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テバク15話あらすじ&日本語訳vol.3

   

チャン・グンソク、ヨ・ジング出演「テバク」15話の終盤です。

頑張るぞーっ

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今度こそ何のカラクリもない、テギルと犬斫刀の真剣勝負が始まった。

テギルが犬斫刀の攻撃をかわして後ろへひょいと飛び上がる。
すぐさまそちらへぶんと振り回した犬斫刀の刀は、テギルの刀に当たり、弾き飛ばされた。
重い刀が吹っ飛び、窓枠に突き刺さる。
と、テギルはすかさず刀を犬斫刀の喉元に突き立てた。「!」

テギル「いい加減認めろ」
犬斫刀「…。」
テギル「誰だ?骨蛇を殺せとお前に指示したのは」
犬斫刀「…。」
テギル「白面書生、イ・インジャか」
犬斫刀「イ・インジャ、奴の指示だ」
テギル「…。」
犬斫刀「だが、殺した理由はそれじゃない。骨蛇を殺したのは…ひとえに俺の意志だ」

209

「…。」犬斫刀の目に、キラリと涙が光る。
彼は、一人で丼飯を貪り食うソリムを見て、死んだスニムに彼女を重ねあわせたことを、静かに思い浮かべた。

犬斫刀「ほんのしばらく逃げるつもりが… ずいぶん遠くまで来てしまった」

テギルを見上げる犬斫刀の目から、涙がこぼれ落ちる。「お前が責任をとってやれ」

犬斫刀「斫刀を持った男より、笠を被った男のほうがマシだろう」
テギル「…。」
犬斫刀「…俺の負けだ」

「まだだ!」そのとき、誰かが入ってきて待ったを掛ける。
延礽君だ!

テギル「何しに来た?」
延礽君「お前が心配でな」
テギル「…。」

「それから」延礽君は床の上でうなだれている犬斫刀に視線を落とす。

延礽君「誰だ?お前の背後に隠れている逆賊、鄭(チョン)氏とは」
犬斫刀「!」

犬斫刀は立ち上がり、延礽君に向き直る。「なぜそれを?」

延礽君「今日、ここへペク・テギルをお送りになったのは、殿下だ」

「!」犬斫刀は驚いてテギルを振り返った。

犬斫刀「俺を捕らえて背後を暴く段取りだったのか」
テギル「…。」
犬斫刀「(延礽君に)俺が話すと思うか?」
延礽君「そこで今日は特別な方をお連れした」

そこへ姿を現したのは、鄭氏の使用人だったという生き残り、キム・ジョンリョルだ。
「生きてたんだな」ソロリソロリと前へ進み出ると、ジョンリョルがポツリと犬斫刀に言う。

延礽君「よく見よ。ここに集まった上客たちの中に、逆賊鄭氏はいるか」

ジョンリョルがゆっくり周囲を見渡す。「延礽君様、いない…ようです」

延礽君「もう一度よく見るのだ。必ずやここにいるはずだ」

#え?なんで?(´-`)

ジョンリョルは困ったようにもう一度申し訳程度に辺りを見回した。

ジョンリョル「記憶もぼんやりしていて… やはりいないようです」

延礽君は失望したように小さく息をついた。「わかった。そなたはもう帰ってよい」

#なんだったの?(´-`)

「申し訳ありません」ジョンリョルはペコリと頭を下げ、早々にその場を立ち去った。

延礽君「後は国法で裁く。逮捕しろ」
サンギル「はい、延礽君様」

と、サンギルが動きかけたそのとき…
「頼みがある」犬斫刀が静かに口を開いた。

犬斫刀「この賭場もこれで最後だ。酒を一杯だけ飲んでから行きたい」

「…。」延礽君は無言で視線を和らげる。
犬斫刀はゆっくり奥の自席へと向かった。

#駄目だよ、やばいよ

器に酒を注ぎ、手に握った黒い丸薬を二つ、そこへ加える。
丸薬はすぐに溶け、透明な酒が黒く濁った。

#なんでみんな止めないの?

