韓国ドラマから美しい言葉を学ぼう

韓国ドラマのあらすじや詳細日本語訳を紹介!プロデューサー/SPY/夜警日誌/トライアングル/主君の太陽など

師任堂(サイムダン)、色の日記3話あらすじ&日本語訳~後編

   

ソン・スンホン、イ・ヨンエ主演『師任堂(サイムダン)、色の日記』3話の後半に進みますね♪

ではさっそくGo~♪

~~~~現代編~~~~

「比翼鳥の印…」ジユンが考えを巡らせる。

ジユン「サイムダンとイ・ギョムは愛し合っていた。サイムダンがイ・ギョムに比翼鳥の印を贈って…」
サンヒョン「何ですか、それ? ってことは、本物の金剛山図には、サイムダンとイ・ギョムの詩と比翼鳥の印まであるってことじゃないか!」
ジユン「(考え込む)サイムダン… イ・ギョム…」
サンヒョン「昔の小説?こんな小説あったのか?」
ジユン「(考え込む)金剛山図…」

サンヒョンが急にスマートフォンを差し出した。「見てください」

サンヒョン「ギャラリー ソンとミン教授が偽物の金剛山図を国宝にしようとしてるって!」

『ギャラリー ソン、安堅の金剛山図の国宝昇格を申請』という記事だった。

「比翼鳥の印!」ジユンはハッと思いたち、その場を駆け出した。

サンヒョン「ちょっと!言いかけておいてどこ行くんですか!」

+-+-+-+

ボローニャから持ち帰った美人画を窓際に掛けると、裏から日光が当たり、絵が浮かび上がる。
ジユンは端から慎重に虫眼鏡で覗き込んだ。

ジユン(心の声)「これがもしイ・ギョムの絵なら、比翼鳥の印があるはず!」

「!!!」ジユンは息を飲む。人物のそばに、はっきりとその印影が残っていたのだ。「壓印?」

※壓印=押した部分が盛り上がる、またはへこむように作られた印。エンボスってことですね。

ジユン「比翼鳥の印章だわ!」

+-+-+-+

ギャラリー ソンにはさっそく『金剛山図』が展示されていた。
サンヒョンは絵を眺めると、納得したように微笑む。「だよな」

サンヒョン「これは違う。やっぱり違うな」

+-+-+-+

学内では、今日もデモ隊が学舎前で声を上げていた。「講師の不当解雇を即刻撤回しろ!」「解雇は殺人だ!」

そこへ助手たちを伴って通りかかったのはミン教授だ。「…。」

研究室へ戻ると、ミン教授は小さくため息をついた。

ミン教授「ソ・ジユンは古書を手に解読を頼んで回っている…?ハン・サンヒョンのガキは姿が見えないし…(助手に)ハン・サンヒョンはどこにいる?」
助手「最近はあまり出てきていない様子です」
助手「自分から脱落したようです」

「全く!」ミン教授は助手に苛立ちをあらわにする。「何言ってるんだ」

助手たち「申し訳ありません」
ミン教授「ソ・ジユン、ハン・サンヒョン、最近何をしてるのか探れ」
助手「え?」
ミン教授「24時間離れるな」
助手「刑事みたいに張り込めということですか?研究室の業務は…?」
ミン教授「お前たちがいないと回らないのか、ここは?」
助手「いいえ…」
ミン教授「刑事の真似ごとだろうが何だろうが、さっさと行け」

ミン教授にけしかけられ、助手たちは慌てて出て行った。

+-+-+-+

ジユンの夫、ミンソクを追った取り立て業者が、とうとうジユンたちの隠れ家を探し当てた。
宅配業者を装い、ドアを開けさせると、無理やり家の中へ踏み込む。

義母「あんたたち何よ!馬鹿にするんじゃないわよ!うちの嫁は大学の教授で、息子が帰ったら…」
男「それで?!そのご立派な息子はどこにいらっしゃるんだ?」

偶然前を通りかかったサンヒョンが怪しい男たちに気づき、飛び込んでくる。「おい!!!」

男「(胸ぐらをつかみ)お前何だ?!」
サンヒョン「(ビビって)彼氏!」
ジユンたち「!!!」
男「彼氏?」
サンヒョン「…いや、親戚!親戚!」
男「どういう親戚だよ?」
サンヒョク「従弟ですよ。(ジユンに)でしょ、姉さん」

ジユンがかろうじて頷いた。
「何言ってんだ?」男に耳を掴まれ、サンヒョンは必死で抵抗する。「ちょっと待った!」

サンヒョン「金融消費者保護法第10条、債権取立行為の禁止、違反!」

「何って?」「え?」男たちが顔を見合わせ、首を傾げる。

サンヒョン「”貸付契約による債権取立において、次の方法をとってはならない。暴行や脅迫、正当な事由のない関係先の訪問!”(窓の外を指し)裁判所の許可した強制執行でも、日没後はやっちゃいけないんです!」

「???」皆が不思議そうにまだ明るい窓の外を見上げた。

