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師任堂(サイムダン)、色の日記10話あらすじ&日本語訳~前編

      2017/03/08

イ・ヨンエ、ソン・スンホン主演SBSドラマ『師任堂(サイムダン)、色の日記』10話をセリフの訳を交えながらご紹介します。

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あの時の娘に間違いない…!
サイムダンとキョムは別々の場所で同じ娘の顔を思い浮かべていた。

「なぜそんなことをなさるのかはわかりませんが」キョムがフィウム堂に言った。

キョム「もし意識的に誰かの心を傷つけようとしているのなら、手の傷のために他人の心臓に矢を射るようなことがありませんよう」
フィウム堂「どうでしょう。心に傷を負わせたいとすれば、そうされるだけの理由があるのでは?与えただけ返ってくるのが人の常でしょう」
キョム「…。」

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帰り道。
キョムは川の流れを見つめながら、じっと記憶を辿っていた。

キョム(心の声)「やはり北坪村の居酒屋の娘に間違いない。そう考えてみると面影が残っている。雲平寺の火事からサイムダンをおぶって下りてきたのがあの娘だった。それなのに、なぜあそこまでサイムダンを目の敵にしているのだ?あの日、雲平寺で一体何があったのだろうか…。それに、居酒屋の娘がどうやって吏曹参議夫人になれたというのだ?吏曹参議ミン・チヒョン。最大の紙物商…」

「雲平…」キョムはもう一度反芻する。
湧いてくるのは疑問ばかりだった。

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ミン・チヒョンは馬を飛ばし、領議政ユン・ギョンボの別宅を訪れた。
ひどく狼狽した様子の執事に招き入れられ、中へ入ったチヒョンが目にしたのは、呆然と座っている領議政の息子ユンピルの姿だ。
それだけではない。
部屋は荒れ放題であり、彼のそばには腹を真っ赤に染めた女性の遺体が横たわっていた。

執事「私どもでは手に負えず…どうすればよろしいでしょうか」

「せっかく助けてやったものを」御簾をくぐったチヒョンに気づき、ユンピルは這うように近づいた。「遅かったではないか!」
すがりつくユンピルを、チヒョンは無情に足で蹴り飛ばす。

ユンピル「(死んでいる女性を指し)あの娘が雲平寺から生きて戻ったのだ!死なずに生きているのだ!だから私は刀で…!」

「しっかりしろ!」今度はユンピルの頬を殴りつけ、襟首を引っ掴んだ。「雲平寺の娘はもういない」

チヒョン「私の後ろにしっかり隠れていればの話だ」

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「領議政の息子はここへ来たことなどない」部屋から出てくると、チヒョンは震えている執事に言った。

チヒョン「娘を殺した後、自責の念にかられて自害したのだ。よいな?」

チヒョンが去った後、執事がわなわな震えながら奥を振り返ると、首を吊っている男の影が御簾越しに見えた。

執事「!!!」

#よくわからん…。 ミン・チヒョンの残虐シーンはどれもこれも気味が悪いね

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サイムダンが家に戻った頃には、もうすっかり日が暮れていた。

ヒャン「お嬢様、おかえりなさい。ヒョンリョンお坊ちゃまは?」
サイムダン「まだ戻っていないの?!」
ヒャン「はい。一緒にいらっしゃると思ってたんですけど」
サイムダン「!」

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比翼堂は夜になっても大勢の人々で賑わっていた。
ヒョンリョンを探しに駆け込んだものの、サイムダンはどうしていいものやらキョロキョロと辺りを見渡すばかりだ。
そこへ、後ろからやって来たのは、キョムだった。

サイムダン「!」
キョム「こんな時間にどうしたのです?」

#お互いに気づいた時の、ビックリするやらどう言っていいやらの微妙な顔がとても好き^^

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「ヒョンリョン!」キョムは大声でキョムを探し回った。
その後を小さくなってついて歩くのはサイムダンだ。
「従兄?」すぐに従弟フが気付いて、仲間たちと共に声を掛けた。

従弟「誰かお探しですか?」
キョム「ヒョンリョンという子を見なかったか?(皆に)中部学堂の生徒なんだが、見ませんでしたか?」
従弟「あぁ!最後まで詩を書いていた子だ」
男「あぁ!あの意地っ張りですね」
キョム「詩画展が終わって、まだ家に帰っていないようです。探してください」

