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師任堂(サイムダン)、色の日記6話あらすじ&日本語訳~後編

   

ソン・スンホン、イ・ヨンエ主演『師任堂(サイムダン)、色の日記』6話の後半に進みます。

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家へ帰ってきた父イ・ウォンスがご飯を貪り食うのを、家族たちは唖然として見守った。

長女メチャン「どれだけお腹が空いてらしたのか…」
次男イ「ゆっくり召し上がらないと」

ヒャンが追加の膳を持ってくる。

サイムダン「しっかり噛んでください。消化に悪いですから」
ウォンス「ご飯、もう一杯ないか?」
サイムダン「食べ過ぎは禁物です。何日もお腹を空かせた後なら尚更」
ウォンス「…。」

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キョムの屋敷へやって来ると、領議政は掛けてある絵を手に取った。「見たことも聞いたこともない絵ばかりですな」

キョム「称賛と受け取ってよろしいでしょうか」
領議政「…。」

#すんごいイタズラ書き^^;;;;;;どう解釈すりゃいいのやら

奥に掛けてあった母犬画を、中宗が黙って手に取る。「…。」
「一体何があったのだ?」キョムを振り返って尋ねると、中宗は嬉しそうに笑った。「ようやく本当のキョムが帰ってきた」

中宗「20年前、宜城君の描いた子犬の絵を見て、大いに癒されたことがあったのだ」

~~それはキョムが15歳のとき~~

正殿の朝会の席で、中宗はキョムが描いた絵を眺めていた。
静まり返った正殿に、ぐるぐるとお腹の鳴る音が響く。「?」

中宗「(キョムに)お前から聞こえたのか?」
若キョム「長旅でまだご飯を…」

中宗が豪快に笑う。

若キョム「!!!」
中宗「実に久しぶりに人間らしい音を聞いたぞ!ははははは!そう思わぬか、尚膳」

中宗はすっかり上機嫌だ。「客を招いたなら、もてなすべきではないか?茶菓を持ってこさせなさい。いや、もうじき食事の時間だな。食事を持ってこさせるのだ」

それ以来、中宗はキョムを呼んで絵を描かせては、食事を振る舞うのが大きな楽しみになっていたのだ。

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中宗は懐かしく昔を振り返った。「何人かはご記憶かもしれぬが、その絵も到底見たことも聞いたこともない絵であった」

中宗「皆ご存知のとおり、キョムは幼い頃を恵まれずに過ごした。それで考えも絵も人並み外れて自由で… それが余の心を癒やしてくれたのだ」

「それが誰かに害を与えるわけではなかろう?」中宗が大臣たちを振り返った。

チヒョン「本来、泰平の御代に装飾や絵が花咲くのは自然のことではありますが、王族としての義務でもございましょう」
中宗「王族としての義務か…(キョムに)これから忙しくなりそうだな」
キョム「?」
中宗「朝鮮の芸術に花を咲かせること、それが王族の義務だというではないか」
キョム「…。」
中宗「ははは!それにしてもこの家は狭すぎるようだが…。あぁ、寿進坊に王室所有の広い屋敷がある」
キョム「恐れ入ります」
中宗「明日にでもすぐ寿進坊に住処を移しなさい。それらしい看板も必要だな。朝鮮芸術の中心としてどんな言葉が似合うだろう?」

「…。」大臣たちが渋い顔で黙り込む。
しばらく考えると、キョムは静かに口を開いた。「比翼堂」

キョム「比翼堂にいたします」
中宗「比翼堂とな…」

中宗はその場で、自ら筆を持ち、看板の文字をしたためた。

比翼鳥… キョムは瑞々しい記憶に思いを馳せていた。
サイムダンが二人の愛の証に、比翼鳥の印を掘り、贈ってくれたのだ。
もう片方の羽根はキョムに彫って欲しい、婚礼式の日に贈ってくれと、彼女はそう言ったのだった。

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比翼堂の創設は、街中に発表された。

『比翼堂とは、二つの目、二つの羽根が合わさって初めて飛び立つことのできる比翼鳥のように、才能はあるが境遇に恵まれず道の開けない全ての者に機会を与える空間となります。身分や性別の差別なく、ひとえに芸術のための朝鮮一の空間を作ります』