サンヒョン「おっ、たった今太陽が沈むところだ!」
男「学のあるお偉いさんの目には、太陽が沈んでいくように見えるのかも知れねえが、学のねぇ俺の目には太陽がてっぺんに…」

サンヒョンは大急ぎで電話を掛ける。「もしもし!」

サンヒョン(電話)「そちら金融トラブル支援センターですね?不法債権取立行為の通報をしたいんですけど」

男たちが思わず後ずさりをする。

サンヒョン(電話)「えぇ、そうです。5分ですか?」

サンヒョンは電話を耳から話し、大きい声で男たちに話した。「おとなしく帰るか?それとも一緒に警察に行ってケリつけるか?」

男「(ジユンたちに)おばさん、一週間以内に貸した金返さなかったら、そのときは何するかわからねぇからな」

男たちはぞろぞろと家を出て行った。

+-+-+-+

日が暮れると、サンヒョンは外へ様子を見に出た。
向こうの小さな公園に、まだ取り立て屋たちがたむろしているのが見える。

男「保護…法10条?お前ら聞いたことあったか?」
男「聞いたことはあるけどさ」

+-+-+-+

「まだ居座ってます」ジユンの家に戻り、サンヒョンが言った。

義母「(ジユンに)通報したほうがいいんじゃない?」
ジユン「…。」
サンヒョン「一晩中いるわけじゃないでしょう。きっと帰りますよ」
義母「あぁ!何てことなの?!」
ウンス「(ジユンに)お母さん、お父さんはいつ帰って来るの?」
ジユン「…ちょっと込み入ったことがあってね。じき帰ってくるわ。心配しないで、大丈夫」

「なぁ、ウンス!」サンヒョンは小さなウンスを元気づけようと、棚を指差した。「お前も持ってるんだな、アベンジャーズ」
「俺も持ってるんだ」アベンジャーズがテーマの玩具だった。

ウンス「すごい!」
サンヒョン「一緒にやるか?」

「あの…ところで」義母が割って入る。「うちの嫁と知り合いなんですか?」
「…。」ジユンとサンヒョンが一瞬沈黙した。

義母「(ジユンに)あなたが話して」
ジユン「お義母さん、実は…」
サンヒョン「大学院の後輩なんです。共同研究してることがありまして」
義母「共同研究?(ジユンに)どうして言わなかったのよ。それでわざと同じ家に引っ越してきたの?」

「違います!」二人が声を揃えた。

ジユン「私だってビックリしたんですよ」
サンヒョン「僕のほうがビックリしましたよ」
ジユン「?」
サンヒョン「僕、もともと先輩から嫌われてるので。今回の研究も仕方なく一緒にやってるんです。でしょ、先輩?」

「…。」義母はまだ疑わしい目でジユンを見た。

サンヒョン「お母さん、正式にご挨拶いたします」

サンヒョンは大げさにひざまずこうとしてジユンに叩かれる。「ハン・サンヒョンともうします」

サンヒョン「外にいる人たちが引き上げるまでは、僕もここにいたほうが良さそうですね」

+-+-+-+

ジユンの夫ミンソクは、物言わぬイム専務の亡骸と対面し、警察が回収した残りの遺留品の箱を引き取った。
軽いその箱に入っていたのは、イム専務の着ていたジャケットだ。
何気なく触れた彼は、表地と裏地の間に何かが挟まっているのに気づいた。「!!!」
中から出てきたのは…1枚の紙だった。

『ミンソク、時間がなくて長くは書けない。
ソンジングループの策略に掛かっちまった。
全ての陰謀の始まりはソンジングループだ。
裏金の窓口はギャラリー ソンだから、そこを探れ。
俺が引っ張って来た投資資金にロシアのヤツらのブラックマネーが混じってたのは、俺も本当に知らなかったんだ。
これ以上は到底踏ん張れそうになくて、卑怯な結論を出す。
ギャラリーの警備員の中にROTCの後輩がいる。
お前も顔を見ればわかるはずだ。
話しておいたから連絡してみてくれ。
俺にできるのはここまでだ
すまん。本当にすまん…』

ミンソクはそれを折り畳んで胸ポケットに突っ込み、車を走らせた。

+-+-+-+

”二人で共同研究している”と言ったとおり、ジユンとサンヒョンは二人顔を突き合わせ、古書の解読を始めた。

サンヒョン「(古書を読み)”日差しに満ちた日。運平寺の観音殿の窓格子はどんな花より美しかった” 先輩、次の行読んでみます?」
ジユン「続けて読んでよ」
サンヒョン「(得意そうに資料を指し)全部解読しましたよ」

ジユンは驚いたように笑い、資料を受け取った。

ジユン「”季節ごとに、時々刻々違った色に見える窓格子を、見える色のままに表現したくて、何度も描いた」

