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師任堂(サイムダン)、色の日記16話あらすじ&日本語訳~後編

   

イ・ヨンエ、ヤン・セジョン出演『師任堂(サイムダン)、色の日記』16話、後半を見ていきましょう~♪

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刑の執行を免れたミン・チヒョンは、ナム貴人のもとを訪れていた。

ナム貴人「(茶を振る舞い)明の茉莉花茶です。香りが強く、興奮した心を抑えてくれますから」
チヒョン「この恩は忘れません」
ナム貴人「ミン参議に先見の明があったのです。私に恩などありましょうか」

「…。」ナム貴人は手元の茶器に視線を落とす。「ひとまずは生き延びたのですから、生き続ける理由をお作りになるべきですわ」

チヒョン「…。」
ナム貴人「生き残る道は、殿下に必要な人間になることでしょう。今、殿下に必要なのは、高麗紙です」

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朝が来た。
ミン・チヒョンは決意を新たに刀を手に取った。

「旦那様!」傷だらけの部下が駆け込んできたのは、そんな時だ。
フィウム堂に同行してサイムダンを追っていた、私兵だった。

#あんたまで…

チヒョン「どうしたのだ?」
私兵「雲平寺で宜城君に出くわしました」
チヒョン「宜城君だと?!」
私兵「はい。高麗紙の秘法が記された絵を奪おうとした瞬間、あやつの襲撃で我々皆…」
チヒョン「高麗紙の秘法…。フィウム堂はどうなった?執事は?」
私兵「…。」
チヒョン「宜城君は今どこだ」
私兵「おそらく漢陽に差し掛かっている頃でしょう。シン氏婦人も一緒に」
チヒョン「!!!」

チヒョンは直ちに私兵を連れて出発した。

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「ミン・チヒョンが私兵を?」彼の動向はすぐさま中宗の耳に入った。

内禁衛将「宜城君を害するつもりに違いありません」
中宗「余は高麗紙を造れと言ったのだ。そして宜城君に全権を与えた。それなのに、奴は一体どこで何をしている?!」
内禁衛将「殿下、官軍をお送りにならなければ!状況は深刻です」
中宗「深刻?!官軍を送れと?!今、高麗紙の問題より深刻なことがあるか」
内禁衛将「殿下…!」

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一人寂しく夜も眠れず、ウォンスはサイムダンが残していった手紙をもう一度開いた。

ウォンス「”私がいなくても…” いなくても?夫人がいなくても?どういうことだ? ”子どもたちをよろしくお願いします” 子どもたちをよろしくだって?子どもを育てる男やもめみたいに?」

朝になると、ウォンスは居ても立ってもいられず、工房へ駆け込んだ。

ウォンス「(大将に)うちの夫人から便りはないのか?」
大将「はい、まだ…」
ウォンス「はぁ、まだだなんて!(ヒャンに)それにヒャン、家のことも放り出してずっとここにいてどうする?」
ヒャン「紙を造らなきゃいけないから、ここで手伝えっておっしゃったんですよ。お嬢様がね!」
ウォンス「お前、人前で…。それで、”お嬢様”から便りはないのか?」
ヒャン「旦那様がご存じないのに、私たちにわかるわけありませんよ」
ウォンス「何も知らせがないなんて!」
大将「ご心配なさらずに。無事お帰りになるはずです」
ウォンス「紙のために江陵へ行くと言って、何日も消息が知れないんだ!何かあったに違いない!大変なことが!(ヒャンに)それからお前、私に向かって怒るなよ」
ヒャン「!」

ウォンスはたまらず駆け出した。「夫人~!」

流民「(ぶつぶつ)良い人そうに見えるけど、ちょっとな…」

「さぁ、のんびりしていないで仕事を片付けようぜ」大将が声を掛けた。

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森の中を進んでいたキョムとサイムダンは、ふいに聞こえてきた鳥の声に空を見上げた。「?」
仲間に警告をするが如く、キイキイと声を上げながら、上空を旋回している。
ほどなく、向こうから馬に乗った黒い一団が現れ、二人はあっという間に囲まれた。「!」

ミン・チヒョンだ!

#こうも毎度すぐ追手に見つかると何とも…ねぇ

チヒョン「かつての情人同士で仲睦まじく、何をそうお急ぎで?」
キョム「お前、なぜ釈放された?!」
チヒョン「こうしてまた会えるとは感慨無量だな。あの世の入り口から辛うじて戻ってきたのだ」

「お陰様でな」チヒョンが目を見開く。

キョム「!」
チヒョン「虎が狩りをする時は、しっかりとどめを刺すべきだ。傷をつけただけでどうする?」
キョム「虎だと?山犬の分際で」

首をひょいと傾げてふんと笑うと、チヒョンは馬を下りた。
キョムもまた、馬を下り、刀を抜く。
「!」サイムダンは慌てて駆け寄った。「観音図を渡しましょう。それを狙っているのです」

キョム「…そのためではありません」
チヒョン「よくわかっているな」

「下がっていろ」チヒョンは周囲の私兵たちを下がらせた。「私がこの手で首を斬る」
「いけません!」サイムダンの懇願にも、もうキョムの返事はない。
二人は次の瞬間、激しくぶつかりあった。

両者一歩も引かぬ死闘の中、それでも僅かに勝っていたのは、チヒョンの心に燃える怒りであろうか。
彼が渾身の力で押さつけた刀先が、キョムの右腕に食い込んだ!