皆が方々へ散った。

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暗い書庫の隅っこでシクシク泣いているヒョンリョンを見つけたのは、従弟のフだ。
「ヒョンリョン、ここで何やってんだ!」彼は嫌がるヒョンリョンを引っ張り、外へ連れ出した。「お母さんが心配なさってる。早く行こう」

泣きじゃくりながら母の前へ連れて来られたヒョンリョンは、恨めしそうに母を見上げる。

サイムダン「もう遅いわ。帰りましょう」
ヒョンリョン「嫌です!帰りません」
サイムダン「あなたのためにどれだけの人に苦労を掛けたと思っているの?家族は漢陽じゅう探しているし、ここにいる方々も比翼堂のあちらこちらを…」
ヒョンリョン「僕を置いて帰ったのはお母様じゃありませんか!」
サイムダン「!」

#威勢がいいねぇ~この子は大物になるよ(笑)

ヒョンリョン「お母様が捨てていったのに、なぜ僕のせいになさるのですか!」
サイムダン「…。」
ヒョンリョン「僕は絶対お母様にはついていきません!僕はもうお母様の息子じゃないし、行くところもないから、一生ここで暮らします!お母様はご自分の家に帰ってください!!!」

「ヒョンリョン!」サイムダンが息子の手を引こうとしたのを、そっと割って入ったのはキョムだ。「ピクリとも動かない勢いだから、今日はここで泊まってはいかがですか」

キョム「朝になったら私がお送りします」
サイムダン「…。ヒョンリョン、早く帰るのよ」
ヒョンリョン「嫌です!帰りません!」

ヒョンリョンは大人たちを振り切り、書庫へと掛け戻る。
「みなさん、ご苦労様でした」キョムは笑顔で皆を解散させ、そこには彼とサイムダンだけが残った。

キョム「あのとんでもない強情さ、幼い頃のそなたにそっくりだ」

「…。」何も言えず、サイムダンはじっとキョムを見た。
「何だ… おかしなこと言ったかな」キョムはそう言って小さく笑う。

キョム「心配せずにお帰りを。ヒョンリョンは私に任せてください」

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キョムが書庫を覗いてみると、ヒョンリョンは書架のそばで静かに本を広げていた。
キョムも隣に腰を下ろす。

キョム「こいつ…。豪快な怒りっぷりだったな」
ヒョンリョン「…。」
キョム「私がちょうどお前くらいのとき、物乞いをしてその日その日を生きのびた」
ヒョンリョン「!」
キョム「腹が減っても食べ物はないし、日が暮れても帰る家はないし、温かく抱きしめてくれる母さんもいなかったんだ」
ヒョンリョン「…。」
キョム「だけど、お前は時間になれば食べられるし、帰る家もある。お母さんもいるじゃないか」
ヒョンリョン「僕はどこかで拾われたにきまってます。お母様には僕なんて必要なかったから、ちょうどいいと思っていらっしゃるはずです」

「こいつ」キョムは笑ってヒョンリョンの肩を抱く。「なかなかの言いっぷりだな」

ヒョンリョン「本当ですから」

キョムはぼんやりと遠くを見つめた。「怒られても叩かれてもいいから、私にも母さんがいればなぁ」

キョム「どんな方だったのか、もう顔も思い出せない」
ヒョンリョン「宜城君様は大人ではありませんか。大人は駄々をこねてはいけないんですよ」
キョム「そんなことあるか。大人だって駄々をこねたいときがあるんだぞ。長く生きてると、生きていくのにくたびれるときもあるからな。そうなってみると、どんなときでも優しく抱きしめてくれるお母さんの懐が切に恋しくなるものなんだ。だからな、ヒョンリョン…」

「えぇ」ヒョンリョンが先に答える。「お母様を大事にしなきゃいけないんですよね…」

ヒョンリョン「よくわかっているんです」
キョム「わかってるくせにどうしてこんなことを?」
ヒョンリョン「歯がゆかったんです。自分のためだとお思いですか?全部お母様と家族のためなのに…。僕、すごく頑張って勉強するつもりです。科挙に首席合格して、堂上官になるんです」

※堂上官=朝廷で王と直接国政に関する議論ができる階級。

ヒョンリョン「そうして家族一人に一つずつ部屋のある大きなお屋敷に住んで、木綿ばかり着ているお母様に、綺麗な絹の服を毎日買って差し上げたいのです。こんな僕の気持ち、お母様はどうしてわかってくださらないんでしょうか」

