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師任堂(サイムダン)、色の日記17話あらすじ&日本語訳~前編

   

イ・ヨンエ、ソン・スンホン主演SBSドラマ『師任堂(サイムダン)、色の日記』17話をセリフの翻訳を交えながら詳しくご紹介していきますね。

注:韓国で放送されているものは、日本版と編集が違います。私の翻訳は韓国版です。

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サイムダンが残していった上着を、キョムはじっと見つめた。「…。」
「宜城君!」ほどなく入り口で叫ぶ声がする。
ソ・セヤンがサイムダンの出て来た道を辿って来たのだ。

セヤン「宜城君、大丈夫か!」

キョムは立ち上がり、ほっと息をついた。

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サイムダンが戻った工房では、全員が集まってパルボン爺を弔った。

サイムダン「…。」

祈祷の歌を聞きながら、サイムダンの胸の中には、犠牲となったパルボンの最期の言葉が切々と流れる。「お嬢さん…」

#いつ??!!と思わず身を乗り出してしまった。サイムダンが崖の上から戻ってくるまで生きてたのか…。

パルボン(最期の言葉)「あんなにたくさん人を死なせて、今まで生きてこられたのは… お嬢さんに出会って、楊柳観音図(=水月観音図)を渡せということだったのでしょう…。必ずや謎を解いて、もう一度雲平寺の高麗紙を造ってください」

どうぞ天国へ…。パルボンがその命を捧げて手に入れた”秘法の詩”を袖口から出し、サイムダンは改めて見つめた。

大将「それは何です?」
サイムダン「高麗紙の秘法よ。よくわからないけれど、高麗紙造りの秘法がこめられているのは間違いないわ」
大将「これを解けば、ちゃんとした高麗紙を造ることができるってことですか?」

「待ってくれ、夫人」隣りにいたウォンスが、混乱して口を開く。

ウォンス「パルボン爺さんってのは誰で、雲平寺の高麗紙に、秘法の謎解き、一体何のことです?」
サイムダン「すみません、旦那様。家で待っていてくだされば、後で全て詳しくお話しいたします。今は一刻を争うのです」

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キョムもまた、痛々しい姿で宮廷に入り、中宗の前に出た。「お呼びでしょうか、殿下」
中宗はどこか冷ややかな目で静かにキョムを見下ろした。「怪我をしたのか」

キョム「はい。殿下ではなく閻魔大王に会う羽目になるところでしたが、殿下のお陰で無事に済みました」

「殿下」キョムが中宗を見上げる。

キョム「罪状の明白なミン・チヒョンをなぜ釈放なさったのですか!」

「高麗紙はどうなった?」中宗が淡々と尋ねる。

キョム「殿下、今からでももう一度ミン・チヒョンを捕らえさせてくださいませ!あやつは…」
中宗「高麗紙はどうなったかと訊いておろう」
キョム「…。」
中宗「競合まであと5日だと忘れているはずはあるまい」
キョム「高麗紙は競合の日、必ずや明の勅使に差し出します。殿下、高麗紙は火急な問題ですが、ミン・チヒョンの処罰はもっと重要です。ミン・チヒョンは…」
中宗「何が重大かは余の判断することだ。宜城君、そなたは任された仕事を抜かりなく遂行すればよい。ミン・チヒョンとて同様」
キョム「殿下!あやつを処罰しなければ、我が朝鮮の綱紀を正すことなどできません!何としてもミン・チヒョンを…」

中宗がドンと卓を叩き、立ち上がる。「朝鮮が潰れる前に余の王座が揺らぐやもしれぬのだ!!!」

キョム「…殿下!」
中宗「余がミン・チヒョンを釈放したのは、あやつに紙を造ることができるからだ」
キョム「!」
中宗「今の余にとって、高麗紙を造り上げた者が忠臣だ。ミン・チヒョンがいくら大罪を犯したとしても、まともな高麗紙を造り出せば全て許そう、全て!」
キョム「!!!」