さっそく入所希望者が行列を作った。
そこには、街中でキョムが絵を描くのを熱心に見物していた者の姿もあった。

男「ナモン郡から来たイ・モンリョンです。書なら書、絵なら絵、歌なら歌。あぁ~♪」
男「嶺南から来たサンジャといいます。山水画と肖像画を少し描くんですが、実は…奴婢出身でして」

「…。」面接官が無言で睨むと、後ろに並んでいる男が手を挙げた。「私も奴婢です。(楽器を見せ)奚琴を弾きます」

面接官「だけど奴婢だと?」

そこへやって来たのがキョムだ。「絵の才能が奴婢だけ避けていくわけがないでしょう」

キョム「奴婢ならどうで両班ならどうなんです?情熱さえあればそれが芸術家なんです」

「入りましょう」キョムは爽やかな笑顔で彼らを招き入れる。

男「どなたですか?」
キョム「(微笑)気になるなら早く中へ」
男「あぁ、はい!」

奴婢出身の彼らを引き連れ、キョムは意気揚々と比翼堂の門をくぐった。

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「比翼堂に出入りする者は一人残らず報告するのだ」執事にそう指示するのは、キョムを警戒するミン・チヒョンだ。

チヒョン「貧しい芸術家たちを呼び集め…? 宜城君も甚だ儚い志を抱いたものだ」

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「オバケだぞぉ~!」帰ってきた夫ウォンスの持ち味で、就寝前の家の中には子どもたちの楽しそうな声が響いていた。

「お前たちを捕まえちゃうぞぉ~!待ってろ~!」そう言ってロウソクの明かりを手に振り返ったウォンスは、いつの間にか部屋を覗いていたサイムダンに気づき、ハッと腰を抜かす。「夫人…」

サイムダン「奥の間へいらしてください」
ウォンス「あ… 今日は久しぶりだから子どもたちとこの部屋で」
サイムダン「いらしてください」
ウォンス「…わかった」

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奥の間へ呼ばれたウォンスは、妻の前で小さくなっていた。

ウォンス「別宮に決まった土地だって… とっておきの情報だって言うから」
サイムダン「買ってさえおけば何倍にもなると?」
ウォンス「何でわかったんだ?本当にそう言ったんだ。仁王山の裾じゃ我々しか知らない特級の情報だって。はぁ、そいつは書堂の頃から数十年共に学んだ同門だったのに、どうして私にそんな真似が出来るんだ?どうして!」
サイムダン「…。」
ウォンス「君に面目ないし、子どもたちにもバツが悪くて。そいつを捕まえようとどれだけ…! 漢陽じゅう探したんだから!」
サイムダン「結構です」
ウォンス「だけど!」
サイムダン「結構ですから。すでに溢れた水です。何の意味もありません」
ウォンス「…。」
サイムダン「過ぎたことは忘れて、明日から科挙の勉強に邁進なさいませ。ソンとヒョンリョンもしだいにやる気を失っています。今度の科挙では何としても合格なさらないと。生活は私がなんとかやって行きますから、今日はここでお休みになって、明日すぐに山ごもりをして勉強をお始めください」
ウォンス「…。」
サイムダン「静かな庵を調べておきました。そちらへいらっしゃればよろしいですから」

サイムダンが立ち上がる。

ウォンス「(裾を掴み)3ヶ月ぶりに会ったのに」
サイムダン「放してください!勉強を熱心になさることが、私の助けになるのです。肝に銘じてくださいませ」
ウォンス「わかってる」

と、なおウォンスは妻の服を掴む。「それでも勉強はあさってからにして、明日一日だけ探せば、間違いなく捕まえられ…」

サイムダン「!」
ウォンス「…わかった」

サイムダンは夫を残し、つれなく部屋を後にした。

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朝。

ミン・チヒョンの家では父と子どもたちが向かい合い、朝食を共にしていた。

フィウム堂「(子どもに)よく噛んで食べなさい」
次男「キュウリは嫌いです」
チヒョン「キュウリは血を綺麗にし、記憶力にも良い食べ物だ」

長男チギュンがキュウリに箸を伸ばす。

フィウム堂「(次男に)お兄さんを見なさい。よく食べるから一等を取るのよ」
長男「…。」
チヒョン「中部学堂の一等は大したことではない。一等になって科挙に落ちた例も多いのだ」
フィウム堂「…。」
チヒョン「今に満足せず、さらに精進するのだ。良いな?」
長男「はい。さらに精進いたします」
チヒョン「我が家門に、戦いで負ける人間は必要ない」
長男「…。」
フィウム堂「眠る時間を削って一生懸命やっております」
チヒョン「一生懸命なのは基本。何が何でも勝つことだ」

