽と階段を上がった。

女性「(革ジャンの男性に)知り合いですか?」
男性「(首を横にブルブル)」

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ロビーに入ると、ドチャンは会う人会う人に笑顔で声を掛けて進む。「おはようございます~」
向こうから受付係がやって来た。「やぁ、キレイなミランさん♪」

ミラン「?」
ドチャン「僕だよ、ペク検事。ペク・ジュンス検事」

通門ゲートがピッと音を立て、彼を中へと受け入れる。「あぁ♥ 超いい音」
浮かれて何度も通ろうとしたところで、ハラが彼を捕まえた。

ハラ「ちょっと、お調子者!知識だけ覚えてどーすんのよ。やってることがペク先輩と正反対じゃない」
ドチャン「数日身代わりをやらせた上に、俺の人生まで変えるつもりかよ?」
ハラ「そんなこと言ってないわ。やってる間だけでも完璧にしてよ。声はもっと低くゆっくり、威厳のある眼差しで」
ドチャン「…。」
ハラ「何なの、そのネクタイ」
ドチャン「?」
ハラ「ペク先輩はきっちり正三角形に結ぶんだから。トイレ行って直してきて」
ドチャン「死ぬまでペク・ジュンスでいるわけじゃあるまいし、テキトーにやろうぜ」
ハラ「(トイレを指し)行きなさい!」

ウンザリしながらも、ドチャンは指を差された方へと階段を上がる。

ドチャン「眼鏡も掛けなさいよ!」

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「朝から頑張って出勤したのに、ネクタイごときで小言を」トイレの鏡の前でブツブツぼやきつつ、それでもドチャンは慣れた手つきでネクタイを結び直す。

ドチャン「そんなの誰も気づきやしないのにさ。今どき誰がネクタイを三角に結ぶんだよ?つまらんことをいちいち…」

仕上げに黒縁の眼鏡を掛け、ペク・ジュンスの出来上がりだ。

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「こちらはペク・ジュンス検事」刑事6部へやって来たドチャンを、部長が同僚たちに紹介する。

部長「束草市庁から今日復帰しました。部屋が用意できるまで、とりあえずはオ検事と一緒にいてもらうから、皆サポートするように」

「初めまして、ペク・ジュンスです」ドチャンがニコニコと頭を下げる。

ドチャン「こうして大勢の検事さんや捜査官さんたちに一度にお目にかかったもんだから、もう心臓がバウンドしてますよ♪」

「ゴホン!」掻き消すように部長が咳払いをする。

ドチャン「どうぞよろしくお願いします」

皆が拍手する中、憮然としている人物が一人。
検察庁前で出くわした革ジャンにヒゲの男性、捜査官のコ係長だ。

部長「コ係長、同じチームなんだからしっかりサポートするようにな」
コ係長「私?」
部長「うん」

コ係長がゆっくりとドチャンの前に進み出た。「コ・ギボンです。さっき見覚えがあるなぁと思ったら、去年チラッとお目にかかりましたね」
部長「?」
ハラ「!」
ドチャン「えーっと… えぇ!そうでしたね。さっきどこかで会ったと思ったんですよ。以前会った被疑者かと。あはははは♪」
部長「あはははは!(コ係長を叩き)犯罪者か。よく言われることだろ」

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今日は定例会議の日だ。
会議室には各部署から検事たちが集合していた。
部長は前のテーブル席に、ハラとドチャンは壁沿いの椅子に座る。