~~~~過去編~~~~

観音殿の見える石の上に腰掛け、サイムダンが熱心に写生をしていると、和尚がやってきて窓格子を開け、中へ入った。

サイムダン「!」

開けた格子の向こうに、美しい水月観音図の掛かっているのが見えたのだ。
和尚は合掌すると、その絵をくるくると丸め、奥へ入っていった。

サイムダンが急いで観音殿に駆け寄ると、ちょうど和尚が外へ出て来た。

サイムダン「和尚様!あの絵を見せてくださいませ」
和尚「絵とおっしゃいますと?」
サイムダン「さっき和尚様が隠された絵のことです。水滴に入っている美しく高貴な女性の絵です!」

「見間違いです」和尚は微笑み、歩き出した。

サイムダン「そうではありません!はっきり見ました。この世の誰より美しく悲しげな貴婦人でした」
和尚「…。」
サイムダン「万民の前に現れ、慈悲を施されるという観音菩薩様でしょう?見せてくださいませ!」
和尚「見間違えられたのです。そんな物はありません」

~~~~現在編~~~~

「水月観音図!」ジユンが図鑑のページをめくる。「ここにあるわ!」

サンヒョン「わぁ!今これを見ようと思ったら、飛行機乗って日本に行かないと。現存する200点余りの高麗仏画は、ほとんど日本にあるんだから。だけど、こんな絵を近くの山で見たってこと?」

「何してるの」興奮して近づきすぎたのを義母にたしなめられ、サンヒョンは慌てて古書の朗読に戻った。

サンヒョン「”運平寺じゅう和尚様を追いかけ…”」

~~~~過去編~~~~

和尚を追いかけるうち、人々が黙々と作業をしている光景が目に入った。
紙を作っているのだ。
途端に、サイムダンはまた目を輝かせる。「これが噂に聞く高麗紙ですか?」

※高麗紙=高麗時代から伝わる最高級の韓紙

さらに和尚についていくと、サイムダンはその向こうに突然広がった光景に言葉を失った。

サイムダン「!!!」

貧しい人々が飢えや病気に苦しみ、そこかしこに横たわっていたのだ。

サイムダン「… 和尚様?あの人たちは…」
和尚「早く山をお下りください、お嬢様。もうじき無頼漢たちが押し寄せます。お嬢様がご覧になってはいけない光景でいっぱいになりますぞ。見もせず聞きもせず、今すぐ山をお下りください」