チヒョンが食事を終え、先に部屋を出た途端、長男が食べたものを吐き出す。

フィウム堂「まだキュウリを食べられないの?」
長男「…。」
フィウム堂「食べる素振りだけしなさいと言ったでしょう?」
長男「…大丈夫です」

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「わぁ!」ヒャンが市場の賑わいに歓声をあげる。「漢陽って本当に人も品物も多いですね」

サイムダン「漢陽の物価は北坪村の何倍も高いようね」

「これはいくらです?」気になった品の値段を尋ねては、帳面に書き記す。

ヒャン「何を書いていらっしゃるんです?」
サイムダン「家を買った残りのお金では2ヶ月しか凌げないのよ」
ヒャン「そうですね」
サイムダン「どんなものがよく売られていて、人はどんな物を求めているのか、それがわからないと、やりくりの策も立てられないわ」

市場をゆっくり進むうち、サイムダンはふと反物商の売り場に目を留める。
吊るしてある布の優しい色合いに、彼女は吸い寄せられるように近づいた。

と、向こうから激しい馬の足音がやって来た。

サイムダン「?」

「下がれ!殿下のお通りだ」向こう側の道を、一団が通り過ぎるのが見える。

サイムダン「!!!」

#過去の回想場面が流れますが、中宗や内禁衛将のくだりはサイムダン本人は直接関わっていません。でも、全て知っているような演出でしたね…。それにしても、何かと唐突に放り込んできますね^^;

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眺めのよい河畔で、中宗はキョムをお供に心身を休めていた。

中宗「久しぶりに外へ出掛けると、鬱とした心もほぐれるようだ」

彼は自らキョムの器に飲み物を注ぐ。

中宗「そなたにどれほど会いたかったか」
キョム「恐れ入ります、殿下」
中宗「広い宮中で腹を割って話せる相手は一人もいない。私は傀儡の王だ」
キョム「なぜそんなことをおっしゃるのですか」
中宗「老猾な勲旧派の大臣と一族が権力を握り、この数年間国政を思いのままにしている」
キョム「殿下、我が国朝鮮の君主が何を恐れておいでなのですか」
中宗「余に何の力がある?国じゅうの官吏が余の前では殿下、殿下と唱えるが、陰では隠居した老人扱いだ」
キョム「…。」
中宗「キョム、余のそばにはそなたしかいない」
キョム「…。」

中宗「そなたは宮廷の外にいて、この20年気の向くまま自由に暮らしていたから、大臣たちもそう注意を払わないはずだ」
キョム「どういう意味でしょう」
中宗「余の手足、そして目となってくれ。三政丞とミン・チヒョンが権力を利用していかなる非道を犯しているか、残らず暴くのだ。特にミン・チヒョン、あやつは顔を見ただけで匂う。少なからず非道を犯しているうことは間違いない」

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サイムダンは庭でせっせと餅をついていた。
勉強部屋から盗み見て、ウォンスは首を傾げる。「なぜ餅をついてるんだ?」

ウォンス「いっそのこと餅をつく代わりに何発か殴れってんだ。そのほうがよっぽど気が楽なのに」

サイムダンは餅をつき終わると、丸めた餅を薄く広げ、その上に色とりどりの花を並べて焼いた。
「お隣に持っていきなさい」出来上がった花餅を差し出した彼女の言葉に、家族は皆声を揃える。「えぇ?!」

サイムダン「…どうして驚くの?」
長男「お化けの出る家ですよ」
次男「そうです」
長女「この間も夜に厠へ行ったら垣根の方に白いものが見えて腰抜かしたんですから。今でも思い出しただけで…!」
ヒャン「お隣の家に近づくなって、近所の人たちみんなに止められましたよ」
長男「嫌です!」
長女「私も無理です!」
次男「僕も!」
三男「ぼくも…」

「夫人」格好良く扉から顔を出したのはウォンスだ。「私が行こうか?」

サイムダン「…。」

「わかった」扉はあっという間に閉じた。

サイムダン「(子どもたちに)行ってきなさい」

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長女メチャンが勇気を出して隣の家の扉を叩いた。「ごめんください」
扉が開くと同時に、メチャンはぎゅっと目を閉じ、花餅の膳を差し出した。
出てきたのは、白い衣服に身を包んだ女性だ。