「ヒョンリョン」キョムはニッコリ微笑む。「その気持ち、お母さんに伝えたことはあるのか?」

ヒョンリョン「お母様は全部わかっていないといけないんじゃないですか?」
キョム「家族だからって全部わかるもんか。言わなきゃ誰もお前の気持ちを見抜けないぞ」
ヒョンリョン「それなら…どうすればいいのですか?」
キョム「話さないと。言葉に込めて伝えればいい。お前の本音、お前の気持ちまるごとだ」
ヒョンリョン「…。」

「ヒョンリョン」キョムはそっと顔を覗き込む。「家に帰るか?」
「…。」ヒョンリョンは頷き、小さく微笑んだ。「はい」

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キョムに付き添われてヒョンリョンが家に帰り着くと、母サイムダンは一人悶々と門の前に立っていた。
二人に気づくと、サイムダンはヒョンリョンを先に家に入らせる。

ペコリとお辞儀をしたヒョンリョンはチラリとキョムに微笑みかけ、キョムもまたそっと目配せをした。

二人になると、サイムダンは目を伏せたまま、淡々と頭を下げる。「ご迷惑をお掛けしました」

キョム「実に格別な子です。利口でありながら、感性豊かで」
サイムダン「だからより用心しているのです。自惚れはしないかと」
キョム「我が国の棟梁となる人材に違いない」
サイムダン「…ありがとうございます」
キョム「だから、許してもらえるなら私がヒョンリョンを援助したいのです」
サイムダン「いけません」
キョム「援助をうけるだけの十分な資格のある子です。そなたと私の過去があったから言ってるんじゃない。十分な資格があるのに、大人の我儘で子どもの将来を閉ざしてはいないか、もう一度考えてみてください」
サイムダン「ご厚意だけありがたく頂戴します」
キョム「…。」
サイムダン「今のヒョンリョンに必要なのは、金銭的な援助よりも気持ちを整理する時間です。学業のことはそのあとで解決しても遅くはないでしょう」

「では」サイムダンが背を向ける。

キョム「…雲平寺」
サイムダン「!!!」
キョム「一体そこで何が?」
サイムダン「…。」
キョム「雲平寺の名前になぜあんなふうに飛び出したりしたんです?この20年全く筆を持たないのは…ひょっとして雲平寺と関係あるのでは?」
サイムダン「…。」
キョム「一体なぜこんな生き方を?以前のサイムダンなら絵を諦めるはずはない。安堅先生の金剛山図のために塀まで乗り越えた、覇気あふれる天才少女は一体どこへ行ったんです?!」

これ以上は到底耐えられず、サイムダンは息を乱して振り返った。

キョム「…。」
サイムダン「もうお帰りください」

それだけ言って、彼女は踵を返す。
キョムはやるせない溜息をついた。

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キョムは雲平寺へ向け、馬を飛ばした。

そこにもう雲平寺はない。
ただ荒れた山があるだけだ。

キョム「一体ここで何があったのだ?」

「兄貴!」イム・コッチョンが老人を一人連れてやって来る。「あの日、雲平寺で生き残った職人を治療したそうですよ」

キョム「詳しく話してくれ」
老人「雲平寺から火が出ているのを遠い山から見たんですよ。急いで行ってみたら、寺はすっかり灰になっていて、死体の山が…」

壮絶な記憶が蘇り、老人は思わず声をつまらせた。「あんな地獄、生き地獄は他にありません」

キョム「死体の山?」
老人「えぇ。少なくとも100人はいたように見えました。和尚様や流民たち、子どもたち…それに、紙を造る人たちまで」
キョム「紙を造る人?」
老人「その当時、雲平寺では大勢の人が紙を造っていたんです」
キョム「紙とな…。一体誰がそんなことをしたのかわからないのか?」

「…。」老人は困ったように言いよどむ。

キョム「早く言うのだ」
老人「平昌の県令とか何とか、そんな噂が暫く出回ってましたがね、私にはわかりません。この目で見たわけじゃありませんからね」
キョム「平昌…?」

「役人がそんな真似するなんて!」隣で聞いていたコッチョンは怒り心頭だ。

キョム「雲平寺で生き残った者がいると言ったな」
老人「首に大怪我をした男が息も絶え絶えでおりましたよ。その人を小屋へ連れてきて薬草を塗って、何日か看病したんですがね、いつの日かひょいといなくなっちまいました」
キョム「名前は?そやつの名前は何と?」
老人「わかりません。口をぎゅっと閉ざしたまま、何一つ話さなかったんです。雲平寺で紙を造っていた人だってことだけわかりましたがね」
キョム「首に怪我か…」