犬斫刀は顔を上げ、ソリムをじっと見つめた。「…。」

210

そのまま、彼は手に持った酒を口へ運ぶ。

客に紛れてじっと成り行きを見守っていたタムソが立ち上がり、隠し持っていた短刀を出した。

犬斫刀の口から血が滲んだかと思うと、突然ふらりと倒れこむ。
「店主様!」ソリムが驚いて駆け寄った。

#何、この茶番。

延礽君「何の真似だ!!!」

床に転がった器の匂いを嗅ぎ、テギルがハッと顔色を変えた。
毒を飲んだのだ。
タムソは事の顛末を見て、急いでその場を後にする。

犬斫刀「短い間だったが… ソリム、お前がいて幸せだった」

ソリムの頬を伝う涙を、そっと指先で拭った。「ありがとう」
最後の力で、犬斫刀はテギルを振り返る。
「完全に負けだ」そうつぶやき、犬斫刀はバタリとソリムの膝の上に倒れる。

ソリム「店主様!店主様!」

ソリムに揺さぶられながら、犬斫刀は静かに目を閉じた。

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賭場を出て来たキム・ジョンリョルは、一人帰り道を歩いていた。
と、そこへ向こうから歩いてきた男とすれ違う。

「そなたか」その男… イ・インジャが立ち止まった。

ジョンリョル「!」
インジャ「李氏朝鮮を滅ぼし、鄭氏王朝を建てようとしているのは」

ジョンリョルがゆっくりと振り返り、インジャの顔を見る。
と、彼はずっと曲がっていた首をすっとまっすぐ伸ばした。

ジョンリョル「イ・インジャ、こうして顔を合わせるのは互いに良くないはずだが。我々が出逢えば、王もまた刀を抜くであろう」
インジャ「王の刀を恐れるなら、ここまで来ることもなかった。どうだ?私と手を組むというのは」
ジョンリョル「この世をひっくり返すほどの私の重み、君の手に負えるのか?」

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#すごい。まるで別人だね!

インジャは愉しげに微笑む。「このイ・インジャにその程度の度量もないと思うか?」

ジョンリョル「わからぬぞ。また誰に不意打ちを食らうやも」
インジャ「人を信じられないようだな。名も名乗らぬところをみると」

「チョン・ヒリャンだ」男はそう名乗った。

インジャ「チョン・ヒリャン?嶺南の巨頭というのは君のことか?」
ジョンリョル(チョン・ヒリャン)「漢陽を翻弄している君ほどではないぞ」

インジャは笑い声を上げた。「それで、どうだ?」

インジャ「私の戊申団と君の嶺南が合わされば、王の首は無論、朝廷を飲み込むことも容易いだろうが」

「!」とそのとき、ジョンリョルは人の気配を察知し、咄嗟にまた首をぐにゃりと横に曲げた。
賭場から出て来たのは…テギルだ。

テギル「…?」

ジョンリョルは手に持った小さな赤いツツジを、インジャに手渡した。

インジャ「(小声)王の目から流れる血の涙とでも?」
ジョンリョル「汶山のツツジで作る酒は一級品だ。君を招待しよう」

テギルが近づいてくるのを見て、ジョンリョルはさっと歩き去った。

+-+-+-+

ジョンリョルと入れ替わりに、テギルがやって来る。「俺が賭場を荒らすたびにやって来たのに、今日はなんで外にいるんだ?」

「目に見えるものが全てではないからな」インジャは貰ったばかりのツツジを眺めた。

インジャ「それで、犬斫刀はどうなった?」
テギル「自決した」
インジャ「ふふっ、刺客らしい最期だ。そうなれば…」
テギル「残ったのはあんただけだ」
インジャ「いや、私を討つよりも大事なことがある」
テギル「?」
インジャ「もう知ってもいい頃だろう」

そこへ遅れて出て来た延礽君がやってくる。

インジャ「あぁ、ちょうどいいところへいらっしゃいました、延礽君様」
延礽君「イ・インジャ、そなたも逆賊鄭氏を探しに来たのか」
インジャ「いいえ。ここにいるペク・テギルに面白い話をしてやろうと思いまして」