ドチャン「(ハラに)何か言われたらどうしたらいい?」
ハラ「そんなことないから。じっとしてて」

皆が揃ったところへ、一人の女性が入ってくる。
全員が一斉に立ち上がり、頭を下げた。
「みんな座って」中央の席についたのは、次長検事チン・ギョンヒだ。

チン次長の視線がなぜか末席で小さくなっているドチャンへまっすぐに向かった。「ペク・ジュンス!」

ドチャン「!」
部長「!」
ハラ「!」
チン次長「スペイン文化館に行ったのはなぜ?」

「…。」ドチャンの視線が、目の前で慌てている部長へ、そして隣のハラへと向かう。

ドチャン「…。」
次長「正式発令前に何を嗅ぎ回ってるのよ、報告もなしに!」

困っているドチャンから部長もハラもそっと目を逸した。
「…。」容赦のない次長の視線がドチャンを捉えたまま離さない。

#この人いいね!いいよ!美人で強気で微塵の媚びもない。たぶん厳しいだけで正義感の強い人。この人が後々味方になってくれると超頼もしいんだけどなー。

部長「あぁ、ペク君は来年の休暇スペインに行くって言ってたよな?」
ハラ「(頷く)あぁ~」
次長「休暇?刑事6部は気が緩みすぎじゃない?もっとしごいてあげようか?」
部長「いいえ!(ドチャンを振り返り)休暇はナシだ」
次長「ヤン部長」
部長「はいっ」
次長「テサングループの事件、ペク・ジュンスにやらせなさい」
ドチャン「!!!」
部長「はい… 承知しました」
次長「ペク・ジュンス、これは”サジ”事件よ。どうすべきかわかってるわよね?」

すばやく考えを巡らせ、ドチャンはうなずいた。「はい」

ドチャン「”サジ”事件なので、ヤツらの両手両足(=発音が”サジ”)をぎゅぎゅっと縛って引っ張ってきます」
次長「???」
全員「(シーン)」

「…。」うーんと首を捻ってから、部長がプハハと吹き出した。「いやぁ、ペク君はユーモアがあるな!」

次長「(ジロリ)」
部長「…失礼しました」

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まだまだ勉強が足りなかった。
サジ事件とはなんぞや?
会議後、まずはそこからだ。

ドチャン「(資料を読み)天が知り地も知る、渡した人物と受け取った人物も知っている。この世で4者だけが知っているということで、賄賂事件を四知(=サジ)事件と…」
ハラ「…。」
ドチャン「辞書にもない業界用語がわかるわけないだろ」
ハラ「私もそこまで気が回らなかった。検事たちの隠語や業界用語をまとめておいたから、とりあえず覚えて」

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検事たちの昼休みは短い。
いや、ないに等しい。
昼食を食べようとした途端、緊急の呼び出しで引き返していくのだ。

#別の検事ドラマでも、毎回最後まで食べられないのがお約束でした^^;

ドチャン「(食べながら)わぁ、苦労して国家試験に合格した人たちが、まともに食事も出来ないなんてな。検事ってのは昼は日本料理屋で会食、夜は個室クラブで爆弾酒を飲むもんだと…」

一人喋り続けるドチャンの前で素早く食事を流し込んだハラが、さっと立ち上がる。
「…。」ドチャンも仕方なく立ち上がり、トレイを持って返却口へと向かった。

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AKI(韓国経済人連合会)の前にズラリと出迎えの人々が並んでいた。
一台の黒い車が滑り込んで来て、秘書がドアを開ける。
降り立ったのは、前総理のチェ・ジョンピルだ。

男性「ようこそいらっしゃいました」
チェ前総理「あぁ」
男性「お元気そうで何よりです」
チェ前総理「皆集まっているか?」
男性「はい。揃っております」

チェ前総理が目の前の建物を見上げる。「立派なのが建ったな」

チェ前総理「総理になった頃ここは原っぱで、君の爺さんと一緒に建てたんだから」
男性「(頭を下げ)よく存じております」
チェ前総理「あぁ、そうだな。入ろう」

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AKI内のホールで式典が行われていた。
壇上でチェ前総理がマイクの前に立つ。「世の中は変わりました」

チェ前総理「起業家の皆さんも勇気を持って過去の慣行と決別し、公正で透明な活動をせねば生き残れない世の中になったのです。何とぞ新政府と力を合わせ…」

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AKIでの挨拶を済ませ、チェ前総理は車の後部座席に揺られていた。
道中、大統領官邸にて会見を行うカン大統領の映像が目に入る。