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サイムダンは末っ子のウを連れ、ヒャンと一緒に山の工房を出た。
出来上がった白い紙を、ヒャンが大事に抱えている。「初めて造った紙を売るなんて、緊張しますね」

ウ「それを売ったら、僕たちお金持ちになるんですか?」
サイムダン「どうかしら?お金持ちがそんなにいいの?」

「はい!」ウがぴょんと飛び上がる。

笑った途端、サイムダンは山道に足を取られる。「あっ!」
脱げた靴を履き直し、サイムダンはひねった足首を押さえた。

ウ「お母様、紙を売ったら靴を買ってください」

ウの優しさにサイムダンは思わず笑みをこぼした。「そうしようかしら」

ウ「はい」
サイムダン「そうするわね」

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サイムダンがやって来たのは、ミン・チヒョンが取り仕切っている紙市場だ。
店に入ると、サイムダンは店主に声を掛けた。「紙を売りに来たのですが」
「…。」店主ク・ヨンテが紙を一瞥し、一声で答えた。「10両」

ヒャン「そんなに?!(ウに)私たちお金持ちになれますよ、お坊ちゃま」

「わぁい!」ウが両手に持った折り紙を振り振り、万歳をする。

サイムダン「本当ですか」
店主「10両くれれば引き取って差し上げますよ」
サイムダン「!」
店主「これ、売るつもりで来たんですか?厠で使うようなものを…。持って帰ってください。そんな質の悪い紙はどこも買ってくれませんよ」

「…。」目の前に陳列されている紙に、サイムダンが思わず手を伸ばす。
と、店主が慌てて止めた。「触っちゃ駄目です!」

サイムダン「この紙が最高級なのですか?1枚で1両だという?」
店主「これは2両ですよ」
サイムダン「一度だけ触らせてください」

「駄目ですよ!」店主は有無を言わさずサイムダンたちを追い返した。

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店を出て行くサイムダンの後ろ姿を、ちょうどやって来たフィウム堂がじっと見送った。「…。」

「さっきのご婦人ですか?」サイムダンのことを訊かれ、店主が答える。「紙を買ってくれって言われて、追い払いましたよ」
手には、ウが落としていった綺麗な色の折り紙を握っていた。

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売れない紙を抱え、ヒャンは溜息が止まらなかった。

サイムダン「やめなさい。溜息をついたって紙は売れないわ」
ヒャン「一生懸命造ったのに、冷たくあしらわれて悔しいんですよ」
サイムダン「だけど何とかしないと。子どもたちのためにも、方法を探さないといけないわ」

「待ってくれ!」そのとき、さっきの店主が追いかけてきた。「なんて足が速いんだ?一瞬で消えてしまうなんて」

サイムダン「なんでしょうか」

「これ」店主が差し出したのは、ウが落としていった折り紙だ。「色紙」

店主「最近は色紙を欲しがる人が多くてね。色紙を造ってほしいんです」
サイムダン「本当ですか!どれくらいでしょうか」
店主「5000枚」
サイムダン「!」
店主「5日以内に5000枚造れますか」
ヒャン「えぇっ?!」
サイムダン「5000枚も?」

「ひとまずこれは契約金」店主は一握りの金を差し出した。

店主「納期に間に合わなければ違約金は10倍です」
サイムダン「!」
ヒャン「10倍?!」
店主「嫌ならいいですよ。やりたいってところはたくさんあるから」
サイムダン「いいでしょう。5000枚」
ヒャン「お嬢様!そんなにたくさんどうするんですか!」
店主「えぇっと…紙事業ってのは紙質だけよければいいってもんじゃありません。約束した品がきっちり納められるかどうか、取引が水の流れるか如く順調に成立するかどうか、それが重要なんですよ」
サイムダン「おっしゃる通りです。ありがとうございます。本当に感謝します」
店主「女性だけで頑張っているのが不憫で、機会をあげるんですからね」

店主が改めて差し出した手付金を、サイムダンは受け取った。

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「おっしゃるとおり5日以内に5000枚。契約金も渡しました」店に戻り、店主はフィウム堂に報告した。「これが契約書です」