メチャン「(目を閉じたまま)と、隣に引っ越して来たんですけど、これを召し上がるようにって」

誰かが膳を受け取ったので、メチャンは一目散に逃げ出した。「さようなら!!!」

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隣人から届けられたという花餅を受取り、廃妃シン氏はその美しさと心遣いに口元を緩ませた。

※廃妃シン氏=中宗の最初の妃。父方の叔母が燕山君(クーデターで王位を剥奪された前君主)の妃であったため、功臣たちの声で廃位されてしまいました。

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「お母様」次男ヒョンリョン(イ)が、夕飯の支度に忙しい母につきまとう。「行かせてくださいよ。ね?」

ヒョンリョン「約束なさったじゃないですか。漢陽に来たら中部学堂に通わせてくださるって、お母様はっきりおっしゃいました!」
サイムダン「邪魔だから本でも読んでいなさい」
ヒョンリョン「お母様!僕、中部学堂に行きたいのです!行かなきゃいけないんです!学堂に行きたい僕の気持ち、めらめら燃える釜戸の火みたいに熱いんですから!お母様、行かせてください!」

熱心なヒョンリョンのそばで、兄弟たちは退屈そうに縁側に座り込んでいる。

サイムダン「皆、部屋へついて来なさい。ソンとメチャンもよ」

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部屋に子どもたちを並べ、サイムダンは静かに口を開いた。「ヒョンリョンにもう一度言うわ」

サイムダン「中部学堂には行けません」
ヒョンリョン「…えぇ?」
サイムダン「うちの事情では今すぐ行くことは出来ないということよ」
ヒョンリョン「だけど僕、漢陽へ来る前から中部学堂に行くつもりで楽しみにしていたんです!それだけが夢だったのに!それなのに、どうして今更駄目だとおっしゃるんですか?何で行かせてくれないんですか!」

#漢陽へ来て三ヶ月経ってるみたいですけど、このタイミングになって賢いはずのヒョンリョンが駄々こね始めるのも何だかしっくり来ないですねぇ。

たまりかねた長女メチャンが、弟の背中をひっぱたいた。「この馬鹿!」

メチャン「食べるのも精一杯なのに、どうやって学堂に行けるのよ?」
サイムダン「メチャン。いくら弟でも言い過ぎだわ」
メチャン「…。」
サイムダン「最初はわからなかったけれど、私の判断は正しかったようね」

サイムダンは小さな帳面を差し出す。「ごらんなさい」

サイムダン「どうして駄目としか言えないか、ここに全て書いてある」
子どもたち「…。」
サイムダン「二ヶ月は飢える心配はないわ。けれどその後、あなたたちにしてあげられることは何もないの。庭で野菜なり何なり頑張って育てて、自給自足しないと凌げない状況よ」
ヒョンリョン「僕は一日一食だけでもいいんです。ううん、食べられなくったって構いません!」
サイムダン「!」
ヒョンリョン「だから学堂へ行かせてください、お母様」

飢えてでも学びたいという我が子の訴えに、サイムダンの硬い表情が緩んだ。「ヒョンリョン…やはりそれは難しいわ」

ヒョンリョン「当分の間は家で自習しましょう」

「!」悔しさにヒョンリョンは部屋を飛び出す。

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外で頬杖をついていた末っ子ウは、出て来た兄について歩き出した。「お兄ちゃん、どうしたの?」

#一つ前のシーンもそうだけど、ウ君の物憂げな頬杖ポーズがキマリすぎです(笑

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弟の手を引いて大通りへ出て来たヒョンリョンは、荷車の列に遭遇した。

ヒョンリョン「(荷を運ぶ人に)これは何ですか?どこへ行くんですか?」
男「比翼堂へ運ぶ本だ」
ヒョンリョン「比翼堂?それってどこですか?」
男「(前を指差し)向こうにそびえ立ってるお屋敷が見えるだろ。あそこだよ」