そのとき、当のミン・チヒョンがやって来たと知らせが入った。

中宗「入れ」

頬に刀傷をつけて入ってくると、ミン・チヒョンはそのギラギラとした目を臆面もなく中宗へ向ける。「お呼びでしょうか、殿下」

中宗「ミン参議、お前の処罰は暫し先延ばしにしただけで、赦免ではない。それを忘れるな」
チヒョン「はい、殿下」
中宗「宜城君とミン参議に命じる。5日後、競合の場で、誰が余の忠臣か勝敗をつけようぞ。誰であろうと高麗紙を造った者が余の忠臣である。このような重大な時期に私的なことで騒ぎを起こしたなら、余に対する挑発と見なし、決して見過しはせぬ。よいか」
チヒョン「肝に銘じます、殿下」
キョム「…。」
中宗「宜城君はなぜ返事をせぬ?」

「肝に銘じます」キョムは頭を下げ、鎮痛に目を閉じた。

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「殿下があんなことをなさるとは!」キョムはその怒りをソ・セヤンにぶつけた。

#今、理想の上司投票があったら、セヤン兄に投票するね♪ この安心感ったらないわ

キョム「ミン・チヒョンを処断できるよう調べよと命じておいて、今や釈放して罪まで許そうなどと!そんなことが話になりますか!」

「宜城君」いつもと変わらぬ落ち着いた様子で、セヤンはそっとキョムの肩に手を置いた。「壁に耳ありだ」

セヤン「大声を出さないほうがいい」
キョム「…。」
セヤン「知らなかったか。殿下はもともとそういう御方だった。即位してからずっと」
キョム「どういうことですか?」
セヤン「これをやろうとして反対にぶつかればこれを放り出し、あれをやろうとしてぶつかれば未練もなく捨てる。それが殿下だ。チョ・ガンジョもキム・アルロも皆そうして捨てられた」

※キム・アルロってどこかで聞いたなぁと思ったら、『女人天下』で見た人でした。懐かしす…。文定王后を排除しようとして失敗し、流刑ののち死刑になったようです。

キョム「彼らとは状況が違うではありませんか。ミン・チヒョンは政治や改革に何の関係もないただの無頼漢です!そんな奴を庇うなんて!」
セヤン「王の耳とは左右で別の声を聞くようにできているものだ。双方の声が同じときは、互いにぶつかり合って何の声も聞こえない。だが、片方の声が大きくなれば、その声は実にうるさく聞こえるのだ。君の声が少々大きかったのかもしれないな」
キョム「…。」
セヤン「宜城君、ナム貴人に気をつけるのだ」
キョム「!」
セヤン「一番小さく耳打ちした声が、結果的には大きな波を起こしたのだ」

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久しぶりに家に戻り、慌ただしく家事を片付けながら、サイムダンは休むことなく”秘法の詩”を唱え続けた。
ウォンスが朝ごはんも食べずに出掛けたとヒャンが言いに来ても、ほとんど上の空だ。

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朝ごはんも食べずにウォンスが来ていたのは、クォン氏の居酒屋だ。
来てみると、酷く腹を立てた男たちに、クォン氏が絡まれているではないか。
(ウォンス同様)彼女に騙された男たちだろうか。

ウォンスは勇ましく助けに入る。「か弱い女性に男がこんなことをしていいのですか!」
店先は大騒ぎだ。

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子どもたちがご飯を食べるそばでも、サイムダンはぶつぶつと詩を唱えた。

ヒョンリョン「さっきからずっと呟いているのは何の詩ですか?どう考えても変な詩です。句数も合わないし、韻も踏んでいないし。だからといって、排律でもありません。それも詩なんですか?」
サイムダン「そうね。本当に妙な詩だわ」
ヒョンリョン「…。」
サイムダン「みんな、早く食べて、今日は一緒に工房に行きましょう」
皆「また?!」

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主のいないフィウム堂の部屋はシンと静まり返り、窓から僅かに差し込む明かりに、きらびやかな調度品がぼんやりと浮かび上がっている。
「…。」チヒョンは冠を無造作に置くと、そこに腰を下ろした。「フィウム堂は一体どうなったのだ?」

「?」ふと壁に小さな扉を見つけ、チヒョンは手を伸ばす。
中に這って入れるかどうかの空間があり、何かが収納してあった。
取り出してみると…それは黒い頭巾に牡丹の刺繍!