サイムダン「きゃあ!!!」

キョムの振り上げた刀がチヒョンの頬をかすめる。「!」
サイムダンは夢中で駆け寄り、ただただ血の滲んだキョムの右腕を押さえた。

チヒョンの合図で馬を下りた私兵たちが、一斉に刀を抜き、二人に詰め寄る。
絶体絶命だ。

#覆面をした私兵の中に、傷だらけで戻ってきたばかりの人もいるよ^^

サイムダンは咄嗟にキョムを抱きかかえると、そのまま背後の急な坂を絡み合うように転がり落ちた。「!!!」

チヒョン「追え」

残された馬に積んであった絵筒を、チヒョンは難なく掴んだ。「…。」

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坂を激しく転がり落ちた二人の体を、深く降り積もった落ち葉が柔らかく守ってくれた。
動けないサイムダンを抱きかかえ、キョムは立ち上がる。

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「何かあったに違いない!」ウォンスは捕盗庁前で駄々をこねていた。

捕盗庁員「夫人が家出して7日経ったって?」
ウォンス「家出じゃない!出張してるんだ、仕事で!」
捕盗庁員「通常、大人だったら半月は経たないと失踪届が出せないんですよ」
ウォンス「そんなのないよ~!」
捕盗庁員「そうさ、失踪だと思ったら家出だったってことが往々にしてあるから」
ウォンス「失踪だってば!あぁ~夫人!これまで苦労ばかりで、やっと就職して、これから楽をさせてやろうかと思ったのに!あぁ、夫人、どこへ行ったんだ?!」
捕盗庁員「あの… 失礼ですけど、やっと就職なさったってことは、何年ぐらい無職で…?」
ウォンス「21年」

「家出だな」周りを取り囲む捕盗庁員たちが声を揃える。

ウォンス「家出じゃないってば!」
捕盗庁員「それなら、最近借金をしたとか、財産に変動があったとか、そういうことは?」
ウォンス「あぁ、夫人の実家がくれた寿進坊の家を私が棒に振った件があったな」
捕盗庁員たち「(合唱)やっぱり家出だ」

「家出じゃないって!この人たちは全く」ウォンスはたまらず立ち上がる。

ウォンス「お願いですよ!どこか山の奥深くで倒れて、気を失っているかもしれないじゃないか」
捕盗庁員「失踪届が出ないと捜索も何も出来ないから…」

「一体どうしたんだ?」新たな捕盗庁員がやって来て、輪の中に入った。「あ!あの時ご馳走してくれた旦那だ!」

そうだ。就職した嬉しさに、官服で自慢げに居酒屋に出掛け、盛大に奢る羽目になったのが、彼らだったのだ。

他の捕盗庁員「誰?」
後から来た捕盗庁員「クォン氏の居酒屋で大盤振る舞いしてくださった、司譯院の旦那でしょう?」
ウォンス「私?」
他の捕盗庁員「わからないなぁ」
他の捕盗庁員「違う気がするけど」

「私だぞ」ウォンスが頭の防寒具をめくり、顔をだす。

他の捕盗庁員「おお!そうだ!」

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辺りはすっかり暗くなっていた。
月明かりを頼りに、キョムとサイムダンは寄り添って森の中を進む。

「あっちだ!」「足跡を追え!」追手の声がすぐ後ろに聞こえて、二人は慌てて木の陰にじっと身を潜めた。
通り過ぎるのを待ち、二人は再び立ち上がる。

チヒョン「一体何をしている!見つけ次第、殺せ!殺すのだ!!!」

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キョムとサイムダンは、小さな洞窟を見つけ、そこで身を休めていた。
「だいぶ出血なさっています。止血しなければ」サイムダンは採ってきた薬草で薬を作ると、布で包み、傷ついたキョムの腕に巻いた。
「少しだけ我慢なさって」サイムダンが布をぎゅっと縛ると、キョムがあっと呻き声を上げる。
彼の額からとめどなく汗が流れる。サイムダンはふと彼の頬に触れ、驚いて手をひっこめた。「熱が!」

サイムダン「ひどい熱だわ」

彼女は自分の上着を脱ぎ、彼にかぶせる。「少しだけ待っていてください」

キョム「行くな…」
サイムダン「!」

苦しみに震える手を伸ばし、キョムは彼女の手を掴んだ。

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「夫人~!」ウォンスは結局、奢ってやった恩で捕盗庁員たちをぞろぞろと引き連れ、森の中を探し回っていた。

ウォンス「この道でいいのか?違う気がするけど」
捕盗庁員「この道30年の勘ですよ。ここは浮気の森って言ってね、もっぱら逢引する男女が出没する場所なんですから」
ウォンス「浮気じゃないってば!出張なんだって!」

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「私は大丈夫…」サイムダンの手を握り、キョムは辛うじてそう口にした。