比翼堂の前までやって来ると、ヒョンリョンは立派な門を見上げた。「こんな家に住めれば他に望みなんてないや」

ヒョンリョン「一日があっという間に過ぎそうだ」

入所希望者を受け付けていた男に、ヒョンリョンは声を掛ける。「少しだけ入って見学したらいけませんか?」

男「見物?駄目だ」
ヒョンリョン「少しだけ見学させてくださいよぉ」
男「子どもは駄目だ。帰りなさい」

ヒョンリョンはもう一度門を見上げる。「比翼堂?比翼鳥のことかなぁ」

ヒョンリョン「安平大君の匪懈堂を連想させるような気もするし」

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芸術家で賑わう比翼堂に、ミン・チヒョンがキョムを訪ねてきた。
贈り物に、美しい孔雀を持参したのだ。

キョム「高価な贈り物は遠慮しますよ」
チヒョン「宜城君大監に差し上げるのではありません。朝鮮芸術のために贈るのです」
キョム「あなたの考える芸術は、高貴な両班だけに向けたもののようですね」
チヒョン「いけませんか?」
キョム「いいえ、構いません。芸術に貴賤はなく、比翼堂の門は誰にでも開かれていますから」

話しながら、キョムは絵筆を動かし続ける。
大きな房を持つ、赤く美しい花を彼は描いていた。

チヒョン「どういった花なんです?」
キョム「芍薬です」
チヒョン「芍薬とは… 両班が描くには珍しい素材ですが」
キョム「両班には珍しいかもしれませんが、世間一般にはありふれた花ですよ」
チヒョン「あなたの考える芸術は民家の庭にあるようですね」

「…。」キョムが顔を上げ、ジロリとチヒョンを見た。

チヒョン(心の声)「なぜ戻ってきた?宜城君」

「芸術は場所を選びません」キョムは何事もなかったかのように微笑んだ。

キョム「いかがです?貴重な孔雀への返礼にちょうど良さそうですが」
チヒョン「…。」
キョム「花と鳥。はははは、花鳥画の完成ですね」

「間違いなく何かある…」チヒョンの頭に疑いが渦巻いた。

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「ソン、まっすぐ座りなさい」縁側で針仕事をしながら、サイムダンはだらしなく寝転ぶ長男をたしなめた。

サイムダン「ヒョンリョンとウはどこ?」
ヒャン「中にいらっしゃいませんか?」

家の中をひととおり探すが、息子たちの姿はない。

サイムダン「みんな、ヒョンリョンとウを見かけなかった?」
長男&長女「いいえ」

そこへふらりと帰ってきたのはウォンスだ。

サイムダン「ヒョンリョンとウの姿が見えません」
ウォンス「え?私はずっと勉強してて、ちょっと厠に行ってたんだけど、見てないよ」
サイムダン「!」

いなくなる前のことを、サイムダンは思い出した。
中部学堂へあれほど行きたいと訴え、それが叶わず部屋を飛び出したのだ。

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比翼堂の門の前には、キョムがミン・チヒョンを見送りに出ていた。「またお越しを」

チヒョン「本心ですか?」
キョム「疑り深いですね」
チヒョン「冗談の通じぬ人間ゆえ、本当にまた来るかもしれません」
キョム「ははは、芸事はそう大げさなものですか?酒を飲んで遊ぶ中で一節詠ずる、それが芸事でしょう」
チヒョン「…。」
キョム「本心ですから、たびたびお越しいただいて構いません」

「では」頭を下げ、チヒョンはそこでキョムと別れた。

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「おチビ、退きなさい」輿のそばにじっと立っている小さな子どもを退かせようとしているのは、チヒョンの執事だ。
「構わん」チヒョンが抱き上げた小さな子どもは… 目下行方不明中の末っ子ウではないか。

チヒョン「こいつ、可愛いな」

「ヒョンリョン!」子どもたちを探すサイムダンの声が聞こえてきた。
「お母様!」チヒョンのそばで立ち上がったのは、ヒョンリョンだ。

サイムダン「ここで何してるの!ウはどこ?」

振り返ったヒョンリョンの視線の先に、男に抱き上げられているウの姿が見えた。
「ウ!」駆け寄り、頭を下げようとしたサイムダンは、そこで凍りつく。「!!!」

忘れるものか。
20年前、運平寺で流民を皆殺しにした、あの男だ。

母親が来たことに気づき、チヒョンはウを下ろす。「母さんのところへ行け」
何も言えず背を向けたサイムダンを、チヒョンが冷たい声で呼び止めた。「待て」

サイムダン「!!!」

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ここでエンディングです。

 - サイムダン(師任堂)色の日記