カン大統領「我が国の地下経済比重は2012年基準OECD34カ国中6位、アメリカの3倍の水準です。これほど高い理由は腐敗が多いからであり、腐敗の多い国は幸福な国ではありません。国民の皆さん、地下経済を暴き出すため、特別法を発議いたします。富める者がより多くの税金を払い、そうでない者は少なく…」

「南山へやってくれ」小さく咳払いをし、チェ前総理は運転手に告げた。

カン大統領の会見を受け、各メディアが一斉に報じる。

ニュース「大統領官邸は本日、地下経済剔抉特別法を発議しました。カン大統領の公約であった地下経済特別法は、賭博、麻薬など不法資金の流れを遮断しようという…」

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ある会合が催されていた。
客人たちを出迎えているのは、フィルギャラリーのクム代表だった。
そこへ最後に姿を見せたのは、チェ前総理だ。

会食の席へやって来ると、チェ前総理は厳しい顔つきで腰を下ろした。

チェ前総理「老子の道徳経に”上善若水”という言葉がある。水のように流れるのが最善だとな。せき止めれば溢れ、開ければ流れ落ちていく。そんな心境で世間の流れていくさまを見ていたが、近頃はやりたい放題じゃないか」

「この国を建てたのは誰だ!」チェ前総理は興奮して膝を叩いた。

全員「………。」

張り詰めた空気に、チェ前総理が笑い声を上げる。

チェ前総理「老いぼれの興奮が過ぎたな。嘆かわしいことだ。君たちといる時くらい、こうして本音を言えないと気が休まらん」

「そのとおりです」皆が口々に同調する。

チェ前総理「少しだけ待っていなさい。ヤツにも弱点に汚点、スキがあるはずだ」
クム代表「…。」
チェ前総理「そのときワシがスパッと!追っ払ってやる」

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日がどっぷりと暮れていた

デスクで業務を続けていたハラが、隣のドチャンのデスクへ向かった。
山積みになっている分厚い書類の束を上から3冊取り、自分のデスクへと持って帰ると、再び処理を始める。
彼に課せられた業務も、彼女が代わりに片付けているのだ。
真剣な眼差しでPCの画面を見つめているドチャンが熱中しているのは… マインスイーパーだった。

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どれくらい時間が経っただろうか。
いつの間にか机に突っ伏していたハラは、ゆっくりと目を開けた。
向こうには、書類を見つめる彼の凛々しい姿がぼんやりと見える。

ハラ「… 先パイ」

書類をめくっていた彼が、ふと顔を上げた。「?」
静かに流れる、穏やかなな時間…。
彼がハラを見て、柔らかく微笑む。

彼…

サ・ドチャンが。

ハラ「!!!」

ハラはハッと我に返り、起き上がった。「なぁんだ、ペク先輩かと思った」
気がつくと、ドチャンのデスクの上の書類の山の様子が変わっている。「?」
二つの山の上に、それぞれ付箋が貼られ、分類されていた。

ハラ「何これ?」
ドチャン「俺の分まで処理するのに大変そうだったから」
ハラ「手伝ってくれなんて言ってないわ」
ドチャン「?」
ハラ「詐欺師が神聖な捜査書類に手をつけるなんて」
ドチャン「でも… 分類しただけだ。オ検事が楽になると思って」
ハラ「もう触らないで」
ドチャン「OK」

ドチャンが整理した資料を手に取り、ページをめくってみる。『刑事第1審訴訟記録』
「?」ハラが驚いてさらにページをめくった。

ドチャン「どうした?しくじってる?」

ハラがパタンと資料を閉じ、不思議そうに彼を見る。「本当にあんたがやったの?」
ドチャンは何も言わず、ニヤリと笑みを返した。

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検察庁内の記者クラブで、若い女性記者が一人、席を立ち上がった。「オ検事は帰ったかな」
オ検事の執務室までやってくると、中へ入ろうとドアノブを握る。「?」
中から男性の甘い声が聞こえてきた。