サイムダン「…。」
キョム「ときどき夢を見るのです…。そなたと共に野原を歩き、色を調合して絵を描いた、20年前の夢を…。まるで昨日のことのように鮮やかで」
サイムダン「…。」
キョム「その記憶だけで… 私は生涯生きていけます」

「!」サイムダンの目から大粒の涙がこぼれ落ちた。

サイムダン「気力を消耗してはいけません」
キョム「共に馬で駆けながら、また夢を見ている気分でした…」
サイムダン「…。」
キョム「金剛山図見たさに塀を越えた、あの気の強い少女…。そなたの描いた…数々の絵をもう一度見られるなら… 絵を見られるなら… それだけで十分です」

「…。」疲れて目を閉じたキョムの頬を、サイムダンはそっとその指先でなぞった。

サイムダン「乗り切れるはずです。あなたは強い方ですから…」

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夜が更けても中宗は到底眠れずにいた。
ナム貴人の言葉がどうしても頭を離れなかったのだ。
忠臣と奸臣を適度に競わせてこそ、強固な王座を築けるのだと。
チヒョンを釈放した今、決してキョムを失う訳にはいかない。

中宗「誰かおらぬか」

ほどなく、ソ・セヤンが官軍を率いて宮廷を出発した。

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冷たい雪の降る森の中で、サイムダンたちを探しているのは、チヒョン一味、ウォンスと捕盗庁員たち、そして官軍を率いるソ・セヤン、3組に増えた。

「向こうに洞窟があるようです」怪しい場所を見つけたのは… チヒョン一味だ。「行くぞ」
と、彼らは反対側からやって来たウォンスたちと出くわし、刀を抜いた。

そのとき… 「やめよ!」
また別の方向から声がする。
現れたのはソ・セヤンたちだ。「漢陽の入り口に種種雑多な山賊が湧いていると聞いたが、お前たちであったか」

チヒョン「(独り言)ソ・セヤンではないか!」
ウォンス「あの人たちはまた何です?」
捕盗庁員「官軍?!」

チヒョンの合図で、私兵たちは一斉に撤収する。

捕盗庁員「逃げてくぞ」
ウォンス「あぁ、助かった」
セヤン「ひょっとして、ここで女とすらりとした男を見かけてはおられぬか」
ウォンス「すらりとした男は知りませんが、うちの夫人を探しております!」

「周辺を隈なく探せ」セヤンの指示で官軍が散った。

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洞窟の中は不思議なほどに静かだ。
横たわっているキョムのそばで、サイムダンは器用に火を起こした。
「ありがとう」ふいにキョムの声がして、サイムダンは振り返った。「具合は少し良くなりましたか?」
噴き出していた汗もおさまり、どうにか落ち着いたように見える。

キョム「怪我をするのも… そう悪いことばかりではないな」
サイムダン「?」
キョム「こんなに真心こもったそなたの看護を受けられるなんて」

「…。」キョムを軽く睨み、サイムダンは少しホッとしたように笑みを見せた。
起き上がろうとして、キョムは小さな呻き声を上げる、

サイムダン「動いてはいけません」

上着を掛け直してやり、サイムダンは彼の顔の汗を優しく拭う。
そのうちに、キョムの熱い視線にぶつかり、ハッとその手を止めた。「…。」

ゆっくりとキョムの手が伸びる。
その指先がサイムダンの手に触れようとした瞬間、彼女はさっとそれをはぐらかした。

サイムダン「…。」
キョム「…。」

そのときだ。
重苦しい沈黙を、誰かの声が破った。「夫人~!」「シン氏夫人はどちらです~?」

キョム「?」
サイムダン「?!」

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洞窟の入り口まで出ていくと、サイムダンは声の方向を窺った。

サイムダン「(キョムを振り返り)夫です」

※正確には”子どもたちの父親です”と言っています。大きな違い(笑)

サイムダン「捕盗庁の人たちが一緒にいるのを見ると、ミン・チヒョンは撤退したようです」

キョムはふっと息をついた。「先にお行きなさい」

サイムダン「いけません!今…」
キョム「一緒に行けばそなたの立場が悪くなる」
サイムダン「けれど…」
キョム「早く行くのです」
サイムダン「…。」
キョム「さぁ」

向こうで夫の探す声が近づいてくる。
「…。」後ろ髪を引かれる思いで、サイムダンは… 背を向けた。

キョム「…。」

最後にもう一度、彼女は黙ってキョムを振り返る。
その静かな目に湛えられているのは、20年間ずっと持ち続けてきた悲しみと諦め、済まないと思う気持ち、そして彼への感謝と愛…。

そこに言葉などいらない。
キョムはただ力強く頷き、彼女が今度こそ去っていく後ろ姿を見送った。

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ここでエンディングです。

ストーリーは盛り上がっているのに、江陵旅にはちっとも没入できずにいたんですけど、最後の無言の二人の表情だけで一気に持って行かれました。
胸いっぱいです。
あの穏やかなサイムダンの視線だけで、これまでのキョムの不幸な20年間は、清らかな水で洗い流されたことでしょう…。

 - サイムダン(師任堂)色の日記