「???」理解できず、サイムダンが立ち尽くしているところへ、向こうから行列が近づいてきた。
妓生を抱きかかえるようにしながら両班の男が馬に乗り、荷車には酒の龜がぎっしり積まれている。
その行列を率いる役人たちの中に、ひときわ眼光の鋭い男の姿が、サイムダンの目に焼き付いた。

+-+-+-+

その男… 平昌の県令ミン・チヒョンは、持参した財宝を領議政ユン・ギョンボに差し出した。

チヒョン「政治には人が必要であり、人を引き入れるには金が必要でしょう」
領議政「この世の理をよくわかっているな。大切に使おう」
チヒョン「六矣廛の紙廛の座を検討しているところです。漢陽に本拠を置けば、しばしばお目にかかることになりそうですが…」
領議政「漢城府長と戸判大監に話しておこう」
チヒョン「ありがとうございます」

「父さん!」いきなり入ってきた息子ユンピルを見て、領議政は慌てて財宝に蓋をした。

ユンピル「あ、お客様がいらしてたのか」
領議政「あぁ」
ユンピル「父さん、金剛山へ旅行に行きたいんです」
領議政「あとでな」
ユンピル「(財宝の箱に手を)二人だけで何を…?」

領議政が慌てて息子を押しのける。

ユンピル「父さん、どうして?!」

領議政「誰かおらぬか!」

息子が家来に連れ出されると、部屋に気まずい空気が残った。

領議政「あの子は… チョ・ガンジョの策略にはまって流刑になり、家が破綻したときに母親を失くした。それ以来精神的におかしくなって、人は殴るわ、他人の墓は掘り返すわで…」
チヒョン「私が旅行にお連れしましょうか。きれいな空気を吸えば、良くなるかもしれません」
領議政「ありがたい!以前はまともだったのだ」
チヒョン「誠心誠意ご案内します」

+-+-+-+

というわけで領議政の息子ユンピルを連れたチヒョンが訪れたのが、この運平寺だったのだ。
ユンピルは寺につくなり妓生たちをはべらせ、大宴会だ。

サイムダン「(覗き見て)人々が飢えて死んでいく一方で…!」

ユンピルたちを遊ばせておいて、チヒョンは和尚に会っていた。

チヒョン「こうして清らかな茶を飲みながら山寺の景色を見ていると、俗世の垢がひとりでに洗われるようです」

「南無観世音菩薩」和尚が手を合わせる。

チヒョン「朝鮮では開国以来ひたすら仏道を異端視し、弾圧して来ました故、無念なことばかりでしょう」
和尚「…。」

チヒョンが手元の箱を開けると、中にぎっしり詰まった銀貨が顔を出した。

チヒョン「境内を眺めると、あちらこちらで塗りが色あせ、仏堂の本尊の金漆も剥げているようです」
和尚「お布施にしては度が過ぎるようですが…」
チヒョン「地方の首領にすぎぬ身ではありますが、江陵一円では最大の商団を運営しています」

チヒョンの目が鋭くなった。「運平寺で生産する高麗紙は全国一だと知って来ました」

チヒョン「支援は惜しみません。いかがです?」
和尚「…。」
チヒョン「朝廷では明から要求される高麗紙の数が増え、困っているようです。共に旗揚げを」
和尚「恐れながらそれは出来ません」
チヒョン「…。」
和尚「運平寺の高麗紙は金銭のために作っているのではありません。写経と経の刊行のためです。寺は仏様のもので、金銭でどうにかなるものではありません。ご理解くださいませ」