「俺がその気になれば何だって出来る」
「何よその自信?」
「どう?明日もしてやろうか?オ検事が望むなら1日に10回だってしてやるさ」

「神聖な職場で!」女性記者が一気にドアを開くと、中で身を寄せていたドチャンとハラが慌てて離れた。「!」「!」

#何してたの?何してたの?!(・∀・)

ハラ「来たの?」

「どなた?」記者が外れていたハラの胸の第1ボタンをはめた。「イチャイチャしちゃって」

ハラ「そんなんじゃないわ」
記者「だから誰なのよ?」
ハラ「こちらはペク・ジュンス検事。(記者を指し)こっちは恥ずかしながら妹よ」

「微笑ましい姉妹ですね」ドチャンがニッコリとハラの妹、オ・ソラに笑いかけた。

ソラ「ペク検事、話に聞いていただけで実物は初めてだけど、雰囲気がずいぶん違いますね」

「えぇ、まぁそうでしょうね」ドチャンがクールに腕を組む。

ドチャン「最近かなりアップグレードしたので」

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「お母さん!」ソラがひどく興奮した様子で自宅へ帰り着いた。「大ニュースよ」

母「?」
ソラ「ペク・ジュンスが帰ってきたわ」
母「研修生時代から付きまとってたあのペク・ジュンス?!」
ソラ「(頷く)残業してていい雰囲気になったのか、いい雰囲気になったからわざと残業したのか、お姉ちゃんとベタベタくっついてたわ」

「はぁ」母親が困ったようにため息を漏らす。「神様も無邪気ね」

母「束草へ行ったって聞いて安心してたのに。あいつとくっついてたら男が近づかなくなるわ」
ソラ「検事が婿になるのもいいじゃない。片方は検事で出世して、片方は弁護士開業すればちょうどいいわ」
母「後に遺せる商売じゃなきゃダメよ!ハラとお見合いしたいって財閥が行列作ってるんだから。検事が嫌なんじゃないわ。財閥がいいのよ」
ソラ「けどね、お母さん。ペク・ジュンスには決定的な魔力があるのよ」
母「?」

「超イケメンだったわ」ソラがうっとりと胸をおさえた。

母「ルックスで食べていけるわけ?」
ソラ「お母さん」
母「何よ?」
ソラ「あのルックスなら、食べさせてもらうのと同等よ」

「カクテキも一緒に食べないと」作っていたご飯を、母はソラの口に突っ込む。

母「しっかりしなさいよね。あんた何歳?」

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倉庫にクム代表が入ってくると、待ち受けていた屈強の男たちが頭を下げた。
「ブツを受け取って来ましたぜ」一番恰幅のいい男がそう告げる。
男が合図をすると、後ろにあった木のコンテナボックスが開かれた。

中にあったのは…

モアイ像を模したオブジェだ。
「始めましょうか」男がハンマーを振り上げたのを、クム代表が制する。「この瞬間が一番好きなんだ。こっちへ寄越せ」

ゴーグルを嵌め、ハンマーを受け取ると、クム代表はモアイ像めがけて思い切り振り下ろした。
殻だけのモアイ像はいとも簡単に砕け散り、中の空洞があらわになる。
その底に、白い粉の詰まった袋がぎっしりと詰まっていた。
男がそのうちの一つにナイフを入れ、中の粉をぺろりと舐める。「最高級品ですよ」

クム代表「前回より20%増しで受け取れ」

”東栄製粉”と書かれた大型トラックが、コンテナボックスを積んで倉庫を出発した。

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翌日。
ハラもドチャンもデスクで朝から業務を始めていた。

隣でコ係長の電話が鳴る。「はい、承知しました」

コ係長「ペク検事、お客様です」
ドチャン「お客様?誰です?」
コ係長「ウ・ジェシク部長検事です」

「ウ・ジェシク…」ドチャンが目をまんまるに見開いた。「ウ・ジェシク?!」
よりによって、”絶対に出くわしてはならない”人物が、自ら彼を訪ねてきたのだ。
朝から最大のピンチ到来に、ドチャンとハラは絶句して顔を見合わせた。「!」「!」

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ここでエンディングです。
何してたのってば~!

 - スイッチ-世界を変えろ