店主「紙職人気取りの酔っぱらいがいても一日に数百枚出来るかどうかですよ。契約どおりに出来なきゃ違約金は10倍ですからね」

フィウム堂は表情ひとつ変えず、金の入った小袋を差し出す。「ご苦労様」

店主「こんな物まで!ははは」
フィウム堂「あなたは豊基へ行っていなさい、当分の間」
店主「え?豊基と言うと、慶尚道の?」
フィウム堂「…。」
店主「私が何でそこに?」
フィウム堂「あそこは注文が集中して人手が足りないそうじゃないの」
店主「私が何か失態でも…?」
フィウム堂「今私に口答えしたのが失態よ」
店主「!」

それ以上何も言えず、店主は頭を下げて立ち去った。

フィウム堂(心の声)「お前はあまりに知りすぎたわ」

契約書を開き、フィウム堂はニヤリとほくそ笑む。「5日以内に5000枚なんて…とうてい無理ね」

フィウム堂「芽が出る前に容赦なく叩いてやるわ」

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「豊基へ行けって?」”元”店主ク・ヨンテはぶつぶつボヤきながら売り場へ下りてきた。

ヨンテ「女主人に仕えて下僕のように何年も働いたっていうのに、今さら棒切れみたいに追い出すのか?いくら世知辛い世の中だって、そりゃないぞ。人を馬鹿にするなってんだ」

と、そこでのんびりしていたのは、キョムの従弟フだ。

ヨンテ「あれ?前に戸曹からいらっしゃった学者さんでは?」
従弟「近頃、科挙用紙はいくらするんだ?」
ヨンテ「まるでヒヨコみたいに…。何で紙市場をうろうろ嗅ぎ回ってるんです?」
従弟「ヒヨコ?!何てこと言うんだ!」
ヨンテ「…。」
従弟「特に用があるわけじゃないが、その…市場視察でだな」
ヨンテ「うちの市場で不正でもしてるって?」
従弟「不正というより… ん?私がいつ不正だなんて言った?」
ヨンテ「…。」
従弟「言ってなきゃそれでいい」

背を向けた従弟フを、ヨンテは咄嗟に呼び止めた。「あなたが聞けば喜びそうな話があるんですがね」

従弟「?」
ヨンテ「前に一緒に来ていたお偉い方に会わせてくださいよ」
従弟「会ってどうする?」
ヨンテ「そりゃ会ってみりゃわかりますよ」

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宮廷を訪れたキョムは、役人名簿を調べていた。

文官「当時、平昌の県令はミン・チヒョンという人ですね」

「こちらです」文官が名簿を指差す。

「…。」ミン・チヒョンは最も疑わしいという中宗の言葉、雲平寺の惨劇を知る老人の話。頭のなかで漠然としていたものがみるみるうちに色濃くなっていった。

文官「そうだ、ミン・チヒョンと言えば吏曹参議様ではないですか。宜城君様がなぜ…?」

「ありがとう」キョムはさっと名簿を閉じた。「このことは内密にしてくれ」

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紙工房にサイムダンたちの姿はない。
作業台の上には出来上がった紙の束がきちんと積んであった。
「おほん!」大きく咳払いをしたのは、酔っぱらいの紙職人だ。
「…。」しばらく躊躇った末に、彼は紙の束を抱え上げた。

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ウォンスのお腹がグゥと鳴った。

ウォンス「あぁ、寺に来ると腹が減って仕方がない。不思議だなぁ。はぁ、肉一切れ食べりゃ集中出来るのになぁ」

どうにも気が散って、ウォンスは寺の台所を覗いた。
若い僧侶が一人、火を焚いている。

ウォンス「何をしておいでかな?」
僧侶「炊事係が火を焚いてるんですよ。見ればわかるでしょう」
ウォンス「えぇっと、ひょっとして…」
僧侶「ありませんよ」
ウォンス「いや… 人の話は最後まで聞いてから答えないと」
後ろからやって来た和尚が警策でパシッとウォンスの肩を叩いた。「!」

そのままウォンスは仏様の前に立って祈祷だ。
「集中」と唱えては、仏様に向かってひれ伏す。「和尚様、50回もやれば十分では?」

和尚「こら!何度もしつこいと三千拝をさせますよ」

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ここで区切ります。
はぁ、大変な目の保養でございました♥
キョムの柔らかいキャラが生きますね^^

 - サイムダン(師任堂)色の日記