チヒョン「黒牡丹!」

そのとき、「旦那様!」外で呼ぶ声が聞こえた。

#なんか変なシーンだね

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外へ出てみると、そこにいたのは、ボロボロになって帰ってきたフィウム堂と執事だ。

チヒョン「皆、下がれ」

「下がれと言っておろう!!!」チヒョンの恐ろしい形相に、皆、蜘蛛の子を散らすようにいなくなった。

フィウム堂「…申し訳ございません」
チヒョン「入れ」

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部屋へ入ると、フィウム堂は床の上に畳んで置いてある黒牡丹の衣装にハッと声を震わせた。「だ、旦那様…」
恐る恐る顔を上げたその瞬間、チヒョンの鉄拳が飛ぶ。「不埒者めが!!!」

倒れたフィウム堂に、チヒョンは黒牡丹の頭巾を差し出した。「これは何だ?」

フィウム堂「だ、旦那様…」
チヒョン「比翼堂に出没し、男たちの心を揺るがしたという黒牡丹。その黒牡丹の全貌がこれか」

「なぜだ!!!」震えるフィウム堂の首を大きな手で鷲掴みにし、彼は怒りに任せて締め上げる。

フィウム堂「ううっ!」
チヒョン「何がお前の判断を狂わせた?!お前の正気を失わせたのは一体何だ!!!」
フィウム堂「た、助けてください」

危ういところで、チヒョンはようやくその手を離した。

チヒョン「お前は私の”所有物”だ。死ぬも生きるも私が決める」
フィウム堂「!」

#今それで怒る?!

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工房では手伝いに来たサイムダンの子どもたちも混じり、今日も皆が紙造りに精を出している。
小さな小屋の中で、サイムダンは一人、詩に挑んでいた。

サイムダン「句数も合わないし、韻もない。排律でもないし…。一体何かしら」

彼女が注目したのは、一番下の横列だ。「火 水 疎 金 土」

サイムダン「ここは”木”の字が入らないといけないのに、疎が入っているということは…」

「私もそこが変だと思うのです」ふいに聞こえた声に、サイムダンは驚いて顔を上げた。「?!}
照れくさそうに入ってきたのは、キョムだ。
「!」ただただ戸惑って、サイムダンは彼の顔をじっと見つめた。

キョムは気まずそうに壁に掛かった”詩”を指す。「えっと… ここは”火水木金土”じゃなきゃいけないのに…」

キョム「”まばら”を表す”疎”の字でしょう」
サイムダン「…どうなさったのですか」
キョム「あぁ、その… 競合が目前だから、紙工房を回って進み具合を確認しているのです」
サイムダン「…。」

洞窟で別れてから、まだ何日も経っていない。
ミン・チヒョンとの死闘の末、腕に大きな怪我を負った彼を看護した記憶が鮮やかに蘇った。

サイムダン「怪我は…」
キョム「あぁ、少し動かせるように」
サイムダン「…。」

「大丈夫?」キョムがそっと近づいたその時、後ろで元気な声がする。「あ!先生!」

ヒョンリョンだ。

キョム「あぁ、ヒョンリョン」
ヒョンリョン「お元気でいらっしゃいましたか?」
キョム「元気でいたか?」
ヒョンリョン「はい」

キョムはサイムダンへと向き直った。「比翼堂へ一緒にいらっしゃいませんか」

キョム「今一番早急なのが、この詩を解き明かすことなんでしょう?」

ヒョンリョンがパッと顔を輝かせた。「そうですよ、お母様」

ヒョンリョン「比翼堂にはどんな本だってあるから、あそこへ行けばよさそうです。僕もお手伝いしますよ」
サイムダン「…。」
キョム「どんなに簡単なことでも協力したほうがいいと言うでしょう?あそこへ行けば他の人たちにも手伝ってもらえます」
サイムダン「…。」
キョム「そうですよ、お母様、比翼堂へ行きましょうよ」