テギルと延礽君、ふたりとも不安と疑いに満ちた目で、じっとインジャを見つめる。

インジャ「お二人が友となって喜ばしいことではありますが、一方では不憫でもあります」

「!!!」インジャの魂胆を察し、延礽君は思わず一歩前に踏み出した。

インジャ「あぁ、延礽君様はすでにご存じでしたか。二人がどういう縁なのか」

#もうなんか…インジャを前にこの”若造二人”感があからさますぎる。

テギル「?」

インジャがそっとテギルに近づき、耳元で何やら囁く。

テギル「!」

平然と花の香りを嗅ぐと、インジャはすっとその場を立ち去った。
「…。」大きく見開いたテギルの目が、ゆっくりと弧を描くように延礽君へと向かう。

212

延礽君「!」
テギル「…本当なのか?」
延礽君「何を言われた?」
テギル「とぼけるな。あんたと俺が…」

「兄弟だと」到底口に出せず、テギルはその言葉を飲み込んだ。
立ち去るテギルを、延礽君はただ呆然と見送ることしかできなかった。

+-+-+-+

賭場から客が数人ぞろぞろと出て来た。
と、その中に、上衣を頭から被った女に、延礽君は目を留める。「待て」

タムソだ。

#先に帰ったんと違うかったんか

彼女は立ち止まり、チラリと彼を見ると、足早にそこを離れた。

+-+-+-+

人影のない脇道に入ると、タムソはそこで延礽君に止められた。「ようやく会えたな」

#歩いてくるときのタムソ、なんでこんな酸っぱいもの食べたような顔してるんだろ

延礽君「タムソ」
タムソ「…。」

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テギルがやって来たのは、インジャの自宅だ。

インジャ「ペク・テギル、わかるか。お前の人生は王の企みから始まった」
テギル「!」
インジャ「誰もが知りながら、誰も口にしてはならぬ歴史。お前の生まれる前から綴られていた王と淑嬪の出会い。受け止められるのか?真実の重みを」
テギル「受け止めるかどうかは俺が決める。続けろ」
インジャ「淑嬪の雑仕女時代、夫はお前の父ペク・マングムだった」
テギル「!」
インジャ「お前の母が雑仕女だった頃、どういうわけか王の目に留まった。王の策略に嵌ったペク・マングムは淑嬪を賭け、ついには妻を王に奪われたのだ。ペク・マングムは後になって王の策略を知り問い正したが、淑嬪は無情にも夫を追い返した。ところが、お前はその後たった6ヶ月で生まれ、母に捨てられる身の上となったのだ。同じ腹から生まれた子なのだから、延礽君とお前は兄弟ということになる」
テギル「淑嬪様が… 俺の母親だと?」
インジャ「…。」
テギル「俺がそんな言葉を信じると思うか?」
インジャ「ははは。そうだな、簡単に信じられる話ではなかろう。だがよく考えてみよ。間違いなく心当たりがあるはずだ」

心当たりはたやすく見つかった。
昼間、拷問を受けている自分のところへやって来て、淑嬪は涙ながらに手を握ったのだ。

テギル「俺に話した理由は何だ?淑嬪様が俺の母親だからって何が変わる?」
インジャ「まだわからぬか」
テギル「…。」
インジャ「ペク・テギル、お前はペク・マングムの息子ではない」
テギル「…王!!!」
インジャ「王。お前の父親はペク・マングムではなく、王なのだ」
テギル「王様が… 俺の父親だって?!」

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ここでエンディングです。

インジャが語るこれまでの話…
どういうわけか淑嬪が王の目に留まったのもインジャの策略。ペク・マングムに王がイカサマをしたと教えたのもインジャ。夫が自分を賭けたのを淑嬪に見せたのもインジャ。改めてインジャがストーリーを作ってるのを思い知らされます。

テギルにも普通にあんたが話すのね…と、ある意味「予定通り」(笑)

で、犬斫刀が骨蛇を殺したのを「自分の意志」と言ったのは何だったんでしょうね?
単に断ることも出来たってことかな。

 - テバク ,

Comment

  1. 匿名 より:

    犬斫刀の最期‥
    解説つきで読むと、まるで2時間サスペンスのお約束みたいな展開(^_^)ま、ある意味ドラマ的なあるあるも必要ってことで(笑)インジャがテギルに事の成り行きを説明してるのも、ちょっと犯人を追いつめる時の探偵の謎解きみたい。
    やっぱりこの作家さんの癖というか力量について、時々判断が難しくなりますね。もう少し、作家の思いを感じるような冴えのあるシーンを見せて欲しいものです。

  2. さくら より:

    犬斫刀が骨蛇を殺したのは「自分の意思」だと言ったのは、インジャに大金を積まれたとて、敢えて自分の手にかけるべき相手でもなかった骨蛇だけれど、ひとえに「ソリムをテギルに渡したくなかった、ソリムを失いたくなかった」がために、殺めてしまったということかと思いました。インジャが骨蛇暗殺依頼に来た最後の捨て台詞、思惑にまんまと乗せられてしまったのですよね。

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