+-+-+-+

「高麗紙を作っている職人たちを買収するのだ」和尚と別れると、チヒョンは手下に指示した。

手下「高麗紙の秘法を知っているのは和尚様だけではないですか」
チヒョン「あのインチキ坊主、首に刀を突きつけられても拒むだろう。見よう見まねで秘法を会得している者がいるに違いない」

+-+-+-+

サイムダンはほんの一瞬目にした水月観音菩薩を、一心に描いていた。
描きながらも、貧困に喘ぐ人々の姿がしきりに重く胸にのしかかる。

哀此下民喪天彝
己卯逐客心斷絶

父の部屋で見た詞を思い出し、彼女は絵の横にそう記した。

書き終えた彼女は、いつの間にか貧しい女の子が隣で見つめているのに気づいた。「!」

サイムダン「驚いたじゃない」

女の子はニコニコして、サイムダンが持っていたおにぎりの包みを指差した。

サイムダン「(女の子に渡し)食べる?」
女の子「(嬉しそうに抱える)」
サイムダン「食べないの?それじゃあこれは?(蜜柑を渡す)」
女の子「(食べようとする)」
サイムダン「あっ!(皮をむく)皮をむいて食べるのよ」

女の子は美味しそうに蜜柑を口に運んだ。

サイムダン「今日はこれだけしかないの。今度はもっと持ってくるわね」

女の子はうんうんと頷くと、サイムダンが描いた絵に顔を輝かせた。
サイムダンは絵をくるくると巻き、女の子に渡してやる。「ほら」

サイムダン「明日、もっと食べるものを持って来てあげるね」

+-+-+-+

家に帰ってからも、サイムダンは考え耽っていた。「…。」
そこへやって来たのは父ミョンファだ。

ミョンファ「その顔はどうした?具合でも悪いのか?」
サイムダン「…いいえ」

それでも気にかかり、ミョンファは娘の隣に腰を下ろし、顔を覗き込んだ。

サイムダン「実は…」
ミョンファ「実は?」
サイムダン「運平寺へ行ったのです。両班と妓生が連れ立って、境内をご馳走とお酒で一杯にしていました。すぐ隣の粗末な小屋では流民たちが病で死んでいくのに…」
ミョンファ「…。」
サイムダン「とても奇妙です。いくらでもある食べ物に飲み物、ほんの少し分ければ死んでいく人たちを救えるはず。それなのにどうして見捨てるのですか。なぜこんなことが起きるのですか」

「もうあそこへ行ってはならん」ミョンファは厳しい顔で一言だけ告げ、立ち上がった。

サイムダン「お父様」
ミョンファ「こら!婦女子上寺の禁は厳格だ。運平寺へ行ってはならぬぞ」
サイムダン「…。」

+-+-+-+

サイムダンの家に求婚書を持参して以来、返事は一向に届かなかった。

キョム「はぁ、なぜ未だ返事がないのだ?なぜ…?明日訪ねてみようか?いや、駄目だ。逆に御父上から睨まれるかもしれない」

+-+-+-+

サイムダンは熱心に手紙をしたためていた。

下女「何をそう一生懸命書いていらっしゃるんです?」
サイムダン「明日の朝、登って食べ物をあげるわ」
下女「え?」

サイムダンは筆を置いた。「この手紙を若様に届けて」

下女「こんな夜に?」
サイムダン「えぇ、今すぐ。お母様がお目覚めになる前に、蔵から穀物を持ち出さなきゃならないし、私一人じゃ無理だから」

「守護樹の下で会いましょうって伝えて」そう言って、サイムダンは下女に手紙を託した。

+-+-+-+

「女のくせに勉強なんて!」「鳥竹軒の旦那様が勉強しに来てもいいっておっしゃったんだから」「勉強なんかでご飯が食べられるのかい!」ソクスンが居酒屋で働く母親と言い合っていた。