「…。」困ったように見つめるばかりのサイムダンに、キョムは優しく頷いた。

#一瞬のうちに、阿吽の呼吸でタッグを組むキョムとヒョンリョン。いいねぇ♪

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フィウム堂もまた、学識者たちを大勢集めて詩を解読させていた。

フィウム堂「我こそはという人材ばかり集まったのではなかったの?!龍頭会の会員や、都城一といわれる面々が詩の一つも解けないとは!」

そこへチヒョンが入ってくるや否や、全員が立ち上がり、頭を下げる。
氷のように冷たいチヒョンの表情に、フィウム堂は密かに身を固めた。

~~~~

傷だらけになって江陵から戻ったばかりの彼女を、チヒョンは怒りのままに辱めた。
「北坪村の橋の上で…」事を終え、服を整えながらチヒョンが口を開く。

チヒョン「馬の前に立ち塞がった大胆不敵な賤しい娘… 欲望と怒りに赤々と燃えるその目が気に入った」
フィウム堂「今は… お気に召さないのですか」
チヒョン「その欲望と怒り、ひとえに正三品淑夫人フィウム堂のものでなければならぬ。賤しい居酒屋の娘の復讐心ごときが混じってはならぬのだ」
フィウム堂「…。」
チヒョン「お前の追っていた楊柳観音図、私が手に入れた。お前の生き残る道は、絵に込められた秘法を解き、奴らよりも早くまともな高麗紙を造ることだ」

チヒョンが部屋を出ていくと、乱れた下着の前衿を直しながら、フィウム堂はすすり泣いた。

フィウム堂(心の声)「いくらでもお前の”慰み物”になってやるわ…。今までそうやって生きてきたんだから」

~~~~

「早くしなさい!」フィウム堂は学識者たちをけしかけた。

フィウム堂(心の声)「何としても解かなければ…」

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サイムダンは、末っ子のウも連れ、ヒョンリョンと共に比翼堂へ来ていた。
ウを広間で遊ばせておき、サイムダンたちは書架に囲まれた部屋で詩に挑む。

ヒョンリョン「五言律詩でも五言絶句でもない、五字五句…。本当に変な詩です」
詩人「そうだなぁ。今までこんな形式の詩は見たことがない」
キョム「この形式はそもそも存在しないものかもしれない。古詩というものは形式にとらわれないこともあるから、斉国(武公?)以前のものを調べてみてください」
詩人「はい、そうしましょう」

「形式…?」サイムダンが首をかしげる。「私たち、詩という形にとらわれすぎてはいませんか?」

詩人「そうかもしれませんね」
キョム「形にとらわれている…?」
サイムダン「もしも詩を詩ととらえなければ…?」
ヒョンリョン「”破字”はどうでしょうか。一番簡単な方法からもう一度やってみたほうが良さそうです」
キョム「そうだな。我々は難しく考えすぎていたのかもしれません」
詩人2「それですよ、破字!」
詩人1「それを見過ごしていました!難しく考えすぎていましたね」
サイムダン「(うなずき)そうですね…。そうだわ」

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フィウム堂が新たに一人、解読の助っ人を連れてきた。

フィウム堂「(チヒョンに)兵曹武備司の正郎が参りました」

男が頭を下げる。

フィウム堂「兵曹参議の直属だそうです。軍の暗号を作っている者ですので、解読においても実力があるはずです」

チヒョンが立ち上がり、無言の圧力を掛ける。
武備司の正郎はさっそくそこに掛かっている詩の前に進み出た。

「…。」身じろぎもせずじっと詩を見つめる武備司の正郎を、チヒョンとフィウム堂は黙って見守る。

武備司の正郎「難しくはなさそうです」
チヒョン「…そうか?」

「…。」チヒョンが彼の肩にトンと手を置いた。

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サイムダンたちは、もう一度違った視点で詩を眺め、縦読み、横読み、斜め読み、拾い読み、あらゆる方法を試し始めた。

キョム「”火水疎金土”…」
ヒョンリョン「あ、ここに”日”と”月”、太陽と月もあります」
サイムダン「陰陽五行が揃っているようですね。”木”だけ除けば」
キョム「ふむ。”木”のないのが実に奇妙ではありませんか」

「お母様!」ウが駆けてきて、自分の書き上げた字をサイムダンに見せた。「僕が書きました」
自分の名前の”李”の字に続き、その上の部分の”木”がいくつも書いてある。

ウ「お母様、”木”が二つで”林”になるんだそうです」
サイムダン「そうね。木が二つで林だわ」

「木が二つ…?」サイムダンが繰り返す。「木が二つ!」

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「木が二つ!」武備司の正郎が詩を指差した。「林ではなく、二種類の木があるという意味です」

武備司の正郎「おそらく紙を造る材料に関係あると思われますが」
フィウム堂「!」
武備司の正郎「この詩にある陰陽五行のうち、木・土・日と、金の部首”人”を合わせると、楮の字になります」

チヒョンが苛立って卓を叩いた。「楮で紙を造るくらい誰でも知っているではないか!」
フィウム堂は落ち着いて詩を凝視する。「楮と別の木がもう一つあるということです」

チヒョン「…別の木だと?!」

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サイムダンもまた、頭のなかで素早く字を組み立てた。

サイムダン(心の声)「残りの”月・火・水”を合わせると、何の木になるかしら…?そんな字はないけれど…。待って!木が二つなら葉も二つ?暮空二蛍火…。”暮”の字に草かんむりがあるし、”二”と一緒に月・火・水と合わせると…」

サイムダン(心の声)「藤の木?そうだわ!藤の木!」

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チヒョンが造紙所へやって来た。「皆聞け」

チヒョン「急いで藤の木を手に入れるのだ。最高品質の藤の木を斬り、(製造中の材料に触れ)ここに混ぜなければ!」

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サイムダンたちもさっそく藤の木を斬り、皆で工房へ運び込んだ。

男「お嬢さん、これが私らの気を揉ませた”藤の木”ですね」
サイムダン「その通りですよ。時間がありません。早くやりましょう」

「藤の木が秘法?」彼らの話を聞きつけたマンドクが慌てて駆け出した。

ほどなく藤の木の下ごしらえが終わり、材料を混ぜ合わせる桶のところへ運び込まれた。
皆がそこに集まる。

大将「あとは楮と藤を混ぜればいいんですか?」
サイムダン「二つの木を混ぜ合わせる比率まではわかっていません。ちょうどいい比率を見つけることが真の高麗紙を造る秘法となるのです。今からその比率を見つけなければ」
皆「ふむ」
サイムダン「紙の主原料は楮ですから、藤は”塩”のような役割になるでしょう。料理の塩加減のように、多すぎても少なすぎてもいけません」
大将「やれやれ、競合目前なのに」
サイムダン「だから、何度も試さなければ」

サイムダンはせっせと材料を混ぜ合わせる。「この作業、何度繰り返すかわかりませんから、皆さんは材料を造り続けてください」

「はい!」皆が持ち場に戻った。

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フィウム堂の方でも、さっそく藤の木を手に入れ、材料に混ぜ込んでいた。

フィウム堂「最上級の藤の木に間違いないわね?」
店主「はい、さようにございます」

そのとき…「藤の木ですよ!」今頃駆け込んできたマンドクは、そこに積んである藤の木に目を丸くした。「ここにあるな?」
ちょうどそこへ姿を現したのがミン・チヒョンだ。

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「本当ですよ!」刀を弄ぶチヒョンを前に跪き、マンドクは必死で訴えた。

マンドク「藤の木が秘法だと聞くなり走ってきたんですから!すでにわかってたとは…」

チヒョンが刀先をマンドクの喉元へ向ける。「!!!」

マンドク「た、助けてください!」
チヒョン「シン氏夫人は絶対に高麗紙を提出できぬ」
マンドク「…え?」
チヒョン「どんな手を使ってでも、シン氏が競合に出られぬようにしろ」
フィウム堂「…。」
チヒョン「どんな手を使ってもな」

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ここで区切ります。

 - サイムダン(師任堂)色の日記

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