そこへ通りかかったのが、サイムダンの手紙を握りしめたお付きの下女だ。
お腹でも下しているのか、彼女はしきりに腰をおさえている。

ソクスン「イヤよ!勉強するわ。私、お母さんみたいに生きるのはイヤなの!」
母「この子ったら!!!」

「イヤなんだってば!」母親を突き飛ばし、ソクスンは駆け出した。
と、弾みでぶつかってしまったのがサイムダンの下女だ。

ソクスン「大丈夫ですか?」
下女「軒轅庄の若様にこれをお渡ししなきゃいけないのに…」
ソクスン「軒轅庄?私が代わりにお渡ししましょうか?」
下女「あんたが?(お腹がぐるぐる)そうね、そうして」

「あんたが渡して頂戴」下女はソクスンに手紙を渡し、くるりと背を向けた。

#ところどころ流れが不自然で「ん?」ってなるところがありますねぇ…

+-+-+-+

ソクスンはいそいそとキョムのいる屋敷の前までやって来た。
表の門がしまっていて、少し脇へ回ってみると、塀の向こうにちょうどキョムの姿が見える「!」

はらはらと舞い散る紅色の花びらの向こうで、キョムは落ちつかず廊下を行き来しては、ふっと顔を緩ませ、そうかと思えば深い溜息をついた。

キョム「”美しき楼台に春が来るのを待っているのに… 一向にやって来ない ツバメがつがいで飛んできて、柳はゆらゆらと揺れ、小雨は降り止むことなく…”」

「庭には風が吹きつけるだけで…」キョムに合わせ、塀を挟んでソクスンがそっと声を重ねる。

キョム「?」
ソクスン「(続けて)目尻に愁いが増すばかりで、待ち人はあらわれない」

「誰…?」キョムが塀の外から聞こえる声に尋ねた。

ソクスン「!」
キョム「サイムダン?サイムダンかい?」

+-+-+-+

キョムが門の外へ飛び出してみると、そこには若い娘が困った様子で座り込んでいるだけだ。

キョム「サイムダンは?」
ソクスン「…。」
キョム「間違いなく詩を読む声が聞こえたんだけど…」

あたりを見渡しても、そこには他に誰もいない。

キョム「今、詩を読む声が…」

と、ソクスンはその場にひれ伏した。「申し訳ありません。身の程も知らず私がみだりに喋ってしまいました」

キョムは感心したように笑顔を見せる。「どうしてあの詩を知っているのだ?字が読めるのか?」

ソクスン「少し…」
キョム「そうか。さっきのは誰の詩か、知っているかい?」
ソクスン「歐陽修の… 蝶戀花」
キョム「ほぅ!歐陽修を知っている居酒屋の娘とは!」

キョムが彼女の前に座り込み、顔を覗く。「書くこともできるのかい?」
「…。」ソクスンはしばらく戸惑うと、地面に木の枝で蝶戀花の一節を書いてみせた。

ソクスン「地面にしか書いたことがないので、字が下手です…」
キョム「紙も筆もなしに、地面で字の勉強とは…」

#見習いなさい…

「待って」キョムは袖口に手を突っ込むと、筒を取り出した。
そこから細筆を一本取ると、「ほら」と差し出す。「受け取って」

ソクスン「こんな貴重な物を私にくださるなんて!」
キョム「恵まれぬ境遇にあっても自ら学ぼうとするなんて、これほど感心なことがあるか」

「ほら、早く」キョムは躊躇もなく彼女の手を取り、筆を握らせてやる。

ソクスン「あ… ありがとうございます!若様!」
キョム「ところで、こんな夜遅くここで何をしていたのだ?」
ソクスン「あ、(タミ?)おばさんが手紙を…」

そう言ってソクスンがチョゴリの裾から手紙を取ろうとしたとき…

キョム「(タミ?)が?!求婚書の返事をくださったのか?」

「!」ソクスンの手が止まった。「…。」

キョム「そうなのか?サイムダンが先にこっそり教えてくれたのか?」

「…。」躊躇った末、ソクスンの手は裾の下にある手紙をぎゅっと押し隠した。

+-+-+-+

ここでエンディングです。

 - サイムダン(師任堂)色の日記